JP4236182B2 - 有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法 - Google Patents

有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4236182B2
JP4236182B2 JP2004123676A JP2004123676A JP4236182B2 JP 4236182 B2 JP4236182 B2 JP 4236182B2 JP 2004123676 A JP2004123676 A JP 2004123676A JP 2004123676 A JP2004123676 A JP 2004123676A JP 4236182 B2 JP4236182 B2 JP 4236182B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
niobium oxide
oxide sol
citric acid
oxalic acid
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004123676A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005306641A (ja
Inventor
勇 山口
裕之 井筒
寛之 守屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taki Chemical Co Ltd
Original Assignee
Taki Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taki Chemical Co Ltd filed Critical Taki Chemical Co Ltd
Priority to JP2004123676A priority Critical patent/JP4236182B2/ja
Publication of JP2005306641A publication Critical patent/JP2005306641A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4236182B2 publication Critical patent/JP4236182B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、有機溶媒あるいは有機溶媒系ポリマーとの相溶性および液安定性に優れ、水溶媒に分散した酸化ニオブゾルでは達成できなかった広範な原料用途に適応できる有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法に関する。
近年、セラミック原料、電子材料、表面処理剤などに屈折率や誘電率が高い酸化ニオブを使用する需要が高まっており、殊に触媒、オプトエレクトロニクス材料、半導体材料、塗料、表面保護剤、反射防止材、屈折率調整剤等の原料として粒子径が小さく、且つ均一な粒度分布を有する酸化ニオブ原料が要求されている。
このような現状において、上述の要求に応じるべく、微細粒子の酸化ニオブゾルを提供する技術が開発されている。例えば、本出願人は、各種用途に使用できるシュウ酸安定型酸化ニオブゾルの技術を先に出願した(例えば、特許文献1参照)。
更に、本出願人は、このシュウ酸安定型酸化ニオブゾルの用途に於いて、他の金属元素と併用するとゾルの安定性が低下し、ゲル化によってゾル溶液が不安定化するために使用できなくなる点を改良するため、上記シュウ酸安定化ニオブゾルにクエン酸を含有せしめるか、更には、クエン酸を加えた後、アンモニア水溶液を添加することにより上記欠点を回避するクエン酸を添加したシュウ酸安定型酸化ニオブゾルを開示している(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの製法で得られるシュウ酸安定型酸化ニオブゾルまたはクエン酸を添加したシュウ酸安定型酸化ニオブゾルは、粒子表面が親水性となっており、所謂水溶媒に分散した酸化ニオブゾルである。水分散型の酸化ニオブゾルは、エタノールのような親水性有機溶媒とは、ある一定の範囲内で混和することができるが、混和する有機溶媒量が多くなると不安定となり、多くの場合ゲル化や増粘する傾向にある。殊に、酸化ニオブ濃度が高い場合、その傾向は顕著である。また、疎水性有機溶媒にいたっては、ほとんどの場合混和する事ができない。
実際、これら酸化ニオブゾルを電子材料用原料として他の有機溶媒分散型金属酸化物原料と混合する場合、増粘したり、ゲル化して安定生産できない欠点があった。また、表面保護剤等へ利用する場合、成形助剤として用いる有機系バインダーとの相溶性が悪く、均質なコーティングができない欠点を有しており、その用途が著しく限定されているのが現状である。
ところで、有機溶媒分散型酸化チタンゾルの製造方法として、オキシカルボン酸で安定化された水分散型酸化チタンゾルの存在化にアミン化合物を添加した後、水溶媒を有機溶媒で置換する方法を本出願人は提案した(例えば、特許文献3参照)。
この技術をこれら酸化ニオブに適用したが、有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを得ることができなかった。即ち、特許文献1に記載されているように、酸化ニオブは、オキシカルボン酸としてシュウ酸のみしか水分散型酸化ニオブゾルを得ることができず、このシュウ酸安定型酸化ニオブゾルでは、酸化チタンで得た技術を生かすことができなかった。また、特許文献2記載の製造方法による単にクエン酸を添加したシュウ酸安定型酸化ニオブゾルやその後アンモニア水溶液を添加したものに関しても同様に有機溶媒分散型の酸化ニオブゾルを得ることができなかった。
このような背景から、有機溶媒と相溶性の良い酸化ニオブゾルの開発が待たれていた。
特開平6−321543号 特開平8−143314号 特開2003−192348
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するため、有機溶媒と相溶性の高い酸化ニオブゾルとして有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾル(以下、有機溶媒分散型酸化ニオブゾルという)の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、酸化ニオブゾルを有機溶媒と混合して使用しても、安定性が低下しない有機溶媒分散型酸化ニオブゾルについて鋭意検討を重ねた結果、本出願人が先に出願した出願特許(特願2004-005577)のシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルに、アミン化合物を添加することにより、実質的に酸化ニオブゾルが有機溶媒に分散化可能となることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明はシュウ酸安定型酸化ニオブゾルにクエン酸または水溶性クエン酸塩をクエン酸/Nb (モル比)=0.1〜0.5の範囲で添加した後、アンモニアを添加してpHを7〜10に調整し、次いで限外濾過することにより製造したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルに、1〜4級のアミン化合物をアミン化合物/Nb (モル比)=0.2〜2.0の範囲で添加した後、水溶媒を有機溶媒で置換することを特徴とするクエン酸/シュウ酸(モル比)=0.5〜10で、且つシュウ酸/Nb (モル比)=0.05〜0.3の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法に関する。
更に本発明は、シュウ酸安定型酸化ニオブゾルにクエン酸または水溶性クエン酸塩をクエン酸/Nb (モル比)=0.1〜0.5の範囲で添加した後、アンモニアを添加してpHを7〜10に調整し、次いで限外濾過した後、これに酸性化合物を添加してpHを3〜5に調整することにより製造したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルに、1〜4級のアミン化合物をアミン化合物/Nb (モル比)=0.2〜2.0の範囲で添加した後、水溶媒を有機溶媒で置換することを特徴とするクエン酸/シュウ酸(モル比)=0.5〜10で、且つシュウ酸/Nb (モル比)=0.05〜0.3の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法に関する。
本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルは、有機溶媒あるいは有機溶媒系ポリマーとの相溶性と液安定性に優れているので、各種材料への応用範囲も大幅に広がり、触媒、オプトエレクトロニクス材料、半導体材料、誘電体材料、塗料、表面保護剤、反射防止材、屈折率調整剤等の原料として極めて有用である。
以下本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルの製造方法について詳細に説明する。本発明の出発原料であるシュウ酸安定型酸化ニオブゾルに関しては、特許文献1に記載の方法で得られる酸化ニオブゾルや市販の酸化ニオブゾル(例えば、多木化学(株)製)等を原料として用いることができる。今、シュウ酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法について例示すると、まず、活性な水酸化ニオブにシュウ酸をシュウ酸/Nb(モル比)=0.9〜2.5の範囲となるように添加して、温度90℃以上で4時間以上の加熱反応を行うことにより得ることができる。シュウ酸添加量が多い場合は増粘傾向が強いため、限外濾過装置等を使用して、余剰なシュウ酸を含む水溶性塩類を除去してから使用することが望ましい。
本発明のシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製法に関しては、上述のシュウ酸安定型酸化ニオブゾルにクエン酸または水溶性クエン酸塩を加えた後、アンモニアを添加してpHを7〜10に調整し、次いで限外濾過することにより製造することができる。
クエン酸は、粉末状態で添加しても、水溶液で添加しても良く、これによって得られるシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの性能に影響を与えることはない。また、水溶性クエン酸塩を使用することができ、このような塩としては、クエン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどを例示することができる。
クエン酸または水溶性クエン酸塩の添加量に関しては言えば、特に限定する必要はないが、クエン酸量は、クエン酸/Nb(モル比)=0.1〜0.5の範囲となるように添加することが望ましい。即ち、下限を下廻りクエン酸量が不足すると、シュウ酸の除去率が低くなるため安定な本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを得ることができない。また反対に上限を上廻り、過剰のクエン酸または水溶性クエン酸塩を添加しても、次工程(アンモニアを添加してpHを7〜10に調整し、次いで限外濾過する工程)でクエン酸アンモニウムとして系外に排出され、経済的でない。
次に、クエン酸を添加したシュウ酸安定型ニオブゾルは、アンモニアを添加してpHを7〜10に調整する。アンモニアとしては、アンモニアガスでもアンモニア水溶液でも良いが、反応の不均一性を回避できることから後者が望ましい。アンモニアによって調整されたpHが7未満のときは、外観的にゾルに変化はないものの、シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの安定性が悪化する。また、pHが10を超えるとゾルの溶解や増粘、ゲル化を生じ好ましくはなく、とりわけpH8〜9の範囲で調整することが好ましい。
pH調整の際の酸化ニオブ濃度に関しては、特に制限はないが、シュウ酸、クエン酸の含有量や調整するpHによっては、ゾル粘度が高くなる場合があり、Nbとして10質量%以下の濃度で行なうことが好ましい。
pH調整を行なった後の酸化ニオブゾル溶液は、次いで限外濾過装置を使用し、水溶性塩類が除去される。この限外濾過工程は極めて重要な工程である。本発明に於いて限外濾過とは、例えば分画分子量10,000程度の濾過膜を装着した限外濾過装置を使用し、シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルのNb濃度10質量%での電気伝導度が5S/m以下、好ましくは2S/m以下にすることをいう。本発明で重要なことは、限外濾過しない場合、本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルは製造することができない点である。即ち、酸化ニオブに吸着しているシュウ酸は、アンモニアを添加し、限外濾過することによって選択的にシュウ酸アンモニウムとして系外に一部除去され、本発明の原料である下記組成のシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルを得ることができる。このメカニズムについては定かでないが、酸化ニオブ表面に吸着しているシュウ酸がシュウ酸アンモニウムとして脱離すると同時にクエン酸が選択的に吸着するものと考えられる。
限外濾過によって得られたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの濃度調整に関しては、限外濾過工程中に行なうこともできるが、加熱濃縮や減圧蒸留等の手段を用いて行なうこともでき、Nbとして5〜20質量%の範囲内で自由に調整することができる。
このようにして得ることができるシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルは、ゾル溶液のpHが7〜9の範囲にあるが、これに酸性化合物を添加して、pHを3〜5に調整することにより、シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの濃度に関しては、Nbとして、より高濃度の5〜40質量%の範囲内で自由に調整できるようになり、経時安定性の更に高い有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを製造することができる。本発明に用いる酸性化合物の種類としては、クエン酸が最も好ましいが、ゾル中のクエン酸量が、クエン酸/シュウ酸(モル比)=0.5〜10であれば、クエン酸以外のリンゴ酸、酒石酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸を酸性化合物として用いることができる。
以上述べてきた本発明に用いるシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの組成に関しては、クエン酸/シュウ酸(モル比)=0.5〜10で、且つシュウ酸/Nb(モル比)0.05〜0.3が望ましい。シュウ酸に対するクエン酸のモル比が0.5を下廻るとゾルの安定性が低下し、安定性の優れた有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを得ることができない。一方、10を超えて添加しても添加量に見合う安定性への寄与は大きくない。また、シュウ酸量に関して、下限の0.05以下では、シュウ酸を除去するための生産効率が低下し、経済的でなく、それに見合った安定性への効果を期待することができない。0.3を超えると安定性の優れた有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを得ることができない。
このように組成調整されたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルにアミン化合物を添加した後、有機溶媒を添加し、水溶媒を有機溶媒に置換することにより、本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを得ることができる。
使用するアミン化合物の種類としては、エチルアミン、プロピルアミン、アリルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、オクチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、アニリン等の1級アミン化合物、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジブチルアミン、N-メチルメタノールアミン等の2級アミン化合物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン等の3級アミン化合物および水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化トリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩化合物を例示できる。この中で、これらアミン化合物のうち1級、2級および3級のアルキルアミン化合物が溶解性および反応性の点から最も好ましい。特に好ましいアミン化合物としては、1級アミン化合物のブチルアミン、2級アミン化合物のジブチルアミン、3級アミン化合物のトリプロピルアミンを例示できるが、これらに限定されるものではない。
アミン化合物の使用量に関しては云えば、酸化ニオブゾルの粒子径が大きくなる程、アミン化合物の使用量は少量でよく、また、反対に粒子径が小さくなる程、アミン化合物の使用量は多くなる。その使用量は、酸化ニオブのNb量に対してモル比0.2〜2.0の範囲である。アミン化合物の使用量がこの範囲を逸脱し、0.2を下廻るとゾル粒子が疎水性とならないため有機溶媒との相溶性が低下する。また、反対にアミン化合物の使用量が2.0を上廻っても、その添加量に見合った効果は発現せず経済的でない。
本発明で使用できる有機溶媒は、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ブチルカルビトール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、4−ブチロラクトン等のエステル類を例示することができる。
本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾル中の水分量は、有機溶媒と水との共沸蒸留により自由に制御でき、特に限定されないが、本発明では10質量%以下、好ましくは3質量%以下が良い。
水との相溶性が低い有機溶媒、例えば1-ブタノール、メチルイソブチルケトンなどに分散させる場合は、先ず水と相溶性の良いメタノール、エタノール等の有機溶媒を用いて有機溶媒分散型の酸化ニオブゾルを製造した後、上記水との相溶性の低い有機溶媒と再度蒸留置換することで目的の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルを得ることができる。
本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルの酸化ニオブ濃度に関しては、Nbとして5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%の範囲である。5質量%以下では、他成分と混合する場合に濃度調整が困難となるだけでなく、経済的にも不利となる。一方、40質量%以上になると、粘度が高くなりすぎてゾルの安定性が悪くなる。
本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルの粒子径に関しては、原料として用いるシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの粒子径に依存し、特段限定されないが、概ね1〜100nmの範囲内にある。必要に応じて大きい粒子を所望するときは、原料であるシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの粒子径の大きい原料を用いて製造することができる。
また、本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルは、その物性上、酸化ニオブ濃度が30質量%と高い場合でも、へイズ率が20%以下と非常に濁りの少ない特徴を有し、透明性が要求されるようなメガネレンズのコート剤、その他光学用途に特に有用である。また、酸化ニオブ濃度が30質量%のときの粘度に関しても、数十cp程度で非常に粘度が低く、工業的な取り扱いが非常に優れたものである。
この様にして得られる本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルは、有機溶媒あるいは有機溶媒系ポリマーとの相溶性と安定性に優れ、各種用途に好適な材料である。本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルに、必要に応じて使用する有機溶媒と混合可能な無機バインダー、有機バインダーあるいは有機無機複合バインダーを添加混合することもできる。
以下に本発明の実施例を掲げて更に説明を行う。尚、%は特に断らない限り全て質量%を示す。
本発明の有機溶媒分散型酸化ニオブゾルの物性は、以下の方法で測定した。
平均粒子径の測定
平均粒子径は、動的光散乱色粒度分布測定装置LB-500(堀場製作所製)を用いて測定した。
ヘイズ率の測定
ヘイズ率は、色差計COH-300A(日本電色工業製)を用いて測定した。測定条件としては、試料を光路長1cmのガラスセルに入れて測定した。
粘度の測定
粘度は、E型粘度計(トキメック製)を用いて、25℃における粘度を測定した。
含水率の測定
含水率は、自動水分測定装置 KF-100(三菱化学製)を用いて、カールフィッシャー容量滴定方式にて測定した。
電気伝導度の測定
電気伝導度は、電気伝導度計 CM−14P(TOA ELECTRON Ltd.製)を用いて測定した。
市販のシュウ酸安定型酸化ニオブゾル(多木化学(株)製、Nb=10.2%、シュウ酸/Nb(モル比)=0.62)にクエン酸/Nb(モル比)=0.35となるようにクエン酸一水和物を添加したあと、アンモニア水溶液(15%)を用いてpHを8.5に調整した。このゾルを限外濾過装置(マイクローザUF:型式SLP−1053;旭化成製)を使用して、限外濾過を行い、Nb濃度を10%に調整した。得られたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルは、pH 7.6で、クエン酸/シュウ酸(モル比)=2.69、シュウ酸/Nb(モル比)=0.13、電気伝導度0.6S/mであった。
このようにして得られたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾル200gを撹拌しながら、ブチルアミンをブチルアミン/Nb(モル比)=0.6添加した。これにエタノールを600g添加し、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮する操作を4回繰り返し、有機溶媒置換率を順次向上させ、Nb濃度10.2%、含水率1.2%、平均粒子径10.2nm、ヘイズ率3.7%、粘度12.3cpのエタノール分散型酸化ニオブゾルを得た。
得られたエタノール分散型酸化ニオブゾルを35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、6ヶ月後も高い流動性を保持していた。。
市販のシュウ酸安定型酸化ニオブゾル(多木化学(株)製、Nb=10.2%、シュウ酸/Nb(モル比)=0.62)にクエン酸/Nb(モル比)=0.20となるようにクエン酸一水和物を添加したあと、アンモニア水溶液(15%)を用いてpHを8.5に調整した。このゾルを限外濾過装置(マイクローザUF:型式SLP−1053;旭化成製)を使用して、限外濾過を行ない、Nb濃度を20%に調整した。次いで、クエン酸一水和物を、クエン酸/Nb(モル比)=0.15添加した。得られたシュウ酸・クエン酸安定化酸化ニオブゾルは、pH3.8で、クエン酸/シュウ酸(モル比)=1.94、シュウ酸/Nb(モル比)=0.18であった。得られたゾルの酸化ニオブ濃度10%での電気伝導度は0.8S/mであった。
このようにして得られたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾル200gを撹拌しながら、ブチルアミンをブチルアミン/Nb(モル比)=0.6添加した。これにエタノールを600g添加し、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮する操作を4回繰り返し、有機溶媒置換率を順次向上させた。次いで、全量130gになるまで濃縮し、Nb濃度30.5%、含水率1.9%、平均粒子径10.2nm、ヘイズ率6.7%、粘度13.5cpのエタノール分散型酸化ニオブゾルを得た。
得られたエタノール分散型酸化ニオブゾルのNb濃度をエタノールで20%に調整したものは、35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、6ヶ月後も高い流動性を保持していた。
実施例2で使用したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾル200gを撹拌しながら、ブチルアミンをブチルアミン/Nb(モル比)=0.9添加した。これに2−プロパノールを600g添加し、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮する操作を3回繰り返し、有機溶媒置換率を順次向上させ、Nb濃度20.4%、含水率1.1%、平均粒子径10.8nm、ヘイズ率11.5%、粘度10.6cpの2−プロパノール分散型酸化ニオブゾルを得た。
得られた2−プロパノール分散型酸化ニオブゾルを、35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、6ヶ月後も高い流動性を保持していた。
実施例2で使用したブチルアミンをジブチルアミン(ジブチルアミン/Nb(モル比)=0.6)にする以外同様の方法で、Nb濃度20.8%、含水率1.8%、平均粒子径10.6nm、ヘイズ率13.5%、粘度12.6cpの2−プロパノール分散型酸化ニオブゾルを得た。
得られた2−プロパノール分散型酸化ニオブゾルを、35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、6ヶ月後も高い流動性を保持していた。
実施例2で得られたNb濃度20%のエタノール分散型酸化ニオブゾル200gに1−ブタノールを600g添加し、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮する操作を2回繰り返し、有機溶媒置換率を順次向上させ、Nb濃度20.2%、含水率0.5%、平均粒子径10.1nm、ヘイズ率5.5%、粘度22.5cpの1−ブタノール分散型酸化ニオブゾルを得た。
得られた1−ブタノール分散型酸化ニオブゾルを、35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、6ヶ月後も高い流動性を保持していた。
実施例2で使用したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾル200gを撹拌しながら、エタノールを300g添加した。これにオクチルアミンをオクチルアミン/Nb(モル比)=0.6添加し、エタノールを300g追加添加した。このとき、白色の析出物が出るが、数分間撹拌する事で再溶解する。これをロータリーエバポレーターで全量が400gになるまで濃縮し、次いでメチルイソブチルケトンを400g添加し、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮した。更にメチルイソブチルケトンを600g添加し、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮する操作を2回繰り返し、有機溶媒置換率を順次向上させた。次いで全量160gになるまで濃縮し、Nb濃度25.0%、含水率1.1%、平均粒子径10.1nm、ヘイズ率5.7%のメチルイソブチルケトン分散型酸化ニオブゾルを得た。
得られたメチルイソブチルケトン分散型酸化ニオブゾルのNb濃度をメチルイソブチルケトンで20%に調整したサンプルを、35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、黄色味を帯びるものの6ヶ月後も高い流動性を保持していた。
実施例1のクエン酸一水和物に代え、クエン酸アンモニウムを用いて同様にエタノール分散型酸化ニオブゾルを製造した結果、実施例1と同様の物性を有するエタノール分散型酸化ニオブゾルを得た。得られたエタノール分散型酸化ニオブゾルを35℃の恒温槽内で保存し、長期安定性を確認したところ、6ヶ月後も高い流動性を保持していた。
[比較例1]
市販の酸化ニオブゾル(多木化学(株)製(Nb=10.2%、シュウ酸/Nb(モル比)=0.62)200gを撹拌しながら、クエン酸をクエン酸/Nb(モル比)=0.35添加した。得られた酸化ニオブゾルのNb濃度10%での電気伝導度は0.9S/mであった。次いでブチルアミンをブチルアミン/Nb(モル比)=0.6添加した。この時点で、酸化ニオブゾルは白色沈殿を形成したが、撹拌を継続することにより再分散した。次いでエタノールを600g添加して、ロータリーエバポレーターで全量が約200gになるまで濃縮する操作を2回繰り返したところ、白濁・増粘し、エタノール溶媒に置換することができなかった。
[比較例2]
市販の酸化ニオブゾル(多木化学(株)製(Nb=10.2%、シュウ酸/Nb(モル比)=0.62)200gを撹拌しながら、クエン酸をクエン酸/Nb(モル比)=0.35添加した。次いで、30%アンモニア水を添加し、pHを8.5に調整した。得られた酸化ニオブゾルのNb濃度10%での電気伝導度は24.2S/mであった。これにブチルアミンをブチルアミン/Nb(モル比)=0.6添加したところ、酸化ニオブゾルは白色沈殿を形成した。
[比較例3]
市販のシュウ酸安定型酸化ニオブゾル(多木化学(株)製、Nb=10.2%、シュウ酸/Nb(モル比)=0.62)にクエン酸/Nb(モル比)=0.20となるようにクエン酸一水和物を添加したあと、アンモニア水溶液(15%)を用いてpHを8.5に調整した。このゾルを限外濾過装置(マイクローザUF:型式SLP−1053;旭化成製)を使用して、限外濾過により電気伝導度を低下させると共にNb濃度を10%に調整した。得られたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルは、pH 8.1で、クエン酸/シュウ酸(モル比)=0.36、シュウ酸/Nb(モル比)=0.55、電気伝導度15.4S/mであった。
このようにして得られたシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾル200gを撹拌しながら、ブチルアミンをブチルアミン/Nb(モル比)=0.6添加したところ、酸化ニオブゾルは白色沈殿を形成した。

Claims (7)

  1. シュウ酸安定型酸化ニオブゾルにクエン酸または水溶性クエン酸塩をクエン酸/Nb (モル比)=0.1〜0.5の範囲で添加した後、アンモニアを添加してpHを7〜10に調整し、次いで限外濾過することにより製造したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルに、1〜4級のアミン化合物をアミン化合物/Nb (モル比)=0.2〜2.0の範囲で添加した後、水溶媒を有機溶媒で置換することを特徴とするクエン酸/シュウ酸(モル比)=0.5〜10で、且つシュウ酸/Nb (モル比)=0.05〜0.3の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
  2. 限外濾過することにより製造したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルのNb濃度10質量%での電気伝導度が5S/m以下である請求項1記載の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
  3. アミン化合物が1級、2級または3級のアルキルアミン化合物である請求項1または2記載の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
  4. シュウ酸安定型酸化ニオブゾルにクエン酸または水溶性クエン酸塩をクエン酸/Nb (モル比)=0.1〜0.5の範囲で添加した後、アンモニアを添加してpHを7〜10に調整し、次いで限外濾過した後、これに酸性化合物を添加してpHを3〜5に調整することにより製造したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルに、1〜4級のアミン化合物をアミン化合物/Nb (モル比)=0.2〜2.0の範囲で添加した後、水溶媒を有機溶媒で置換することを特徴とするクエン酸/シュウ酸(モル比)=0.5〜10で、且つシュウ酸/Nb (モル比)=0.05〜0.3の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
  5. 限外濾過した後、これに酸性化合物を添加することにより製造したシュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルのNb濃度10質量%での電気伝導度が5S/m以下である請求項4記載の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
  6. アミン化合物が1級、2級または3級のアルキルアミン化合物である請求項4または5記載の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
  7. 酸性化合物がクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または乳酸から選ばれた1種以上を用いることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法。
JP2004123676A 2004-04-20 2004-04-20 有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法 Expired - Lifetime JP4236182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004123676A JP4236182B2 (ja) 2004-04-20 2004-04-20 有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004123676A JP4236182B2 (ja) 2004-04-20 2004-04-20 有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005306641A JP2005306641A (ja) 2005-11-04
JP4236182B2 true JP4236182B2 (ja) 2009-03-11

Family

ID=35435819

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004123676A Expired - Lifetime JP4236182B2 (ja) 2004-04-20 2004-04-20 有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4236182B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5332101B2 (ja) * 2006-12-01 2013-11-06 住友大阪セメント株式会社 無機酸化物透明分散液と透明複合体、発光素子封止用組成物および発光素子並びに透明複合体の製造方法
JP6156876B2 (ja) * 2013-10-24 2017-07-05 多木化学株式会社 ニオブ酸ゾルの製造方法
JP6774158B2 (ja) * 2016-12-27 2020-10-21 多木化学株式会社 アルカリ金属安定型ニオブ酸ゾル
JP7054588B2 (ja) * 2017-02-10 2022-04-14 多木化学株式会社 ニオブ酸オルガノゾルおよびその製造方法
CN116529204A (zh) * 2020-12-25 2023-08-01 三井金属矿业株式会社 铌酸化合物分散液及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005306641A (ja) 2005-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3178789B1 (en) Organic solvent dispersion of zirconium oxide particles and method for producing same
EP3263651B1 (en) Dispersion of titanium oxide particles in organic solvent, and production method for same
US10619066B2 (en) Metallic nanoparticle dispersion
US9839961B2 (en) Metallic nanoparticle dispersion
JP4011566B2 (ja) シリカゾル及びその製造方法
JP2008290896A (ja) ジルコニアゾルの製造方法
EP3263527B1 (en) Method for producing organic solvent dispersion of titanium oxide particles
JP2005060217A (ja) シリカゾル及びその製造方法
WO2018124117A1 (ja) シリカ粒子分散液及びその製造方法
JP2009269935A (ja) 金色系金属光沢を有する銀膜
JP6933976B2 (ja) シリカ系粒子分散液及びその製造方法
KR102628262B1 (ko) 니오브산 화합물 분산액 및 그 제조 방법
JP4236182B2 (ja) 有機溶媒分散型シュウ酸・クエン酸安定型酸化ニオブゾルの製造方法
JP4493320B2 (ja) シリカゾルの製造方法およびシリカゾル
JP2011105580A (ja) Zr−O系粒子を分散質とするゾル及びその製造方法
JP4488831B2 (ja) 希土類元素の酸化物ゾルまたは水酸化物ゾルの製造方法
JP3357420B2 (ja) 酸化ニオブゾル及びその製造方法
EP3502060B1 (en) Zirconia sol and method for manufacturing same
JP2003192348A (ja) 有機溶媒分散型酸化チタンゾル及びその製造方法
KR102145018B1 (ko) 암모늄 텅스텐 브론즈의 제조방법
JP7405078B2 (ja) セリア-ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法
JP4646055B2 (ja) 酸化タンタルゾル及びその製造方法
JP4651000B2 (ja) 酸化ニオブゾルの製造方法
JPH08143315A (ja) 酸化タンタルゾル及びその製造方法
WO2023013289A1 (ja) ジルコニウム酸溶液およびその製造方法、酸化ジルコニウム粉末およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081210

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4236182

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141226

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250