JP5103828B2 - 車輪用軸受ユニット及びその車輪用軸受ユニットにおけるフランジ付きの内方部材あるいは外方部材の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、前記車輪取付用フランジの車輪側、車体取付用フランジの車体側には、それぞれボルトを突出させ、それぞれ車輪、車体と締結させる構造のものが知られている。
そこで昨今、低コスト化の目的を達成する種々の先行技術の一例として、例えば特許文献1などに開示のように、冷間鍛造により安価に製造可能な製造方法を提供している。
特許文献1などに開示の先行技術では、取付面の平面精度を良く仕上げるための加工を切削により行うものとしている。
しかし、取付面を切削により仕上げ加工するとなると、従来では、フランジの取付面全領域が車輪側あるいは車体側と当接するものであったため、取付面の全領域を切削加工する必要があった。よって、このフランジ付きの内方部材や外方部材の製造コスト(製造時間的なコストや製造手間によるコスト等)の面で解決する課題が残されていた。
すなわち本実施形態の車輪用軸受ユニットは、例えば自動車や鉄道車両などの各種車両に用いることができるが、ここでは一例として自動車の従動輪に組込まれる車輪用軸受ユニットを想定して説明する。なお、自動車の駆動輪の場合も同様である。
また、本実施形態の車輪用軸受ユニットは、内方部材と外方部材にそれぞれフランジが備えられているいわゆる第三世代(HUBIIIともいう。)として区別される形式であるが、以下に示す第三世代形式の他、その他の第三世代形式及び、背面組合せ軸受の外輪のアウトボード側外周にフランジを備えた複列アンギュラ玉軸受などを、ハブの外周に嵌め込んでなる形式(第二世代)においても適用可能である。
本実施形態では転動体として玉を例示するが、本発明の範囲内において、ころを適用することも可能である。
本実施例の車輪用軸受ユニットは、図1に示すように、回転輪となる内方部材(内方側の軌道輪部材)1と、静止輪となる外方部材(外方側の軌道輪部材)4と、前記内方部材1と外方部材4との間で、保持器Cを介して転動可能に組み込まれる複数個の転動体(玉)B1…,B2…と、アウトボード側OBにおいて内方部材1と外方部材4との間で軸受ユニット内部を密封するシール部材S1とで構成されている。シール部材S1は、軸受内に封入した潤滑剤(例えば、グリース、油)が軸受外部に漏洩したり、異物(例えば、水、塵埃)が軸受内部に侵入したりすることを防止可能な周知形態のシール構造が適宜仕様に応じて選択される。
なお、本実施例では、外方部材4を静止輪、内方部材1を回転輪とした実施の一例について説明するが、外方部材を回転輪、内方部材を静止輪とする形態であってもよく本発明の範囲内である。
前記ハブフランジ2cには、制動部材(ブレーキロータ)BR及び車輪(ホイール)Hが、ボルト(ハブボルト)2gを介して取り付けられる。
そして、ハブ2には、ハブフランジ2cを挟んでアウトボード側OB、すなわち、ハブフランジ2cを挟んで軸部2aと反対側に、車輪の位置決めをなす位置決め用筒部2hが、軸部2aと同軸で、かつ軸部2aよりも大径に突設されている。
本実施例では、位置決め用筒部2hの外周2kを、軸方向に同一平面(ストレートな面)としているが、アウトボード側OBから小径外周部・大径外周部となるように軸方向に段差状に構成する形態であってもよい。
そして、この車輪取付面側SRへと突設している突出部30の頂面、すなわちボルト孔2nの周辺領域は、車輪側が当接する取付面部40を構成しており、車輪側をボルト2gで締結する際に、車輪側がその突出部30のボルト孔2nの周辺領域(取付面部40)に当接して取り付けられる。
なお、突出部30の突出高さは、突出部30以外の車輪取付面側領域SR1より突出しているものであればよく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、突出部30の突出形状は、本実施例のように円筒状に限定解釈されるものではなく、例えば楕円状や角筒状など本発明の範囲内で設計変更可能である。
この突出部30に備えられる取付面部40は、振れ精度を確保するために平面仕上げ加工が精度良くなされている。
また、本実施例では、車輪取付面側SRと反対側の面(反車輪取付面側ST)に、ボルト2gの頭部2gtが収まるボルト座面部2dが凹設されている。なお、このボルト座面部2dの凹設深さは、本実施例の範囲内で設計変更可能である。
また、別体内輪3のインボード側端部3aは、所定の軸方向厚みを有するとともに、前記第二の軌道面3sを備えた外周領域よりも大径に形成されている。
そして、前記別体内輪3のインボード側IBの軸方向端面3bは、ハブ2のインボード側端部3aを揺動加締めた際に、該ハブ2のインボード側端部が、塑性変形して前記別体内輪3のインボード側端部3aの軸方向端面3bを加締め固定する。
外輪4の内径は、前記軸部2aの外径との間で所定の軸受内空間を形成するように、前記軸部2a内径と比して大径に形成されているとともに、その内径には軸方向に所定間隔(前記内方部材1側の第一の軌道面2sと第二の軌道面3sに対応する間隔)をあけて2つの第一の軌道面4s,第二の軌道面4sが環状に形成されている。
そして、外輪4の外径には、外輪4側のフランジ(取付フランジ)4cが突設されており、図示しないボルトなどを差し込んで車体(例えば図示しない懸架装置等)側に固定することにより外輪4が車体に固定される。
そして、この車体取付面側SUへと突設している突出部30は、車体側が当接する取付面部40を構成しており、車体側をボルトで締結する際に、車体側がその突出部30のボルト孔4n周辺領域に当接して取り付けられる。
なお、突出部30の突出高さは、突出部30以外の車体取付面側領域SU1より突出しているものであればよく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、突出部30の突出形状は、本実施例のように円筒状に限定解釈されるものではなく、例えば楕円状や角筒状など本発明の範囲内で設計変更可能である。
この突出部30に備えられる取付面部40は、振れ精度を確保するために平面仕上げ加工が精度良くなされている。
また、本実施例では、車体取付面側SUと反対側の面(反車体取付面側SW)に、ボルトの頭部が収まるボルト座面部4dが凹設されている。なお、このボルト座面部4dの凹設深さは、本実施例の範囲内で設計変更可能である。
以下に、本実施例の車輪用軸受ユニットの内方部材を製造する方法、特にハブ2のハブフランジ2cに突出部30を形成する工程を一例として挙げて説明する。
なお、本実施例では、内方部材1を一例として説明するが、外方部材4のフランジ4cに突出部30を形成する工程も同様の工程が採用可能である。
本工程例1では、図3に示すように、冷間で半抜き工程→据込み工程の手順で突出部30を成形・仕上げする。
下型SKは、中間素材CSの軸部2aを保持する円筒状の保持空間A1と、該保持空間A1と連通し、それぞれのフランジ2cを独立して保持する平面視矩形状の複数の保持空間A2を金型内に備え、該それぞれの保持空間A2内に向けて所定高さ領域をもって突出する下パンチPが備えられている。
上型UKは、前記下型SKのそれぞれの下パンチPと同位相に、突出部30を突設するための高さ方向に延びた円筒状の孔A3がそれぞれ備えられている。
(半抜き工程)
これにより、図2及び図3(c)(d)に示すように、上型UKに備えた孔A3と下パンチPとの間で半抜きが起こり、孔A3形状にそって車輪取付面側にフランジ2cの材料が突き出され、据込み前の突出部(突出領域)30aが形成される。
孔A3の直径をφD1、下パンチPの外径をφD2とした場合、φD1≦φD2の関係が成立するように、孔A3を調整するとよい。
φD1>φD2の関係にあると、半抜きではなく打ち抜きとなってしまうため、半抜き工程を途中で停止する必要があり、また欠陥(割れ)が生じる可能性がある。
すなわち、このような関係を有することにより、打ち抜かれたり、途中で半抜き工程を停止する必要も無く、欠陥(割れ)が生じないようにすることができる。
また、下パンチPの上端面は、上端縁P1を曲面Rに形成している(従って、下パンチPの直径φD2は、上端縁P1のRと平坦面P10の直径φD3を足したものとなる。)。
また本実施例では、例えば、上端縁P1の曲面Rを除いた平坦面P10は、ボルト2gの頭部2gtの直径以上の直径とする。
また、据込み前の突出部30aを大きく形成し過ぎると、据込み工程後の平面仕上げ精度が出難いので、平坦面P10は、ボルト2gの頭部2gtの直径の1.5倍以下とするのが好ましい。
(据込み工程)
このように半抜き工程後に据込み工程を行うことで、頂面が平面精度良く仕上げされた突出部30が形成される。なお、言うまでも無いが、据込み前の突出部30aの突出高さT31と比して、据込みされた後の突出部30の突出高さT32は低くなる(T31>T32)。
なお、本実施例の工程(半抜き工程・据込み工程)を採用することなく、車輪取付面側の全領域を冷間で据込むことで平面精度良く仕上げすることも可能であるが、本実施例のように、冷間で突出部30のみを据込むものとすれば、据込む面積を小さくすることができる。そのため、全領域を冷間で据込む場合と比して、比較的小さな荷重でより精度良く仕上げることができる。
また、本実施例によれば、反車輪取付面側STに必要とされるボルト座面部2dを、突出部30の半抜き・据込み工程と同時に成形されるため、突出部30及び位置決め用筒部2hの外周2kとともに精度良く成形できる。従って、反車輪取付面側STの切削加工も削減でき、さらなる製造コストの低減が可能となる。
本工程では、据込み工程と、位置決め用筒部の外周を仕上げるしごき工程を同時に行う実施の一例である。なお、本工程で、据込み工程としごき工程を同時に行うとしているが、「同時」とは、時間的な同時を意味するのではなく、製造工程中に双方の工程を行うという意味であり、時間的にずれている場合も含む。
従来、取付面側の切削工程では、取付面部に加えて、位置決め部の仕上げ加工も切削により行っている。すなわち、切削以外の加工による取付面部の平面精度確保とともに、位置決め部の精度(径寸法、真円度、取付面との直角度など)も確保できれば、取付面側の切削工程を全て無くすことができ、製造コストの大幅な削減が可能となる。この点に鑑みなされているのが本工程例2である。
なお、半抜き工程にあっては、先に説明した工程例1の半抜き工程と同じであるためここでの説明は省略する。
しごき前の位置決め用筒部2hの外周2kの外径をφD41(図4(c)(d))とし、しごき工程後の位置決め用筒部2hの外周2kは、アウトボード側OBから小径部50、大径部60と形成され、それぞれの外径をφD43(小径部50の外径)、φD42(大径部60の外径)とする(図4(e)(f))。すなわち、φD41>φD42、φD42>φD43となる。
なお、半抜き工程・据込み工程による突出部30の形成工程などについての作用効果にあっては、先に説明した工程例1と同じであるため省略する。
「変形例1」
すなわち本実施例では、フランジ2cの車輪取付面側SRに突出部30を突設し、その突設した突出部30を車輪取付用の取付面部40として機能させるものとするため、半抜き工程後に、据込み工程に代えて、取付面部40の平面精度を得るために切削による仕上げ加工を採用するものとしても、仕上げ加工する面は、その取付面部40として機能する突出部30の頂面だけでよい。
従って、切削仕上げする必要のある面積を大きく減らすことができ、製造コストの低減が図れる。
2 ハブ
2c ハブフランジ
2g ボルト
4 外方部材
4c フランジ
30 突出部
Claims (2)
- 相対回転可能に配される内方部材及び外方部材と、
内方部材と外方部材の間に組み込まれる転動体を含み、
前記内方部材と外方部材の少なくともいずれか一方には、車体あるいは車輪取付用のフランジが突設され、該フランジには、車体あるいは車輪に締結可能なボルトが円周方向で複数個備えられている車輪用軸受ユニットであって、
車体取付用のフランジには、ボルトが突出するボルト孔の周辺領域を、車体取付側へと突設させた突出部が備えられているとともに、突出部は、車体側が当接する取付面部を構成し、
車輪取付用のフランジには、ボルトが突出するボルト孔の周辺領域を、車輪取付側へと突設させた突出部が備えられているとともに、突出部は、車輪側が当接する取付面部を構成し、
取付面部は、平面仕上げ加工がされていることを特徴とする車輪用軸受ユニット。 - 請求項1に記載の車輪用軸受ユニットにおけるフランジ付きの内方部材あるいは外方部材を製造する方法であって、
フランジを備えた中間素材を加工する工程と、
前記フランジのボルト取付用孔を形成する領域であって、車体取付側あるいは車輪取付側へと、ボルト径よりも大径に突出させる領域を、冷間で半抜き加工する工程と、
その半抜き加工工程後、車体取付側あるいは車輪取付側に突出する領域を据え込み加工する工程とを含むことを特徴とする車輪用軸受ユニットにおけるフランジ付きの内方部材あるいは外方部材の製造方法。
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