JP5101205B2 - 医療用容器包装袋、および薬剤未混注の医療用容器包装体 - Google Patents
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Description
例えば薬剤入りの輸液バッグは、病院等に納入される迄の流通段階において、酸素や紫外線の透過を防止して内容物(薬剤)の変質を抑制し品質を保持したり、衛生性を確保したり、容器の傷などの機械的損傷を防止したりする目的で、通常、専用の包装袋に包装され搬送される。
一般に、病院等に納入される迄の流通段階で用いられる上述の包装袋(薬剤未混注の輸液バッグの包装袋)は、バリア性を有さないものも多い。
従って、薬剤混注済み輸液バッグの保管方法としては、ガスバリア性を有する新たな包装袋を用意し、この包装袋に薬剤混注済み輸液バッグを投入し包装袋の中の空気を抜いてヒートシールして密封する方法が一般的である。さらに、より安定した保管状態を維持するため、真空包装シール機を用いて包装袋内を脱気後、ヒートシールにより密封して保管されることもある。
近年では、輸液バッグの搬送と保管の用途に対応した包装袋が提案されている。例えば特許文献1には、開封される側の端部面域が開封方向に平行な向きの直線引裂き性を有し、直線状の切り口を有する開封口の端縁部を封止代として再封止できる包装体が開示されている。該包装体は、再封止性が改善されているため、薬剤入りの輸液バッグの搬送時に用いた後、一旦開封して他の薬剤を輸液バッグに混注し、再度薬剤混注済み輸液バッグを収容して保管することができる。
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の包装袋では、該包装袋内に空気が残存しやすく、特に混注された薬剤の変質を抑制することは必ずしも十分ではなかった。包装袋内に残存する空気量を低減し薬剤の変質を抑制するためには、真空機などを用いて包装袋内を脱気し、真空包装した後にヒートシール等により再封止する必要があり、作業性が低下しやすかった。
すなわち、本発明の医療用容器包装袋は、ガスバリア性フィルムを用いて形成された医療用容器包装袋において、再開封可能な封止手段と、当該医療用容器包装袋の内部を介して前記封止手段に対向して設けられ、医療用容器包装袋の内部から外部へ空気を排出し、かつ外部から内部への空気流入を防止する逆止弁機構とを有し、前記逆止弁機構の外気と接触する側の周縁部aを密封する密封代Aが設けられていることを特徴とする。
さらに、前記封止手段の外気と接触する側の周縁部bを密封する密封代Bが設けられていることが好ましい。
また、本発明によれば、薬剤未混注の医療用容器の搬送に用いた後、一旦開封して他の薬剤を医療用容器に混注し、薬剤混注済み医療用容器の保管に再使用できるので、医療用容器の搬送用と保管用に2種類の包装袋を使用する必要がなく、コストを低下でき、かつ、包装袋の廃棄量を半分に低減できる。
図1は、本発明の医療用容器包装袋(以下、「包装袋」という。)10の一例を示す平面図であり、図2は包装袋10の分解斜視図である。なお、この例の包装袋10は長方形の形状を示しているが、本発明においてはこれに限らず、他の形状の包装袋も実施可能である。
本発明の包装袋10は、図2に示すように、2枚のフィルム11が両側融着部11a、第1の底融着部11bおよび第2の底融着部11cでヒートシールされて袋状に形成される。各フィルム11はガスバリア性フィルムを備えており、該ガスバリア性フィルムと他のフィルムを積層した構造になっている。
ガスバリア性フィルムとしては、市販品を用いることもでき、例えば、凸版印刷株式会社製の「GLフィルム」、大日本印刷株式会社社製の「IBフィルム」、三菱樹脂株式会社製の「テックバリア」、株式会社クラレ製の「エバールフィルム」、旭化成株式会社製の「サランUB」、タマポリ株式会社製の「ハイトロンBX」などが挙げられる。
ガスバリア性フィルムの厚さは、7〜30μmが好ましい。
封止手段12は、前記2枚のフィルム11の間の開口部14側に配置されており、封止手段12を開封して1つ以上の医療用容器を開口部14から包装袋10に収容し、封止手段12を封止して包装袋10を密封する。
このような封止手段12としては、何度も開封および封止が可能であり、包装袋10内への医療用容器の出し入れができるものであれば特に限定されないが、例えば、チャック構造を有するもの、包装袋10の内面へ粘着剤を塗布したもの、粘着テープを貼付したもの、クランプで狭持したものなどが挙げられる。これらの中でも、操作性が良好で、かつ封止後の密封性に優れる点で、チャック構造を有するものが好ましい。
逆止弁機構13としては、上述した機能を有するものであれば特に限定されない。
この例の逆止弁機構13は、2枚のフィルム11の間に弁条片15を配置し、該弁条片15の上側融着部15aおよび下側融着部15bを各フィルム11にヒートシールすることで構成されている。なお、弁条片15の上側融着部15a、および下側融着部15bは、図1に示す2枚のフィルム11が接着した第1の底融着部11b、および第2の底融着部11cと各々重なる。
弁条片15の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
各連通路の幅W1は、包装袋10の大きさにもよるが、1〜8cmが好ましい。また、連通路の第1の通路口15cの口径Wc2、および第2の通路口15dの口径Wd2は、包装袋10の幅Wの1/30〜1/10倍が好ましい。なお、通路口15cの口径Wc2と通路口15dの口径Wd2は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、包装袋10の幅Wは、収容する医療用容器の大きさや収容数によって適宜変化するので制限されないが、例えば10〜50cmが好ましい。
なお、本発明においては、薬剤を混注していない医療用容器を「薬剤未混注の医療用容器」、該薬剤未混注の医療用容器に他の薬剤を混注したものを「薬剤混注済み医療用容器」という。
ここで、図3〜5に示す逆止弁機構13について説明する。
逆止弁機構113は、図3(b)に示すように、包装袋100の内部と外部とが連続するようにシートを扁平な筒状とした外筒部113aと、この外筒部113aの内部に設けられた弁条シート113bとを備えている。弁条シート113bを設けることで、包装袋100の内部から外部への空気の流れ(気流)を促し、逆方向の気流を遮断できる。
外筒部113aおよび弁条シート113bの材質としては、先に例示した弁条片15の材質の中から1種以上を選択して用いることができる。
なお、底融着部211bをヒートシールする際には、図4(a)、(f)に示す斜線部のような形状の金型を用いてヒートシールすればよい。
弁条シート213aの材質としては、先に例示した弁条片15の材質の中から1種以上を選択して用いることができる。
この例の包装袋300は、図5(a)に示すように、底融着部311bから所定距離おいた位置において、底融着部311bに対して平行になるようにヒートシールされた区画シール311cが形成されている。
なお、弁条シート313aの他方の面は、他方のフィルム311’’と密着している以外の部分が、他方のフィルム311’’に対して離反可能となっている。従って、弁条シート313aが他方のフィルム311’’に対して浮き上がり、一方のシート311’に対して密着することで脱気孔313cを塞ぐことができる。これにより、包装袋300の外部から内部への空気の流入を抑制できる。また、脱気孔313cを覆うように、一方のフィルム311’に対して脱着可能なシール部材313dを、一方のフィルム311’に設けておき、包装袋300内の空気を排出後、シール部材313dにて脱気孔313cを塞げば、より効果的に空気の流入を抑制できる。
弁条シート313aの材質としては、先に例示した弁条片15の材質の中から1種以上を選択して用いることができる。
本発明の包装袋を用いて薬剤を混注した薬剤混注済み医療用容器を収容して保管する場合、まず、図6(a)に示すように、封止手段12を開封して薬剤混注済み医療用容器71を収容して、封止手段12を封止する。次いで、図6(b)に示すように、包装袋10内部の空気を逆止弁機構13から外部へ排出する収容方法を用いることで、薬剤混注済み医療用容器包装体50が得られ、薬剤混注済み医療用容器71を密封した状態で保管できる。保管の際には、医療用容器に混注した薬剤の安定性を考慮して、冷蔵庫などの冷暗所にて保管するのが好ましい。
このように、本発明によれば、医療用容器の搬送に用いた包装袋を保管用に再使用できる。
ただし、本発明においては、包装袋を圧縮するなどの簡便な方法によって包装袋内の空気を外部へ排出できるので、真空機などの専用の装置や器具を用いなくても、包装袋内部の空気を容易に脱気し、かつ外部からの空気の流入を防止するので、特に医療用容器に混注された薬剤の変質を抑制できる。
このような包装袋を薬剤混注済み医療用容器の保管に用いる際には、周縁部aの任意の箇所、例えば図7に示す切断線16に沿って切断することで、逆止弁機構13の周縁部aが露出し、包装袋内部の空気を外部へ放出可能となる。
このような包装袋を薬剤混注済み医療用容器の保管に用いる際には、周縁部bの任意の箇所、例えば図7に示す切断線17に沿って切断することで、封止手段12の周縁部bが露出するので、封止手段12を開封して薬剤混注済み医療用容器を包装袋内に収容できる。
従って、包装袋を薬剤未混注の医療用容器の搬送に用いる際に、搬送の衝撃などから封止手段12や逆止弁機構13を保護し、これらの損傷を効果的に抑制できる。
包装袋20は、密封代Aと密封代Bの両方が設けられた構造でもよく、いずれか一方の密封代が設けられた構造でもよいが、両方の密封代が設けられた構造がより好ましい。
このような方法によれば、封止手段12の開封、封止操作を行わなくても、切断、ヒートシールなどの簡便な操作で、かつ量産的に薬剤未混注の医療用容器72を包装袋に収容でき、さらには、封止手段12や逆止弁機構13の損傷を効果的に抑制しながら病院などまで搬送できる。
まず、ガスバリア性フィルムとシーラントフィルムとを、接着剤を介してドライラミネート法により積層し、ガスバリア性積層フィルムを2枚作製する。
次いで、封止手段および逆止弁機構を、図1に示すような配置構成になるように、2枚のガスバリア性積層フィルムで挟持し、図1や図7に示すような構造になるように両側融着部や底融着部など、必要な箇所をヒートシールして溶着させることで製造できる。
従って、本発明の包装袋を用いて薬剤を混注した薬剤混注済み医療用容器を保管する場合、封止手段を開封して薬剤混注済み医療用容器を収容し、封止手段を封止し、包装袋内部の空気を逆止弁機構から外部へ排出することで、薬剤混注済み医療用容器を密封した状態で保管できる。逆止弁機構は、包装袋外部から内部への空気の流入を防止できるので、空気などに対して不安定な溶剤を医療用容器に混注した場合であっても、溶剤の変質を抑制できる。
[実施例1]
<包装袋の製造>
ガスバリア性フィルム(凸版印刷株式会社製、「GLフィルム GL−AU」、厚さ:15μm)と、直鎖状低密度ポリエチレン性シーラントフィルム(厚さ:60μm)とを、ウレタン系接着剤を使用してドライラミネートにより積層し、さらに封止手段としてチャック(出光ユニテック株式会社製)をヒートシールにより取り付けたガスバリア性積層フィルムを作成した。このフィルムを50cm×40cmに切断した。
切断したフィルム2枚を使用し、シーラントフィルム面同士が接するように重ね合わせ、図2に示すような逆止弁機構13を制作し、開口部14(封止手段の周縁部b)を除く3方をヒートシールし、図8(a)に示すような、逆止弁機構13の周縁部aも密封代Aにて密封された包装袋30を製造した。
次に、薬剤未混注の医療用容器72として、500mlアミノ酸含有製剤輸液バッグと、脱酸素剤(三菱瓦斯化学株式会社製、「エージレス」)を、封止手段12を開封して包装袋30内に収容し、封止手段を封止して、開口部(封止手段の周縁部)に設けた密封代Bを密封し、図8(b)に示すような薬剤未混注の医療用容器包装体60を製造した。
一週間保管後の薬剤混注済み医療用容器を目視にて観察した結果、外観上の変化は見られなかった。
実施例1と同様のガスバリア性積層フィルムを使用し、4方をヒートシールし、図7に示すような、逆止弁機構13の周縁部a、および封止手段12の周縁部bが密封代Aおよび密封代Bにて密封された包装袋20を製造した。
先に製造した包装袋20の密封代A、Bを、切断線16、17に沿って切断し、封止手段12を開封して、薬剤混注済み医療用容器を収容し、封止手段12を封止した。これ以降の操作を実施例1と同様に行った。
一週間保管後の薬剤混注済み医療用容器を目視にて観察した結果、外観上の変化は見られなかった。
薬剤未混注の医療用容器72として、剥離可能な隔壁で仕切られた2室に糖および電解質液と、アミノ酸液とが各々収容された輸液バッグ(内容量:1200mL)を用い、混注操作として、2室を仕切る隔壁を開通させて混合させる操作を行った以外は、実施例1と同様の操作を実施した。
4℃の冷蔵庫で3日間保管後の薬剤混注済み医療用容器を目視にて観察した結果、外観上の変化は見られなかった。
薬剤混注済み医療用容器を包装袋に収容しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
一週間保管後の薬剤混注済み医療用容器を目視にて観察した結果、医療用容器の内溶液には変色が認められ、沈殿物が確認できた。
また、溶剤未混注の医療用容器の搬送に用いた後に、溶剤混注済み医療用容器の保管にも再使用可能である。
Claims (3)
- ガスバリア性フィルムを用いて形成された医療用容器包装袋において、
再開封可能な封止手段と、当該医療用容器包装袋の内部を介して前記封止手段に対向して設けられ、医療用容器包装袋の内部から外部へ空気を排出し、かつ外部から内部への空気流入を防止する逆止弁機構とを有し、
前記逆止弁機構の外気と接触する側の周縁部aを密封する密封代Aが設けられていることを特徴とする医療用容器包装袋。 - 前記封止手段の外気と接触する側の周縁部bを密封する密封代Bが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の医療用容器包装袋。
- ガスバリア性フィルムを用いて形成された医療用容器包装袋に、薬剤未混注の医療用容器が包装された薬剤未混注の医療用容器包装体であって、
前記医療用容器包装袋は、再開封可能な封止手段と、医療用容器包装袋の内部を介して前記封止手段に対向して設けられ、医療用容器包装袋の内部から外部へ空気を排出し、かつ外部から内部への空気流入を防止する逆止弁機構とを有し、かつ、前記封止手段および逆止弁機構の外気と接触する側の周縁部が密封されたことを特徴とする薬剤未混注の医療用容器包装体。
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