JP5105248B2 - 凹凸パターンの形成方法およびパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

凹凸パターンの形成方法およびパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パターンドメディア型磁気記録媒体における凹凸パターンの形成方法およびパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法に関する。
従来より、ハードディスク等の磁気記録媒体はその記録密度を向上させるため、構成材料の変更、記録層の粒子微細化、ヘッドの小型化あるいは垂直磁気記録方式などさまざまな施策がとられているが、記録密度の向上は限界に達しつつある。
そこで、更なる記録密度の向上を目指して、磁気記録層を微細な凹凸パターンに加工する、ディスクリートトラック型やビットパターン型などのパターンドメディア型の磁気記録媒体が提案されている。
パターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法の一つとして、保護層上に紫外線硬化型、熱可塑性あるいは熱硬化型などの樹脂材料を塗布し、ナノインプリント成型により樹脂材料に凹凸パターンを形成する方法がある。また、この樹脂材料として紫外線硬化型のフォトレジストを用いて、レーザー描画あるいはフォトマスク露光によりパターンを形成することも行われている。
図2にパタードメディア型磁気記録媒体における凹凸パターンの形成工程の概略図を示す。図2(a)は、磁気記録媒体として、基板10の上に軟磁性層11、シード層12、中間層13、磁性層14、保護層15をこの順に形成したものを用い、保護層15の上に上述の樹脂材料からなる樹脂マスク層16を形成した状態を示している。
図2(b)は、例えば、ナノインプリント成型などにより樹脂マスク層16に凹凸を形成した状態を示している。
図2(c)は、例えば、反応性エッチングなどにより樹脂マスク層16の薄膜領域を除去して樹脂材料からなるレジストパターンを形成した状態を示す図である。
この樹脂材料からなるレジストパターンを形成した磁気記録媒体の露出した部分の磁性層と保護層を例えば反応性エッチングにより除去する。図2(d)は、磁気記録媒体の露出した部分の磁性層と保護層を除去した状態を示す図である。
次いで、例えば、プラズマ照射などにより、樹脂マスク層16を除去してパタードメディア型磁気記録媒体における凹凸パターン形成が完了する。図2(e)は凹凸パターン形成が完了状態を示す図である。
また、磁性層はCo、Crなどの難エッチング材からなることが多く、樹脂マスクに比べてエッチングレートが遅いため、樹脂マスクだけでレジストパターンを形成したのではエッチングが困難な場合がある。その場合、保護層上にTi、Taあるいはそれらの酸化膜および窒化膜など磁性層よりエッチングレートの小さいハードマスク層を形成し、樹脂マスクによりハードマスク層にイオンビームエッチングあるいは反応性イオンエッチングなどを用いて凹凸パターンを形成する。この際、磁性層加工時のハードマスク層のエッチングレートが十分小さければ,ハードマスク層を薄くでき、樹脂マスクでのハードマスク層の加工が可能となる。
図3はこのようなハードマスク層を用いた凹凸パターン形成工程を示す概略図である。
図3(a)は、図2で示したと同様の磁気記録媒体の保護層15の上に、ハードマスク層19、さらにその上に樹脂マスク層16が形成された状態を示す図である。
図3(b)は樹脂マスク層16に凹凸パターンを形成した状態を示した図であり、図3(c)は、例えば、反応性エッチングなどにより樹脂マスク層16の薄膜領域を除去して樹脂材料からなるレジストパターンを形成した状態を示す図である。
図3(d)は、ハードマスク層にイオンビームエッチングあるいは反応性イオンエッチングなどを用いて凹凸パターンを形成した状態を示す図である。
ハードマスク層19を加工した後、樹脂マスク層16を酸素プラズマやオゾンプラズマなど反応性のエッチングを用いて除去する。この際、保護層15としてDLC(Diamond like Carbon)などのカーボン材料を用いている場合、樹脂マスク層除去の酸素プラズマやオゾンプラズマなど反応性のエッチングにより、ハードマスク層のエッチング部(保護層露出部)の保護層が同時に加工される。図3(e)は樹脂マスク層16と保護層15の露出部を除去した状態を示す図である。
樹脂マスク層を除去した後、ハードマスク層をマスクとして磁性層をイオンビームエッチングあるいは反応性イオンエッチングなどを用いて、凹凸形状に加工し,最後に磁性層に対しエッチングレートの低い反応性ガスを用いてハードマスク層を除去することで,パターンドメディア型磁気記録媒体の凹凸パターンが形成される。図3(f)は磁性層を凹凸形状に加工した状態を示し、図3(g)はハードマスク層を除去した状態を示す図である。
特許文献1には、磁性層の上にTiNからなる第1のマスク層(上記ハードマスク層に該当)とNiからなる第2のマスク層を有する磁気記録媒体の加工出発体が記載されている。Niは磁性層を構成するCoやCrよりもエッチングされやすく、有機無機の違いがあるが上記樹脂マスク層と同等の役割を果たすものである。
特許文献1では、第2のマスク層の上にレジスト層を形成し、パターニングした後、イオンビームエッチングにより第1のマスク層をパターニングし、酸素を反応ガスとする反応性エッチングで第2のマスク層をパターニングし、次いで、イオンビームエッチングにより磁性層をパターニングしている。
特開2005−56547号公報
従来の技術によるパターンドメディア型の磁気記録媒体の製造方法において、磁性層の加工にイオンビームエッチングを用いる場合、Arガスを用いるのが一般的である。このイオンビームエッチングはArイオンあるいはAr分子の被エッチング材への衝突による物理的なエッチングが行われるため、化学反応による変質層が残存せず、非エッチング部の磁性層特性劣化が起き難いという効果がある。しかし、加工深さに関しては一般にアスペクト比(加工深さ/加工幅)が1程度と言われており、パターンの微細化に限界がある。特に加工マスク層の厚みが厚くなると、更に加工可能な深さが減少するため、微細パターンの凹凸形状形成が困難となる。
磁性層の加工に反応性イオンエッチングを用いる場合、磁性層を構成するCo、Crなどの金属材料が難エッチング材であり、エッチングガスとしてCl系ガスあるいはCOとNHの混合ガスを用いる方法がある。特許文献1においても、エッチングガスとして、COとNHの混合ガスを用いている。
Cl系ガスを用いた場合、Co、Crなどの金属と塩化物を形成する。その塩化物が蒸気となり、あるいはイオン衝突により物理的に除去され加工が進行する。その際、加工側壁にはイオンが衝突し難く、垂直方向のエッチングが選択的に進む。そのため、加工側壁で塩素や塩化物などが残存し、アフターコロージョンが問題となる。
また、COとNHの混合ガスでは、Co、Crなどとカルボニル化合物を形成する。この化合物は気化温度が低く、蒸気圧も低いため、イオン衝突などの物理的アシストが無くともエッチングが進行する。しかしながら、COは毒性の強いガスであり、その扱いが難しいため、生産には不向きである。
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、本発明の目的は、パターンドメディア型磁気記録媒体における、アフターコロージョンがなく、生産性のよい凹凸パターンの形成方法及びこの凹凸パターン形成方法を用いたパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の凹凸パターンの形成方法は、基板表面に少なくとも磁性層およびカーボン保護層が形成された磁気記録媒体中間体の前記磁性層および保護層を加工し凹凸パターンを形成する凹凸パターンの形成方法であって、ドライエッチングを用いて磁性層を加工し凹凸パターンを形成する際、エッチングガスとしてArと炭素化合物を含むデポジションガスの混合ガスを用いることを特徴とする。
また、本発明のパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法は、基板表面に少なくとも磁性層およびカーボン保護層を含む磁気記録媒体中間体を準備する準備工程と、所定のパターンを有するマスクを用いて前記磁気記録媒体中間体の、カーボン保護層及び磁性層を部分的に除去して凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを含み、前記凹凸パターン形成工程がカーボン保護層を部分的に除去する保護層加工工程と、磁性層を部分的に除去する磁性層加工工程とからなり、
前記磁性層加工工程においてエッチングガスとしてArと炭素化合物を含むデポジションガスの混合ガスを用いるドライエッチングを用いて磁性層を部分的に除去することを特徴とする。
本発明においては、基板表面に少なくとも磁気記録層となる磁区配向された磁性層およびカーボン保護層が形成された磁気記録媒体の前記磁性層および保護層を加工し凹凸パターンを形成するパターンドメディア型磁気記録媒体において、凹凸パターン加工用のマスクとしてまず紫外線硬化型、熱可塑性あるいは熱硬化型などの樹脂材料をインプリント法あるいは電子ビーム露光法によりパターンを形成した樹脂マスク層を形成する。
この樹脂マスク層を用い、反応性イオンエッチング装置により保護層の加工を行ない、磁性層の加工部の表面を露出させる。この保護層の加工では、O2ガスを用いることで、カーボンが効率良くエッチングされる。しかし、樹脂マスク層も同時にエッチングされるため、樹脂マスク層の残り厚さは僅かとなる。
次に部分的に表面が露出した磁性層を加工し凹凸パターンを形成する。その際、エッチングガスとしてArを用いることで、難エッチング材である磁性層がArイオンにより物理的に加工される。しかし、Arイオンによる加工では、樹脂マスク層の加工レートが速く、磁性層を凹凸パターンにするために必要な加工深さに達する前に樹脂マスク層が消失する可能性がある。そのため、樹脂マスク層が消失しカーボン保護層が露出した際の保護層の加工レートを低下させる炭化水素化合物、フッ化炭素系化合物及びフッ素含有炭化水素系化合物から選ばれる炭素化合物の少なくとも一種を含むデポジションガスとして添加する。
これらのデポジションガスは、カーボン保護層表面に付着し易く、カーボン保護層が磁性層加工時のマスク層となる。但し、デポジションガスの添加量が多くなると、磁性層の被加工面への付着量も多くなるため、磁性層の加工レートも低下する。そのため、Arガスとデポジションガスの流量比を最適化することにより、カーボン保護層が初期厚さのまま維持され,磁性層のみが加工される。
このArガスとデポジションガスとの混合ガスによるドライエッチングにより、アフターコロージョンの無い、生産性の高い磁性層の加工が可能となる。
本発明によれば、磁性層凹凸パターン加工後の塩化物残存によるアフターコロージョンが無く、COなどの毒性の高いガスを用いない生産性の高いパターンドメディア型磁気記録媒体の製造が可能となる。
本発明において凹凸パターン形成の対象となる磁気記録媒体前駆体は基板表面に少なくとも磁性層およびカーボン保護層が形成されてなる。このような磁気記録媒体前駆体としては、図1(a)に示すような、基板10の上に軟磁性層11、シード層12、中間層13、磁性層14、及びカーボン保護層15をこの順に有するものを例示できる。この磁気記録媒体前駆体の保護層15の上には樹脂マスク層16が形成されている。
この基板10は、好ましくは非磁性であり、磁気記録媒体の製造に従来から用いられている任意の材料を用いることができる。たとえば、ガラス、Ni−Pめっきを施されたアルミ合金、あるいはシリコンなどの材料を用いて作製された基板を用いることができる。
軟磁性層11としては、Co、Ni、Feの少なくとも1つを含む軟磁性材料からなり、例えば、FeTaC、センダスト(FeSiAl)合金などの結晶性材料;FeTaC、CoFeNi、CoNiPなどの微結晶性材料;またはCoZrNd、CoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質材料を用いて形成することができる。軟磁性層は、垂直磁気記録媒体において、磁気ヘッドの発生する垂直方向磁界を磁気記録層に集中させる機能を有する。軟磁性層の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造や特性によって最適値が変化するが、おおむね5〜100nmであることが、生産性との兼ね合いから望ましい。
シード層12は中間層13となるRuなどの結晶配向を制御する結晶性の層であり、NiFeAl、NiFeSi、NiFeNb、NiFeB、NiFeNbB、NiFeMo、NiFeCrなどのようなパーマロイ系材料;CoNiFe、CoNiFeSi、CoNiFeB、CoNiFeNbなどのようなパーマロイ系材料にCoをさらに添加した材料;Co;あるいはCoB、CoSi、CoNi、CoFeなどのCo基合金を用いて形成することができる。シード層は、磁気記録層の結晶構造を制御するのに充分な膜厚を有することが望ましく、通常の場合、10nm以下の厚みでスパッタリング法により成膜されることが望ましい。
中間層13は磁気記録層の磁区配向を制御する層であり、このためにシード層12により結晶配向される。この中間層13はRu、もしくはRuを主成分とする合金を用いて形成することができる。中間層13は、1〜10nmの厚みを有する層であり、スパッタリング法などにより成膜される。このような膜厚とすることによって、磁気記録層の磁気特性や電磁変換特性を劣化させることなしに、高密度記録に必要な特性を磁気記録層に付与することが可能となる。
磁性層14は磁区配向されて磁気記録層となる層であり、好適には、少なくともCoとPtを含む合金の強磁性材料を用いて形成することができる。強磁性材料の磁化容易軸は、磁気記録を行う方向に向かって配向していることが必要である。たとえば、垂直磁気記録を行うためには、磁気記録層の材料の磁化容易軸(六方最密充填(hcp)構造のc軸)が、記録媒体表面(すなわち基体の主平面)に垂直方向に配向していることが必要である。磁気記録層は、たとえばCoPt、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTaなどの合金材料を用いて形成することができる。磁気記録層の膜厚は、特に限定されるものではない。しかしながら、生産性および記録密度向上の観点から、磁気記録層は、5〜50nmの膜厚を有し、スパッタリング法などにより成膜される。
保護層15はDLCなどのカーボンを主成分とする厚み10nm以下の層であり、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより成膜される。
保護層15の上に、アクリル系樹脂を主成分とする紫外線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは熱硬化型樹脂などの樹脂材料、あるいはSOGを塗布して、膜厚30〜100nmの樹脂マスク層16が形成されている。樹脂マスク層16は、スピンコートまたはスプレーコートなどの方法によって形成することができる。
まず、このマスク層16に、所定の形状の凹凸パターンを形成する(図1(b))。凹凸パターンの形成は、ナノインプリント成型により実施してもよい。あるいはまた、マスク層16が紫外線硬化型樹脂で形成されている場合、レーザー描画あるいはフォトマスクを用いた露光によって、凹凸パターンを形成してもよい。
パターンドメディアの凹凸パターンは,トラック方向に凹凸を形成するディスクリートトラックメディア型のパターンとしてもよく、ビットパターン型としてもよい。
ナノインプリント成型によりマスク材料に凹凸パターンを形成する場合、マスク材料の塗布厚さは、ナノインプリントによるモールドの凹凸パターンの高さによって変更する必要があり、凹凸パターンの高さ±10nm程度が最適である。
次いで、Ar、He、Ne等の不活性ガスによるイオンビームエッチングあるいは反応性ガスを用いる反応性イオンエッチングなどによりマスク層16の凹部の樹脂残膜を除去する(図1(c))。
イオンビームエッチングの場合、基板角度はイオンビームの入射方向に垂直な面に対して0°〜70°とすることが好ましい。
次に、この樹脂材料を樹脂マスク層として、反応性イオンエッチング装置を用いてカーボン保護層15の露出部分を除去する。エッチングガスとしては例えば、Oガスを用いることができる。
次に樹脂マスク層16を残したまま磁性層14の露出部分を除去する(図1(d))。エッチングガスとしては、Arガスと炭化水素化合物(C系)、フッ化炭素系化合物(C系)、及びフッ素含有炭化水素系化合物(C系)のカーボン化合物を含有するガスの少なくとも一種を含むデポジションガスとの混合ガスを用いる。
図4にはデポジションガスにCHを用い、デポジションガスとArガスとの混合比を変えた場合の磁性層、カーボン層および樹脂マスク層でのエッチングレート変化のデータを示す。具体的にはArガス流量を5sccmに固定し、CHガス流量を変化させたもので、エッチング圧力は0.1Pa、アンテナパワーおよび基板へのバイアスパワーは600W及び300Wでのデータである。CH流量を増していくとともにエッチングレートが低下し、カーボン層からデポジションが発生する。これは,もともとカーボン層のエッチングレートが最も低いこともあるが、プラズマ中でカーボン化合物が解離してカーボンを生成し、カーボンマスク層のカーボンと結合する効果があると推測される。この効果を用い、カーボンマスク層をほぼエッチングすることなく、磁性層のみを加工することができる。
具体的には、CH4流量比を増加させていくと、CH4流量比約3.3でカーボン層のエッチングレートが零となり、そこからCH4流量比約4.5の間では、カーボン層にデポジションが発生し、かつ磁性層と樹脂マスク層はエッチングされる状態となる。
従って、磁性層のエッチングレートが比較的高く、カーボン層のエッチンレートが零近辺であるCH4流量比2.0〜3.5とすることが好ましく、3.0〜3.5とすることより好ましく、3.2〜3.4とすることがさらに好ましい。
また,CHガスをデポジションガスとした場合、条件によってはプラズマ中での解離により生成したカーボンの堆積物がCVD法により形成したDLC膜と非常に近い結合状態となり、そのまま保護膜としても利用できる。
図4ではCHを用いた例を示したが、他の炭化水素化合物(C系)でも同様の効果を示し、フッ化炭素系化合物(C系)、フッ素含有炭化水素系化合物(C系)でも同様の効果を示す。
このArガスとカーボン化合物を含有するデポジションガスにN、HあるいはArガス以外の希ガス等を混合することも可能である。
しかして、Arガスと炭化水素化合物(Cxy系)、フッ化炭素系化合物(Cxy系)及びフッ素含有炭化水素系化合物(Cxyz系)のカーボン化合物を含有するガスの少なくとも一種を含むデポジションガスとの混合ガスを用いたエッチングにより磁性層14の露出部分の除去を進めると、凸部の樹脂マスク層16もエッチングにより除去され、樹脂マスク層16が無くなると、カーボン層15がマスク層として作用して磁性層14の露出部分のエッチングが進行する。そのエッチングが終了した状態を図1(e)に示す。
次に、非磁性材料充填工程において、凹部を充填するように非磁性材料17を膜厚が20〜100nmとなるように成膜する。この非磁性材料17としては、例えば、SiOを例示でき、SiOの成膜法としては、スパッタリングまたはPCVD(プラズマCVD)を挙げることができる。
図1(f)に示すように、この成膜により、非磁性材料17は前記凹部を埋め込み、かつ、凸部表面にも成膜されている。
次に、埋め込み後の磁性層14及び保護層15上の非磁性材料による凸部を、研磨あるいは不活性ガス雰囲気下でのイオンビームエッチングによるエッチバックなどにより保護層15を露出させるとともに平坦化を行う。平坦化後の状態を図1(g)に示す。
最後に保護層18として例えば、DLCなどのカーボン性材料をCVD法により成膜し、その上にスパッタリングによりカーボンを成膜する。
この際、磁性層加工時に残存したカーボン層との合計膜厚が、基板とリードライトヘッドとのスペーシングに影響を与える、即ち、カーボン層合計膜厚が厚い場合、磁性層加工時のガス流量比を調整することで、残存カーボン層の膜厚の制御が可能である。
これらの工程により、アフターコロージョンの無い生産性のよいパターンドメディア型磁気記録媒体の製作が可能となる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
<実施例1>
本実施例においては、基板材料としてガラスを用い、基板10の上にCoZrNbからなる軟磁性層11を45nm形成した。
次にこの軟磁性層11の表面に、Ruからなる中間層13の結晶配向を制御するためにCoNiFeSiからなる結晶性のシード層12を5nm形成した。
続いてRuからなる中間層13をスパッタリング法により厚み10nmになるように成膜した。
その後、CoCrPt−SiOからなるグラニュラー層を8nm形成し、その上にRuを0.2nm形成し、さらにその上にCoCrPtBを8nm形成して、垂直磁気記録層(磁性層)14とし、その上にカーボン保護層15をCVD法により厚さ3.5nmのDLC膜として形成した。
次に、熱硬化型樹脂材料をスピンコートにより30nmの厚みで塗布し、ナノインプリント成型により樹脂材料に凹凸パターンを形成した。樹脂材料の塗布厚さは、ナノインプリントによるモールドの凹凸パターンの高さによって変更する必要があり、凹凸パターンの高さ±10nm程度となるようにした。
そして、この樹脂材料の凹凸パターンの薄膜領域を反応性エッチングにより除去してレジストパターンとした。
このレジストパターンは、トラック方向に凹凸を形成するディスクリートトラックメディア型のパターンとし、パターンピッチを60nmとし、凸部の高さを30nmとして形成した。
次に、このレジストパターンを有する樹脂材料を樹脂マスク層16として、反応性イオンエッチング装置を用いてカーボン保護層15の露出部分の除去を行った。エッチングガスとしてはOガスを用い、ガス流量を10sccmとし、エッチング圧力は0.1Paとした。プラズマを発生させるアンテナパワーを200Wとし、バイアスパワーを100Wとしてカーボン層の露出部分の除去を行った。この加工の際のカーボン層と樹脂マスクとの加工レート比は1:2〜5であり、樹脂マスク層16の凸部の高さは、カーボン層厚みの5倍以上必要であった。
次に樹脂マスク層16を残したまま磁性層14の露出部分の除去を行った。エッチングガスとしては、Arガス5sccmとCHガス16.5sccmの流量(CH4流量比3.3)からなる混合ガスを用い、エッチング圧力は0.1Pa、アンテナパワーおよび基板へのバイアスパワーは600Wおよび300Wとした。このエッチングにより、カーボンマスク層15をほぼエッチングすることなく、磁性層14のみをエッチングすることができた。
さらに、凹部を充填するように非磁性材料17であるSiOをスパッタリングにより20nm成膜した。
次に、Arイオンビームエッチングを用いて凸部上面の非磁性材料17を除去し、保護層15を露出させるとともに平坦化を行った。
最後に保護層18としてDLCからなるカーボン膜をCVD法により2nm成膜し、その上にスパッタリングによりカーボンを0.5nm成膜してパターンドメディア型磁気記録媒体を得た。得られたパターンドメディア型磁気記録媒体はアフターコロージョンの無い磁気記録媒体であった。
本発明の凹凸パターン形成工程の1実施形態を示す基板断面概略図である。 従来のパターンドメディア型磁気記録媒体における樹脂マスク層を加工マスクとした凹凸パターン形成工程の基板断面概略図である。 従来のパターンドメディア型磁気記録媒体におけるハードマスク層を加工マスクとした凹凸パターン形成工程の基板断面概略図である。 Arガスとカーボンを含有したデポジションガスとしてCHガスの混合ガスを用いた磁性層加工において、ガスの混合比を変えた場合の磁性層、カーボン層および樹脂マスク層でのエッチングレート変化を示すグラフである。
符号の説明
10・・・基板
11・・・軟磁性層
12・・・シード層
13・・・中間層(Ru配向層)
14・・・磁性層(磁気記録層)
15・・・カーボン保護層
16・・・樹脂マスク層
17・・・非磁性埋め込み材
18・・・保護層
19・・・ハードマスク層

Claims (4)

  1. 基板表面に少なくとも磁性層およびカーボン保護層が形成された磁気記録媒体中間体の前記磁性層および保護層を部分的に除去して凹凸パターンを形成する凹凸パターンの形成方法であって、ドライエッチングを用いて磁性層を部分的に除去して凹凸パターンを形成する際、エッチングガスとしてArと炭素化合物とからなるデポジションガスの混合ガスを用い、前記炭素化合物が、炭化水素化合物、フッ化炭素系化合物及びフッ素含有炭化水素系化合物から選ばれる炭素化合物の少なくとも一種であることを特徴とする凹凸パターンの形成方法。
  2. 前記炭素化合物が、メタンであることを特徴とする請求項1に記載の凹凸パターンの形成方法。
  3. 基板表面に少なくとも磁性層およびカーボン保護層を含む磁気記録媒体中間体を準備する準備工程と、所定のパターンを有するマスクを用いて前記磁気記録媒体中間体の、カーボン保護層及び磁性層を部分的に除去して凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程とを含み、前記凹凸パターン形成工程がカーボン保護層を部分的に除去する保護層加工工程と、磁性層を部分的に除去する磁性層加工工程とからなり、
    前記磁性層加工工程においてエッチングガスとしてArと炭素化合物とからなるデポジションガスの混合ガスを用いるドライエッチングを用いて磁性層を部分的に除去し、前記炭素化合物が、炭化水素化合物、フッ化炭素系化合物及びフッ素含有炭化水素系化合物から選ばれる炭素化合物の少なくとも一種であることを特徴とするパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記炭素化合物が、メタンであることを特徴とする請求項に記載のパターンドメディア型磁気記録媒体の製造方法。
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