JP7054588B2 - ニオブ酸オルガノゾルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]ニオブ酸を主たる成分とする微粒子が分散してなるニオブ酸オルガノゾルであって、当該ゾルは、安定化剤を含有するものであり、また、任意成分としてアンモニアを含有する場合には、その含有量が、NH3/Nb2O5(モル比)<1.0であるニオブ酸オルガノゾル。
[2]有機酸を実質的に含有しないことを特徴とする[1]記載のニオブ酸オルガノゾル。
[3]前記安定化剤が、アミン塩系カチオン型界面活性剤および第4級アンモニウム塩系カチオン型界面活性剤から選択される少なくとも一種類のものである[1]または[2]に記載のニオブ酸オルガノゾル。
[4]前記ゾルの溶媒が、親水性溶媒である[1]~[3]のいずれか1つに記載のニオブ酸オルガノゾル。
[5]ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤とを含有してなるニオブ酸オルガノゾル前駆体であって、当該ゾル前駆体は、半固形状または固形状であり、また、任意成分としてアンモニアを含有する場合には、その含有量が、NH3/Nb2O5(モル比)<1.0であって、親水性溶媒を任意成分として含有する、親水性溶媒に分散可能であるニオブ酸オルガノゾル前駆体。
[6]有機酸を実質的に含有しないことを特徴とする[5]記載のニオブ酸オルガノゾル前駆体。
[7]前記安定化剤が、アミン塩系カチオン型界面活性剤および第4級アンモニウム塩系カチオン型界面活性剤から選択される少なくとも一種類のものである[5]または[6]に記載のニオブ酸オルガノゾル前駆体。
[8]以下の工程を包含するニオブ酸オルガノゾルの製造方法。
(1)水存在下にて、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤と、アミン化合物とを含有する混合液を調製する工程。
(2)(1)にて得られた混合液を溶媒置換によりオルガノゾルを得る工程。
[9][5]~[7]のいずれか1つに記載のニオブ酸オルガノゾル前駆体を、親水性溶媒に分散させることを特徴とするニオブ酸オルガノゾルの製造方法。
[10]以下の工程を包含するニオブ酸オルガノゾル前駆体の製造方法。
(1)水存在下にて、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤と、アミン化合物とを含有する混合液を調製する工程。
(2)次の(a)または(b)のいずれか一つの工程を実施する工程。
(a)(1)によって得られた混合液から半固形状または固形状のニオブ酸オルガノゾル前駆体を得る為に脱溶媒または乾燥を行う工程。
(b)(1)によって得られた混合液に親水性溶媒を添加した後に、半固形状または固形状のニオブ酸オルガノゾル前駆体を得る為に脱溶媒または乾燥を行う工程。
なお、本発明において、数値範囲に関する「数値1~数値2」という表記は、数値1を下限値とし数値2を上限値とする、両端の数値1及び数値2を含む数値範囲を意味し、「数値1以上数値2以下」と同義である。
[ゾル]
本発明のゾルは、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子が分散してなるものであって、当該ゾルは、安定化剤を含有するものであり、任意成分としてアンモニアを含有する場合には、その含有量が、NH3/Nb2O5(モル比)<1.0であることを特徴とするものである。なお、本発明のゾルは有機酸を実質的に含有しないことを特徴とする。ここで、有機酸を実質的に含有しないとは、原料中の不純物に由来する有機酸を除けば、本発明のゾル中には有機酸を含有しないことを意味する。
ここで、ニオブ酸微粒子中の主たる成分がニオブ酸であるという意味は、微粒子を構成する無機化合物の内、ニオブ酸の割合が少なくとも50モル%以上であり、更に好ましくは100モル%となるよう設定するものである。ニオブ酸の好適な一例として、非晶質の酸化ニオブ、水酸化ニオブ、ニオブのポリ酸等が挙げられる。なお、ポリ酸は、[MXOY]n-(M = 金属元素)と表記されるものである。
安定化剤は、本発明のゾル中のニオブ酸微粒子の有機溶媒への分散安定化に対して効果を発揮するものであると考えられ、推測ではあるが、そのメカニズムについて説明する。ニオブ酸微粒子は、表面電荷として負電荷を有していることが知られており、負電荷を有した表面に、安定化剤が修飾することで、ニオブ酸微粒子が有機溶媒に対して分散安定化するものであると推測される。
本発明のゾル中のニオブ酸微粒子の分散安定性の観点から、特に本発明のゾルの溶媒として、エタノール、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸ブチルおよびイソブチルアルコールから選択される少なくとも一種類のものを主溶媒とすることが望ましい。ここで、主溶媒とは、溶媒のうち、含有量が少なくとも50質量%以上である溶媒を指す。
本発明のゾルの溶媒として2種類以上の有機溶媒を必要に応じて任意に含有する場合、うち一種類の有機溶媒を主溶媒とし、その含有量が少なくとも50質量%以上であることが望ましい。主溶媒以外の有機溶媒については本発明のゾルの使用用途及び目的に応じて適宜選択し含有させても構わず、例えば本発明のゾル中の微粒子の分散安定性を改善する目的で含有させることが出来、その含有量は、多くとも50質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下の範囲であれば含有していてもよい。また、本発明のゾルには有機溶媒の他に、水を含有することを許容するものであるが、水の含有量は少ない方が好ましく、例えば20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であれば含有していてもよい。
本発明のゾル前駆体は、ニオブ酸微粒子と、安定化剤とを含有してなるニオブ酸オルガノゾル前駆体であって、当該ゾル前駆体中に任意成分としてアンモニアを含有する場合には、その含有量が、NH3/Nb2O5(モル比)<1.0であって、有機溶媒を任意成分として含有し、当該ゾル前駆体は、半固形状または固形状であり、有機溶媒に分散可能であることを特徴とするものである。なお、本発明のゾル前駆体は有機酸を実質的に含有しないことを特徴とする。ここで、有機酸を実質的に含有しないとは、原料中の不純物に由来する有機酸を除けば、本発明のゾル前駆体中には有機酸を含有しないことを意味する。
ここで、ニオブ酸微粒子中の主たる成分がニオブ酸であるという意味は、微粒子を構成する無機化合物の内、ニオブ酸の割合が少なくとも50モル%以上であり、更に好ましくは100モル%となるよう設定するものである。ニオブ酸の好適な一例として、非晶質の酸化ニオブ、水酸化ニオブ、ニオブのポリ酸等が挙げられる。なお、ポリ酸は、[MXOY]n-(M=金属元素)と表記されるものである。
本発明のゾル前駆体中のニオブ酸微粒子の分散安定性の観点から、特に本発明のゾル前駆体が好適に分散可能な有機溶媒として、エタノール、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸ブチルおよびイソブチルアルコールから選択される少なくとも一種類のものを主溶媒とすることが望ましい。ここで、主溶媒とは、溶媒のうち、含有量が少なくとも50質量%以上である溶媒を指す。
本発明のゾル前駆体を分散させる溶媒として2種類以上の有機溶媒を必要に応じて任意に用いる場合、うち一種類の有機溶媒を主溶媒とし、溶媒中の含有量が少なくとも50質量%以上であることが望ましい。主溶媒以外の有機溶媒についてはゾル前駆体の分散液の使用用途及び目的に応じて適宜選択し溶媒中に含有させても構わず、例えば本発明のゾル前駆体中の微粒子の分散安定性を改善する目的で含有させることが出来、その含有量は、多くとも50質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下の範囲であれば含有していてもよい。また、本発明のゾル前駆体を分散させる溶媒中に水を含有することを許容するものであるが、水の含有量は少ない方が好ましく、例えば20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であれば含有していてもよい。
本発明のゾル前駆体を得る為の本発明のゾルの除溶媒の方法や程度は特に限定されない。除溶媒の程度によっては、本発明のゾル前駆体中に有機溶媒が残留することもあり、特に乾燥により本発明のゾル前駆体が得られる場合、沸点が高い有機溶媒を含有する場合は残留しやすく、例えば沸点が150℃以上である有機溶媒は残留しやすいが、得られたゾル前駆体が半固形状または固形状であり、上記本発明のゾル前駆体の機能を有するものが得られれば、それは本発明のゾル前駆体の範囲に含まれるものである。
[ゾルの製造方法]
本発明のゾルの製造方法は、以下の(1)および(2)の工程を包含するものである。
(1)水存在下にて、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤と、アミン化合物とを含有する混合液を調製する工程。
(2)(1)にて得られた混合液を溶媒置換によりオルガノゾルを得る工程。
なお、本発明のゾルの原料として好適に利用できる前記主たる溶媒が水であるニオブゾルとして、次のものに限定されるものではないが、例えばニオブ酸アンモニウムゾル、ニオブ酸ゾル等を挙げることができる。
前記ニオブ酸ゾルの製造において、無機酸の使用量は目的とするアンモニア低減量に応じ適宜設定すればよいが、目安を示すと、ニオブの酸化物表記であるNb2O5に対し、無機酸/Nb2O5(モル比)=0.2~1.5の範囲である。無機酸の種類としては塩酸、硝酸、硫酸等を例示でき、これらのうち塩酸が好適である。
上記アミン化合物のうち、第3級アミンまたは第4級アンモニウムが好ましく、第4級アンモニウムがより好ましい。
なお、(1)の工程で得られた混合液は、安定化剤の添加によりニオブ酸微粒子が凝集し沈殿や白濁を生じたとしても、該微粒子が(2)の工程の溶媒置換の後に分散し、本発明のゾルを得ることができれば特に問題ない。
本発明のゾル前駆体の製造方法として、以下の(1)および(2)の工程を包含するものである。
(1)水存在下にて、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤と、アミン化合物を含有する混合液を調製する工程。
(2)次の(a)または(b)のいずれか一つの工程を実施する工程。
(a)(1)によって得られた混合液から半固形状または固形状のニオブ酸オルガノゾル前駆体を得る為に脱溶媒または乾燥を行う工程。
(b)(1)によって得られた混合液に有機溶媒を添加した後に、半固形状または固形状のニオブ酸オルガノゾル前駆体を得る為に脱溶媒または乾燥を行う工程。
脱溶媒または乾燥を行う方法について、本発明のゾル前駆体が得られるのであれば特に限定されることはなく、常法により実施すればよい。脱溶媒または乾燥を行う方法として、例えば、噴霧乾燥、静置乾燥等を挙げることができる。また、乾燥条件(温度、時間)は、適宜設定することが好ましい。
前駆体を得る方法の一例として、エバポレーターや限外洗浄などの公知の方法により(1)の工程で得られた混合液を高濃度化し、その後に公知の方法にて脱溶媒または乾燥を行うことで、本発明のゾル前駆体を効率的に得ることができる。
また、(1)の工程の混合液調製の過程で生じた凝集物または沈殿物をろ過し、脱溶媒されたウエットケーキとして回収し、本発明のゾル前駆体を得ることができる。また、このウエットケーキを更に脱溶媒または乾燥を行うことで、本発明のゾル前駆体を得ることもできる。
また、先述の(1)の工程の混合液調製の過程で生じた凝集物または沈殿物をろ過し、脱溶媒されたウエットケーキに有機溶媒を添加し、このウエットケーキを更に脱溶媒または乾燥を行うことで、本発明のゾル前駆体を得る方法も(2)の(b)工程の一例として示すことができる。
メジアン径は、動的光散乱式粒径分布測定装置LB-500(堀場製作所(株)製)を用いて測定した。
(2)水分量の測定
水分量は、自動水分測定装置KF-100型(三菱化学(株)製)を用い、カールフィッシャー反応に基づく、容量滴定法によって測定した。
(3)安定化剤の測定
試料に塩酸を添加、加熱処理した液を遠心分離機にかけ、凝集物を除去した後、高速液体クロマトグラフLC-2010C((株)島津製作所製)を用いて、含有量を測定した。
(4)NH3の測定
アンモニア量は、ケルダール法により測定した窒素量から求めた。
五酸化ニオブ(多木化学(株)製)50gを10%フッ化水素酸水溶液480mLに溶解させ、イオン交換水を8.8L添加することによってNb2O5=0.54%のフッ化ニオブ酸水溶液を得た。30℃に温度調整を行ったフッ化ニオブ酸水溶液を、アンモニア水(NH3=1%)4.9Lに対し、反応液のpHが8.0を下回らないように一定速度で約60分間かけて添加し、副生成塩を含有するpH8.3、Nb2O5含有量:0.35%のニオブ酸アンモニウムの分散液を得た。次に、この分散液を限外ろ過装置を用いてろ液の電気伝導度が0.4mS/cm以下になるまでイオン交換水でろ過洗浄し、フッ化アンモニウム等を除去することによって、pH7.5のニオブ酸アンモニウムゾル600g(Nb2O5含有量:8.0%)を得た。得られたニオブ酸アンモニウムゾルに対し、アミン化合物として、第3級アミンであるトリ-n-ブチルアミンをトリ-n-ブチルアミン/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、続いて安定化剤として第4級アンモニウム塩カチオン型界面活性剤である10%ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド水溶液を用い、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、混合液を調製した。
混合液を調製後、限外濾過装置を用いて濃縮を行いながら、濾液量と等量のメチルエチルケトンを投入し混合液の希釈を同時併行で実施することで、溶媒置換し、主溶媒がメチルエチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=7.3%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.46、NH3/Nb2O5(モル比)=0.8であり、メジアン径16nmであり、分散媒中の水分量は14.5%であった。
多木化学(株)製の「バイラール Nb-G6000」(Nb2O5濃度:6%)1000gに、アミン化合物として、水酸化第4級アンモニウムである水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)をTEAH/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、続いて安定化剤として第4級アンモニウム塩カチオン型界面活性剤である10%ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド水溶液を用い、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、混合液を調製した。
混合液を調製後、エバポレーターにより減圧濃縮を行いながら、溶媒の減少量と等量のイソプロピルアルコールを投入し混合液の希釈を同時併行で実施することで、溶媒置換し、主溶媒がイソプロピルアルコールである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.5%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.49、NH3/Nb2O5(モル比)=0.4であり、メジアン径31nmであり、分散媒中の水分量は3.5%であった。
多木化学(株)製の「バイラール Nb-G6000」(Nb2O5濃度:6%)1000gに、アミン化合物として、水酸化第4級アンモニウムである水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)をTEAH/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、続いて安定化剤として第4級アンモニウム塩カチオン型界面活性剤である10%n-デシルトリメチルアンモニウムブロミド水溶液を用い、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.7となる様に添加し、混合液を調製した。
混合液を吸引濾過することによってウエットケーキを得た後、エタノールを添加し分散させ、主溶媒がエタノールである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=6.0%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.68、NH3/Nb2O5(モル比)=0.6であり、メジアン径20nmであり、分散媒中の水分量は3.8%であった。
多木化学(株)製の「バイラール Nb-G6000」(Nb2O5=6.2%)1000gをイオン交換水でNb2O5=1.0%まで希釈後、塩酸をHCl/Nb2O5(モル比)=1.3となる様に添加し、10分程度撹拌後、ろ液ECが100μS/cmになるまで限外洗浄を行い、続いてアミン化合物である水酸化第4級アンモニウムとして、TEAHをTEAH/Nb2O5(モル比)=0.7となる様に添加し、120℃で5時間の加熱処理を行い、ニオブ酸ゾル(Nb2O5=6.2%、pH8.3)を得た。得られたニオブ酸ゾルに対し、安定化剤として第4級アンモニウム塩カチオン型界面活性剤である10%ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド水溶液を用い、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、混合液を調製した。
混合液を調製後、限外濾過装置を用いて濃縮を行いながら、濾液量と等量のメチルエチルケトンを投入し混合液の希釈を同時併行で実施することで、溶媒置換し、主溶媒がメチルエチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを得た後、グリセロールを主溶媒を超えない様に、溶媒のうち約3.5%となる様に添加した。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.2%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.49、NH3/Nb2O5(モル比)<0.1であり、メジアン径15nmであり、分散媒中の水分量は4.1%であった。
実施例4と同様の方法にて得られたニオブ酸ゾル(Nb2O5=6.2%、pH8.3、TEAH/Nb2O5(モル比)=0.7)に対し、安定化剤として第4級アンモニウム塩カチオン型界面活性剤である10%ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド水溶液を用い、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、混合液を調製した。
混合液を調製後、有機溶媒としてメチルイソブチルケトンを用い、溶媒抽出法により溶媒置換し、主溶媒がメチルイソブチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.4%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.50、NH3/Nb2O5(モル比)<0.1であり、メジアン径15nmであり、分散媒中の水分量は3.5%であった。
多木化学(株)製の「バイラール Nb-G6000」(Nb2O5濃度:6%)1000gに、アミン化合物として、第3級アミンであるトリエタノールアミン(TEA)をTEA/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、続いて安定化剤として第4級アンモニウム塩カチオン型界面活性剤である10%ヤシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド水溶液を用い、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.5となる様に添加し、混合液を調製した。
混合液を調製後、エバポレーターにより減圧濃縮を行いながら、溶媒の減少量と等量の酢酸ブチルを投入し混合液の希釈を同時併行で実施することで、溶媒置換し、主溶媒が酢酸ブチルである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=9.5%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.48、NH3/Nb2O5(モル比)=0.6であり、メジアン径41nmであり、分散媒中の水分量は5.5%であった。
実施例1と同様にして調製された混合液を吸引濾過することによって脱溶媒し、半固形状の本発明のゾル前駆体を得た。得られた前駆体とメチルエチルケトンとを、溶媒中のNb2O5が10%となる様に混合したところ、主溶媒がメチルエチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.2%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.48、NH3/Nb2O5(モル比)=0.6であり、メジアン径35nmであり、分散媒中の水分量は1.5%であった。
実施例2と同様にして調製された混合液を吸引濾過することによってウエットケーキを得た後、60℃で静置乾燥することにより、半固形状の本発明のゾル前駆体を得た。得られた前駆体とメチルエチルケトンとを、溶媒中のNb2O5が10%となる様に混合したところ、主溶媒がメチルエチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.1%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.48、NH3/Nb2O5(モル比)=0.4であり、メジアン径60nmであり、分散媒中の水分量は1.3%であった。
実施例3と同様にして調製された混合液を吸引濾過することによってウエットケーキを得た後、有機溶媒としてグリセロールをグリセロール/Nb2O5(モル比)=1.0となる様に添加し、60℃で静置乾燥することにより、固形状の本発明のゾル前駆体を得た。得られた前駆体とメチルイソブチルケトンとを、溶媒中のNb2O5が10%となる様に混合したところ、主溶媒がメチルイソブチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.1%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.68、NH3/Nb2O5(モル比)=0.5であり、メジアン径30nmであり、分散媒中の水分量は2.3%であった。
実施例4と同様にして調製された混合液を吸引濾過することによってウエットケーキを得た後、有機溶媒としてエチレングリコールをエチレングリコール/Nb2O5(モル比)=5.0となる様に添加し、60℃で静置乾燥することにより、固形状の本発明のゾル前駆体を得た。得られた前駆体とイソプロピルアルコールとを、溶媒中のNb2O5が10%となる様に混合したところ、主溶媒がイソプロピルアルコールである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.0%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.49、NH3/Nb2O5(モル比)<0.1であり、メジアン径43nmであり、分散媒中の水分量は1.1%であった。
実施例5と同様にして調製された混合液に有機溶媒としてグリセロールをグリセロール/Nb2O5(モル比)=1.0となる様に添加し、ヤマト科学(株)製スプレードライヤADL310(入口温度:200℃、出口温度:100℃)にて噴霧乾燥し、固形状の本発明のゾル前駆体を得た。得られた前駆体とメチルエチルケトンとを、溶媒中のNb2O5が20%となる様に混合したところ、主溶媒がメチルエチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=19.8%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.49、NH3/Nb2O5(モル比)<0.1であり、メジアン径52nmであり、分散媒中の水分量は0.9%であった。
実施例6と同様にして調製された混合液に有機溶媒としてエチレングリコールをエチレングリコール/Nb2O5(モル比)=5.0となる様に添加し、60℃で静置乾燥することにより、固形状の本発明のゾル前駆体を得た。得られた前駆体とメチルエチルケトンとを、溶媒中のNb2O5が10%となる様に混合したところ、主溶媒がメチルエチルケトンである本発明のゾルを得た。このゾルを分析に供した結果、Nb2O5=10.8%、安定化剤/Nb2O5(モル比)=0.48、NH3/Nb2O5(モル比)=0.39であり、メジアン径55nmであり、分散媒中の水分量は1.1%であった。
Claims (8)
- ニオブ酸を主たる成分とする微粒子が分散してなるニオブ酸オルガノゾルであって、
当該ゾルは、安定化剤を含有するものであり、有機酸を実質的に含有しないものであり、かつニオブの含有量がNb 2 O 5 として3~30質量%の範囲であり、また、任意成分としてアンモニアを含有する場合には、その含有量が、NH3/Nb2O5(モル比)<1.0であるニオブ酸オルガノゾル。 - 前記安定化剤が、オクタデシルアミン、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドおよびアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドから選択される少なくとも一種類のものである請求項1に記載のニオブ酸オルガノゾル。
- 前記ゾルの溶媒が、親水性溶媒である請求項1または2に記載のニオブ酸オルガノゾル。
- ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤とを含有してなるニオブ酸オルガノゾル前駆体であって、
当該ゾル前駆体は、半固形状または固形状であり、有機酸を実質的に含有しないものであり、かつニオブの含有量がNb 2 O 5 として3~30質量%の範囲であり、また、任意成分としてアンモニアを含有する場合には、その含有量が、NH3/Nb2O5(モル比)<1.0であって、
親水性溶媒を任意成分として含有する、
親水性溶媒に分散可能であるニオブ酸オルガノゾル前駆体。 - 前記安定化剤が、オクタデシルアミン、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドおよびアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドから選択される少なくとも一種類のものである請求項4に記載のニオブ酸オルガノゾル前駆体。
- 以下の工程を包含するニオブ酸オルガノゾルの製造方法。
ただし、上記ニオブ酸オルガノゾルは、有機酸を実質的に含有しないものである。
(1)水存在下にて、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤と、アミン化合物とを含有する混合液を調製する工程。
(2)(1)にて得られた混合液を溶媒置換によりオルガノゾルを得る工程。 - 請求項4または5に記載のニオブ酸オルガノゾル前駆体を、親水性溶媒に分散させることを特徴とするニオブ酸オルガノゾルの製造方法。
- 以下の工程を包含するニオブ酸オルガノゾル前駆体の製造方法。
ただし、上記ニオブ酸オルガノゾル前駆体は、有機酸を実質的に含有しないものである。
(1)水存在下にて、ニオブ酸を主たる成分とする微粒子と、安定化剤と、アミン化合物とを含有する混合液を調製する工程。
(2)次の(a)または(b)のいずれか一つの工程を実施する工程。
(a)(1)によって得られた混合液から半固形状または固形状のニオブ酸オルガノゾル前駆体を得る為に脱溶媒または乾燥を行う工程。
(b)(1)によって得られた混合液に親水性溶媒を添加した後に、半固形状または固形状のニオブ酸オルガノゾル前駆体を得る為に脱溶媒または乾燥を行う工程。
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