JP5118111B2 - 防火性樹脂サッシ - Google Patents
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Description
そこで、次に登場したのが特許文献2に係る「防火性樹脂サッシ」であり、特許文献2には、合成樹脂製の枠体の長手方向における空洞内に熱膨張性耐火材と木質部材を挿入することにより、樹脂サッシの防火性と、樹脂サッシの軽量化と、施工の容易化とを図ることができ、更に型鋼部材を使用した場合でも、型鋼部材の結露による腐食を防止し得る旨が記載されている。
また、火災時の防火対策において重要なのは、枠体自体の防火性を高めて燃焼を遅らせることだけでなく、更に重要なのは火災時の熱による枠部材の変形等で、当該枠体によって支持されていた障子部や板ガラスが落下して室内に火が入り込むのを防止することである。
しかし、上記特許文献2には、上記障子部や板ガラスの落下を防止する対策は何ら開示されていない。
また、火山性ガラス質複層板は、珪酸カルシウム材等に比べて比重が小さいため、樹脂サッシの軽量化に寄与し、含水しにくいため結露しにくく、防腐性、防蟻性にも優れている。
尚、本発明に係る防火性樹脂サッシ1は、板ガラス15や障子部17が嵌め込まれる枠体13、29が塩化ビニルやアクリル等の合成樹脂材料によって形成されており、更に上記枠体13、29に防火性が付与されている建築用の建具材である。
第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aは、長手方向に延びる中空部3が形成された上枠部5と下枠部7と左右の側枠部9、11の4本の枠部材を周囲に配設した合成樹脂製の枠体13、上記枠体13によって周縁の三辺部が支持された板ガラス15と、上記枠体13によって周縁の三辺部が支持された障子部17と、を具備することによって基本的に構成されている。
尚、上記中空部3Dは室外側に宛がわれる取り外し可能な取付け枠14を枠体13と板ガラス15との室外側の接続部に取り付けることによって形成される。
また、開口部6が形成されている上記中空部3Bにはレール49が配設されており、一端が障子部17に連結された図示しない連結アームの他端が、上記開口部6を通って中空部3B内に進入して上記レール49に連結されるように構成されている。
また、上記中空部3Aの下方には家屋開口部35の下縁部38に上記枠体13を取り付けるための上枠部5と同様の取付け部4が設けられており、上記上枠部5と同様の家屋開口部固定部材41とビス43とを使用して家屋開口部35の下縁部38に固定されている。
そして、上記上枠部5と同様の家屋開口部固定部材41とビス43とを使用して家屋開口部35の右側の側縁部39に固定されている。
また、左側の側枠部9については図示を省略するが、上記右側の側枠部11と同様の構成を有している
尚、障子部17としては、他に両上げ下げ窓、引き違い窓、辷り出し窓、片引き窓、開き窓、FIX窓、内開き窓、外開き窓等、可動方式の異なる種々の可動窓が適用可能である。
尚、上記中空部19Dは室外側に宛がわれる取り外し可能な取付け枠20を枠体29と板ガラス31との室外側の接続部に取り付けることによって形成される。
そして、図3〜5に示すように上記枠体13の上枠部5と下枠部7と左右の側枠部9、11におけるそれぞれの中空部3Aと、上記障子部17における枠体29の上枠部21と下枠部23と左右の側枠部25、27のぞれぞれの中空部19Aに対して、本発明の特徴的な構成部材である火山性ガラス質複層板33が、角枠部材の長手方向に沿って各別に装填されている。
また、火山性ガラス質複層板33は、図3〜5に示すように中空部3、19に対して大きな隙間が形成されることなく装填されることが望ましい。
また、防腐性と防蟻性に優れており、防腐処理や防蟻処理が不要であり、更に、珪酸カルシウム材等と比較して比重が小さいため、防火性樹脂サッシ1Aの自重を軽減でき、自燃性がないため木材のように燃焼することがないという特性を有しているため、樹脂サッシに防火性を付与する装填材として最適な材料ということができる。
また、燃焼性材料である木質部材が設けられていないから延焼遅延効果の向上が図られ、比重の小さな火山性ガラス質複層板33を使用することによって防火性樹脂サッシ1Aの軽量化も図られる。
更に、火山性ガラス質複層板33は、含水しにくいため結露しにくく、防腐性と防蟻性に優れているから煩しい防腐処理や防蟻処理が不要であり、取り扱いが容易になる。
第2の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Bは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中空部3Aに対して上述した火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って幅広の熱膨張性耐火材51Aが装填されており、上記枠体13の小さめの中空部3Cに対して幅狭の熱膨張性耐火材51Bが同じく長手方向に沿って装填されている。
熱膨張性耐火材は、例えば、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物及び無機充填材の合計量が40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成され、樹脂組成物の成形体が好ましい。
樹脂成分としては、天然ゴムが一例として使用でき、他にイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、多加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂あるいは、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が使用可能である。
熱膨張性無機物としては、加熱して膨張する熱膨張性無機物であれば特に限定されないが、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛、ケイ酸金属塩、ホウ酸塩等が挙げられる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物に、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、熱膨張性耐火材51を装填する中空部3は、火山性ガラス質複層板33に直接、接する中空部3Aが最も効果的であるが、図示のように火山性ガラス質複層板33が装填されていない中空部3C等に対して装填したり、図示は省略するが、障子部17の枠体29側の中空部19に対して装填することも可能である。
第3の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Cは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中空部3Aに対して上述した火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って金属製補強材55が装填されている。
金属製補強材55としては、図8、9に示すような金属製平板が一例として使用でき、中空部3Aに対する金属製補強材55の装填位置は、図8に示す火山性ガラス質複層板33下方の板ガラス15側の間隙部53の他、図9(a)に示す火山性ガラス質複層板33上方の家屋開口部35側の間隙部53であってもよい。
また、金属製補強材55の装填位置は、中空部3A内の上記間隙部53の他、図9(c)に示すように火山性ガラス質複層板33を上下に2分して、その境界部57に装填したり、図9(d)、(e)に示すように上記境界部57と間隙部53の両方に金属製補強材55を装填することが可能である。
因みに、図10(a)では、火山性ガラス質複層板33の上下に1枚ずつ金属製補強材55を装填し、火山性ガラス質複層板33の左方の室外側の間隙部53に熱膨張性耐火材51を装填したものを図示している。
特に、上述した各変形例のうち、図9(d)、(e)のように火山性ガラス質複層板33を2分して金属製補強材55を複数枚装填したものは機械的強度が大きいことから、好適な実施の形態である。
第4の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Dは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中間部3Aに対して上述した第3の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Cと同様、火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って金属製補強材55が装填されている。
そして、上記枠体13と火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55は、鋲羅59によって上述した家屋開口部固定部材41の底辺部41aに対して連結された状態で一体に固定されている。
尚、本明細書において使用する鋲羅59は、ビス、ネジ、ボルト、釘等の止め具の総称である。
第5の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Eは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中間部3Aに対して上述した第3の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Cと同様、火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って金属製補強材55が装填されている。
また、上記枠体13と火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55は上述した第4の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Dと同様、鋲羅59によって上述した家屋開口部固定部材41の底辺部41aに対して連結された状態で一体に固定される。
また、上記受け部材61は、中空部3D内に配設される平板形状の側面受け部61aと、枠体13と板ガラス15によって挟まれた空間65に配設される平板形状の端面受け部61bとの二部材によって構成された断面L字形である。部材61aは室外側から取り付けられる短寸の鋲羅67によって固定されている。
因みに上記の側面受け部61aと端面受け部61bは、一体でもよく、また、別部材でもよい。別々の二部材によって構成すると、板ガラス15の取り付け、交換作業が円滑に行われるようになる。
また、図14(b)に示すように火山性ガラス質複層板33を上下に2分し、その境界部57に金属製補強材55を装填すると共に、中空部3A内の火山性ガラス質複層板33の下方の間隙部53に幅広の熱膨張性耐火材51A、中空部3C内に幅狭の熱膨張性耐火材51Bと、受け部材側面補強部材69と、を長手方向に沿ってそれぞれ装填する構成とすることも可能である。
また、図15に示すように断面L字形の2枚の端面受け部61a、61aを室内側と室外側の両方から宛がって重ね合わせ、鋲羅63によって一体に固定することによって断面コの字形の受け部材61として機能するように構成することも可能である。
更に、図15では鋲羅71によって、上記一方の端面受け部61aにおける板ガラス15の室内側側面に向けて折り曲げられた折曲げ部73と、上記受け部材側面補強部材69とが連結されており、受け部材61と受け部材側面補強部材69との一体化が図られている。
例えば、枠体13、29の形状は図示のような矩形枠形状に限らず、長円枠形状等、枠部材の一部または全部に湾曲した形状の枠部材を適用することも可能である。
また、複数ある枠部材のすべての中空部3、19に対して火山性ガラス質複層板33、熱膨張性耐火材51及び金属製補強材55を装填する他、枠体13、29の少なくとも一辺部に配設された枠部材の中空部3、19に対して部分的に火山性ガラス質複層板33、熱膨張性耐火材51及び金属製補強材55を装填する構成であってもよい。
この他、上記火山性ガラス質複層板33、熱膨張性耐火材51及び金属製補強材55に加えて従来使用されていた石膏ボード、シージングボードあるいは珪酸カルシウム材等の耐火材を装填したり、これらの耐火材を上記熱膨張性耐火材51や金属製補強材55と置換して使用することも可能である。
3 中空部
4 取付け部
5 上枠部
6 開口部
7 下枠部
9 左側の側枠部
11 右側の側枠部
13 枠体
14 取付け枠
15 板ガラス
17 障子部
19 中空部
21 上枠部
23 下枠部
25 左側の側枠部
27 右側の側枠部
29 枠体
30 取付け枠
31 板ガラス
33 火山性ガラス質複層板(火山性ガラス質複層板)
35 家屋開口部
37 上縁部
38 下縁部
39 側縁部
41 家屋開口部固定部材
41a 底辺部
43 ビス
45 面格子
47 クレセント錠
49 レール
51 熱膨張性耐火材
53 間隙部
55 金属製補強材
57 境界部
59 鋲羅
61 受け部材
61a 側面受け部
61b 端面受け部
63 鋲羅
65 空間
67 鋲羅
69 受け部材側面補強部材
71 鋲羅
73 折曲げ部
Claims (6)
- 長手方向に延びる中空部が形成された複数本の合成樹脂製部材を備えた防火性樹脂サッシにおいて、
少なくとも一つの前記部材の中空部内には、火山性ガラス質複層板及び熱膨張性耐火材が共に装填されていることを特徴とする防火性樹脂サッシ。 - 長手方向に延びる中空部が形成された複数本の合成樹脂製部材を備えた防火性樹脂サッシにおいて、
少なくとも一つの前記部材の中空部内には、火山性ガラス質複層板及び金属製補強材が共に装填されていることを特徴とする防火性樹脂サッシ。 - 火山性ガラス質複層板が装填されている前記部材の中空部内には、当該部材の長手方向に沿って金属製補強材及び熱膨張性耐火材が共に装填されていることを特徴とする請求項1または2記載の防火性樹脂サッシ。
- 前記火山性ガラス質複層板と、熱膨張性耐火材及び金属製補強材のいずれか一方または双方は、鋲羅によって連結された状態で固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防火性樹脂サッシ。
- 前記樹脂サッシは、板ガラス又は障子部のいずれか一方または双方と、枠体とを備え、
前記枠体、前記板ガラス、前記障子部の少なくとも1つには、室内側と室外側のいずれか一方または双方から取り付けられる受け部材が設けられており、
前記火山性ガラス質複層板と、熱膨張性耐火材及び金属製補強材のいずれか一方または双方は、鋲羅によって前記受け部材と連結された状態で固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防火性樹脂サッシ。 - 前記受け部材は、断面L字形の二部材を室内側と室外側の両方から宛がって重ね合わせ、鋲羅によって一体に固定することによって断面コの字形の受け部材として構成されていることを特徴とする請求項5記載の防火性樹脂サッシ。
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