JP5110276B2 - 精密鋳造鋳型用スラリー - Google Patents

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Description

本願発明はセラミックシェルからなる精密鋳造鋳型の作成に用いるスラリーに係わり、アルカリ性で安定なジルコニアゾルを用いた鋳型の作成において、時間が経過しても粘度が安定した精密鋳造鋳型用スラリーを提供するものである。
従来、精密鋳造鋳型の作成におけるバインダーとしては、水性シリカゾル、ジルコニアゾル等の酸化物ゾル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニル等の無機塩の水溶液が用いられている。近年チタン合金等に代表される活性金属の精密鋳造が実施されており、精密鋳造鋳型用バインダーとしてジルコニアゾル、塩基性無機塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム等を使用した方法が提案されている。
初層スラリーのバインダーとして、炭酸ジルコニウムアンモニウムを使用した方法が記載されている(特許文献1参照)。
初層スラリーのバインダーとして、酢酸ジルコニルを使用した方法が記載されている(特許文献2参照)。
精密鋳造鋳型に用いるバインダーとして、分散安定剤にヒドロキシル基を持つ水溶性有機酸及びヒドロキシル基を少なくとも2個持つ水溶性有機化合物の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有し、pH10から14であるジルコニアゾルを用いることが記載されている(特許文献3参照)。
特開2001−18033号公報 特開2000−126845号公報 特許第2900358号公報
精密鋳造鋳型の作成方法が種々提案されており、バインダーとしては、前述の炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニル等の水溶液又は酸性ジルコニアゾルに分散安定剤を添加したゾルを使用することが開示されている。これらの方法で用いられるバインダーは高価であり、かつバインダーの固形分濃度が低いため、最適な鋳型強度が得られないことから、これらバインダーは、表面のアルファケースの発生を抑えるための初層スラリー又は2層目のスラリーに使われる。
また、酸性の塩基性塩や酸性ジルコニアゾルに分散安定剤を添加して得た酸化物ゾルをバインダーとして適用する場合、酸化物ゾルに含まれる酸による装置の腐食が起こりやすいという問題があるため、酸性のバインダーは使用が制限される。よって、中性又はアルカリ性領域で安定なジルコニアゾルが望まれている。
精密鋳造の鋳型造型工程では、ワックスを鋳型模型として、バインダー及び耐火物粉末を主成分としたスラリーを鋳型模型に塗布した後、更に耐火物粉末を振りかけて乾燥する工程を数回繰り返して鋳型を作成する。この際、スラリーの粘度が経時的に変化すると、付着させるスラリー量が変化して均一な鋳型ができないため、スラリー粘度を一定に合わせる必要がある。このとき、粘度調整は揮発した水分やその水分量に見合ったバインダーを添加するが、これらの添加量が多すぎるとバインダーとフィラーとの比率が適切な範囲から外れて、鋳型の厚みが薄くなり、鋳型のクラック発生、強度不足等の不具合が生じる。精密鋳造鋳型の作成には、用いるスラリーの粘度が長時間安定でほとんど変化しないことが工程上重要である。
また、バインダーとして用いた酸化物ゾルに含まれるカウンターイオンがスラリー中の耐火物粉末に吸着され、あるいは耐火物粉末から酸化物ゾルの安定性を阻害するイオンが溶出されて、酸化物ゾルの安定性を阻害することがある。このため鋳型の強度が低下し、脱ロウ時やその後の鋳型焼成時に鋳型にクラックが発生する、溶融金属の鋳込み時に鋳型がその重量に耐え切れずに破損するといった不具合が発生する。
本願発明は、精密鋳造鋳型の製造に用いる鋳型作成用スラリーに、ジルコニアゾルと有機塩基のカルボン酸塩を用いることにより、スラリー粘度が安定であり、可使時間が長いスラリーを提案しようとするものである。
本発明は第1観点として、下記(a)工程及び(b)工程
(a)工程:ジルコニウム塩と第4級アンモニウム炭酸塩とを含む水溶液を60〜110
℃で加熱する工程、
(b)工程:水溶液を110〜250℃で水熱処理を行う工程、
を含む方法で得られたジルコニアゾル、耐火物粉末及び有機塩基のカルボン酸塩を含む精密鋳造鋳型用スラリーであって、前記有機塩基はトリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、アンモニア及び水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ前記カルボン酸は酢酸、シュウ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸及びアジピン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、精密鋳造鋳型用スラリーである。
第2観点として、ジルコニアゾルが前記(a)工程及び(b)工程のあとに、更に洗浄を行う方法により得られたゾルである第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第3観点として、洗浄後のpHが8〜11であるジルコニアゾルを用いる第2観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第4観点として、ジルコニウム塩が、オキシジルコニウム塩である第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第5観点として、ジルコニウム塩が、オキシ炭酸ジルコニウムである第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第6観点として、第4級アンモニウム炭酸塩が、(NR 4 2 CO 3 、NR 4 HCO 3 又はこれらの混合物(ただし、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基である。)である第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第7観点として、耐火物粉末が、ジルコニア、イットリウム部分安定化ジルコニア、カルシウム部分安定化ジルコニア、マグネシウム部分安定化ジルコニア、ハフニウム部分安定化ジルコニア、ジルコン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化イットリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーは、チタン合金等の活性金属を鋳造するための鋳型の製造に好適であり、スラリー粘度の長期安定性に優れるため、スラリーの付着量が均一となり、所望の強度の精密鋳造鋳型を製造することができる。
また本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーは可使時間が長いため、スラリーの劣化を補うための新しいスラリーの注ぎ足し頻度を低減することができるため、生産効率を高めることができ、原材料を節約することができる。
更に本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーにより製造された精密鋳造鋳型を用いてチタン合金等の活性金属を鋳造するとアルファケースと呼ばれる酸化層の欠陥がない金属を得ることができる。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーは、スラリーの可使時間が長いことが特徴であり、ジルコニアゾル、耐火物粉末及び有機塩基のカルボン酸塩を含む精密鋳造鋳型用スラリーである。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーに用いられるジルコニアゾルは、特に制限はなく、市販のジルコニアゾルを用いることができるが、スラリーの安定性、装置の腐食防止の観点からアルカリ性のジルコニアゾルであることが好ましい。ジルコニアゾルは、ZrO2成分単独の他、カルシウム、マグネシウム、イットリウム等がドープされ、部分安定化されたジルコニアゾルでもよい。
アルカリ性ジルコニアゾルとしては、(a)第4級アンモニウム炭酸塩を含む水性媒体中でジルコニウム塩を60〜110℃で加熱する工程、及び(b)110〜250℃で水熱処理を行う工程を含む方法で得られたジルコニアゾルを用いると更に好ましい。
アルカリ性ジルコニアゾルを製造する際に使用する特に好ましい第4級アンモニウム炭酸塩としては、(NR42CO3、NR4HCO3等が挙げられ、これらを単独で又は混合物として用いることができる。Rは、水素又は炭素数1〜18の炭化水素基を有するものがあげられる。炭化水素基は飽和又は不飽和の鎖式炭化水素基、脂環式又は芳香族の環式炭化水素基が例示される。例えば、飽和又は不飽和の鎖式炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、エチニル基、プロペニル基等が挙げられる。また、環式炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、スチリル基、ベンジル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。好ましい炭化水素基は、炭素数1〜炭素数4の炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。第4級アンモニウム炭酸塩としては、炭酸水素テトラメチルアンモニウムがより好適に使用できる。
本願発明においてジルコニアゾルの製造に用いられる第4級アンモニウム炭酸塩は、30〜60質量%水溶液として入手可能であり、特に第4級アンモニウム炭酸塩を水酸化第4級アンモニウム換算で44.5質量%含有する水溶液は市販品として容易に入手可能である。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーに用いられるジルコニアゾルとしては、アルカリ性ジルコニアゾルが特に好ましい。アルカリ性ジルコニアゾルを製造する方法において、原料として用いられるジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム等のオキシジルコニウム塩が用いられる。特にオキシ炭酸ジルコニウムが好ましく用いられる。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーに好ましく用いられるアルカリ性ジルコニアゾルは以下の(a)工程及び(b)工程を含む方法により製造することができる。
(a)工程は、第4級アンモニウム炭酸塩を含む水性媒体中でジルコニウム塩を60〜110℃で加熱する工程である。(a)工程に用いられる水性媒体のpHは9〜12であり、この水性媒体中の第4級アンモニウム炭酸塩の含有量は、10〜35質量%である。また、ジルコニウム塩はこの水性媒体中でZrOとして5〜20質量%である。
第4級アンモニウム炭酸塩を含む水性媒体は、水に第4級アンモニウム炭酸塩を溶解して調製する。調製される第4級アンモニウム炭酸塩水溶液の液性はアルカリ性を示す。


(a)工程では加熱温度が60℃未満では十分な加水分解が進行せずに、これらを水熱処理しても安定なアルカリ性ジルコニアゾルは得られない。また、(a)工程が110℃より高いと、ジルコニウム塩の加水分解において熟成時間を十分取らないまま高温の水熱処理を行うことになるため、均一なジルコニアゾルが得られにくく、好ましくない。(a)工程は、通常1〜20時間行われる。
(b)工程は、(b)工程後に110〜250℃で水熱処理を行う工程である。110℃未満では十分な水熱処理を行うことができず、また250℃を超えると大規模な水熱処理設備が必要となる。
水熱処理はオートクレーブ装置を用いて行われる。(b)工程は通常1〜20時間で行われる。この水熱処理工程を経て、ジルコニウム塩の加水分解物がコロイド状のジルコニア粒子となる。前記(a)工程及び(b)工程により得られるジルコニア粒子は、透過型電子顕微鏡観察により20〜300nmの範囲のものである。
前記(a)工程及び(b)工程により得られるコロイド状のジルコニア粒子の分散液は、pH8〜12のアルカリ性である。該分散液は、このままでもジルコニアゾルとして使用できる。
該分散液は更に(c)工程として、限外ろ過装置等を用いて純水による洗浄を行うことにより、不要な塩類が除去され、高純度のアルカリ性ジルコニアゾルを得ることができる。
この(c)工程を経て得られるアルカリ性ジルコニアゾルは、pH8〜11、コロイド状ジルコニア粒子の比表面積50〜300m/g、ZrO2濃度30〜60質量%、電導度2000〜10000μS/cm、粘度1〜30mPa・sの物性値を有するものである。また、コロイド状ジルコニア粒子の粒子径分布は(透過型電子顕微鏡観察で)20〜300nmの範囲である。
前記(a)工程及び(b)工程により得られる、好ましくは更に(c)工程を経て得られるアルカリ性ジルコニアゾルは、50℃で1ヶ月以上安定に存在する。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーに用いられるアルカリ性ジルコニアゾルは、所望により水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の水溶性無機塩基、n−プロピルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化モノメチルトリエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水溶性有機塩基等を含有することができる。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーは、ジルコニアゾル、耐火物粉末及び有機塩基のカルボン酸塩を含むスラリーである。耐火物粉末としてはジルコニア、イットリウム部分安定化ジルコニア、カルシウム部分安定化ジルコニア、マグネシウム部分安定化ジルコニア、ハフニウム部分安定化ジルコニア、ジルコン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化イットリウム等の耐火物粉末の1種又は2種以上を使用することができる。
また、鋳型の補強材としてスタッコと呼ばれる、耐火物粉末よりも粒子径の大きい耐火物が使用されるが、スタッコは前記耐火物粉末と同じ種類の耐火物を使用することができる。
また必要に応じて各種添加剤をスラリーに加えることができる。ワックスとの濡れ性を改良するための界面活性剤や発生する泡を除くための消泡剤、鋳造後の鋳物の金属結晶の方向性を安定化させるための結晶方向安定化剤、通気度や生型強度を上げるための樹脂エマルジョンや有機物、スラリーの粘度を調整するための増粘剤、スラリーの長期安定化を図るためのpH調整剤、スラリー中のバインダー濃度を安定に保つための純水、バインダーの増量剤としての塩基性無機塩類等は、スラリー製造時及び鋳型作成中のスラリーに任意に添加することができる。これらの添加物について、焼成後の鋳型に残存し且つアルファケース(活性金属表面にできる酸化層)の原因となるシリカ、リン酸等の成分は添加剤として用いることができない。
さらに本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーを用いて、アルファケースを発生させない十分な厚みの鋳型層を作成し、その後、通常の鉄系金属の精密鋳造に使用されるシリカゾル等のバインダーを用いた精密鋳造用スラリー、スタッコ等を用いて、強度補強のためのバックアップ層を形成してもよい。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーにおいて、スラリーの粘度安定化剤として有機塩基のカルボン酸塩が効果的である。スラリーの粘度安定化剤として、カルボン酸を単独で用いるとゾル又はスラリーのpHを低下させ、且つ第4級アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン等のジルコニアゾルを安定化している陽イオンと反応するため好ましくない。また、スラリーの粘度安定剤として有機塩基を単独で用いてもスラリーの粘度を低下させる効果が少ないため、好ましくない。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーの粘度安定剤として用いる有機塩基のカルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の脂式カルボン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂式ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、ピルビン酸などのオキソカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられ、これらを少なくとも1種又は2種以上含むことができる。前記カルボン酸は複数の種類のカルボン酸が混合されても特にスラリーの安定性が劣化する等の悪影響を及ぼさない。本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーを使用する際の臭いやスラリー調製の際の溶解性などの観点から、シュウ酸及びクエン酸が特に好ましい。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーの粘度安定剤として用いる有機塩基のカルボン酸塩を構成する有機塩基としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−メチルエチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、n−へプチルアミン、ジイソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、エタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−ブタノール、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化モノメチルトリエチルアンモニウム等が挙げられ、これらを少なくとも1種又は2種以上含むことができる。前記有機塩基は複数の種類の有機塩基が混合されても特にスラリーの安定性が劣化する等の悪影響を及ぼさない。本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーを使用する際の臭いやスラリー調製の際の溶解性、危険性等の観点から、第4級アンモニウム、特に水酸化モノメチルトリエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムが好ましい。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーに用いられる粘度安定剤の添加量は、スラリーの要求粘度により変わるが、粘度安定剤添加の前後でスラリーのpHの変動が2以内となる量を入れることができる。本願発明精密鋳造鋳型用スラリーに用いられるジルコニアゾルは、好ましくはpHが8〜11であるため、粘度安定剤を添加した後のスラリーのpHは6〜13であることが更に好ましい。
また多量の粘度安定剤を添加すると、スラリー中でバインダー成分であるジルコニアゾル濃度が低くなりすぎて、鋳型強度が低下するため、スラリー中のバインダー成分としてZrO210〜50質量%を維持できる量にすることが好ましい。スラリー中のバインダー成分としてZrO220〜50質量%を維持することが更に好ましい。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーに用いられる粘度安定剤は、予めカルボン酸と有機塩基を混合して得たものをジルコニアゾル、耐火物粉末の混合スラリーに添加しても良いし、ジルコニアゾル、耐火物粉末の混合スラリーに有機塩基を加えた後、カルボン酸水溶液を添加しても良い。より好ましくは、予めカルボン酸と有機塩基を混合して有機塩基のカルボン酸塩水溶液を調製し、未溶解物、析出物等がないように完全溶解した水溶液を得た後に、ジルコニアゾル、耐火物粉末の混合スラリーにこの完全溶解した有機塩基のカルボン酸塩水溶液を添加する。完全溶解した有機塩基のカルボン酸塩水溶液の添加量は、スラリー中のバインダー成分であるジルコニアゾル濃度が維持できる量とすればよい。
製造例1 ジルコニアゾルの調製
3リットルのガラス製容器に炭酸水素テトラメチルアンモニウム水溶液(多摩化学工業(株)製、水酸化テトラメチルアンモニウム換算で44.5質量%含有する。)1306.1gと純水592.2gとを投入し希釈水溶液とした。この水溶液を攪拌しながら95℃まで加熱した後、炭酸ジルコニル粉末(ZrOCO3)(第一稀元素化学工業(株)製、ZrO2として42.1質量%含有する。)801.7gを水溶液中に徐々に添加した。添加終了後、更に105℃まで加熱し、更に105℃で6時間熟成した。熟成終了時点では混合液はスラリー状分散液であり、ZrO2として12.5質量%、pH10.6であった。このスラリー状分散液を3リットルのステンレス製オートクレーブ容器に移し替え、攪拌下140℃で3時間の水熱合成反応を行った。この反応の生成物は、未溶解物がなく完全にゾルの状態であった。得られたゾルは、ZrO212.5質量%、pH9.8であった。次いでこのゾルを、限外ろ過装置を使用して純水を徐々に添加しながら洗浄及び濃縮を行ったところ、ZrO2濃度40.6質量%の高濃度のジルコニアゾルが得られた。このジルコニアゾルは、比重1.540、pH8.9、粘度4.1mPa・s、水酸化テトラメチルアンモニウム濃度(滴定法)1.0質量%、水58%、透過型電子顕微鏡観察によるコロイド状ジルコニア粒子の粒子径は20〜150nm、動的光散乱法による粒子径は77nmであった。また、このジルコニアゾルは沈降物がなく、50℃の条件下で1ヶ月以上安定であった。
実施例1
2リットルのガラスビーカーに純水300g、酢酸(ダイセル化学工業(株)製、CH3COOH濃度80質量%)267g及びジイソプロピルアミン(関東化学(株)製、99.6質量%)360gを投入し、酢酸ジイソプロピルアミン水溶液(粘度安定化剤No.1)を調製した。調製された酢酸ジイソプロピルアミン水溶液は、室温で1ヶ月以上安定であり、析出物等の発生は起こらなかった。
次に20リットルのプラスチック容器を用いて製造例1で得られたジルコニアゾル1.8kgと粘度安定剤としての酢酸ジイソプロピル水溶液47gとを混合し、更に耐火物粉末として、カルシウム部分安定型ジルコニア粉末(ジルボンG#325、福島製鋼(株)製)6.3kgを添加し、攪拌機で24時間混合して、スラリーNo.1を調製した。得られたスラリーNo.1は、固形分86.2質量%、pH7.68、23℃における粘度(ザーンカップNo.4粘度)33.6秒であった。スラリーNo.1は、室温で密閉容器中1ヶ月静置後、約3時間再分散してザーンカップ粘度を測定した。静置1ヶ月後のザーンカップ粘度は33.9秒であった。
実施例2〜17
実施例1と同様の方法で表1に示した粘度安定剤を調製した。更に実施例1と同様の方法で、表2に示したジルコニアゾル、フィラー、粘度安定剤を混合してスラリーNo.2〜No.17を調製した。スラリー調製直後及び密閉容器中1ヶ月静置後の23℃におけるザーンカップ粘度の測定結果を表3に示した。スラリーNo.2〜No.17は、いずれも調製直後に対して密閉容器中1ヶ月静置後のザーンカップ粘度は殆ど変化がなく、スラリーの粘度は長期間安定であった。
実施例18
20リットルのプラスチック容器を用いて製造例1で得られたジルコニアゾル1.8kgと耐火物粉末であるカルシウム部分安定型ジルコニア粉末(ジルボン#325、福島製鋼(株)製)6.3kgを添加し、攪拌機で10分混合した後、有機塩基としてジイソプロピルアミン(関東化学(株)製、99.6%)182g、カルボン酸として酢酸(ダイセル化学工業(株)製、CH3COOH濃度80質量%)135gを順次添加した。添加後、攪拌機で更に24時間混合して、スラリーNo.18を調製した。得られたスラリーNo.18は、固形分83.5質量%、pH7.64、23℃における粘度(ザーンカップNo.4粘度)33.5秒であった。スラリーNo.18は、室温で密閉容器中1ヶ月静置後、約3時間再分散してザーンカップ粘度を測定した。静置1ヶ月後のザーンカップ粘度は33.7秒であった。
実施例19〜33
実施例18と同様の方法で表2に示したジルコニアゾル、フィラー、有機塩基、カルボン酸を混合してスラリーNo.19〜No.33を調製した。スラリー調製直後及び密閉容器中1ヶ月静置後の20℃におけるザーンカップ粘度の測定結果を表3に示した。スラリーNo.19〜No.33は、いずれも調製直後に対して密閉容器中1ヶ月静置後のザーンカップ粘度は殆ど変化がなく、スラリーの粘度は長期間安定であった。
比較例1〜16
20リットルのプラスチック容器を用いて、製造例1で調製したジルコニアゾルと表4に示した添加剤(カルボン酸、有機塩基又は無機塩)、フィラーを攪拌機で24時間混合して、比較スラリーNo.1〜No.16を調製した。比較スラリーNo.1〜No.16の調製直後及び密閉容器中1ヶ月静置後のザーンカップ粘度の測定をおこなった。測定結果を表3に示した。比較スラリーNo.1〜No.16は、密閉容器中1ヶ月静置後にいずれのスラリーも固化又はザーンカップ粘度で60秒以上となり、鋳型作成ができない状態であった。
本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーにより得られる精密鋳造鋳型は強度が高く、アルファケースと呼ばれる酸化層の欠陥を生じることがなく、チタン合金などの活性金属を鋳造するための鋳型に好適である。本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーは長期間粘度が安定であり、均一な厚みと強度を有する精密鋳造鋳型の作製に利用することができる。

Claims (7)

  1. 下記(a)工程及び(b)工程
    (a)工程:ジルコニウム塩と第4級アンモニウム炭酸塩とを含む水溶液を60〜110℃で加熱する工程、
    (b)工程:水溶液を110〜250℃で水熱処理を行う工程、
    を含む方法で得られたジルコニアゾル、耐火物粉末及び有機塩基のカルボン酸塩を含む精密鋳造鋳型用スラリーであって、前記有機塩基はトリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、アンモニア及び水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ前記カルボン酸は酢酸、シュウ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸及びアジピン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、精密鋳造鋳型用スラリー。
  2. ジルコニアゾルが前記(a)工程及び(b)工程のあとに、更に洗浄を行う方法により得られたゾルである請求項に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
  3. 洗浄後のpHが8〜11であるジルコニアゾルを用いる請求項に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
  4. ジルコニウム塩が、オキシジルコニウム塩である請求項に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
  5. ジルコニウム塩が、オキシ炭酸ジルコニウムである請求項に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
  6. 第4級アンモニウム炭酸塩が、(NR42CO3、NR4HCO3又はこれらの混合物(ただし、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基である。)である請求項に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
  7. 耐火物粉末が、ジルコニア、イットリウム部分安定化ジルコニア、カルシウム部分安定化ジルコニア、マグネシウム部分安定化ジルコニア、ハフニウム部分安定化ジルコニア、ジルコン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化イットリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
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