JP4868566B2 - 酸化銀電池 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化銀電池に関するものである。
正極活物質に酸化銀を用いた酸化銀電池は、小型で且つ高容量とすることができるため、軽負荷で長時間駆動させることができる時計などの用途に用いられているが、最近では、その小型・高容量といった特徴から、医療機器用途にも新たに用いられるようになっている。
例えば、最近、カプセル型の内視鏡カメラが開発されている。これは、口から飲み込み、一定時間体内を観察した後、体外に排出して取り出すタイプの内視鏡カメラであるが、こうしたカプセル型の内視鏡カメラの如き小型医療機器の電源として、酸化銀電池の適用が検討されている。このような医療機器(例えば、カプセル型の内視鏡カメラ)に適用する酸化銀電池は、例えば、体内に機器が存在する一定時間内において、重負荷での使用に耐え得る特性を有するものでなければならない。
酸化銀電池では、正極缶、負極端子板および環状ガスケットで形成される空間内に、正極(正極合剤)と負極(負極剤)とが、セパレータを介して重ねられて内填されているが、こうした酸化銀電池において、上記のカプセル型の内視鏡カメラなどの医療機器用途などの重負荷用途に対応させるべく、例えば、セパレータの改良が検討されている(特許文献1)。特許文献1では、セパレータを3層の積層構造とし、両外層をそれぞれ電気抵抗の異なる樹脂層とし、中間層を保液性に優れたセロハン層とすることで、電池の重負荷特性の改善を図っている。
特許第3235161号公報
しかしながら、上記の如き医療機器に用いられる酸化銀電池には、特許文献1の技術で達成できるレベルを上回る負荷特性が要求される一方、電池の負荷特性を高めるためにセパレータの改善をするだけでは、却って電池の貯蔵特性が損なわれることが、本発明者らの検討により判明した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、負荷特性を改善しつつ、良好な貯蔵特性も確保し得た酸化銀電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、酸化銀電池の負荷特性向上を図るべく、セパレータの改良の検討を進めたが、セパレータの電気抵抗を低下させることによって、電池の負荷特性は向上するものの、例えば電池の貯蔵時において、セパレータの電気抵抗が低いために、セパレータによって妨げられるべきAgイオンの移行が生じやすく、貯蔵中に容量が大きく劣化してしまうことが判明した。
そこで、セパレータについては、電池の貯蔵特性を損なわない程度に電気抵抗を低下させ得る構成を採用すると共に、正極の活物質として用いる酸化銀の形態を適正化することで、安定して電池の負荷特性を高め得る正極を製造することに成功し、この正極を採用することで、負荷特性と貯蔵特性に優れた本発明の酸化銀電池を完成させたのである。
すなわち、本発明の酸化銀電池は、正極缶、負極端子板および環状ガスケットにより形成される空間内に、酸化銀を活物質とする正極、亜鉛または亜鉛合金を活物質とする負極、セパレータ、および電解液を含む発電要素を装填してなる酸化銀電池であって、上記正極に用いられる酸化銀は、顆粒状であり、上記セパレータは、ポリオレフィンの幹ポリマーに(メタ)アクリル酸またはその誘導体がグラフト重合した形態のグラフト重合体で構成されるグラフトフィルムと、セロハンフィルムとを積層してなるものであり、且つ上記グラフトフィルム側が正極側となるように配置されており、上記グラフトフィルムは、電気抵抗が25mΩ・(2.54cm)以上75mΩ・(2.54cm)未満であるところに特徴を有している。
本発明によれば、負荷特性と貯蔵特性に優れた酸化銀電池を提供できる。よって、例えば上述のカプセル型の内視鏡カメラなどの医療機器といった重負荷特性が要求される用途に好適に用い得る。
以下、本発明の酸化銀電池の構成を詳細に説明する。
<セパレータ>
本発明の酸化銀電池に係るセパレータは、特定の重合体で構成されるグラフトフィルムと、セロハンフィルムとを積層してなるものである。
グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、幹ポリマーであるポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体が、グラフト重合した形態を有するものであり、かかる形態を有していればよく、必ずしも、ポリオレフィンに、(メタ)アクリル酸やその誘導体をグラフト重合させる方法により製造されたものでなければならない訳ではない。
なお、上記グラフト重合体を構成する(メタ)アクリル酸またはその誘導体とは、下記一般式により示されるものである。なお、下記一般式のうち、RはHまたはCHであり、RはHまたはNH、Na、K、Rb、Csなどの親水性置換基を意味している。
Figure 0004868566
上記のグラフトフィルムやセロハンフィルムは、これらのフィルムを構成する重合体自身が、電解液を吸収してイオンを透過する機能を有するため、これらのフィルムで構成される本発明のセパレータは、実質的に空孔を含有しない(なお、ここでいう「実質的に」とは、フィルムの製造工程などにおいて、不可避的に発生してしまう空孔を除き、積極的に形成する空孔は含有しない、という意味である)。
本発明に係るセパレータにおいて、セロハンフィルムは、グラフトフィルムを透過したAgイオンを還元する役割を担い、グラフトフィルムは、イオンの選択透過性が優れており、また、強度も大きいことから、セロハンフィルムの不要な酸化を抑制したり、電池組み立て時のセパレータの破損を防止する役割を担っている。
上記グラフトフィルムは、その電気抵抗が、25mΩ・(2.54cm)以上、好ましくは35mΩ・(2.54cm)以上、より好ましくは45mΩ・(2.54cm)以上であって、75mΩ・(2.54cm)未満、好ましくは65mΩ・(2.54cm) 以下、より好ましくは60mΩ・(2.54cm) 以下である。グラフトフィルムの電気抵抗がこのような範囲にあれば、酸化銀電池の負荷特性と貯蔵特性の両立を図ることができる。すなわち、グラフトフィルムの電気抵抗が小さすぎると、酸化銀電池の負荷特性は向上するが、貯蔵特性が低下する。他方、グラフトフィルムの電気抵抗が大きすぎると、酸化銀電池の貯蔵特性は良好となるが、負荷特性が低下する。なお、本発明でいうグラフトフィルムの電気抵抗は、次の交流式電圧降下法(1kHz)により得られる値である。雰囲気温度を20〜25℃とし、25±1℃の40%KOH(比重:1.400±0.005)水溶液中にフィルムを浸漬し、5〜15時間後に取り出して、電気抵抗を測定する。
上記グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、下記式(1)で定義されるグラフト率が、60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上であって、150%以下、より好ましくは110%以下であることが望ましい。図1に、グラフトフィルムを構成するグラフト重合体のグラフト率を横軸に、電気抵抗を縦軸にとったグラフを示すが、このようにグラフト重合体のグラフト率とグラフトフィルムの電気抵抗には相関関係があるため、グラフト率が上記のような値のグラフト重合体を用いることで、グラフトフィルムの電気抵抗を上記範囲内に調整することができる。
グラフト率(%)=100×(A−B)/B (1)
[上記式(1)中、A:グラフト重合体の質量(g)、B:グラフト重合体中の幹ポリマーの質量(g)である。]
なお、上記式(1)の「B(グラフト重合体中の幹ポリマーの質量)」は、例えば、グラフト重合体を、幹ポリマーであるポリオレフィンに、(メタ)アクリル酸やその誘導体をグラフト重合させる方法で形成する場合には、このグラフト重合に用いる幹ポリマーの質量を予め測定しておけばよい。また、上記グラフト重合体において、グラフト率が100%を超える場合があるのは、グラフト重合に用いるモノマー[(メタ)アクリル酸やその誘導体]同士が重合して、グラフト分子が長鎖となる場合があるからである。
セパレータの厚みは、グラフトフィルムとセロハンフィルムの合計厚みで、例えば、30μm以上、より好ましくは40μm以上であって、70μm以下、より好ましくは60μm以下であることが望ましい。セパレータが薄すぎると、強度が小さくなり、生産の際に問題が生じるようになることがある。他方、セパレータが厚すぎると、電池内部でセパレータが占める容積が増大し、正極や負極に含有させ得る活物質量が低下してしまう。
また、セパレータを構成するグラフトフィルムの厚みは、例えば、15μm以上、より好ましくは25μm以上であって、30μm以下であることが望ましい。グラフトフィルムが薄すぎると、酸化銀電池の貯蔵特性向上効果が小さくなることがある。また、グラフトフィルムが厚すぎると、酸化銀電池の負荷特性が低下することがある。さらに、セパレータを構成するセロハンフィルムの厚みは、例えば、15μm以上であって、40μm以下、より好ましくは30μm以下であることが望ましい。セロハンフィルムが薄すぎると、酸化銀電池の貯蔵特性向上効果が小さくなることがある。また、セロハンフィルムが厚すぎると、酸化銀電池の負荷特性が低下することがある。
本発明に係るセパレータの好適例としては、例えば、グラフトフィルムとセロハンフィルムとの積層体として、株式会社ユアサメンブレンシステムから「YG9132」や「YG9122H」の名称で市販されているものが挙げられる。
<正極>
正極としては、正極活物質である酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など)と、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛などの炭素質からなる導電助剤との混合粉末を、円板状に加圧成形することによって作製された正極合剤が適用される。
本発明に係る正極で用いる酸化銀は顆粒状である。通常、酸化銀は、径が0.1〜5μmの微粉末状で供されるが、この酸化銀を造粒して顆粒状にして用いると、微粉末の状態で用いた場合よりも抵抗が低くなるため、酸化銀電池の負荷特性を向上させることができる。
従来のように、酸化銀を微粉末の状態で用いた場合には、抵抗を低減するには多量の導電助剤を添加する必要があるが、導電助剤として使用する炭素質はかさ密度が小さいため、これを多量に添加すると活物質である酸化銀の充填量を高めることが困難になる。しかるに、本発明のように、顆粒状の酸化銀を用いると、秤量性が向上してバラツキが低減したり、また、加圧成形した場合に充填性が高まり成形性が向上するので、抵抗が低減すると共に、複数の正極(ひいては酸化銀電池)を製造した場合に、個々の特性が安定化する。さらに、導電助剤として添加する炭素質の使用量も、例えば、約半分に低減でき、酸化銀の充填量を増やすこともできる。
さらに、例えば、酸化第一銀では、炭素質と次式のような反応を起こして還元されるため、放電性能が低下する。
2AgO+C→4Ag+CO
しかしながら、酸化銀を顆粒にすることによって、上記反応が抑制される上に、上述したように炭素質の添加量も低減できるので、さらに酸化銀の還元反応が抑制されることになり、放電特性(特に低温重負荷特性)の低下を抑制することができる。
本発明に係る正極で用いる顆粒状酸化銀は、粒径が、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であって、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下であり、かさ密度が、好ましくは1.5g/cm以上、より好ましくは1.8g/cm以上であって、好ましくは3.5g/cm以下、より好ましくは2.6g/cm以下であることが推奨される。このような形態の酸化銀であれば、粉末状のものに比較して流動性がよく、上記の通り、秤量性・成形性が向上し、抵抗が低下して反応性が向上するため、負荷特性に優れたものとなり、また、製造される正極(延いては酸化銀電池)個々の特性が安定化する。なお、本発明でいう顆粒状酸化銀の粒径は、Honeywell社製のマイクロトラック粒度分布計「9320−X100」を用いて、レーザー光の散乱により、粒子個数nおよび各粒子の直径dを測定し、算出した数平均粒子径である。また、本発明でいう顆粒状酸化銀のかさ密度は、JIS R 1628に規定のかさ密度測定方法に準じて、所定量の顆粒状酸化銀を容器に入れ、かさ密度測定装置を用いて求めた値である。
本発明の酸化銀電池では、負荷特性を向上させるためにセパレータを構成するグラフトフィルムの電気抵抗を抑えているが、上記の通り、グラフトフィルムの電気抵抗を低くしすぎると、電池の貯蔵特性が低下してしまうことから、その電気抵抗を上記下限値までに留めている一方、正極に用いる酸化銀を上記のように顆粒状とすることによる負荷特性向上も図っている。本発明では、これらの構成の採用によって、負荷特性と貯蔵特性を非常に高いレベルで兼ね備えた酸化銀電池の提供を可能としている。
<負極>
本発明に係る負極としては、負極活物質である亜鉛または亜鉛合金(例えば、インジウム、ビスマスなどを含有する亜鉛合金)に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含み、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極剤が適用される。
負極活物質である亜鉛または亜鉛合金(以下、亜鉛と亜鉛合金を纏めて「亜鉛など」という場合がある)は、粉末状であることが好ましい。亜鉛などが粉末状の場合には、その表面積が大きくなるため、負極活物質としての作用がより高められ、酸化銀電池の負荷特性が更に向上する。
亜鉛などの粉末の具体的な形態としては、全粉末中、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。なお、ここでいう亜鉛などの粉末における粒径が100〜200μmの粉末の体積割合は、上述の「顆粒状酸化銀」の粒径測定法と同じ測定方法および測定装置で測定したものである。
なお、亜鉛または亜鉛合金としては、水銀を含有しないものや、鉛を含有しないものであることも推奨される。このような亜鉛などを使用している電池であれば、例えば、人体内において、電池内部の亜鉛などが漏れ出した場合においても、人体への悪影響を最小限に抑えることができ、また、電池の廃棄による環境汚染も抑制できる。
<電解液>
本発明の酸化銀電池では、アルカリ性の水溶液を電解液をして用いる。アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)などが好適に用いられ、水酸化カリウムが特に好ましい。電解液の濃度は、例えば、水酸化カリウムの水溶液の場合、水酸化カリウムが20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、40質量%以下、より好ましくは38質量%以下であることが望ましく、水溶液の濃度をこのような値に調整することで、導電性に優れた電解液とすることができる。
電解液には、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて公知の各種添加剤を添加しても良い。例えば、酸化銀電池の負極剤に用いる亜鉛などの腐食(酸化)を防止するために、酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。
<酸化銀電池の構造、およびその他の構成要素>
本発明の酸化銀電池の構造、およびその他の構成要素を、図2および図3を用いて説明する。図2は、本発明の酸化銀電池の一例を示す部分断面図であり、図3は、図2の要部拡大図である。図2中、1は正極合剤、2はセパレータ、3は負極剤、4は正極缶、5は負極端子板、6は環状ガスケット、7は電解液保持層である。また、図2の酸化銀電池には、電解液が注入されている(図示しない)。
図2の酸化銀電池では、正極合剤1およびセパレータ2を内填した正極缶4の開口部に、負極剤3を内填した負極端子板5が、断面L字状の環状ガスケット6を介して嵌合しており、正極缶4の開口端部が内方に締め付けられ、これにより環状ガスケット6が負極端子板5に当接することで、正極缶4の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。すなわち、図2の酸化銀電池では、正極缶4、負極端子板5および環状ガスケット6により形成される空間(密閉空間)に、正極(正極合剤1)、負極(負極剤3)およびセパレータ2を含む発電要素が装填されている。
また、セパレータ2は、図3に示すように、グラフトフィルム2aとセロハンフィルム2bとが積層されて構成されており、グラフトフィルム2a側が正極1側に配されている。セパレータ2を図3のように配置することで、セロハンフィルム2bと正極(正極合剤1)とが直接に接することを防止して、セロハンフィルム2bの不要な酸化を抑制している。
また、図2および図3では、セパレータ2の負極剤3側に、電解液保持層7を設けている態様を示している。この電解液保持層7は、電解液を保持して、発電効率をより高めるための要素であり、例えば、従来公知の電池のセパレータに使用されているビニロン−レーヨン混抄紙などを用いることができる。
正極缶4には、例えば、鉄にニッケルメッキを施したものなどが使用できるが、本発明の酸化銀電池の主要な用途である医療機器への適用を考慮すると、クロム含量が23質量%以上の鉄基合金(例えば、クロム含量が23質量%以上のステンレス鋼、より具体的にはSUS329J1など)の使用が望ましい。このようなクロム含量の鉄基合金であれば、電池の封口強度を高めることができ、内部のアルカリ電解液の漏液を防止し得ると共に、耐腐食性も向上させ得ることから、例えば、人体内で電池に体液が付着した場合でも、人体への悪影響を抑え得る。また、クロム含量が上記下限値以上の鉄基合金では、電池製造時において、磁石を用いた正極缶の輸送が可能であり、こうした電池製造の面からも推奨される。なお、正極缶に用いる鉄基合金のクロム含量の上限は30質量%であることが望ましい。
負極端子板5としては、例えば、負極剤3と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち、負極剤3と接する面と反対側の面はニッケルで構成されたものが好適である。この負極端子板5において、負極剤3と接する面を銅または銅合金で構成するのは、亜鉛との局部電池の形成を抑制するためであるが、本体部分をステンレス鋼で構成することや外面側をニッケルで構成することは必ずしも必要でなく、他の材料で構成してもよいし、負極剤3と接する面も亜鉛と局部電池を形成しないものであれば、銅または銅合金でなくてもよい。また、環状ガスケット6としては、例えば、ナイロン66などを素材とするものが推奨される。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1〜6
正極活物質として、酸化第一銀(AgO)を単独で加圧成形した後、この成形体を粉砕し篩い分けして、平均粒径150μm、かさ密度2.0g/cmの顆粒状にした酸化第一銀を準備した。正極合剤は、この顆粒化酸化第一銀に、導電助剤として鱗片状黒鉛を、酸化第一銀に対して2質量%添加して混合した後、充填密度6g/cmの円板状に加圧成形することによって作製し、これにアルカリ電解液の一部を含浸させた。
負極活物質としては、平均粒径が150μmの亜鉛粒子を用いた。
アルカリ電解液としては酸化亜鉛を5質量%溶解した35質量%水酸化カリウム水溶液を用いた。また、正極缶は、SUS319J1(クロム含量23質量%)を用いて作製した。更に負極端子板は、銅−ステンレス鋼−ニッケルクラッド板を用いて作製した。
セパレータには、株式会社ユアサメンブレンシステムの「YG9132」または「YG9122H」を用いた。これらのセパレータは、厚みが20μmのセロハンフィルムと、厚みが30μmのグラフトフィルムとを積層したものであり、グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、幹ポリマーがポリエチレンで、これにアクリル酸(上記一般式において、R、RともH)をグラフト重合したものである。セパレータを構成するグラフトフィルムのグラフト率としては、表1に示すように、70〜160%のものとした。また、電解液保持層として、厚みが200μmのビニロン−レーヨン混抄紙を用いた。
上記の正極合剤、負極剤、アルカリ電解液、正極缶、負極端子板、セパレータおよび電解液保持層を用い、更にナイロン66製の環状ガスケットを用いて、図2および図3に示す構造で、外径9mm、厚さ2.7mmの酸化銀電池を作製した。
比較例1
セパレータに、株式会社ユアサメンブレンシステムの「YG9122」を用いた他は、実施例1〜6と同様にして、酸化銀電池を作製した。なお、比較例1で用いたセパレータのグラフトフィルムのグラフト率を、表1に示す。
比較例2
セパレータに、株式会社ユアサメンブレンシステムの「YG2152」を用いた他は、実施例1〜6と同様にして、酸化銀電池を作製した。なお、比較例2で用いたセパレータのグラフトフィルムのグラフト率を、表1に示す。
比較例3
酸化銀に、粉末状のもの(粒径が30μmで、かさ密度が1g/cm)を用いた他は、実施例5と同様にして酸化銀電池を作製した。
上記実施例および比較例で得られた酸化銀電池について、下記の方法によって、負荷特性および貯蔵特性を評価した。その結果を表1に示す。また、表1には、セパレータを構成するグラフトフィルムの電気抵抗も併記するが、この電気抵抗は、上記の手法によって測定した値である。
<負荷特性>
実施例および比較例の各電池について、20℃で、抵抗を100Ω、200Ωまたは300Ωとし、終止電圧を1Vとして、それぞれ連続放電を行い、放電が持続できた時間を求め、これにより負荷特性を評価した。
<貯蔵特性>
実施例および比較例の各電池(各10個)について、60℃で40日保管した後に、20℃で、抵抗を300Ωとして、終止電圧を1Vとして、それぞれ連続放電を行い、放電が持続できた時間を求め、これにより貯蔵特性を評価した。
Figure 0004868566
表1から分かるように、実施例1〜6の各酸化銀電池では、負荷特性、貯蔵特性とも良好である。これに対し、電気抵抗が低いグラフトフィルムを有するセパレータを備えた比較例1の酸化銀電池では、負荷特性は良好であるが、貯蔵特性試験において、10個中3個で容量抜けが発生しており、貯蔵特性が劣っている。また、電気抵抗が高いグラフトフィルムを有するセパレータを備えた比較例2の酸化銀電池では、負荷特性が劣っている。更に、粉末状の酸化銀を用いた比較例3の酸化銀電池でも、負荷特性が劣っている。
グラフトフィルムを構成するグラフト重合体のグラフト率と、グラフトフィルムの電気抵抗との関係を示すグラフである。 本発明の酸化銀電池の一例を示す部分断面図である。 図2の要部拡大図である。
符号の説明
1 正極合剤
2 セパレータ
2a グラフトフィルム
2b セロハンフィルム
3 負極剤
4 正極缶
5 負極端子板
6 環状ガスケット
7 ビニロン−レーヨン混抄紙

Claims (4)

  1. 正極缶、負極端子板および環状ガスケットにより形成される空間内に、酸化銀を活物質とする正極、亜鉛または亜鉛合金を活物質とする負極、セパレータ、および電解液を含む発電要素を装填してなる酸化銀電池において、
    上記正極に用いられる酸化銀は顆粒状であり、
    上記セパレータは、ポリオレフィンの幹ポリマーに(メタ)アクリル酸またはその誘導体がグラフト重合した形態のグラフト重合体で構成されるグラフトフィルムと、セロハンフィルムとを積層してなるものであり、且つ上記グラフトフィルム側が正極側となるように配置されており、
    上記グラフトフィルムは、電気抵抗が25mΩ・(2.54cm)以上75mΩ・(2.54cm)未満であることを特徴とする酸化銀電池。
  2. 上記グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、下記式で定義されるグラフト率が、60〜10%である請求項1に記載の酸化銀電池。
    グラフト率(%)=100×(A−B)/B
    [上記式中、A:グラフト重合体の質量(g)、B:グラフト重合体中の幹ポリマーの質量(g)である。]
  3. 上記グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、幹ポリマーであるポリオレフィンに、下記一般式により示される(メタ)アクリル酸またはその誘導体がグラフト重合したものである請求項1または2に記載の酸化銀電池。
    Figure 0004868566
    [上記一般式中、R はHまたはCH であり、R は、H、NH 、Na、K、RbまたはCsである。]
  4. 上記正極缶は、クロム含有量が23質量%以上の鉄基合金で構成されてなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の酸化銀電池。
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