JP5106574B2 - 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法 - Google Patents

1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5106574B2
JP5106574B2 JP2010114096A JP2010114096A JP5106574B2 JP 5106574 B2 JP5106574 B2 JP 5106574B2 JP 2010114096 A JP2010114096 A JP 2010114096A JP 2010114096 A JP2010114096 A JP 2010114096A JP 5106574 B2 JP5106574 B2 JP 5106574B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
triazol
substituted
derivative
carbamoyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010114096A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011241169A (ja
Inventor
洋行 沖田
庸裕 木戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokko Chemical Industry Co Ltd filed Critical Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2010114096A priority Critical patent/JP5106574B2/ja
Priority to TW99123766A priority patent/TWI396684B/zh
Priority to CN201010258961.4A priority patent/CN102250024B/zh
Publication of JP2011241169A publication Critical patent/JP2011241169A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5106574B2 publication Critical patent/JP5106574B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法に関する。
下記式(I)
Figure 0005106574
[式中において、Xはハロゲン原子または低級アルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、Rは低級アルキル基を示し、nおよびmは0〜5の整数を示す。]
で表される1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体は、除草剤の有効成分として有用な化合物であり、その製造方法としては、有機溶媒中で下記式(II)
Figure 0005106574
[式中において、Xおよびnは前記と同義である。]
で表される1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体に、下記式(III)
Figure 0005106574
[式中において、Y、Rおよびmは前記と同義である。]
で表されるカルバモイルクロライド類を、脱塩酸剤の存在下に反応させる方法(例えば、特許文献1参照)、または、相間移動触媒と脱塩酸剤の存在下に反応させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記した特許文献1に記載の製造方法は、本願出願人が先に開示したものであるが、反応性などを考慮すれば、たとえば有機溶媒のアセトニトリルと、脱塩酸剤の炭酸カリウムとの組み合わせや、溶媒と脱塩酸剤両方の役割をするピリジンのように、比較的高価な有機溶媒と脱塩酸剤の組み合わせを用いる必要がある場合がある。また、有機溶媒と脱塩酸剤の組み合わせによっては反応速度が遅く、また反応が進行しても満足のいく収率で目的物が得られない場合がある。さらに、得られる目的物を精製する際には、反応溶媒を留去した後に、抽出溶媒をあらためて加えることが必要な場合がある。このため、操作が煩雑でコスト高となる場合があり、工業的に有利な製造方法とはいいがたい。
また、前記特許文献2に記載の製造方法は、本願出願人が先に開示したものであるが、この方法では、相間移動触媒の存在下に、たとえば有機溶媒のトルエンおよび/または水、脱塩酸剤の水酸化ナトリウムのような、工業的に比較的安価な有機溶媒と脱塩酸剤を用いて、前記の1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)とカルバモイルクロライド類(III)とを反応させて目的の誘導体(I)を得ている。
国際公開第98/38176号パンフレット(第84頁) 特開2004−175756公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法により、目的物である1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を、特に工業生産スケールで製造すると、溶媒として用いる水、または、反応により副生する水の影響により、反応原料であるカルバモイルクロライド類や、目的物の分解といった副反応が増大し、目的物の収率と純度が低下する場合がある。さらに、水が存在することにより反応温度が上がらずに、反応速度が遅くなるなどの影響が大きくなる場合がある。
そこで、より簡便かつ低コストで、高収率に、目的とする1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を製造することのできる工業的手法の開発が望まれていた。
本発明は、前記の従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、簡便かつ低コストで、高収率に、高純度の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を製造する方法を提供することを目的としている。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、前記1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)と、アルカリ金属水酸化物とを反応させ、さらにカルバモイルクロライド類(III)を反応させて、1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を製造するに際し、まず、
相間移動触媒の存在下に、特定の有機溶媒中で、前記1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)と、アルカリ金属水酸化物とを反応させると共に、この際に副生する水を溶媒と共に共沸蒸留により反応系中から除去し、
ついで、この反応混合物に、カルバモイルクロライド類(III)を添加するなどの方法で、カルバモイルクロライド類(III)を反応させると、
下記式(I)で表される1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を、高収率、かつ高純度で、工業的に有利(安価、高速など)に製造することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の下記式(I)で表される1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法は、
第四級アンモニウム塩およびホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の相間移動触媒の存在下に、芳香族炭化水素溶媒中で、
(a)下記式(II)で表される1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体と、
(b)アルカリ金属水酸化物とを、副生する水を共沸蒸留により除去しながら反応させた後、
得られた反応混合物に、下記式(III)で表されるカルバモイルクロライド類を加えて、反応させることを特徴としている。
Figure 0005106574
[式(I)中において、Xはハロゲン原子または低級アルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、Rは低級アルキル基を示し、nおよびmは、それぞれ独立に0〜5の整数を示す。]
Figure 0005106574
[式(II)中において、Xおよびnは前記式(I)と同義である。]
Figure 0005106574
[式(III)中において、Y、Rおよびmは前記式(I)と同義である。]
本発明においては、前記芳香族炭化水素は、トルエンおよび/またはキシレンであることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、高純度の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を高収率で、簡便かつ安価に製造することができる。
以下、本発明に係る1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法について具体的に説明する。
本発明では以下の反応スキーム、すなわち工程1と工程2にて、1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)(以下、化合物(I)などともいう)を製造する。
Figure 0005106574
Figure 0005106574
[前記工程1,2中において、Xはハロゲン原子または低級アルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、Rは低級アルキル基を示し、nおよびmはそれぞれ独立に0〜5の整数を示す。n個のXおよびm個のYは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。また、XとYがハロゲン原子である場合、互いに同一でも異なっていてもよい。また、XとRが低級アルキル基である場合、互いに同一でも異なっていてもよい。]
このように、本発明では、工程1で、第四級アンモニウム塩およびホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の相間移動触媒(B)の存在下に、芳香族炭化水素溶媒(C)(以下、溶媒(C)などともいう)中で、
(a)前記式(II)で表される1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(以下、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、化合物(II)などともいう)と、
(b)アルカリ金属水酸化物(A)とを反応させ、反応中間体である、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)を得ると共に副生する水を、前記溶媒(C)と一緒に共沸蒸留により系外に除去している。
なお、この工程1の反応は、アルカリ金属塩(IIa)が形成された後に、酸性条件(塩酸酸性以上)にするなどした場合には逆反応が進行することがあるが、本発明中では、酸性条件になる工程は含まれていないため、不可逆反応である。
アルカリ金属塩(IIa)が反応中間体として生成していることは、水の副生によって確認できる。
前記のような工程1の反応を行い、次いで、前記工程2の反応を行うと、前記中間生成物(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)とが反応して、目的の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)が得られる。
本発明の好適態様では、後で詳述するが、前記スキームに示すように、溶媒である芳香族炭化水素(C)中に、前記誘導体(II)、相間移動触媒(B)およびアルカリ金属水酸化物(A)を加えて、常圧下に、共沸混合物の留出(共沸)開始温度以上〜芳香族炭化水素溶媒の沸点以下である加熱条件下[例:水/トルエン系:80〜110℃]に、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)と、アルカリ金属水酸化物(A)とを反応させながら、その際に副生する水を、前記溶媒(C)と共に共沸蒸留により反応系中から除去し、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体のアルカリ金属塩(IIa)を生成させる。
次いで、本発明では、前記相間移動触媒(B)、前記溶媒(C)および前記アルカリ金属塩(IIa)が含まれた反応混合物に、前記式(III)で表されるカルバモイルクロライド類(以下、カルバモイルクロライド類(III)、化合物(III)などともいう)を添加するなどして、前記アルカリ金属塩(IIa)とカルバモイルクロライド類(III)とを常圧で、室温(15〜25℃)あるいは加熱(例:50〜110℃)条件下で反応させて、目的の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を製造している。このような方法で工程1,2の反応を行うと作業効率、工程管理、反応速度、収率および純度などの点で好ましい。
なお、前記スキームにおいて、各記号X,Y,Rの意味は、具体的には、以下の通りである。
本発明において、XおよびRの定義における「低級アルキル基」としては、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、1−メチル−1−エチルプロピル、1−メチル−2−エチルプロピル、2−メチル−1−エチルプロピルおよび2−メチル−2−エチルプロピルなどが挙げられる。
本発明において、XおよびYの定義における「ハロゲン原子」としては、具体的には、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子である。
Xとしては、ハロゲン原子のうちの塩素原子、フッ素原子、また、低級アルキル基のうちの炭素数1〜3の直鎖状または分岐状の前記アルキル基、中でもメチル基が好ましく、これらハロゲン原子と低級アルキル基の何れか一方または両者が、化合物(II)、アルカリ金属塩(IIa)、目的化合物(I)のトリアゾール基に直接結合しているフェニル基に存在していてもよく、これら置換基Xがこのフェニル基の2,4位、2,3位または2位に結合しているものが、生成物(I)の収率の点から好ましい。
また、Rとしては、イソプロピル基が、生成物(I)の収率の点から好ましい。
Yとしてはハロゲン原子のうちのフッ素原子、塩素原子が好ましく、カルバモイルクロライド類(III)、目的化合物(I)のカルバモイル基のN原子に直接結合しているフェニル基の2,4位または4位にこれらハロゲン原子が結合しているものが、生成物(I)の収率の点から好ましい。
次に、工程1で用いられる1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、アルカリ金属水酸化物(A)、相間移動触媒(B)、芳香族炭化水素溶媒(C)について説明し、次いで、工程2で用いられるカルバモイルクロライド類(III)および、目的の生成物である1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)について順次説明する。
<1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)>
前記化合物(II)として、具体的には、たとえば1−フェニル−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(3−クロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−ブロモフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−ヨードフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−メチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジブロモフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジヨードフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5− オン、1−(2,4−ジメチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−フルオロ−4−クロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−クロロ−4−メチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−フルオロ−4−メチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−ブロモ−4−メチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−ヨード−4−メチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−メチル−4−クロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−メチル−4−フルオロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−メチル−4−ブロモフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、および1−(2−メチル−4−ヨードフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンなどが挙げられる。
これら化合物(II)のうちでも、1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンなどが好ましい。
化合物(II)は、相間移動触媒(B)の存在により、芳香族炭化水素溶媒(C)に対する溶解度が向上する。また、工程1を加熱条件下(共沸混合物の留出(共沸)開始温度以上〜芳香族炭化水素溶媒の沸点以下)で行う場合には、化合物(II)は芳香族炭化水素溶媒(C)に充分に溶解する。そのため、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)を形成する反応を引き起こすこと、あるいは該反応を促進することが可能となる。
これら原料化合物(II)の合成方法は、特に制限されないが、特開2002−179655号公報の段落[0039]〜[0082]に記載の方法に準拠して合成することが好ましい。
<アルカリ金属水酸化物(A)>
本発明で、前記1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)との反応に用いるアルカリ金属水酸化物(A)としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウムなどが挙げられ、特にコスト面から水酸化ナトリウムが好ましい。
用いるアルカリ金属水酸化物の量は、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)1当量に対して等量かもしくはやや過剰量(例:1.1当量程度まで)で用いるのがコスト、反応速度、収率および純度の点などで好ましい。
<相間移動触媒(B)>
本発明において、前記1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)とアルカリ金属水酸化物(A)との反応(工程1)の際に、また、この反応により得られたアルカリ金属塩(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)との反応(工程2)の際に、触媒として用いられる相間移動触媒(B)は、反応用原料化合物とイオン対などを形成して相間移動する触媒作用を示し、移動先で反応相手となる原料化合物と反応を行った後、元の相間移動触媒に戻ることにより、さらに次の反応用原料化合物に対して相間移動用の触媒作用を示すことができるように再生される。
このように、相間移動触媒は相間移動を繰り返し触媒として作用するものであり、たとえば脂肪酸セッケンなどの乳化剤のように、水相中に油相を、あるいは油相中に水相を分散、安定化するものとは区別される。
なお、相間移動触媒(B)が作用する反応用原料化合物は、工程1では、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)あるいはアルカリ金属水酸化物(A)であり、また工程2では、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)、あるいはカルバモイルクロライド類(III)である。
この反応(工程1、2)に用いる相間移動触媒としては、第四級アンモニウム塩、およびホスホニウム塩が挙げられる。
本発明では、有機溶媒として芳香族炭化水素を用いるため、相間移動触媒としては、第四級アンモニウム塩および/またはホスホニウム塩がコスト、反応速度、収率および純度などの点で好ましい。
第四級アンモニウム塩としては、具体的には、たとえばテトラn−ブチルアンモニウムブロミド、テトラn−ブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
ホスホニウム塩としては、具体的には、たとえばテトラn−ブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミドおよびテトラオクチルホスホニウムブロミドなどが挙げられる。
これら第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩の中でも、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド、テトラn−ブチルホスホニウムブロミドがコスト、反応速度、収率および純度の点で好ましい。
なお、本発明では、前記相間移動触媒を、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
相間移動触媒(B)の量は、工程1のアルカリ金属水酸化物(A)や工程2のカルバモイルクロライド類(III)を有機溶媒(C)に可溶化させ、反応効率を向上させること等を考慮すると、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のモル数(100モル%)に対して、通常1.0〜20モル%、好ましくは1.0〜10モル%であり、
また、相間移動触媒(B)の量は、工程2で原料化合物として用いられるカルバモイルクロライド類(III)のモル数(100モル%)に対して、通常1.0〜20モル%、好ましくは1.0〜10モル%である。
本発明では、反応系中に相間移動触媒(B)を添加することにより、特に前記量で添加することにより、工程1では、アルカリ金属水酸化物(A)などを有機溶媒である芳香族炭化水素(C)に良好に可溶化させることができ、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)を形成する反応を引き起こすこと、あるいは該反応を促進することが可能となる。
また、相間移動触媒(B)は、該アルカリ金属塩(IIa)を形成する、工程1の反応において、副生する水を溶媒(C)と共に共沸蒸留により反応系中から連続的に除去しても、有機溶媒(C)に不溶性の、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)を、有機相に可溶化させることができるので、該アルカリ金属塩(IIa)とカルバモイルクロライド類(III)との工程2の反応を誘引あるいは促進し、目的物である誘導体(I)の反応収率を向上させることが可能となっている。
本発明では、このような工程2の反応は、相間移動触媒(B)により有機溶媒(C)に対し可溶化された、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)とを含む有機相のみの単相系で進行させることを特徴としている。
<芳香族炭化水素溶媒(C)>
本発明に用いられる芳香族炭化水素溶媒(C)は、用いられる原料1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、カルバモイルクロライド類(III)、生成する1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)の全てに対して、溶媒としての役割を果たせば、特に限定されるものではない。
このような芳香族炭化水素溶媒(C)として、具体的には、例えば、トルエンおよびキシレンなどが挙げられ、本発明ではこれら溶媒を1種または2種以上組合わせて用いることができる。
本発明の好ましい態様では、該溶媒(C)のうちで、水と共沸混合物を形成し、反応溶媒および抽出溶媒両方の役割を果たし、安価であり、目的物(I)の精製工程時の洗浄、分液操作が容易となる点で、トルエンおよび/またはキシレンが特に好ましい。
この反応(工程1,2)に用いられる有機溶媒(C)の使用量としては、反応時に原料化合物(1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II))、カルバモイルクロライド類(III))などを溶解でき、かつ精製工程時に目的物である1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を溶解可能な量が必要であり、たとえば原料の1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)1重量部に対して、好ましくは1.0〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部、特に好ましくは8〜12重量部(例:10重量部程度)の量で使用されるが、必要量以上の溶媒を使用すると、反応系(反応釜)中の、原料濃度が低下し、1度の反応(バッチ)で得られる目的物の収量が少なくなる傾向にある。よって、一定量の目的物を得るためには、より多くのバッチが必要になり、時間的、コスト的に好ましくない場合がある。
<カルバモイルクロライド類(III)>
前記工程2では、工程1で得られた反応混合物にカルバモイルクロライド類(III)を添加して、(反応混合物中に含まれるアルカリ金属塩(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)とを反応させて)目的の誘導体(I)を得る。
この化合物(III)として、具体的には、たとえばN−メチル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−エチル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−n−プロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−メチル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−エチル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−n−プロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライドおよびN−イソプロピル−N−フェニルカルバモイルクロライドなどが挙げられる。
これらの中でも、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド、N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライドなどが好ましい。
このようなカルバモイルクロライド類(III)の合成方法は、特に制限されないが、例えば、特開2002−145833号公報に記載の段落[0020]〜[0033]に記載の方法、およびChemiche Berichte,88巻,301号(1955)に記載の方法に準拠して合成することが好ましい。
カルバモイルクロライド類(III)は、原料の1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)とアルカリ金属水酸化物(A)との反応効率等にも依るが、例えば、この誘導体(II)1当量に対して、理論的には等量(1当量)で用いればよいが、通常、1.0〜1.1当量の量で用いるのがコスト、反応速度、収率および純度の点で好ましい。
<1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)>
前記工程2の反応で製造可能な、目的化合物(I)として、前記スキームに示す原料化合物{誘導体(II)、カルバモイルクロライド類(III)}の組合わせに対応するものが挙げられる。
このような化合物として、具体的には、たとえば1−フェニル−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(3−クロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−フルオロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−フルオロ−4−クロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−メチルフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロまたは2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、および、1−(2−クロロ−4−メチルフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロ、および2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンなどが挙げられる。
これらの化合物(I)のうちで、前記好適態様の化合物(II)、カルバモイルクロライド類(III)に対応する、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2−クロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンなどが好ましい。
<化合物(I)の製造方法>
本発明では、前記したように、目的化合物である1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を得るに、工程1に次いで、工程2の反応を実施して、目的の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を得るが、まず、前記工程1について説明する。
<工程1>
本発明では、工程1で、第四級アンモニウム塩および第四級ホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の相間移動触媒(B)の存在下に、芳香族炭化水素溶媒(C)中で、
(a)下記式(II)で表される1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体と、
(b)アルカリ金属水酸化物(A)とを反応させ、反応中間体である、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)を得ると共に、副生する水を前記溶媒(C)と一緒に共沸蒸留により系外に除去する。
(温度と圧力と時間の条件)
このような工程1の反応は、常温(15〜25℃)で、あるいは、加熱{溶媒(C)の種類等にも依るがトルエンの場合、温度:30〜110℃}して行うこともできるが、加熱して行うと、水と前記溶媒(C)の共沸蒸留効率がよく、中間生成物(IIa)の生成が促進される。
また、工程1の反応は、通常常圧(標準大気圧、1013.25hPa)下で行えばよいが、加圧下で行うこともできる。常圧下での反応は、工程管理などの取扱・作業性もよい。
この工程1の反応は、温度、圧力、配合成分とその量等にも依るが、前記範囲(温度、圧力)で、例えば、0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時間程度で行われる。但し、後述する工程2との合計時間は、0.5〜6時間、好ましくは、0.5〜4時間程度である。
前記のような圧力と温度条件下で工程1の反応を行い、ついで、工程2の反応を行うと、前記中間生成物(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)との反応で得られる、1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)の収率が向上する。
(添加順序と添加量)
なお、前記工程1の反応を行う際に用いられる各成分である、相間移動触媒(B)、芳香族炭化水素溶媒(C)、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、アルカリ金属水酸化物(A)の添加順序は、特に限定されず、一度に、または任意の順序で添加可能である。
本発明では、例えば、溶媒である芳香族炭化水素(C)中に、前記1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、アルカリ金属水酸化物(A)、および相間移動触媒(B)を、常温及び常圧下に、順次、加えて、その後、常圧下に前記温度に加熱、攪拌して、これら成分を溶解または分散させ、反応を行うことが好ましい。
なお、工程1で用いられる原料の1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、アルカリ金属水酸化物(A)、相間移動触媒(B)、溶剤(C)や、工程2で用いられるカルバモイルクロライド類(III)の種類や配合量などは、それぞれ前記した通りである。
(副生する水)
この工程1では、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)と、アルカリ金属水酸化物(A)とを反応させながら、その際に副生する水を、前記溶媒(C)と共に共沸蒸留により反応系中から除去することが必要である。
このように工程1では、化合物(II)とアルカリ金属水酸化物(A)との反応の際に副生する水を共沸蒸留により、連続的に、効率よく反応系外に除去することにより、効率よくアルカリ金属塩(IIa)を生成させることができる。
工程1で、このような反応中間体であるアルカリ金属塩(IIa)が生成したことは、前記したとおり、水の副生により確認できる。
なお、化合物(II)とアルカリ金属水酸化物(A)との反応において、副生する水を共沸蒸留により有機溶媒(C)と共に反応系中から除去しない場合、有機溶媒(C)である芳香族炭化水素は水と共沸混合物を形成するために、有機溶媒(C)のみの単相系の場合よりも沸点が低下し、結果として反応温度が低下する。そのため、反応速度が遅くなる。
工程1の反応の終点は、副生する水の留出量の低減あるいは停止などから判断できる。
本発明では、このような工程1で得られたアルカリ金属塩(IIa)が含まれ、さらには、相間移動触媒(B)、溶媒(C)、過剰量あるいは未反応の原料化合物(化合物(II)、アルカリ金属水酸化物(A))などが含まれた反応混合物(反応液)は、工程管理の便宜と反応の迅速・効率化等を考慮すると、通常、そのまま、次の工程2に用いられるが、必要により、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)のみを精製・分取して、次の工程2に用いてもよい。
このような工程1では、ディーンスターク型装置を用いることが好ましい。当該装置は、共沸蒸留された混合物を有機溶媒と水に分離し、有機溶媒のみをほぼ完全に反応釜に逆戻りさせる装置であり、反応釜に戻りきらない、損失される有機溶媒の量は、反応に必要な有機溶媒の量に対して無視できるほどわずかな量である。
<工程2>
次いで、本発明では、前記相間移動触媒(B)の存在下に、前記芳香族炭化水素溶媒(C)中で、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)と、前記式(III)で表されるカルバモイルクロライド類とを反応させて、目的の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を製造している。
このような工程2の反応は、通常、前記工程1で得られた反応混合物(反応液)に、カルバモイルクロライド類(III)を添加して行われる。
本発明では、この工程2で原料として用いられるアルカリ金属塩(IIa)が含まれた反応混合物には、実質上、水が少量(例:10重量%以下、好ましくは、5重量%以下)程度しか含まれていないか、全く含まれていない(=0重量%)ことが好ましい。
このカルバモイルクロライド類(III)は、少量(工程1での溶媒使用量の1/20〜1/10程度)の前記溶媒(C)に予め溶解させて、前記工程1で得られた反応混合物(反応液)に添加してもよく、このようにすれば、作業効率(迅速性)の点で好ましい。
なお、必要により、さらに、溶媒(C)、相間移動触媒(B)を添加して工程2の反応を行ってもよい。
また、前記工程1で得られた反応混合物(反応液)から、残存する少量の副生水や、過剰量で用いたことなどにより、余った原料(誘導体(II)、アルカリ金属水酸化物(A)など)を低減・除去して、実質上、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体のアルカリ金属塩(IIa)のみを一旦分取し、次いで、このアルカリ金属塩(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)とを、相間移動触媒(B)の存在下に、溶媒(C)中で反応させて、目的の誘導体(I)を製造してもよい。
この場合に、用いられる相間移動触媒(B')、および溶媒(C')としては、前記工程1の場合と同様であっても異なっていてもよいが、同一であることがこれら成分量の管理など、工程管理上便利であるなどの点で好ましい。
(温度、圧力、時間の条件)
本発明の好適態様では、前記したように、工程1で得られ、アルカリ金属塩(IIa)が含まれた反応混合物中に、カルバモイルクロライド類(III)を添加して、室温(15〜25℃)〜溶媒(C)の沸点、好ましくは、「50℃」〜「溶媒(C)の沸点」、より好ましくは、「80℃」〜「溶媒の沸点」の温度下で反応させることにより、前記1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)を製造することができる。
また、工程2の反応は、通常常圧(標準大気圧、1013.25hPa)下で行えばよいが、加圧下で行うこともできる。常圧下での反応は、工程管理などの取扱・作業性もよい。
この工程2の反応は、温度および圧力にも依るが、前記範囲(温度、圧力)で、例えば、1.0〜4.0時間程度で行われる。
工程2の反応の終点は、前記反応時間によって判断してもよいが、HPLC(例えば、株式会社島津製作所製HPLCシステム、UV検出器SPD−10AVP、ポンプLC−10ATVP、カラムオーブンCTO−10ASVP)による分析にて判断することが好ましい。具体的には、反応原料の一方である、カルバモイルクロライド類(III)のHPLC面積%数値の減少停止と、目的物の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)のHPLC面積%数値の増加停止によって反応が終了したと判断する。
なお、前述した特許文献2に記載の製造方法によれば、副生した水を反応系中から除去することなく反応を継続しても、相間移動触媒(B)の効果により、目的物である1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)は生成する。
しかしながら、前記反応(工程2)において、反応系中に水が存在する(工程1において、水を除去せずに工程2を行う)と、主反応である、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)と、カルバモイルクロライド類(III)との反応が生ずるとともに、副反応である、水とカルバモイルクロライド類(III)との反応による化合物(III)の分解反応、および、水と目的物である1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)との反応による化合物(I)の分解反応が競争的(競合的)に起こる。
通常行われる程度のラボスケール{例:反応釜容積:0.1〜10L程度}では、前記した副反応の影響による目的物(I)の収率低下はごくわずかであるが、工業生産スケール{例:反応釜容積:100〜10,000L程度}の場合には収率が大幅に低下することが判明した。
よって、反応溶媒(C)として、本発明では、水は使用せず、また、反応により副生する水を反応溶媒(C)との共沸蒸留によって反応系中から除去することにより、工程2では、目的物(I)の分解と、反応原料であるカルバモイルクロライド類(III)の分解が抑制されると、反応収率の低下を防ぐことができ、さらに、この分解に伴い生成する副生成物が減少することになり、結果として目的物(I)の純度をさらに向上させることができる。
なお、この副反応は、塩基(アルカリ金属水酸化物(A))を、前記範囲を超えて過剰に用いる場合に特に影響が大きくなる傾向がある。
また、カルバモイルクロライド類(III)は、アルカリ金属水酸化物(A)により徐々に分解する。そのため、反応速度が遅ければ、それだけ分解するカルバモイルクロライド類(III)の量が多くなり、このことが反応収率と目的物の純度の低下につながる。
これに対し、副生する水を、共沸蒸留により反応系中から除去すると、反応溶媒は、前記したように、実質上有機溶媒のみの単相系となり、沸点が上昇するため、結果として反応温度の上昇とともに反応速度を速めることが可能となる。
よって、反応時間が短縮し、反応効率(変換率)の向上による目的物収率の向上をも可能にする。さらに、目的物の純度を向上させることができる。
したがって、本発明では、工程1において、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)を形成する反応を、相間移動触媒(B)の存在下に、副生する水を共沸蒸留により反応系中から溶媒(C)と共に、連続的に低減・除去しながら行ったのち、工程2において、得られた反応混合物に、カルバモイルクロライド類(III)を加えて前記のように反応を行うことで、前記したような副反応(加水分解反応など)の影響を抑えることが可能となり、結果として、目的物である、1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)の反応収率および純度を向上させることが可能となっている。
本発明では、目的化合物(I)の製造における、工程1〜2の一連の反応温度は通常、室温から溶媒(C)の沸点までの範囲の温度であり、好ましくは20〜溶媒(C)の沸点である。反応時間は、反応温度や化合物2(1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II))、カルバモイルクロライド類(III)、溶媒(C)、アルカリ金属水酸化物(A)である触媒などの種類などにより異なるが、工程1〜2の全体で通常30分〜6時間程度、多くの場合は30分〜4時間程度で完結する。
(精製工程)
この工程1〜2の一連の反応が終了したのちには、反応の際に用いられた過剰分の1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)、アルカリ金属水酸化物(A)、相間移動触媒(B)が、1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)が含まれた反応物中に残存していることがある。
反応物中に残存している1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)は、反応時にアルカリ金属水酸化物(A)を過剰量で用いている場合にはその塩(1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa))として存在しており、目的物の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)の精製工程時に行う水洗操作により、水溶液として容易に除去できる。
水溶液として除去された1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)のアルカリ金属塩(IIa)は、その水溶液を塩酸、硫酸などで酸性にすることにより、1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)の結晶として析出するので、これをろ取することで再生、再利用が可能である。
また、目的物(I)の精製工程時における分液は、通常、常圧、常温下で行えばよいが、所望により加熱下(加圧下)で行ってもよい。
アルカリ金属水酸化物(A)は水溶性であり、先に述べた1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)の塩(IIa)を除去する操作によって同時に水溶液として除去できる。
相間移動触媒(B)は、用いる触媒の性質により除去する方法は異なるが、「水溶性の高い触媒」は先に述べた1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(II)の塩を除去する操作によって同時に水溶液として除去できる。
混合物固体の洗浄処理あるいは再結晶化による目的物(I)の損失はごくわずかであり、高収率(例:90〜95%)かつ高純度(例:99.0〜99.8(%))で目的物の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体(I)が得られる。
以下、本発明の具体的態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、本発明では、前述したような種々の化合物(II)、化合物(III)、アルカリ金属水酸化物(A)、芳香族炭化水素溶媒(C)および相関移動触媒(B)を任意に選択して、以下に示した実施例に準じた方法により、所望の化合物(I)を製造することができ、実施例と同様の効果を得ることができる。
反応および純度の分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で行った。
[合成例1]
1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンの合成
反応および純度の分析は、高速液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件で行った。
装置;(株)島津製作所HPLCシステム、UV検出器;SPD−10AVP、ポンプ;LC−10ATVP、カラムオーブン;CTO−10ASVP、 カラム;GLサイエンス Inertsil ODS−3 (カラム充填剤の粒子サイズ;5μm、カラム内径;4.6mm、カラム長さ;250mm) 、UV検出波長;254nm、移動層溶媒容量比および流速;アセトニトリル:蒸留水=60:40、 1.0ml/min.(第1中間生成物ヒドラゾン分析時)、メタノール:蒸留水=10:3、0.5ml/min.(第2中間生成物トリアゾリジノン、目的化合物分析時)
また、化合物の融点は、ヤマト科学(株)融点測定器 MP−21を用い、マススペクトルは、日本電子(株)質量分析計 SUN−200を用いて測定した。
2000L容量の反応釜に、第三級ブタノール 200kgと2,4−ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩 50kg(234.2mol)を加え、窒素置換した。次いで、25℃ において、水酸化ナトリウム 9.8kg(245.9mol)を水 50kgに溶解した水溶液を一度に加えた。25℃で10分攪拌した後、10℃に冷却し、36%ホルムアルデヒド水溶液 20.5kg(245.9mol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、30分間10℃にて攪拌した後、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のアセトニトリルに溶解した溶液をHPLCにより分析し、原料である2,4−ジクロロフェニルヒドラジンが0.2%(保持時間 6.6min.)、第1中間生成物である2,4−ジクロロフェニルヒドラジンホルムアルデヒドヒドラゾンが97.0%(保持時間 15.1min.)の面積%組成であることを確認した。
次いで、10℃で、ナトリウムシアナート 20.1kg(309.2mol)を水 80kg中に溶解した水溶液を一度に加えた後、直ちに酢酸 18.4kg(306.7mol)を同温度で30分かけて滴下した。
次いで、反応混合物の温度を25℃まで上げ、2時間攪拌した後、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のメタノールに溶解した溶液をHPLCにより分析し、第1中間生成物である2,4−ジクロロフェニルヒドラジンホルムアルデヒドヒドラゾンが2.0%(保持時間 20.8min.)、第2中間生成物である2,4−ジクロロフェニルトリアゾリジノンが93.0%(保持時間 7.4min.)の面積%組成であることを確認した。次いで、反応混合物を再び10℃に冷却し、5%次亜塩素酸ソーダ水溶液 357kg(239.6mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃のまま1時間攪拌し、さらに25℃で4時間攪拌した後、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のメタノールに溶解した溶液をHPLCにより分析し、第2中間生成物である2,4−ジクロロフェニルトリアゾリジノンが0.5%(保持時間 7.4min.)、目的化合物である1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンが90.0%(保持時間 8.6min.)の面積%組成であることを確認した。攪拌中に褐色の結晶が析出し、析出結晶を濾過して水洗した。結晶を、風乾し、標記の目的化合物46.8kg(収率87%)を得た。この化合物の純度、融点およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:97.2%、融点:188〜189℃、EI−MS:m/z229M+
[合成例2]
N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドの合成
反応および純度の分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で行った。
装置;(株)島津製作所 GC−14B、 カラム;G−100 (Column Length 20m, Film Thickness 0.5μm, ID 1.2mm)、 分析条件;80℃ (Initial), 20℃/min.(昇温〜280℃(Final))、 検出器;TCD (300℃) 、キャリアガス;ヘリウム (20ml/min.)
また、化合物のマススペクトルは、日本電子(株)質量分析計 SUN−200を用いて測定した。
[合成例2-1]
N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンの合成
200L容量の反応釜に、2,4−ジフルオロアニリン 40kg(310.1mol)およびイソプロピルブロマイド 18kg(146.3mol)を加え、加熱を開始した。温度が徐々に上昇し、120℃に達した時点でイソプロピルブロマイド 28kg(227.6mol)を120℃に保持しながら少量ずつ滴下した。4時間で全量を滴下し、更に温度を上げて130℃で30分間加熱すると、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンの臭化水素酸塩懸濁液が生成した。反応懸濁液を少量サンプリングし、25%水酸化ナトリウムを適当量加え、分離した油状物をガスクロマトグラフィーにより分析し、原料である2,4−ジフルオロアニリンが5.2%(保持時間 3.5min.)、目的物のN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンが91.0%(保持時間 5.1min.)の面積%組成であることを確認して反応を終了した。反応終了後、反応混合物を100℃に冷却し、水 40kgを加え、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンの臭化水素酸塩を溶解した。次いで、反応混合物を25℃に冷却した後、25%水酸化ナトリウム水溶液 54.6kg(341.3mol)を加え、20分間25℃で攪拌し、有機層と水層を得た。得られた水層をトルエン 8.5kgで2回抽出した。得られた有機層と、水層を抽出したトルエン層を合わせ、飽和食塩水 10kgで2回洗浄し、減圧下(圧力:40kPa)にトルエンを留去すると、目的とするN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンが淡赤色油状物として50.6kg得られた。減圧蒸留にて精製すると、目的とするN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンが無色の油状物として47.1kg得られた(収率88.7%,沸点86〜87℃/2.4kPa)。
この化合物の純度およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.9%、EI−MS:m/z171M+
[合成例2-2]
N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドの合成
250L容量の反応釜に、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリン 45kg(263.2mol)およびトルエン 90kgを加えた。次いで、トリホスゲン 27.3kg(92.1mol)をトルエン 55kgに溶かした溶液を20〜30℃に保持しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を110℃まで上げて2時間反応した。反応混合物を少量サンプリングし、ガスクロマトグラフィーにより分析し、原料であるN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロアニリンが2.2%(保持時間 5.0min.)、目的物のN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが92.6%(保持時間 6.2min.)の面積%組成であることを確認して反応を終了した。反応終了後、減圧下(圧力:40kPa)にトルエンを留去すると、目的とするN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが褐色油状物として62.0kg得られた。減圧蒸留にて精製すると、目的とするN−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが無色の油状物として50.4kg得られた(収率82.0%,沸点120〜125℃/0.67kPa)。
この化合物の純度およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.7%、EI−MS:m/z233M+
[実施例]
反応および純度の分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で行った。
装置;島津HPLCシステム、UV検出器;SPD−10AVP、ポンプ;LC−10ATVP、カラムオーブン;CTO−10ASVP、 カラム;GLサイエンス Inertsil ODS−3 (カラム充填剤の粒子サイズ;5μm、カラム内径;4.6mm、カラム長さ;250mm)、 UV検出波長;254nm 、移動層溶媒容量比および流速;アセトニトリル:蒸留水=50:50、1.5ml/min.
また、化合物の融点は、ヤマト科学(株)融点測定器 MP−21を用い、マススペクトルは、日本電子(株)質量分析計 SUN−200を用いて測定した。
[実施例1]
1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンの製造;
ディーン・スターク型の共沸蒸留装置を備え付けた1000L容量の反応釜に、トルエン500kgを入れ、1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン 50kg(217.4mol)、水酸化ナトリウム8.7kg(217.4mol)およびテトラn−ブチルアンモニウムブロミド 7.0kg(21.7mol)を常圧下に、室温(20℃)で順次加え、激しく攪拌しながら加熱を開始した。反応混合物の温度が80℃を超え始めると、徐々にトルエンと水の共沸混合物が脱水装置内に留出し始めた。2時間加熱を継続すると、反応混合物の温度は110℃まで上昇し、この間に3.9kgの水が留出した。
次いで、この反応混合物100℃中に、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド 50.8kg(217.4mol)をトルエン25kgに溶解した溶液を、30分間かけて加えたのち、激しく攪拌しながら110℃で2時間反応した。反応温度が110℃に到達してから1時間後と2時間後に、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のアセトニトリルに溶解した溶液をHPLCにより分析した結果を比較したところ、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが0.5%(保持時間 19.8min.)、目的化合物である1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンが97.0%(保持時間 29.6min.)の面積%組成に変化がなかったことから、反応の終了を確認した。
反応終了後、反応混合物の温度を85℃まで冷却し、水150kgを加え、温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、反応混合物が上層のトルエン層と下層の水層に分離したのち、水層を抜き出した。先と同様に、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)に水150kgを加えて温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌し、分離した水層を除去する操作を2回繰り返した。
次いで、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)から、減圧下(圧力:40kPa)にトルエン 400kgを留去した後、攪拌しながら、常圧下、75〜80℃でヘキサン370kgを加えたのち、5〜10℃まで冷却した。
析出した固体を常圧下に反応釜より取出して、ろ取し、5〜10℃に冷却したメタノール90kgで洗浄したのち、40〜50℃で乾燥して、標記の目的化合物(固体)88.2kg(収率95%)を得た。この化合物の純度、融点およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.8%、融点:129〜130℃、EI−MS:m/z426M+
[実施例2]
1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンの製造;
ディーン・スターク型の共沸蒸留装置を備え付けた1000L容量の反応釜に、トルエン500kgを入れ、1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン 50kg(217.4mol)、水酸化ナトリウム8.7kg(217.4mol)およびテトラn−ブチルアンモニウムブロミド 7.0kg(21.7mol)を常圧下に、室温(20℃)で順次加え、激しく攪拌しながら加熱を開始した。反応混合物の温度が80℃を超え始めると、徐々にトルエンと水の共沸混合物が脱水装置内に留出し始めた。2時間加熱を継続すると、反応混合物の温度は110℃まで上昇し、この間に3.9kgの水が留出した。
次いで、この反応混合物100℃中に、N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライド 46.8kg(217.4mol)をトルエン25kgに溶解した溶液を、30分間かけて加えたのち、激しく攪拌しながら110℃で2時間反応した。反応温度が110℃に到達してから1時間後と2時間後に、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のアセトニトリルに溶解した溶液をHPLCにより分析した結果を比較したところ、N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイルクロライドが0.3%(保持時間 17.9min.)、目的化合物である1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−4−フルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンが97.4%(保持時間 23.0min.)の面積%組成に変化がなかったことから、反応の終了を確認した。
反応終了後、反応混合物の温度を85℃まで冷却し、水150kgを加え、温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、反応混合物が上層のトルエン層と下層の水層に分離したのち、水層を抜き出した。先と同様に、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)に水150kgを加えて温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌し分離した水層を除去する操作を2回繰り返した。
次いで、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)から、減圧下(圧力:40kPa)にトルエン 400kgを留去した後、攪拌しながら、常圧下、75〜80℃でヘキサン350kgを加えたのち、5〜10℃まで冷却した。
析出した固体を常圧下に反応釜より取出して、ろ取し、5〜10℃に冷却したメタノール80kgで洗浄したのち、40〜50℃で乾燥して、標記の目的化合物(固体)82.7kg(収率93%)を得た。この化合物の純度、融点およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.7%、融点:170〜172℃、EI−MS:m/z408M+
[実施例3]
1−(2−クロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンの製造;
ディーン・スターク型の共沸蒸留装置を備え付けた2000L容量の反応釜に、トルエン600kgを入れ、1−(2−クロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン 60kg(306.9mol)、水酸化ナトリウム12.3kg(306.9mol)およびテトラn−ブチルアンモニウムブロミド 9.9kg(30.7mol)を常圧下に、室温(20℃)で順次加え、激しく攪拌しながら加熱を開始した。反応混合物の温度が80℃を超え始めると、徐々にトルエンと水の共沸混合物が脱水装置内に留出し始めた。2時間加熱を継続すると、反応混合物の温度は110℃まで上昇し、この間に5.5kgの水が留出した。
次いで、この反応混合物100℃中に、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド 71.7kg(306.9mol)をトルエン35kgに溶解した溶液を、30分間かけて加えたのち、激しく攪拌しながら110℃で2時間反応した。反応温度が110℃に到達してから1時間後と2時間後に、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のアセトニトリルに溶解した溶液をHPLCにより分析した結果を比較したところ、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが0.4%(保持時間 19.7min.)、目的化合物である1−(2−クロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンが97.0%(保持時間 15.8min.)の面積%組成に変化がなかったことから、反応の終了を確認した。
反応終了後、反応混合物の温度を85℃まで冷却し、水200kgを加え、温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、反応混合物が上層のトルエン層と下層の水層に分離したのち、水層を抜き出した。先と同様に、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)に水150kgを加えて温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌し分離した水層を除去する操作を2回繰り返した。
次いで、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)から、減圧下(圧力:40kPa)にトルエン 500kgを留去した後、攪拌しながら、常圧下、75〜80℃でヘキサン400kgを加えたのち、5〜10℃まで冷却した。
析出した固体を常圧下に反応釜より取出して、ろ取し、5〜10℃に冷却したメタノール100kgで洗浄したのち、40〜50℃で乾燥して、標記の目的化合物(固体)112.0kg(収率93%)を得た。この化合物の純度、融点およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.8%、融点:146〜147℃、EI−MS:m/z392M+
[実施例4]
1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンの製造;
ディーン・スターク型の共沸蒸留装置を備え付けた2000L容量の反応釜に、キシレン550kgを入れ、1−(2,3−ジメチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン 55kg(291.0mol)、水酸化ナトリウム11.6kg(291.0mol)およびテトラn−ブチルホスホニウムブロミド 9.9kg(29.1mol)を常圧下に、室温(20℃)で順次加え、激しく攪拌しながら加熱を開始した。反応混合物の温度が80℃を超え始めると、徐々にキシレンと水の共沸混合物が脱水装置内に留出し始めた。2時間加熱を継続すると、反応混合物の温度は144℃まで上昇し、この間に5.2kgの水が留出した。
次いで、この反応混合物100℃中に、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド 67.9kg(291.0mol)をキシレン35kgに溶解した溶液を、30分間かけて加えたのち、激しく攪拌しながら144℃で2時間反応した。反応温度が144℃に到達してから1時間後と2時間後に、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のアセトニトリルに溶解した溶液をHPLCにより分析した結果を比較したところ、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが0.7%(保持時間 19.6min.)、目的化合物である1−(2,3−ジメチルフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンが95.1%(保持時間 21.3min.)の面積%組成に変化がなかったことから、反応の終了を確認した。
反応終了後、反応混合物の温度を85℃まで冷却し、水200kgを加え、温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、反応混合物が上層のキシレン層と下層の水層に分離したのち、水層を抜き出した。先と同様に、反応釜中に残存する混合物(キシレン層)に水150kgを加えて温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌し分離した水層を除去する操作を2回繰り返した。
次いで、反応釜中に残存する混合物(キシレン層)から、減圧下(圧力:30kPa)にキシレン 500kgを留去した後、攪拌しながら、常圧下、75〜80℃でヘキサン400kgを加えたのち、5〜10℃まで冷却した。
析出した固体を常圧下に反応釜より取出して、ろ取し、5〜10℃に冷却したメタノール90kgで洗浄したのち、40〜50℃で乾燥して、標記の目的化合物(固体)103.3kg(収率92%)を得た。この化合物の純度、融点およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.6%、融点:109〜110℃、EI−MS:m/z386M+
[比較例1]
1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンの製造(特許文献2に記載の方法);
1000L容量の反応釜に、トルエン500kgを入れ、1−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−オン 50kg(217.4mol)、水酸化ナトリウム 8.7kg(217.4mol)およびテトラn−ブチルアンモニウムブロミド 7.0kg(21.7mol)を室温で順次加え、激しく攪拌しながら90℃で1時間加熱した。反応混合物を60℃に放冷し、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライド 50.8kg(217.4mol)をトルエン25kgに溶解した溶液を30分間かけて加えたのち、再度激しく攪拌しながら90℃で6時間加熱した。反応温度が90℃に到達してから5時間後と6時間後に、反応混合物を少量サンプリングし、適当量のアセトニトリルに溶解した溶液をHPLCにより分析した結果を比較したところ、N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイルクロライドが2.4%(保持時間 19.8min.)、目的化合物である1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(N−イソプロピル−N−2,4−ジフルオロフェニルカルバモイル)−1,2,4−トリアゾール−5−オンが80.0%(保持時間 29.6min.)の面積%組成に変化がなかったことから、反応の終了を確認した。
反応終了後、水150kgを加え、温度を50〜60℃に保ちながら10分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、反応混合物が上層のトルエン層と下層の水層に分離したのち、水層を抜き出した。先と同様に、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)に水150kgを加えて10分間激しく攪拌し分離した水層を除去する操作を2回繰り返した。次いで、反応釜中に残存する混合物(トルエン層)から、減圧下(圧力:40kPa)にトルエン 400kgを留去した後、反応釜に残存する混合物に、攪拌しながら75〜80℃でヘキサン370kgを加えたのち、5〜10℃まで冷却した。析出した固体をろ取し、5〜10℃に冷却したメタノール80kgで洗浄したのち、40〜50℃で乾燥して、標記の目的化合物固体69.6kg(収率75%)を得た。この化合物の純度、融点およびマススペクトルデータを以下に記載する。
純度:99.3%、融点:129〜130℃、EI−MS:m/z426M+
比較例1は、実施例1から水を除去する工程のみを行わないで1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を製造する方法である。
実施例1と比較例1を比較すると、反応により副生する水を除去することにより、目的化合物を高収率で得ることができることが分かる。
なお、比較例1では、反応により副生する水を除去していないため、反応温度を90度以上にすることはできない。そのため、反応時間は長時間になる。

Claims (2)

  1. 第四級アンモニウム塩およびホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の相間移動触媒の存在下に、芳香族炭化水素溶媒中で、
    (a)下記式(II)で表される1−置換−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体と、
    (b)アルカリ金属水酸化物とを、副生する水を共沸蒸留により除去しながら反応させた後、
    得られた反応混合物に、下記式(III)で表されるカルバモイルクロライド類を加えて、反応させることを特徴とする、下記式(I)で表わされる1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を工業生産スケールで製造する方法。
    Figure 0005106574
    [式(I)中において、Xはハロゲン原子または低級アルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、Rは低級アルキル基を示し、nおよびmは、それぞれ独立に0〜5の整数を示す。]
    Figure 0005106574
    [式(II)中において、Xおよびnは前記式(I)と同義である。]
    Figure 0005106574
    [式(III)中において、Y、Rおよびmは前記式(I)と同義である。]
  2. 前記芳香族炭化水素溶媒が、トルエンおよび/またはキシレンであることを特徴とする、請求項1に記載の1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体を工業生産スケールで製造する方法。
JP2010114096A 2010-05-18 2010-05-18 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法 Active JP5106574B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010114096A JP5106574B2 (ja) 2010-05-18 2010-05-18 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法
TW99123766A TWI396684B (zh) 2010-05-18 2010-07-20 1-取代-4-胺基甲醯基-1,2,4-三唑-5-酮衍生物之製造方法
CN201010258961.4A CN102250024B (zh) 2010-05-18 2010-08-16 1-取代-4-氨基甲酰基-1,2,4-三唑-5-酮衍生物的制备方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010114096A JP5106574B2 (ja) 2010-05-18 2010-05-18 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011241169A JP2011241169A (ja) 2011-12-01
JP5106574B2 true JP5106574B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=44977636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010114096A Active JP5106574B2 (ja) 2010-05-18 2010-05-18 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5106574B2 (ja)
CN (1) CN102250024B (ja)
TW (1) TWI396684B (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103936684B (zh) * 2014-04-30 2016-10-05 江苏省农用激素工程技术研究中心有限公司 磺酰胺基羰基三唑啉酮化合物及其制备方法和应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07138234A (ja) * 1993-11-11 1995-05-30 Kureha Chem Ind Co Ltd アゾリルメチルシクロアルカノール誘導体の製造方法
AU6117498A (en) * 1997-02-26 1998-09-18 Hokko Chemical Industry Co. Ltd. 1-substituted 4-carbamoyl-1,2,4-triazol-5-one derivatives and herbicide
JP4161330B2 (ja) * 1997-09-02 2008-10-08 株式会社クレハ アゾリルメチルビシクロヘキサノール誘導体、その製造方法及び、農薬並びに、医薬としての利用
JP4397579B2 (ja) * 2002-11-28 2010-01-13 北興化学工業株式会社 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法
JP2012502028A (ja) * 2008-09-08 2012-01-26 ウ,ニアン トリアゾール抗真菌剤

Also Published As

Publication number Publication date
TWI396684B (zh) 2013-05-21
JP2011241169A (ja) 2011-12-01
TW201141842A (en) 2011-12-01
CN102250024B (zh) 2014-01-29
CN102250024A (zh) 2011-11-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
HUE028299T2 (en) Process for the preparation of 3-trifluoromethylchalkones
CN108947890B (zh) 一种制备二取代4-氨基咔唑类化合物的方法
EP2714687B1 (en) Process for the preparation of paliperidone
JP2019514948A5 (ja)
JP5106574B2 (ja) 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法
JP6436204B2 (ja) ピリダジノン化合物の製造方法およびその製造中間体
JPH0578305A (ja) ビグアニド誘導体の製造方法
KR20200110381A (ko) 술펜트라존의 합성 방법
JP3918883B2 (ja) ベンゾイルクロライド類の製造方法
EP2858966B1 (fr) Procede de creation de liaisons carbone-carbone a partir de composes carbonyles
JP6242298B2 (ja) 1−(3−ベンゾイルオキシプロピル)−7−シアノ−5−[(2r)−2−({2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]エチル}アミノ)プロピル]インドリンまたはその塩を製造する方法
JP2010132593A (ja) 4−アルキルレゾルシノールの製造方法
JP5188475B2 (ja) 2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルの製造方法
CN106414414A (zh) 三酮化合物的制造方法
JP4143556B2 (ja) α,α,α’,α’−テトラクロロ−p−キシレンの製造方法
EP2900634B1 (en) Process for the preparation of optionally substituted phenyl and pyridyl pyrrolidines
EA011763B1 (ru) Способы получения венлафаксина и формы i венлафаксина гидрохлорида
JP4397579B2 (ja) 1−置換−4−カルバモイル−1,2,4−トリアゾール−5−オン誘導体の製造方法
EP3359153B1 (en) Alkylation of picolinamides with substituted chloroacylals utilizing a crown ether catalyst
JP4094564B2 (ja) α,α,α’,α’−テトラクロロ−p−キシレンの製造方法
JP4402500B2 (ja) イオパミドールの精製方法
JP2005053836A (ja) アセトアミジン誘導体の製造方法
KR100539725B1 (ko) 피롤의 새로운 알킬화 반응
JP2004075616A (ja) 4−ハロゲノ−2−(4−フルオロフェニルアミノ)−5,6−ジメチルピリミジンの製造方法
JP6261908B2 (ja) 1−アシル−2−(置換フェニル)ナフタレン及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120813

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120925

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121002

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5106574

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350