JP4314800B2 - 熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超微細な組織を有する熱延鋼帯を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の軽量化、建築物の高層化等のニーズに対応し鋼材の高強度化が求められている。一般的に鋼材の強度を上げると靭性が低下するが、結晶粒微細化による強化の場合、靭性を低下させずに強度を向上させることが可能であり、種々の結晶粒微細化技術が提案されている。そして、大圧下加工を行うことにより結晶粒が微細化することが知られており、例えば平均粒径3〜4μm以下の超微細粒組織を得るためには、1パスで50%以上の圧下が必要であるといわれている。
【0003】
例えば、Ar3変態点以上の温度で、50%以上のアンビル圧縮加工を加え、ついで冷却することにより平均粒径3μm以下のフェライトを母相とする超微細組織鋼を製造する方法が示されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、熱延ままで粒径3〜4μmの微細粒のフェライト結晶組織を有する延性に優れた微細粒組織鋼材を製造する方法として、Ac3変態点以上の温度域から冷却する過程において熱間加工を加え、その終段において(Ar1+50℃)〜(Ar3+100℃)の温度域で実質的に1秒以内の間に1回または2回以上の合計減面率が50%以上95%以下となる熱間加工を加え、該熱間加工終了後20℃/秒以上2000℃/秒以下の冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却する方法が示されているものもある(例えば、特許文献2又は特許文献3参照。)。
【0005】
さらに、Ar3変態点近傍で合計圧下率80%以上の圧延を行い、微細粒高強度熱延鋼帯を製造する方法が示されているものもある(例えば、特許文献4参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−92861号公報
【0007】
【特許文献2】
特公昭62−7247号公報
【0008】
【特許文献3】
特公昭62−39228号公報
【0009】
【特許文献4】
特開昭58−123823号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
通常、熱延鋼帯の製造プロセスでは、加熱炉にて再加熱された、あるいは連続鋳造ラインから直接搬送されたAr3点以上の高温のスラブを、1台、あるいは複数台の圧延スタンドから構成される粗圧延機における多パス圧延からなる粗圧延工程にて30〜50mm程度の厚さの粗バーに減厚した後、複数の圧延スタンドによる連続圧延である仕上圧延工程にて数mmの板厚まで減厚し、その後の冷却工程を経てコイラーに巻取っている。
【0011】
この通常の熱延鋼帯の製造ラインにおいて、超微細粒組織を有する熱延鋼帯を製造することを考えた場合、例えば前述の特許文献1のごとく、従来技術では仕上圧延工程で、特定の加工温度域にて大圧下を加えているものがほとんどである。しかしながら、熱延鋼帯の最終板厚は数mm程度であることから、仕上圧延工程中のいずれかの圧延スタンドにて1パス大圧下を加えた場合、大圧延荷重により圧延ロールに大きな曲げたわみが発生する。このため、圧延材の板厚プロフィルが板幅方向の中心部で厚く板幅端に向けて板厚が減少する凸型の断面形状、いわゆる板クラウンが非常に大きくなるとともに、耳波あるいは中伸びなどの板形状不良が発生しやすくなる。また、このような大圧下圧延を行うためには、駆動系を含め、大圧延荷重、大トルクに耐える圧延機が必要であり、また、必要な圧延仕上温度を確保するため、さらには生産性を落とさないためには、大容量モーターによる高速圧延が必要となって、一般的な仕様の圧延設備での実施は非常に困難である。
【0012】
また、特許文献1に示されたアンビル圧縮による断続的な大圧下手法は、通常、毎分数百メートル〜千数百メートルの速度で仕上圧延される熱延鋼帯の製造プロセスと比較し、生産性が非常に低く、かつ長手方向に均一な板厚を得ることが困難であることから、数mmの最終板厚に仕上げる熱延鋼帯の仕上圧延設備としては不適切である。
【0013】
また、これらの従来技術では、大圧下を積極的に行ったとしても、実際の熱延鋼帯の製造プロセスにて製造可能な最終フェライト粒径は3μm程度が限界であった。
【0014】
さらに、近年、熱延鋼帯の製造方法において、最終的に超微細なフェライト組織を有する熱延鋼帯を製造するためには、仕上圧延工程入側、つまり粗バー段階でのオーステナイト結晶粒をできるだけ細かくすることが重要であることが報告されている。
【0015】
しかしながら、通常一般の熱延鋼帯の製造工程では、1台、または複数台の圧延スタンドから構成される粗圧延機を用いて多パス圧延を行う粗圧延工程にてスラブを30〜50mm程度の厚さの粗バーに減厚する際、1パスでの圧下率は高々30%であり、かつ各々のパス間も数秒から数十秒と非常に長くならざるを得ない。すなわち、1パスの圧下率が小さいために、圧延加工にて誘起される動的あるいは静的な再結晶により細粒組織を得ることは困難であり、更に高温の状態で保持されることより各パス間での粒成長速度も非常に速い。通常、粗圧延工程と仕上圧延工程の間では、粗バーは1分程度の間、950〜1100℃程度の高温の状態に置かれており、仕上圧延直前の粗バーでのオーステナイト粒径は50〜100μm程度となる。このような大きさの初期オーステナイト粒から仕上圧延を開始した場合、最終仕上圧延パス直後にて得られるオーステナイト粒径は20μm程度までしか小さくならず、その後の冷却によって生じる変態後フェライト粒径は3〜10μm程度である。
【0016】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、板厚プロフィルと板形状を悪化させることなく、最終フェライト粒径が3μm以下となる超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を安定して製造することができる熱延鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、超微細粒組織を有する熱延鋼帯を製造するため、仕上圧延前のオーステナイト粒径の細粒化に着目した。そして、粗圧延工程での1パス大圧下により細かな再結晶オーステナイト粒を析出させ、その直後に急速冷却をほどこすことにより、大圧下加工にて析出した細粒組織を凍結することができることを着想した。つまり、この方法によれば、1パス大圧下による結晶粒細粒化効果の他、粗圧延工程から仕上圧延工程の間の粒成長の抑制効果も得られる。
【0018】
通常の熱延鋼帯の製造ラインにおける粗圧延工程、つまり、被圧延材の板厚が厚い段階において、1パスにて50%以上の圧下率を実現することは、圧延ロールと材料間の摩擦によって成り立っている圧延ロールによる通常の圧下方法では圧延ロールへの噛込み限界が存在するために困難である。そして、これを実現するためには、非常に大きなロール径を有する圧延機が必要となり、現実的ではない。これに対し、鍛造型の板厚圧下装置(以下、板厚圧下プレス装置という)による圧下であれば、圧下率50%以上の圧下も実現可能であり、粗圧延においては仕上圧延ほどの高速加工は必要でないので、粗圧延工程での1パス大圧下には大変好ましい。
【0019】
一方、外部からの加熱または加工によって自発的に生じる加工発熱によってフェライト→オーステナイトの逆変態を誘起することにより、微細なオーステナイト粒が得られることが知られている。
【0020】
そこで、本発明者等は、粗圧延工程(工程(A))直後に急速冷却を施されて(工程(B))細粒フェライト組織となった粗バーを、仕上圧延工程(工程(D))入側にて急速加熱する(工程(C))ことによりフェライト→オーステナイトの逆変態を誘起させ、仕上圧延の初期オーステナイト組織を細粒化させることができることを着想した。
【0021】
本発明者等は、上記粗圧延工程での大圧下と、この逆変態を利用した加工熱処理とを組み合わせることにより、仕上圧延入側にて粒径20μm以下の初期オーステナイト粒をもつ粗バーを得ることが可能であり、かつ、このような初期オーステナイト粒径をもつ粗バーを直ちに所定の圧下率以上で仕上圧延し(工程(D))、その直後に急速冷却を施す(工程(E))ことにより、従来の限界であった3μm以下の超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を製造できることを知見した。
【0022】
本発明はこれらの知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。
【0024】
(1)熱間スラブに板厚方向の圧下を加えて粗バーとする工程(A)と、該粗バーを冷却する工程(B)と、前記冷却した粗バーを加熱する工程(C)と、前記加熱した粗バーに板厚方向の圧下を加えて鋼帯とする工程(D)と、該鋼帯を冷却する工程(E)とからなる熱延鋼帯の製造方法であって、前記工程(A)は、Ar3変態点以上の温度にて、熱間スラブに1パス又は複数パスの板厚方向の圧下を加え、且つ前記パスの少なくとも最後のパスの1回あたりの圧下率を50%以上として粗バーとする工程、前記工程(B)は、前記工程(A)の後、直ちに15℃/秒を超える冷却速度にて前記粗バーをAr1変態点以下の温度に冷却する工程、前記工程(C)は、前記工程(B)の後、前記冷却した粗バーをAc3変態点以上に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させる工程、であることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0025】
)熱間スラブに板厚方向の圧下を加えて粗バーとする工程(A)と、該粗バーを冷却する工程(B)と、前記冷却した粗バーを加熱する工程(C)と、前記加熱した粗バーに板厚方向の圧下を加えて鋼帯とする工程(D)と、該鋼帯を冷却する工程(E)とからなる熱延鋼帯の製造方法であって、前記工程(A)は、Ar3変態点以上の温度にて、熱間スラブに1パス又は複数パスの板厚方向の圧下を加え、且つ前記パスの少なくとも最後のパスの1回あたりの圧下率を50%以上として粗バーとする工程、前記工程(B)は、前記工程(A)の後、直ちに15℃/秒を超える冷却速度にて前記粗バーをAr1変態点以下の温度に冷却する工程、前記工程(C)は、前記工程(B)の後、前記冷却した粗バーをAc3変態点以上に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させる工程、前記工程(D)は、前記工程(C)の後、前記加熱した粗バーに直ちに総圧下率で50%以上の板厚方向の圧下を加えて鋼帯とする工程、前記工程(E)は、前記工程(D)の後、直ちに50℃/秒以上の冷却速度にて鋼帯を冷却する工程、であることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0026】
)工程(A)において1回あたりの圧下率を50%以上とする板厚方向の圧下を加える手段として、熱間スラブを上下の金型で圧下する鍛造型圧下装置を用いることを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0027】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の実施に供される熱延鋼帯の製造設備列の一実施形態を示す説明図で、連続鋳造設備にて鋳造されたスラブから熱延鋼帯を製造する設備である。
【0028】
図3に示す熱延鋼帯の製造設備は、連続鋳造装置1により鋳造された、または鋳造後、加熱炉2にて再加熱されたスラブ3を所定の板厚に圧延する粗圧延機4と、引き続きこのスラブ3に対して1回当たりの圧下率が50%以上の板厚方向の圧下を加えることができる板厚圧下プレス装置5と、板厚圧下プレス直後の粗バーに急速冷却を施す急速冷却装置6aと、粗バーに所定の温度まで急速加熱を施す急速加熱装置7と、該粗バーを所定の板厚まで減厚する仕上圧延機8と、仕上圧延直後の熱延鋼帯に所定の温度まで急速冷却を施す急速冷却装置6bと、急速冷却後の熱延鋼帯の巻取り温度を調整するための冷却装置9と、熱延鋼帯を巻取るためのコイラー10とを備えている。
【0029】
前記板厚圧下プレス装置5は、スラブ3を挟んでその上下に設けられた金型を開閉するプレス動作をスラブを順次送り出しながら繰返し行い、スラブの全長を所望の厚さへ加工する装置である。このような板厚圧下プレス装置によれば、圧延ロールを用いた従来の粗圧延とは異なり、1回当たりの圧下率が70%程度の大圧下も可能である。本発明では、1回当たりの圧下率が50%以上の大圧下が可能な板厚圧下プレス装置を、1台または複数台設ける。
【0030】
前記粗圧延機4は、1台または複数台の圧延機によりスラブを所定の厚さへ圧延するものであり、板厚圧下プレス装置5の上流側に設けられる。ただし、板厚圧下プレス装置5のみを使用して、スラブ3から所定厚さの粗バーへの圧下が可能な場合には、特に設置しなくてもよい。また、粗圧延機4と板厚圧下プレス装置5の間には、特に被圧延材の尾端部の温度低下を防止するための保熱カバー等を設置することが望ましい。
【0031】
前記急速冷却装置6aは、板厚圧下プレス装置5での大圧下直後の急速冷却を行う装置である。この急速冷却装置6aは、極力板厚圧下プレス装置5の出側直近に配置することが望ましい。
【0032】
前記急速加熱装置7としては、短時間で粗バーを急速加熱できるように、通常、温度制御性のよい誘導加熱装置が用いられる。また、粗バーのエッジを加熱するため急速加熱装置7に隣接してエッジヒーターを設置してもよい。そして、粗バー急速冷却装置6aと急速加熱装置7の間には、特に粗バー尾端部の温度低下を防止するための保熱カバーまたはコイルボックスを設置することが望ましい。更に、急速加熱装置7での加熱出力の制御は、温度計11a、11bにより計測された粗バーの表面温度から断面平均温度を算出し、粗バー全長および全厚に亘りAc3変態点以上となるように、且つ、仕上圧延でのパススケジュールと圧延速度を考慮して、仕上圧延機出口にて所定の仕上温度が確保できるように、粗バーの先端から尾端にかけて加熱出力を調整すればよい。
【0033】
前記冷却装置6bは、仕上圧延機直後での急速冷却を行うための装置であり、極力仕上圧延機8の出側直近に配置することが望ましい。
【0034】
また、材質調整の観点からは、コイラー10に巻取る際の温度も重要であり、図3の実施形態では、コイラー10の直前に巻取り温度調整用の冷却装置9を配置している。
【0035】
以下、上記装置構成を用いた本発明法の一実施形態を図1の圧延材温度推移線図をもとに説明する。
【0036】
連続鋳造後のスラブ3は、通常、約200〜300mmの板厚であり、図3の実施形態では、連続鋳造装置1から直送された、または加熱炉2にてAc3変態点以上の温度(通常は1100〜1250℃)に再加熱されたスラブを用いる。
【0037】
まず、工程(A)では、Ar3変態点以上の温度において、前記のスラブに対して、粗圧延機4により1パスまたは複数パスの圧下を加えて例えば100mm程度の板厚に減厚する。そして、さらに板厚圧下プレス装置5にて1回当たりの圧下率が50%以上の板厚方向の圧下を加え(プレス加工)、板厚が30〜50mm程度の粗バーとする。なお、工程(A)では、圧下量や圧下によって与えられる歪分布の均一度等を考慮して、粗圧延機4による圧延パス数や、板厚圧下プレス装置5による板厚圧下プレス加工を行うパス数が決定される。また、これらのパス数は、粗圧延機4や板厚圧下プレス装置5の設置台数や、リバースさせる回数により調整することができる。
【0038】
ただし、本実施形態では、少なくとも工程(A)における最後のパスは、Ar3変態点以上の温度において板厚圧下プレス装置5にてスラブに1回あたりの圧下率が50%以上の圧下を加える。本発明の細粒化機構は、オーステナイトの再結晶現象を利用するため、Ar3変態点以上であることが必要であるし、結晶粒の細粒化には大歪を加えることが有効であり、50%未満の圧下では細粒化効果が小さいからである。また、このような圧下を工程(A)の少なくとも最後のパスで行うのは、50%以上の板厚方向の圧下を加えて結晶粒を細粒化した後、直ちに工程(B)における急速冷却を行うためである。
【0039】
次に、工程(B)では、この粗バーを板厚圧下プレス装置5出側直近に設置された急速冷却装置6aを用い、被圧延材のAr1変態点以下の温度に急速冷却する。ここで、被圧延材をAr1変態点以下の温度に急速冷却するのは、プレス加工後の組織はオーステナイトであるので、引き続き行う工程(C)で逆変態を利用するためにはAr1変態点以下の温度に急速冷却してフェライトに変態させる必要があるからである。冷却速度が速いほど、変態析出するフェライトの析出核の数が多くなり、フェライト粒径も小さくなる。また、冷却速度が速いほど粒成長も妨げるため、15℃/秒を超える冷却速度とすることが好ましい。
【0040】
以上説明したような工程(A)および工程(B)を経ることにより、細粒フェライト組織を有する粗バーを得ることができる。
【0041】
更に、工程(C)ではAr1変態点以下の温度のまま仕上圧延機8の入側まで搬送された粗バーを、急速加熱装置7にて被圧延材のAc3変態点以上の温度に急速加熱を行う。これにより、フェライトからオーステナイトへの逆変態が誘起され、細粒オーステナイト組織を得ることができる。なお、工程(C)は、仕上圧延工程(工程D)の直前に行うのが好ましい。仕上圧延工程までの時間が長くなると、逆変態により生じた細粒オーステナイト組織が粒成長により粒径が増大してしまうためである。
【0042】
以上説明したような工程(A)〜工程(C)を経ることにより、仕上圧延前の初期オーステナイト組織を細粒化させることができる。
【0043】
引き続き、工程(D)では、仕上圧延機8にて所定の仕上板厚までの減厚を行う。工程(D)では、仕上板厚への圧下量等に応じて、1台の圧延スタンドからなる仕上圧延機にて仕上圧延する場合もあるし、複数台の圧延スタンドからなる仕上圧延機にて仕上圧延する場合もあるが、どちらにしても総圧下率で50%以上の板厚方向の圧下を加える。
【0044】
そして、工程(E)において仕上圧延機8出側直近に位置する急速冷却装置6bにて50℃/秒以上の冷却速度にて急速冷却を行い、その後冷却装置9にて所定の巻取り温度となるように調整冷却を行い、コイラー10にて巻取る。この時、急速冷却装置6bによる冷却速度を50℃/秒以上とするのは、急速冷却することにより粒径の小さなフェライトを変態析出させるためである。また、冷却装置9による調整冷却は必ずしも必要ではなく、急速冷却装置6bにて材質造り込み上に必要である所定の温度への冷却が可能である場合には、急速冷却後に直接巻取ってもよい。
【0045】
図2は、熱延鋼帯の製造プロセスにおける結晶粒径の変化を示す図である。本図は、材料のミクロ組織の変化を、加工による温度、ひずみの変化や時間の関数として記述したシミュレーションプログラムにより得られた計算結果に基づくものである。
【0046】
上記で説明した本発明法による熱延鋼帯の製造の一例としての計算条件は、以下の通りである。すなわち、図3に示す熱延鋼帯の製造設備列を用いて、厚さ250mmの低炭素鋼スラブ3を加熱炉2にて1100℃に加熱する。そして、このスラブ3に粗圧延機4による3パスの圧下を加えて100mmまで減厚し、さらに板厚圧下プレス装置5にて1回あたりの圧下率が70%の圧下を加えて30mmまで減厚して粗バーとする(工程(A))。次に、板厚圧下プレス装置5による圧下直後に、急速冷却装置6aにより30℃/秒の冷却速度にて本材料のAr1変態点以下である700℃まで冷却し(工程(B))、この粗バーに急速加熱装置7により70℃/秒の昇温速度にて本材料のAc3変態点以上である900℃まで急速加熱を行って逆変態を生じさせる(工程(C))。そして、仕上圧延機8にて板厚2mm(仕上圧延総圧下率93%)まで減厚し(工程(D))、仕上圧延が終了直後、急速冷却装置6bにより200℃/秒の冷却速度にて600℃まで急速冷却を行い(工程(E))、コイラー10で巻取る。
【0047】
これに対し、比較例としての計算条件は、以下の通りである。すなわち、本発明例と同様に厚さ250mmの低炭素鋼スラブ3を加熱炉2にて1100℃に加熱する。そして、本発明例の工程(A)にかえて、このスラブ3に粗圧延機4による7パスの圧下を加えて30mmまで減厚して粗バーとする。なお、この粗バーに対する急速冷却(本発明例の工程(B))、および急速加熱(本発明例の工程(C))は行わない。そして、本発明例と同様に、仕上圧延機8にて板厚2mm(仕上圧延総圧下率93%)まで減厚し、仕上圧延が終了直後、200℃/秒の冷却速度にて600℃まで急速冷却を行い、コイラー10で巻取る。
【0048】
以上の条件による計算の結果、図2に示すように、粗圧延機入側で約210μmであるスラブのオーステナイト平均粒径は、本発明の工程(A)〜(C)を経ることにより、仕上圧延機入側で平均粒径約10μmまで細粒化される。そして、さらに工程(D)〜(E)を経ることにより、約1〜2μmの超微細なフェライト結晶組織を有する熱延鋼帯が得られることがわかる。一方、本発明の工程(A)〜(C)を経ない比較例では、仕上圧延機入側での平均粒径は約80μm程度となり、その後本発明例の工程(D)〜(E)と同じ条件を経ても、平均粒径約8μm程度のフェライト組織しか得られないことがわかる。
【0049】
このように、本発明の製造方法によれば、従来の製造方法と比較して、仕上圧延機入側における粗バーの結晶粒径が細粒となり、さらに結晶粒径が超微細な熱延鋼帯が得られることが判る。
【0050】
【実施例】
上述したシミュレーション計算に用いたプロセスを実施して、熱延鋼帯を製造した。また、同様に比較例についても上述したシミュレーション計算に用いたプロセスを実施して、熱延鋼帯を製造した。
【0051】
室温まで冷却後の熱延鋼帯の組織を調べたところ、従来の粗圧延方法による比較例の熱延鋼帯では平均粒径約8μm程度のフェライト組織となっていたのに対し、本発明法により製造された熱延鋼帯は約1〜2μmの超微細なフェライト結晶組織を有することがわかり、本発明法の効果が確認できた。
【0052】
また、板プロフィルや板形状を悪化させることなく、熱延鋼帯の製造を安定して行うことができた。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来製造が困難であった粒径3μm以下の超微細なフェライト組織を有する熱延鋼帯を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱延鋼帯の製造方法の一実施形態における圧延材温度推移を示す説明図
【図2】熱延鋼帯の製造プロセスにおける結晶粒径の変化を示す説明図
【図3】本発明の実施に供される熱延鋼帯の製造設備列の一実施形態を示す説明図
【符号の説明】
1 連続鋳造装置
2 加熱炉
3 スラブ
4 粗圧延機
5 板厚圧下プレス装置
6a、6b 急速冷却装置
7 急速加熱装置
8 仕上圧延機
9 冷却装置
10 コイラー
11a、11b 温度計

Claims (3)

  1. 熱間スラブに板厚方向の圧下を加えて粗バーとする工程(A)と、該粗バーを冷却する工程(B)と、前記冷却した粗バーを加熱する工程(C)と、前記加熱した粗バーに板厚方向の圧下を加えて鋼帯とする工程(D)と、該鋼帯を冷却する工程(E)とからなる熱延鋼帯の製造方法であって、
    前記工程(A)は、Ar3変態点以上の温度にて、熱間スラブに1パス又は複数パスの板厚方向の圧下を加え、且つ前記パスの少なくとも最後のパスの1回あたりの圧下率を50%以上として粗バーとする工程、
    前記工程(B)は、前記工程(A)の後、直ちに15℃/秒を超える冷却速度にて前記粗バーをAr1変態点以下の温度に冷却する工程、
    前記工程(C)は、前記工程(B)の後、前記冷却した粗バーをAc3変態点以上に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させる工程、
    であることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
  2. 熱間スラブに板厚方向の圧下を加えて粗バーとする工程(A)と、該粗バーを冷却する工程(B)と、前記冷却した粗バーを加熱する工程(C)と、前記加熱した粗バーに板厚方向の圧下を加えて鋼帯とする工程(D)と、該鋼帯を冷却する工程(E)とからなる熱延鋼帯の製造方法であって、
    前記工程(A)は、Ar3変態点以上の温度にて、熱間スラブに1パス又は複数パスの板厚方向の圧下を加え、且つ前記パスの少なくとも最後のパスの1回あたりの圧下率を50%以上として粗バーとする工程、
    前記工程(B)は、前記工程(A)の後、直ちに15℃/秒を超える冷却速度にて前記粗バーをAr1変態点以下の温度に冷却する工程、
    前記工程(C)は、前記工程(B)の後、前記冷却した粗バーをAc3変態点以上に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させる工程、
    前記工程(D)は、前記工程(C)の後、前記加熱した粗バーに直ちに総圧下率で50%以上の板厚方向の圧下を加えて鋼帯とする工程、
    前記工程(E)は、前記工程(D)の後、直ちに50℃/秒以上の冷却速度にて鋼帯を冷却する工程、
    であることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
  3. 工程(A)において1回あたりの圧下率を50%以上とする板厚方向の圧下を加える手段として、熱間スラブを上下の金型で圧下する鍛造型圧下装置を用いることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
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