JP5357318B2 - 防火性樹脂サッシ - Google Patents

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Description

本発明は、住宅等の開口部に取り付けられる枠体が合成樹脂製の樹脂サッシに係り、特に防火性と延焼遅延効果に優れた防火性樹脂サッシに関する。
従来、住宅用サッシは、枠体がアルミニウム製のアルミサッシが主流であった。最近では枠体が合成樹脂製の樹脂サッシが用いられるようになってきており、樹脂サッシの有する優れた断熱性と防音性から特に寒冷地を中心に樹脂サッシが普及してきている。そして、上記樹脂サッシは、断熱性に優れていることから結露しにくく、居住性を向上させることができる反面、防火性が低いという欠点を有している。
そこで、登場したのが特許文献1に係る「サッシ材」であり、特許文献1では、合成樹脂製の窓枠や窓框を用い、これらの内部の中空部に種々の耐火材を充填することによって防火性を向上させたサッシ材が開示されている。そして、耐火材の具体例として型鋼部材あるいは石綿、石灰及び珪酸を含有する珪酸カルシウム板等の不燃材や炭酸カルシウム発泡建材等の燃焼焼結材などの耐火性資材が挙げられている。
しかし、上記特許文献1に係るサッシ材は重量が重くなり、製造工程が煩雑になるため作業に時間が掛かり、上記窓枠や窓框の内部に結露が生じ易すいため、型鋼部材が腐食し易すいという欠点を有していた。
そこで、次に登場したのが特許文献2に係る「防火性樹脂サッシ」であり、特許文献2には、合成樹脂製の枠体の長手方向における空洞内に熱膨張性耐火材と木質部材を挿入することにより、樹脂サッシの防火性と、樹脂サッシの軽量化と、施工の容易化とを図ることができ、更に型鋼部材を使用した場合でも、型鋼部材の結露による腐食を防止し得る旨が記載されている。
特開平2−140383号公報 特開2005−9305号公報
しかし、上記特許文献2に係る防火性樹脂サッシの場合には、樹脂サッシの軽量化を図る手段として採用している木質部材が燃焼性材料であるため、延焼遅延効果の大幅な向上は期待できない。
また、火災時の防火対策において重要なのは、枠体自体の防火性を高めて燃焼を遅らせることだけでなく、更に重要なのは火災時の熱による枠部材の変形等で、当該枠体によって支持されていた障子部や板ガラスが落下して室内に火が入り込むのを防止することである。
しかし、上記特許文献2には、上記障子部や板ガラスの落下を防止する対策は何ら開示されていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、樹脂サッシの長所である優れた断熱性と防音性を維持し、結露による金属製部材の腐食を防止すると共に、枠体自体の防火性と、障子部と板ガラスの保持強度とを向上させて優れた延焼遅延効果を発揮することができる製造が容易で軽量かつ機械的強度に優れた防火性樹脂サッシを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の防火性樹脂サッシは、長手方向に延びる中空部が形成された複数本の合成樹脂製部材を備えた樹脂サッシにおいて、少なくとも一つの部材の中空部内には、当該部材の長手方向に沿って火山性ガラス質複層板が装填されていることを特徴とするものである。
また、本発明の防火性樹脂サッシは、上記の防火性樹脂サッシにおいて、火山性ガラス質複層板が装填されている前記部材の中空部内には、当該部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材が共に装填されていることを特徴とするものである。
さらに、本発明の防火性樹脂サッシは、上記いずれかに記載の防火性樹脂サッシにおいて、火山性ガラス質複層板が装填されている前記部材の中空部内には、当該部材の長手方向に沿って金属製補強材が共に装填されていることを特徴とするものである。
なお、本発明の防火性樹脂サッシは、上記いずれかに記載の防火性樹脂サッシにおいて、前記火山性ガラス質複層板と、熱膨張性耐火材及び金属製補強材のいずれか一方または双方は、鋲羅によって連結された状態で固定されていることを特徴とすることができる。
また、本発明の防火性樹脂サッシは、上記いずれかに記載の防火性樹脂サッシにおいて、前記樹脂サッシは、板ガラス又は障子部のいずれか一方または双方と、枠体とを備え、前記枠体、前記板ガラス、前記障子部の少なくとも1つには、室内側と室外側のいずれか一方または双方から取り付けられる受け部材が設けられており、前記火山性ガラス質複層板と、熱膨張性耐火材及び金属製補強材のいずれか一方または双方は、鋲羅によって前記受け部材と連結された状態で固定されていることを特徴とするものである。
さらに、本発明の防火性樹脂サッシは、前記の防火性樹脂サッシにおいて、前記受け部材は、断面L字形の二部材を室内側と室外側の両方から宛がって重ね合わせ、鋲羅によって一体に固定することによって断面コの字形の受け部材として構成されていることを特徴とするものである。
なお、本発明の防火性樹脂サッシは、上記いずれかに記載の防火性樹脂サッシにおいて、前記火山性ガラス質複層板は、白土、シラス等の火山性ガラス質材料にフライアッシュを混和し、ロックウールやグラスウールで強化したものを板状に成形した火山性ガラス質複層板であることを特徴とするものである。
本発明では、部材の中空部内に長手方向に沿って不燃性の火山性ガラス質複層板が装填されているから、合成樹脂製の部材の有する断熱性と防音性に加えて、防火性が向上する。また、燃焼性材料である木質部材が設けられていないから延焼遅延効果の向上も図られる。
また、火山性ガラス質複層板は、珪酸カルシウム材等に比べて比重が小さいため、樹脂サッシの軽量化に寄与し、含水しにくいため結露しにくく、防腐性、防蟻性にも優れている。
また、上記火山性ガラス質複層板に加えて熱膨張性耐火材を中空部内に装填した場合には、熱膨張性耐火材の有する火災時の体積膨張作用によって、焼失した部分が膨張した断熱層によって埋められ、空気の通り道が塞がれるため焼失部分からの出火を抑えることができる。従って、上記火山性ガラス質複層板との併用によって一層の防火性の向上が図られる。
更に、上記火山性ガラス質複層板に加えて金属製補強材を中空部内に装填した場合には、金属製補強材の有する機械的強度によって、火災時に樹脂サッシに何らかの機械的衝撃が加わった場合でも火山性ガラス質複層板への衝撃の伝搬を防止して火山性ガラス質複層板や樹脂サッシ全体の破壊・焼失を防止することができる。
また、火山性ガラス質複層板と、熱膨張性耐火材及び金属製補強材のいずれか一方または双方が、鋲羅によって連結された状態で固定されている場合には、火災時の熱によって部材の変形等が生じても火山性ガラス質複層板と熱膨張性耐火材と金属製補強材との一体化によって板ガラスないし障子部を支えることができるから、ガラス板ないし障子部の落下を遅らせて延焼を防止ないし遅延させることが可能になる。
また、樹脂サッシが、板ガラス又は障子部のいずれか一方または双方と、枠体とを備え、前記枠体、前記板ガラス、前記障子部の少なくとも1つには、室内側と室外側のいずれか一方または双方から取り付けられる受け部材が設けられており、前記火山性ガラス質複層板と、熱膨張性耐火材及び金属製補強材のいずれか一方または双方が、鋲羅によって前記受け部材と連結された状態で固定されている場合には、火災時の熱によって枠部材の変形等が生じても火山性ガラス質複層板と熱膨張性耐火材と金属製補強材との一体化によって受け部材を支えることができるから、ガラス板ないし障子部の落下を遅らせて延焼を防止ないし遅延させることが可能になる。
また、前記受け部材を断面L字形の二部材を室内側と室外側の両方から宛がって重ね合わせ、鋲羅によって一体に固定することによって断面コの字形の受け部材として機能するように構成した場合には、板ガラスないし障子部の室内側と室外側を個別に保持する断面L字形の受け部材を2個使用して板ガラスないし障子部を確実に保持することが可能になり、樹脂サッシの延焼遅延効果を一層、向上させることが可能になる。
また、火山性ガラス質複層板として白土、シラス等の火山性ガラス質材料にフライアッシュを混和し、ロックウールやグラスウールで強化したものを板状に成形した火山性ガラス質複層板を適用した場合には、種類の違う種々の樹脂サッシに適用でき、当該樹脂サッシの防火性を向上させて、効率良く低コストで樹脂サッシを製造できるようになる。
本発明の第1の実施の形態を示す図で、防火性樹脂サッシの室外側からの全体外観図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、防火性樹脂サッシの室内側からの全体外観図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1中のA−A断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1中のB−B断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1中のC−C断面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第2の実施の形態の変形例を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第3の実施の形態を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第3の実施の形態の変形例を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第3の実施の形態の他の変形例を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第4の実施の形態を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第4の実施の形態の変形例を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第5の実施の形態を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第5の実施の形態の変形例を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。 本発明の第5の実施の形態の変形例を示す図で、防火性樹脂サッシの上枠部周辺を破断して示す側断面図である。
以下、本発明に係る防火性樹脂サッシ1の構造と防火性樹脂サッシ1の作用、効果について、第1〜第5の5つの実施の形態を例にとって具体的に説明する。
尚、本発明に係る防火性樹脂サッシ1は、板ガラス15や障子部17が嵌め込まれる枠体13、29が塩化ビニルやアクリル等の合成樹脂材料によって形成されており、更に上記枠体13、29に防火性が付与されている建築用の建具材である。
(1)第1の実施の形態(図1〜5参照)
第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aは、長手方向に延びる中空部3が形成された上枠部5と下枠部7と左右の側枠部9、11の4本の枠部材を周囲に配設した合成樹脂製の枠体13、上記枠体13によって周縁の三辺部が支持された板ガラス15と、上記枠体13によって周縁の三辺部が支持された障子部17と、を具備することによって基本的に構成されている。
上枠部5は、図3に示すように周囲四面が密閉状態に囲まれた矩形断面の大きめの中空部3Aと、周囲三面が密閉状態に囲まれ、障子部17側に面した一面に開口部6が形成されている矩形断面の大きめの中空部3Bと、を室外側と室内側に隣接してそれぞれ配し、更に上記中空部3Aの下方の室内寄りに周囲四面が密閉状態に囲まれた矩形断面の小さめの中空部3Cと、上記中空部3Aの下方の室外寄りに室内側の一面を除く周囲三面が密閉状態に囲まれた矩形断面の小さめの中空部3Dと、を板ガラス15の上縁部を挟持するように所定の間隙を隔てて配設している。
尚、上記中空部3Dは室外側に宛がわれる取り外し可能な取付け枠14を枠体13と板ガラス15との室外側の接続部に取り付けることによって形成される。
また、上記中空部3Aの上方には家屋開口部35の上縁部37に上記枠体13を取り付けるための取付け部4が枠体13の上面から立ち上げられており、上記取付け部4の外方に宛がわれるL字形断面の家屋開口部固定部材41と共にビス43によって家屋開口部35の上縁部37に固定されている。
また、開口部6が形成されている上記中空部3Bにはレール49が配設されており、一端が障子部17に連結された図示しない連結アームの他端が、上記開口部6を通って中空部3B内に進入して上記レール49に連結されるように構成されている。
下枠部7は、図4に示すように上記上枠部5と同様の大きめの中空部3Aと、中空部3Bと、を室外側と室内側に隣接して備えており、中空部3Aの上方の室内寄りに上記上枠部5と同様の小さめの中空部3Cを備えている。
また、上記中空部3Aの下方には家屋開口部35の下縁部38に上記枠体13を取り付けるための上枠部5と同様の取付け部4が設けられており、上記上枠部5と同様の家屋開口部固定部材41とビス43とを使用して家屋開口部35の下縁部38に固定されている。
右側の側枠部11は、図5に示すように上記上枠部5と同様の大きめの中空部3A、3Bと、小さめの中空部3C、3Dと、を備えており、上記中空部3Aの外方には家屋開口部35の右側の側縁部39に上記枠体13を取り付けるための上記上枠部5と同様の取付け部4が設けられている。
そして、上記上枠部5と同様の家屋開口部固定部材41とビス43とを使用して家屋開口部35の右側の側縁部39に固定されている。
また、左側の側枠部9については図示を省略するが、上記右側の側枠部11と同様の構成を有している
障子部17は、本実施の形態では片上げ下げ窓を一例として適用しており、長手方向に延びる中空部19が形成された上枠部21と下枠部23と左右の側枠部25、27の4本の枠部材を周囲に配設した合成樹脂製の枠体29と、上記枠体29によって周縁の四辺部が支持された板ガラス31と、を具備することによって構成されている。
尚、障子部17としては、他に両上げ下げ窓、引き違い窓、辷り出し窓、片引き窓、開き窓、FIX窓、内開き窓、外開き窓等、可動方式の異なる種々の可動窓が適用可能である。
上記上枠部21と下枠部23と左右の側枠部25、27は、基本的に同様の構造を有しており、図4、5に示すように上記枠体13の中空部3Aと中空部3Cとの中間の大きさの周囲四面が密閉状態に囲まれた矩形断面の中空部19Aと、上記枠体13の中空部3C、3Dと同様の構造の小さめの中空部19C、19Dと、を備えることによって構成されている。
尚、上記中空部19Dは室外側に宛がわれる取り外し可能な取付け枠20を枠体29と板ガラス31との室外側の接続部に取り付けることによって形成される。
そして、図3〜5に示すように上記枠体13の上枠部5と下枠部7と左右の側枠部9、11におけるそれぞれの中空部3Aと、上記障子部17における枠体29の上枠部21と下枠部23と左右の側枠部25、27のぞれぞれの中空部19Aに対して、本発明の特徴的な構成部材である火山性ガラス質複層板33が、角枠部材の長手方向に沿って各別に装填されている。
火山性ガラス質複層板33は、白土、シラス等の火山性ガラス質材料を主原料とする不燃性材料であり、本実施の形態では上記火山性ガラス質材料にフライアッシュを混和し、ロックウールやグラスウールで強化したものを板状に成形した火山性ガラス質複層板33を使用している。
また、火山性ガラス質複層板33は、図3〜5に示すように中空部3、19に対して大きな隙間が形成されることなく装填されることが望ましい。
そして、このような火山性ガラス質複層板33は、木材や石膏ボードあるいはシージングボードと比較して透湿性能が極めて高く、含水しにくい性質を有しており、水に濡れても腐らず、結露しにくいという特性を有している。
また、防腐性と防蟻性に優れており、防腐処理や防蟻処理が不要であり、更に、珪酸カルシウム材等と比較して比重が小さいため、防火性樹脂サッシ1Aの自重を軽減でき、自燃性がないため木材のように燃焼することがないという特性を有しているため、樹脂サッシに防火性を付与する装填材として最適な材料ということができる。
この他、図示の防火性樹脂サッシ1Aには、上記板ガラス15、31の室内側と室外側のいずれか一面または両面に取り付けられる面格子45と、障子部17の動きを閉状態においてロックする一例として2個のクレセント錠47と、が設けられている。
そして、このような構造の防火性樹脂サッシ1Aを使用した場合には、合成樹脂製の枠体13、29の有する断熱性と防音性とによって快適な居住空間が形成される他、火災時には、上記火山性ガラス質複層板33の有する種々の特牲によって優れた防火性が発揮される。
また、燃焼性材料である木質部材が設けられていないから延焼遅延効果の向上が図られ、比重の小さな火山性ガラス質複層板33を使用することによって防火性樹脂サッシ1Aの軽量化も図られる。
更に、火山性ガラス質複層板33は、含水しにくいため結露しにくく、防腐性と防蟻性に優れているから煩しい防腐処理や防蟻処理が不要であり、取り扱いが容易になる。
(2)第2の実施の形態(図6、7参照)
第2の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Bは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中空部3Aに対して上述した火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って幅広の熱膨張性耐火材51Aが装填されており、上記枠体13の小さめの中空部3Cに対して幅狭の熱膨張性耐火材51Bが同じく長手方向に沿って装填されている。
熱膨張性耐火材51は、火災時等の高湿にさらされると、体積膨張して膨張断熱層を形成する材料であり、枠体13の焼失部分を上記膨張断熱層によって埋めるという機能を有している。
熱膨張性耐火材は、例えば、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物及び無機充填材の合計量が40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成され、樹脂組成物の成形体が好ましい。
樹脂成分としては、天然ゴムが一例として使用でき、他にイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、多加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂あるいは、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が使用可能である。
熱膨張性無機物としては、加熱して膨張する熱膨張性無機物であれば特に限定されないが、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛、ケイ酸金属塩、ホウ酸塩等が挙げられる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物に、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
尚、中空部3Aに対する熱膨張性耐火材51Aの装填位置は、図6に示す火山性ガラス質複層板33下方の板ガラス15側の間隙部53の他、図7(a)に示す火山性ガラス質複層板33右方の室内側の間隙部53であってもよいし、図7(b)に示す火山性ガラス質複層板33上方の家屋開口部35側の間隙部53であってもよい。また、図7(c)に示す火山性ガラス質複層板33左方の室外側の間隙部53であってもよいし、図7(d)及び図7(e)に示すようにこれらを組み合わせて複数の間隙部53に熱膨張性耐火材5
1Aを装填することが可能である。
また、図示は省略するが、熱膨張性耐火材51Aの幅寸法は、図6、7に示すように火山性ガラス質複層板33と同じ程度の幅寸法にする他、火山性ガラス質複層板33より幾分小さめの幅寸法にすることも可能である。
また、熱膨張性耐火材51を装填する中空部3は、火山性ガラス質複層板33に直接、接する中空部3Aが最も効果的であるが、図示のように火山性ガラス質複層板33が装填されていない中空部3C等に対して装填したり、図示は省略するが、障子部17の枠体29側の中空部19に対して装填することも可能である。
そして、このような構造の防火性樹脂サッシ1Bを使用した場合にも、上記第1の実施の形態の防火性樹脂サッシ1Aと同様の作用、効果が得られ、加えて熱膨張性耐火材51の有する火災時の体積膨張作用によって、焼失した部分が膨張した断熱層によって埋められ、空気の通り道が塞がれるため焼失部分からの出火を抑えるという効果が発揮される。従って、上記火山性ガラス質複層板33と熱膨張性耐火材51との相乗的効果によって、防火性樹脂サッシ1Bの一層の防火性の向上が図られる。
(3)第3の実施の形態(図8〜10参照)
第3の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Cは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中空部3Aに対して上述した火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って金属製補強材55が装填されている。
金属製補強材55は、火災時等において防火性樹脂サッシ1Cに何らかの機械的衝撃が加わった場合に、火山性ガラス質複層板33が破壊されることを防止し、板ガラス15や障子部17の落下を防止して防火性樹脂サッシ1Cの焼失を遅らせたり、軽減させるという機能を有している。
金属製補強材55としては、図8、9に示すような金属製平板が一例として使用でき、中空部3Aに対する金属製補強材55の装填位置は、図8に示す火山性ガラス質複層板33下方の板ガラス15側の間隙部53の他、図9(a)に示す火山性ガラス質複層板33上方の家屋開口部35側の間隙部53であってもよい。
また、金属製補強材55を複数枚使用することも可能であり、例えば図9(b)に示すように火山性ガラス質複層板33の上方と下方の2つの間隙部53に金属製補強材55を1枚ずつ火山性ガラス質複層板33を挟持するように装填することもできる。
また、金属製補強材55の装填位置は、中空部3A内の上記間隙部53の他、図9(c)に示すように火山性ガラス質複層板33を上下に2分して、その境界部57に装填したり、図9(d)、(e)に示すように上記境界部57と間隙部53の両方に金属製補強材55を装填することが可能である。
また、図10(a)〜(c)に示すように中空部3Aに対して火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55に加えて、上述した第2の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Bにおいて採用した熱膨張性耐火材51を装填することも可能である。
因みに、図10(a)では、火山性ガラス質複層板33の上下に1枚ずつ金属製補強材55を装填し、火山性ガラス質複層板33の左方の室外側の間隙部53に熱膨張性耐火材51を装填したものを図示している。
また、図10(b)では、火山性ガラス質複層板33における下方の間隙部53上部に火山性ガラス質複層板33に接しさせた状態で金属製補強材55を装填し、火山性ガラス質複層板33における下方の間隙部53の下部に熱膨張性耐火材51を装填したものを図示しており、図10(c)では、上記図10(b)の構成に加えて火山性ガラス質複層板33の左方の室外側の間隙部53にも熱膨張性耐火材51を装填したものを図示している。
更に、上記金属製補強材55は、図8、9及び図10(a)〜(c)に示すような平板形状に限られない。例えば図10(d)に示すような断面L字形の金属製補強材55であってもよいし、図10(e)に示すような断面コの字形や図10(f)に示すような断面ロの字形の金属製補強材55であっても構わない。
特に、上述した各変形例のうち、図9(d)、(e)のように火山性ガラス質複層板33を2分して金属製補強材55を複数枚装填したものは機械的強度が大きいことから、好適な実施の形態である。
そして、このような構造の防火性樹脂サッシ1Cを使用した場合にも、上記第1の実施の形態の防火性樹脂サッシ1Aや上記第2の実施の形態の防火性樹脂サッシ1Bと同様の作用、効果が得られ、加えて金属製補強材55の有する機械的強度によって、火災時に防火性樹脂サッシ1Cに何らかの機械的衝撃が加わった場合でも火山性ガラス質複層板33への衝撃の伝搬を防止して火山性ガラス質複層板33や防火性樹脂サッシ1C全体の破壊、焼失を防止することができる。
(4)第4の実施の形態(図11、12参照)
第4の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Dは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中間部3Aに対して上述した第3の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Cと同様、火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って金属製補強材55が装填されている。
そして、上記枠体13と火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55は、鋲羅59によって上述した家屋開口部固定部材41の底辺部41aに対して連結された状態で一体に固定されている。
また、枠体13の中間部3Aには、図12に示すように火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55に加えて、上述した熱膨張性耐火材51を装填し、上記鋲羅59によって枠体13と火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55と熱膨張性耐火材51のすべてを上述した家屋開口部固定部材41の底辺部41aに対して連結された状態で一体に固定するようにすることも可能である。
尚、本明細書において使用する鋲羅59は、ビス、ネジ、ボルト、釘等の止め具の総称である。
そして、このような構造の防火性樹脂サッシ1Dを使用した場合にも、上述した第1の実施の形態〜第3の実施の形態の防火性樹脂サッシ1A、1B、1Cと同様の作用、効果が得られ、加えて火災時の熱によって枠部材の軟化が生じても鋲羅59による連結作用と部材間の一体化によって板ガラス15や障子部17を支えることができ、ガラス板15や障子部17の落下を防止して防火性樹脂サッシ1Dの焼失を防止したり遅延させることが可能になる。
(5)第5の実施の形態(図13〜15参照)
第5の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Eは、上記第1の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Aと同様の構造の枠体13と板ガラス15とを具備しており、上記枠体13の大きめの中間部3Aに対して上述した第3の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Cと同様、火山性ガラス質複層板33と共に長手方向に沿って金属製補強材55が装填されている。
また、上記枠体13と火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55は上述した第4の実施の形態に係る防火性樹脂サッシ1Dと同様、鋲羅59によって上述した家屋開口部固定部材41の底辺部41aに対して連結された状態で一体に固定される。
更に、本実施の形態では、枠体13と板ガラス15との間に一例として室外側から取り付けられる金属製あるいは合成樹脂製の受け部材61が設けられており、該受け部材61は、鋲羅63によって枠体13と金属製補強材55と火山性ガラス質複層板33と連結された状態で一体に固定されている。
また、上記受け部材61は、中空部3D内に配設される平板形状の側面受け部61aと、枠体13と板ガラス15によって挟まれた空間65に配設される平板形状の端面受け部61bとの二部材によって構成された断面L字形である。部材61aは室外側から取り付けられる短寸の鋲羅67によって固定されている。
因みに上記の側面受け部61aと端面受け部61bは、一体でもよく、また、別部材でもよい。別々の二部材によって構成すると、板ガラス15の取り付け、交換作業が円滑に行われるようになる。
また、図14(a)に示すように家屋開口固定部材41と火山性ガラス質複層板33及び金属製補強材55とを連結している鋲羅59を省略して、受け部材61と火山性ガラス質複層板33及び金属製補強材55とを鋲羅63によって連結しているだけの構造にすることも可能である。
また、図14(b)に示すように火山性ガラス質複層板33を上下に2分し、その境界部57に金属製補強材55を装填すると共に、中空部3A内の火山性ガラス質複層板33の下方の間隙部53に幅広の熱膨張性耐火材51A、中空部3C内に幅狭の熱膨張性耐火材51Bと、受け部材側面補強部材69と、を長手方向に沿ってそれぞれ装填する構成とすることも可能である。
また、受け部材61は、上記のような断面L字形の受け部材61とする他、図示は省略するが断面コの字形の受け部材61を使用することも可能である。
また、図15に示すように断面L字形の2枚の端面受け部61a、61aを室内側と室外側の両方から宛がって重ね合わせ、鋲羅63によって一体に固定することによって断面コの字形の受け部材61として機能するように構成することも可能である。
更に、図15では鋲羅71によって、上記一方の端面受け部61aにおける板ガラス15の室内側側面に向けて折り曲げられた折曲げ部73と、上記受け部材側面補強部材69とが連結されており、受け部材61と受け部材側面補強部材69との一体化が図られている。
そして、このような構造の防火性樹脂サッシ1Eを使用した場合にも、上述した第1の実施の形態〜第4の実施の形態の防火性樹脂サッシ1A、1B、1C、1Dと同様の作用、効果が得られ、加えて火災時の熱によって枠部材の変形等が生じても火山性ガラス質複層板33と金属製補強材55、あるいはこれらに加えて熱膨張性耐火材51との一体化によって受け部材61を支えることができるから、板ガラス15ないし障子部17の落下を防止して防火性樹脂サッシ1Eの消失を防止したり、一層の延焼遅延効果を発揮させることが可能になる。
以上が本発明の主要な実施の形態であるが、本発明の防火性樹脂サッシ1は上述した第1の実施の形態〜第5の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略、あるいは当業者において周知、慣用の技術を追加することが可能である。
例えば、枠体13、29の形状は図示のような矩形枠形状に限らず、長円枠形状等、枠部材の一部または全部に湾曲した形状の枠部材を適用することも可能である。
また、中空部3、19の形状も断面矩形状に限らず、断面円形状や断面多角形状等、種々の形状が採用可能であり、中空部3、19の個数も上記実施の形態の数に限らず適宜、増減することが可能である。また、上記第1の実施の形態のように板ガラス15と障子部17の両方を備える構成の他、板ガラス15と障子部17のいずれか一方を備えた構成の防火性樹脂サッシ1とすることも可能である。
また、複数ある枠部材のすべての中空部3、19に対して火山性ガラス質複層板33、熱膨張性耐火材51及び金属製補強材55を装填する他、枠体13、29の少なくとも一辺部に配設された枠部材の中空部3、19に対して部分的に火山性ガラス質複層板33、熱膨張性耐火材51及び金属製補強材55を装填する構成であってもよい。
また、枠体13、29を構成する上枠部5、21、下枠部7、23、左右の側枠部9、11及び25、27ごとに防火性樹脂サッシ1の構造を変え、例えば上枠部5、21については上記第5の実施の形態、残りの枠部材については上記第4の実施の形態というように上記第1の実施の形態〜第5の実施の形態を枠部材ごとに適宜、組み合わせて使用することも可能である。
この他、上記火山性ガラス質複層板33、熱膨張性耐火材51及び金属製補強材55に加えて従来使用されていた石膏ボード、シージングボードあるいは珪酸カルシウム材等の耐火材を装填したり、これらの耐火材を上記熱膨張性耐火材51や金属製補強材55と置換して使用することも可能である。
本発明は、住宅等の開口部に取り付けられる枠体が合成樹脂製の樹脂サッシの製造、使用分野等で利用でき、特に上記樹脂サッシに優れた防火性と延焼遅延効果を付与したい場合に利用可能性を有する。
1 防火性樹脂サッシ
3 中空部
4 取付け部
5 上枠部
6 開口部
7 下枠部
9 左側の側枠部
11 右側の側枠部
13 枠体
14 取付け枠
15 板ガラス
17 障子部
19 中空部
21 上枠部
23 下枠部
25 左側の側枠部
27 右側の側枠部
29 枠体
30 取付け枠
31 板ガラス
33 火山性ガラス質複層板(火山性ガラス質複層板)
35 家屋開口部
37 上縁部
38 下縁部
39 側縁部
41 家屋開口部固定部材
41a 底辺部
43 ビス
45 面格子
47 クレセント錠
49 レール
51 熱膨張性耐火材
53 間隙部
55 金属製補強材
57 境界部
59 鋲羅
61 受け部材
61a 側面受け部
61b 端面受け部
63 鋲羅
65 空間
67 鋲羅
69 受け部材側面補強部材
71 鋲羅
73 折曲げ部

Claims (1)

  1. 長手方向に延びる中空部が形成された複数本の合成樹脂製部材を備えた防火性樹脂サッシにおいて、
    少なくとも一つの前記部材の中空部内には、当該部材の長手方向に沿って火山性ガラス質複層板が装填されていることを特徴とする防火性樹脂サッシ。
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