JP2008162356A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

Abstract

【課題】マテリアルロスを削減して軽量化を図ると共に、低コスト化を図った車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】外方部材４が、車体取付フランジ４ｂのインナー側にナックルに嵌合されるナックルパイロット部１３を有し、このナックルパイロット部１３が、その円周方向の複数箇所に鍛造加工によって形成された凹部１４と、鍛造加工後に旋削加工によって所定のパイロット円Ｐ／Ｃに形成された凸部１５で構成されると共に、これらの凹部１４と凸部１５との繋ぎ面１６が鍛造加工によって直線状に形成され、この繋ぎ面１６がパイロット円Ｐ／Ｃの接線１７に対して４５°以下の傾斜角αを備えているので、ナックルパイロット部１３の旋削加工時、凸部１５の周方向端部に切削バリが発生するのを防止してバリ除去工程が不要となり、この工数削減と旋削加工による切削除去体積の低減とによって低コスト化を図ることができる。
【選択図】図３

Description

本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、マテリアルロスを削減して軽量化を図ると共に、低コスト化を図った車輪用軸受装置に関するものである。

近年、省資源あるいは公害等の面から燃費向上に対する要求は厳しいものがある。自動車部品において、中でも車輪軸受装置の軽量化はこうした要求に応える要因として注目され、強く望まれて久しい。特に、自動車等の車両の中でも軽四輪あるいはスモールカーをはじめとした軽車両においては、低コスト化は言うまでもなく、この軽量化に対する要求は益々増大してきている。従来から軽量化を図った車輪用軸受装置に関する提案は種々のものがあるが、それと共に車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置においては、この軽量化と一面では相反する信頼性と耐久性を向上させることも重要な要因となっている。

図５は、自動車に用いられ、軽量化を図った車輪用軸受装置の一例である。この車輪用軸受装置５２は従動輪側に使用される代表的な構造で、ハブ輪５１、およびこのハブ輪５１に圧入された内輪６０からなる内方部材５３と、この内方部材５３に外挿された外方部材５４、そして、両部材５３、５４間に転動自在に収容された複列のボール５５、５５とを備えている。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側（図面左側）、中央寄り側をインナー側（図面右側）という。

ハブ輪５１は、アウター側の一端部に放射状に延びる４つに分割された車輪取付フランジ５６（以下、車輪取付アームと言う）を一体に有し、この車輪取付アーム５６の円周等配位置には車輪を締結するためのハブボルト５６ａが植設されている。車輪取付アーム５６は、ハブボルト挿通孔５６ｂの近傍を除く部分を切欠いて、各ハブボルト挿通孔５６ｂの形成部分と略同じ幅でもって、車輪取付アーム５６の基部から放射状に突出するように形成されている。

さらに、車輪取付アーム５６のインナー側の側面には、その基部に向って漸次肉厚になるようにリブ５６ｃが形成されている。また、ハブ輪５１の外周にはアウター側の内側転走面５１ａと、この内側転走面５１ａから軸方向に延びる小径段部５７が形成され、この小径段部５７に内輪６０が所定のシメシロを介して圧入されている。内輪６０は、外周にインナー側の内側転走面６０ａが形成され、ハブ輪５１の小径段部５７の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部５８によって軸方向に固定されている。

一方、外方部材５４の内周には複列の外側転走面５４ａ、５４ａが一体に形成され、これら複列の外側転走面５４ａ、５４ａに対向する内方部材５３の複列の内側転走面５１ａ、６０ａとの間に複列のボール５５、５５が収容され、保持器５９によって転動自在に保持されている。

外方部材５４のアウター側の端部にはシール６１が装着され、外方部材５４と内方部材５３との環状空間が密封されている。また、外方部材５４のインナー側の端部には、カップ状のシールキャップ（図示せず）が装着され、外方部材５４の開口部が閉塞されている。これらシール６１およびシールキャップにより、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。

ここで、ハブ輪５１の車輪取付アーム５６の基部にはアウター側に延びる円筒状のブレーキパイロット部６２が形成され、ブレーキロータ６３の内径面を案内している。また、このブレーキパイロット部６２からさらにアウター側に延びてホイールパイロット部６４が形成されている。このホイールパイロット部６４は、ブレーキロータ６３に重ねて装着される車輪（ホイール）６５の内径面を案内するもので、ブレーキパイロット部６２よりも僅かに小径に形成されている。また、ホイールパイロット部６４の円周方向の複数箇所に切欠きが設けられ、断続して突片状に形成されている。ここでは、この断続したホイールパイロット部６４は、隣り合う車輪取付アーム５６間に円周等配位置に形成されている。

また、外方部材５４は、外周に懸架装置を構成するナックル（図示せず）に取り付けられる車体取付フランジ５４ｂを一体に有し、この車体取付フランジ５４ｂの外周部に複数のボルト挿通孔６６が穿設されている。この車体取付フランジ５４ｂは、図６に示すように、その外周部のうちボルト挿通孔６６の近傍を除く部分を切欠いて、各ボルト挿通孔６６の形成部分だけが外径側に放射状に突出する形状に、円周方向に離れた複数の部分フランジ６７に分割されて形成されている。そして、外方部材５４のインナー側の端部には、車体取付フランジ５４ｂから軸方向に延びる円筒状のナックルパイロット部５４ｃが形成され、このナックルパイロット部５４ｃの外径面にナックルが嵌合される。

さらに、前記ナックルパイロット部５４ｃが、前述したハブ輪５１と同様、その円周方向の複数箇所に切欠きが設けられ、断続して突片状に形成されていても良い。これにより、ハブ輪５１と外方部材５４の剛性を低下させることなく軽量化を図ることができる。
特開２００５−２９７９２５号公報

然しながら、このような従来の車輪用軸受装置の外方部材５４は、鍛造加工によってナックルパイロット部５４ｃの円周方向の複数箇所に切欠きが設けられ、断続して突片状に形成されることにより軽量化を図ることができるが、図５に示すスリンガ６８や図示しないシールが嵌合される場合、その気密性を確保するために内径が連続した円筒面に形成されると共に、ナックルパイロット部５４ｃが分割ではなく外径が機械加工されて案内面となる凸部６９と凹部７０（図中クロスハッチングにて示す）が交互に形成されなければならない。

この場合、通常の連続したナックルパイロット部と比較し、図７に示すように、鍛造後（図中破線にて示す）の凸部６９の旋削加工は断続切削となり、周方向端部において、旋削バリ７１が発生し易い。こうした旋削バリ７１が発生すると、加工時の基準面への噛み込みによる加工精度不良や、ナックルの取付面に旋削バリ７１が噛み込むことによる取付精度不良が発生する恐れがある。また、作業時にこの旋削バリ７１に触れて怪我をする恐れもあり改善が望まれていた。

この旋削バリ７１を除去するためには、バリ取り加工（面取り加工）を行えば良いが、これもナックルパイロット部５４ｃが分割されているため旋削加工では行えず、旋削バリ７１が発生した各凸部６９の周方向端部に工具を押し当てた状態で軸方向に移動させて除去せざるを得ない。これでは、作業が煩雑となると共に、非常に加工工数が増え、材料削減による軽量化でコスト低減ができても、実質的には製造コストの高騰を招来して好ましくない。

さらに、この種の製品を製造する際、投入される素材重量を効率的に使い切るという観点から、加工工程における切削加工等で除去され廃棄される重量（マテリアルロス）を減らすことが望まれている。

本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、マテリアルロスを削減して軽量化を図ると共に、低コスト化を図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。

係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項１に記載の発明は、外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材が、前記車体取付フランジのインナー側に前記ナックルに嵌合されるナックルパイロット部を有し、このナックルパイロット部が、その円周方向の複数箇所に鍛造加工によって形成された凹部と、鍛造加工後に旋削加工によって所定のパイロット円に形成された凸部で構成されると共に、これらの凹部と凸部の繋ぎ面が鍛造加工によって形成され、少なくとも前記凸部の旋削終端側の繋ぎ面が前記パイロット円の接線方向に対して所定の傾斜角を備えている。

このように、第２世代乃至第４世代構造の車輪用軸受装置において、外方部材が、車体取付フランジのインナー側にナックルに嵌合されるナックルパイロット部を有し、このナックルパイロット部が、その円周方向の複数箇所に鍛造加工によって形成された凹部と、鍛造加工後に旋削加工によって所定のパイロット円に形成された凸部で構成されると共に、これらの凹部と凸部の繋ぎ面が鍛造加工によって形成され、少なくとも凸部の旋削終端側の繋ぎ面がパイロット円の接線方向に対して所定の傾斜角を備えているので、ナックルパイロット部の旋削加工時に、凸部の周方向端部の切削バリを除去する工程が不要となり、この工数削減と旋削加工による切削除去体積の低減とによって低コスト化を図ることができる。

好ましくは、請求項２に記載の発明のように、前記傾斜角が４５°以下に設定されていれば、ナックルパイロット部の旋削加工時、繋ぎ面とパイロット円との交差角が小さくなり切削バリが発生するのを防止することができる。

また、請求項３に記載の発明のように、前記繋ぎ面が直線状に形成されていても良いし、また、請求項４に記載の発明のように、前記繋ぎ面が円弧状に形成されていても良い。

また、請求項５に記載の発明のように、前記凸部が、実車で取り付けられる前記外方部材の垂直方向に形成されていれば、取付時の外方部材の芯ズレを抑制し、取付精度を向上させることができる。

本発明に係る車輪用軸受装置は、外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材が、前記車体取付フランジのインナー側に前記ナックルに嵌合されるナックルパイロット部を有し、このナックルパイロット部が、その円周方向の複数箇所に鍛造加工によって形成された凹部と、鍛造加工後に旋削加工によって所定のパイロット円に形成された凸部で構成されると共に、これらの凹部と凸部の繋ぎ面が鍛造加工によって形成され、少なくとも前記凸部の旋削終端側の繋ぎ面が前記パイロット円の接線方向に対して所定の傾斜角を備えているので、ナックルパイロット部の旋削加工時に、凸部の周方向端部の切削バリを除去する工程が不要となり、この工数削減と旋削加工による切削除去体積の低減とによって低コスト化を図ることができる。

外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が前記ハブ輪に対して軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記外方部材が、前記車体取付フランジのインナー側に前記ナックルに嵌合されるナックルパイロット部を有し、このナックルパイロット部が、その円周方向の複数箇所に鍛造加工によって形成された凹部と、鍛造加工後に旋削加工によって所定のパイロット円に形成された凸部で構成されると共に、これらの凹部と凸部の繋ぎ面が鍛造加工によって直線状に形成され、この繋ぎ面が前記パイロット円の接線方向に対して３０°以下の傾斜角を備えている。

以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図１は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図２は、図１の外方部材を示し、（ａ）は、（ｂ）のＩＩ−ＩＩ線に沿った正面図、（ｂ）は、（ａ）の側面図、図３は、図２（ｂ）の要部拡大図、図４は、図３のナックルパイロット部を示す拡大図である。

この車輪用軸受装置２は従動輪を回転自在に支承し、内方部材３と外方部材４、および両部材３、４間に転動自在に収容された複列の転動体（ボール）５、５とを備えている。ここで、内方部材３は、ハブ輪１と、このハブ輪１に圧入された内輪１０とを指す。

ハブ輪１は、アウター側の一端部に車輪（図示せず）を取り付けるための車輪取付フランジ６を一体に有し、外周にアウター側（一方）の内側転走面１ａと、この内側転走面１ａから軸方向に延びる小径段部７が形成されている。車輪取付フランジ６の円周等配位置には車輪を締結するためのハブボルト６ａが植設されている。

内輪１０は、外周にインナー側（他方）の内側転走面１０ａが形成され、ハブ輪１の小径段部７に所定のシメシロを介して圧入されている。そして、小径段部７の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部８によってハブ輪１に対して軸方向に固定され、所謂第３世代のセルフリテイン構造をなしている。これにより、ハブ輪１の剛性を増大させ、軽量・コンパクト化を図ることができる。

また、従来のように内輪１０をナット等で強固に緊締して予圧量を管理する必要がないため、車両への組込性を簡便にすることができ、長期間その予圧量を維持することができると共に、部品点数を削減でき、組込性の向上と相俟って低コスト化を達成することができる。なお、本発明に係る車輪用軸受装置２においては、例示した第３世代構造に限らず、例えば、ハブ輪の小径段部に一対の内輪が圧入される第２世代構造、あるいは第４世代構造であっても良い。

ハブ輪１はＳ５３Ｃ等の炭素０．４０〜０．８０ｗｔ％を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面１ａをはじめ、車輪取付フランジ６のインナー側の基部から小径段部７に亙って高周波焼入れによって表面硬さ５８〜６４ＨＲＣの範囲に硬化処理されている。なお、加締部８は、鍛造後の素材表面硬さ２５ＨＲＣ以下の未焼入れ部としている。これにより、ハブ輪１の剛性が向上すると共に、内輪１０との嵌合面のフレッティング摩耗を防止することができ、ハブ輪１の耐久性が一層向上する。また、加締部８を塑性変形させる時の加工性が向上すると共に、加工時におけるクラック等の発生を防止してその品質の信頼性が向上する。

外方部材４は、外周に懸架装置を構成するナックル（図示せず）に取り付けられるための車体取付フランジ４ｂを一体に有し、内周に前記内方部材３の複列の内側転走面１ａ、１０ａに対向する複列の外側転走面４ａ、４ａが一体に形成されている。そして、これら複列の外側転走面４ａ、４ａと複列の内側転走面１ａ、１０ａ間に複列の転動体５、５が収容され、保持器９によって転動自在に保持されている。また、外方部材４とハブ輪１および内輪１０との間に形成される環状空間の開口部にはシール１１、１２が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。

また、外方部材４は、ハブ輪１と同様、Ｓ５３Ｃ等の炭素０．４０〜０．８０ｗｔ％を含む中高炭素鋼で形成され、複列の外側転走面４ａ、４ａが高周波焼入れによって表面硬さ５８〜６４ＨＲＣの範囲に硬化処理されている。一方、内輪１０および転動体５はＳＵＪ２等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで５８〜６４ＨＲＣの範囲で硬化処理されている。なお、ここでは、転動体５、５をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受であっても良い。

本実施形態では、外方部材４における車体取付フランジ４ｂのインナー側にナックルに嵌合されるナックルパイロット部１３が形成されている。このナックルパイロット部１３は、図２に示すように、その円周方向の複数箇所（ここでは４箇所）に鍛造加工によって形成された凹部１４（図中クロスハッチングにて示す）と、鍛造加工後に、後述する所定のパイロット円に旋削加工によって形成された凸部１５で構成されている。そして、この凸部１５が所定の径方向すきま（案内すきま）を介してナックルに嵌合される。

ここでは、この断続した凸部１５は、実車で取り付けられる外方部材４の垂直方向、すなわち、ここでは、車体取付フランジ４ｂ間の紙面の上下方向に形成されている。何故なら、断続した凹部１４が外方部材４の垂直方向に配置された場合、重力で外方部材４が落ち込み、取付時の芯ズレが大きくなるからである。これにより、外方部材４の剛性を低下させることなく軽量化を図ることができると共に、取付時の外方部材４の芯ズレを抑制し、取付精度を向上させることができる。

ここで、ナックルパイロット部１３を構成する凹部１４と凸部１５との繋ぎ面１６は、図３に拡大して示すように、単純にパイロット円Ｐ／Ｃに対して垂直、または凸部１５の周方向長さの中心に対して平行に形成するのではなく、パイロット円Ｐ／Ｃの接線１７方向に対し所定の傾斜角αとなるように鍛造加工によって形成されている。この傾斜角αは４５°以下、好ましくは、３０°以下に形成されるのが良い。何故なら、図４に示すように、傾斜角αが４５°を超えると鍛造加工後（図中破線にて示す）に旋削加工する際、繋ぎ面１６とパイロット円Ｐ／Ｃとの交差角が大きくなって切削バリが発生する恐れがあるからである。そして、傾斜角αを３０°以下に設定することにより、切削バリが発生するのを確実に防止することができる。これにより、ナックルパイロット部１３の旋削加工時に、凸部１５の周方向端部の切削バリを除去する工程が不要となり、この工数削減と旋削加工による切削除去体積（マテリアルロス）の低減とによって低コスト化を図ることができる。

また、ここでは、鍛造加工によって凹部１４と凸部１５との繋ぎ面１６が、パイロット円Ｐ／Ｃの接線１７に対し所定の傾斜角αからなる直線状に形成されたものを例示したが、これに限らず、旋削方向が決まれば、図示はしないが、凸部１５の旋削終端側に形成するだけでも良い。なお、繋ぎ面１６は直線状に形成されなくても、滑らかな円弧状に形成されていても良い。

また、外方部材４のインナー側の端部にシールやセンサキャップ等の部品が嵌合されない場合においては、内径を連続した円筒面に形成してナックルパイロット部１３を凹部１４と凸部１５で構成する必要はなく、ナックルパイロット部１３の円周方向の複数箇所に切欠きを設け、断続して突片状に分割して形成するようにしても良い。これにより、一層の軽量化を図ることができる。

以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。

本発明に係る車輪用軸受装置は、転動体がボール、円錐ころ等からなる第２世代乃至第４世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。

本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図１の外方部材を示し、（ａ）は、（ｂ）のＩＩ−ＩＩ線に沿った正面図、（ｂ）は、（ａ）の側面図である。 図２（ｂ）の要部拡大図である。 図３のナックルパイロット部を示す拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 （ａ）は、図５の外方部材を示す正面図である。 （ｂ）は、（ａ）の側面図である。 図６のナックルパイロット部を示す要部拡大図である。

符号の説明

１・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
１ａ、１０ａ・・・・・・・・・・内側転走面
２・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受装置
３・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
４・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
４ａ・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
４ｂ・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
５・・・・・・・・・・・・・・・転動体
６・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
６ａ・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
７・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
８・・・・・・・・・・・・・・・加締部
９・・・・・・・・・・・・・・・保持器
１０・・・・・・・・・・・・・・内輪
１１、１２・・・・・・・・・・・シール
１３・・・・・・・・・・・・・・ナックルパイロット部
１４・・・・・・・・・・・・・・凹部
１５・・・・・・・・・・・・・・凸部
１６・・・・・・・・・・・・・・繋ぎ面
１７・・・・・・・・・・・・・・パイロット円の接線
５１・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
５１ａ、６０ａ・・・・・・・・・内側転走面
５２・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受装置
５３・・・・・・・・・・・・・・内方部材
５４・・・・・・・・・・・・・・外方部材
５４ａ・・・・・・・・・・・・・外側転走面
５４ｂ・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
５４ｃ・・・・・・・・・・・・・ナックルパイロット部
５５・・・・・・・・・・・・・・ボール
５６・・・・・・・・・・・・・・車輪取付アーム
５６ａ・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
５６ｂ・・・・・・・・・・・・・ハブボルト挿通孔
５６ｃ・・・・・・・・・・・・・リブ
５７・・・・・・・・・・・・・・小径段部
５８・・・・・・・・・・・・・・加締部
５９・・・・・・・・・・・・・・保持器
６０・・・・・・・・・・・・・・内輪
６１・・・・・・・・・・・・・・シール
６２・・・・・・・・・・・・・・ブレーキパイロット部
６３・・・・・・・・・・・・・・ブレーキロータ
６４・・・・・・・・・・・・・・ホイールパイロット部
６５・・・・・・・・・・・・・・車輪
６６・・・・・・・・・・・・・・ボルト挿通孔
６７・・・・・・・・・・・・・・部分フランジ
６８・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
６９・・・・・・・・・・・・・・凸部
７０・・・・・・・・・・・・・・凹部
７１・・・・・・・・・・・・・・切削バリ
Ｐ／Ｃ・・・・・・・・・・・・・パイロット円
α・・・・・・・・・・・・・・・傾斜角

Claims (5)

1. 外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
   一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
   この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、
   前記外方部材が、前記車体取付フランジのインナー側に前記ナックルに嵌合されるナックルパイロット部を有し、このナックルパイロット部が、その円周方向の複数箇所に鍛造加工によって形成された凹部と、鍛造加工後に旋削加工によって所定のパイロット円に形成された凸部で構成されると共に、これらの凹部と凸部の繋ぎ面が鍛造加工によって形成され、少なくとも前記凸部の旋削終端側の繋ぎ部が前記パイロット円の接線方向に対して所定の傾斜角を備えていることを特徴とする車輪用軸受装置。
2. 前記傾斜角が４５°以下に設定されている請求項１に記載の車輪用軸受装置。
3. 前記繋ぎ部が直線状に形成されている請求項１または２に記載の車輪用軸受装置。
4. 前記繋ぎ部が円弧状に形成されている請求項１または２に記載の車輪用軸受装置。
5. 前記凸部が、実車で取り付けられる前記外方部材の垂直方向に形成されている請求項１乃至４いずれかに記載の車輪用軸受装置。

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