JP2004332107A - 鋼線の熱処理方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 単線の焼入焼戻しラインにおいて、一定径の熱間圧延線材から多種径のオースフォーム鋼線を無停止で造り分け、生産能率向上とコスト低減を図る。
【解決手段】 伸線材より軟質である熱延線材2を使用してデッド・サプライとコイル間溶接作業を容易にならしめ無停止操業を図る。次ぎに一体化されたダイス引抜5,6とダイレス引抜6,11によりサイジングする。熱処理と縮径の条件整合のため、焼入用の1次加熱7の後ダイレス引抜用の2次加熱8を付加し、過熱に伴う靱性低下はオースフォーム効果で解消する。加熱部上流・下流の速度比に反比例させて鋼線減面比を設定し、延伸後の断面形状の測定10により速度比を微調整して鋼線断面積を優先的に管理することにより断面寸法許容範囲は合理的に拡大される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、焼入焼戻し鋼線の製造方法に関するものである。
焼入焼戻し鋼線はばね用、コンクリート補強用、機械部品等に広く使用されている。一般的製造方法は、熱間圧延線材を材料にしてまず製品径まで伸線加工しコイル状の中間材とする。次ぎに該コイルを連続熱処理装置に供給し、直線状に走行させ全長を同一条件で加熱、焼入、焼戻しした後再びコイル状に巻き取り製品コイルとする。このプロセスを実施する際、2方式が競合している。
第1の方法は、低速多ストランド方式と称され、複数の中間材を同時平行処理するもので、通常火炎式加熱炉、油焼入槽、焼戻し炉の順に通過させそれぞれ個別の巻取機に巻き取られる。第2の方法は高速単ストランド方式で、1本の中間材を高速で上記処理する。加熱方法として高周波誘導加熱又は直接通電加熱等が使用される。10mm径前後の太径製品には有力な方法である。本方法は急熱による結晶粒微細化と平滑美麗な表面等製品品質には有利であるが、電力、人件費等操業コスト及び設備コストが割高である。特に鋼種、品種、寸法が多種多様なばね用や機械部品用の鋼線等の製造に適用すると、工程切り替えが頻繁になる。さらに今日の短納期、在庫削減に対処する小ロット生産が重なると生産能率・設備能力の半減、歩留まりの低下、作業工数の増大等問題が大きい。
どちらの熱処理方式を採用しても、焼入焼戻し鋼線の製造コスト上の大きな負担は、熱処理に先行して伸線工程が不可欠となっていることである。その第1の理由は、熱間圧延線材の寸法は段階的に集約、標準化されているが鋼線寸法は任意に設定されるためであり、第2の理由は、鋼線寸法の許容範囲は小さく、熱間圧延ではその精度に到達できないからである。偏径差(=断面の長径・短径差)についても全く同様である。
第3の理由は、熱間圧延線材には多少なりとも表面傷が残存する。そのため伸線工程では通常、探傷検査により手入れ、処置がなされる。伸線を省略すると当該作業が熱処理工程に持ち込まれ生産性を阻害する。以上のように熱延線材をそのまま焼入焼戻し鋼線用に使用することは現在では至難の技である。
生産性問題の他に、焼入焼戻し鋼にはつきものの慢性的材質問題として”遅れ破壊”が挙げられる。これは応力下における含有Hの特異な挙動により製造直後より材料欠陥部が徐々に拡大し、破壊に到る現象である。対策として溶鋼精錬における真空脱ガスの適用や、製品熱処理後に再び低温時効熱処理の附加等がなされコスト増等問題が大きい。
上記問題の部分解決に応用できそうな研究が文献1、文献2に詳述されている。提起された新プロセスのダイレス引抜はダイス等工具を一切使用せずに引抜を行うものである。図3に示すように鋼線に一定の張力を作用させつつ走行させ、局所的に誘導加熱により急熱し直後に急冷することによって高温部で延伸させる。本プロセスの特徴・要点を以下に示す。
1) 加工前後の鋼線の断面積比は加工前後の線速比に正確に反比例し、加工前後の鋼線の断面形状は正確に相似である。
2) 減面率40%以上の加工が可能であり、熱的条件を適切に制御することにより硬化、軟化等の熱処理の付加が可能である。
3) 当該メカニズムの第1の安定化条件は、延伸直前・直後の変形抵抗比(加工後/加工前、低温側/高温側)は断面積比(加工前/加工後)を上回らなければならない。即ち冷却の強さにある。条件が外れると低温側で破断する。
4) 第2の安定化条件は、加熱部と急冷部を接近させなければならない。条件が外れると高温側で絞り切れが発生する。理由は、速度差に対応して高温部が延伸する。冷却タイミングが遅れると単純な熱間引張加工になる。最初に延伸した部分の応力が延伸に反比例して増加するのに対して加工硬化は途中で追いつかれ、又冷却による硬化も遅れる。結果、該延伸部のみに歪みが集中するからである。
上記ダイレス引抜を高速単ストランドの焼入焼戻しラインに適用して製品線径の自在変更可能になれば好都合であるが、多くの問題が予測される。
A) 上記研究における実験条件の1桁大きい速度で上記プロセスを安定させなければならない。増速の結果、加熱部、延伸部、冷却部はそれぞれ走行方向に拡張する。特に加熱部の拡張は第2条件に対して不都合に作用する。誘導加熱能力の強化で対処すると表皮の過熱をもたらす。高速化への対処が困難且つ未知であることが当該プロセスが未だ生産に供されていない大きな理由である。
B) ダイレス加工のための適正熱的条件と本来の熱処理条件が整合しなければならない。問題の例1として、通常、加熱工程ではオーステナイト化した後、炭化物溶体化のための適度の保持がなされている。これは上記第2条件にそぐわない。例2として、エネルギー効率が高く均熱性に優れた直接通電方式の加熱は電極スペース等構造上、上記第2条件には適応できない。
C) 製品断面寸法の管理に対して、熱的、機械的な要因の変動により従来には無かった軸方向変動が新たに加わる。
D) 延伸による縮径が適切に制御できても材料の偏径差は解消されない。即ち熱延線材の直接使用には無理がある。
E) 一種の加工熱処理となるので金属組織や表面性状が従来製品とは異なる。材質上の問題が解らないと言う問題がある。
他方、未解決の遅れ破壊問題に対して、近年文献3において改良オースフォーム処理(熱間加工直後に焼入焼戻しする方法)が該問題の解決に有効と解明された。当該技術の応用に際する問題は、オースフォーム処理(過冷オーステナイトの加工+焼入焼戻し)は古い技術であるが煩雑故に特定鋼材以外は実用されていない。上記研究においても複数パスの熱間圧延の先行処理を要し、既存の焼入焼戻しラインに挿入するには同様に極めて煩雑になる。
小畠ら;"ダイレス引抜の研究1"塑性と加工、vol20,no.224(1979-9),p814 小畠ら;"ダイレス引抜の研究2"塑性と加工、vol21,no.228(1980-1),p52 松岡ら;"改良オースフォームした耐水素ワレ感受性に優れる中炭素鋼焼戻しマルテンサイトのAMF組織解析"日本金属学会誌66-7(2002),p745
本発明は従来の焼入焼戻し鋼線の熱処理方法における問題即ち以下の項目を解決すべき課題としている。
1) 熱処理ライン内で一定の直径の中間材から種々の直径の焼入焼戻し鋼線を無停止操業で効率的に造り分け、生産性向上を図る。
2) 中間材を造る伸線工程を省略し、熱間圧延線材を直接、熱処理用の材料として使用し、コスト削減を図る。
3) 耐遅れ破壊性を改善する。
上記の大きな3課題を解決するため以下の問題の解決策を提供する。
a) ダイレス引抜を実用化する。
b) そのため現行熱処理条件とダイレス引抜の熱的・機械的条件を整合させる。
c) 高速ダイレス引抜の安定化方法を考案する。
d) 耐遅れ破壊性改善のためのオースフォーム処理を実施容易とする。
e) 材料間の溶接をライン無停止で実施できるよう材料供給方式を改善する。
f) 熱延線材に不可避の偏径差不適合をライン内で解消する。
g) 稼働率向上のため製品断面の寸法基準を合理的に改善する。
h) 断面寸法制御に外れた部分を効率的に排除する。
i) 熱延線材に不可避の表面傷を効率的に処理する。
上記課題を解決するため、材料、伸線、熱処理、ばね加工を総合検討して以下の指針を得た。第1に熱処理と加工の整合に対しては、主として熱処理のための1次加熱と主としてダイレス引抜のための2次加熱の2段加熱法を着想し、適用した。第2にダイレス引抜は条件次第でオースフォーム、改良オースフォームを包含することに気づいた。両技術を統合して2段加熱に伴う適正金属組織からの偏りに対してはオースフォーム効果で解消するという新規の策に期待し、引張試験機を使用した簡単な予備的試験でその効果を確認した。その結果確信を持ってダイレス引抜とオースフォーム処理の適合を進めることとなった。第3に2段加熱法はダイレス引抜の高速化条件に対しても適切であることが明らかとなった。第4に伸線工程の省略に当たって、熱延線材に不可避の偏径差を解消するためダイレス引抜機構の上流側にダイス引抜を巧みに付加した。第5に高速ダイレス引抜の寸法制御に関して、従来の製品寸法仕様の規定・意図を尊重しつつ必要にして充分な新規の寸法、断面積規定がより合理性があることを解明し且つ適用し稼働率向上に役立てた。第6にメカニズムが従来より複雑になること且つ熱延線材を直接使用することから場合により不良が増加する。対策として下流のばね加工工程を含めた不良部の排除システムを考案し本プロセス全体の信頼性を上げた。
本発明の第1は、鋼線材を直線状に走行させ全長を同一条件で加熱、焼入、焼戻しするライン式連続熱処理方法において、それぞれ、1)該線材に張力を作用させ該線材の高温部において断面積を20%以上縮小させるダイレス引抜を行い、2)該張力を与える方法が、加熱の上流側と焼入の下流側にそれぞれ配置された二つの線材送給装置の速度差によってなされ、3)加熱する方法が、AC3点上50℃以上、150℃以下に1次加熱した後、冷却・焼入部位の上流側直近において高周波誘導加熱により該1次加熱温度より50℃以上、250℃以下の高温へ急速に2次加熱することからなり、4)焼入冷却速度と冷却時間をダイレス引抜と焼入に対してそれぞれ必要な大きさの大きい方以上とし、 5)製品断面寸法を調整する方法が、縮小前後の断面積比を該両線材送給装置の速度比に反比例させる
ことによってなされる、ことを特徴とする鋼線材の連続熱処理方法である。
第2の発明は、両線材送給装置の速度比を連続的に変更して新所定値に再設定することにより製品径を変更する方法によって、過渡期部分を除き一定の直径の線材から種々の直径の鋼線を無停止で造り分けることを特徴とする第1発明に記載の連続熱処理方法である。
第3の発明は、供給される鋼線材が熱間圧延線材であり、該線材コイルを静置した状態で一端を該コイルの軸方向に引き出してラインに供給し、上流側線材送給装置は1個の引抜ダイス(重ねダイスを含む)とキャプスタンからなり、該線材送給装置により該線材をダイス引抜して真円又は楕円又は卵形のいずれかの形状に成形することを特徴とする第1又は第2の発明の連続熱処理方法である。
第4の発明は、焼入と焼戻し間で検知・算出された断面積が規格範囲を外れた場合、又は同区間で表面欠陥が検知された場合、それぞれ当該部分に対して焼戻し温度を所定値より50℃以上、100℃以下の高温に変更して過剰軟化させることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の連続熱処理方法である。
本発明によると、第1に一定の直径の伸線された中間材からそれより細い種々の直径の焼入焼戻し鋼線を無停止、連続的且つ効率的に造り分けることができる。従来の製品寸法仕様は合理的に緩和され、歩留まり、稼働率、作業能率、設備能力の向上等を通してコスト低減が図られる。
第2に、煩雑であったオースフォーム処理が容易に従来の焼入焼戻しラインに組み込まれる。その結果焼入焼戻し鋼の慢性材料問題であった耐遅れ破壊性の向上が充分期待される。
第3に、中間材の代わりに熱間圧延線材を直接使用することが可能になり、コストの大幅削減の他、造り分けと伸線省略を通して納期が短縮される。
熱延線材の直接使用に伴う新たな品質欠陥の誘発に対しては、下流のばね加工等の成形工程と統合した排除システムにより不良部分のみが確実に除去されるので総合歩留まりが向上するとともに新プロセスの信頼性が向上する。
図1は第1から第4の発明の焼入焼戻し方法を実施する装置を例示する概略側面図である。図2は図1に示した方法の代替方法の例を示す。以下、すべての要素を網羅する第4発明を図面に従って説明する。
材料として円断面の熱間圧延線材2が使用され、コイル架台1に静置された該線材2のコイルの一端がコイル軸方向に引き出され焼入焼戻しライン3に供給される。この繰り出し方式は一般にデッド・サプライと言われる。該ラインは順次下流に向けて、脱膜装置4、引抜ダイス5、キャプスタン6、1次加熱装置7、2次加熱装置8、冷却装置9、鋼線プロフィルメーター10、ピンチロール11、探傷器12、焼戻し装置13、焼戻し冷却装置14及び巻取機15から成る。
処理される線材2はまずショット・ブラスト等の脱膜装置4を通過して表面の酸化膜が除去され引抜の予備処理がなされる。次ぎに引抜ダイス5とキャプスタン6により1パスの引抜加工がなされ線材2の断面が真円もしくは所定の異形になる。該キャプスタン6は上流側線材送給装置の機能も併せ持つ。該線材2は下流側線材送給装置であるピンチロール11によりキャプスタン6の周速より大きい速度で引っ張られながら走行する。中間材を使用する場合は上記ダイス引抜機構は不要で、上流側線材送給装置だけでよい。
次ぎに該線材2は通常のソレノイド型高周波加熱コイルからなる1次加熱装置6を貫通しAC3点の上方、50℃以上、150℃以下に加熱され、短時間保持される。当該温度は焼入に適切な通常の温度範囲の下限近傍である。材料の金属組織はオーステナイトとなる。次ぎに該線材2は通常のソレノイド型高周波加熱コイルからなる2次加熱装置8を貫通して1次加熱温度上50℃以上、250℃以下に過熱され、一層軟化する。張力により延伸が発生する。
次ぎに該線材2は2次加熱装置8に接近配置された強力な水冷ノズルからなる冷却装置9を貫通し冷却される。変形抵抗が増加して延伸が停止しその後焼入が進む。冷却速度と冷却時間は完全焼入に対しても又ダイレス加工に対しても必要・充分な大きさに設定されている。該線材2は2次加熱装置8と冷却装置9間の狭い部分のみで延伸する。その結果通常の焼入とは異なるオースフォーム処理を受けることになる。断面形状は延伸前後で相似となる。
キャプスタン6、ピンチロール11ともスリップが生じないよう設計・維持されているので、延伸前後の断面積比は延伸前後の速度比に正確に反比例する。従って速度比のみの設定により線材2を所望の鋼線径に加工することができる。
製品径を変更する場合、該速度比を連続的に変更して変更後の直径に適合する所定速度比に再設定する。このようにして一定の直径の材料からそれより細い種々の直径の鋼線を過渡期部分を除いて連続的に造り分けることができる。
ピンチロール11の上流側には鋼線プロフィルメーター10が配置され、加工の状況を監視する。計測・算出された断面積に対応してピンチロール11の速度が速度制御器18を介して微調整され、該断面積は通常は基準値の±2.0%以内に制御される。ここで基準値とは線径が規格中心値の場合の断面積である。許容幅の値は線径許容値(通常±1.0%)に対応している。異形断面についても同様である。
所定範囲の寸法になった線材はその後表面傷を検出する探傷器12、誘導加熱による焼戻し装置13、水冷ノズルで構成された焼戻し冷却装置14を経て焼入焼戻し鋼線16となり、巻取り機15により製品コイルとされる。鋼線プロフィルメーター10による断面形状測定において、寸法が管理範囲を超えた部分に対しては、焼戻し温度を焼戻し制御器19を介して所定温度(鋼種、サイズにより異なり、通常430℃以上、530℃以下)より50℃ないし100℃上昇させて過剰軟化させる。即ち寸法不良部を強度不良部に包含させて、後述のように後工程で排除する。
熱延線材を直接使用する場合、既述のように表面傷の残存が問題となる。探傷器12によって表面傷が検出された部分に対しても上記同様に過剰軟化させ且つ同様に処理する。軟化度は特に厳密性を要するものではない。
以上に説明した実施方法において種々の代替手段が考えられる。図2に従い、例えば線材送給装置としてキャプスタン6の代わりにエンドレス・ベルト式駆動装置21を使用することができる。1次加熱に対しては、誘導加熱にかえ直接通電加熱装置22を使用すると熱効率が向上する。この場合、通電安定化のため脱膜装置20により予め酸化膜を除去しておく。ダイス引抜に代えて軽圧下圧延機23を適用する方法もある。断面プロフィルメーターとして、市販の旋回機構を保有するレーザー測長器にかえ、図2の固定式プロフィルメーター24のように測長センサーを数点固定配置して計測する方法もある。断面は真円と前提して1点測定測長センサーで済ませることもできる。
線材2をラインに供給するに当たり、デッド・サプライ方式と限定した理由は以下である。第1の理由は、ラインが稼働中でも線材はコイル架台1に静置されているのでコイル毎の溶接が容易で無停止操業を可能にする。第2の理由は、伸線された中間材の強度は約1500MPaに増大し、線径が大きい場合には捻り抵抗のためデッドサプライは困難であるが、熱延線材のそれは1000MPa程度で比較的容易に可能となるからである。
次ぎに加熱を2段階にした理由は以下である。第1に、ダイレス引抜安定化のためには冷却直前のみを高温軟化させねばならない。他方正常な焼入加熱には上限温度があり且つ適正な保持が必要である。両条件の整合のため1次加熱として既述のように焼入に必要な最低限の温度と時間を確保し、2次加熱として1次より高温でダイレス引抜の適正温度域とし且つ焼入に対して多少不適切になってもオースフォーム効果により解消し得る温度とした。
第2の理由は、ダイレス引抜の高速化に際して、既述の安定化2条件を厳守するにはライン方向に拡張する加熱・冷却帯を極力短縮することが不可欠であり、必然的に実効加熱帯長を限定し得る2段加熱にならざるを得ないことである。
1次加熱温度は対象鋼種のAC3点上50℃以上、150℃以下とした理由は、前記焼入に必要な最低限の温度と2次加熱とを合わせて適正溶体化条件とするためである。2次加熱は1次加熱温度上の50℃以上、250℃上に過熱されるが、その程度は主に加工度に依存する。低加工度なら低過熱でよい。高加工度で低過熱なら変形抵抗の低下不足により延伸が上流に及ぶ危険性が生ずる。250℃を超えると2次加熱後の保持時間が無いとは言えオーステナイト結晶粒が不均一、不適切に成長し易く不都合である。過熱度をこのように大きくできる根拠は、高加工度ほど結晶粒微細化を通してオースフォーム効果により上記問題を解消できるからである。減面率を20%以上と特定した理由は、オースフォーム効果を得るため減面率は少なくとも20〜25%必要であるからである。
冷却速度及び冷却時間をダイレス引抜と焼入に対してそれぞれ必要な大きさの大きい方以上と限定した第1の理由は、両プロセスにそれぞれ適切な冷却速度・時間自体は鋼種、線径、延伸比、焼き割れなどの異常品質防止等により色々異なるが、多少困難があっても品質上両立が不可欠であるからである。
第2の理由は、前述した2次加熱と該冷却部における強力な冷却の相互作用により延伸帯を極力縮小、加工時間を短縮して加工組織の再結晶を抑制し、オースフォーム効果を逃がさないためである。
上流側線材送給装置をキャプスタンと特定した理由は、ダイス引抜には簡便・最適であり、ダイレス引抜に対しても充分な張力を生む摩擦力が容易に得られ、共用できるからである。
次ぎに伸線工程を経た従来の焼入焼戻し鋼線が、熱延線材をダイス引抜・ダイレス引抜・オースフォームの三つを組み合わせた工程により製造された本発明の鋼線に代替される根拠をばね用について説明する。
ばねの基本性能としてばね定数k(=荷重/歪み)が重視される。該定数はコイルばねでは(1)式で示されように線径の4乗に比例するので線径のみが厳しく規制され、許容幅は特殊規格では±0.5%となっている。該値は断面積では2倍の±1.0%に相当する。ばね定数は±2.0%以内に限定される。
k=d4G/8D3N −−−−−−−−−−−−−−−(1)
(d;線径、 G;横弾性係数、 D;コイル径、 N;巻数)
ばね定数に及ぼす真円度の影響を検討する。長径、短径がそれぞれ上記特殊規格の2倍の中央値+1.0%,中央値−1.0%の楕円断面(α=1.02,0.98)で、長径方向がコイル軸に平行、直角のそれぞれの場合について、ばね定数k’を文献4から誘導された(2)式に従い試算した。
k’≒2GS2/(π2ND3)×(2.1α−1.1)/α2 −−−(2)
(α;断面アスペクト比(=幅/厚さ)、 S;断面積)
アスペクト比の±2.0%の変動に対するばね定数k’のそれの計算結果は真円に比較してそれぞれ+0.15%、−0.25%であり軽視できると解明された。
線径の許容値に関するJIS規格では大部分±1.0%以内、特定の仕様では±0.5%以内である。精密ばね用として後者を採用するなら、この許容幅は断面積では±1.0%に相当する。第1の発明の実施において断面積は基準値±2×線径許容値(%)以内に制御すればよい。その後該特定下において長・短径の許容値を上記の2倍即ち±1.0%に拡大してもばね定数については問題はない。従来、断面寸法は伸線工程で極め細かく管理されている。本発明では断面積がダイレス引抜制御において厳密に管理される。長・短径は簡素な管理で済ませられる。あえて許容範囲を拡張するのは、ダイス交換に伴う稼働率低下を防止するためである。以上の議論はばね用に限らず多くの用途でも相通ずる。
日本ばね工業会ばね技術研究会偏"ばね技術"p106
他の視点として、ばねは多くの場合捻り応力が利用される。即ち剪断降伏応力が大きく且つ一定であることが望ましい。しかるに一般には規格として引張強度で代用されている。前者のロット間ばらつきは後者のそれより、また線径の4乗のそれより相当大きいことが知られている。従って寸法精度に拘るより捻り性能の安定化を向上させる方が精密ばね用材料として理が通っている。
本発明は捻り性能の安定に有利である。なぜなら伸線された中間材は強い曲がり癖を持ち、それはライン式熱処理でも充分に解消されず、捻り性能のばらつきの一因になる。本発明では張力下で熱間伸直と熱処理がなされるので高度に伸直な鋼線が得られる。
ところでばね成形工程においては今日ではほぼ全自動で加工され、場合により全数寸法測定、強度測定されて規格外品は排除されるシステムが整備されている。本発明では当該システムを活用する。即ち既述のように鋼線の寸法不良部を過剰軟化させて強度不足にすると、ばねは異常な寸法、異常な強度になって確実に不良品として排除される。該新規の不良品排除方法はばね成形時の歩留まりを下げることがあるが、部分的・局所的であるから、線材からの総合歩留まり、総合コストでは明らかに有利になる。
本発明のメカニズムと効果を検証するため以下の実験を行った。図1の原型となっている従来のライン式焼入焼戻し装置を使用し、伸線されたSi−Cr鋼、1700MPaの強度の4.0mm径鋼線を回転台上のコイルから80m/minの速度でラインに供給し、表面930℃に誘導加熱、3秒保持、熱伝達率約5000〜10000W/m2Kで4秒の水冷、490℃×7秒の焼戻しを行った。通常生産では上下ピンチロールの速度差は2%としているが、実験では15%まで増加させた。10%以下では順調に延伸したがその後は部分絞りによる断線が発生した。2次加熱コイルを付設して1030℃に急熱すると30%までの延伸は問題が生じなかった。
得られた鋼線の直径は長さ方向に多少ばらついていたが部分絞りは無かった。線表面には上流側のピンチロールにより4条の圧痕が生じていた。鋼線の伸直性は格段に改善された。鋼線の抗張力は通常より約30MPa高めになった。オースフォーム効果が作用したと考えられる。従ってオフラインで510℃の再焼戻しをすると強度は調整され伸び、絞り値はわずかだが従来より向上した。
以上の実験結果から1)2段加熱の有効性が確認され、2)精密速度制御の導入の必要性と合理性が裏付けられ、本発明の妥当性が証明された。
第4の発明の焼入焼戻し方法を実施する装置の概略側面図である。 図1に示す各部方法の代替方法の例を示す。 本発明が基本的に応用したダイレス引抜法の原理図である。
符号の説明
1:コイル架台 2:熱間圧延線材 3:焼入焼戻しライン 4:脱膜装置 5:引抜ダイス 6:キャプスタン 7:1次加熱装置 8:2次加熱装置 9:冷却装置 10:鋼線プロフィルメーター 11:ピンチロール 12:探傷器 13:焼戻し装置 14:焼戻し冷却装置 15:巻取り機 16:焼入焼戻し鋼線 18:速度制御器 19:焼戻し制御器 20:通電用脱膜装置 21:ベルト式駆動装置 22:直接通電加熱装置 23:軽圧下圧延機 24:固定式プロフィルメーター

Claims (4)

  1. 鋼線材を直線状に走行させ全長を同一条件で加熱、焼入、焼戻しするライン式連続熱処理方法において、それぞれ、1)該線材に張力を作用させ該線材の高温部において断面積を20%以上縮小させるダイレス引抜を行い、2)該張力を与える方法が、加熱の上流側と焼入の下流側にそれぞれ配置された二つの線材送給装置の速度差によってなされ、3)加熱する方法が、AC3点上50℃以上、150℃以下に1次加熱した後、冷却・焼入部位の上流側直近において高周波誘導加熱により該1次加熱温度より50℃以上、250℃以下の高温へ急速に2次加熱することからなり、4)焼入冷却速度と冷却時間をダイレス引抜と焼入に対してそれぞれ必要な大きさの大きい方以上とし、5)製品断面寸法を調整する方法が、縮小前後の断面積比を該両線材送給装置の速度比に反比例させることによってなされる、ことを特徴とする鋼線材の連続熱処理方法。
  2. 両線材送給装置の速度比を連続的に変更して新所定値に再設定することにより製品径を変更する方法によって、過渡期部分を除き一定の直径の線材から種々の直径の鋼線を無停止で造り分けることを特徴とする請求項1に記載の連続熱処理方法。
  3. 供給される鋼線材が熱間圧延線材であり、該線材コイルを静置した状態で一端を該コイルの軸方向に引き出してラインに供給し、上流側線材送給装置は1個の引抜ダイスとキャプスタンからなり、該線材送給装置により該線材をダイス引抜して真円又は楕円又は卵形のいずれかの形状に成形することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続熱処理方法。
  4. 焼入と焼戻し間で検知・算出された断面積が規格範囲を外れた場合、又は同区間で表面欠陥が検知された場合、それぞれ当該部分に対して焼戻し温度を所定値より50℃以上、100℃以下の高温に変更して過剰軟化させることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の連続熱処理方法。
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