JP5116139B2 - 扁平形酸化銀電池 - Google Patents

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Description

本発明は、高容量であり、負荷特性に優れた扁平形酸化銀電池に関するものである。
近年、電子機器の高機能化に伴って、そのような機器に使用する扁平形酸化銀電池に対しては、高容量化や負荷特性の向上の要求が高まっている。
上記の要求のうち、高容量化に対しては、例えば、扁平形酸化銀電池を特許文献1に記載されているような所謂底敷構造とすることが挙げられる。
通常の扁平形酸化銀電池では、例えば、図3に示すように、正極端子を兼ねる外装缶2の開口端部に、樹脂製のガスケット7を介在させつつ負極端子を兼ねる封口板3を配置し、外装缶2の開口端部を内方に締め付けることで形成される密閉空間内に、酸化銀などを含む正極合剤をペレット状に成形した正極4、負極5、セパレータ6および電解液(図示しない)などを収容してなる構造(以下、「中入れ構造」という場合がある)をしている。そして、図3に示すように、通常の扁平形酸化銀電池10では、樹脂製のガスケット7が外装缶2の底にまで到達しているため、電池内容積のうち、発電に関与しないガスケット7の占有容積分が大きく、高容量化の妨げとなっている。
そこで、例えば、図2に示すように、正極4をガスケット7の下部にまで配置する底敷構造を採用することで、電池内における正極の充填量を高めて、高容量化を図ることができる。
また、上記の要求のうち、負荷特性の向上に対しては、正極と負極との対向面積を増大させることが考えられ、これを達成するには、例えば、扁平形酸化銀電池をより薄形にし、電池内の正極および負極も薄くすることが挙げられる。
特開平8−83619号公報
ところが、上記の底敷構造を採用して高容量としつつ、電池および電池内の電極の薄形化を図ろうとすると、ペレット状の正極成形体の強度が不足して割れが発生し、正極の導電性が失われて本来の容量が発揮できないことが、本発明者らの検討により明らかとなった。正極成形体の割れは、外装缶と封口板とを封止する際の締め付け時に生じ易いことから、その締め付け強度を抑えて、正極成形体の割れを防止することも考えられるが、その場合には、封止強度が不十分となって漏液が生じる可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で、優れた負荷特性を有する扁平形酸化銀電池を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の扁平形酸化銀電池は、ペレット状の正極成形体、亜鉛または亜鉛合金を含有する負極、セパレータおよび電解液を、外装缶、封口板および樹脂製ガスケットからなる電池容器内に収容してなる平面視で円形の扁平形酸化銀電池であって、上記外装缶の内側底面と上記樹脂製ガスケットとの間に上記正極成形体の外周部が配置されており、上記扁平形酸化銀電池の厚みt(mm)と直径D(mm)との比t/Dが0.17以下であり、上記正極成形体は、酸化銀と銀−ニッケル複合酸化物とを含有しており、かつ銀−ニッケル複合酸化物の含有量が20〜70質量%であり、上記正極成形体の厚みが0.25mm以下であることを特徴とするものである。
すなわち、本発明では、扁平形酸化銀電池を、厚みt(mm)と直径D(mm)との比t/Dが0.17以下といった非常に薄形の形状にし、電池内に収容する電極も薄形にすることで、正極と負極との対向面積を大きくして、負荷特性の向上を図っている。
また、本発明では、外装缶の内側底面と樹脂製ガスケットとの間に正極成形体の外周部が配置される構造、すなわち底敷構造を採用することで、正極の量を多くして高容量化を図っているが、これにより、ペレット状の正極成形体は非常に薄い円板状となって割れが生じ易くなり、電池が本来備えている容量を十分に利用できなくなる虞がある。そこで、本発明では、正極成形体に銀−ニッケル複合酸化物を含有させることでその強度を高め、これにより外装缶と封口板との封止強度を損なうことなく正極成形体の割れの発生を抑制して、高容量化を達成している。
しかも、正極成形体が銀−ニッケル複合酸化物を含有することによっても、電池の負荷特性を高めることができる。本発明では、電池(電極)を薄形化して正極と負極との対向面積を増大させることによる上記の負荷特性向上作用と、銀−ニッケル複合酸化物を使用することによる負荷特性向上作用とを複合的に機能させることで、より優れた負荷特性を有する電池としている。
なお、電池業界においては、高さより径の方が大きい扁平形電池をコイン形電池と呼んだり、ボタン形電池と呼んだりしているが、そのコイン形電池とボタン形電池との間に明確な差はなく、本発明の扁平形酸化銀電池には、コイン形電池と呼ばれるものも、ボタン形電池と呼ばれるものも含まれる。
本発明によれば、高容量で、優れた負荷特性を有する扁平形酸化銀電池を提供することができる。
図1および図2に、本発明の扁平形酸化銀電池の一例を模式的に示す。図1は側面図であり、図2は図1の要部断面図である。本発明の扁平形酸化銀電池は、正極成形体4およびセパレータ6を内填した外装缶2の開口部に、負極5を内填した封口板3が、断面L字状で環状の樹脂製ガスケット7を介して嵌合しており、外装缶2の開口端部が内方に締め付けられ、これにより樹脂製ガスケット7が封口板3に当接することで、外装缶2の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。すなわち、図2の扁平形酸化銀電池では、外装缶2、封口板3および樹脂製ガスケット7からなる電池容器内の空間(密閉空間)に、正極成形体4、負極5およびセパレータ6を含む発電要素が装填されており、更に電解液(図示しない)が注入されている。そして、外装缶2は正極端子を兼ね、封口板3は負極端子を兼ねている。
本発明の電池は、平面視で円形であり、厚みt(mm)と直径D(mm)との比t/Dが0.17以下である。本発明では、電池をこのように非常に薄形にすることで、電池内に収容される正極および負極も薄形にし、正極と負極との対向面積を増大させて電池の負荷特性を高めている。t/Dの値は0.13以下であることが好ましい。なお、t/Dの値が小さすぎると、電池の直径に対して厚みが小さくなりすぎて、電池の生産性が損なわれることがあるため、t/Dの値は0.07以上であることが好ましい。
また、図2に示すように、本発明の電池は、外装缶2の内側底面と樹脂製ガスケット7との間に正極成形体4の外周部が配置された所謂底敷構造を採用しており、これにより、正極成形体の充填量を高めて、高容量化を図っている。
外装缶2の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケルメッキを施した鉄などが挙げられる。
封口板3としては、例えば、負極5と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち負極5と接する面と反対側の面はニッケルで構成されたものが好適である。この封口板3において、負極5と接する面を銅または銅合金で構成するのが好ましいのは、亜鉛との局部電池の形成を抑制できるからであるが、本体部分をステンレス鋼で構成することや外面側をニッケルで構成することは必ずしも必要でなく、他の材料で構成してもよいし、負極5と接する面も亜鉛と局部電池を形成しないものであれば、銅または銅合金でなくてもよい。
樹脂製ガスケット7としては、例えば、ナイロン66などを素材とするものが推奨される。
次に、本発明の扁平形酸化銀電池の構成要素について説明する。
<正極>
本発明に係る正極には、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など)および銀−ニッケル複合酸化物といった活物質と、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛などの炭素質からなる導電助剤との混合粉末(正極合剤)を、ペレット状(円板状)に加圧成形することによって作製された正極成形体が適用される。
正極に使用する酸化銀は、例えば、通常流通している径が0.1〜5μmの微粉末状のものでもよいが、このような微粉末の酸化銀を造粒して得られる顆粒状のものがより好ましい。顆粒状の酸化銀を用いると、微粉末の状態で用いた場合よりも抵抗が低くなるため、扁平形酸化銀電池の負荷特性をより向上させることができる。
従来のように、酸化銀を微粉末の状態で用いた場合には、抵抗を低減するには多量の導電助剤を添加する必要があるが、導電助剤として使用する炭素質はかさ密度が小さいため、これを多量に添加すると活物質である酸化銀の充填量を高めることが困難になる。これに対し、顆粒状の酸化銀を用いると、秤量性が向上してバラツキが低減したり、また、加圧成形した場合に充填性が高まり成形性が向上するので、抵抗が低減すると共に、複数の正極(ひいては酸化銀電池)を製造した場合に、個々の特性が安定化する。さらに、導電助剤として添加する炭素質の使用量も、例えば約半分に低減でき、酸化銀の充填量を増やすこともできる。
さらに、例えば、酸化第一銀では、炭素質と次式のような反応を起こして還元されるため、放電性能が低下する。
2AgO+C→4Ag+CO
しかしながら、酸化銀を顆粒にすることによって、上記反応が抑制される上に、上述したように炭素質の添加量も低減できるので、さらに酸化銀の還元反応が抑制されることになり、放電特性(特に低温重負荷特性)の低下を抑制することができる。
顆粒状酸化銀の粒径としては、50μm以上、より好ましくは75μm以上であって、500μm以下、より好ましくは300μm以下であることが望ましい。また、顆粒状酸化銀のかさ密度は、1.5g/cm以上、より好ましくは1.8g/cm以上であって、3.5g/cm以下、より好ましくは2.6g/cm以下であることが推奨される。このような形態の酸化銀であれば、粉末状のものに比較して流動性がよく、上記の通り、秤量性・成形性が向上し、抵抗が低下して反応性が向上するため、より負荷特性に優れたものとなり、また、製造される正極(ひいては酸化銀電池)個々の特性が安定化する。なお、本明細書でいう顆粒状酸化銀の粒径は、Honeywell社製のマイクロトラック粒度分布計「9320−X100」を用いて、レーザー光の散乱により、粒子個数nおよび各粒子の直径dを測定し、算出した数平均粒子径である。また、本明細書でいう顆粒状酸化銀のかさ密度は、JIS R 1628に規定のかさ密度測定方法に準じて、所定量の顆粒状酸化銀を容器に入れ、かさ密度測定装置を用いて求めた値である。
本発明に係る正極成形体は、正極と負極との対向面積を大きくするために薄形であり、しかも、電池が底敷構造を採用することから、その直径に対する厚みが非常に小さく、割れが生じ易い。そこで、正極成形体に銀−ニッケル複合酸化物を含有させることで、正極成形体の強度を高めて割れの発生を防止し、電池内での正極成形体の導電性の低下を抑えて、電池の有する容量をより有効に引き出せるようにしている。
また、銀−ニッケル複合酸化物は、放電反応に伴って導電性の高い銀(Ag)を生成し、それが正極成形体中の導電助剤として働くことで、電池の負荷特性を向上させる機能も有している。
更に、本発明の電池では、負極に亜鉛または亜鉛合金を用いるが、電池の貯蔵時において、電解液により亜鉛が腐食されてガス(水素ガス)が発生し易く、電池内のガス量が増大すると電解液の電池外への漏出が引き起される虞がある。しかし、本発明の電池においては、正極の含有する銀−ニッケル複合酸化物により、電池内部で発生した水素ガスを酸化して水にすることができるため、水素ガスによる漏液の発生を防止して、電池の信頼性も高めることもできる。
なお、亜鉛などを負極とし、電解液にアルカリ電解液を使用する電池においては、正極活物質としては、二酸化マンガンなどのマンガン含有酸化物も知られているが、本発明に係る正極成形体は、その強度をより高めて割れの発生を抑制する観点から、マンガン含有酸化物は含有しないことが好ましい。
正極に含有させる銀−ニッケル複合酸化物としては、一般式AgNiで表され、X/Yが1より大きく1.9以下であるものが好ましい。上記特定の銀−ニッケル複合酸化物は、銀−ニッケル複合酸化物として汎用されているAgNiOよりもAgが結晶中に過剰に取り込まれている。そのため、AgNiOを用いる場合よりも、正極の導電性および成形性(正極成形体強度)を向上させることができる。
一般式AgNiで表され、X/Yが1より大きく1.9以下である銀−ニッケル複合酸化物は、例えば、無機酸のAg塩と無機酸のNi塩とを、酸化性のアルカリ水溶液中で反応させることにより製造することができる。
具体的には、例えば、無機酸のAg塩および無機酸のNi塩を、アルカリ金属の水酸化物と水中で中和反応させ、該中和反応前、該中和反応途中、または該中和反応後に、反応液中に酸化剤を添加して酸化処理を行う。酸化剤の添加は、上記の中和反応前、中和反応途中または中和反応後において、複数回行うことが好ましい。
無機酸のAg塩としては、塩酸銀、硝酸銀、硫酸銀、リン酸銀などが挙げられる。また、無機酸のNi塩としては、塩酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、リン酸ニッケルなどが挙げられる。更に、アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。また、酸化剤としては、KMnO、K、NaOCl、Na、H、オゾンなどが挙げられる。
上記の中和反応においては、反応液中のアルカリ度をより高くすることが好ましく、例えば、無機酸のAg塩中のAgのモル量と、無機酸のNi塩中のNiのモル量との合計量に対して、アルカリ金属の水酸化物のモル量を5倍程度とすることが望ましい。また、酸化剤の使用量は、酸化、すなわち金属イオンの価数変化に対して、等量以上とすることが好ましく、2倍等量程度とすることがより好ましい。
中和反応および酸化処理時の温度は、例えば、室温から100℃の間(より好ましくは30〜50℃)とすることが好ましい。また、中和反応および酸化処理は、反応液を攪拌しながら行うことが好ましい。
酸化処理後は、生成した反応沈殿物を反応液から分離し、回収した反応沈殿物を水洗、乾燥して、必要に応じて解砕するなどし、上記特定の銀−ニッケル複合酸化物を得る。
銀−ニッケル複合酸化物の使用による上記の各種作用をより有効に発揮させる観点から、正極成形体においては、銀−ニッケル複合酸化物の含有量が、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。なお、正極成形体における銀−ニッケル複合酸化物量が多すぎると、多くの銀−ニッケル複合酸化物が電解液に溶解するようになり、これにより生じた銀イオンが負極の亜鉛と反応して自己放電を生じて、電池の放電容量の低下を招く虞があることから、正極成形体における銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
また、正極成形体においては、活物質(酸化銀および銀−ニッケル複合酸化物)の含有量が90〜99質量%で、導電助剤が1〜10質量%であることが好ましい。
正極成形体は、その厚みを0.25mm以下としてもよく、このような場合でも正極成形体の割れの発生を抑制することができる。ただし、正極成形体があまり薄すぎると、割れの発生を抑制し難くなることがあるため、その厚みは0.2mm以上であることが好ましい。
<負極>
本発明に係る負極は、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」という場合がある)を含有するものであり、これら粒子中の亜鉛が活物質として作用する。亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、水銀(例えば、含有量が1〜5質量%)、インジウム(例えば、含有量が50〜500質量ppm)、ビスマス(例えば、含有量が50〜500質量ppm)などが挙げられる(残部は亜鉛および不可避不純物である)。負極の有する亜鉛系粒子は、1種単独でもよく、2種以上を有していてもよい。
亜鉛系粒子としては、例えば、全粉末中、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50体積%以上、より好ましくは90体積%以上であるものが挙げられる。なお、ここでいう亜鉛などの粉末における粒径が100〜200μmの粉末の体積割合は、上述の「顆粒状酸化銀」の粒径測定法と同じ測定方法および測定装置で測定したものである。
負極に使用する亜鉛系粒子は、上記の形態を有していてもよいが、電池の負荷特性をより高める観点からは、例えば、全粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものが、50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である亜鉛系粒子を使用することがより望ましい。このように、負極の有する亜鉛系粒子が小さい場合には、負極全体の比表面積を大きくできることから、負極での反応を効率よく進めることができるため、電池の負荷特性(特に重負荷特性)が良好となる。
負極の有する亜鉛系粒子のサイズを小さくして、負極での反応効率をより高める観点からは、更に、負極の有する亜鉛系粒子のうち、330メッシュの篩い目を通過し得るものの割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましく、また、440メッシュの篩い目を通過し得るものの割合が、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。なお、負極の有する亜鉛系粒子のサイズがあまりに小さすぎると、取り扱い性が低下するため、例えば、負極が有する亜鉛系粒子の最小サイズは、1μm程度であることが望ましい。
また、亜鉛系粒子は、水銀を含有しないものや、鉛を含有しないものであることが、より好ましい。このような亜鉛系粒子を使用している電池であれば、例えば、口から飲み込み、一定時間体内を観察した後、体外に排出して取り出すタイプの内視鏡カメラの電源用途に用いた場合などに、人体内において電池内部の亜鉛などが漏れ出した場合においても、人体への悪影響を最小限に抑えることができ、また、電池の廃棄による環境汚染も抑制できる。
負極には、例えば、上記の亜鉛系粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含み、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極)が適用できる。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。
また、負極は、上記のようなゲル化剤を実質的に含有しない非ゲル状の負極とすることもできる(なお、非ゲル状負極の場合、亜鉛系粒子近傍に存在する電解液が増粘しなければ構わないので、「ゲル化剤を実質的に含有しない」とは、電解液粘度への影響がない程度に含有していてもよい、という意味である)。ゲル状負極の場合には、亜鉛系粒子の近傍に、ゲル化剤と共に電解液が存在しているが、ゲル化剤の作用によってこの電解液が増粘しており、電解液の移動、ひいては電解液中のイオンの移動が抑制されている。このため、負極での反応速度が抑えられ、これが電池の重負荷特性向上を阻害しているものと考えられる。これに対し、負極を非ゲル状として、亜鉛系粒子近傍に存在する電解液の粘度を増大させずに電解液中のイオンの移動速度を高く保つことで、負極での反応速度を高めて、重負荷特性の向上を図ることができる。
<電解液>
本発明の扁平形酸化銀電池では、アルカリ性の水溶液を電解液として用いる。アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)などが好適に用いられ、水酸化カリウムが特に好ましい。電解液の濃度は、例えば、水酸化カリウムの水溶液の場合、水酸化カリウムが20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、40質量%以下、より好ましくは38質量%以下であることが望ましく、水溶液の濃度をこのような値に調整することで、導電性に優れた電解液とすることができる。
電解液には、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて公知の各種添加剤を添加しても良い。例えば、酸化銀電池の負極に用いる亜鉛系粒子の腐食(酸化)を防止するために、酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。
<セパレータ>
本発明の電池におけるセパレータについては特に制限は無く、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。
本発明の扁平形酸化銀電池は、高容量であり且つ負荷特性にも優れており、また薄形であることから、このような特性を生かして、高機能で且つ小型・薄形の電池が要求されるような電子機器用の電源用途を始めとして、従来公知の酸化銀電池が適用されている各種用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
正極活物質として、酸化第一銀(AgO)を70質量%含有し、銀ニッケル複合酸化物(Ag1.05Ni0.95)を30質量%含有する混合物を加圧成形した後、この成形体を粉砕し篩い分けして、平均粒径150μm、かさ密度2.0g/cmの顆粒状にした酸化第一銀と銀ニッケル複合酸化物の混合物を準備した。正極は、この顆粒化混合物に、導電助剤として鱗片状黒鉛を、顆粒化混合物(正極活物質)100質量部に対して2質量部添加し、混合して正極合剤とした。この正極合剤を、充填密度6g/cmで、直径8.9mm、高さ0.2mmのペレット状に加圧成形することによって、正極成形体を作製し、これにアルカリ電解液の一部を含浸させた。
負極には、200メッシュの篩い目を通過し得る粒子の割合が95質量%の亜鉛粒子16mgを用いた。
アルカリ電解液としては酸化亜鉛を5質量%溶解した36質量%水酸化カリウム水溶液を用いた。また、外装缶は、SUS430を用いて作製した。更に封口板は、銅−ステンレス鋼(SUS304)−ニッケルクラッド板を用いて作製した。また、セパレータには、株式会社ユアサメンブレンシステムの「YG9132」を用いた。このセパレータは、厚みが20μmのセロハンフィルムと、厚みが30μmのグラフトフィルムとを積層してなるものであり、該グラフトフィルムは、ポリエチレン主鎖にアクリル酸をグラフト共重合させた構造を有するグラフト共重合体で構成されている。また、電解液保持層として、厚みが200μmのビニロン−レーヨン混抄紙を用いた。セパレータおよび電解液保持層は、直径9.3mmの円形に打ち抜いて用いた。
上記の正極、負極、アルカリ電解液、外装缶、封口板、セパレータおよび電解液保持層を用い、更にナイロン66製の環状ガスケットを用いて、図2に示す底敷構造で、直径(D)9.5mm、厚さ(t)1.0mmのコイン形酸化銀電池を作製した。なお、図2では電解液保持層は図示していないが、実施例1の電池では、電解液保持層はセパレータ6の上面側(負極5側)に配置した。得られた電池のt/Dの値は約0.105である。
比較例1
正極活物質として酸化第一銀を単独で加圧成形したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン形酸化銀電池を作製した。
比較例2
正極成形体を、直径7mm、高さ0.2mmのペレット状とし、負極には亜鉛粒子10mgを用い、図3に示す構造とした以外は実施例1と同様にしてコイン形電池を作製した。なお、図3では電解液保持層は図示していないが、比較例2の電池では、電解液保持層はセパレータ6の上面側(負極5側)に配置した。
実施例1および比較例1,2の電池各10個について、電池作製後60℃で2日間のエージング処理し、その後に電池を分解して内部の状態を確認し、正極成形体に割れが生じているものを不良電池としてその数を求めた。また、実施例1および比較例1、2のそれぞれについて、上記とは別の10個の電池を用意し、20℃で、放電電流を1mAとし、終止電圧を1.2Vとして、連続放電を行い、放電容量を測定した。これらの結果を表1に示す。
また、実施例1および比較例1、2の電池各10個について、20℃における内部抵抗を交流インピーダンス測定(1kHz)によって測定し、これにより電池の負荷特性を評価した。これらの結果を表1に併記する。
Figure 0005116139
表1から分かるように、実施例1の酸化銀電池では正極合剤に割れが生じていないのに対し、比較例1の酸化銀電池では、強度不足のため、ペレット状の正極成形体に割れが生じていた。
また、底敷構造を採用した実施例1の酸化銀電池に対して、中入れ構造の比較例2の電池は内容積が小さいため、正極および負極の容量が小さく、放電容量も小さくなった。
更に、実施例1の酸化銀電池は、比較例2の電池に比べて内部抵抗が低く、負荷特性が向上しているといえる。
本発明の扁平形酸化銀電池の一例を模式的に示す側面図である。 図1の扁平形酸化銀電池の要部断面図である。 従来の扁平形酸化銀電池の要部断面図である。
符号の説明
1、10 扁平形酸化銀電池
2 外装缶
3 封口板
4 正極成形体
5 負極
6 セパレータ
7 樹脂製ガスケット

Claims (3)

  1. ペレット状の正極成形体、亜鉛または亜鉛合金を含有する負極、セパレータおよび電解液を、外装缶、封口板および樹脂製ガスケットからなる電池容器内に収容してなる平面視で円形の扁平形酸化銀電池であって、
    上記外装缶の内側底面と上記樹脂製ガスケットとの間に上記正極成形体の外周部が配置されており、
    上記扁平形酸化銀電池の厚みt(mm)と直径D(mm)との比t/Dが、0.17以下であり、
    上記正極成形体は、酸化銀と銀−ニッケル複合酸化物とを含有しており、かつ銀−ニッケル複合酸化物の含有量が20〜70質量%であり、
    上記正極成形体の厚みが0.25mm以下であることを特徴とする扁平形酸化銀電池。
  2. 正極成形体にマンガン含有酸化物を含有しないものである請求項1に記載の扁平形酸化銀電池。
  3. 銀−ニッケル複合酸化物は、一般式AgNiで表され、X/Yが1より大きく1.9以下である請求項1または2に記載の扁平形酸化銀電池。
JP2007031596A 2007-02-13 2007-02-13 扁平形酸化銀電池 Active JP5116139B2 (ja)

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