本発明に係るシュラウドヘッドの補修方法およびその補修構造の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、沸騰水型原子力発電プラント(BWRプラント)に備えられる原子炉圧力容器(RPV)1を示し、このRPV内1内に設けられた炉心シュラウド2によって炉心3が取り囲まれている。炉心シュラウド2はステンレス鋼の円筒で、この炉心シュラウド2の上部にはシュラウドヘッド4がフランジ接合にて一体に構成される。シュラウドヘッド4の上には気水分離器5がスタンドパイプ6を介して溶接される。
シュラウドヘッド4により、炉心出口側に炉心上部プレナム7が形成され、図示しない燃料集合体毎に別々に上昇してきた気水混合流を炉水上部プレナム7で気水分離器5のスタンドパイプ6に入る前に均一に混合している。気水分離器5の上方に蒸気乾燥器8が設けられており、この蒸気乾燥器で乾燥された乾き蒸気(主蒸気)は、主蒸気管9を通り図示しない蒸気ターピンに送られる。
原子力発電プラント運転中には、シュラウドヘッド4は炉心シュラウド2上部に図示しないシュラウドヘッドボルトに固定、設置されており、地震等が発生した場合でもシュラウドヘッド4が移動する可能性は小さい。
一方、原子力発電プラントは、燃料交換等のために定期的に運転が休止され、定期検査が行なわれる。定期検査中には、図2に示すように原子炉ウェル11に水を張った状態で図示しない天井クレーンを利用して行なわれ、RPV1の上蓋1aを取り外した後、蒸気乾燥器8および気水分離器5を順次取り外して、DSプール(DSピット)12に水中移動させ、このDSプール12に仮置きされる。蒸気乾燥器8および気水分離器5の水中移動も天井クレーンを利用して行なわれる。
炉心シュラウド5から取り外されたシュラウドヘッド4は、気水分離器5およびスタンドパイプ6と一体となって水中移動される。シュラウドヘッド4には、この移動のために設けられた複数本、例えば4本の吊り棒があり、この吊り棒の下端部でDSプール12の床面上に自立状態で仮置き設置される。
定期検査中において、シュラウドヘッド4がDSプール12に設置された状態で地震が発生すると、地震の加速度およびDSプール12内の水のスロッシングによりシュラウドヘッドが揺すられ、吊り棒が変形する可能性がある。吊り棒の変形量が大きくなると、シュラウドヘッド4を炉心シュラウド2に取り付ける際、吊り棒が炉心シュラウド2と干渉したり、ガイドピンも変形してしまい、シュラウドヘッド4を炉心シュラウド2へ再据付けすることが困難となる。
そこで、変形したガイドピンや吊り棒を新しいガイドピンや吊り棒に取り替えるシュラウドヘッド4の補修作業が実施される。シュラウドヘッド4の補修作業は、DSプール12で水中遠隔作業により行なわれる。このシュラウドヘッド4の補修作業により、変形したガイドピンおよび吊り棒は、新しいガイドピンおよび吊り棒と取り替えられる。DSプール12内で水中補修作業を終えたシュラウドヘッド4はRPV1内の炉心シュラウド2に再び取り付け、据え付けるために、天井クレーンが用いられる。
図3は、補修されたシュラウドヘッド4を炉心シュラウド2に取り付け、再据え付けした状態を示す部分断面図である。
補修されたシュラウドヘッド4はRPV1内設置の炉心シュラウド2に据え付けられる。シュラウドヘッド4のリム胴4aには、ガイドピンブラケット15が直径方向に対向して、例えば2箇所に設けられる。ガイドピンブラケット15は、シュラウドヘッド4のリム胴4aから放射方向外方に突出しており、先端には図示しない案内棒にスライド自在に係合する案内溝14aが形成され、途中に既設スリーブ15が設けられる。既設スリーブ16はスリーブ下端の外周フランジ16aとスリーブナット17によりガイドピンフランジ15に固定される。
シュラウドヘッド4は、そのリム胴4aに放射方向に突出するようにガイドピンブラケット15および吊り棒ブラケット(図示せず)がそれぞれ固設される。
ガイドピンブラケット15に設けられた既設ガイドピンのスリーブ16に新ガイドピン20が挿設され、この新ガイドピン20は、ヘッド部20aの軸方向寸法が、取り外された既設ガイドピンのヘッド部軸方向寸法と同様に、かつ前記既設スリーブ16と嵌め合いで取り合う部位を有している。
新ガイドピン20は、既設スリーブ16に挿入されると、既設ガイドピンと同等の芯出し位置に設けられる。
また、新ガイドピン20は、既設ガイドピンの最下方位置で炉心シュラウド4のガイドピンブラケット用孔27および既設ガイドピンの既設スリーブ16と嵌め合いで取り合う部位を有する。新ガイドピン20はヘッド部より若干細径の肩部分で、既設スリーブ16下面と取り合っている。
しかして、既設スリーブ16には、下方から頭部(ヘッド)付きの新ガイドピン20が挿通される。新ガイドピン20は既設スリーブ16を貫いて上方に突出し、この突出部に固定用ナット21がねじ結合している。固定用ナット21は薄肉スリーブ状のナットスカート22を一体に備えており、このナットスカート22が新ガイドピン20の先端突出ピンロッド部に形成された複数条、例えば4本の軸方向溝23にかしめられる。ナットスカート22を軸方向溝23にかしめて固定することにより、固定用ナット21は廻り止めされ、緩みが確実に防止される。
また、RPV1内に設置された炉心シュラウド2の上部胴2aに外フランジ25が設けられ、この外フランジ25に案内棒挿通孔26およびガイドピンブラケット孔27が設けられる。
補修されたシュラウドヘッド4を位置合せして炉心シュラウド2に据え付けたとき、シュラウドヘッド4に設けられたガイドピン20は、炉心シュラウド2のガイドピンブラケット孔27を挿通して据え付けられる。
一方、BWRプラントの中には、図3に示すように炉心シュラウド2の頂部に耐震ピン30を設けたものがある。耐震ピン30は、炉心シュラウド2の頂部に周ほこに沿って複数本、例えば36本設けられる。炉心シュラウド2に耐震ピン30を植設して設けた場合には、シュラウドヘッド4の対向面に耐震ピン用孔31が設けられ、各耐震ピン30は各耐震ピン用孔31にそれぞれ係合して据え付けられる。
しかして、図3に示す補修されたシュラウドヘッド4を炉心シュラウド2に取り付けられたシュラウドヘッド4の据付構造においては、新ガイドピン20はシュラウドヘッド4に固定式とされる。
新ガイドピン20は、除去された既設ガイドピンの最下降位置と取り合いとなる軸方向寸法に構成される。新ガイドピン20のヘッド部(最大径部)の軸方向寸法は除去された既設ガイドピンの軸方向寸法と同様であり、炉心シュラウド2のガイドピンブラケット孔27と干渉の逃げのために、若干径が細くなっているガイドピンヘッド部に続く胴部20bの上部テーパ部(肩部)で既設スリーブ16に形成されたスリーブ下面側の拡開テーパ部16aと取り合う構成となっていた。
新ガイドピン20は、既設ガイドピンの既設スリーブ16と嵌め合い、取り合う部位を有しており、既設スリーブ16内に新ガイドピン20を挿入すると新ガイドピン20が既設のガイドピンと同等の芯位置に取り付く構成となっている。
新ガイドピン20は、既設ガイドピンの既設スリーブ16に固定用ナット21で機械的に結合され、締結される。
新ガイドピン20は固定用ナット21と取り合うねじ部の上方のロッド部に軸方向溝23が設けられる。一方、固定用ナット21上面には薄肉のナットスカート22が設けられ、固定用ナット21を締め付け後に固定用ナット21のナットスカート22部を新ガイドピン20の軸方向溝23に合せてかしめることにより機械的に固定用ナット21の周り止め/緩み止めとなる。
次に、図4を参照して、シュラウドヘッド補修作業におけるシュラウドヘッド修理の準備工程について説明する。
BWRプラントの定期検査中に、シュラウドヘッド4がDSプール12に設置された状態で発生した地震の作用を受け、地震の加速度およびDSプール内の水のスロッシングにより、シュラウドヘッド4が揺すられ、吊り棒やガイドピンが変形する可能性がある。シュラウドヘッド4の既設の吊り棒やガイドピンが変形した場合には、DSプール12に設置されたシュラウドヘッド4の補修作業が行なわれる。
シュラウドヘッド4の補修作業においては、そのシュラウドヘッド修理のためにシュラウドヘッド補修用架台が、図4に示すように用意される。
シュラウドヘッド補修用架台35は、天井クレーンを用いて原子炉建屋内のオペレーションフロア36上に搬入され、オペレーションフロア36にDSプール12を跨いで走行自在に設置される台車の昇降機(シルバーホイスト)がアクセス可能な場所に仮置きされる(図4(A)参照)。
その際、シュラウドヘッド4の吊り棒44下端とDSプール12が干渉し、DSプール12のライナーが損傷している可能性がある部位に簡易的なシールを設置し、DSプールのプール水の漏洩が防止される。
また、シュラウドヘッド補修用架台35を4箇所以上に分割することにより、天井クレーンを使用することなく、シュラウドヘッド補修用架台35をシュラウドヘッド4の下方に、台車の昇降機(ホイスト)を利用して設置することができる。
続いて、シールライニング設置位置目印用アイナットを操作ポールに取り付ける一方、オペレーションフロア36上で台車をシュラウドヘッド4の吊り棒上に移動し、吊り棒の下端がDSプール床面と干渉している位置の近傍のプール床面にアイナットを仮置きする。天井クレーンに吊設ワイヤを介してDS吊り具37を取り付け、このDS吊り具37をシュラウドヘッド4に取り付ける(図4(B)参照)。
続いて天井クレーンを低速で上昇させてシュラウドヘッド4を吊り上げる。このとき、シュラウドヘッド4はDSプール12のプール水に水没させておく。
その後、シュラウドヘッド4をDSプール12中に吊設した状態で原子炉ウェル11上に待機させておく(図4(C)参照)。
次に、オペレーションフロア36上で台車を仮置きしたアイナット上に移動させ、シールライニング取付装置38にシールライニング39を取り付け、DSプール12のプール床面とシュラウドヘッド4の吊り棒とが干渉した位置へ設置する(図4(D)参照)。
シールライニング39設置後、アイナットはJフック状の操作ポールで回収し、撤去する。
続いて、台車のグラップルがDSプールの角部40の直上に位置するように台車およびグラップル位置と調整する。その際、台車およびグラップルの位置を基準点としてマーキングする。
次に、オペレーションフロア36に仮置きしておいたシュラウドヘッド補修用架台35を台車のグラップルで吊り上げる。
シュラウドヘッド補修用架台35は、オペレーションフロアの被曝線量を考慮し、シュラウドヘッド4に取り付けられている気水分離器の上端がDSプール12のプール水面から1m以上水没している高さに保持される。
シュラウドヘッド4を修理する際には、各シュラウドヘッド補修用架台35の据付性を考慮して設定したシュラウドヘッド4の向きから選定したシュラウドヘッド補修用架台35の設置位置に、先にマーキングした台車およびグラップルの位置から距離を基にシュラウドヘッド補修用架台35を設置する(図4(E)参照)。
シュラウドヘッド補修用架台35の床面に設けた溝のDSプール12のシュラウドヘッド受け用パッチを跨いでいることを確認する一方、この確認後に残りの3台のシュラウドヘッド補修用架台35と同様にして設置する。
また、このときには、吊り棒受け架台を吊り棒が配置されているDSプール12の床面上に設置する。
その後、原子炉ウェル11上で待機していたシュラウドヘッド4を天井クレーンを用いてシュラウドヘッド補修用架台35上に着座させる(図4(F)参照)。着座の際には、シュラウドヘッドボルトがシュラウドヘッド補修用架台35と干渉しないように監視する。
続いて、シュラウドヘッド4からDS吊り具を天井クレーンを用いて取り外して所定の位置に移動させて、その位置で天井クレーンから切り離す。
次に、天井クレーンにヘッドボルト吊り具を取り付け、この吊り具を用いてシュラウドヘッド4からガイドピンブラケット15(図3参照)の両側のシュラウドヘッドボルトを取り外し、DSプール12内に保管される(図4(g)参照)。
天上クレーンに取り付けられたヘッドボルト吊り具を用いてシュラウドヘッド4からターゲットとなるシュラウドヘッドボルトを取り外して保管することにより、シュラウドヘッド修理の準備工程が終了し、シュラウドヘッド修理作業が図4(H)に示すように実施される。シュラウドヘッド修理作業後に、シュラウドヘッドにシュラウドボルトが戻される(図4(H)参照)。
ところで、シュラウドヘッドの補修作業は、シュラウドヘッド補修用架台35を設置することを前提に、損傷した既設吊り棒44がシュラウドヘッド4の吊り棒ブラケットから取り外されて交換される一方、損傷した既設ガイドピンがガイドピンブラケット15から取り外され、交換される。
DSプール12内で損傷したシュラウドヘッド4の既設ガイドピン54および吊り棒44を水中で遠隔切断装置により切断し、前記シュラウドヘッド4から撤去することができる。その場合、シュラウドヘッド4を補修用架台35に設置後、シュラウドヘッド4をシュラウドヘッド補修用装置類と干渉する可能性のあるシュラウドヘッドボルトを天井クレーンを用いて撤去し保管することができる。その際、シュラウドヘッド4の損傷した既設ガイドピン54を水中遠隔で切断し、新たなガイドピン20を撤去した部位へ水中遠隔で取り付ける。
シュラウドヘッド4の補修作業は、原子炉建屋のDSプール12内で行なわれる。既設吊り棒44は、シュラウドヘッド4の外周部に吊り棒取付ブラケット45により複数本、例えば4本等間隔に設けられており、地震等で損傷した既設吊り棒44は、図5に示すように、シュラウドヘッド4の吊り棒取付ブラケット45から吊り棒遠隔切断装置としての吊り棒切断EDM装置46により、切断撤去作業が実施される。
シュラウドヘッド修理の吊り棒切断工程では、吊り棒切断EDM装置46をEDM電源およびエア操作盤に接続する。
エア操作盤やEDM電源を操作して吊り棒把持部47や電極48が動作することを確認する。DSプール12内に図示しない水中カメラや照明器具を投入し、既設吊り棒44がモニタに映っていることを確認する。
続いて、図示しない吊り棒架台を切断する既設吊り棒44の下方に設置する。設置の際には、既設吊り棒44の下端が固定され、切断最中に既設吊り棒44が傾き、電極48を挟み込むのを防止している。
次に、DSプール12上を跨いで走行する図示しない台車の昇降機としてのシルバーホイストでワイヤーロープを介して吊り棒切断EDM装置46を吊り上げる。
台車を切断する既設吊り棒44の上方へ移動させ、シルバーホイストで吊り棒切断EDM装置46を吊り棒ブラケット45上面まで吊り下ろす。吊り棒切断EDM装置48の吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいので水中カメラで確認しながら実施すること。
昇降機としてのシルバーホイストを更に下ろし、吊り棒切断EDM装置46をシュラウドヘッドリム胴4a上面に着座させる。
吊り棒切断EDM装置46上部の吊り棒把持部47が既設吊り棒44を挟み込んでいることを確認後、エア操作盤を操作し既設吊り棒44を把持し吊り棒切断EDM装置46を固定する。このとき電極48が吊り棒ブラケット45と既設吊り棒44の溶接部より下方にあることを確認する。
吊り棒切断EDM装置46を起動し、電極48が回転していることを確認後、吊り棒の切断を吊り棒取付ブラケット45の下方で開始する。
既設吊り棒44の切断が完了したら回転電極48を最初の引出し位置に移動させる。
切断した既設吊り棒44を吊り棒受け架台で回収し、続いてエア操作盤を操作し吊り棒把持部47を解除する。
シルバーホイストを引き上げ吊り棒切断EDM装置46がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう注意しながら引き上げる。続いて、図示しない磨き装置にエア操作盤を接続し、そのブラシ部が動作することを確認する。
磨き装置を操作ポール(図示せず)に取り付け、吊り棒切断面まで吊り下ろし、ブラシ部で切断面を磨き施工する。
EDM加工によるすすを除去した後、磨き装置を引き上げる。
同様の手順で残りの3本の既設吊り棒44を吊り棒切断EDM装置46を用いて順次切断撤去する。必要により回転電極48の交換を行なう。
既設吊り棒44を吊り棒取付ブラケット45の下方で切断した後、切断した部位に切断撤去した吊り棒44と同じ形状の新吊り棒51を切断した部位にねじ結合により、図6(A),(B)に示すようにねじ結合させたり、あるいは溶接により取り付けて復旧させても(特願2008−209231の明細書または図面参照)、また、シュラウドヘッド架台をDSプール12内に設置することを前提として、新しい吊り棒は設けない図7に示すような復旧構成としてもよい。
また、シュラウドヘッド4の補修作業では、既設吊り棒44の切断・撤去作業や、新吊り棒51の取付設置作業と前後して、既設ガイドピン54の切断・撤去作業や新ガイドピン20の取付・設置作業が行なわれる。
シュラウドヘッド4の補修作業において、既設ガイドピン54の取外し作業は、図8ないし図11に示すようにして行なわれる。
シュラウドヘッド修理も、DSプール12内で実施され、地震で損傷した既設ガイドピン54の取外し作業は、ガイドピン遠隔切断装置としてのガイドピン切断EDM装置55を用いて行なわれる。
この場合にも、ガイドピン切断EDM装置55をEDM電源およびエア操作盤に接続し、エア操作盤を操作し、コネクタ把持部56が動作することを確認し、また、EDM電源を操作し、電極57が取り付けられている操作アーム58が、回動軸59廻りに例えば90度回転することを確認する。既設ガイドピン54のコネクタ59を把持するアーム60は、開いた状態にセットしておく。このアーム60は、ガイドピン切断EDM装置55の装置本体61に設置され、この装置本体61から側方に延びている。
続いて、水中カメラおよび照明器をDSプール12内に投入し、切断する既設ガイドピン54がモニタに映っていることを確認する。
DSプール12を跨って走行する台車のシルバーホイストを用いてガイドピン受け架台を、切断する既設ガイドピン54の下方へ設置する。台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してガイドピン切断EDM装置55を吊り上げる。
次に、台車を切断する既設ガイドピン54の上方へ移動し、シルバーホイストでガイドピン切断EDM装置55をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり、上方からは見えにくいので水中カメラで確認しながら実施する。
シルバーホイストを更に下ろし、ガイドピン切断EDM装置55をガイドピンブラケット15上面に着座させる。
ガイドピン切断EDM装置55上部のコネクタ把持部56がコネクタ59を挟み込んでいることを確認後、エア操作盤を操作してコネクタ59を把持し、ガイドピン切断EDM装置55を固定する。このとき電極57が既設スリーブ16下面より下方にあることを確認しておく。
ガイドピン切断EDM装置55を起動し、既設ガイドピン54の切断を開始する。切断した既設ガイドピン54をガイドピン受け架台で回収する。切断が完了したら電極57のアーム58を開いた位置に移動させる。
また、シュラウドヘッドの損傷した既設ガイドピン54を既設スリーブ16の下端位置で遠隔切断装置75により切断しガイドピンのヘッド部を撤去することができる。
エア操作盤を操作しコネクタ把持部56を解除する。
シルバーホイストを引き上げガイドピン切断EDM装置55がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう注意しながら引き上げる。
ガイドピン上端のナットにガイドピン操作治具を取り付け既設ガイドピン残存部が回転可能か否かを確認する。既設ガイドピン54が回転しない場合はガイドピン追い込み加工を実施する。既設ガイドピン54aが回転可能な場合は追い込み加工が不要となるためストッパ除去加工を実施する。
次に、図9に示すように、ガイドピン追い込みEDM装置65を電源およびエア操作盤に接続する。
エア操作盤を操作し把持部が動作すること、アームロックピン66が動作することを確認する。
EDM電源を操作し電極67が取り付けられている操作アーム68が上昇/下降すること、また、例えば、90°回転すること、さらに電極67が回転することを確認する。動作確認後は電極が取り付けられている操作アーム68を開いた状態でアームロックピン66で操作アーム68が固定され、かつ下降位置とする。
続いて、水中カメラおよび照明器を投入し、追い込み加工するガイドピン残存部54aがモニタに映っていることを確認する。
台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してガイドピン追い込みEDM装置65を吊り上げる。
台車を追い込み加工するガイドピン残存部54aの上方へ移動させ、シルバーホイストでガイドピン追い込みEDM装置65をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいのでカメラで確認しながら実施する。
シルバーホイストを更に下ろし、ガイドピン追い込みEDM装置65をガイドピンブラケット15上面に着座させる。
ガイドピン追い込みEDM装置65上部のコネクタ把持部70がコネクタ59を挟み込んでいることを確認後、エア操作盤を操作しコネクタ59を把持しガイドピン追い込みEDM装置65を固定する。
エア操作盤を操作しアームロックピン66を引き抜き操作アーム68を動かすことが可能な状態とする。
EDM操作盤で操作アーム68を、例えば90°回転させ、電極67をガイドピン残存部54aの下方へ移動させる。エア操作盤を操作し操作アーム68をアームロックピン66で固定する。このとき、電極67とガイドピン残存部54aの軸がほぼ合っていることを水中カメラで確認する。
ガイドピン追い込みEDM装置65を起動し、ガイドピン残存部54aの追い込み加工を開始する。
カメラで監視しながら加工を進め、既設スリーブ16内の台形ねじ部54bまで加工が進んだ時点で一旦加工を停止する。
電極67を下降させて、アームロックピン66を解除し、操作アーム68を開状態に戻す。ガイドピン上端のナットにガイドピン操作治具を取り付け残存ガイドピン54bが回転可能か否かを確認する。
既設ガイドピン54が回転可能となったら加工完了となるが、残存ガイドピン54bが回転しない場合は追込み加工を再開する。
追い込み加工と残存ガイドピン54bが回転可能か否かの確認を繰り返し残存ガイドピン54bが回転可能となった時点で追い込み加工完了とする。このように、既設ガイドピン54が回転しない場合は、既設スリーブ16内のねじ部下方の損傷部を遠隔切断装置75により既設ガイドピン54が回転することができるまで除去することができる。
追い込み加工完了後、電極を下降し、アームロックピン66を解除し操作アーム68を開状態に戻した状態でアームロックピン66で操作アーム68を固定する。
エア操作盤を操作しコネクタ把持部69を解除する。
コネクタ把持部69の解除後にシルバーホイストを引き上げガイドピン追い込みEDM装置65がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう注意しながら引き上げる。
以下、同様の手順でもう一方の既設ガイドピン54の追い込み加工を実施する。
磨き装置にエア操作盤を接続し、そのブラシ部が動作することを確認する。
磨き装置を操作ポールに取り付け、ガイドピン追い込み加工面まで吊り下ろし、ブラシ部で加工面を磨き施工する。
EDM加工によるすすを除去した後、磨き装置を引き上げる。
その後、図10に示すように、ストッパ除去EDM装置75を電源およびエア操作盤に接続する。
エア操作盤を操作しガイドロッド把持部71、ガイドピンブラケット把持部が動作することを確認する。確認後は開状態にしておく。
EDM電源を操作し電極72が前後にスライドすることを確認する。確認後は最引き出し位置に移動しておく。
ストッパ除去EDM装置75は、装置本体76に設けられた頂部のビット77にソケット78を差込み電極部が上下に動くことを確認する。確認後は中間位置にしておき、ソケット78を取り外す。
水中カメラおよび照明器を投入し、残存ガイドピン54bの円盤状ストッパ79がモニタに映っていることを確認する。
台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してストッパ除去EDM装置75を吊り上げる。
台車をストッパ79を除去する残存ガイドピン54bの上方へ移動し、シルバーホイストでストッパ除去EDM装置75をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいのでカメラで確認しながら実施する。
シルバーホイストを更に下ろし、ストッパ除去EDM装置75の装置本体76をガイドピンブラケット15上面に着座させる。
ストッパ除去EDM装置76上部のガイドロッド把持部71がロッド80を挟み込んでいること、底部の把持部81がガイドピンブラケット15を挟み込んでいることを確認後、エア操作盤を操作し、ロッド80およびガイドピンブラケット15を把持し、ストッパ除去EDM装置75を固定する。
操作ポール82を利用して、ソケット78を取り付けストッパ除去EDM装置75頂部のビット77に挿入し、カメラで確認しながら電極72の高さをストッパ79の高さに合せる。
続いて、ストッパ除去EDM装置75を起動し、ストッパ除去加工を開始する。
ストッパ除去加工では、電極72を残存ガイドピン54aのストッパ79廻りに、180°の範囲でロッド80部の径までストッパ79の除去が完了した後、加工を停止し、電極を後退させる。
ガイドピン上部にガイドピン取扱い治具を取り付け残存ガイドピン54bを半周回転させてストッパ79の残存部を電極72側に向ける。
ストッパ除去EDM装置75頂部のビット77に挿入しているソケット78を、操作ポール82を利用して回動させ、水中カメラで確認しながら電極72の高さをストッパ79の高さに合せる。
ストッパ除去EDM装置75を起動し、残存部のストッパ79の除去加工を開始し、ロッド80の外径までストッパ79を除去する。全周に渡りストッパ79の残存部がないことを確認する。ストッパ残存部がある場合には同様の手順でストッパ残存部を除去する。加工後は電極72を後退させる。
ストッパ79除去完了後、エア操作盤を操作し上下の把持部71,81を解除する。
シルバーホイストを引き上げ、ストッパ除去EDM装置75がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう引き上げる。
同様の手順でもう一方の既設ガイドピン54のストッパ79除去加工を実施される。
このようにして既設ガイドピン54のピンロッド上部に取り付けられているストッパ79を遠隔切断装置75により外径がガイドピンのロッド外径と同等以下になるように除去することかできる。
既設ガイドピン54のストッパ79が全周に亘り除去されたら、ストッパ除去用電極72をスリット加工用電極と交換する。ストッパ除去EDM装置75のストッパ除去用電極72を、スリット加工用電極に交換した後、ストッパ除去EDM装置75に電源およびエア操作盤に接続する。
エア操作盤を操作しガイドロッド把持部71、ガイドピンブラケット把持部81が動作することを確認する。確認後は各把持部71,81を状態にしておく。
EDM電源を操作し、スリット加工用電極が前後にスライドすることを確認する。確認後は最引き出し位置に移動しておく。
ストッパ除去EDM装置75に設けられた頂部のビット77にソケット78を差込みスリット加工用電極部が上下に動くことを確認する。確認後は中間位置にセットして、ソケット78を取り外す。
続いて、DSプール12内に水中カメラおよび照明器を投入し、スリットを加工する既設ガイドピン54がモニタに映っていることを確認する。
台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してストッパ除去EDM装置75を吊り上げる。
台車をスリット加工する既設ガイドピン54の上方へ移動し、シルバーホイストでストッパ除去EDM装置75をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいのでカメラで確認しながら実施する。
シルバーホイストをさらに下ろし、ストッパ除去EDM装置75をガイドピンブラケット15上面に着座させる。
ストッパ除去EDM装置75上部のガイドロッド把持部71ガイドがロッド80を挟み込んでいること、底部の把持部81がガイドピンブラケット15を挟み込んでいることを確認後、エア操作盤を操作しガイドロッド80およびガイドピンブラケット15を把持しストッパ除去EDM装置75を固定する。
操作ポール82を用いてソケット78を取り付けストッパ除去EDM装置75頂部のビット77に挿入し、水中カメラで確認しながらスリット加工用電極の高さをコネクタ59下端の高さに合せる。このときスリット加工用電極がガイドロッド80の中心にあることを確認する。
続いて、ストッパ除去EDM装置75を起動し、既設ガイドピン54のピンロッド頂部にスリット加工を開始する。スリット加工用電極がガイドロッド80部を貫通するまで加工する。既設ガイドピン54のピンロッド頂部にスリット加工後はスリット加工用電極を後退させる。
スリット加工完了後、エア操作盤を操作し上下の把持部71,81を解除する。
シルバーホイストを引き上げストッパ除去EDM装置がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう引き上げる。
同様の手順でもう一方の既設ガイドピン54のスリット加工を実施する。
スリット加工後にロッド上端へロッド取扱い治具を取り付け治具をロープでDSプールの手摺りに固縛する。
既設ガイドピン54の上部と操作ロッド80を接続しているコネクタ59の下方のガイドピン上部の中心部に遠隔切断装置75によりスリット加工を実施することができる。
次に、図11に示すように、ロッド切断EDM装置85を電源およびエア操作盤に接続する。そして、エア操作盤を操作しロッド把持部86が動作することを確認する。
EDM電源を操作し回転電極90が回転し、送り軸が動作することを確認する。
続いて、DSプール12に水中カメラおよび照明器を投入し、切断するコネクタ59がモニタに映っていることを確認する。
台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してロッド切断EDM装置85を吊り上げる。
吊り込み時に回転電極90がシュラウドヘッド4の構造物等と衝突し破損しないように回転電極を最引き出し位置にセットする。
台車を切断する既設ガイドピン54の上方へ移動し、シルバーホイストでロッド切断EDM装置85をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいのでカメラで確認しながら実施する。
シルバーホイストを更に下ろし、ロッド切断EDM装置85をコネクタ59近傍まで吊り下ろす。
ロッド切断EDM装置85上部のロッド把持部86がガイドロッド80を挟み込んでいることを確認後、エア操作盤を操作しガイドロッド80を把持し、ロッド切断EDM装置85を固定する。このとき、回転電極90がコネクタ59の下端位置になるようにシルバーホイストで調整する。位置がずれている場合はエア操作盤で把持力を弱めシルバーホイストで高さを調節し、位置が決まったらエア操作盤で把持力を強めロッド切断EDM装置85を固定する。
ロッド切断EDM装置85を起動し、回転電極90が回転していることを確認後、ガイドロッド80の切断を開始する。
ガイドロッド80の切断が完了したら回転電極90を最引き出し位置に移動する。
エア操作盤で把持力を弱めシルバーホイストで回転電極90の位置がコネクタ59より上方になるよう高さを調節し、位置が決まったらエア操作盤で把持力を強めロッド切断EDM装置85を固定する。
ロッド切断EDM装置85を起動し、回転電極90が回転していることを確認後、ガイドロッド80を切断しコネクタ59を取り外す。
切断したコネクタ59をガイドピン受け架台で回収する。続いて、エア操作盤を操作しロッド把持部86を解除する。
シルバーホイストを引き上げ、ロッド切断EDM装置85がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう引き上げる。
DSプール12に固縛していたロッド取扱い治具のロープをほどき、天井クレーンでガイドロッド80部をシュラウドヘッド4から引き抜き、DSプール12内に仮置きする。
同様の手順でもう一方の既設ガイドピン54のコネクタ59を取外し、ガイドロッド80部をシュラウドヘッド4から引き抜き仮置きする。このようにして、既設ガイドピン54の上部と操作ロッド80を接続しているコネクタ59下方のガイドピン上部を遠隔切断装置85により切断し、既設ガイドピン54とコネクタ59を分離することができる。
また、既設ガイドピン54の上部と操作ロッド80を接続しているコネクタ59の上方の操作ロッド80を遠隔切断装置85により切断しコネクタ59を撤去し、操作ロッド80をシュラウドヘッド4の上部/下部リングから引き抜き撤去することができる。
さらに、既設ガイドピン54の上部に設けたスリットにガイドピン取外し治具96を取り付け、ガイドピン取外し治具96を用いて既設ガイドピン54を回転させ、ガイドピンブラケット固定の既設スリーブ16からガイドピンを分離し、撤去することができる。
その際、図3に示すように、ガイドピンブラケット15に既設スリーブ16を取り付けたまま、この既設スリーブ16に新ガイドピン20を取り付ける。新ガイドピン20は、シュラウドヘッド4を炉心シュラウド2に据え付けた時、炉心シュラウド2に取り付けられているガイドピンブラケット15のガイドピン用孔(既設スリーブ16)とのクリアランスが炉心シュラウド2に取り付けられている耐震ピン30とシュラウドヘッドリム胴4aの耐震ピン用孔31とのクリアランスが、同程度となるような外径を有するように形成されている。新ガイドピン20は、ガイドピンブラケット15に固定の既設スリーブ16の内径に形成されたネジ部とネジ結合せず、取り合わないように構成される。
次に、図12に示すように、ナット締付用ソケット93にガイドピン取外しアダプタ94を取り付ける(ガイドピン取外しアダプタ94の外周部に設けた周溝にソケット93のOリング112をはめ込んで把持する)。
ナット締付用ソケット93をソケット取扱い治具95に取り付ける。
操作ポールにソケット取扱い治具95を取り付ける。
DSプール12に水中カメラおよび照明器を投入し、取り外した対象の既設ガイドピン54がモニタに映っていることを確認する。
台車で取り外し対象の既設ガイドピン54の上方へソケット取外し治具95を移動させ、操作ポール115を用いてナット締付用ソケット110のガイドピン取外しアダプタ94を、既設ガイドピン54のピンロッド頂部へ取り付ける。その際、スリット部にガイドピン取外しアダプタ94の凸部を勘合させる。
ナット締付用ポール115をシュラウドヘッド4の上部および下部サポートリングの孔を通してレンチ部をガイドピン取外しアダプタ94に挿入する。
ナット締付用ポール115を回転させることにより既設ガイドピン54を既設スリーブ16から取り外す。
既設スリーブ16から抜け落ちた既設ガイドピン54はガイドピン受け架台で回収される。
続いて、ナット締付用ポール115を引き上げ、ソケット取扱い治具95を引き上げ回収する。
同様の手順でもう一方の既設ガイドピン54を取外し回収する。
既設ガイドピン54を取り外した後、既設スリーブ16の上面と下面の新ガイドピン20と取り合う面を磨き装置で磨きクラッド等を除去する。
既設ガイドピン54をDSプール12内でシュラウドヘッド4から取り外し、除去した後、既設ガイドピン54の取外し部分に、新ガイドピン20を取り付ける。このシュラウドヘッド補修作業において、新ガイドピン20の取付作業は、図13ないし図15に示すように実施される。
新ガイドピン20は、既設ガイドピン54の最下降相当位置で取り合いとなる軸方向を有し、新ガイドピン20のヘッド部20aの軸方向寸法は既設ガイドピン54と同様で、炉心シュラウド2のガイドピンブラケット用孔27と干渉の逃げのためにヘッド部20aより若干径が細くなっている部分での既設スリーブ16下面と取り合うようになっている。
また、新ガイドピン20は、既設ガイドピン54の既設スリーブ16と嵌め合いで取り合う部位を有しており、既設スリーブ16内に新ガイドピンを挿入すると新ガイドピン20が既設ガイドピン54と同等の芯位置に取り付くようになっている。その際、新ガイドピン20は、既設ガイドピン54の既設スリーブ16に固定用ナット21で機械的に締結される。
シュラウドヘッド修理の新ガイドピン取付作業では、図13に示すように、ガイドピン組立装置100がエア操作盤に接続されて備えられる。ガイドピン組立装置100は、ガイドピンブラケット把持部101、空気バネ部102、廻止めシリンダ103を備える。エア操作盤を操作し、ガイドピンブラケット把持部101および空気バネ部102を動作させ、廻止めシリンダ103が前後にほぼ水平方向に動作することを確認する。続いて、ガイドピン組立装置100の挿入シリンダ104に手動ポンプに接続させる。手動ポンプを操作して、挿入シリンダ104が上昇あるいは下降することを確認する。
次に、ガイドピン組立装置100のカップ部105に新ガイドピン20を取り付ける。このときにカップ底部の多角形ピン106、例えば3角形ピン、四角形ピンが新ガイドピン20底部に設けた角孔、例えば四角孔に挿入され新ガイドピン20がカップ105内で回転しないことを確認する。
続いて、DSプール12内に水中カメラおよび照明器を投入し、新ガイドピン20を取り付けるガイドピンブラケット15がモニタに映っていることを確認する。
台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してガイドピン組立装置100を吊り上げる。
DSプール12内に跨って走行自在の台車を新ガイドピン20を取り付けるガイドピンブラケット15の上方へ移動し、シルバーホイストでガイドピン組立装置101をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいので、水中カメラで確認しながら吊り下ろし作業を慎重に実施する。
シルバーホイストを操作して、新ガイドピン20がガイドピンブラケット15より下方になるまでさらに下ろす。ガイドピン組立装置100はガイドピンブラケット15の外側で取り扱われる。この状態まで吊り下ろしたらガイドピン組立装置100をシュラウドヘッド4中心側に移動させ、ガイドピン組立装置100をガイドピンブラケット15上面に着座させる。着座の際にはガイドピンブラケット15の側面(シリンダの内面)と端面を装置100の着座面に密着させる。
次に、エア操作盤を操作し、ガイドピンブラケット把持部(クランプシリンダ)101でガイドピンブラケット15を把持し、ガイドピン組立装置100をガイドピンブラケット15に固定する。
手動ポンプを操作し挿入シリンダ104を上昇させ、既設スリーブ16内に新ガイドピン20を挿入する。挿入時には新ガイドピン20のねじ部20aが損傷しないように注意しながら挿入する。
新ガイドピン20の拡開テーパ部(肩部)20bが既設スリーブ16の拡開テーパ部16bと取り合っていることを確認し、隙間なく取り合っていればその状態を維持する。
新ガイドピン20のピンロッド頂部に設けた軸方向溝部20cが、例えば0°−180°、90°−270°の位置に形成されていることを確認する。
エア操作盤を操作し、廻止めシリンダ103がカップ105側方から押し付けた状態にセットする。
続いて、図14に示すように、ナット締付用ソケット110に固定用ナット21を取り付ける(一方、固定用ナット21の外周部に設けた周溝にソケット110のOリング112をはめ込んで把持する)。
ナット締付用ソケット110をソケット取扱い治具95に取り付ける。このソケット取扱い治具95を操作ポール115に取り付ける。
水中カメラおよび照明器を投入し、既設スリーブ16に挿入された新ガイドピン20がモニタに映っていることを確認する。
台車で固定用ナット21を取り付ける新ガイドピン20の上方へ移動し、操作ポール115をつなぎサポートリングをかわして下降させ新ガイドピン20軸方向のスリット(軸方向溝)23を設けたピンロッド頂部を固定用ナット21を挿通させ、固定用ナット21にナット締付用ソケット110を仮置きする。
締付用ポール115にレンチを取り付け(新ガイドピン20のガイドロッドが通っていたシュラウドヘッド4の上部および下部サポートリングの孔を通して)、レンチをナット締付用ソケット110に挿入する。
締付用ポール115を回転させることにより、固定用ナット21を締め付け新ガイドピン20を固定する。
固定用ナット21の締付け完了後、ソケット取扱い治具95を引き上げ、ナット締付用ソケット114と固定用ナット21を分離し、ソケット取扱い治具95を引き上げ回収する。
エア操作盤を操作し、図13および図14に示すように、ガイドピン組立装置100の廻止め部シリンダ110をカップ105から離し後退させた状態に戻す。その後、手動ポンプを操作し挿入シリンダ104を下降させ、カップ105と新ガイドピン20を分離する。
さらに、エア操作盤を操作し、ガイドピン組立装置100をガイドピンブラケット15に固定している把持シリンダ101を解除し、ガイドピン組立装置100をガイドピンブラケット15から分離させる。
シルバーホイストを引き上げ、ガイドピン組立装置100がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう引き上げる。
同様の手順で、もう一方の新ガイドピン20に固定用ナット21を取り付け固定する。
新ガイドピン20に固定用ナット21を固定させた後、固定用ナット21の廻止めを行なうために、かしめ装置120を、図15に示すように用意する。手動ポンプを操作し、かしめ装置120のかしめ部が動作することを確認し、かしめ部を後退した状態としておく。また、ホースの継ぎ目から漏れがないことを確認する。
続いて、DSプール12内に水中カメラおよび照明器を投入し、新ガイドピン20に取り付けた固定用ナット21がモニタに映っていることを確認する。
DSプール12上を跨って走行する台車のシルバーホイストでワイヤーロープを介してかしめ装置120を吊り上げる。
台車を固定用ナット21をかしめるガイドピンブラケット15の上方へ移動し、シルバーホイストでかしめ装置120をガイドピンブラケット15上面まで吊り下ろす。吊り下ろし時にシュラウドヘッドサポートリングが干渉物となり上方からは見えにくいので水中カメラで確認しながら実施する。
かしめ装置120を吊り降してガイドピンブラケット15に着座させ、スリーブナット17を利用して新ガイドピン20を固定した固定用ナット21にナット把持部121で把持させ、かしめ装置120を締結させる。かしめ装置120の締結が完了していることを確認したら、かしめ装置120にホースを介して手動ポンプを接続する。
続いて、カメラで確認しながらシルバーホイストをさらに下ろし、かしめ装置120のガイドを新ガイドピン20の上方に設けられている軸方向溝23(0°−180°の2箇所)に挿入する。さらにかしめ装置120を下降し、かしめ装置120が既設スリーブ16を固定している固定用ナット21に被さるようにガイドピンブラケット15上面に着座させる。
ガイドピンブラケット15の既設スリーブ16に挿通されて固定された新ガイドピン20上部に設けた軸方向溝23方位と(90°−270°)にかしめ装置120のかしめ部の方位が一致していることをカメラで確認する。この確認後、手動ポンプを操作し固定用ナット21の上部に一体に設けているナットスカート22部をかしめ、新ガイドピン20上部に設けた軸方向溝23に勘合させ、かしめて廻り止めする。
新ガイドピン20は固定用ナット21のネジ部の上方の新ガイドピン20のピンロッド上部に軸方向溝23が設けてあり、固定用ナット上面には薄肉のナットスカート22を設け、固定用ナット21を締め付け後にナットスカート22を新ガイドピン20の軸方向溝23に合わせてかしめることにより機械的に固定用ナット21の廻り止め/緩み止めが行なわれる。
手動ポンプを操作しかしめ装置120のかしめ部を均等に引き状態に戻す。
同様の手順でもう一方の新ガイドピン20の固定用ナット21の廻り止め(かしめ)を実施する。
シルバーホイストを引き上げかしめ装置120がシュラウドヘッド4等と干渉しないよう注意しながら引き上げる。
このようにして、DSプール12内でのシュラウドヘッド4の補修作業が終了したら、補修されたシュラウドヘッド4は、燃料交換作業等の終了を待って、天井クレーンで吊設され、DSプール12から図2に示す原子炉ウェル11内に水中移送され、原子炉圧力容器1内に案内される。原子炉圧力容器1内では案内棒に案内されて炉心シュラウド2上に吊り降され、炉心シュラウド2にシュラウドヘッドボルトを用いて締結される。このとき、シュラウドヘッド4にはスタンドパイプ6を介して気水分離器5が一体に設けられており、シュラウドヘッド4を炉心シュラウド2に取り付け、据え付けることにより、気水分離器5も据え付けられ、セットされる。
続いて、DSプール12に仮置きされている蒸気乾燥器8も天井クレーンで吊設されて原子炉ウェル11に水中移動され、原子炉圧力容器1内に案内される。原子炉圧力容器1に案内された蒸気乾燥器8は、気水分離器5の上方の所要位置で位置決めされ、据え付けられる。
次に、同じく天井クレーンを利用し、機器プールに仮置きされていた原子炉圧力容器上蓋1aがRPV1上に水中移動され、RPV1上で締結ボルト1bにより締結される。このようにして、地震等によりシュラウドヘッド4の補修作業が終了し、補修されたシュラウドヘッド4は、RPVプラントの運転に備えられる。
地震等でシュラウドヘッド4が損傷を受けても、変形したシュラウドヘッド4のガイドピン54および吊り棒44を交換することができる。既設ガイドピン54および吊り棒44を、新ガイドピン20および新吊り棒51に、DSプール12内の水中遠隔作業で交換することが可能となる。
本発明に係るシュラウドヘッド4は、地震等で変形し、シュラウドヘッド4のガイド機能が喪失してしまい、かつシュラウドヘッド4のガイドピンブラケット15と干渉する可能性があるガイドピンや、炉心シュラウド2と干渉する可能性のある吊り棒を、新しいガイドピンや吊り棒に水中遠隔作業で交換させることができ、シュラウドヘッド4を水中遠隔作業で補修することができる。
地震等で変形したシュラウドヘッド4は、DSプール12内で補修用架台35を用いて補修作業を実施することにより、気水分離器5の上方に充分な水遮蔽高さを確保することができる。シュラウドヘッド4の取替作業や補修作業中の被曝量を充分に低く抑えることができる。
このシュラウドヘッド4の補修作業においては、シュラウドヘッド補修架台35を設置することを前提に損傷した既設吊り棒の部品の一部である吊り棒ブラケットから下方部を水中遠隔で切断、撤去することができる。