JP5901356B2 - 扁平形アルカリ電池およびその製造方法 - Google Patents

扁平形アルカリ電池およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5901356B2
JP5901356B2 JP2012047497A JP2012047497A JP5901356B2 JP 5901356 B2 JP5901356 B2 JP 5901356B2 JP 2012047497 A JP2012047497 A JP 2012047497A JP 2012047497 A JP2012047497 A JP 2012047497A JP 5901356 B2 JP5901356 B2 JP 5901356B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
electrode mixture
battery
mass
graphite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012047497A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013182843A (ja
Inventor
光俊 渡辺
光俊 渡辺
昌紀 菅野
昌紀 菅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Maxell Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Energy Ltd filed Critical Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority to JP2012047497A priority Critical patent/JP5901356B2/ja
Publication of JP2013182843A publication Critical patent/JP2013182843A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5901356B2 publication Critical patent/JP5901356B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Primary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、重負荷放電特性、軽負荷放電特性および生産性に優れた扁平形アルカリ電池と、その製造方法に関するものである。
近年、ボタン形やコイン形などの扁平形のアルカリ電池は、電子玩具などの電子機器の電源用途などをはじめとして、その用途が広がっており、例えば、短期間に大電流での放電が要求される用途、すなわち重負荷放電が要求される用途への適用も検討されている。
アルカリ電池では、その正極に、二酸化マンガンなどの正極活物質、黒鉛などの導電助剤およびバインダを含有する正極合剤の成形体が使用されることが一般的であるが、その重負荷放電特性を高めるには、例えば、正極合剤中の導電助剤の含有量を多くすればよいことが知られている。
しかしながら、導電助剤として使用される黒鉛などは、二酸化マンガンなどに比較して嵩高く、正極合剤中の導電助剤の含有量を増やすと、正極合剤の流動性が大きく低下してしまう。扁平形アルカリ電池の正極合剤の成形体を工業的に生産するには、ホッパーなどを用いて粉体状の正極合剤を連続的に成形機に導入する工程を経て、多数の成形体を連続的に形成することから、正極合剤の流動性が低下すると、正極合剤の成形体の連続生産ができなくなり、扁平形アルカリ電池の生産性を大きく損なってしまう。
また、前記の通り、黒鉛などは二酸化マンガンなどに比較して嵩高いことから、正極合剤中の導電助剤の含有量を増やすと、正極合剤の成形体の多くの体積を導電助剤が占めることになって、正極合剤中の正極活物質の量を大きく減らす必要が生じてしまい、電池の容量が損なわれるといった問題もある。例えば、筒状の正極合剤の成形体が使用され、電池内容積に比較的余裕がある筒形のアルカリ電池の場合には、正極合剤中の正極活物質の含有量を大幅に低減することなく、導電助剤の含有量を増やすことも可能である。その一方で、扁平形アルカリ電池では、非常に小型で電池内容積に余裕がない形状であることが一般的であり、また、正極合剤の成形体の形態もペレット状であることが通常であるため、正極合剤中の導電助剤の含有量を増やすことによる前記の問題が顕著に生じ得る。
こうした事情の下、正極合剤の導電助剤に、黒鉛のような炭素材料ではなく銀−ニッケル複合酸化物(銀ニッケライト)を使用することで、前記のような問題の回避を試みる提案もなされている(特許文献1)。
特開平8−171903号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、重負荷放電特性、軽負荷放電特性および生産性に優れた扁平形アルカリ電池と、その製造方法とを提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の扁平形アルカリ電池は、正極合剤の成形体からなる正極、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、外装缶、封口板および樹脂製ガスケットからなる電池容器内に収容してなる扁平形アルカリ電池であって、前記正極合剤は、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体と、銀−ニッケル複合酸化物とを含有しており、黒鉛の含有量が5〜10質量%であることを特徴とするものである。
また、本発明の扁平形アルカリ電池の製造方法は、正極合剤の成形体からなる正極、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、外装缶、封口板および樹脂製ガスケットからなる電池容器内に収容してなる扁平形アルカリ電池の製造方法であって、二酸化マンガンと黒鉛と濃度が45質量%以上のアルカリ金属の水酸化物の水溶液との混合物を、プレス処理してシート状物とし、該シート状物を粉砕して、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体を形成する工程と、前記複合体と銀−ニッケル複合酸化物とを混合して、黒鉛の含有量が5〜10質量%である正極合剤を調製する工程と、前記正極合剤を成形して正極合剤の成形体を形成する工程とを有することを特徴とする。
なお、電池業界においては、高さより径の方が大きい扁平形電池をコイン形電池と呼んだり、ボタン形電池と呼んだりしているが、そのコイン形電池とボタン形電池との間に明確な差はなく、本発明の扁平形アルカリ電池には、コイン形電池、ボタン形電池のいずれもが含まれる。
本発明によれば、重負荷放電特性、軽負荷放電特性および生産性に優れた扁平形アルカリ電池と、その製造方法とを提供することができる。
本発明の扁平形アルカリ電池の一例を模式的に表す側面図である。 図1に示す扁平形アルカリ電池の要部断面図である。 本発明の扁平形アルカリ電池の他の例を模式的に表す要部断面図である。
本発明の扁平形アルカリ電池は、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)とを含む複合体と、銀−ニッケル複合酸化物とを含有する正極合剤により形成された成形体を有している。
前記の通り、扁平形アルカリ電池の重負荷放電特性を高めるために正極合剤中の黒鉛の含有量を多くすると、正極合剤の流動性が低下して正極合剤の成形体の連続製造が困難となり、前記成形体の生産性、ひいては扁平形アルカリ電池の生産性の低下を引き起こす。
そこで、本発明では、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体を用いて形成される正極合剤の成形体を使用することとした。前記複合体を含有する正極合剤であれば、黒鉛の含有量を多くしても高い流動性を維持し得るため、例えば、ホッパーを用いて粉体状の正極合剤を連続的に成形機に導入することが可能となることから、正極合剤の成形体の生産性、ひいては扁平形アルカリ電池の生産性を高めることができる。
また、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体を使用することで、正極合剤の成形体内での黒鉛の分散性を高めることが可能となり、更に、正極合剤の成形体が内部にアルカリ金属の水酸化物を含むことで、電池内において、正極合剤の成形体内でのアルカリ電解液の保持量が増大することから、これらの作用によって扁平形アルカリ電池の軽負荷放電特性を高く維持しつつ、重負荷放電特性を高めることができる。しかも、本発明に係る正極合剤の成形体は、前記複合体と共に、導電助剤として機能し得る銀−ニッケル複合酸化物を含有する正極合剤により形成されているため、この銀−ニッケル複合酸化物の作用によっても、扁平形アルカリ電池の重負荷放電特性が向上する。
本発明の扁平形アルカリ電池では、正極合剤の前記各成分によるこれらの重負荷放電特性向上作用が複合的に機能することで、優れた重負荷放電特性および軽負荷放電特性を確保することができる。
また、本発明に係る正極合剤の成形体が含有するアルカリ金属の水酸化物は、前記複合体の強度を高める作用があり、更に、成形体内部で結晶成長すると考えられ、これにより成形体の強度が増大する。加えて、本発明に係る正極合剤の成形体が含有する銀−ニッケル複合酸化物も、成形体の強度を高める作用も有している。そのため、本発明に係る正極合剤の成形体は生産性が高いことから、これらの作用によっても、本発明の扁平形アルカリ電池の生産性が向上する。
本発明の扁平形アルカリ電池に係る正極合剤において、黒鉛の含有量は、電池の重負荷放電特性を高める観点から、5質量%以上である。なお、前記の通り、黒鉛は嵩高いため、このような高含有量としつつ、例えば、従来の扁平形アルカリ電池で使用されているものと同程度のサイズの正極合剤の成形体を得ることは困難であり、正極合剤の成形体中に含まれる二酸化マンガンを大きく減量する必要が生じて、容量低下を引き起こす虞がある。しかし、本発明の扁平形アルカリ電池では、黒鉛を、二酸化マンガンなどとともに一旦複合体としてから正極合剤の成形体の形成に供するため、二酸化マンガンの減量を可及的に抑制しつつ黒鉛を前記のような高含有量としても、正極合剤の成形体のサイズの増大を抑えることができる。よって、本発明の扁平形アルカリ電池では、正極合剤中の黒鉛の含有量を前記のように高めて重負荷放電特性の向上を図りつつ、軽負荷放電特性の低下(容量低下)を抑制することが可能である。
ただし、正極合剤中の黒鉛の量が多くなりすぎると、例えば正極活物質である二酸化マンガンの含有量が少なくなって、電池の容量低下を引き起こす虞がある。よって、正極合剤における黒鉛の含有量は、10質量%以下である。
本発明の扁平形アルカリ電池において、黒鉛は、二酸化マンガンやアルカリ金属の水酸化物と共に形成された複合体によって、正極合剤中に含まれることとなる。
また、本発明の扁平形アルカリ電池に係る正極合剤において、銀−ニッケル複合酸化物は、前記の通り、導電助剤として正極合剤の成形体の導電性を高め、電池の重負荷放電特性向上に寄与し、また、正極合剤の成形体の強度向上に寄与する。更に、銀−ニッケル複合酸化物は、水素ガスを吸収する機能を有している。例えば、後述するように、扁平形アルカリ電池の負極として使用される亜鉛粒子などには、環境負荷軽減の観点から、無水銀タイプのものを使用することが好ましいが、無水銀タイプの亜鉛粒子などを使用した電池では、内部で水素ガスが発生しやすく、これが電池の膨れの原因となる虞がある。しかし、銀−ニッケル複合酸化物を含有する正極合剤の成形体を有する扁平形アルカリ電池では、無水銀タイプの亜鉛粒子などを使用した場合でも、内部で発生する水素ガスを銀−ニッケル複合酸化物が吸収するため、かかる水素ガスに起因する電池の膨れの発生も良好に抑制できる。
銀−ニッケル複合酸化物としては、AgNiOや、一般式AgNiで表され、X/Yが1より大きく1.9以下であるものが挙げられる。これらの中でも、一般式AgNiで表され、X/Yが1より大きく1.9以下であるものがより好ましい。前記一般式で表される銀−ニッケル複合酸化物は、銀−ニッケル複合酸化物として汎用されているAgNiOよりもAgが結晶中に過剰に取り込まれている。そのため、AgNiOを用いる場合よりも、正極の導電性および成形性を向上させることができる。
一般式AgNiで表され、X/Yが1より大きく1.9以下である銀−ニッケル複合酸化物は、例えば、無機酸のAg塩と無機酸のNi塩とを、酸化性のアルカリ水溶液中で反応させることにより製造することができる。
具体的には、例えば、無機酸のAg塩および無機酸のNi塩を、アルカリ金属の水酸化物と水中で中和反応させ、該中和反応前、該中和反応途中、または該中和反応後に、反応液中に酸化剤を添加して酸化処理を行う。酸化剤の添加は、前記の中和反応前、中和反応途中または中和反応後において、複数回行うことが好ましい。
無機酸のAg塩としては、塩酸銀、硝酸銀、硫酸銀、リン酸銀などが挙げられる。また、無機酸のNi塩としては、塩酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、リン酸ニッケルなどが挙げられる。更に、アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。また、酸化剤としては、KMnO、K、NaOCl、Na、H、オゾンなどが挙げられる。
前記の中和反応においては、反応液中のアルカリ度をより高くすることが好ましく、例えば、無機酸のAg塩中のAgのモル量と、無機酸のNi塩中のNiのモル量との合計量に対して、アルカリ金属の水酸化物のモル量を5倍程度とすることが望ましい。また、酸化剤の使用量は、酸化、すなわち金属イオンの価数変化に対して、等量以上とすることが好ましく、2倍等量程度とすることがより好ましい。
中和反応および酸化処理時の温度は、例えば、室温から100℃の間(より好ましくは30〜50℃)とすることが好ましい。また、中和反応および酸化処理は、反応液を攪拌しながら行うことが好ましい。
酸化処理後は、生成した反応沈殿物を反応液から分離し、回収した反応沈殿物を水洗、乾燥して、必要に応じて粉砕するなどし、前記一般式で表される銀−ニッケル複合酸化物を得る。
本発明の扁平形アルカリ電池に係る正極合剤において、銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、その使用による前記の効果を良好に確保する観点から、3.0質量%以上であることが好ましく、4.0質量%以上であることがより好ましい。ただし、正極合剤中の銀−ニッケル複合酸化物の量が多くなりすぎると、電池のコストを増大させるため、生産性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、正極合剤における銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の扁平形アルカリ電池に係る正極合剤を構成する前記複合体は、例えば、二酸化マンガンと、黒鉛と、アルカリ金属の水酸化物の水溶液とを混合し、この混合物をプレス処理してシート状物とし、このシート状物を粉砕することで得ることができる。
前記の複合体を作製するに使用するアルカリ金属の水酸化物の水溶液には、そのアルカリ金属の水酸化物の濃度が45質量%以上のものを使用することが好ましい。このような高濃度のアルカリ金属の水酸化物の水溶液を使用することで、複合体形成時の各成分の結着性が向上し、より高い強度の複合体を形成できるようになる。また、前記のような高濃度のアルカリ金属の水酸化物の水溶液を用いて作製した複合体であれば、正極合剤の成形体におけるアルカリ電解液の保持性をより高め得るため、重負荷放電特性がより優れた扁平形アルカリ電池を形成できるようになる。
前記複合体の作製に使用するアルカリ金属の水酸化物の水溶液は、水酸化カリウム水溶液であることがより好ましい。よって、前記複合体が含有するアルカリ金属の水酸化物も、水酸化カリウムであることがより好ましい。
なお、アルカリ金属の水酸化物の水溶液は、例えば水酸化カリウムの場合、室温での飽和濃度がおよそ50質量%であることから、これより高い濃度の水溶液を用いる場合には、前記複合体の作製時に温度管理を行うことが望ましい。通常、高濃度のアルカリ金属の水酸化物の水溶液の調製は、溶解性を高めるために加温した条件下で行われるが、室温での飽和濃度を超える高濃度の水溶液を調製し、これを用いて前記複合体を作製する場合には、前記複合体の各構成成分の混合も、水溶液が飽和濃度に達しない温度条件下で実施することが好ましい。具体的には、アルカリ金属の水酸化物の水溶液の調製、およびこれを用いた前記複合体の各構成成分の混合は、35℃以上で実施することが好ましく、また、70℃以下で実施することが好ましい。
ただし、アルカリ金属の水酸化物の水溶液におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度を高くしすぎると、前記のような温度で加温しても、十分に溶解させ得ることが困難となる。よって、アルカリ金属の水酸化物の水溶液におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度は、65質量%以下であることが好ましい。
なお、前記複合体の作製に使用するアルカリ金属の水酸化物の水溶液は、その含有成分を、扁平形アルカリ電池のアルカリ電解液と同様とすることができる。具体的には、例えば、前記複合体の作製に使用するアルカリ金属の水酸化物の水溶液は、酸化亜鉛などを含有していてもよい。
前記複合体の作製に係る各構成成分の混合方法については特に制限はなく、例えば、公知のバッチタイプの混合機(混練機)などを使用することができる。また、各構成成分の混合物をプレス処理してシート状物とする方法についても特に制限はなく、例えば、ロールプレス機などを使用することができる。
前記シート状物の粉砕物は分級することが好ましく、これにより所望の粒度分布の複合体を得ることができる。
前記複合体においては、黒鉛の含有量を、6質量%以上とすることが好ましく、また、8.5質量%以下とすることが好ましい。前記複合体における黒鉛の含有量を、前記のような値とすることで、正極合剤における黒鉛の含有量を前記の値に調整することが容易となる。
また、前記複合体の作製に際しては、アルカリ金属の水酸化物の水溶液の添加量を、複合体の作製に供する全材料(二酸化マンガン、黒鉛およびアルカリ金属の水酸化物の水溶液、更には、必要に応じて後述するバインダなど。前記複合体の作製時におけるアルカリ金属の水酸化物の水溶液の添加量について、以下同じ。)中、3質量%以上とすることが好ましく、これにより、例えば前記複合体の結着性をより高めることができる。ただし、前記複合体の作製時に使用するアルカリ金属の水酸化物の水溶液の量が多すぎると、複合体の作製に使用する全材料中の水分量が多くなって、複合体の作製が困難となる虞がある。よって、前記複合体の作製に際しては、アルカリ金属の水酸化物の水溶液の添加量を、複合体の作製に供する全材料中、12質量%以下とすることが好ましい。
前記複合体には、必要に応じてバインダを含有させることもできる。バインダの具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンなどが挙げられる。前記複合体におけるバインダの含有量は、例えば、0.1〜4質量%であることが好ましい。
なお、前記複合体における二酸化マンガンの含有量は、30〜95質量%であることが好ましい。
前記の複合体を、銀−ニッケル複合酸化物などと混合して正極合剤を調製し、これを常法に従って加圧成形して、正極合剤の成形体を製造することができる。
本発明の扁平形アルカリ電池に係る負極は、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」という場合がある)を含有するものであり、これら粒子中の亜鉛が活物質として作用する。亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、水銀(例えば、含有量が1〜5質量%)、インジウム(例えば、含有量が50〜500質量ppm)、ビスマス(例えば、含有量が50〜500質量ppm)などが挙げられる(残部は亜鉛および不可避不純物である)。負極の有する亜鉛系粒子は、1種単独でもよく、2種以上を有していてもよい。
亜鉛系粒子としては、例えば、全粉末中、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50体積%以上、より好ましくは90体積%以上であるものが挙げられる。なお、ここでいう亜鉛などの粉末における粒径が100〜200μmの粉末の体積割合は、前述の「顆粒状酸化銀」の粒径測定法と同じ測定方法および測定装置で測定したものである。
負極に使用する亜鉛系粒子は、前記の形態を有していてもよいが、電池の負荷特性をより高める観点からは、例えば、全粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものが、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。このように、負極の有する亜鉛系粒子が小さい場合には、負極全体の比表面積を大きくできることから、負極での反応を効率よく進めることができ、電池の負荷特性(特に重負荷特性)が良好となる。
負極の有する亜鉛系粒子のサイズを小さくして、負極での反応効率をより高める観点からは、更に、負極の有する亜鉛系粒子のうち、330メッシュの篩い目を通過し得るものの割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましく、また、440メッシュの篩い目を通過し得るものの割合が、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。なお、負極の有する亜鉛系粒子のサイズがあまりに小さすぎると、取り扱い性が低下するため、例えば、負極が有する亜鉛系粒子の最小サイズは、1μm程度であることが望ましい。
また、亜鉛系粒子は、水銀を含有しないものや、鉛を含有しないものであることが、より好ましい。このような亜鉛系粒子を使用している電池であれば、例えば、口から飲み込み、一定時間体内を観察した後、体外に排出して取り出すタイプの内視鏡カメラの電源用途に用いた場合などに、人体内において電池内部の亜鉛などが漏れ出した場合においても、人体への悪影響を最小限に抑えることができ、また、電池の廃棄による環境汚染も抑制できる。
負極には、例えば、前記の亜鉛系粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含み、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極)が適用できる。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。
また、負極は、前記のようなゲル化剤を実質的に含有しない非ゲル状の負極とすることもできる(なお、非ゲル状負極の場合、亜鉛系粒子近傍に存在するアルカリ電解液が増粘しなければ構わないので、「ゲル化剤を実質的に含有しない」とは、アルカリ電解液の粘度への影響がない程度に含有していてもよい、という意味である)。ゲル状負極の場合には、亜鉛系粒子の近傍に、ゲル化剤と共にアルカリ電解液が存在しているが、ゲル化剤の作用によってこのアルカリ電解液が増粘しており、アルカリ電解液の移動、ひいてはアルカリ電解液中のイオンの移動が抑制されている。このため、負極での反応速度が抑えられ、これが電池の重負荷特性向上を阻害しているものと考えられる。これに対し、負極を非ゲル状として、亜鉛系粒子近傍に存在するアルカリ電解液の粘度を増大させずにアルカリ電解液中のイオンの移動速度を高く保つことで、負極での反応速度を高めて、重負荷特性の向上を図ることができる。
本発明の扁平形アルカリ電池に係るアルカリ電解液には、正極合剤に係る前記複合体の作製に使用するものと同様のアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が使用される。なお、アルカリ電解液も、前記複合体の作製に使用するものと同様に、水酸化カリウムの水溶液が好ましい。
アルカリ電解液の濃度は、例えば、水酸化カリウムの水溶液の場合、水酸化カリウムが20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、40質量%以下、より好ましくは38質量%以下であることが望ましく、水溶液の濃度をこのような値に調整することで、導電性に優れた電解液とすることができる。
アルカリ電解液には、前記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。例えば、負極に用いる亜鉛系粒子の腐食(酸化)を防止するために、酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。
本発明の扁平形アルカリ電池におけるセパレータについては特に制限はなく、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。
本発明の扁平形アルカリ電池の構造を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の扁平形アルカリ電池の一例を模式的に示す側面図であり、図2は、図1の要部断面図である。
図1および図2に示す扁平形アルカリ電池は、正極3およびセパレータ5を内填した外装缶1の開口部に、負極4を内填した封口板2が、断面L字状で環状の樹脂製ガスケット6を介して嵌合しており、外装缶1の開口端部が内方に締め付けられ、これにより樹脂製ガスケット6が封口板2に当接することで、外装缶1の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。すなわち、図1および図2に示す扁平形アルカリ電池では、外装缶1、封口板2および樹脂製ガスケット6からなる電池容器内の空間(密閉空間)に、正極3、負極4およびセパレータ5を含む発電要素が装填されており、更にアルカリ電解液(図示しない)が注入されている。そして、外装缶1は正極端子を兼ね、封口板2は負極端子を兼ねている。正極3は、前記の通り、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体と、銀−ニッケル複合酸化物とを含有する正極合剤により形成された成形体である。また、負極4は、前記の通り、亜鉛系粒子を含むゲル状負極でもよく、また、亜鉛系粒子が粒子のままで存在するものでもよい。
外装缶1には、例えば、鉄にニッケルメッキを施したものや、ステンレス鋼などが使用できる。
封口板2としては、例えば、負極4と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち、負極4と接する面と反対側の面はニッケルで構成されたものが好適である。この封口板2において、負極4と接する面を銅または銅合金で構成するのは、亜鉛との局部電池の形成を抑制するためであるが、本体部分をステンレス鋼で構成することや外面側をニッケルで構成することは必須ではなく、他の材料で構成してもよいし、負極4と接する面も亜鉛と局部電池を形成しないものであれば、銅または銅合金でなくてもよい。また、樹脂製ガスケット6としては、例えば、ナイロン66などを素材とするものが推奨される。
本発明の扁平形アルカリ電池の平面視での形状は、円形でもよく、四角形(正方形・長方形)などの多角形であってもよい。また、多角形の場合には、その角を曲線状としていてもよい。
図3に、本発明の扁平形アルカリ電池の他の例を模式的に表した要部断面図を示す。図3の扁平形アルカリ電池では、外装缶1の内側底面と樹脂製ガスケット6との間に正極(正極合剤の成形体)3の外周部が配置された所謂底敷構造を採用している。
図2に示す扁平形アルカリ電池では、樹脂製ガスケット6が外装缶1の底にまで到達している所謂中入れ構造を採用しているため、電池内容積のうち、発電に関与しない樹脂製ガスケット6の占有容積分が大きい。これに対し、図3に示す扁平形アルカリ電池では、底敷構造を採用することで、電池内における正極の充填量(正極活物質の充填量)をより高めており、これにより更なる高容量化を図ることができる。
本発明の扁平形アルカリ電池は、重負荷放電特性に優れていることから、例えば、短時間で大電流での放電が要求される用途に好適である他、従来から知られている扁平形アルカリ電池(二酸化マンガンや酸化銀を正極活物質とする扁平形電池)と同様の用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
電解二酸化マンガンと、黒鉛と、PTFE粉末と、水酸化カリウム水溶液(水酸化カリウム濃度が56質量%で、更に酸化亜鉛を2.9質量%含有する水溶液)との、89.06:5.24:0.2:5.5(質量比)の混合物およびプレス処理を、オープンロールを用いて行った。得られたシート状物をロールクラッシャーにより粉砕して、二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を得た。
前記の複合体:95.5質量%と、銀−ニッケル複合酸化物(AgNiで表され、X/Y=1):4.5質量%とを混合して正極合剤(正極合剤中の黒鉛含有量が5質量%)とし、この正極合剤を、充填密度3.5g/cmで、直径10.88mm、高さ1.85mmの円板状に加圧成形することによって、正極合剤の成形体を作製した。
負極には、60メッシュの篩い目を通過し得る粒子の割合が100質量%で、平均粒径が150μmの、水銀を含有しない亜鉛粒子160mgを用いた。
アルカリ電解液には、酸化亜鉛を5質量%溶解した36質量%水酸化カリウム水溶液を用いた。また、正極缶は、SUS319J1(クロム含量23質量%)を用いて作製した。更に負極端子板は、銅−ステンレス鋼−ニッケルクラッド板を用いて作製した。更に、セパレータには、株式会社ユアサメンブレンシステムの「YG9132」を用いた。このセパレータは、厚みが20μmのセロハンフィルムと、厚みが30μmのグラフトフィルムとを積層してなるものであり、該グラフトフィルムは、ポリエチレン主鎖にアクリル酸をグラフト共重合させた構造を有するグラフト共重合体で構成されている。また、電解液保持層として、厚みが200μmのビニロン−レーヨン混抄紙を用いた。セパレータおよび電解液保持層は、直径11.25mmの円形に打ち抜いて用いた。
前記の正極合剤の成形体、負極、アルカリ電解液、外装缶、封口板、セパレータおよび電解液保持層を用い、更にナイロン66製の環状ガスケットを用いて、図3に示す構造で、外径11mm、厚さ5.2mmの扁平形アルカリ電池を作製した。
実施例2
電解二酸化マンガンと、黒鉛と、PTFE粉末と、水酸化カリウム水溶液(実施例1で使用したものと同じもの)との比率を、87.29:7.01:0.2:5.5(質量比)に変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を得た。
前記の複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製し(正極合剤中の黒鉛含有量が6.7質量%)、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
実施例3
電解二酸化マンガンと、黒鉛と、PTFE粉末と、水酸化カリウム水溶液(実施例1で使用したものと同じもの)との比率を、83.83:10.47:0.2:5.5(質量比)に変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を得た。
前記の複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製し(正極合剤中の黒鉛含有量が10質量%)、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
比較例1
電解二酸化マンガンと、黒鉛と、PTFE粉末と、水酸化カリウム水溶液(実施例1で使用したものと同じもの)との比率を、91.16:3.14:0.2:5.5(質量比)に変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を得た。
前記の複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製し(正極合剤中の黒鉛含有量が3質量%)、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
比較例2
電解二酸化マンガンと、黒鉛と、PTFE粉末と、水酸化カリウム水溶液(実施例1で使用したものと同じもの)との比率を、81.74:12.56:0.2:5.5(質量比)に変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を得た。
前記の複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製し(正極合剤中の黒鉛含有量が12質量%)、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
比較例3
電解二酸化マンガンと、黒鉛と、PTFE粉末と、水酸化カリウム水溶液(実施例1で使用したものと同じもの)との比率を、78.6:15.7:0.2:5.5(質量比)に変更した以外は実施例1と同様にして、二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を得た。
前記の複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製し(正極合剤中の黒鉛含有量が15質量%)、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
実施例および比較例の各電池について、以下の重負荷放電特性評価および軽負荷放電特性評価を行った。これらの結果を表1に示す。
<重負荷放電特性評価>
実施例および比較例の各電池について、10Ωの抵抗値で終止電圧を0.8Vとして連続放電を行い、放電が持続できた時間を測定した。
<軽負荷放電特性評価>
実施例および比較例の各電池(重負荷放電特性評価を行ったものとは別の電池)について、6.8kΩの抵抗値で終止電圧を1.2Vとして放電を行い、放電容量を求めた。
表1から明らかなように、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体と、銀−ニッケル複合酸化物とを含有し、かつ黒鉛の含有量が適正な正極合剤で形成された成形体を有する実施例1〜3の扁平形アルカリ電池は、重負荷放電特性評価時の放電持続時間が長く、かつ軽負荷放電特性評価における放電容量が大きく、重負荷放電特性および軽負荷放電特性が良好である。
これに対し、黒鉛含有量が少ない正極合剤で形成された成形体を有する比較例1の電池は、重負荷放電特性評価時の放電持続時間が短く、重負荷放電特性が劣っている。更に、黒鉛含有量が多い正極合剤で形成された成形体を有する比較例2、3の電池は、軽負荷放電特性評価における放電容量が小さく、軽負荷放電特性が劣っている。
また、以下の方法で、扁平形アルカリ電池の生産性評価試験および正極合剤の成形体のアルカリ電解液吸収量測定を行った。これらの結果を表2に示す。
<生産性評価試験>
水酸化カリウム水溶液の濃度を45質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体を作製し、この複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体(B)を得た。
また、水酸化カリウム水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして二酸化マンガンと黒鉛とPTFEを含有する複合体を作製し、この複合体を用いた以外は、実施例1と同様にして正極合剤の成形体(C)を得た。
実施例1の扁平形アルカリ電池に使用したものと同じ正極合剤の成形体(A)、前記の正極合剤の成形体(B)および(C)を、φ10mmの穴のあいた台に置いて、φ1mmの棒で中央部分を押していき、成形体が割れるときの荷重を測定することで、これらの成形体の強度を求めた。
<正極合剤の成形体のアルカリ電解液吸収量測定>
前記の正極合剤の成形体(A)、(B)および(C)について、それぞれ質量を測定した後、実施例1で扁平形アルカリ電池の作製に用いたものと同じアルカリ電解液中に1分浸漬し、アルカリ電解液から取り出して質量を測定した。そして、各成形体について、アルカリ電解液に浸漬した後の質量から浸漬前の質量を引いて、アルカリ電解液吸収量を求めた。
表2に示す通り、アルカリ金属の水酸化物も含有する複合体を用いて形成した正極合剤の成形体(A)および(B)は、アルカリ金属の水酸化物を含有しない複合体を用いて形成した成形体(C)に比べて、強度が大きい。よって、扁平形アルカリ電池の製造時に、正極合剤の成形体(A)や(B)を使用する場合には、成形体(C)を使用する場合に比べて、正極合剤の成形体の破損などによる不良品の発生を抑制し得ることから、電池の生産性を高めることができる。なお、アルカリ金属の水酸化物の水溶液に、より濃度の高いものを使用して調製した複合体を用いた正極合剤の成形体(A)は、成形体(B)よりも強度が高く、電池の生産性をより高め得ることも分かる。
更に、アルカリ金属の水酸化物も含有する複合体を用いて形成した正極合剤の成形体(A)および(B)は、アルカリ金属の水酸化物を含有しない複合体を用いて形成した成形体(C)に比べて、アルカリ電解液の吸収量が多く、扁平形アルカリ電池内においてアルカリ電解液の保持量がより多いと予想されることから、電池の重負荷放電特性をより高め得ると推測される。
また、以下の実施例4〜8の扁平形アルカリ電池を作製して、これらの貯蔵特性を評価した。
実施例4
実施例1で調製したものと同じ二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体:98.9質量%と、実施例1で使用したものと同じ銀−ニッケル複合酸化物:1質量%と、鉄粉:0.1質量%とを混合して正極合剤とし(正極合剤中の黒鉛含有量が5.2質量%)、これを用いた以外は実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製した。そして、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
実施例5
実施例1で調製したものと同じ二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体:96.9質量%と、実施例1で使用したものと同じ銀−ニッケル複合酸化物:3質量%と、鉄粉:0.1質量%とを混合して正極合剤とし(正極合剤中の黒鉛含有量が5.1質量%)、これを用いた以外は実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製した。そして、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
実施例6
実施例1で調製したものと同じ二酸化マンガンと黒鉛とPTFEと水酸化カリウムとを含有する複合体:95.9質量%と、実施例1で使用したものと同じ銀−ニッケル複合酸化物:4質量%と、鉄粉:0.1質量%とを混合して正極合剤とし(正極合剤中の黒鉛含有量が5.0質量%)、これを用いた以外は実施例1と同様にして正極合剤の成形体を作製した。そして、この正極合剤の成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ電池を作製した。
実施例4〜6の各扁平形アルカリ電池を20℃の環境下で1か月間貯蔵し、その後の各電池の厚み(外装缶の外面から封口板の外面までの高さ)の増加量を測定した。これらの結果を表3に示す。
実施例4〜6の電池に係る正極合剤に配合した鉄粉は、電池内での水素ガスの発生を促進するためのものであるが、表3に示す通り、正極合剤における銀−ニッケル複合酸化物の含有量が、電池内の水素ガス発生を抑制する観点から好適な成形体を使用した実施例5、6の電池では、この含有量が不適な成形体を使用した実施例4の電池に比べて、貯蔵後の電池の膨れが抑制されており、電池内で発生した水素ガスが銀−ニッケル複合酸化物に吸収されたため、電池内でのガス量の増大が抑えられていると考えられる。
また、実施例5,6の電池に使用した正極合剤の成形体は、これらよりも銀−ニッケル複合酸化物の含有量が少ない正極合剤を使用した実施例4の電池に係る成形体よりも、成形性が良好であった。
1 外装缶
2 封口板
3 正極(正極合剤の成形体)
4 負極
5 セパレータ

Claims (3)

  1. 正極合剤の成形体からなる正極、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、外装缶、封口板および樹脂製ガスケットからなる電池容器内に収容してなる扁平形アルカリ電池であって、
    前記正極合剤は、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体と、銀−ニッケル複合酸化物とを含有しており、黒鉛の含有量が5〜10質量%であることを特徴とする扁平形アルカリ電池。
  2. 外装缶の内側内面と樹脂製ガスケットとの間に、正極合剤の成形体の外周部が配置されている請求項1記載の扁平形アルカリ電池。
  3. 正極合剤の成形体からなる正極、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、外装缶、封口板および樹脂製ガスケットからなる電池容器内に収容してなる扁平形アルカリ電池の製造方法であって、
    二酸化マンガンと黒鉛と濃度が45質量%以上のアルカリ金属の水酸化物の水溶液との混合物を、プレス処理してシート状物とし、該シート状物を粉砕して、二酸化マンガンと黒鉛とアルカリ金属の水酸化物とを含む複合体を形成する工程と、
    前記複合体と銀−ニッケル複合酸化物とを混合して、黒鉛の含有量が5〜10質量%である正極合剤を調製する工程と、
    前記正極合剤を成形して正極合剤の成形体を形成する工程とを有することを特徴とする扁平形アルカリ電池の製造方法。
JP2012047497A 2012-03-05 2012-03-05 扁平形アルカリ電池およびその製造方法 Active JP5901356B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012047497A JP5901356B2 (ja) 2012-03-05 2012-03-05 扁平形アルカリ電池およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012047497A JP5901356B2 (ja) 2012-03-05 2012-03-05 扁平形アルカリ電池およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013182843A JP2013182843A (ja) 2013-09-12
JP5901356B2 true JP5901356B2 (ja) 2016-04-06

Family

ID=49273349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012047497A Active JP5901356B2 (ja) 2012-03-05 2012-03-05 扁平形アルカリ電池およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5901356B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017152086A (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 日立マクセル株式会社 空気金属電池
JP6986472B2 (ja) * 2018-03-22 2021-12-22 Fdk株式会社 電池用電極材料の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10134802A (ja) * 1996-10-30 1998-05-22 Sony Corp アルカリ電池及びその製造方法
JP2000067908A (ja) * 1998-08-25 2000-03-03 Sony Corp 電 池
DE19850474A1 (de) * 1998-11-02 2000-05-04 Varta Geraetebatterie Gmbh Verfahren zur Herstellung einer positiven Elektrode für ein alkalisches Primärelement
JP2002117859A (ja) * 2000-10-10 2002-04-19 Sony Corp アルカリ電池
JP2008108585A (ja) * 2006-10-26 2008-05-08 Hitachi Maxell Ltd 円筒形アルカリ電池
JP5116139B2 (ja) * 2007-02-13 2013-01-09 日立マクセルエナジー株式会社 扁平形酸化銀電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013182843A (ja) 2013-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006278091A (ja) コイン形酸化銀電池
CN101465439A (zh) 碱性电池
JP5901356B2 (ja) 扁平形アルカリ電池およびその製造方法
WO2005057695A1 (ja) ボタン形アルカリ電池およびその製造方法
JP2008108585A (ja) 円筒形アルカリ電池
JP6734155B2 (ja) アルカリ電池
JP6944994B2 (ja) アルカリ二次電池
JP5792090B2 (ja) 扁平形アルカリ電池およびその製造方法
WO2021106829A1 (ja) アルカリ電池用正極、並びに、アルカリ電池およびその製造方法
JP2010218710A (ja) 扁平形酸化銀電池
JP5116140B2 (ja) 扁平形酸化銀電池
JP5116139B2 (ja) 扁平形酸化銀電池
JP5778562B2 (ja) 扁平形アルカリ電池
JP5808658B2 (ja) 扁平形アルカリ電池
JP2017143053A (ja) 電池およびその製造方法
JP6548417B2 (ja) 扁平形アルカリ一次電池
US20230112808A1 (en) Flat-shaped battery and method for manufacturing same
JP2018060610A (ja) アルカリ二次電池
JP2010218711A (ja) 扁平形酸化銀電池
JP7166705B2 (ja) 亜鉛電池用負極の製造方法及び亜鉛電池の製造方法
JP5486329B2 (ja) 偏平形電池
JP2011138642A (ja) 扁平形アルカリ電池
JP2006173048A (ja) コイン形酸化銀電池
JP2022143474A (ja) アルカリ乾電池
JP6418837B2 (ja) 扁平形アルカリ電池、その製造方法、および扁平形アルカリ電池用の封口板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5901356

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250