JP5109093B2 - 有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒、その製造方法およびポリエーテルポリオールの製造方法 - Google Patents

有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒、その製造方法およびポリエーテルポリオールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒、その製造方法およびポリエーテルポリオールの製造方法に関する。
ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、接着剤、塗料、シーラント等の原料であるポリエーテルポリオールは、開環重合触媒、および活性水素原子を有する開始剤の存在下に、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等。)を開環重合することによって製造される。開環重合触媒としては、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒が知られている。(以下、「有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒」をDMC触媒と記す。)
DMC触媒としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテート(Zn[Co(CN))に、有機配位子、水、および塩化亜鉛が配位した化合物が挙げられる。該DMC触媒は、過剰の塩化亜鉛の水溶液とアルカリ金属ヘキサシアノコバルテートの水溶液とを混合して固体の複合金属シアン化錯体を析出させ、ついで複合金属シアン化錯体を含む液と有機配位子とを混合する方法等によって製造される。
触媒活性が高く、かつ寿命が長いDMC触媒としては、下記DMC触媒が提案されている。
(1)有機配位子としてtert−ブチルアルコールが配位したDMC触媒(特許文献1)。
しかし、(1)のDMC触媒は、結晶質の触媒成分を多く含むため、非晶質の触媒に比べ、触媒毒や希釈剤としての作用が発現する等の問題がある。
結晶質の触媒成分が少ないDMC触媒を製造する方法としては、下記方法が提案されている。
(2)シアノコバルテート水溶液と塩化亜鉛水溶液とをホモジナイザーを用いて混合させて、微粒子のDMC触媒を製造する方法(特許文献2)。
(3)シアノコバルテート水溶液と塩化亜鉛水溶液とを混合する際に、超音波および/または電磁線を用いて、微粒子のDMC触媒を製造する方法(特許文献3)。
しかし、(2)、(3)の方法では、シアノコバルテート水溶液および塩化亜鉛水溶液の供給制御が難しく、製造工程が煩雑であり、粒子の大きさが不均一になる等の問題がある。粒子の大きさが不均一なDMC触媒には、得られるポリエーテルポリオールの分子量分布が広い;得られるポリエーテルポリオールの不飽和度が高い;得られるポリエーテルポリオールの粘度が高い;ポリエーテルポリオールの高分子量化が困難、等の問題がある。また、粒子の大きさに再現性がないため、得られるポリエーテルポリオールの品質にばらつきが生じる。
DMC触媒を製造する別の方法としては、下記方法が提案されている。
(4)金属塩水溶液とシアン化金属塩水溶液とを撹拌下(乱流条件下)で連続的に接触させてDMC触媒を製造する方法(特許文献4)。
(4)の方法によれば、撹拌によるせん断、拡散によって、DMC触媒の粒子径は小さくなる。しかし、(4)の方法には、個々の粒子間での衝突等により、粒子が肥大化する等、粒子の大きさの制御が困難である;複合金属シアン化物錯体への有機配位子の配位が充分でない、等の問題がある。
以上のように、従来のDMC触媒の製造方法では、微細で均一な粒子を、再現性よく、簡便に得ることができない。
特開平04−145123号公報 特開平07−196778号公報 特表2004−535502号公報 特開2005−015786号公報
本発明は、触媒活性が高く、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いDMC触媒を、再現性よく、簡便に製造できる製造方法;触媒活性が高く、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いDMC触媒;および、分子量分布が狭く、不飽和度が低く、粘度が低く、高分子量であるポリエーテルポリオールを効率よく、かつ一定の品質で製造できる製造方法を提供する。
本発明のDMC触媒の製造方法は、下記(a)工程および(b)工程を有することを特徴とする。
(a)ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得る工程。
(b)前記複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子とを混合し、DMC触媒を含む分散液を得る工程。
前記(a)工程は、下記(a−1)工程であることが好ましい。
(a−1)細孔を有する膜によって内部が第1の流路および第2の流路に仕切られた第1の反応器の第1の流路に、シアン化遷移金属化合物水溶液を連続的に供給し、第2の流路に、ハロゲン化金属化合物水溶液を連続的に供給し、第2の流路のハロゲン化金属化合物水溶液を前記膜の細孔に層流状態で通しながら、第1の流路を層流状態で流れるシアン化遷移金属化合物水溶液中に、ハロゲン化金属化合物水溶液を前記膜の細孔から微小液滴状に押し出し、第1の流路内にて、シアン化遷移金属化合物水溶液と微小液滴状のハロゲン化金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得る工程。
前記各層流状態は、レイノルズ数で2100以下であることが好ましい。
前記(b)工程は、下記(b−1)工程であることが好ましい。
(b−1)前記複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子または有機配位子水溶液とを第2の反応器に導入し、撹拌して、DMC触媒を含む分散液を得る工程。
さらに、下記(c)工程を有することが好ましい。
(c)前記DMC触媒を含む分散液をろ過する工程。
さらに、下記(d)工程を有することが好ましい。
(d)前記(c)工程で得られDMC触媒を洗浄する工程。
前記(c)工程および(d)工程は、下記(c−1)工程、(d−1)工程および(c−2)工程であることが好ましい。
(c−1)前記DMC触媒を含む分散液をろ過し、DMC触媒のろ過ケーキを得る工程。
(d−1)前記ろ過ケーキと有機配位子または有機配位子水溶液とを混合し、該混合液を0〜100℃で撹拌し、DMC触媒を洗浄する工程。
(c−2)前記混合液をろ過してろ過ケーキを得る工程。
前記(c−1)工程または(c−2)工程で得られたろ過ケーキ中のDMC触媒の含有量は、20〜60質量%であることが好ましい。
前記(d−1)工程および(c−2)工程を2回以上繰り返すことが好ましい。
本発明のDMC触媒は、本発明の製造方法によって得られたDMC触媒であって、BET法による比表面積が、20〜150m/gであり、該比表面積に基づいたDFT法による3nm以下細孔容積が、0.05×10−3〜10×10−3cc/gであることを特徴とする。
本発明のDMC触媒は、有機配位子の脱離温度が250〜390℃であることが好ましい。
前記有機配位子は、tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、イソプロペニルアルコール、およびジオキサンからなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
本発明のポリエーテルポリオールの製造方法は、本発明の製造方法によって得られたDMC触媒、および活性水素原子を有する開始剤の存在下に、アルキレンオキシドを開環重合することを特徴とする。
本発明のDMC触媒の製造方法によれば、触媒活性が高く、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いDMC触媒を、再現性よく、簡便に製造できる。
本発明のDMC触媒は、触媒活性が高く、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高い。
本発明のポリエーテルポリオールの製造方法によれば、分子量分布が狭く、不飽和度が低く、粘度が低く、高分子量であるポリエーテルポリオールを効率よく、かつ一定の品質で製造できる。
DMC触媒の製造装置の一例を示す概略構成図である。 第1の反応器の一例を示す断面図である。 第1の反応器を構成する第1の部材を示す上面図である。 第1の反応器を構成する第2の部材を示す上面図である。 第1の反応器を構成する第3の部材(膜)を示す上面図である。 第1の反応器を構成する第4の部材を示す上面図である。 第1の反応器を構成する第5の部材を示す上面図である。 例1のDMC触媒のSEM写真である。 例1におけるTG−DTA分析による温度−質量減少のグラフである。 例7のDMC触媒のSEM写真である。 例7におけるTG−DTA分析による温度−質量減少のグラフである。 例8のDMC触媒のSEM写真である。
符号の説明
20 第1の反応器
22 膜
22a 細孔
24 第1の流路
26 第2の流路
40 第2の反応器
<DMC触媒の製造方法>
本発明のDMC触媒の製造方法は、下記(a)〜(d)工程を有する方法である。
(a)ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得る工程。
(b)複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子とを混合し、DMC触媒を含む分散液を得る工程。
(c)必要に応じて、DMC触媒を含む分散液をろ過する工程。
(d)必要に応じて、(c)工程で得られたDMC触媒を洗浄する工程。
本発明において、複合金属シアン化錯体を含む液とは、複合金属シアン化錯体の固体粒子を含む分散液を意味する。
(a)工程:
(a)工程においては、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを一定流量で流し、層流状態で連続的に接触、反応させることによって、固体の複合金属シアン化錯体の粒子を析出させることが好ましい。
ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させる方法は、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させることができる方法であればよく、特に限定されない。
層流状態を実現しうるリアクターとしては、下記のものが挙げられる。
層流状態の2液を平行に送流させた液界面で接触させるマルチラミネーション型のマイクロリアクター。
層流状態の2液をリアクターの中心部に配置された反応領域にらせん状または放射線状に導入し、生成物を逆に反応領域かららせん状または放射線状に放出するサイクロン型のマイクロリアクター。
等間隔に形成された複数の流路と、該間隔を埋めるように同様に形成された流路とを併せることにより、層流状態の2液が流路幅ごとに接触できるインターデジタル型のマイクロリアクター。
層流状態の一方の液に、層流状態の他方の液を、細孔を有する膜から押し出し、接触させる膜型のマイクロリアクター。
層流状態を実現しうるリアクターとしては、層流状態の一方の液に、層流状態の他方の液を、細孔を有する膜から押し出し、接触させる膜型のマイクロリアクターが好ましい。
層流状態とは、水溶液の流れが安定で乱れのない状態(すなわち、乱流ではない状態)を意味する。
層流状態は、通常、下式(1)または式(2)で求められるレイノルズ数で表される。
L1=D・u・ρ/μ ・・・(1)
L2=4×r・u・ρ/μ ・・・(2)
L1は、流路の断面が円形である場合のレイノルズ数であり、Dは、流路の内径(m)、uは、平均流速(m/s)、ρは、流体密度(kg/m)、μは、流体粘度(Pa・s)である。
L2は、流路の断面が円形でない場合のレイノルズ数であり、rは、流路の動水半径(hydraulic radius)(m)=流路の断面積(m)/流路断面の流体に接する周長(m)であり、u、ρ、μは式(1)と同じである。
本発明においては、流路の内径Dは、流路の断面における最小径とする。すなわち流路の途中で内径Dが変化する場合に、内径Dは、流路が最も細くなった場所の内径を採用する。
レイノルズ数は、2100以下が好ましく、1500以下がより好ましく、300以下が特に好ましい。レイノルズ数が2100以下であれば、各水溶液は層流状態であるため、大きさの均一な固体の複合金属シアン化錯体の粒子が析出する。一方、レイノルズ数が2100を超えると、各水溶液の流れは乱流となるため、析出する固体の複合金属シアン化錯体は粒子径が不揃いなものとなる。
ハロゲン化金属化合物の金属(M)としては、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Ni(II)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Mn(II)、Cr(III)、Cu(II)、Sn(II)、またはPb(II)が好ましく、Zn(II)またはFe(II)がより好ましい。ハロゲン化金属化合物のハロゲンとしては、塩素が好ましい。ハロゲン化金属化合物としては、塩化亜鉛(ZnCl)が特に好ましい。
ハロゲン化金属化合物水溶液の濃度は、10質量%以上飽和濃度以下が好ましい。ハロゲン化金属化合物水溶液の濃度が10質量%以上であれば、複合金属シアン化錯体にハロゲン化金属化合物が充分に取り込まれ、得られるDMC触媒の触媒活性が高くなる。ハロゲン化金属化合物水溶液の濃度が飽和濃度以下であれば、水溶液の混合が均一に行われ、得られるDMC触媒の触媒活性が高くなる。
シアン化遷移金属化合物の金属(M)としては、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ni(II)、V(IV)、またはV(V)が好ましく、Co(III)またはFe(III)がより好ましい。
シアン化遷移金属化合物としては、アルカリ金属シアノメタレートが好ましく、アルカリ金属ヘキサシアノメタレートがより好ましく、アルカリ金属ヘキサシアノコバルテートが特に好ましい。
シアン化遷移金属化合物の具体例としては、HFe(CN)、HCo(CN)、KFe(CN)、KCo(CN)、NaFe(CN)、NaCo(CN)、Mg(Fe(CN)、Mg(Co(CN)、(NHFe(CN)、(NHCo(CN)等が挙げられ、KCo(CN)(カリウムヘキサシアノコバルテート)が特に好ましい。
シアン化遷移金属化合物水溶液の濃度は、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、シアン化遷移金属化合物水溶液の濃度は、2.0質量%以上が好ましい。シアン化遷移金属化合物水溶液の濃度が50質量%以下であれば、水溶液の混合が均一に行われ、得られるDMC触媒の触媒活性が高くなる。シアン化遷移金属化合物水溶液の濃度が2.0質量%以上であれば、複合金属シアン化錯体に取り込ませたハロゲン化金属化合物が水中に溶解することがなく、得られるDMC触媒の触媒活性が高くなる。
ハロゲン化金属化合物とシアン化遷移金属化合物とのモル相対比(ハロゲン化金属化合物/シアン化遷移金属化合物)は、12/1〜1.6/1が好ましく、8/1〜3/1がより好ましい。該モル相対比が1.6/1以上であれば、廃水に残存するシアン化遷移金属化合物が少なくなり、廃水処理のコストを低減できる。
(b)工程:
有機配位子としては、水溶性のものが好ましい。
有機配位子としては、tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、グライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、イソプロペニルアルコール、ジオキサン等が挙げられる。ジオキサンとしては、1,4−ジオキサンでも1,3−ジオキサンでもよく、1,4−ジオキサンが好ましい。
有機配位子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機配位子としては、tert−ブチルアルコール単独、またはtert−ブチルアルコールと他の化合物との組み合わせが好ましい。他の化合物としては、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、アミン、またはアミドが好ましく、tert−ペンチルアルコールまたはエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルが特に好ましい。
混合液中の有機配位子の濃度は、0質量%超であり、2質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、混合液中の有機配位子の濃度は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。有機配位子の濃度が10質量%以上であれば、ハロゲン化金属化合物および有機配位子が充分に配位し、得られるDMC触媒の触媒活性が高くなるのでより好ましい。有機配位子の濃度が80質量%以下であれば、触媒毒が析出しにくく、かつ触媒毒を(c)工程にて充分に除去できるため、得られるDMC触媒の触媒活性が高くなるので好ましい。混合液とは、複合金属シアン化錯体を含む液と有機配位子(または有機配位子水溶液)とを混合した直後の液である。
(c)工程および(d)工程:
必要に応じて、(b)工程にて得られたDMC触媒を含む分散液をろ過し、必要に応じて、DMC触媒を洗浄することによって、過剰に存在するハロゲン化金属化合物、アルカリ金属イオン等が除去される。
ろ過方法としては、重力ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心分離、膜ろ過等が挙げられ、生産性の点から、減圧ろ過または加圧ろ過が好ましい。
<DMC触媒の製造装置>
以下、DMC触媒の製造装置の一例を示しながら、本発明のDMC触媒の製造方法について具体的に説明する。なお、本発明のDMC触媒の製造方法は、上述の(a)工程および(b)工程を有する製造方法であればよく、下記のDMC触媒の製造装置を用いる製造方法に限定はされない。
図1は、DMC触媒の製造装置の一例を示す概略構成図である。DMC触媒の製造装置は、ハロゲン化金属化合物水溶液を貯蔵する貯蔵槽12、シアン化遷移金属化合物水溶液を貯蔵する貯蔵槽14、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させる第1の反応器20(マイクロリアクター)、貯蔵槽12のハロゲン化金属化合物水溶液を第1の反応器20に送液するポンプ16、貯蔵槽14のシアン化遷移金属化合物水溶液を第1の反応器20に送液するポンプ18、第1の反応器20にて得られた複合金属シアン化錯体を含む液と有機配位子とを混合する第2の反応器40、および第2の反応器40にて得られたDMC触媒を含む分散液をろ過し、DMC触媒を洗浄するろ過・洗浄装置50を具備する。
第1の反応器20は、図2に示すように、膜22によって内部が第1の流路24および第2の流路26に仕切られたマイクロリアクターである。
第1の反応器20は、図3に示す第1の部材28、図4に示す第2の部材30、図5に示す第3の部材(膜22)、図6に示す第4の部材32、および図7に示す第5の部材34を、順に積み重ねて構成される。
第1の部材28には、第1の流路24の一部となる貫通孔28aおよび貫通孔28bが形成されている。貫通孔28aは、シアン化遷移金属化合物水溶液の導入口となり、貫通孔28bは、複合金属シアン化錯体を含む液の排出口となる。
第2の部材30には、第1の流路24の一部となる切欠30aが形成されている。切欠30aの両末端には、第1の部材28の貫通孔28aおよび貫通孔28bが位置する。
第3の部材は、細孔22aを有する膜22である。
膜22は、複数の細孔22aを有する多孔性膜であってもよく、1つの細孔を有する単孔性膜であってもよい。図示例の膜22は、多孔性膜の例である。細孔22aを有する膜22を設けることにより、第1の流路24を層流状態で流れるシアン化遷移金属化合物水溶液中に、細孔22aを通って押し出されるハロゲン化金属化合物水溶液からなる微小液滴が、常に一定の粒子径を有するため、実質的に粒子径が均一な固体の複合金属シアン化物錯体の粒子が析出しやすい。
細孔22aの孔径は、ハロゲン化金属化合物水溶液の層流を維持できる孔径、すなわちハロゲン化金属化合物水溶液の流れがレイノルズ数2100以下となるような孔径であればよい。
細孔22aの孔径は、0.01〜5000μmが好ましく、1〜500μmがより好ましい。細孔22aの孔径が該範囲であれば、均一なハロゲン化金属化合物水溶液の微小液滴が得られやすい。液滴の大きさが小さければ、析出する固体の複合金属シアン化物錯体の粒子は、微細で均一なものとなるため、得られるDMC触媒も微細で均一ものとなる。たとえば、レイノルズ数を200にするためには、厚さ50μmのSUS304製の膜22に、孔径80μmの細孔22aを、300μmのピッチで8行×166列設ければよい。
膜22の厚さは、1〜2000μmが好ましい。膜22の厚さが1μm以上であれば、充分な強度を有する膜となる。膜22の厚さが2000μm以下であれば、ハロゲン化金属化合物水溶液を押し出す圧力が高くなりすぎることがない。
膜22の多孔度は、10〜90%が好ましい。膜22の多孔度が10%以上であれば、ハロゲン化金属化合物水溶液を押し出す圧力が高くなりすぎることがない。膜22の多孔度が90%以下であれば、充分な強度を有する膜となる。多孔度は、細孔22aの開口面の面積の合計と、第2の流路26のハロゲン化金属化合物水溶液と接する膜22の面積との比(細孔22aの開口面の面積の合計/膜22の面積)である。
膜22は、水平面に対して平行になるように設置してもよく、水平面に対して30°以上の角度を有するように設置してもよい。膜22を水平面に対して30°以上の角度を有するように設置する場合は、水平面に対して垂直になるように設置することが好ましい。
また、膜22を水平面に対して30°以上の角度を有するように設置する場合は、ハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液が膜22に沿って下方から上方に流れるように設置することが好ましい。
膜22を、水平面に対して30°以上の角度を有するように、かつ、ハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液が膜22に沿って下方から上方に流れるように設置した場合、高さ方向の任意の水平面においてハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液それぞれの液深がほぼ同等である仮定すると、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液との密度の差に起因し、ハロゲン化金属化合物水溶液側に、[(ハロゲン化金属化合物水溶液の密度−シアン化遷移金属化合物水溶液の密度)×液深]に相当する圧力が加わる。そのため、ハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液を水平面に平行に流した場合に比べ、全流路におけるハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液の圧力差分布を相対的に狭くできる。その結果、膜22の各細孔22aから押し出されるハロゲン化金属化合物水溶液の供給量を均一にできるため、粒子径が均一なハロゲン化金属化合物水溶液の微小液滴を安定して得ることができ、析出する固体の複合金属シアン化物錯体の粒子を均一化できる。
第4の部材32は、第2の流路26の一部となる切欠32aが形成されている。
第5の部材34は、第2の流路26の一部となる貫通孔34aが形成されている。貫通孔34aは、第4の部材32の切欠32aの一端に位置する。
第1の部材28、第2の部材30、第4の部材32、第5の部材34の材料としては、は、腐食に強く、加工が容易な点から、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)が好ましい。
第3の部材(膜22)の材料は、ハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液に対する耐性を考慮して選択すればよい。膜22の材料としては、樹脂または金属が好ましく、フッ素系樹脂、または、金属粉末もしくは金属繊維の焼結体がより好ましい。金属粉末もしくは金属繊維の焼結体としては、均一な大きさの球状金属粉末を焼結した膜、または銀メンブレンフィルターが好ましい。また、生産性の点から、膜22として、中空糸を複数本束ねた中空糸モジュールを用いてもよい。
膜22は、疎水性であることが好ましい。膜22には、必要により表面処理を施してもよい。膜22が金属の場合、シランカップリング剤等によって表面処理を施し、疎水性を付与することが好ましい。
第2の反応器40は、複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子または有機配位子水溶液とが導入される構造を有し、両液を混合するための撹拌装置42を具備する。第2の反応器40の構造、構成は、特に限定されない。
ろ過・洗浄装置50は、ろ過装置52および洗浄装置(図示略)を具備する。ろ過装置52としては、遠心ろ過装置、減圧ろ過装置、加圧ろ過装置、重力ろ過装置、膜ろ過装置等が挙げられ、生産性の点から、減圧ろ過装置または加圧ろ過装置が好ましい。
図1のDMC触媒の製造装置を用いるDMC触媒の製造方法は、下記(a−1)工程、(b−1)工程、(c−1)工程、(d−1)工程、(c−2)工程および(e−1)工程を有する。
(a−1)細孔22aを有する膜22によって内部が第1の流路24および第2の流路26に仕切られた第1の反応器20の第1の流路24に、シアン化遷移金属化合物水溶液を連続的に供給し、第2の流路26に、ハロゲン化金属化合物水溶液を連続的に供給し、第2の流路26のハロゲン化金属化合物水溶液を膜22の細孔22aに層流状態で通しながら、第1の流路24を層流状態で流れるシアン化遷移金属化合物水溶液中に、ハロゲン化金属化合物水溶液を膜22の細孔22aから微小液滴状に押し出し、第1の流路24内にて、シアン化遷移金属化合物水溶液と微小液滴状のハロゲン化金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得る工程。
(b−1)複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子または有機配位子水溶液とを第2の反応器40に導入し、撹拌して、DMC触媒を含む分散液を得る工程。
(c−1)DMC触媒を含む分散液をろ過装置52でろ過し、DMC触媒のろ過ケーキを得る工程。
(d−1)ろ過ケーキと有機配位子または有機配位子水溶液とを洗浄装置で混合し、混合液を0〜100℃で撹拌し、DMC触媒を洗浄する工程。
(c−2)前記混合液をろ過装置52でろ過してろ過ケーキを得る工程。
(e−1)必要に応じて、ろ過ケーキを乾燥する工程。
(a−1)工程:
具体的には、ポンプ18を駆動させて貯蔵槽14からシアン化遷移金属化合物水溶液を第1の反応器20の第1の流路24に連続的に供給し、同時に、ポンプ16を駆動させて貯蔵槽12からハロゲン化金属化合物水溶液を第1の反応器20の第2の流路26に連続的に供給し、第2の流路26のハロゲン化金属化合物水溶液を膜22の細孔22aに層流状態で通しながら、第1の流路24を層流状態で流れるシアン化遷移金属化合物水溶液中に、ハロゲン化金属化合物水溶液を膜22の細孔22aから層流状態で微小液滴状に押し出し、第1の流路24内にて、シアン化遷移金属化合物水溶液と微小液滴状のハロゲン化金属化合物水溶液とを層流状態で接触、反応させ、固体の複合金属シアン化物錯体の粒子を析出させる。
第1の反応器20においては、ハロゲン化金属化合物水溶液は、貫通孔34aから導入され、第2の流路26を流れ、膜22の細孔22aを層流状態で通ることで、膜22の表面でほぼ一定線圧になる。また、シアン化遷移金属化合物水溶液は、貫通孔28aから導入され、第1の流路24を層流状態で流れながら、ハロゲン化金属化合物水溶液の微小液滴と接触し、貫通孔28bからに排出される。
貯蔵槽14から第1の反応器20の第1の流路24へのシアン化遷移金属化合物水溶液の供給量、および貯蔵槽12から第1の反応器20の第2の流路26へのハロゲン化金属化合物水溶液の供給量は、第1の流路24内のシアン化遷移金属化合物水溶液、および膜22の細孔22a内のハロゲン化金属化合物水溶液が層流状態となうような量に調整する。
膜22の細孔22aの孔径を揃え、細孔22a内のハロゲン化金属化合物水溶液の流速を小さくし、第1の流路24内のシアン化遷移金属化合物水溶液の流速を大きくすれば、ハロゲン化金属化合物水溶液は、常に一定条件で細孔22aから押し出され、微小液滴として切り離され、細孔22aの孔径とほぼ同一な大きさとなる。一方、細孔22a内のハロゲン化金属化合物水溶液の流速を大きくし、第1の流路24内のシアン化遷移金属化合物水溶液の流速を小さくすれば、微小液滴は、細孔22aの孔径よりも大きくなり、微細で均一な固体の複合金属シアン化物錯体の粒子を析出させるには不利となる。
第1の流路24内のシアン化遷移金属化合物水溶液の流速u1と細孔22a内のハロゲン化金属化合物水溶液の流速u2との比(u1/u2)は、0.01〜50000が好ましく、10〜50000がより好ましく、1000〜15000がさらに好ましく、1000〜15000が特に好ましい。比(u1/u2)が50000以下であれば、シアン化遷移金属化合物水溶液が過剰に消費されることがないため、前記ハロゲン化金属化合物とシアン化遷移金属化合物とのモル相対比の好ましい範囲から逸脱することがなく、経済的である。比(u1/u2)が0.01以上であれば、シアン化遷移金属化合物水溶液の流れによる、ハロゲン化金属化合物水溶液の微小液滴の切り離し効果が充分に得られ、微細で均一な固体の複合金属シアン化物錯体の粒子が析出しやすい。流速は、膜22の表面で測定する。
貯蔵槽12内のハロゲン化金属化合物水溶液および貯蔵槽14内のシアン化遷移金属化合物水溶液の温度は、下記の反応温度以下が好ましい。
第1の反応器20内のハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液の温度(反応温度)は、40℃〜125℃が好ましく、40〜100℃がより好ましく、40〜90℃が特に好ましい。反応温度が40℃以上であれば、ハロゲン化金属化合物とシアン化遷移金属化合物との反応が充分に進行し、高い触媒活性のDMC触媒が得られる。反応温度が125℃以下であれば、生成した複合金属シアン化物錯体が結晶化しにくく、高い触媒活性のDMC触媒が得られる。
第1の反応器20内のハロゲン化金属化合物水溶液およびシアン化遷移金属化合物水溶液の平均滞留時間(反応時間)は、10秒〜1分が好ましい。平均滞留時間が10秒以上であれば、ハロゲン化金属化合物とシアン化遷移金属化合物との反応が充分に進行し、高い触媒活性のDMC触媒が得られる。平均滞留時間を長くしても、DMC触媒の性能に対して不都合はないが、DMC触媒の生産性が低くなり、生産コストが高くなる。したがって、所望の触媒活性を有するDMC触媒が得られる限り、前記範囲内の比較的短い平均滞留時間を採用することが好ましい。
(b−1)工程:
第2の反応器40内の複合金属シアン化錯体を含む液と有機配位子または有機配位子水溶液との混合液の温度(反応温度)は、40〜100℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。反応温度が40℃以上であれば、複合金属シアン化物錯体への有機配位子の配位が充分に行われるため、DMC触媒の粒子径が細かくなりすぎることがなく、(c−1)工程におけるろ過性が良好となる。反応温度が100℃以下であれば、DMC触媒の触媒活性の低下が抑えられる。
第2の反応器40内の複合金属シアン化錯体を含む液と有機配位子または有機配位子水溶液との混合液の混合液の平均滞留時間は、10分〜3時間が好ましい。平均滞留時間が10分以上であれば、複合金属シアン化物錯体への有機配位子の配位が充分に行われるため、DMC触媒の粒子径が細かくなりすぎることがなく、(c−1)工程におけるろ過性が良好となる。平均滞留時間を長くしても、DMC触媒の性能に対して不都合はないが、DMC触媒の生産性が低くなる。したがって工業的には3時間を上限とすることが好ましい。
(c−1)工程:
DMC触媒を含む分散液(スラリー)をろ過装置52でろ過し、DMC触媒、過剰のシアン化金属化合物、有機配位子、水、アルカリ金属塩等を含むろ過ケーキを得る。
ろ過ケーキ中のDMC触媒の含有量は、20〜60質量%が好ましい。ろ過ケーキ中のDMC触媒の含有量が該範囲であれば、DMC触媒の触媒活性の低下が抑えられる。
(d−1)工程:
ろ過ケーキの洗浄の際には、ろ過ケーキと有機配位子または有機配位子水溶液とを混合し、該混合液を好ましくは0〜100℃で、より好ましくは40〜80℃で撹拌し、DMC触媒を洗浄する。
有機配位子としては、前記(b)工程で例示したものが挙げられる。有機配位子は、(b−1)工程と同じ有機配位子であってもよく、異なる有機配位子であってもよい。(d−1)工程に用いる有機配位子が、DMC触媒にすでに配位している有機配位子に比べ、配位力が特に強くない限り、(d−1)工程に用いる有機配位子がすでに配位している有機配位子の一部または全部と置換することは少ない。
(c−2)工程:
前記混合液をろ過してろ過ケーキを得る。
ろ過ケーキ中のDMC触媒の含有量は、20〜60質量%が好ましい。ろ過ケーキ中のDMC触媒の含有量が該範囲であれば、DMC触媒の触媒活性の低下が抑えられる。
(d−1)工程および(c−2)工程は、2回以上繰り返すことが好ましく、2〜4回繰り返すことがより好ましい。
(d−1)工程および(c−2)工程を繰り返し行うことにより、残存しているアルカリ金属イオン等をさらに除去したり、洗い流されてしまった可能性のある有機配位子を再度配位させたりすることができるのでより好ましい。
(c−2)工程で得られたろ過ケーキを乾燥させることなく、ポリオール(開始剤等。
)に分散させてDMC触媒スラリーを調製し、該スラリーを後述のポリエーテルポリオールの製造においてDMC触媒として用いてもよい。ろ過ケーキを乾燥させた場合、DMC触媒が凝集するため、粉砕が必要となるが、粉砕によって得られるDMC触媒をポリエーテルポリオールの製造に用いた場合、得られるポリエーテルポリオールの分子量分布が広い傾向にある。一方、ろ過ケーキを乾燥させることなくポリオールに分散させたDMC触媒スラリーをポリエーテルポリオールの製造に用いた場合、得られるポリエーテルポリオールの分子量分布が狭い傾向にあるので好ましい。
(e−1)工程:
必要に応じて、ろ過ケーキを乾燥した後、粉砕することにより粉体状のDMC触媒を得てもよい。
乾燥温度は、0〜150℃が好ましく、0〜90℃がより好ましい。該範囲であれば、DMC触媒に配位している有機配位子の揮発が抑えられる。
乾燥方法としては、加熱による乾燥方法、真空状態での乾燥方法、難揮発性液体と混合した後、揮発性水分および過剰な有機配位子を除去する方法等が挙げられる。
前記難揮発性液体としてアルキレンオキシド開環重合体を用い、これにDMC触媒を含んだろ過ケーキを分散した後、過剰量の水および有機配位子を除いて触媒スラリーとして重合反応に用いてもよい。この場合、アルキレンオキシド開環重合体としては、ポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールの分子量は、300〜12000が好ましく、500〜10000がより好ましく、700〜5000が特に好ましい。ポリエーテルポリオールの量は、DMC触媒100質量部に対して10〜95質量部が好ましい。
<DMC触媒>
本発明の製造方法で得られるDMC触媒は、下式(3)で表される。
[M (CN)・c(M )・d(HO)・e(R)・・・(3)。
ただし、Mは、ハロゲン化金属化合物に由来する金属であり、Mは、シアン化遷移金属化合物に由来する金属であり、Xは、ハロゲン原子であり、Rは、有機配位子であり、a、b、c、d、e、f、h、iは、金属の原子価、有機配位子の配位数等によりかわりうる数である。
、MおよびXの好ましい元素と有機配位子の好ましい化合物は、前記のDMC触媒製造方法における項と同じである。本発明の製造方法で得られる、より好ましいDMC触媒として、例えば、Zn[Co(CN)・c(ZnCl)・d(HO)・e(tert−ブチルアルコール)が挙げられる。
本発明の製造方法で得られるDMC触媒は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと記す。)で観察すると、粒子径が1.0〜2.5μmの微細で均一な粒子である。すなわち本発明の製造方法で得られるDMC触媒の平均粒子径は、1.0〜2.5μmであることが好ましい。DMC触媒の平均粒子径は、SEM写真の画像解析で得てもよく、メタノールに分散した触媒粒子を光散乱法により測定することにより得てもよい。画像解析を用いる方が好ましい。また、生成ポリオールの質量から求めた触媒活性の値では、170(kg/触媒g)以上と高い触媒活性を有する。
DMC触媒は、実質的に非晶質のDMC触媒から構成されることが好ましい。ここで、実質的に非晶質のDMC触媒とは、結晶質の複合金属シアン化物錯体がほとんど含まれないことを意味する。具体的には、XRDパターンにより、結晶質の複合金属シアン化物錯体に起因する約5.07×10−10m、約3.59×10−10m、約2.54×10−10m、約2.28×10−10m等の回折線ピークが微小ピークである、または存在しないことが好ましい。
DMC触媒のBET法による比表面積は、20〜150m/gであり、30〜100m/gが好ましい。DMC触媒のBET法による比表面積が20m/gであれば、DMC触媒が密な構造になりすぎず、凝集状態が崩れやすいため、高い触媒活性が発現される。DMC触媒のBET法による比表面積が150m/g以下であれば、DMC触媒の凝集状態が崩れやすくなり、活性点が発現しやすくなる。しかし比表面積が150m/gを超えると、凝集状態が崩れることにより生じる、触媒全体の活性点数が少なくなる。
DMC触媒の3nm以下細孔容積は、0.05×10−3〜10×10−3cc/gであり、0.05×10−3〜5×10−3cc/gが好ましく、0.1×10−3〜3×10−3cc/gがより好ましく、0.2×10−3〜2×10−3cc/gが特に好ましい。DMC触媒の3nm以下細孔容積が10×10−3cc/g以下であれば、密な構造の触媒であることを示しており、凝集状態が崩れることで発現する活性点が多くなる。DMC触媒の3nm以下細孔容積が0.05×10−3cc/g以上であれば、凝集状態として、疎な構造になるために、凝集状態が崩れることで発現する活性点の数が少なくなる。
本発明により得られるDMC触媒の比表面積は、従来法により得られるDMC触媒の比表面積と比較して小さい傾向にある。これは従来法により得られるDMC触媒と比較して、本発明により得られるDMC触媒の3nm以下細孔容積が少ないことと同義である。これはDMC触媒が密である(疎ではない)ことを示している。従来のDMC触媒ではDMC触媒が密であると、結晶化度が高くなり、活性が低い傾向をしめしやすかった。本発明では驚くべきことに、DMC触媒が密である方が、触媒活性が高いことが示された。すなわち、本発明において得られるDMC触媒は、触媒の結晶化度が低く、かつ微粒子が密に凝集していることが示された。
DMC触媒の3nm以下細孔容積は、下記のようにして測定する。
BET(Brunauer−Emmett−Teller)法により段階的に吸着物質の圧力を変化させ、各圧力下でのDMC触媒の比表面積を求め、DFT(Density Functional Theory(密度汎関数理論))法によって計算することによって、DMC触媒の細孔径分布を求め、3nm以下の細孔の累積容積を3nm以下細孔容積とする。
なお、従来のDMC触媒の比表面積は約50〜約700m/gであり、3nm以下細孔容積は10×10−3cc/gを超える。従来のDMC触媒では、比表面積の増加にともなって3nm以下細孔容積も増加する傾向がある。これは、触媒粒子の表面積が大きくなった場合、触媒中の空隙域が大きくなり、3nm以下細孔容積が増加するためである。その結果、触媒の活性が高くなることが考えられる。
一方、本発明の製造方法で得られるDMC触媒の比表面積は、20〜150m/gであり、3nm以下細孔容積は10×10−3cc/g以下であり、従来のDMC触媒に比べ比表面積が小さく、かつ3nm以下細孔容積も少ないにもかかわらず、触媒活性は従来のDMC触媒と同等かそれ以上である。
本発明の製造方法で得られるDMC触媒は、従来のDMC触媒よりも、かなり密な凝集状態を有し、かつ、結晶化度が低い。さらに、複合金属シアン化物錯体に有機配位子が強く配位している。これらの要因のため、触媒の活性点が多く得られると考えられる。すなわち反応の場において、DMC触媒の凝集状態が崩れることにより生じる活性点が、従来のDMC触媒と比較して、多く生成しやすいと考えられる。よって、比表面積が小さくとも、単位面積当たりの触媒活性が大きいDMC触媒が得られたことが示唆される。
DMC触媒の有機配位子の脱離温度は、250〜390℃が好ましく、260〜380℃がより好ましい。有機配位子の脱離温度は、TG−DTA分析(示差熱熱重量分析)による有機配位子に由来する熱ピークである。また、TG−DTA分析における質量減少は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
有機配位子の脱離温度が250℃以上であれば、複合金属シアン化物錯体に有機配位子が強く配位しているため、高い触媒活性が発現されるので好ましい。有機配位子の脱離温度が390℃以下であれば、複合金属シアン化物錯体への有機配位子の配位が強くなりすぎず、高い触媒活性が発現されるので好ましい。
なお、従来のDMC触媒の有機配位子の脱離温度は、通常180℃である。本発明の製造方法で得られるDMC触媒においては、複合金属シアン化物錯体に有機配位子が強く配位していることがわかる。そのため、触媒の活性点が多く得られていると考えられる。
本発明の製造方法で得られたDMC触媒を用いて製造されたポリエーテルポリオールについて、下記の残存金属のろ過量の測定を行った場合、残存金属のろ過量は、65g/30分以上が好ましい。残存金属のろ過量が65g/30分以上であるということは、ポリエーテルポリオールの製造が完了した際に、製造前には凝集状態にあったDMC触媒がかなり微細な微粒子状態に解砕され、分散していることを示す。すなわち、DMC触媒の活性点は、触媒の凝集状態が崩れることにより発現しているため、高い触媒活性が発現されていることが示される。
残存金属のろ過量は、下記のように測定する。
秤量した容器にガラスフィルター容器を取り付け、さらに5.0μmのろ紙(PTFEフィルター、直径480mm、有効ろ過直径410mm)を取り付ける。DMC触媒を用いて製造されたポリエーテルポリオール(100g)を、希釈溶剤であるヘキサン(100g)に加え、溶解させた試料を、ろ紙の上面から流し入れ、ろ過する。30分間自然ろ過させ、ろ過された試料の収量を計量する。
<ポリエーテルポリオールの製造方法>
本発明のポリエーテルポリオールの製造方法は、本発明の製造方法によって得られたDMC触媒、および活性水素原子を有する開始剤の存在下に、アルキレンオキシドを開環重合する方法である。具体的には、開始剤にDMC触媒を加え、さらにアルキレンオキシドを徐々に加えながら反応を行う。
ポリエーテルポリエーテルは、ポリエーテルモノオールおよびポリエーテルポリオールの総称である。
DMC触媒は、湿潤状態のろ過ケーキのままでもよく、該ろ過ケーキをポリオール(開始剤等。)に分散させたスラリーでもよく、乾燥して得られたて粉体状のものでもよい。
DMC触媒の量は、開始剤に対して1〜5000ppmが好ましく、10〜1000ppmがより好ましく、10〜300ppmが特に好ましい。
DMC触媒は、始めに一括して加えてもよく、順次分割して加えてもよい。
アルキレンオキシドは、炭素数2以上のアルキレンオキシドを含むことが好ましい。炭素数2以上のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1.2−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。アルキレンオキシドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせる場合、2種以上のアルキレンオキシドは、混合して同時に反応させてもよく、1種ずつ順次反応させてもよい。
エチレンオキシドは、DMC触媒を用いる場合、開始剤によっては単独では反応させることが困難であるが、炭素数3以上のアルキレンオキシドと混合することにより反応させることができる。
アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド単独、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの組み合わせが好ましい。
活性水素原子を有する開始剤としては、水酸基を有する開始剤が好ましい。
開始剤の水酸基数は、1〜12が好ましく、2〜4がより好ましく、2〜3が特に好ましい。
開始剤は、製造するポリエーテルポリオールの水酸基価の2〜15倍の水酸基価を有するものが好ましく、3〜10倍の水酸基価を有するものがより好ましい。
開始剤の水酸基価は、70〜300mgKOH/gが好ましい。
開始剤の分子量は、500以上が好ましい。開始剤の分子量が小さいと、アルキレンオキシドの開環重合が起こりにくい場合がある。
開始剤の具体例としては、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、オレイルアルコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、デキストロース、メチルグルコシド、シュクロース、ビスフェノールA、これら化合物のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
反応温度は、30〜180℃が好ましく、90〜140℃がより好ましく、100〜140℃が特に好ましい。
製造されたポリエーテルポリオールは、そのまま所望の用途に用いてもよく、用途によっては触媒除去等の精製を行った後に用いてもよく、精製を行った後に用いることが好ましい。
本発明の製造方法で得られたDMC触媒は、触媒活性が高く、寿命が長いため、製造されたポリエーテルポリオール中に残存するDMC触媒の量を少なくできる。
また、本発明の製造方法で得られたDMC触媒を用いれば、副反応が抑えられるため、総不飽和度が低く、分子量分布(Mw/Mn)が狭く、高分子量のポリエーテルポリオールを製造できる。総不飽和度は、0.001〜0.03meq/gが好ましく、0.003〜0.01meq/gがより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、25℃においてポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定することにより求める。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、60mgKOH/g以下が好ましく、28mgKOH/g以下がより好ましく、24mgKOH/g以下がさらに好ましく、18mgKOH/g以下が特に好ましい。ポリエーテルポリオールの水酸基価は、2mgKOH/g以上が好ましく、5mgKOH/g以上がより好ましい。
ポリエーテルポリオールの用途としては、ポリウレタン(ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー等。)の原料、接着剤の原料、塗料の原料、界面活性剤、機能油(潤滑油等。)、シーラントの原料等が挙げられる。
以上説明した本発明のDMC触媒の製造方法にあっては、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得ているため、析出する固体の複合金属シアン化錯体の粒子は、大きさが小さく、かつ大きさの均一性が高くなる。
また、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得ているため、従来のような乱流状態で接触させる場合に比べ、粒子の大きさの制御が容易であり、同じような大きさ(粒度分布)を有する固体の複合金属シアン化錯体の粒子を再現性よく得ることができる。
また、ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得ているため、従来のような乱流状態で接触させる場合に比べ、製造工程が煩雑にならない。
よって、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いDMC触媒を再現性よく、簡便に製造できる。
また、本発明のDMC触媒の製造方法にあっては、前記複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子とを混合し、DMC触媒を含む分散液を得ているため、大きさが小さく、かつ大きさの均一性が高い固体の複合金属シアン化錯体の粒子に有機配位子が配位する。
そのため、複合金属シアン化錯体への有機配位子の配位が強くなる。よって、触媒活性が高いDMC触媒を製造できる。
また、以上説明した本発明のDMC触媒にあっては、本発明の製造方法によって得られたDMC触媒であるため、触媒活性が高く、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高い。
また、以上説明した本発明のポリエーテルポリオールの製造方法にあっては、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いDMC触媒を用いているため、分子量分布が狭く、不飽和度が低く、粘度が低く、高分子量であるポリエーテルポリオールを製造できる。
また、本発明のポリエーテルポリオールの製造方法にあっては、触媒活性が高いDMC触媒を用いているため、少ない量のDMC触媒でポリエーテルポリオールを効率よく製造できる。
また、本発明のポリエーテルポリオールの製造方法にあっては、粒子の大きさの再現性のよい製造方法によって得られたDMC触媒を用いているため、ポリエーテルポリオールを一定の品質で製造できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
例1〜6は、実施例であり、例7〜10は、比較例である。
(DMC触媒の大きさ)
SEM(KEYENCE社製、VE−8800)にて、倍率2000倍でDMC触媒を観察した。SEM写真上にて小顆粒状を確認できないもの「大」とし、小顆粒状を確認できるものを「小」として評価した。
(比表面積)
DMC触媒の比表面積は、ガス吸着量測定装置(Quantachrome Instruments社製、AUTOSORB−1)により測定し、BET法により窒素吸着量から換算した。
(3nm以下細孔容積)
DMC触媒の3nm以下細孔容積は、前記BET法により段階的に吸着物質の圧力を変化させ、各圧力下でのDMC触媒の比表面積を求め、DFT法によって計算することによって、DMC触媒の細孔径分布を求め、3nm以下の細孔の累積容積を3nm以下細孔容積とした。3nm以下細孔容積は、下式(4)の吸着等温線方程式に、DFT法によって得られた、ある吸着質/吸着材の組み合わせに対しての吸着等温線(N(P/P)、W)を数値的に解くことで得られる。
Figure 0005109093
ただし、N(P/P)は、測定で得られた吸着等温線データであり、Wは細孔幅であり、f(W)は、細孔径分布関数である。
(有機配位子の脱離温度)
DMC触媒の有機配位子の脱離温度は、TG/DTA装置(Seiko Instruments社製、EXSTAR6000)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、試料質量10mg、サンプリング間隔1秒の条件で、20℃から450℃までの質量減少を測定し、有機配位子に由来する熱ピークから求めた。
(触媒活性)
撹拌器付き、ステンレス製、200mLの耐圧反応器内に、ポリエーテルポリオール(グリセリンにプロピレンオキシドを付加して得られた分子量1000のポリエーテルポリオール)25gおよびDMC触媒0.5mgを入れた。窒素置換後、120℃に昇温し、撹拌速度500rpmに保ったまま、プロピレンオキシド(PO)の8gを反応器に供給し、反応させた。反応器内の圧力が下がったら、反応器内の内温を120℃に保持しながら、POを1g/分で供給し、POが重合しなくなるまで撹拌を続けた。その後、減圧脱気し、ポリエーテルポリオールの質量を秤量した。ポリエーテルポリオールの質量(kg)を0.5mgで除した値を触媒活性(kg/触媒g)とした。
残存金属のろ過量は、下記のように測定する。
秤量した容器にガラスフィルター容器を取り付け、さらに5.0μmのろ紙(PTFEフィルター、直径480mm、有効ろ過直径410mm)を取り付ける。DMC触媒を用いて製造されたポリエーテルポリオール(100g)を、希釈溶剤であるヘキサン(100g)に加え、溶解させた試料を、ろ紙の上面から流し入れ、ろ過する。30分間自然ろ過させ、ろ過された試料の収量を計量した。
〔例1〕
図1に示すDMC触媒の製造装置を用意した。第1の反応器20としては、図2に示すものを用いた。
膜22としては、厚さ50μm、幅50mm、長さ100mmのSUS304製の膜に、孔径80μmの細孔22aを、300μmのピッチで8行×166列設けた多孔性膜を用いた。すなわち細孔22aは、幅2.18mm×長さ49.58mmの長方形に収まるように1328個設けられている。
第1の部材28としては、厚さ20000μm(20mm)のPTFE製の板に、孔径3000μm(3mm)の貫通孔28aおよび孔径3000μm(3mm)の貫通孔28bが形成されたものを用いた。
第2の部材30としては、厚さ400μmのPTFE製の板に、長さ95000μm(95mm)、幅6000μm(6mm)の切欠30aが形成されたものを用いた。
第4の部材32としては、厚さ2000μm(2mm)のPTFE製の板に、長さ76000μm(76mm)、幅6000μm(6mm)の切欠32aが形成されたものを用いた。
第5の部材34としては、厚さ20000μm(20mm)のPTFE製の板に、孔径3000μm(3mm)の貫通孔34aが形成されたものを用いた。
ポンプ16を駆動させて貯蔵槽12から50.5質量%の塩化亜鉛水溶液20.2gを、0.45mL/分の一定の供給量にて、40℃に保温された第1の反応器20の貫通孔34aから第2の流路26に供給し、同時に、ポンプ18を駆動させて貯蔵槽14から5.3質量%のKCo(CN)水溶液79.2gを、2.5mL/分の一定の供給量にて、40℃に保温された第1の反応器20の貫通孔28aから第1の流路24に供給した。
塩化亜鉛水溶液を膜22の細孔22aに通し、第1の流路24内を流れるKCo(CN)水溶液中に、該細孔22aから押し出した。塩化亜鉛水溶液は約80〜300μmの微小液滴となってKCo(CN)水溶液に混入したと考えられる。第1の流路24内にて、KCo(CN)水溶液と微小液滴状の塩化亜鉛水溶液とが接触、反応し、固体の複合金属シアン化物錯体の粒子が析出した。第1の反応器20における各水溶液の平均滞留時間は、1分であった。
第1の流路24内を流れるKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、流路の動水半径:187.5μm、流速:18.0mm/s、密度:1020kg/m、粘度:8.0×10−4Pa・sから計算したところ15であり、層流状態であった。
膜22の細孔22a内を通る塩化亜鉛水溶液の流れのレイノルズ数は、流路の内径:80μm、流速:15×10mm/s、密度:1500kg/m、粘度:10.0×10−4Pa・sから計算したところ200であり、層流状態であった。
また、微小液滴状の塩化亜鉛水溶液は、層流状態のKCo(CN)水溶液内を流れるため、KCo(CN)水溶液と微小液滴状の塩化亜鉛水溶液との接触は、層流状態にて行われた。
固体の複合金属シアン化物錯体の粒子を含む液を、導管を通して40℃に保温された内容積500mLの第2の反応器40に導入した。該液を300rpmで撹拌しながら、該液に、有機配位子水溶液として50質量%のtert−ブチルアルコール水溶液160gを加え、30.8質量%のtert−ブチルアルコールを含む混合液を得た。該混合液を60℃に昇温し、60分間撹拌してDMC触媒を含む分散液を得た。第2の反応器40における混合液の平均滞留時間は、60分であった。
該分散液をろ過装置52(加圧ろ過装置)でろ過し、ろ過ケーキを得た。
ろ過ケーキに、tert−ブチルアルコール36gおよび蒸留水84g(tert−ブチルアルコール30.0質量%)を加え、20℃で30分間撹拌して洗浄を行った後、ろ過してろ過ケーキを得た。
ついで、ろ過ケーキにtert−ブチルアルコールを120g(tert−ブチルアルコールを100質量%)を加え、20℃で30分間撹拌して洗浄を行った後、ろ過し、ろ過ケーキを得た。
ろ過ケーキを減圧下および80℃で3時間乾燥し、ついで粉砕して粉体状のDMC触媒を得た。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。また、DMC触媒のSEM写真を図8に、TG−DTA分析のグラフを図9に示す。
〔例2〕
膜22として、厚さ50μmのSUS304製の膜に、孔径5mmの細孔22aを1つ設けた単孔性膜を用いた以外は、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
第1の反応器20における各水溶液の平均滞留時間は、1分であった。
第2の反応器40における混合液の平均滞留時間は、60分であった。
膜22の細孔22a内を通る塩化亜鉛水溶液の流れのレイノルズ数は、1であり、層流状態であった。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
〔例3〕
塩化亜鉛水溶液の供給量を0.2mL/分に変更した以外は、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
第1の反応器20における各水溶液の平均滞留時間は、1分であった。
第2の反応器40における混合液の平均滞留時間は、60分であった。
膜22の細孔22a内を通る塩化亜鉛水溶液の流れのレイノルズ数は、100であり、層流状態であった。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
〔例4〕
Co(CN)水溶液の供給量を1.25mL/分に変更した以外は、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
第1の反応器20における各水溶液の平均滞留時間は、2分であった。
第2の反応器40における混合液の平均滞留時間は、60分であった。
第1の流路24内を流れるKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、7であり、層流状態であった。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
〔例5〕
Co(CN)水溶液の供給量を5.0mL/分に変更した以外は、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
第1の反応器20における各水溶液の平均滞留時間は、30秒であった。
第2の反応器40における混合液の平均滞留時間は、60分であった。
第1の流路24内を流れるKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、30であり、層流状態であった。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
〔例6〕
貯蔵槽12の塩化亜鉛水溶液を60.6g、貯蔵槽14のKCo(CN)水溶液を237.6gに変更した以外は、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
第1の反応器20における各水溶液の平均滞留時間は、1分であった。
第2の反応器40における混合液の平均滞留時間は、60分であった。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
〔例7〕
5.3質量%のKCo(CN)水溶液79.2gを反応器に入れた。ついで、ポンプを駆動させて貯蔵槽から50.5質量%の塩化亜鉛水溶液20.2gを、0.45mL/分の一定の供給量にて反応器に供給した。
塩化亜鉛水溶液を前記単孔性膜(孔径5mm)に通し、KCo(CN)水溶液を撹拌翼にて300rpmで撹拌しながら、KCo(CN)水溶液内に、細孔から微小液滴として押し出し、KCo(CN)水溶液と微小液滴状の塩化亜鉛水溶液とを接触、反応させ、固体の複合金属シアン化物錯体の粒子を析出させた。
反応器内のKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、280000超であり、乱流状態であった。
単孔性膜の細孔内を通る塩化亜鉛水溶液の流れのレイノルズ数は、1であり、層流状態であった。
以降、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。また、DMC触媒のSEM写真を図10に、TG−DTA分析のグラフを図11に示す。
〔例8〕
50.5質量%の塩化亜鉛水溶液20.2gを反応器に入れた。ついで、ポンプを駆動させて貯蔵槽から5.3質量%のKCo(CN)水溶液79.2gを、2.5mL/分の一定の供給量にて反応器に供給した。
Co(CN)水溶液を前記単孔性膜(孔径5mm)に通し、塩化亜鉛水溶液を撹拌翼にて300rpmで撹拌しながら、塩化亜鉛水溶液内に、細孔から微小液滴として押し出し、塩化亜鉛水溶液と微小液滴状のKCo(CN)水溶液とを接触、反応させ、固体の複合金属シアン化物錯体の粒子を析出させた。
単孔性膜の細孔内を通るKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、1であり、層流状態であった。
反応器内の塩化亜鉛水溶液の流れのレイノルズ数は、280000超であり、乱流状態であった。
以降、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。また、DMC触媒のSEM写真を図12に示す。
〔例9〕
50.5質量%の塩化亜鉛水溶液20.2gを反応器に入れた。ついで、塩化亜鉛水溶液を撹拌翼にて300rpmで撹拌しながら、ポンプを駆動させて貯蔵槽から5.3質量%のKCo(CN)水溶液79.2gを、2.65mL/分の供給量にて反応器に、単孔性膜を通すことなく直接供給した。さらに30分間撹拌を続け、複合金属シアン化物錯体の分散液を得た。
反応器内の塩化亜鉛水溶液およびKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、280000超であり、乱流状態であった。
反応器内を60℃に昇温し、分散液を300rpmで撹拌しながら、分散液に50質量%のtert−ブチルアルコール水溶液160gを加え、30.8質量%のtert−ブチルアルコールを含む混合液を得た。該混合液をさらに60分間撹拌してDMC触媒を含む分散液を得た。
以降、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
〔例10〕
連通式反応器に、50.5質量%の塩化亜鉛水溶液を、1.5mL/分の一定の流量で供給し、5.3質量%のKCo(CN)水溶液を、0.05mL/分の一定の流量で供給した。
反応器内の塩化亜鉛水溶液およびKCo(CN)水溶液の流れのレイノルズ数は、200000超であり、乱流状態であった。
反応器内にて塩化亜鉛水溶液とKCo(CN)水溶液とを40℃の反応温度で反応させ、15分間滞留させた後、50質量%のtert−ブチルアルコール水溶液を180mL滴下し、60℃に昇温させた。一時間撹拌した後、ろ過し、ろ過ケーキを得た。
以降、例1と同様にしてDMC触媒を得た。
DMC触媒の大きさ、比表面積、3nm以下細孔容積、有機配位子の脱離温度、触媒活性および残存金属のろ過量を表1に示す。
Figure 0005109093
SEM写真から、例1のDMC触媒は、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いことがわかる。例7、8のDMC触媒と比べると、DMC触媒の粒子が集合した外観を示している。
例1〜6のDMC触媒の比表面積は、例7〜10のDMC触媒より小さかった。例1〜6のDMC触媒の3nm以下細孔容積は、例7〜10のDMC触媒より少なかった。
例1〜6のDMC触媒の有機配位子の脱離温度は、280〜290℃であり、例7〜10のDMC触媒に比べ約100℃高く、例1〜6のDMC触媒は、有機配位子が複合金属シアン化錯体に強く配位していることが示唆される。
例1〜6のDMC触媒の触媒活性は、例7〜10のDMC触媒とほぼ同等であった。
以上のように、層流状態で形成された例1〜6のDMC触媒は、比表面積が小さく、3nm以下細孔容積も少ないにもかかわらず、触媒活性が、例7〜10のDMC触媒とほぼ同等であった。このことから、例1〜6のDMC触媒は、触媒の凝集状態が密であることが推測され、また、有機配位子の配位力が、例7〜10のDMC触媒に比べ強いことから、触媒の単位面積あたりの触媒活性が高くなることが示唆される。
例1〜6のDMC触媒の残存金属のろ過量は、例7〜10のDMC触媒に比べて多く、ポリエーテルポリオール中に含まれる5.0μm以上のDMC触媒残渣が取り除かれたことが示された。このことは、例1〜6のDMC触媒の粒子が均一で細かいものであり、ポリエーテルポリオール中での分散性がよいことを示している。
以上のように、例1〜6の製造方法によれば、例7〜10と比較して、DMC触媒の粒子径制御が可能であり、微細で均一な粒子を再現性よく得ることができ、高い触媒活性を有し、残存金属のろ過量が良好なDMC触媒が得られた。
本発明の製造方法によって得られたDMC触媒は、触媒活性が高く、粒子の大きさが小さく、かつ粒子の大きさの均一性が高いため、アルキレンオキシドの開環重合に用いる触媒として非常に有用である。

なお、2007年4月10日に出願された日本特許出願2007−102507号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (13)

  1. 下記(a)工程および(b)工程を有する、有機配位子を有する複合金属シアン化錯体触媒の製造方法。
    (a)ハロゲン化金属化合物水溶液とシアン化遷移金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得る工程。
    (b)前記複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子とを混合し、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を含む分散液を得る工程。
  2. 前記(a)工程が、下記(a−1)工程である、請求項1に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化錯体触媒の製造方法。
    (a−1)細孔を有する膜によって内部が第1の流路および第2の流路に仕切られた第1の反応器の第1の流路に、シアン化遷移金属化合物水溶液を連続的に供給し、
    第2の流路に、ハロゲン化金属化合物水溶液を連続的に供給し、
    第2の流路のハロゲン化金属化合物水溶液を前記膜の細孔に層流状態で通しながら、第1の流路を層流状態で流れるシアン化遷移金属化合物水溶液中に、ハロゲン化金属化合物水溶液を前記膜の細孔から微小液滴状に押し出し、第1の流路内にて、シアン化遷移金属化合物水溶液と微小液滴状のハロゲン化金属化合物水溶液とを層流状態で接触させ、複合金属シアン化錯体を含む液を得る工程。
  3. 前記各層流状態が、レイノルズ数で2100以下である、請求項1または2に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  4. 前記(b)工程が、下記(b−1)工程である、請求項1に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化錯体触媒の製造方法。
    (b−1)前記複合金属シアン化錯体を含む液と、有機配位子または有機配位子水溶液とを第2の反応器に導入し、撹拌して、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を含む分散液を得る工程。
  5. さらに、下記(c)工程を有する、請求項1に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化錯体触媒の製造方法。
    (c)前記有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を含む分散液をろ過する工程。
  6. さらに、下記(d)工程を有する、請求項5に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化錯体触媒の製造方法。
    (d)前記(c)工程で得られた有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を洗浄する工程。
  7. 前記(c)工程および(d)工程が、下記(c−1)工程、(d−1)工程および(c−2)工程である、請求項6に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化錯体触媒の製造方法。
    (c−1)前記有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体を含む分散液をろ過し、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒のろ過ケーキを得る工程。
    (d−1)前記ろ過ケーキと有機配位子または有機配位子水溶液とを混合し、該混合液を0〜100℃で撹拌し、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒を洗浄する工程。
    (c−2)前記混合液をろ過してろ過ケーキを得る工程。
  8. 前記(c−1)工程または(c−2)工程で得られたろ過ケーキ中の、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒の含有量が、20〜60質量%である、請求項7に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  9. 前記(d−1)工程および(c−2)工程を2回以上繰り返す、請求項7に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られた有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒であって、
    BET法による比表面積が、20〜150m/gであり、
    該比表面積に基づいたDFT法による3nm以下細孔容積が、0.05×10−3〜10×10−3cc/gである、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒。
  11. 有機配位子の脱離温度が250〜390℃である、請求項10に記載の有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒。
  12. 前記有機配位子が、tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、イソプロペニルアルコール、およびジオキサンからなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項10または11に記載の有機配位子を有する複合シアン化物錯体触媒。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られた有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体触媒、および活性水素原子を有する開始剤の存在下に、アルキレンオキシドを開環重合する、ポリエーテルポリオールの製造方法。
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