従来、平板状若しくはシート状のプリント基板、又は液晶ディスプレイ装置等の製造において、基板のベース材又はガラス基板には種々のフィルムが貼着・剥離される。
平板状のプリント基板の製造において、ベースとなるワークは、銅メッキが施された後、ドライフィルムが貼着され、パターンフィルムが密着固定された後、露光されて配線パターンが現像される。シート状のプリント基板の製造においては、予め回路パターンが形成されたフィルムがシート状のベースに貼着される。
また、回路パターンが形成された基板は、回路の保護及び基板の損傷防止のために、保護フィルムが貼着されて使用される。そして、基板回路に外部から電気的ノイズが付加されることを防止するために、電子部品に使用される保護フィルムは、金属薄膜層及び絶縁層を積層した積層フィルムとして構成されることがある。
液晶ディスプレイ装置の製造においては、ガラス基板上に感光性フィルム、偏光フィルムが貼着される。
また、部品に貼着されるフィルムには、フィルム自身の保護又は埃塵の付着防止のために、表面保護フィルムが貼着されることがある。この表面保護フィルムは、フィルムが部品に貼着された後の工程において剥離される。
更に、これらのフィルムの部品への貼着面に接着剤が塗布されている場合、この接着剤の粘着性、又はフィルム自身の誘電性によって貼着面に埃塵等が付着してしまう。この埃塵等の付着を防止するために、貼着面には離型フィルムが貼着されていることがある。
図9は、従来の表面保護フィルムの剥離方法を示す図である。表面保護フィルムを手作業で剥がす際、図9(a)に示すように積層フィルム20の端部に先端が鋭利な工具5を当接しながら工具5の先端を矢印方向に移動させると、図9(b)に示すように表面保護フィルム(剥離層20c)の端部が捲り起こされる。そして、捲り起こされた表面保護フィルム端部を把持して貼着対象部品から離隔すると、図9(c)に示すように、表面保護フィルム(剥離層20c)は積層フィルム20から剥離される。
これらのフィルムは、製造工程において、シート状のフィルムから、又はシート状に展開されたロール状のフィルムから所定の寸法に切り出され、夫々、貼着対象部品に運搬されて貼着される。これらのフィルムの貼着及び剥離は、プリント基板、液晶ディスプレイ装置等の製造工程において、夫々、専用の貼着装置若しくは剥離装置を使用して、又は手作業によって行われる。
貼着装置を使用して貼着対象部品にフィルムを貼着する場合、フィルムと貼着対象部品とは夫々独立して位置又は部品搬送部の駆動が制御されるため、フィルム貼り合わせ位置が安定せず、貼着対象部品にフィルムを精度よく貼着することができないことがある。
フィルムの貼り合わせ位置精度を向上させるため、例えば、特許文献1には、フレキシブル基板の製造工程において、ベースフィルムとカバーレイフィルムが共に長尺の場合に発生する位置合わせ誤差の累積、及びフィルムの繰り出しによるフィルムの蛇行の発生を防止するカバーレイフィルム貼り合わせ装置が開示されている。この特許文献1に開示されたカバーレイフィルム貼り合わせ装置は、離型フィルム把持装置を備え、離型フィルム把持装置が離型フィルムの端部を把持した状態で、カバーレイフィルムをベースフィルムまで移動させることによって離型フィルムがカバーレイフィルムから剥離される。
この特許文献1に開示されたカバーレイフィルム貼り合わせ装置には、カバーレイフィルムの位置及び姿勢を測定するための撮影素子が設けられており、撮影素子によって測定されたカバーレイフィルムの位置及び姿勢に応じてカバーレイフィルムを配置することによって、フィルムの貼り合わせ位置精度を向上させることが開示されている。
一方、図9に示すように表面保護フィルム等の剥離層を手作業で剥離すると、先端が鋭利な工具が、厚さが薄いフィルム端部に当接・移動された場合、工具の先端が貼着対象部品又は積層フィルム自体を損傷してしまう可能性がある。そこで、専用の装置を使用して表面保護フィルム等の剥離層を剥離する技術が提案されている。
特許文献2には、基板に貼着された感光性フィルムのカバーフィルムをレジスト膜から剥がすために、剥離刃が設けられたフィルム剥離装置が開示されている。この剥離刃には、基板面に対向する平坦面が設けられ、更に、この平坦面を下端とした傾斜面が設けられている。そして、剥離刃を感光性フィルムの角部を通過するように移動させると、レジスト膜とカバーフィルムとの間に剪断力を生じ、カバーフィルムが部分的に剥離(初期剥離)される。初期剥離されたカバーフィルムには粘着テープを貼着する。そして、粘着テープを捲り上げると、カバーフィルムはレジスト膜から剥離・回収される。
しかしながら、特許文献2に開示されたフィルム剥離装置は、基板面に近接した位置において感光性フィルムの端部を剥離刃が通過するように構成されているため、剥離刃の位置は基板及び感光性フィルムの寸法精度を考慮して制御する必要がある。従って、剥離刃の位置を高い精度で制御することができない場合、剥離刃がレジスト膜又は基板を傷つけてしまう可能性がある。そして、フィルムの厚さが薄い場合、この損傷の危険性は特に大きくなる。
特許文献3には、液晶ディスプレイ装置用偏光フィルム及び位相差フィルムに使用される保護フィルムの剥ぎ取り装置及び剥ぎ取り方法が開示されている。この保護フィルム剥ぎ取り装置に設けられた押えローラには、外周部に接着テープが巻き掛けられている。そして、保護フィルム表面を押えローラによって上方から押圧することによって、保護フィルム表面に接着テープが貼着される。また、押圧力を制御しながら押えローラを移動させると、接着テープの接着力によって保護フィルムが接着テープと一体的に剥がされる。
特許文献4には、プリント基板に貼着された積層フィルムの表面保護ベースフィルムの剥離方法及び剥離装置が開示されている。図10にこの従来の剥離層の剥離方法の概略を示す。図10に示すように、プリント基板30には予め貫通穴30aが設けられており、プリント基板30の両方の基板面には貫通穴30aを覆って表面保護ベースフィルム(剥離層20c)が貼着されている。また、プリント基板30は基板搬送部6の上に載置されており、貫通穴30aに対応する位置の基板搬送部6にも貫通穴6aが設けられている。そして、基板搬送部6と一体的にプリント基板30を所定の位置にくるまで搬送すると、図10(a)に示すように、剥離装置に設けられたピン7がプリント基板及び基板搬送部の貫通穴30a,6aの上方に位置する。そして、図10(b)に示すように、ピン7をプリント基板の貫通穴30aを貫通させて下方に移動させると、図10(c)に示すように、基板搬送部6側の表面保護ベースフィルムが、貫通穴30a,6aに相当する位置で捲り起こされる。
しかしながら、上述の従来技術には以下のような問題点がある。
特許文献1乃至4に開示された技術は、切り出しされたフィルムを貼着対象部品に貼着するか、又は貼着対象部品からフィルムの剥離層を剥離するために、専用の貼着装置又は剥離装置を設ける必要性がある。そして、貼着対象部品への貼着前の段階でフィルムに部材を付加する場合、フィルムから不要部分を除去する場合、フィルムに対して、例えば、静電気除去処理、塗装又は蒸着等の付随処理を施す場合において、これらの行程はフィルムの貼着及び剥離工程とは別の工程になる。
また、特許文献2及び3に記載された技術は、保護フィルムを剥離するための機構が複雑である。従って、特許文献1乃至4に記載の技術を使用した場合、製造設備が大型化し、加工コストが上昇する。
更に、特許文献4に開示されたフィルム剥離装置を使用した場合、表面保護ベースフィルムを剥離するために、プリント基板には専用の貫通穴を設ける必要性がある。また、積層フィルムの大きさは、プリント基板の貫通穴及びその周辺部に相当する面積だけ余分に設定する必要性がある。従って、プリント基板及び積層フィルムの材料コスト、並びにプリント基板の加工コストが高くなるという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、フィルムの貼着対象部品の製造コストを低減することができ、更に、部品の製造設備を小型化することができるフィルム貼着装置を提供することを目的とする。
本発明に係るフィルム貼着装置は、フィルムから、フィルム片を切り出すと共に、このフィルム片を切り出し位置から板状又はシート状の部品へ運搬して前記部品に貼着するフィルム片運搬部を備えるフィルム貼着装置において、
前記切り出し位置と前記フィルム片の貼着位置とを結ぶ直線上の位置で、前記フィルム片に対する付加部材の付加及び/又はフィルム片の付随処理を施す付加ユニットを有し、
前記付加ユニットが前記フィルム片に付加部材の付加及び/又はフィルム片の付随処理を施した後、
付加部材の付加及び/又はフィルム片の付随処理を施した前記フィルム片が前記部品に貼着されることを特徴とする。
更に、上述のフィルム貼着装置を、前記部品を搬送する部品搬送部と、この部品搬送部に搬送されている前記部品の位置、及び前記貼着位置を検出する第1の検出部と、この第1の検出部が検出した検出結果に応じて前記フィルム片の位置を前記貼着位置に合わせるように前記フィルム片運搬部の位置及び前記部品搬送部の駆動を制御する制御部と、を有するように構成することができる。
また、上述のフィルム貼着装置は、前記フィルム片の位置を検出する第2の検出部を有し、前記制御部は、前記第2の検出部が検出した検出結果に応じて前記フィルム片の位置を前記付加ユニットに合わせるように前記フィルム片運搬部及び前記付加ユニットの位置を制御して、前記付加ユニットが前記フィルム片に対する付加部材の付加及び/又はフィルム片の付随処理を施す。
更に、上述のフィルム貼着装置は、前記切り出し位置と前記フィルム片の貼着位置とを結ぶ直線上の位置で、前記フィルム片から不要部分を除去する除去ユニットを有するように構成することができる。
そして、このフィルム貼着装置は、前記フィルム片の位置を検出する第2の検出部を有し、前記制御部は、前記第2の検出部が検出した検出結果に応じて前記フィルム片の位置を前記除去ユニットに合わせるように前記フィルム片運搬部及び前記除去ユニットの位置を制御して、前記除去ユニットが前記フィルム片から不要部分を除去することができる。
上述のフィルムは、例えば、接着剤層と剥離層とが積層された積層フィルムであり、前記付加ユニットは、前記フィルム片における前記接着剤層の外縁の少なくとも一部を含む領域に、前記剥離層の剥離用の小片を付加し、前記フィルム片運搬部は、前記フィルム片と前記部品との間に前記小片を挟んで、前記接着剤層が前記部品に重なるように配置して貼着する。
また、上述のフィルムが、一方の面に剥離層が貼着されている場合には、前記付加ユニットは、両面に接着剤層が形成された粘着テープを前記フィルム片の他方の面に貼着することによって、前記フィルム片に接着剤層を形成し、更に前記フィルム片における前記接着剤層の外縁の少なくとも一部を含む領域に、前記剥離層の剥離用の小片を付加し、前記フィルム片運搬部は、前記フィルム片と前記部品との間に前記小片を挟んで、前記接着剤層が前記部品に重なるように配置して貼着する。
そして、前記粘着テープは接着剤層上に剥離シートが貼着されている場合には、前記付加ユニットは、前記フィルム片に前記粘着テープを貼着する前に、前記剥離シートを除去する。
上述のフィルム片の前記接着剤層は、異方導電性接着剤層であってもよく、熱可塑性の接着材層であってもよい。また、前記フィルムは、金属薄膜層と絶縁層が積層され、前記剥離層が前記絶縁層側に積層され、且つ前記接着剤層が前記金属薄膜層側に積層されて電磁波シールドフィルムとして構成されることができる。
前記付加ユニットは、例えば、前記フィルム片に静電気除去処理を施すイオナイザである。また、前記付加ユニットは、前記フィルム片の表面に塗装又は蒸着処理を施すことができる。
また、前記改質処理として、前記フィルム片の表面に塗装又は蒸着による改質処理を施すことができる。
上述のフィルム貼着装置を使用してフィルムを貼着する場合、その工程はフィルムから、フィルム片を切り出す工程と、前記フィルム片を切り出し位置から板状又はシート状の部品へ運搬する工程と、前記フィルム片を前記部品に貼着する工程と、を有し、前記フィルム片の運搬の途中にて、前記切り出し位置と前記フィルム片の貼着位置とを結ぶ直線上の位置で、前記フィルム片に対して付加部材の付加を施す付加工程、及び/又は前記フィルム片の付随処理を施す付随処理工程を有する。
そして、前記フィルムは、例えば、接着剤層と剥離層とが積層された積層フィルムであり、前記付加工程において、前記フィルム片における前記接着剤層の外縁の少なくとも一部を含む領域に、前記剥離層の剥離用の小片を付加し、前記貼着工程において、前記フィルム片と前記部品との間に前記小片を挟んで、前記接着剤層が前記部品に重なるように配置して貼着し、前記フィルムの前記剥離層を剥がす際に、前記小片を利用して前記接着剤層から剥がしやすくすることができる。
本発明のフィルム貼着装置によれば、フィルム片の切り出し位置とフィルム片貼着位置とを結ぶ直線上の位置に、付加ユニット又は除去ユニットが設けられている。そして、フィルム片を切り出し位置から貼着対象部品へと運搬する途中において、付加部材の付加、フィルム片の付随処理、不要部分の除去を行うことができる。そして、フィルムに付加部材の付加、不要部分の除去、フィルム片の付随処理を、フィルム片の切り出しから貼着までの間に行うことができる。また、フィルム片に付加部材の付加、フィルム片の付随処理、不要部分の除去を施すために、専用の装置を設ける必要がない。従って、部品の製造設備を小型化することができる。
また、従来では他の工程とされてきた処理を、フィルムが切り出されてから貼着されるまでの間にフィルムに施すことが可能であるため、部品の製造コストを低減することができ、更に製造工数の短縮にもつながる。
また、本発明の他のフィルム貼着装置によれば、上述の効果に加え、部品の位置及びフィルム貼着位置を検出する第1の検出部が設けられ、この第1の検出部による検出結果に応じてフィルム片の位置をフィルム貼着位置に合わせるようにフィルム片運搬部の位置及び部品搬送部の駆動が制御される。従って、部品搬送部に搬送される部品が予め部品搬送部に規則的に配置されていない場合においても、第1の検出部が検出した検出結果に応じて、フィルムを精度よく貼着位置に貼着することができる。従って、本発明のフィルム装置は汎用性が高い。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るフィルム貼着装置の概略を示す斜視図、図2は本実施形態のフィルム片運搬部を示す下面図である。
図1に示すように、本実施形態のフィルム貼着装置1は、フィルム片運搬部10、付加ユニット11、部品搬送部12、フィルム送り部13、フィルム抜出台14から構成され、全体として1つの筐体内部に収容されている。
フィルム片運搬部10は、ベース10a、支持体10b、抜出ヘッド10c、第1の検出器10dによって構成されている。
ベース10aは箱状に設けられ、柱状の支持体10bによって上部から支持されている。支持体10bは、後述するシート状フィルム200のシート面に対して垂直の上下方向、及びシート面に平行且つフィルム200の送り方向に対して垂直の左右方向に移動可能に設けられており、支持体10bの移動が制御されることによって、フィルム片運搬部10全体が移動する。なお、図1においては、シート状フィルム200の送り方向をX方向、上述の左右方向をY方向として示す。また、支持体10bはその柱状の軸を回転軸として図1のθ方向に回転可能に設けられている。
ベース10aの下方には、シート状フィルム200からフィルム片2aを切り出す抜出ヘッド10cが種々の形状にて複数設けられており、ベース10aに対して上下動可能に制御される。この抜出ヘッド10cの下方には、図2に示すように、フィルム片2aを保持する平面としてフィルム保持面10eが設けられている。そして、このフィルム保持面10eには、フィルム片を吸着するために複数の吸着孔10fが設けられており、吸着孔10fはその内部圧力を制御する図示しない圧力制御装置に連通されている。また、フィルム保持面10eは、フィルム片2aの熱可塑性接着剤からなる接着剤層を加熱することができるように構成されている。本実施形態においては、フィルム保持面10eの外縁は、シート状フィルム200を押圧して剪断力によってフィルム片2aを切り出すことが可能な程度に鋭利に設けられている。
また、図1に示すように、ベース10aの側面には、部品搬送部12に搬送されている貼着対象部品3の位置、及びフィルム片2aが貼着される貼着位置を検出する第1の検出器10dが設けられている。
本実施形態の付加ユニット11は、搬送中のフィルム片2aに部材を付加する部材付加部11a、及び搬送中のフィルム片2aの位置を検出する第2の検出器11bから構成されており、フィルム片2aの切り出し位置とフィルム片貼着位置とを結ぶ直線上に位置している。また、付加ユニット11全体がシート状フィルム200及び部品搬送部12の送り方向に対して平行な方向に移動可能に制御されている。付加ユニット11の部材付加部11aには、図示しない部材供給装置によって随時部材が供給されている。
部品搬送部12は、図示しない複数の搬送ローラの周囲に、例えば樹脂製のベルトが巻回されたものであり、本実施形態においては、ベルト上に板状又はシート状の貼着対象部品3が連続的又は間欠的に載置されて、一定の送り方向に搬送される。なお、本実施形態において、貼着対象部品3は平板状のプリント基板30である。
フィルム送り部13は、シート状フィルム200に当接する複数の送りローラを同期回転させるか、又はローラ状に巻回されたフィルム2をローラ支持体13aで回転可能に軸支すると共に、送り方向の終端に設けられたローラでフィルム2を端部から巻き取らせるように構成されている。そして、フィルム貼着装置1の内部において、フィルム送り部13は、フィルム2をシート状に展開して一定の送り方向に搬送する。
フィルム抜出台14は、展開されたシート状フィルム200の下方に位置して設けられ、その上面に設けられた平面上でシート状フィルム200からフィルム片2aが切り出される。
本実施形態のフィルム貼着装置1は、フィルム片2aの切り出し位置とフィルム片貼着位置とを結ぶ直線上に付加ユニット11が設けられている。そして、フィルム片を切り出してから貼着対象部品へと運搬する途中にて、各フィルム片に対して付加部材を付加することができる。従って、切り出し処理される前のフィルム又は貼着対象部品に、予め部材を付加する必要がなく、部材付加のために専用の装置を別途設置する必要がない。
なお、本実施形態の抜出ヘッド10cは、ベース10aの下方に複数箇所設けられているが、フィルム片2aの形状が1種類の場合、抜出ヘッド10cがベース10aの下方に1箇所だけ設けられていてもよい。また、本実施形態の付加ユニット11は、フィルム片2aに付加部材4を付加するように構成されているが、フィルム片2aから離型シート等の不要部材を除去する機能を備えてもよく、また、静電気除去処理を施すイオナイザとして構成されていてもよい。これにより、不要部材の除去、フィルム片の付随処理を施すために、専用の装置を別途設ける必要がなく、部品の生産コストを低減することができる。
次に、本実施形態のフィルム貼着装置によって貼着されるフィルムの構成について説明する。図3は、本実施形態のフィルム装置による貼着行程を示す図である。
ローラ状に巻回されたフィルム2は、図3(a)に示すように、積層フィルム20として構成され、積層部20aの一方の表面に貼着対象部品3(プリント基板30)への接着剤層20bが形成され、積層部20aの他方の表面には剥離層20cとして保護フィルムが貼着されている。
接着剤層20bは、例えば異方導電性を有するシリコン系の熱可塑性接着剤からなる。本実施形態の接着剤層20b上には、積層部20aとしての金属薄膜層と絶縁層とがこの順に積層されている。積層部20aは、ポリイミドからなる絶縁層、銅からなる金属薄膜層等が積層されたものであり、この積層フィルム20は電磁波シールドフィルムとして使用される。
保護フィルム層20cは、PET等からなるフィルムが積層部20aの粘着性で積層部20aに貼着されている。なお、保護フィルム層20cの積層部20aへの貼着力は、貼着対象部品3(プリント基板30)に対する接着剤層20bの接着力に比して、十分小さい。従って、積層部20aが貼着対象部品3から剥がれることなく、保護フィルム層20cは積層部20aから剥離されることができる。
次に、本実施形態のフィルム貼着装置の動作について説明する。図4及び図5は、本実施形態のフィルム貼着装置のフィルム切り出し行程を示す図、図6は付加ユニットによる付加部材の付加行程を示す図、図7はフィルム片の貼着工程を示す図である。
まず、図1に示すように、ローラ支持体13にローラ状のフィルム2を軸支させ、図示しないローラにフィルム2の端部をセットして、装置内部でフィルム2をシート状フィルム200として展開する。
次に、支持体10bの位置が制御されて、フィルム片運搬部10がX、Y方向に移動してフィルム抜出台14の位置に相当するシート状フィルム200の上方に到達する(図4(a))。このとき、切り出されるフィルム片の形状に合わせ、支持体10bはその柱状の軸を回転軸として図1のθ方向に回転される。そして、支持体10bの位置が更に制御されて、フィルム片運搬部10は抜出ヘッド10cがシート状フィルム200に近接するまで下降する。
次に、複数の抜出ヘッド10cのうち、フィルム片を切り出すように選択・制御された抜出ヘッド10cは、図4(b)に示すように、シート状フィルム200に当接する位置まで下降し、シート状フィルム200を押圧する。上述の如く、フィルム保持面10eの外縁は鋭利に設けられているため、抜出ヘッド10cがシート状フィルム200を押圧すると、フィルム保持面10eの外縁にそって、フィルム片2aが切り出される(図4(c))。
そして、図5(a)に示すように、フィルム片2aの切り出しにタイミングを合わせて、図示しない圧力制御装置が作動されて、吸着孔10fの内部は装置内部の圧力に対して負圧となる。従って、切り出されたフィルム片2aは、フィルム保持面10eに吸着されて保持される。なお、吸着孔10fの内部は、フィルム片2aが貼着対象部品に載置されるまで負圧に保持され、フィルム片aはフィルム保持面10eに保持されている。
次に、フィルム保持面10eにフィルム片2aを吸着した抜出ヘッド10cは、図示しない制御部に制御されて上昇し(図5(b))、引き続いて支持体10bが上昇されてフィルム片運搬部10はシート状フィルム200から離れる(図5(c))。フィルム切り出し行程を経たフィルム片運搬部10は、Y方向に移動が制御されて、付加ユニット11の位置に合わせてY方向に移動する。
フィルム片運搬部10がY方向に移動して付加ユニット11付近に到達する(図6(a))と、付加ユニット11に設けられた第2の検出器11bは、選択的にフィルム保持面10eに保持されたフィルム片2aの位置を検出する。そして、第2の検出器11bが検出したフィルム片2aの位置の情報は、図示しない計算装置に送られる。計算装置は、フィルム片2aの位置情報を基に、小片4を付加するフィルム片2aの位置を算出し、更に制御装置が支持体10bの位置及び回転角度、並びに付加ユニット11の位置を制御する。そして、図6(b)に示すように、フィルム片運搬部10はY方向に移動すると共に、θ方向に回転し、付加ユニット11はX方向に移動して、フィルム片2aの部材付加部Aと付加部材5の接着部Aとを対向させる。
続いて、フィルム片2aの切り出し工程と同様に、支持体10b及び抜出ヘッド10cの位置が制御され、フィルム片2aの下面が付加部材5の上面に接触するまでフィルム片運搬部10が下降する。付加部材5の接着部Aには接着剤が塗布されており、この接着剤によって付加部材5はフィルム片2aの下面に貼着される。引き続いて、フィルム片運搬部10が上昇されると、付加部材5は、フィルム片2aの下面に貼着された状態でフィルム片運搬部10に搬送される。
部材付加工程を経たフィルム片運搬部10は、Y方向に位置が制御されて、部品搬送部12の位置に合わせてY方向に移動する。フィルム片運搬部10がY方向に移動して部品搬送部12付近に到達する(図7(a))と、ベース10aの側面に設けられた第1の検出器10dは、プリント基板30の位置及びフィルム片2aが貼着される貼着位置を検出する。そして、第1の検出器10dが検出したプリント基板30の位置及びフィルム片貼着位置の情報は、図示しない計算装置に送られる。計算装置は、プリント基板30の位置及びフィルム片貼着位置の情報を基に、フィルム片2aを貼着するプリント基板30における貼着位置を算出し、更に制御装置が支持体10bの位置及び部品搬送部12の位置を制御する。そして、図7(b)に示すように、フィルム片運搬部10はY方向に移動すると共に、θ方向に回転し、部品搬送部12がX方向に移動して、フィルム片2aの貼着面Bとプリント基板30の付加部Bとを対向させる。
続いて、フィルム片2aの切り出し工程、部材付加工程と同様に、支持体10b及び抜出ヘッド10cの位置が制御され、フィルム片2aの下面がプリント基板30の上面に近接するまでフィルム片運搬部10が下降する。
次に、本実施形態のフィルム貼着装置によるフィルム貼着工程について説明する。
本実施形態のフィルム貼着工程は、図3(a)に示すように、接着剤層20bの外縁の少なくとも一部を含む領域にて貼着対象部品3(プリント基板30)との間に小片4を挟んで、接着剤層20bが貼着対象部品3に重なるように配置して接着固定する工程を有する。小片4は、接着剤層20bと貼着対象部品3との間に挟持された状態で、フィルム保持面10eによって保護フィルム(剥離層20c)上から積層フィルム20に加熱・加圧が施される。
上述の如く、接着剤層20bは熱可塑性の接着剤からなるため、接着剤層20bは、小片4が載置されていない位置に対応して貼着対象部品3と接触し、接触する位置において貼着対象部品3に強固に貼着される。一方、接着剤層20bは、小片4の上方に位置する部分が小片4に貼着される(図3(b))。小片4は積層フィルム20(フィルム片2a)の積層方向に高さを有するため、接着剤層20bが貼着された小片4の端部付近において、フィルム片2aの貼着面には、小片4及び貼着対象部品3(プリント基板30)のいずれにも貼着されない微小な領域が生じる。
図8(a)に示すように、フィルム片2aが小片4及び貼着対象部品3に貼着された状態において、小片4は貼着対象部品3上に載置されている。また、小片4の上方にはフィルム片2aの接着剤層20bが貼着されている。従って、小片4の端部を把持して、小片4を貼着対象部品3から離隔すると、フィルム片2aは小片4に貼着された部分が小片4の移動に追従して捲り上げられる。そして、引き続き小片4を貼着対象部品3から離隔すると、小片4から積層部20aに対して印加される引張力が増加する。
そして、小片4を引き続いて貼着対象部品3から離隔させ、小片4から積層部20aに印加される引張力が積層部10の剪断強度に達すると、小片4の位置に相当する積層部20aは、貼着対象部品3に貼着された積層部20aから小片4と一体的に切断される。この積層部20aの切断は、特に、上述の小片4及び貼着対象部品3のいずれにも貼着されていない領域を起点として顕著に発生する。
そして、小片4を引き続いて貼着対象部品3から離隔すると、図8(b)に示すように、保護フィルム(剥離層20c)は小片4に貼着された積層部20aに相当する位置を起点として積層部20aから剥離を開始し、小片4の移動に追従する。又は、図8(c)に示すように、小片4の上方に位置する保護フィルム(剥離層20c)が積層部20aから剥離してしまった場合においても、保護フィルムの端部を容易に把持することが可能である。従って、保護フィルムの端部を起点として、剥離層20cを積層部20aから容易に剥がすことができる。
本実施形態のフィルム貼着装置1によれば、フィルム片運搬部10には、部品搬送部12に搬送されている貼着対象部品3の位置、及びフィルム片2aが貼着される貼着位置を検出する第1の検出器10dが設けられている。そして、各フィルム片は部材の付加を施された後、第1の検出器が検出した検出結果に応じて移動・回転され、精度よく貼着対象部品に貼着される。従って、生産性よく低い加工コストで貼着位置精度が高い部品を得ることができる。
また、付加ユニット11には、搬送中のフィルム片2aの位置を検出する第2の検出器11bが設けられている。そして、搬送中のフィルム片2aの位置に応じてフィルム片運搬部10の及び付加ユニット11の位置が制御される。従って、フィルム片に精度よく小片を付加することができる。なお、付加ユニット11がフィルム片2aから離型シート等の不要部材を除去する機能を備えている場合、及びフィルム片2aの付随処理を施すように構成されている場合においても、同様の効果を得ることができる。
更に、本実施形態のフィルム貼着装置は、フィルム片運搬部10が移動・回転可能に構成され、フィルム送り部によってシート状フィルム200が1方向に移動可能に構成されているため、シート状フィルム上の任意の位置にて種々の方向を向いたフィルム片の切り出し処理を行うことができる。従って、切り出し処理が施されないフィルムの面積をできるだけ小さくするように、フィルム片運搬部10の位置を制御すれば、シート状フィルムにおいて無駄な面積を低減することが可能であり、部品コストを低減することが可能である。
また、本実施形態のフィルム貼着装置を使用して積層フィルムを貼着すれば、保護フィルムを積層部から剥がすために、機構が複雑な装置及び剥離刃等の工具を使用する必要性がない。また、貼着対象部品自体に保護フィルムの初期剥離のための貫通穴等を設ける必要性がない。従って、貼着対象部品の材料コスト及び加工コストを低減させることが可能であると共に、保護フィルムの剥離時に貼着対象部品及び積層部が損傷されることがない。
更に、本発明のフィルム貼着装置を使用して積層フィルムを貼着する場合に、接着剤層の外縁の少なくとも一部を含む領域にて貼着対象の部品との間に小片を挟めば、フィルム片の大きさは任意に設定されることができる。従って、フィルム片の貼着が必要な領域にできるだけ近接した位置の貼着対象部品上に小片が載置されれば、積層フィルムの大きさは必要最小限に設定されることができる。従って、フィルム片の材料コストの上昇は小さい。
なお、本実施形態の積層フィルム(フィルム片)の積層部として、絶縁層、銅薄膜層等が積層されて形成された電磁波シールドフィルムを一例として説明したが、積層部は絶縁性、電磁波遮断性に限らず、偏光性等の性質を備えてもよく、一方の表面が貼着対象部品に貼着され、他方の表面に剥離層が積層されていれば、どのような性質の積層フィルムを貼着する場合においても本発明のフィルム貼着装置を使用することが可能である。また、積層部は複数に限らず1つの層によって形成されていてもよい。本実施形態においては、フィルム貼着装置によって切り出し、貼着されるフィルムが積層フィルムであるが、本発明のフィルム貼着装置によって切り出し、貼着されるフィルムは積層フィルムに限定されるものではない。
更に、本実施形態の積層フィルムには熱可塑性の接着剤層が形成されているが、剥離層を剥がす際に、接着剤層が貼着対象部品から剥離されずに十分な接着力を保持していればよく、積層フィルムの貼着は熱可塑性の接着剤によらなくてもよい。例えば、超音波溶着による接合方法を用いてもよい。また、本実施形態の保護フィルムは、積層部の粘着性で積層部に貼着されているが、保護フィルム自身の粘着性によって積層部に貼着されていてもよい。更に、保護フィルム及び積層部が粘着性を有しない材質からなる場合、保護フィルムと積層部との間に接着剤が塗布され、この接着剤の接着性によって保護フィルムが積層部に貼着されていてもよい。
更にまた、本発明のフィルムの貼着装置は、プリント基板等に限らず、貼着対象部品が柔軟性を備えている(例えばフレキシブルプリント基板)場合においても適用することが可能である。