JP2009113055A - 精密鋳造鋳型用スラリー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジルコニアゾル、耐火物粉末及び有機塩基のカルボン酸塩を含む精密鋳造鋳型用スラリーによる。本願発明の精密鋳造鋳型用スラリーは可使時間が長いため、スラリーの劣化を補うための新しいスラリーの注ぎ足し頻度を低減することができるため、生産効率を高めることができる。
【選択図】 なし
Description
第2観点として、ジルコニアゾルが、下記(a)工程及び(b)工程を含む方法で得られたゾルである第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである:
(a)工程:ジルコニウム塩と第4級アンモニウム炭酸塩とを含む水溶液を60〜110℃で加熱する工程、
(b)工程:水溶液を110〜250℃で水熱処理を行う工程。
第3観点として、ジルコニアゾルが前記(a)工程及び(b)工程のあとに、更に洗浄を行う方法により得られたゾルである第2観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。第4観点として、洗浄後のpHが8〜11であるジルコニアゾルを用いる第3観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第5観点として、ジルコニウム塩が、オキシジルコニウム塩である第2観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第6観点として、ジルコニウム塩が、オキシ炭酸ジルコニウムである第2観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第7観点として、第4級アンモニウム炭酸塩が、(NR4)2CO3、NR4HCO3又はこれらの混合物(ただし、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基である。)である第2観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第8観点として、耐火物粉末が、ジルコニア、イットリウム部分安定化ジルコニア、カルシウム部分安定化ジルコニア、マグネシウム部分安定化ジルコニア、ハフニウム部分安定化ジルコニア、ジルコン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化イットリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第9観点として、カルボン酸が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上である第1観点に記載の精密鋳造鋳型用スラリーである。
第10観点として、有機塩基が、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−メチルエチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、n−へプチルアミン、ジイソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、エタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−ブタノール、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化モノメチルトリエチルアンモニウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である第1観点に記載の精密鋳造用スラリーである。
(a)工程では加熱温度が60℃未満では十分な加水分解が進行せずに、これらを水熱処理しても安定なアルカリ性ジルコニアゾルは得られない。また、(a)工程が110℃より高いと、ジルコニウム塩の加水分解において熟成時間を十分取らないまま高温の水熱処理を行うことになるため、均一なジルコニアゾルが得られにくく、好ましくない。(a)工程は、通常1〜20時間行われる。
3リットルのガラス製容器に炭酸水素テトラメチルアンモニウム水溶液(多摩化学工業(株)製、水酸化テトラメチルアンモニウム換算で44.5質量%含有する。)1306.1gと純水592.2gとを投入し希釈水溶液とした。この水溶液を攪拌しながら95℃まで加熱した後、炭酸ジルコニル粉末(ZrOCO3)(第一稀元素化学工業(株)製、ZrO2として42.1質量%含有する。)801.7gを水溶液中に徐々に添加した。添加終了後、更に105℃まで加熱し、更に105℃で6時間熟成した。熟成終了時点では混合液はスラリー状分散液であり、ZrO2として12.5質量%、pH10.6であった。このスラリー状分散液を3リットルのステンレス製オートクレーブ容器に移し替え、攪拌下140℃で3時間の水熱合成反応を行った。この反応の生成物は、未溶解物がなく完全にゾルの状態であった。得られたゾルは、ZrO212.5質量%、pH9.8であった。次いでこのゾルを、限外ろ過装置を使用して純水を徐々に添加しながら洗浄及び濃縮を行ったところ、ZrO2濃度40.6質量%の高濃度のジルコニアゾルが得られた。このジルコニアゾルは、比重1.540、pH8.9、粘度4.1mPa・s、水酸化テトラメチルアンモニウム濃度(滴定法)1.0質量%、水58%、透過型電子顕微鏡観察によるコロイド状ジルコニア粒子の粒子径は20〜150nm、動的光散乱法による粒子径は77nmであった。また、このジルコニアゾルは沈降物がなく、50℃の条件下で1ヶ月以上安定であった。
2リットルのガラスビーカーに純水300g、酢酸(ダイセル化学工業(株)製、CH3COOH濃度80質量%)267g及びジイソプロピルアミン(関東化学(株)製、99.6質量%)360gを投入し、酢酸ジイソプロピルアミン水溶液(粘度安定化剤No.1)を調製した。調製された酢酸ジイソプロピルアミン水溶液は、室温で1ヶ月以上安定であり、析出物等の発生は起こらなかった。
実施例1と同様の方法で表1に示した粘度安定剤を調製した。更に実施例1と同様の方法で、表2に示したジルコニアゾル、フィラー、粘度安定剤を混合してスラリーNo.2〜No.17を調製した。スラリー調製直後及び密閉容器中1ヶ月静置後の23℃におけるザーンカップ粘度の測定結果を表3に示した。スラリーNo.2〜No.17は、いずれも調製直後に対して密閉容器中1ヶ月静置後のザーンカップ粘度は殆ど変化がなく、スラリーの粘度は長期間安定であった。
20リットルのプラスチック容器を用いて製造例1で得られたジルコニアゾル1.8kgと耐火物粉末であるカルシウム部分安定型ジルコニア粉末(ジルボン#325、福島製鋼(株)製)6.3kgを添加し、攪拌機で10分混合した後、有機塩基としてジイソプロピルアミン(関東化学(株)製、99.6%)182g、カルボン酸として酢酸(ダイセル化学工業(株)製、CH3COOH濃度80質量%)135gを順次添加した。添加後、攪拌機で更に24時間混合して、スラリーNo.18を調製した。得られたスラリーNo.18は、固形分83.5質量%、pH7.64、23℃における粘度(ザーンカップNo.4粘度)33.5秒であった。スラリーNo.18は、室温で密閉容器中1ヶ月静置後、約3時間再分散してザーンカップ粘度を測定した。静置1ヶ月後のザーンカップ粘度は33.7秒であった。
実施例18と同様の方法で表2に示したジルコニアゾル、フィラー、有機塩基、カルボン酸を混合してスラリーNo.19〜No.33を調製した。スラリー調製直後及び密閉容器中1ヶ月静置後の20℃におけるザーンカップ粘度の測定結果を表3に示した。スラリーNo.19〜No.33は、いずれも調製直後に対して密閉容器中1ヶ月静置後のザーンカップ粘度は殆ど変化がなく、スラリーの粘度は長期間安定であった。
20リットルのプラスチック容器を用いて、製造例1で調製したジルコニアゾルと表4に示した添加剤(カルボン酸、有機塩基又は無機塩)、フィラーを攪拌機で24時間混合して、比較スラリーNo.1〜No.16を調製した。比較スラリーNo.1〜No.16の調製直後及び密閉容器中1ヶ月静置後のザーンカップ粘度の測定をおこなった。測定結果を表3に示した。比較スラリーNo.1〜No.16は、密閉容器中1ヶ月静置後にいずれのスラリーも固化又はザーンカップ粘度で60秒以上となり、鋳型作成ができない状態であった。
Claims (10)
- ジルコニアゾル、耐火物粉末及び有機塩基のカルボン酸塩を含む精密鋳造鋳型用スラリー。
- ジルコニアゾルが、下記(a)工程及び(b)工程を含む方法で得られたゾルである請求項1に記載の精密鋳造鋳型用スラリー:
(a)工程:ジルコニウム塩と第4級アンモニウム炭酸塩とを含む水溶液を60〜110℃で加熱する工程、
(b)工程:水溶液を110〜250℃で水熱処理を行う工程。 - ジルコニアゾルが前記(a)工程及び(b)工程のあとに、更に洗浄を行う方法により得られたゾルである請求項2に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- 洗浄後のpHが8〜11であるジルコニアゾルを用いる請求項3に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- ジルコニウム塩が、オキシジルコニウム塩である請求項2に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- ジルコニウム塩が、オキシ炭酸ジルコニウムである請求項2に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- 第4級アンモニウム炭酸塩が、(NR4)2CO3、NR4HCO3又はこれらの混合物(ただし、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基である。)である請求項2に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- 耐火物粉末が、ジルコニア、イットリウム部分安定化ジルコニア、カルシウム部分安定化ジルコニア、マグネシウム部分安定化ジルコニア、ハフニウム部分安定化ジルコニア、ジルコン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化イットリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- カルボン酸が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の精密鋳造鋳型用スラリー。
- 有機塩基が、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−メチルエチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、n−へプチルアミン、ジイソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、エタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−ブタノール、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化モノメチルトリエチルアンモニウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の精密鋳造用スラリー。
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