以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態におけるパネル10の要部を示す分解斜視図である。パネル10は、ガラス製の前面基板21と背面基板31とを対向配置して、その間に放電空間を形成するように構成されている。前面基板21上には表示電極対24を構成する走査電極22と維持電極23とが互いに平行に対をなして複数形成されている。そして、走査電極22および維持電極23を覆うように誘電体層25が形成され、誘電体層25上には保護層26が形成されている。また、背面基板31上には複数のデータ電極32が形成され、そのデータ電極32を覆うように誘電体層33が形成されている。誘電体層33上には井桁状の隔壁34が設けられている。また、誘電体層33の表面および隔壁34の側面に蛍光体層35が設けられている。そして、走査電極22および維持電極23とデータ電極32とが交差する方向に前面基板21と背面基板31とを対向配置しており、その間に形成される放電空間には、放電ガスとして、例えばネオンとキセノンの混合ガスが封入されている。なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
図2は本発明の実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。行方向に長いn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCiおよび維持電極SUi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形について説明する。本実施の形態においては、1フィールドを10のサブフィールド(「第1SF」、「第2SF」、・・・、「第10SF」)に分割し、各サブフィールドはそれぞれ、例えば「1」、「2」、「3」、「6」、「11」、「18」、「30」、「44」、「60」、「80」の輝度重みをそれぞれ持つような一例を挙げて説明する。このように本実施の形態においては、後に配置されたサブフィールドの輝度重みほど大きくなるように設定されている。ただし、本発明はサブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではない。
図3は本発明の実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。
初期化期間では、まずその前半部において、データ電極D1〜データ電極Dmおよび維持電極SU1〜維持電極SUnを0Vに保持し、走査電極SC1〜走査電極SCnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi1から放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加する。すると、すべての放電セルにおいて微弱な初期化放電を起こし、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dm上に壁電圧が蓄積される。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上や蛍光体層上などに蓄積した壁電荷により生じる電圧を指す。
続いて初期化期間の後半部において、維持電極SU1〜維持電極SUnを電圧Ve1に保ち、走査電極SC1〜走査電極SCnに電圧Vi3から電圧Vi4に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。すると、すべての放電セルにおいて再び微弱な初期化放電を起こし、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dm上の壁電圧が書込み動作に適した値に調整される。
なお、1フィールドを構成するサブフィールドのうちいくつかのサブフィールドでは初期化期間の前半部を省略してもよく、その場合には、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化動作が行われる。図3には、第1SFの初期化期間では前半部および後半部を有する初期化動作、第2SF以降のサブフィールドの初期化期間では後半部のみを有する初期化動作を行う駆動電圧波形を示した。
書込み期間では、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を印加する。そしてデータ電極D1〜データ電極Dmのうち1行目に発光すべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に書込みパルス電圧Vdを印加するとともに、1行目の走査電極SC1に走査パルス電圧Vaを印加する。すると、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、この放電セルの走査電極SC1上に正の壁電圧、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積される。このようにして、1行目に発光すべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極Dh(h≠k)と走査電極SC1との交差部では書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。
なお、上記のように各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動しているのは後述するデータ電極駆動回路であるが、データ電極駆動回路から見ると各データ電極Djは容量性の負荷である。したがって書込み期間において、各データ電極に印加する電圧を接地電位0Vから書込みパルス電圧Vdへ、あるいは書込みパルス電圧Vdから接地電位0Vへ変化させるごとにこの容量を充放電しなければならない。そしてその充放電の回数が多いとデータ電極駆動回路の消費電力も多くなる。
続く維持期間では、維持電極SU1〜維持電極SUnを0Vに戻し、走査電極SC1〜走査電極SCnに維持パルス電圧Vsを印加する。このとき書込み放電を起こした放電セルにおいては、走査電極SCi上と維持電極SUi上との間の電圧は維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧の大きさが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり発光する。このとき走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。続いて走査電極SC1〜走査電極SCnを0Vに戻し、維持電極SU1〜維持電極SUnに維持パルス電圧Vsを印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との間の電圧が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こる。その結果、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され、走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに、輝度重みに比例した数の維持パルス電圧を印加することにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルでは維持放電が継続して行われる。なお、書込み期間において書込み放電を起こさなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保持される。こうして維持期間における維持動作が終了する。
続く第2SF〜第10SFにおいても、初期化期間および書込み期間は第1SFと同様であり、維持期間は維持パルス数を除いて第1SFの維持期間と同様の維持動作を行う。このようにして、放電セルのそれぞれをサブフィールドごとに発光または非発光となるように制御して、各サブフィールドの輝度重みを組み合わせて画像表示を行っている。
図4は本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、パネル10、画像信号変換回路40、データ電極駆動回路52、走査電極駆動回路53、維持電極駆動回路54、タイミング発生回路55、データ電極負荷算出回路60、温度算出部としての温度算出回路61、電力算出部としての電力算出回路62、および各回路ブロックに必要な電力を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
タイミング発生回路55は、水平同期信号、垂直同期信号をもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。走査電極駆動回路53は、各種のタイミング信号に基づいて図3に示した駆動電圧波形を走査電極SC1〜走査電極SCnにそれぞれ印加する。また、維持電極駆動回路54は、各種のタイミング信号に基づいて図3に示した駆動電圧波形を維持電極SU1〜維持電極SUnに印加する。
画像信号変換回路40は、入力された画像信号をサブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データに変換する。説明を簡単にするために、画像信号は赤、緑、青の原色信号であり、原色信号のそれぞれは、最小値が「0」、最大値が「255」のデジタル信号であると仮定する。
図5A、5B、5Cは本発明の実施の形態における画像信号と画像データとの関係の例を示す図である。このように、入力した画像信号に対してどのサブフィールドで放電セルを発光させるかを示す関係を以下「コーディング」と略記する。図5A、5B、5Cにおいて、最も左の列に示した数値は画像信号の輝度に対応する値を示し、その右側には対応する画像信号の輝度を表示する際に各サブフィールドで放電セルを発光させるか否かを示しており、「0」は非発光、「1」は発光を示している。図5Aに示すように、例えば原色信号「1」が入力された場合には、輝度重み1をもつ第1サブフィールドのみで放電セルを発光させて「1」の輝度を表示する。そして、原色信号「7」が入力された場合には、輝度重み「1」の第1SFと輝度重み「6」の第4SFで放電セルを発光させて「7」の輝度を表示する。また、原色信号「14」が入力された場合には、輝度重み「1」、「2」をもつ第1SF、第2SFおよび輝度重み「11」をもつ第5SFで放電セルを発光させて輝度「14」を表示する。なお、輝度「3」を表示する場合には、第1SFおよび第2SFで放電セルを発光させる方法と、第3SFでのみ発光させる方法とがあるが、このように複数のコーディングが可能である場合には、できるだけ輝度重みの小さいサブフィールドで点灯させるコーディングを選択する。すなわち、輝度「3」を表示する場合には図5Aに示したように第1SFおよび第2SFで放電セルを発光させる。なお、上述したような画像信号を画像データに変換する回路は、ROMなどを用いたデータ変換テーブルを用いて実現することができる。
また、画像信号変換回路40は、後述する変換制御データに基づきコーディングを変更する。変換制御データは、少なくともデータ電極駆動回路52の消費電力が所定の電力閾値より大きい場合、および温度が所定の温度閾値より大きい場合を示すデータであり、この変換制御データに基づいて、画像信号変換回路40は、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換する。具体的には本実施の形態においては、概略、画像信号変換回路40は、データ電極駆動回路52の消費電力および温度の少なくともいずれかが大きくなったと判別すると、輝度重みの小さいサブフィールドで、例えば書込み動作を行わないコーディングに変更する。
図5B、図5Cは、本実施の形態における変換制御データに基づき変更したコーディングの他の例を示す図であり、図5Bは第1SFで書込み動作を行わないコーディング、図5Cは第1SFおよび第2SFで書込み動作を行わないコーディングを示している。図示はしていないが、第1SF〜第3SFで書込み動作を行わないコーディング、第1SF〜第4SFで書込み動作を行わないコーディングなども同様である。例えば図5Bに示すように第1SFで書込み動作を行わないコーディングによれば、輝度「1」、「3」、「4」、「6」、・・・などが表示できなくなる。しかし、第1SFで書込み動作を行わないのでその分の消費電力を減少させることができる。このように書込み動作を行わないサブフィールドを増やすと表示できる輝度の数は減るが、書込み動作のための消費電力を減少させることができる。
なお、上述したようなコーディングの変更は、複数のデータ変換テーブルを切り替えて用いることで実現してもよいが、例えば、サブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データの対応するビットを「0」に固定することでも容易に実現することができる。また、上述したように、データ電極駆動回路の消費電力は、すべてのデータ電極に書込みパルス電圧を印加しない場合に加えて、すべてのデータ電極に書込みパルス電圧を印加する場合も小さくなる。
このため、図5Bや図5Cのようなサブフィールドで書込み動作を行わないコーディングに代えて、画像信号変換回路40が、データ電極駆動回路52の消費電力および温度の少なくともいずれかが大きくなったと判別すると、輝度重みの小さいサブフィールドで書込み動作を行うようなコーディングに変更する構成であってもよい。また、この場合、例えば、サブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データの対応するビットを「1」に固定することでも容易に実現することができる。以下、本発明の実施の形態においては、図5Bや図5Cのようなサブフィールドで書込み動作を行わないコーディングを用いた一例を挙げて説明する。
画像信号変換回路40は、画像信号を各サブフィールド期間のそれぞれにおいて放電セルを発光または非発光させるための画像データに変換する。そして、特に、この変換処理において、画像信号変換回路40は、少なくともデータ電極駆動回路52の消費電力が所定の電力閾値より大きい場合、および温度が所定の温度閾値より大きい場合、画像信号をデータ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換する。この変換処理の詳細について、以下に説明する。
画像信号変換回路40は、上述のようにして生成した画像データをデータ電極駆動回路52に供給する。データ電極駆動回路52は、サブフィールドごとの画像データをデータ電極D1〜データ電極Dmにそれぞれ対応する信号に変換し、データ電極D1〜データ電極Dmをそれぞれ駆動する。
また、画像信号変換回路40により生成された画像データは、データ電極負荷算出回路60にも供給される。データ電極負荷算出回路60は、データ電極駆動回路52の各フィールドにおける負荷量を演算により算出する。
上述したように、データ電極32はデータ電極駆動回路52から見ると容量性の負荷であるから、データ電極32に印加する電圧が頻繁に変化すると、データ電極32のもつ容量を充放電するため負荷が重くなる。これによって、データ電極駆動回路52の消費電力が大きくなる。例えば、偶数番目の走査電極SCp(p=偶数)をもつ放電セルでは書込みパルス電圧を印加し、奇数番目の走査電極SC(p+1)をもつ放電セルでは書込みパルス電圧を印加しない場合には、対応するデータ電極Djには電圧0と電圧Vdとを交互に印加することとなり消費電力が大きくなってしまう。加えて、両隣のデータ電極D(j−1)、D(j+1)が逆位相で電圧0と電圧Vdとを交互に印加する場合にはさらに消費電力が大きくなる。
逆に、すべてのデータ電極32に書込みパルス電圧を印加しない場合には消費電力は最小となり、またすべてのデータ電極32に書込みパルス電圧を印加する場合も消費電力は小さい。通常の画像表示時においては、データ電極駆動回路52の消費電力は画像信号に応じて変動している。また、このような理由により、注目放電セルに対して各隣接放電セルの発光状態が反転したような市松模様の画像信号の場合、書込みパルス電圧の変化回数が増大し、これによりデータ電極駆動回路52の消費電力も増大する。
このような各放電セルの駆動状態と消費電力との関係に基づき、データ電極負荷算出回路60は、例えば、画像データの各サブフィールドにおける左右および上下放電セル間のデータの排他的論理和を演算し、これによって書込みパルス電圧の変化を検出してもよい。さらに、データ電極負荷算出回路60は、これら各演算結果の総和を求めることにより、書込みパルス電圧の変化回数を検出し、この変化回数に基づき、フィールド単位で推定されるデータ電極駆動回路52の負荷量を算出してもよい。データ電極負荷算出回路60は、このようにして算出した負荷量を負荷値として、温度算出回路61および電力算出回路62に通知する。
温度算出回路61は、データ電極負荷算出回路60により算出された負荷値に対してさらに演算処理を施すことにより、データ電極駆動回路52における温度を算出する。また、電力算出回路62は、データ電極負荷算出回路60により算出された負荷値に対してさらに演算処理を施すことにより、データ電極駆動回路52における消費電力を算出する。このようにして、温度算出回路61は、画像信号変換回路40から出力された画像データに基づいてデータ電極駆動回路52における温度を算出する。また、電力算出回路62は、画像信号変換回路40から出力された画像データに基づいてデータ電極駆動回路52における消費電力を算出する。
温度算出回路61は算出した温度を温度算出値TEとして、画像信号変換回路40に通知する。また、電力算出回路62は算出した消費電力を電力算出値PEとして、画像信号変換回路40に通知する。
画像信号変換回路40は、通知された温度算出値TEおよび電力算出値PEに基づき画像信号を変換制御するための変換制御データを生成し、変換制御データに基づくコーディングにより生成された画像データを出力する。
以上説明したような構成により、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、画像信号変換回路40から出力された画像データに基づき、電力算出回路62がデータ電極駆動回路52の消費電力を算出し、温度算出回路61がデータ電極駆動回路52の温度を算出する。さらに、画像信号変換回路40は、算出された消費電力および温度に基づく変換制御データを生成する。そして、画像信号変換回路40は、この変換制御データに基づき、少なくともデータ電極駆動回路52の算出した消費電力が所定の電力閾値超えた場合、またはデータ電極駆動回路52の算出した温度が所定の温度閾値を超えた場合、輝度重みの小さいサブフィールドで書込み動作を行わないコーディングに変更する。すなわち、画像信号変換回路40は、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換するように動作する。本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、このようなフィードバック処理を実行し、画像信号に応じて適応的に消費電力を制御している。
次に、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置において、適応的に消費電力を制御するためのより詳細な構成について説明する。図6は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の消費電力を制御するための回路構成要部の詳細な構成例を示す回路ブロック図である。ここでは、データ電極駆動回路52が複数の駆動用の集積回路である駆動部としてのICで構成されている。そして、データ電極駆動回路52は、ブロックごとに区分したパネル10のデータ電極32にそれぞれ対応する複数の駆動部を有しているような一例を挙げて説明する。図6では、データ電極駆動回路52に含まれるこのような駆動IC521が4つあり、駆動IC521ごとに消費電力および温度を算出するような一例を挙げている。
まず、図6に示すように、画像信号変換回路40は、第1画像変換部41、第2画像変換部42および変換制御データ生成部43を有している。第1画像変換部41は、供給された画像信号を図5Aで示したような所定のコーディングに従ってサブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データに変換する。また、第2画像変換部42は、所定のコーディングに従った画像データを、変換制御データ生成部43から通知される変換制御データに応じて、例えば、図5Bおよび図5Cで示したような輝度重みの小さいサブフィールドで書込み動作を行わないコーディングの画像データに変更する。また、第2画像変換部42は、このようにして生成した画像データを、ブロックごとに区分したパネル10のデータ電極32にそれぞれ接続された複数の各駆動IC521に供給する。なお、変換制御データ生成部43の詳細については以下で説明する。
次に、データ電極負荷算出回路60は、各フィールドにおける負荷量に対応した負荷値を駆動IC521ごとに算出する複数の負荷算出回路601を有している。負荷算出回路601は、上述したような排他的論理和演算およびその総和演算により、画像データの対応ブロックにおける左右および上下放電セル間の書込みパルス電圧の変化回数を検出し、駆動IC521ごとの負荷値として出力する。
次に、温度算出回路61は、負荷算出回路601から通知される負荷値を用いて駆動IC521ごとの温度を演算により判別する複数の累積演算器611と、各累積演算器611からの出力値のうち最大値を検出し出力する最大値検出器612とを有している。各累積演算器611は、各駆動IC521にそれぞれ対応して負荷値を累積演算することにより、対応する駆動IC521における温度の予測値を算出する。すなわち、本実施の形態では、負荷算出回路601で算出された負荷値が駆動IC521の消費電力に比例すると想定し、累積演算器611によりこのような消費電力に対応した負荷値を単位時間ごとに積分することで温度を判別している。より具体的には、累積演算器611は、例えば、放熱分を考慮した巡回型フィルタにより実現できる。すなわち、放熱分を0<α<1を満たす係数αとして設定し、フィールドごとに供給される負荷値に対し、現フィールドの負荷値とα倍した前フィールドの出力値とを加算するような構成とすることにより、駆動IC521における温度が予測できる。各累積演算器611は、このようにして判別した温度の判別値を最大値検出器612に通知する。最大値検出器612は、各累積演算器611から通知される温度の判別値のうち最大値を検出し、検出した最大値を温度算出値TEとして画像信号変換回路40に通知する。なお、温度算出回路61のように、駆動IC521ごとの温度を判別し、その最大値を求めるような構成としてもよい。すなわち、複数の駆動部の中で最も高い温度を算出するように構成してもよい。このような構成により、最も温度が上昇した駆動IC521を基準に各駆動IC521の温度上昇を抑制できることとなる。したがって、プラズマディスプレイ装置は、複数の駆動IC521がある場合でも、すべての駆動IC521を温度上昇による不具合から確実に保護することができる。
また、電力算出回路62は、負荷算出回路601から通知される負荷値の総和を求める加算器621を有している。すなわち、本実施の形態では、負荷算出回路601で算出された負荷値が駆動IC521の消費電力に比例すると想定し、加算器621によりこのような各負荷値の総和演算を行う。これにより、電力算出回路62は、すべての駆動IC521による消費電力、すなわち、複数の駆動部の消費総電力を算出する。電力算出回路62は、このようにして求めた各負荷値の総和を電力算出値PEとして画像信号変換回路40に通知する。
温度算出回路61からの温度算出値TEと電力算出回路62からの電力算出値PEとは、画像信号変換回路40の変換制御データ生成部43に通知される。変換制御データ生成部43は、温度算出値TEに応じてサブフィールドの数を決定する対象SF数決定回路44と、電力算出値PEに応じてサブフィールドの数を決定する対象SF数決定回路45と、対象SF数決定回路44および対象SF数決定回路45の出力値のうち最大値を検出し出力する最大値検出器433とを有している。なお、対象SF数決定回路44および対象SF数決定回路45が決定するサブフィールドの数は、書込み動作を行わないサブフィールドの数に対応している。また、変換制御データ生成部43は、所定の温度の値を示す温度閾値Tthと、所定の電力の値を示す電力閾値Pthとを記憶しており、対象SF数決定回路44には温度閾値Tthが通知され、対象SF数決定回路45には電力閾値Pthが通知される。
変換制御データ生成部43の対象SF数決定回路44は、通知された温度閾値Tthに基づき、温度算出値TEに応じて対象とするサブフィールドの数を決定し、温度算出値TEに対応した対象SF数Nteとして出力する。具体的には、対象SF数決定回路44には、温度算出値TEに対する1つ以上の温度閾値Tthが通知されている。そして、対象SF数決定回路44は、フィールドごとに通知される温度算出値TEと温度閾値Tthとを比較し、温度算出値TEが所定の温度を示す温度閾値Tthを超えたかどうかを判定する。対象SF数決定回路44は、この判定結果により対象とするサブフィールドの数を決定する。例えば、1番目の温度閾値と2番目の温度閾値を設け、温度算出値TEが1番目の温度閾値以下の場合には対象SF数Nteを「0」とし、温度算出値TEが1番目の温度閾値を超えかつ2番目の温度閾値以下の場合には対象SF数Nteを「1」とし、温度算出値TEが2番目の温度閾値を超えた場合には対象SF数Nteを「2」とする。
また、対象SF数決定回路45は、通知された電力閾値Pthに基づき、電力算出値PEに応じて対象とするサブフィールドの数を決定し、電力算出値PEに対応した対象SF数Npeとして出力する。具体的には、対象SF数決定回路44と同様に、対象SF数決定回路45には、電力算出値PEに対する1つ以上の電力閾値Pthが通知されている。そして、対象SF数決定回路45は、フィールドごとに通知される電力算出値PEと電力閾値Pthとを比較し、電力算出値PEが所定の電力を示す電力閾値Pthを超えたかどうかを判定する。対象SF数決定回路45は、この判定結果により対象とするサブフィールドの数を決定する。
また、最大値検出器433は、対象SF数決定回路44で決定された対象SF数Nteと対象SF数決定回路45で決定された対象SF数Npeとのうち大きいほうの数値を検出し、検出した数値を削減対象SF数Nsfとする。最大値検出器433は、このような削減対象SF数Nsfを変換制御データとして第2画像変換部42に通知する。変換制御データ生成部43は、このような構成により、温度に基づく対象SF数Nteと消費電力に基づく対象SF数Npeとのうち大きいほうの数を、輝度重みの最も小さいサブフィールドから順に書込み動作を行わないサブフィールドの数、すなわち削減対象とするSF数である削減対象SF数Nsfとし、削減対象SF数Nsfを示す変換制御データとして第2画像変換部42に通知する。
このようにして、第2画像変換部42は、通知された変換制御データが示すサブフィールド数、すなわち削減対象SF数Nsfに応じて、輝度重みの最も小さいサブフィールドから書込み動作を行わないサブフィールドの個数を設定する。そして、第2画像変換部42は、設定した書込み動作を行わないサブフィールドの個数に基づいて、図5Aに示したような所定のコーディングに従った画像データを、例えば、図5Bおよび図5Cで示したようなコーディングによる画像データ、すなわち、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させるような画像データに変更する。このように、画像信号変換回路40は、少なくとも1つのサブフィールドにおいてデータ電極駆動回路52の消費電力を減少させるような画像データに変更する。
以上、画像信号変換回路40の変換制御データ生成部43は、少なくともデータ電極駆動回路52の消費電力が所定の電力閾値を超えた場合、および温度が所定の温度閾値を超えた場合を判定して、生成した削減対象SF数Nsfを変換制御データとして第2画像変換部42に通知する。そして、第2画像変換部42は、このような変換制御データに基づいて、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換している。
図7A、7B、7C、7Dは、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の電力算出値PEおよび温度算出値TEに基づき変換制御データを生成する動作例を示した図である。以下、図7A、7B、7C、7Dを参照しながら、図6で示したような構成により、画像信号に応じて適応的にデータ電極駆動回路52の消費電力を制御する動作について説明する。なお、ここでは、全サブフィールドの個数を10とし、削減対象のサブフィールドの個数を1から8まで変更可能とするような一例を挙げて説明する。すなわち、サブフィールドとして図5Aに示したような第1SF〜第10SFのサブフィールドを設定し、変換制御データに応じて、図5Bに示したような輝度重みの最も小さい第1SFで書込み動作を行わないコーディングから、第1SF〜第8SFの書込み動作を行わないコーディングまでの変更制御が行われる。具体的には、変換制御データにおいて、削減対象SF数Nsfが「0」のときには全サブフィールドを書込み動作の対象とするとともに、削減対象SF数Nsfが「1」のとき第1SFを削減対象とし、順次削減対象SF数Nsfの増加に伴って、削減対象SF数Nsfが「8」のとき第1SF〜第8SFを削減対象とするような一例を挙げる。
図7Aは、通常の画像信号と市松模様の画像のようにデータ電極駆動回路52における消費電力が大きくなるような画像信号とを切り替えて入力したとき、電力算出値PEおよび温度算出値TEの変化を表した一例を示している。図7Aでは、時刻t1まで通常の画像信号を入力し、その後、時刻t1から時刻t4までの間、市松模様の画像信号を入力し、時刻t4以降通常の画像信号に戻したような場合を示している。
また、図7Aでは、対象SF数決定回路44が温度算出値TEに対する対象SF数Nteを決定するための温度最大閾値Tth_maxおよび温度最小閾値Tth_minと、対象SF数決定回路45が電力算出値PEに対する対象SF数Npeを決定するための電力最大閾値Pth_maxおよび電力最小閾値Pth_minとを示している。すなわち、ここでは削減対象のサブフィールドの個数を「8」とするような一例を挙げており、これに従って、変換制御データ生成部43では、異なった8つの値の温度閾値Tthおよび異なった8つの値の電力閾値Pthが記憶されている。この個数に従って、対象SF数決定回路44は、温度算出値TEが温度最小閾値Tth_min以下の場合には対象SF数Nteを「0」とし、温度算出値TEが温度最小閾値Tth_minを超えかつ次に小さい閾値以下の場合には対象SF数Nteを「1」として出力する。そして、対象SF数決定回路44は、順次各閾値に従って対象SF数Nteを増加させるとともに、温度算出値TEが温度最大閾値Tth_maxを超えた場合には対象SF数Nteを「8」として出力する。同様に、対象SF数決定回路45は、電力算出値PEが電力最小閾値Pth_min以下の場合には対象SF数Npeを「0」とし、電力算出値PEが電力最小閾値Pth_minを超えかつ次に小さい閾値以下の場合には対象SF数Npeを「1」として出力する。そして、対象SF数決定回路45は、順次各閾値に従って対象SF数Npeを増加させるとともに、電力算出値PEが電力最大閾値Pth_maxを超えた場合には対象SF数Npeを「8」として出力する。
また、図7Bは、図7Aに示す電力算出値PEに基づいて対象SF数決定回路45が決定した対象SF数Npeを示している。また、図7Cは、図7Aに示す温度算出値TEに基づいて対象SF数決定回路44が決定した対象SF数Nteを示している。また、図7Dは、対象SF数Npeと対象SF数Nteとのうち最大値検出器433が検出した大きいほうの数である削減対象SF数Nsfを示している。
まず、図7A、7B、7C、7Dにおいて時刻t1までの期間では、通常の画像信号が入力されているため、隣接放電セル間での発光状態の関係はランダムとなる。このため、各駆動IC521の消費電力は極端に増加せず、また、各負荷算出回路601が検出する隣接放電セル間の書込みパルス電圧の変化回数も極端に増加しないため、各負荷算出回路601から出力された負荷値も、例えば平均的な負荷値となる。
このため、図7Aに示すように、電力算出回路62から出力される電力算出値PEは、対象SF数決定回路45における電力最小閾値Pth_min以下となる。その結果、図7Bに示すように、時刻t1までの期間では、対象SF数決定回路45は、対象SF数Npeを「0」として出力する。同様に、温度算出回路61から出力される温度算出値TEは、対象SF数決定回路44における温度最小閾値Tth_min以下となる。その結果、図7Cに示すように、時刻t1までの期間では、対象SF数決定回路44も、対象SF数Nteを「0」として出力する。最大値検出器433は、時刻t1までの期間では、対象SF数Npeおよび対象SF数Nteのいずれもが「0」であり等しくなるため、このような場合には、最大値検出器433は、対象SF数Npeおよび対象SF数Nteのいずれか一方の値を選択し、図7Dに示すように削減対象SF数Nsfを「0」とするような変換制御データを出力する。
第2画像変換部42は、このような削減対象SF数Nsfを「0」とする変換制御データを受け取り、これに基づいて全サブフィールドを書込み動作の対象とする。すなわち、第2画像変換部42は、削減対象SF数Nsfが「0」の場合、第1画像変換部41により図5Aで示したような所定のコーディングに従って生成された画像データを変更せず、ブロックごとにデータ電極駆動回路52の各駆動IC521に供給する。本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、このように通常の画像信号が供給されているような場合には、上述したような動作を実行することにより、設定されたすべてのサブフィールドを用いて表示処理を行う。
次に、図7A、7B、7C、7Dに示す時刻t1から時刻t4までの期間において、隣接放電セル間での発光状態の関係が反転関係となるような市松模様の画像信号が入力される場合について説明する。このような画像信号が入力されると、上述したように、書込みパルス電圧の変化回数が増大し、これにより各駆動IC521の消費電力も増大する。また、各負荷算出回路601は、このように増大した変化回数を検出するため、各負荷算出回路601からそれぞれ出力される負荷値も急激に増大する。このため、図7Aに示すように、時刻t1から時刻t2にかけて、電力算出回路62から出力される電力算出値PEも急激に増大し、対象SF数決定回路45における電力最大閾値Pth_maxを超すこととなる。その結果、図7Bに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、対象SF数決定回路45は、順に「1」「3」「8」とするような値の対象SF数Npeを出力する。
一方、温度算出回路61における各累積演算器611は負荷算出回路601から出力された負荷値をそれぞれ累積演算するため、図7Aに示すように、温度算出値TEは、時刻t1以降において急激には増大せずゆっくりと増加していく。このため、図7Cに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、対象SF数決定回路44は、「0」とするような値の対象SF数Nteを出力する。
最大値検出器433は対象SF数Npeと対象SF数Nteとの大きいほうの数を検出する。したがって、図7Dに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、最大値検出器433は、対象SF数Npeを選択し、順に「1」「3」「8」とするような削減対象SF数Nsfを示す変換制御データを出力する。第2画像変換部42は、このような削減対象SF数Nsfを順に「1」「3」「8」とする変換制御データを受け取るため、削減対象SF数Nsfに基づくサブフィールド数だけ書込み動作を停止するような画像データに変更する。すなわち、第2画像変換部42は、削減対象SF数Nsfが「1」の場合、第1SFを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを第1SFの書込み動作を行わないコーディングに変更した画像データに変換する。同様に、削減対象SF数Nsfが「3」の場合、第1SFから第3SFまでを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを第1SF〜第3SFの書込み動作を行わないコーディングに変更した画像データに変換する。また、削減対象SF数Nsfが「8」の場合、第2画像変換部42は、第1SFから第8SFまでを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを第1SF〜第8SFの書込み動作を行わないコーディングに変更した画像データに変換する。このように、消費電力が急激に増大するような画像信号が入力された場合、電力算出回路62を経由するようなフィードバック制御により急激に増大する消費電力に応答して、第2画像変換部42は、消費電力を急速に減少させるような画像データに変更する。
図7Aに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、このような電力算出回路62を経由したフィードバック制御により、第1SFから第8SFまでを削減対象とし、消費電力を急速に減少させるような画像データに変更したため、一旦急上昇した各駆動IC521の消費電力は、時刻t2あたりから減少するように動作する。すなわち、時刻t2から時刻t3までにかけても、このような電力算出回路62を経由したフィードバック制御の動作が継続し、各駆動IC521の消費電力、また、これに伴って電力算出値PEも徐々に減少し、対象SF数Npeも図7Bに示すように「6」「5」というように徐々に減少する。
一方、時刻t1からの画像信号の変更に伴う消費電力の増加により、時刻t2あたりから各駆動IC521の温度は徐々に増加し、これに伴って温度算出値TEも徐々に増加する。このため、図7Aに示すように、温度算出値TEが対象SF数決定回路45における温度最小閾値Tth_minを超すこととなる。これにより、図7Cに示すように、時刻t2から時刻t3までの期間の中ごろから、対象SF数決定回路44は、順に「1」「2」「3」とするような値の対象SF数Nteを出力する。
時刻t2から時刻t3までの期間において、対象SF数Npeと対象SF数Nteとを比較すると、図7B、7Cに示すように、この期間ではまだ対象SF数Npeのほうが大きい。このため、最大値検出器433は、時刻t2から時刻t3までの期間でも、大きいほうの数である対象SF数Npeを選択し、図7Dに示すように、順に「6」「5」「4」とするような削減対象SF数Nsfを示す変換制御データを出力する。さらに、第2画像変換部42は、このような削減対象SF数Nsfに応じて対象のサブフィールドの書き込みを止めた画像データを出力する。このように、消費電力が急激に増大するような画像信号が入力された後も、時刻t2から時刻t3までの期間のように、電力算出回路62を経由するようなフィードバック制御により、各駆動IC521の消費電力を徐々に減少させるような動作が実行される。
また、時刻t3から時刻t4までの期間において、上述のようなフィードバック制御により、各駆動IC521の消費電力、電力算出値PEおよび対象SF数Npeはほぼ一定の値へと安定していく。一方、各駆動IC521の温度は、時刻t1からの消費電力の増加により、時刻t3以降においてもしばらくの期間、徐々に増加し続ける。これに伴って、温度算出値TEおよび対象SF数Nteも徐々に増加する。このため、図7B、7Cに示すように、時刻t3以降においては、対象SF数Npeに比べて対象SF数Nteのほうが大きくなり、最大値検出器433は、対象SF数Nteを選択し、図7Dに示すように、順に「5」「6」「5」とするような削減対象SF数Nsfを示す変換制御データを出力する。
さらに、第2画像変換部42は、このような削減対象SF数Nsfに応じて対象のサブフィールドの書き込みを止めた画像データを出力する。このように、消費電力を増加させるような画像信号が入力された後、ある時間が経過すると、温度算出回路61を経由するようなフィードバック制御に移行し、各駆動IC521の消費電力とともに温度の上昇を抑制するような動作が実行される。なお、変換制御データ生成部43のように、最大値検出器433により、消費電力に基づく対象SF数Npeと温度に基づく対象SF数Nteとのうち大きいほうの値を求めるような構成とすることにより、消費電力と温度との少なくともいずれかを基準に各駆動IC521の消費電力を抑制できるとともに、簡易な構成で消費電力および温度それぞれのフィードバック制御を切り替えることができる。
以上、時刻t1から時刻t4までの期間のように、データ電極駆動回路52における消費電力が大きくなるような画像信号が入力されたとき、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、まず、電力算出回路62を経由した消費電力を抑制するようなフィードバック制御により、消費電力の増加に即座に応答して、消費電力を急速に減少させるように動作する。そして、プラズマディスプレイ装置は、この後、温度算出回路61を経由した温度の上昇を抑制するようなフィードバック制御により、徐々に増加する温度に応答して、消費電力とともに温度の上昇を抑制するように動作する。このため、消費電力が大きくなるような画像信号が入力されたときなど、例えば、温度フィードバック制御によりデータ電極駆動回路の温度を下げるような手法に比べて、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、即座に消費電力を抑制し、これによって温度上昇に対しても抑制していくこととなる。
また、時刻t4において通常の画像に切り替わると、書込みパルス電圧の変化回数が減少するため、各負荷算出回路601からそれぞれ出力される負荷値も減少する。これに伴って、電力算出値PEおよび対象SF数Npeも減少し、また、温度算出値TEおよび対象SF数Nteもゆっくりと減少する。この後、変換制御データにおいて削減対象SF数Nsfが「0」になるまで減少すると、画像信号変換回路40は、図5Aで示したような所定のコーディングに従った画像データをブロックごとにデータ電極駆動回路52の各駆動IC521に供給し、パネル10からは、サブフィールドの書き込みを止めない所定のコーディングに従った画像が表示される。なお、上述のようにデータ電極駆動回路52の消費電力が小さくなるようにコーディングを変更すると表示可能な輝度の数が減少する。しかし、データ電極駆動回路52の消費電力が大きくなるような画像信号は、画素ごとにまたは狭い領域ごとに輝度が大きく変わるような画像であるから、表示する輝度の数をある程度減らしても視覚的に認知されることは殆どない。
以上説明したように、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、画像データに基づいてデータ電極駆動回路52の消費電力を算出する電力算出回路62と、画像データに基づいてデータ電極駆動回路52の温度を算出する温度算出回路61とを備えている。そして、画像信号変換回路40は、算出した消費電力が所定の電力閾値を超えたか、算出した温度が所定の温度閾値を超えたとき、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換する。
このような構成により、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、消費電力が大きくなるような画像信号が入力されたときなど、まず、消費電力を抑制するような電力算出回路62を経由したフィードバック制御により、消費電力を急速に減少させる。そして、プラズマディスプレイ装置は、この後、温度算出回路61を経由した温度の上昇を抑制するようなフィードバック制御により、消費電力とともに温度の上昇を抑制する。したがって、本発明のプラズマディスプレイ装置によれば、消費電力の急速な上昇などに対して即時に対応できるとともに、データ電極駆動回路が誤動作することなく、安定した動作で画像表示を行うことが可能なプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、パネル10、画像信号変換回路400、データ電極駆動回路52、走査電極駆動回路53、維持電極駆動回路54、タイミング発生回路55、データ電極負荷算出回路60、温度算出部としての温度算出回路61、電力算出部としての電力算出回路62、温度変化検出部としての温度変化検出回路63、電力変化検出部としての電力変化検出回路64および各回路ブロックに必要な電力を供給する電源回路(図示せず)を備えている。なお、図8において、図4と同一の符号を付した構成要素は、図4と同一の機能を有しており、詳細な説明は省略する。
図8において、画像信号変換回路400は、実施の形態1における画像信号変換回路40と同様に、入力された画像信号をサブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データに変換する。また、画像信号変換回路400は、実施の形態1と同様の変換制御データに基づきコーディングを変更する。すなわち、画像信号変換回路400は、画像信号を各サブフィールド期間のそれぞれにおいて放電セルを発光または非発光させるための画像データに変換する回路である。特に、この変換処理において、画像信号変換回路400は、少なくともデータ電極駆動回路52の消費電力が所定の電力閾値より大きい場合、および温度が所定の温度閾値より大きい場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換する。
画像信号変換回路400は、以上のようにして生成した画像データをデータ電極駆動回路52に供給する。データ電極駆動回路52は、このサブフィールドごとの画像データをデータ電極D1〜データ電極Dmにそれぞれ対応する信号に変換し、データ電極D1〜データ電極Dmをそれぞれ駆動する。
また、画像信号変換回路400により生成された画像データは、データ電極負荷算出回路60にも供給される。データ電極負荷算出回路60は、データ電極駆動回路52の各フィールドにおける負荷量を演算により算出する。
温度算出回路61は、データ電極負荷算出回路60により算出された負荷値に対してさらに演算処理を施すことにより、データ電極駆動回路52における温度を算出する。また、電力算出回路62は、データ電極負荷算出回路60により算出された負荷値に対してさらに演算処理を施すことにより、データ電極駆動回路52における消費電力を算出する。このようにして、温度算出回路61は、画像信号変換回路400から出力された画像データに基づいてデータ電極駆動回路52における温度を算出し、電力算出回路62は、画像信号変換回路400から出力された画像データに基づいてデータ電極駆動回路52における消費電力を算出する。
温度算出回路61は算出した温度を温度算出値TEとして、画像信号変換回路400と温度変化検出回路63とに通知する。また、電力算出回路62は算出した消費電力を電力算出値PEとして、画像信号変換回路400と電力変化検出回路64とに通知する。
温度変化検出回路63は、通知される温度算出値TEに基づき、温度算出値TEが上昇したか下降したかを示す温度変化方向をフィールドごとに検出し、温度変化方向信号Swtとして画像信号変換回路400に通知する。また、電力変化検出回路64は、通知される電力算出値PEに基づき、電力算出値PEが上昇したか下降したかを示す電力変化方向をフィールドごとに検出し、電力変化方向信号Swpとして画像信号変換回路400に通知する。詳細については以下で説明するが、データ電極駆動回路52における消費電力を制御するため、画像信号変換回路400は、温度変化方向信号Swtに応じて変更する温度閾値に比べて温度算出値TEが大きいかどうかの判定とともに、電力変化方向信号Swpに応じて変更する電力閾値に比べて電力算出値PEが大きいかどうかの判定に基づき、上述したような変換制御データを生成する。
すなわち、画像信号変換回路400は、温度閾値として第1の温度閾値とこの第1の温度閾値よりも小さい第2の温度閾値、および電力閾値として第1の電力閾値と第1の電力閾値よりも小さい第2の電力閾値を有している。そして、画像信号変換回路400は、これらの閾値に基づき、温度算出値TEや電力算出値PEがこれらの閾値を超えたか、あるいは以下になったかを判定し、この判定に基づき変換制御データを生成する。このように、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、温度算出値TEが単位時間あたりに上昇するか下降するかの温度変化方向を検出する温度変化検出回路63と、電力算出値PEが単位時間あたりに上昇するか下降するかの電力変化方向を検出する電力変化検出回路64とを備えている。そして、画像信号変換回路400は、少なくとも電力算出値PEが第1の電力閾値を超えた場合、または温度算出値が第1の温度閾値を超えた場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換するような構成としたことを特徴としている。また、画像信号変換回路400は、少なくとも電力算出値PEが第2の電力閾値以下となった場合、または温度算出値TEが第2の温度閾値以下となった場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を増加させる画像データに変換するような構成としたことを特徴としている。
なお、本実施の形態では、プラズマディスプレイ装置が温度変化検出回路63と電力変化検出回路64とのそれぞれを備えた構成例を挙げて説明する。しかし、プラズマディスプレイ装置が、温度変化検出回路63および電力変化検出回路64のいずれか一方を備え、対応する温度あるいは電力の閾値を変化方向に応じて変更するような構成であってもよい。すなわち、プラズマディスプレイ装置は、少なくとも電力算出値PEが所定の電力閾値を超えた場合、または温度算出値が第1の温度閾値を超えた場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換するような構成としてもよい。また、プラズマディスプレイ装置は、少なくとも電力算出値PEが上記所定の電力閾値以下となった場合、または温度算出値TEが第2の温度閾値以下となった場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を増加させる画像データに変換するような構成としてもよい。または、プラズマディスプレイ装置は、少なくとも電力算出値PEが第1の電力閾値を超えた場合、または温度算出値が所定の温度閾値を超えた場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換するような構成としてもよい。また、プラズマディスプレイ装置は、少なくとも電力算出値PEが第2の電力閾値以下となった場合、または温度算出値TEが上記所定の温度閾値以下となったとき、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を増加させる画像データに変換するような構成であってもよい。また、本実施の形態では、プラズマディスプレイ装置は、温度変化検出回路63および電力変化検出回路64がフィールドごとの変化を検出するような構成として説明するが、例えば数フィールドごとの変化を検出するような構成であってもよく、単位時間あたりの温度や電力の上昇か下降かを検出するような構成であればよい。
画像信号変換回路400は、以上のように通知された温度算出値TE、温度変化方向信号Swt、電力算出値PEおよび電力変化方向信号Swpに基づき画像信号を変換制御するための変換制御データを生成し、変換制御データに基づくコーディングにより生成された画像データを出力する。
以上説明したような構成により、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、画像信号変換回路400から出力された画像データに基づき、電力算出回路62がデータ電極駆動回路52の消費電力を算出し、温度算出回路61がデータ電極駆動回路52の温度を算出する。また、温度変化検出回路63が単位時間あたりの温度変化方向を検出し、電力変化検出回路64が単位時間あたりの電力変化方向を検出する。さらに、画像信号変換回路400は、温度変化方向に応じた温度閾値および電力変化方向に応じた電力閾値を利用して、算出された消費電力および温度に基づく変換制御データを生成する。この変換制御データに基づきデータ電極駆動回路52の消費電力および温度の少なくともいずれかが大きくなったと判定すると、輝度重みの小さいサブフィールドで書込み動作を行わないコーディングに変更する。本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、このようなフィードバック処理を実行し、このようにして、画像信号に応じて適応的に消費電力を制御している。
次に、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置において、適応的に消費電力を制御するためのより詳細な構成について説明する。図9は、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置の消費電力を制御するための回路構成要部の詳細な構成例を示す回路ブロック図である。ここでも、実施の形態1と同様に、データ電極駆動回路52が複数の駆動用の集積回路である駆動部としてのICで構成されている。そして、データ電極駆動回路52は、ブロックごとに区分したパネル10のデータ電極32にそれぞれ対応する複数の駆動部を有しているような一例を挙げて説明する。図9では、データ電極駆動回路52に含まれるこのような駆動IC521が4つあり、駆動IC521ごとに消費電力および温度を算出するような一例を挙げている。なお、図9において、図6と同一の符号を付した構成要素は、図6と同一の機能を有しており、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、画像信号変換回路400は、第1画像変換部41、第2画像変換部42および変換制御データ生成部46を有している。第1画像変換部41は、供給された画像信号を所定のコーディングに従ってサブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データに変換する。また、第2画像変換部42は、所定のコーディングに従った画像データを、変換制御データ生成部46から通知される変換制御データに応じて、輝度重みの小さいサブフィールドで書込み動作を行わないコーディングの画像データに変更する。また、変換制御データ生成部46は、このような変更制御するための変換制御データを生成する。
また、図9において、温度変化検出回路63は、温度算出回路61から通知される温度算出値TEに対し、例えば、現在の温度算出値TEと1フィールド前に通知された温度算出値TEとを比較する。そして、温度変化検出回路63は、この比較によって温度算出値TEが上昇したかあるいは下降したかを判定する。また、温度変化検出回路63は、このようにして判定した結果を温度変化方向信号Swtとして画像信号変換回路400に通知する。また、電力変化検出回路64は、電力算出回路62から通知される電力算出値PEに対し、例えば、現在の電力算出値PEと1フィールド前に通知された電力算出値PEとを比較する。そして、電力変化検出回路64は、この比較によって電力算出値PEが上昇したかあるいは下降したかを判定する。また、電力変化検出回路64は、このようにして判定した結果を電力変化方向信号Swpとして画像信号変換回路400に通知する。
温度算出回路61からの温度算出値TE、温度変化検出回路63からの温度変化方向信号Swt、電力算出回路62からの電力算出値PEおよび電力変化検出回路64からの電力変化方向信号Swpは、画像信号変換回路400の変換制御データ生成部46に通知される。変換制御データ生成部46は、温度算出値TEに応じたサブフィールドの数を決定する対象SF数決定回路47と、電力算出値PEに応じたサブフィールドの数を決定する対象SF数決定回路48と、対象SF数決定回路47および対象SF数決定回路48の出力値のうち最大値を検出し出力する最大値検出器433とを有している。なお、対象SF数決定回路47および対象SF数決定回路48が決定するサブフィールドの数は、書込み動作を行わないサブフィールドの数に対応している。
また、変換制御データ生成部46は、所定の温度の値を示す第1の温度閾値としての温度閾値Tthuおよび第2の温度閾値としての温度閾値Tthdと、所定の電力の値を示す第1の電力閾値としての電力閾値Pthuおよび第2の電力閾値としての電力閾値Pthdとを記憶している。対象SF数決定回路47には温度閾値Tthuおよび温度閾値Tthdが通知される。温度閾値Tthuおよび温度閾値Tthdは、温度算出値TEによる温度の変化方向に応じていずれかの値を選択するために設けた温度閾値である。温度閾値Tthuは温度が上昇したときに選択され、温度閾値Tthdは温度が下降したときに選択される。また、温度閾値Tthdに比べて、温度閾値Tthuがより大きな値となるように設定している。一方、対象SF数決定回路48には電力閾値Pthuおよび電力閾値Pthdが通知される。電力閾値Pthuおよび電力閾値Pthdは、電力算出値PEによる電力の変化方向に応じていずれかの値を選択するために設けた電力閾値である。電力閾値Pthuは電力が上昇したときに選択され、電力閾値Pthdは電力が下降したときに選択される。また、電力閾値Pthdに比べて、電力閾値Pthuがより大きな値となるように設定している。
変換制御データ生成部46の対象SF数決定回路47は、まず、通知された温度変化方向信号Swtに応じて、温度閾値Tthuおよび温度閾値Tthdのいずれかを選択する。対象SF数決定回路47は、温度変化方向信号Swtにより、温度算出値TEが上昇したと通知されたときには温度閾値Tthuを選択し、温度算出値TEが下降したと通知されたときには温度閾値Tthdを選択する。
次に、対象SF数決定回路47は、選択された閾値である温度閾値Tthに基づき、対象とするサブフィールドの数を決定し、対象SF数Nteとして出力する。すなわち、対象SF数決定回路47は、温度算出値TEに応じたサブフィールドの数である対象SF数Nteを決定する場合、温度の変化方向に応じて温度算出値TEと対象SF数Nteとの対応関係が異なるようなヒステリシス特性を有した判定方法に基づき、対象SF数Nteを決定している。具体的には、対象SF数決定回路47には、温度算出値TEに対する1つ以上の組み合わせとなる温度閾値Tthuおよび温度閾値Tthdが通知されている。そして、対象SF数決定回路47は、フィールドごとに通知される温度算出値TEと、温度の変化方向に応じた値の温度閾値Tthとを比較し、温度算出値TEが所定の温度を示す温度閾値Tthを超えているかどうかを判定する。対象SF数決定回路47は、この判定結果により対象とするサブフィールドの数を決定する。
図10Aは、本発明の実施の形態2における対象SF数Nteを決定するために設定した温度閾値Tthuおよび温度閾値Tthdの一例を示す図である。ここでは、対象SF数Nteの個数を0から8まで変更するような一例を挙げている。また、これに伴って、8つの組み合わせとなる温度閾値Tthuおよび温度閾値Tthdを設定している。図10Aにおいて、実線は、温度上昇に対応した温度閾値Tthuを示しており、その中で最も値の小さい温度最小閾値Tthu_minから最も値の大きい温度最大閾値Tthu_maxまでの8段階の閾値を示している。また、破線は、温度下降に対応した温度閾値Tthdを示しており、その中で最も値の小さい温度最小閾値Tthd_minから最も値の大きい温度最大閾値Tthd_maxまでの8段階の閾値を示している。
このような温度閾値に対して、例えば、温度算出値TEが上昇していく場合、対象SF数決定回路47は、まず、温度算出値TEが温度閾値Tthu_min以下のときには、対象SF数Nteとして「0」を出力する。そして、温度算出値TEの上昇に伴い、温度算出値TEが温度閾値Tthu_minを超えると、対象SF数決定回路47は、次に対象SF数Nteとして「1」を出力する。対象SF数決定回路47は、同様にして順次温度算出値TEの上昇に伴って、図10Aに示す設定の温度閾値Tthuに対応する対象SF数Nteを出力する。
一方、例えば、温度算出値TEが下降していくような場合、対象SF数決定回路47は、まず、温度算出値TEが温度閾値Tthd_maxを超えているときには、対象SF数Nteとして「8」を出力する。そして、温度算出値TEの下降に伴い、温度算出値TEが温度閾値Tthd_max以下となると、対象SF数決定回路47は、次に対象SF数Nteとして「7」を出力する。対象SF数決定回路47は、同様にして順次温度算出値TEの下降に伴って、図10Aに示す設定の温度閾値Tthdに対応する対象SF数Nteを出力する。
また、対象SF数決定回路48は、まず、通知された電力変化方向信号Swpに応じて、電力閾値Pthuおよび電力閾値Pthdのいずれかを選択する。対象SF数決定回路48は、電力変化方向信号Swpにより、電力算出値PEが上昇したと通知されたときには電力閾値Pthuを選択する。また、対象SF数決定回路48は、電力算出値PEが下降したと通知されたときには電力閾値Pthdを選択する。
次に、対象SF数決定回路48は、選択された閾値である電力閾値Pthに基づき、対象とするサブフィールドの数を決定し、対象SF数Npeとして出力する。すなわち、対象SF数決定回路48は、電力算出値PEの変化方向に応じたヒステリシス特性を有しており、電力算出値PEの変化方向およびその値に対応した対象SF数Npeを出力する。具体的には、対象SF数決定回路47と同様に、対象SF数決定回路48には、電力算出値PEに対する1つ以上の組み合わせとなる電力閾値Pthuおよび電力閾値Pthdが通知されている。対象SF数決定回路48は、フィールドごとに通知される電力算出値PEと電力の変化方向に応じた値の電力閾値Pthとを比較し、電力算出値PEが所定の電力を示す電力閾値Pthを超えているかどうかを判定する。対象SF数決定回路48は、この判定結果により対象とするサブフィールドの数を決定する。
図10Bは、本発明の実施の形態2における対象とするサブフィールドの数である対象SF数Npeを決定するために設定した電力閾値Pthuおよび電力閾値Pthdの一例を示す図である。ここでも、対象SF数Nteと同様に、対象SF数Npeの個数を0から8まで変更するような一例を挙げている。また、これに伴って、8つの組み合わせとなる電力閾値Pthuおよび電力閾値Pthdを設定している。図10Bにおいて、実線は、電力上昇に対応した電力閾値Pthuを示しており、その中で最も値の小さい電力最小閾値Pthu_minから最も値の大きい電力最大閾値Pthu_maxまでの8段階の閾値を示している。また、破線は、電力下降に対応した電力閾値Pthdを示しており、その中で最も値の小さい電力最小閾値Pthd_minから最も値の大きい電力最大閾値Pthd_maxまでの8段階の閾値を示している。
このような電力閾値に対しても、対象SF数決定回路47と同様に、対象SF数決定回路48は、順次電力算出値PEの上昇に伴って、図10Bに示す設定の電力閾値Pthuに対応する対象SF数Npeを出力する。また、対象SF数決定回路48は、順次電力算出値PEの下降に伴って、図10Bに示す設定の電力閾値Pthdに対応する対象SF数Npeを出力する。
また、最大値検出器433は、対象SF数決定回路47で決定された対象SF数Nteと対象SF数決定回路48で決定された対象SF数Npeとのうち大きいほうの数値を検出し、検出した数値を削減対象SF数Nsfとする。最大値検出器433は、この削減対象SF数Nsfを変換制御データとして第2画像変換部42に通知する。変換制御データ生成部46は、このような構成により、温度に基づく対象SF数Nteと消費電力に基づく対象SF数Npeとのうち大きいほうの数を、輝度重みの最も小さいサブフィールドから順に書込み動作を行わないサブフィールドの数、すなわち削減対象とするSF数である削減対象SF数Nsfとする。そして、変換制御データ生成部46は、変換制御データとして削減対象SF数Nsfを第2画像変換部42に通知する。
このようにして、第2画像変換部42は、通知された変換制御データが示すサブフィールド数、すなわち削減対象SF数Nsfに応じて、輝度重みの最も小さいサブフィールドから書込み動作を行わないサブフィールドの個数を設定する。そして、図5Aに示したような所定のコーディングに従った画像データを、例えば、図5Bおよび図5Cで示したようなコーディングによる画像データ、すなわち、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させるような画像データに変更する。
以上、画像信号変換回路400の変換制御データ生成部46は、少なくともデータ電極駆動回路52の消費電力が電力変化方向に応じた所定の電力閾値を超えた場合あるいは以下になった場合、または温度が温度変化方向に応じた所定の温度閾値を超えた場合あるいは以下になった場合の判定により生成した削減対象SF数Nsfを変換制御データとして第2画像変換部42に通知する。そして、第2画像変換部42は、この変換制御データに基づいて、データ電極駆動回路52の消費電力を減少あるいは増加させる画像データに変換している。
図11A、11B、11C、11Dは、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置の電力算出値PEおよび温度算出値TEに基づき変換制御データを生成する動作例を示した図である。以下、図11A、11B、11C、11Dを参照しながら、図9で示した構成により、画像信号に応じて適応的にデータ電極駆動回路52の消費電力を制御する動作について説明する。なお、ここでも、図7A、7B、7C、7Dの場合と同様に、全サブフィールドの個数を10とし、削減対象のサブフィールドの個数を1から8まで変更可能とするような一例を挙げて説明する。
すなわち、サブフィールドとして図5Aに示したような第1SF〜第10SFのサブフィールドを設定し、変換制御データに応じて、図5Bに示した輝度重みの最も小さい第1SFで書込み動作を行わないコーディングから、第1SF〜第8SFの書込み動作を行わないコーディングまでの変更制御が行われる。具体的には、変換制御データにおいて、削減対象SF数Nsfが「0」のときには全サブフィールドを書込み動作の対象とするとともに、削減対象SF数Nsfが「1」のとき第1SFを削減対象とする。そして、順次削減対象SF数Nsfの増加に伴って、削減対象SF数Nsfが「8」のとき第1SF〜第8SFを削減対象とするような一例を挙げる。また、この削減対象SF数Nsfは、図10Aで示した対象SF数Nteの温度算出値TEに対する特性、および図10Bで示した対象SF数Npeの電力算出値PEに対する特性に基づき決定されるとして説明する。
図11Aは、通常の画像信号と市松模様の画像のようにデータ電極駆動回路52における消費電力が大きくなるような画像信号とを切り替えて入力したとき、電力算出値PEおよび温度算出値TEの変化を表した一例を示している。図11Aでは、時刻t1まで通常の画像信号を入力し、その後、時刻t1から時刻t4までの間、市松模様の画像信号を入力し、時刻t4以降通常の画像信号に戻した場合を示している。
また、図11Aでは、対象SF数決定回路47が温度算出値TEに対する対象SF数Nteを決定する温度最大閾値Tthu_maxおよび温度最小閾値Tthu_minと、温度最大閾値Tthd_maxおよび温度最小閾値Tthd_minとを示している。なお、温度最大閾値Tthu_maxおよび温度最小閾値Tthu_minは温度の上昇する方向に対応し、温度最大閾値Tthd_maxおよび温度最小閾値Tthd_minは温度の下降する方向に対応している。さらに、図11Aでは、対象SF数決定回路48が電力算出値PEに対する対象SF数Npeを決定する電力最大閾値Pthu_maxおよび電力最小閾値Pthu_minと、電力最大閾値Pthd_maxおよび電力最小閾値Pthd_minとを示している。なお、電力最大閾値Pthu_maxおよび電力最小閾値Pthu_minは電力の上昇する方向に対応し、電力最大閾値Pthd_maxおよび電力最小閾値Pthd_minは電力の下降する方向に対応している。
すなわち、ここでは削減対象のサブフィールドの個数を「8」とするような一例を挙げている。これに従って、変換制御データ生成部46では、図10Aに示すような温度閾値Tthおよび図10Bに示すような電力閾値Pthが記憶されている。この個数に従って、例えば、温度が上昇している場合、対象SF数決定回路47は、温度算出値TEが温度最小閾値Tthu_min以下の場合には対象SF数Nteを「0」とし、温度算出値TEが温度最小閾値Tthu_minを超え、かつ次に小さい閾値以下の場合には対象SF数Nteを「1」とする。そして、対象SF数決定回路47は、順次各閾値に従って対象SF数Nteを増加させるとともに、温度算出値TEが温度最大閾値Tthu_maxを超えた場合には対象SF数Nteを「8」として出力する。同様に、例えば、電力が上昇している場合、対象SF数決定回路48は、電力算出値PEが電力最小閾値Pthu_min以下の場合には対象SF数Npeを「0」とし、電力算出値PEが電力最小閾値Pthu_minを超えかつ次に小さい閾値以下の場合には対象SF数Npeを「1」とする。そして、対象SF数決定回路48は、順次各閾値に従って対象SF数Npeを増加させるとともに、電力算出値PEが電力最大閾値Pthu_maxを超えた場合には対象SF数Npeを「8」として出力する。
また、図11Bは、図11Aに示す電力算出値PEに基づいて対象SF数決定回路48が決定した対象SF数Npeを示している。また、図11Cは、図11Aに示す温度算出値TEに基づいて対象SF数決定回路47が決定した対象SF数Nteを示している。また、図11Dは、対象SF数Npeと対象SF数Nteとのうち最大値検出器433が検出した大きいほうの数である削減対象SF数Nsfを示している。
まず、図11A、11B、11C、11Dにおいて時刻t1までの期間では、通常の画像信号が入力されているため、隣接放電セル間での発光状態の関係はランダムとなる。このため、各駆動IC521の消費電力は極端に増加せず、また、各負荷算出回路601が検出する隣接放電セル間の書込みパルス電圧の変化回数も極端に増加しないため、各負荷算出回路601から出力された負荷値も、例えば平均的な負荷値となる。
このため、図11Aに示すように、電力算出回路62から出力される電力算出値PEは、対象SF数決定回路48における電力下降方向の電力最小閾値Pthd_minを超えるときがあるものの、電力上昇方向の電力最小閾値Pthu_min以下となる。すなわち、電力が上昇していく方向において電力最小閾値Pthu_min以下であるため対象SF数Npeは「0」である。また、電力が下降していく方向において電力最小閾値Pthd_min以下となるため、この場合も対象SF数Npeは「0」となる。その結果、図11Bに示すように、時刻t1までの期間では、対象SF数決定回路48は、対象SF数Npeを「0」として出力する。
同様に、温度算出回路61から出力される温度算出値TEは、対象SF数決定回路47における温度下降方向の温度最小閾値Tthd_minを超えるときがあるものの、温度上昇方向の温度最小閾値Tthu_min以下となる。すなわち、温度が上昇していく方向において温度最小閾値Tthu_min以下であるため対象SF数Nteは「0」である。また、温度が下降していく方向において温度最小閾値Tthd_min以下となるため、この場合も対象SF数Nteは「0」となる。その結果、図11Cに示すように、時刻t1までの期間では、対象SF数決定回路47も、対象SF数Nteを「0」として出力する。
最大値検出器433は、時刻t1までの期間では、対象SF数Npeおよび対象SF数Nteのいずれもが「0」であり等しくなる。したがって、このような場合には、最大値検出器433は、対象SF数Npeおよび対象SF数Nteのいずれか一方の値を選択し、図11Dに示すように削減対象SF数Nsfを「0」とする変換制御データを出力する。第2画像変換部42は、この削減対象SF数Nsfを「0」とする変換制御データを受け取り、これに基づいて全サブフィールドを書込み動作の対象とする。すなわち、第2画像変換部42は、削減対象SF数Nsfが「0」の場合、第1画像変換部41により図5Aで示した所定のコーディングに従って生成された画像データを変更せず、ブロックごとにデータ電極駆動回路52の各駆動IC521に供給する。本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、このように通常の画像信号が供給されているような場合には、上述したような動作を実行することにより、設定されたすべてのサブフィールドを用いて表示処理を行う。
また特に、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、例えば対象SF数決定回路48が電力上昇方向と下降方向との2つの電力閾値で対象SF数Npeを決定するため、上述した図11Aの時刻t1までの期間のように電力算出値が一方の閾値を超える場合があっても、対象SF数Npeを「0」として一定化を図ることができる。すなわち、電力最小閾値として、例えば電力の変化方向に依存しないPthd_minのみを設けた場合、図11Aに示すような電力算出値PEに対して対象SF数Npeは「0」と「1」とに変動することとなる。これに対し、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置では、対象SF数決定回路47が図10Aに示したような温度上昇方向と下降方向とを組み合わせた温度閾値、および対象SF数決定回路48が図10Bに示したような電力上昇方向と下降方向とを組み合わせた電力閾値に基づき対象SF数を決定するため、対象SF数Nteや対象SF数Npeとともに、削減対象SF数Nsfの変動を抑制することができる。また、これによって、階調の制限と非制限とが繰り返されるような動作による表示画像上のフリッカを抑制できることとなる。
次に、図11A、11B、11C、11Dに示す時刻t1から時刻t4までの期間において、隣接放電セル間での発光状態の関係が反転関係となるような市松模様の画像信号が入力される。このような画像信号が入力されると、上述したように、書込みパルス電圧の変化回数が増大し、これにより各駆動IC521の消費電力も増大する。また、各負荷算出回路601は、このように増大した変化回数を検出するため、各負荷算出回路601からそれぞれ出力される負荷値も急激に増大する。このため、図11Aに示すように、時刻t1から時刻t2にかけて、電力算出回路62から出力される電力算出値PEも急激に上昇しながら、対象SF数決定回路48における電力最大閾値Pthu_maxを超すこととなる。その結果、図11Bに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、対象SF数決定回路48は、対象SF数Npeの値として順に「1」「3」「8」を出力する。
一方、温度算出回路61の各累積演算器611は負荷算出回路601から出力された負荷値をそれぞれ累積演算するため、図11Aに示すように、温度算出値TEは、時刻t1以降において急激には上昇せずゆっくりと増加していく。このため、図11Cに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、対象SF数決定回路47は、対象SF数Nteの値として「0」を出力する。
最大値検出器433は対象SF数Npeと対象SF数Nteとの大きいほうの数を検出する。したがって、図11Dに示すように、時刻t1から時刻t2までの期間において、最大値検出器433は、対象SF数Npeを選択し、順に「1」「3」「8」とするような削減対象SF数Nsfを示す変換制御データを出力する。第2画像変換部42は、この削減対象SF数Nsfを順に「1」「3」「8」とする変換制御データを受け取るため、第1画像変換部41から供給された画像データを削減対象SF数Nsfに基づくサブフィールド数だけ書込み動作を停止する画像データに変更する。すなわち、第2画像変換部42は、削減対象SF数Nsfが「1」の場合、第1SFを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを第1SFの書込み動作を行わないコーディングに変更した画像データに変換する。同様に、削減対象SF数Nsfが「3」の場合、第1SFから第3SFまでを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを第1SF〜第3SFの書込み動作を行わないコーディングに変更した画像データに変換する。また、削減対象SF数Nsfが「8」の場合、第2画像変換部42は、第1SFから第8SFまでを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを第1SF〜第8SFの書込み動作を行わないコーディングに変更した画像データに変換する。このように、消費電力が急激に増大するような画像信号が入力された場合、電力算出回路62を経由するようなフィードバック制御により急激に増大する消費電力に応答して、第2画像変換部42は、第1画像変換部41から供給された画像データを、消費電力を急速に減少させるような画像データに変更する。
このように時刻t1から時刻t2までの期間において、電力算出回路62を経由したフィードバック制御により、第1SFから第8SFまでを削減対象とし、第1画像変換部41から供給された画像データを、消費電力を急速に減少させるような画像データに変更したため、一旦急上昇した各駆動IC521の消費電力は、時刻t2あたりから減少する。すなわち、時刻t2から時刻t3までにかけても、電力算出回路62を経由したフィードバック制御の動作が継続し、各駆動IC521の消費電力、また、これに伴って電力算出値PEも徐々に下降し、対象SF数Npeも図11Bに示すように「6」「5」というように徐々に減少する。
一方、時刻t1以降の画像信号の変更に伴う消費電力の増加により、時刻t2あたりから各駆動IC521の温度は徐々に上昇する。そして、これに伴って温度算出値TEも徐々に上昇する。このため、図11Aに示すように、温度算出値TEが対象SF数決定回路47における温度最小閾値Tthu_minを超すこととなる。これにより、図11Cに示すように、時刻t2から時刻t3までの期間の中ごろから、対象SF数決定回路47は、対象SF数Nteの値として、順に「1」「2」「3」を出力する。
時刻t2から時刻t3までの期間において、対象SF数Npeと対象SF数Nteとを比較すると、図11B、11Cに示すように、この期間ではまだ対象SF数Npeのほうが大きい。このため、最大値検出器433は、時刻t2から時刻t3までの期間でも、大きいほうの数である対象SF数Npeを選択し、図11Dに示すように、削減対象SF数Nsfを示す変換制御データとして順に「6」「5」を出力する。さらに、第2画像変換部42は、この削減対象SF数Nsfに応じて対象のサブフィールドの書き込みを止めた画像データを出力する。このように、消費電力が急激に増大するような画像信号が入力された後も、時刻t2から時刻t3までの期間のように、電力算出回路62を経由するようなフィードバック制御により、各駆動IC521の消費電力を徐々に減少させるような動作が実行される。
また、時刻t3から時刻t4までの期間において、上述のようなフィードバック制御により、各駆動IC521の消費電力、電力算出値PEおよび対象SF数Npeはほぼ一定の値へと安定していく。一方、各駆動IC521の温度は、時刻t1からの消費電力の増加により、時刻t3以降においてもしばらくの期間徐々に増加し続け、これに伴って温度算出値TEおよび対象SF数Nteも徐々に増加する。このため、図11B、11Cに示すように、時刻t3以降においては、対象SF数Npeに比べて対象SF数Nteのほうが大きくなり、最大値検出器433は、対象SF数Nteを選択し、図11Dに示すように、削減対象SF数Nsfを示す変換制御データとして順に「5」「6」「5」を出力する。さらに、第2画像変換部42は、第1画像変換部41から供給された画像データを、この削減対象SF数Nsfに応じて書込み動作を行わないサブフィールドを有する画像データに変換して出力する。このように、消費電力を増加させるような画像信号が入力された後、ある時間が経過すると、温度算出回路61を経由するようなフィードバック制御に移行し、各駆動IC521の消費電力とともに温度の上昇を抑制するような動作が実行される。なお、変換制御データ生成部46のように、最大値検出器433により、消費電力に基づく対象SF数Npeと温度に基づく対象SF数Nteとのうち大きいほうの値を求めるような構成とすることにより、消費電力と温度との少なくともいずれかを基準に各駆動IC521の消費電力を抑制できるとともに、簡易な構成で消費電力および温度それぞれのフィードバック制御を切り替えることができる。
上述したように、時刻t1から時刻t4までの期間において、データ電極駆動回路52の消費電力が大きくなるような画像信号が入力されたとき、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、まず、電力算出回路62を経由した消費電力を抑制するようなフィードバック制御により、消費電力の増加に即座に応答して、消費電力を急速に減少させるように動作する。そして、プラズマディスプレイ装置は、この後、温度算出回路61を経由した温度の上昇を抑制するようなフィードバック制御により、徐々に増加する温度に応答して、消費電力とともに温度の上昇を抑制するように動作する。このため、消費電力が大きくなるような画像信号が入力されたときなど、例えば、温度フィードバック制御によりデータ電極駆動回路の温度を下げるような手法に比べて、本実施の形態のプラズマディスプレイ装置は、即座に消費電力を抑制し、これによって温度上昇に対しても抑制していくこととなる。
また、時刻t4において通常の画像に切り替わると、書込みパルス電圧の変化回数が減少するため、各負荷算出回路601からそれぞれ出力される負荷値も減少する。これに伴って、電力算出値PEおよび対象SF数Npeも減少し、また、温度算出値TEおよび対象SF数Nteもゆっくりと減少する。この後、変換制御データの削減対象SF数Nsfが「0」になるまで減少すると、画像信号変換回路400は、図5Aで示した所定のコーディングに従った画像データをブロックごとにデータ電極駆動回路52の各駆動IC521に供給し、パネル10からは、サブフィールドの書き込みを止めない所定のコーディングに従った画像が表示される。
なお、上述した構成の場合、例えば、1つの組み合わせである温度閾値Tthuと温度閾値Tthdとの間で、温度算出値TEが上昇と下降とを繰り返すと、それに併せた閾値で対象SF数Nteを決定するため、対象SF数Nteもこの繰り返しに併せて振動することとなる。図12Aは、このような両閾値間で温度算出値TEが上昇と下降とを繰り返すような場合において、対象SF数Nteの値が振動する様子を示す図である。図12Aでは、このような一例として、温度算出値TEが温度最大閾値Tthu_maxと温度最大閾値Tthd_maxとの間で上昇と下降とを繰り返すような場合を示している。すなわち、温度算出値TEが上昇する方向において、図12Aでの時刻t11までのように温度算出値TEが温度最大閾値Tthu_max以下の場合には、対象SF数Nteが「7」となる。そして、温度算出値TEが温度最大閾値Tthu_maxを超えた場合に「8」となる。一方、温度算出値TEが下降する方向において、時刻t11から時刻t12までのように温度算出値TEが温度最大閾値Tthd_maxを超えている場合には対象SF数Nteが「8」となる。
そして、時刻t14以降のように温度最大閾値Tthd_max以下になると「7」となる。このため、時刻t10から時刻t14までの期間のように、温度算出値TEが温度最大閾値Tthd_maxを超え、かつ温度最大閾値Tthu_max以下のときには、温度算出値TEが上昇するか下降するかによって、図12Aに示すように対象SF数Nteが「7」と「8」とで変動することになり、このような変動が表示画面上でフリッカとなり画質の低下をもたらす。
図12Bは、温度算出値TEが温度閾値Tthuと温度閾値Tthdとの間で上昇と下降とを繰り返した場合において、対象SF数Nteの振動を抑制するための処理による一動作例を示した図である。この処理として、図12Bに示すように時刻t10において、まず、温度算出値TEがその上昇に伴って温度閾値Tthd_maxを超え、温度閾値Tthu_maxと温度閾値Tthd_maxとの間の値になったことを検出する。この検出の後、温度算出値TEが温度閾値Tthu_maxと温度閾値Tthd_maxとの間の値である期間(時刻t10から時刻t14までの期間)において、温度算出値TEが上昇から下降へと反転したかどうかの検出を開始するとともに、温度算出値TEが温度閾値Tthd_max以下となったかどうかの検出をも開始する。すなわち、図12Bに示すように、温度算出値TEが上昇から下降へと反転したことを検知する(符号120で示す)。そして、温度算出値TEが温度閾値Tthd_max以下ではないとき(時刻t11)、対象SF数Nteを決定するための温度閾値としては現状の温度閾値Tthu_maxの使用の維持を開始する(符号122で示す)。さらに、この後、温度算出値TEが温度閾値Tthd_max以下になるまで、対象SF数Nteを決定するための温度閾値として温度閾値Tthu_maxの使用を継続し、温度算出値TEが温度閾値Tthd_max以下になった時点(時刻t14)で、温度閾値Tthu_maxの使用の維持を解除する(符号124で示す)。すなわち、時刻t11から時刻t14までを、温度閾値Tthu_maxの使用を継続する期間126として示している。このような処理を実行することにより、図12Bに例示するように、対象SF数Nteは一定の「7」となり、対象SF数Nteが「7」と「8」とで変動するような不具合を抑制することができる。
図12Bでは、温度算出値TEが上昇し、温度算出値TEが温度最大閾値Tthu_maxと温度最大閾値Tthd_maxとの間の値になるような場合の一例を挙げたが、温度算出値TEが各組合わせの温度閾値Tthuと温度閾値Tthdとの間の値になるような場合にも適用可能である。また、温度算出値TEが下降する場合には、上記処理とは逆の処理を行うことで、同様に対象SF数Nteの変動を抑制できる。すなわち、まず、温度算出値TEが温度閾値Tthu以下となり、温度閾値Tthuと温度閾値Tthdとの間の値になったことを検出する。この検出の後、温度算出値TEが温度閾値Tthuと温度閾値Tthdとの間の値である期間において、温度算出値TEが下降から上昇へと反転したかどうかの検出を開始するとともに、温度算出値TEが温度閾値Tthu以上となったかどうかの検出をも開始する。温度算出値TEが下降から上昇へと反転し、かつ温度算出値TEが温度閾値Tthu以上ではないとき、対象SF数Nteを決定するための温度閾値としては現状の温度閾値Tthdの使用を維持する。さらに、この後、温度算出値TEが温度閾値Tthu以上になるまで、対象SF数Nteを決定するための温度閾値として温度閾値Tthdの使用を継続し、温度算出値TEが温度閾値Tthu以上になった時点で、温度閾値Tthdの使用の維持を解除する。このような処理を実行することで、図12Bとは逆に温度算出値TEが下降するような場合にも適用することができる。また、以上の説明では、温度算出値TEに対する例を挙げて説明をしたが、電力算出値PEに対しても同様の処理を行うことで、電力算出値PEによる対象SF数Npeの変動をもさらに抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、画像データに基づいてデータ電極駆動回路52の消費電力を算出する電力算出回路62と、画像データに基づいてデータ電極駆動回路52の温度を算出する温度算出回路61とを備え、さらに、算出した温度が単位時間あたりに上昇するか下降するかの温度変化方向を検出する温度変化検出回路63と、算出した電力が単位時間あたりに上昇するか下降するかの電力変化方向を検出する電力変化検出回路64とを備えている。そして、画像信号変換回路400は、少なくとも算出した消費電力が第1の電力閾値を超えた場合、または算出した温度が第1の温度閾値を超えた場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を減少させる画像データに変換する。また、画像信号変換回路400は、少なくとも算出した消費電力が第2の電力閾値以下となった場合、または算出した温度が第2の温度閾値以下となった場合、画像信号を、データ電極駆動回路52の消費電力を増加させる画像データに変換する。なお、上述したように、消費電力と温度とのいずれか一方は変化方向によらず所定の閾値より大きいかどうかで判定するような構成であってもよい。このような構成により、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、消費電力が大きくなるような画像信号が入力されたときなど、まず、消費電力を抑制するような電力算出回路62を経由したフィードバック制御により、消費電力を急速に減少させ、この後、温度算出回路61を経由した温度の上昇を抑制するようなフィードバック制御により、消費電力とともに温度の上昇を抑制する。さらに、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、画像信号変換回路400が電力変化方向に応じた所定の電力閾値や温度変化方向に応じた所定の温度閾値に基づき消費電力を減少させる画像データに変換する構成であるため、消費電力を減少させる画像データに変換制御するための変換制御データの変動を抑制することができ、階調の制限と非制限とが繰り返されるような動作による表示画像上のフリッカも抑制でき、画質の低下を抑制できることとなる。
したがって、本発明のプラズマディスプレイ装置によれば、消費電力の急速な上昇などに対して即時に対応できるとともに、データ電極駆動回路が誤動作することなく、安定した動作で画像表示を行うことが可能なプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
なお、以上の説明では、説明をわかり易くするため、各負荷算出回路601が算出した負荷値に基づく対象SF数Npeを遅延なくフィードバックするような構成例を挙げて説明したが、例えば、振動的な応答特性を抑えるため、時定数の小さい簡易なループフィルタなどの要素を適宜加えてもよい。また、図7Bや図11Bのような時刻t1から時刻t2までの期間における対象SF数Npeの急速な立ち上がり特性を実現するため、例えば、対象SF数Npeの最大数やフィールドあたりの変化数をあらかじめ設定しておくとともに、電力算出値PEに対する閾値を1つ設け、電力算出値PEがこの閾値を超えたとき、フィールドごとに上記変化数で最大数まで変化する対象SF数Npeを第2画像変換部42に供給するような構成も可能である。
また、実施の形態1および2において、各負荷算出回路601が算出した負荷値に基づく温度算出値TEと電力算出値PEとのそれぞれをフィードバックし消費電力を減らすようなコーディングに変更する構成例を挙げて説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、温度算出値TEはフィードバックするとともに、電力算出値PEについてはフィードフォワードし、消費電力を減らすコーディングに変更するような構成であってもよい。
また、実施の形態1および2において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様などに合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。