JP5101390B2 - 乗用型作業車 - Google Patents
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Description
このような要望に応える手段として、従来より下記[1]に示す構造を備えたものが知られている。
[1]地上操縦用の押さえ込みアームを備えるとともに、その押さえ込みアームに、押さえ込みアームが押さえ込み作用姿勢であるときに操作可能な機体停止操作具としての停止スイッチを装備させて、押さえ込み状態での操縦作業中においても機体停止操作が可能であるように構成したもの(特許文献1参照)。
しかしながら、この従来構造のものでは、上述のような押さえ込みアームを備えていて、かつ、その押さえ込みアームを機体前方側へ倒伏させての押さえ込み作用姿勢とした状態でなければ停止スイッチを操作し難いという点で改善の余地がある。
つまり、押さえ込みアームを押さえ込み作用姿勢とするのは、畦越え作業を行うときや、乗用作業機を運搬車の荷台に積み込むときなどであり、その作業では便利に用いることができるものであるが、特に押さえ込みアームを押さえ込み作用姿勢とする必要がない場合や、押さえ込み作用姿勢とする途中、あるいは押さえ込み作用姿勢を解除する途中では停止スイッチに手が届かない場合があり、その際には急いで押さえ込みアームを押さえ込み作用姿勢としなければスイッチ操作が行い難いことがある。
また、押さえ込みアームを押さえ込み作用姿勢とした状態では、狭い場所や、機体前方側に空間的に余裕のない場所で使用しようとする場合には扱い難いなどの不具合がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、走行車体への非搭乗状態で地上から操作することが可能な機体停止操作具を備えた乗用型作業車であって、
予備苗のせ台は、複数の苗載置枠を備えてあり、それら複数の苗載置枠を上下方向に間隔を隔てて並べる姿勢と、それら複数の苗載置枠を前後方向に連なる状態で並べる姿勢とに姿勢変更自在に構成され、
前記機体停止操作具は、前記予備苗のせ台がいずれの姿勢においても機体進行方向で最前部に位置するように前記予備苗のせ台に備えてあり、
走行車体の前端部には、その走行車体の横幅方向に沿う軸心周りで前後に起伏揺動可能な押さえ込みアームを備えていることを特徴とする。
上記のように、解決手段1にかかる本発明の乗用型作業車では、走行車体への非搭乗状態で地上から操作することが可能な機体停止操作具を予備苗のせ台部分に備えたものであるから、押さえ込みアームを押さえ込み作用姿勢に操作する必要なく、機体停止操作具を操作することができる。
したがって、押さえ込みアームを使用しない状態での機体停止操作具の操作や、空間的に余裕のない箇所での機体停止操作具の操作を容易に行うことができる利点がある。
また、機体停止操作具の設けられる箇所が予備苗のせ台部分であるから、機体の前端側に近い位置で機体正面から外れた位置でも機体停止操作具の操作を行い易く、予備苗の載置状況に気を配りながら機体を移動させているときにも、機体停止操作を行い易い利点がある。
つまり、非搭乗状態で地上から操作する操縦者は概して機体前方側寄りに位置して操作するので、機体停止操作具が中間位置よりも後方側に配備されていると、歩き難い水田などの圃場を移動して操作しなければならない場合がある。このため操作が遅れるなどの不具合を招くことがあるが、本発明ではそのような虞が少ない。
〔乗用型田植機の全体構成〕
図1及び図2に、本発明に係る乗用型作業車の一例としての乗用型田植機が示されている。
この乗用田植機は、機体フレーム10の下部側に操向自在な前輪11と操向不能な後輪12を備えた4輪駆動型の走行車体1の後部に、油圧シリンダ13によって駆動される昇降リンク機構14を介して4条植え仕様の苗植付け装置6が昇降自在に連結された構造となっている。
そして、走行系の動力は左右の前輪11に伝達されるとともに、ミッションケース15の後部から後方に延出した左右の後輪伝動ケース16を介して左右の後輪12に伝達され、また、ミッションケース15内で分岐された植付け作業系の動力は、伝動軸17を介して前記苗植付け装置6に入力されるようになっている。なお、図示しないが、左右の前輪11はデフ装置を介して駆動されるとともに、左右の後輪12はサイドクラッチを介して駆動されるようになっている。また、左右の後輪伝動ケース16はダンパ18を介して独立的に上下揺動可能に支持されている。
上記構造の乗用型田植機において、本発明では、走行車体1への非搭乗状態で地上から操作することが可能な機体停止操作具3を備えている。
この機体停止操作具3は、参考形態として、図2及び図3に示すように、ステアリングハンドル5の外周ホィール部分50よりも半径方向内方側の上部箇所に押しボタンスイッチSWを設け、この押しボタンスイッチSWをエンジン2の制御装置100に接続することによって構成されている。したがって、緊急時には、地上から操作する作業者が、この押しボタンスイッチSWを押し操作することで、エンジン2の制御装置100からエンジン停止装置101に停止指令信号が送られ、エンジン回転が停止することにより、機体を停止させるように構成してある。
機体停止操作具3としては、上記の参考形態で示したような、ステアリングハンドル5の上部箇所に設けるのではなく、図4(a),(b)に示すように、走行車体1の前部側で、フロントステップ30の前面箇所に押しボタンスイッチSWを設けた構造のものであってもよい。
このようにフロントステップ30の前面箇所に押しボタンスイッチSWを設けると、走行車体1が進行方向前方側の何らかの障害物に接当すれば、操縦者が意識して操作しなくとも機体を停止させることができる。したがって、操縦者が低い位置の障害物に気付かない場合にも、押しボタンスイッチSWが障害物と接触したことを検出すれば、そのことの検出によって機体を停止させられるので、他物との衝突による損傷を回避し易い。
上記機体停止操作具3を設けるにあたり、図5に示すように、機体前部側にバランスウェイト31を設け、そのバランスウェイト31の前部箇所に押しボタンスイッチSWを設けても良い。このようにバランスウェイト31の前部箇所を利用して押しボタンスイッチSWの配設箇所を設けると、走行車体1そのものには、押しボタンスイッチSWの取付用の構造を必要としないので、走行車体1側の構造の簡素化や組み付け作業の簡素化を図ることができ、また、走行車1体側の組み付け作業とは別個の作業工程でバランスウェイト31に押しボタンスイッチSWを組み込むことができる。
上記機体停止操作具3を設けるにあたり、図6に示すように、機体前部側でエンジン搭載フレーム32の前面側において、そのエンジン搭載フレーム32の左右方向での広範囲にわたって接触プレート33を付設し、この接触プレート33が走行車体1の最前端部に位置するように構成してある。
そして、接触プレート33に他物が接当すると、そのことを検出する感圧センサー(図外)を備えていて、感圧センサーによる検出結果を制御装置100に伝えて、エンジン停止装置101が作動するように構成してある。
尚、このような感圧センサーを用いずに、エンジン搭載フレーム32の前面側に押しボタンスイッチSWを設けて、その検出結果を前記制御装置100に伝えて、エンジン停止装置101を作動させるようにしてもよい。
上記機体停止操作具3を設けるにあたり、図7に示すように、走行車体1の前部横側部に予備苗のせ台40を備え、その予備苗のせ台40に押しボタンスイッチSWを設けてもよい。
このように、予備苗のせ台40部分に押しボタンスイッチSWを設けると、予備苗のせ台40に載置されている苗に注意を払っている状態のとき、緊急停止の必要が生じると、ただちに応答し易い点で有利である。
上記機体停止操作具3を予備苗のせ台40部分に設けるにあたり、図8及び図9に示すように構成してもよい。
この構造では、走行車体1の前部横側部に備えた予備苗のせ台40を、図8に示す作業走行姿勢と、図9に示す苗補給姿勢とに姿勢変更自在構成してある。
そして、機体停止操作具3としての押しボタンスイッチSWは、前記作業走行姿勢と苗補給姿勢とのいずれの姿勢においても機体進行方向の最前端部に位置するように配設されている。
すなわち、この実施形態では、支柱43の上下に配備された複数段の苗載置枠41のうち、最上位の苗載置枠41の前端箇所に押しボタンスイッチSWを付設してあって、かつ、上、中、下の各段の苗載置枠41をリンク部材42で連結して、図9に示す苗補給姿勢に姿勢変更したときにも、前記押しボタンスイッチSWは、機体進行方向の最前部に位置するように構成されている。
図8に各苗載置枠41の移動方向を矢印で示している。このように、図8に示す作業走行姿勢から図9に示す苗補給姿勢に姿勢変更される際には、作業走行姿勢での各苗載置枠41のうち、上段の苗載置枠41は前方側へ移動し、下段の苗載置枠41は後方側へ移動して、側面視でほぼ水平状態に上、中、下、の各苗載置枠41が連なる状態となる。
上記機体停止操作具3を予備苗のせ台40部分に設けるにあたり、図10(a),(b)に示すように構成してもよい。
この構造のうち、図10(a)に示す構造では、上、中、下の苗載置枠41のうち、最下段の苗載置枠41部分を固定して、上段、及び中段の苗載置枠41を可動であるようにリンク部材42で連結することにより、固定された最下段の苗載置枠41部分を基準にして、それよりも機体前後方向での前方側に他の苗載置枠41部分を延出した状態としている。
また、図10(b)に示す構造では、上、中、下の苗載置枠41のうち、最上段の苗載置枠41部分を固定して、下段、及び中段の苗載置枠41を可動であるようにリンク部材42で連結することにより、固定された最上段の苗載置枠41部分を基準にして、それよりも機体前後方向での後方側に他の苗載置枠41部分を延出した状態としている。
これらの構造においても、機体停止操作具3は作業走行姿勢と苗補給姿勢とのいずれの姿勢においても機体進行方向の最前端部に位置するものであるから、前記図10(a)及び図10(b)に示す構造の何れにおいても、押しボタンスイッチSWは上段の苗載置枠41の前端部に設けられている。
上記機体停止操作具3を予備苗のせ台40部分に設けるにあたり、図11(a),(b)に示すように構成してもよい。
この構造では、苗載置枠41の全てが支柱43部分に支持されていて、その支柱43が、ほぼ直立した作業走行姿勢と、支柱43が前傾した苗補給姿勢と、支柱43が後傾した予備苗取り出し姿勢とに、姿勢変更自在に構成されている。
この構造では、支柱43部分の姿勢変更と、各苗載置枠41部分の展開とを個別に行うことができる。この場合にも、機体停止操作具3は、いずれの姿勢においても機体進行方向の最前端部に位置するものであるから、前記図11(a)及び図11(b)に示す構造の何れにおいても、押しボタンスイッチSWは上段の苗載置枠41の前端部に設けられている。
[1] 機体停止操作具3による機体停止のための操作対象は、上述の各実施形態で示したエンジン2の停止に限らず、主クラッチ(図外)の切り操作や、静油圧式の無段変速装置(HST)からなる主変速装置22の中立位置への変速操作であってもよい。
[3] 押さえ込みアーム4を支点x周りに起伏揺動可能に構成するのではなく、起立した姿勢のままで、ボンネット19に近接した格納姿勢及びボンネット19から前方に離れた作用姿勢に、前後方向にスライド自在に構成してもよい。
2 エンジン
3 機体停止操作具
4 押さえ込みアーム
5 ステアリングハンドル
40 予備苗のせ台
100 制御装置
101 エンジン停止装置
SW 押しボタンスイッチ
Claims (1)
- 走行車体への非搭乗状態で地上から操作することが可能な機体停止操作具を備えた乗用型作業車であって、
予備苗のせ台は、複数の苗載置枠を備えてあり、それら複数の苗載置枠を上下方向に間隔を隔てて並べる姿勢と、それら複数の苗載置枠を前後方向に連なる状態で並べる姿勢とに姿勢変更自在に構成され、
前記機体停止操作具は、前記予備苗のせ台がいずれの姿勢においても機体進行方向で最前部に位置するように前記予備苗のせ台に備えてあり、
走行車体の前端部には、その走行車体の横幅方向に沿う軸心周りで前後に起伏揺動可能な押さえ込みアームを備えている乗用型作業車。
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