JPH0636055B2 - 原子炉 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔従来の技術〕 従来の沸騰水型原子炉の炉心部の概略構造を示す第４図
ないし第８図において１は原子炉圧力容器、２は内部に
燃料集合体６や制御棒７を内蔵するシユラウド、３はシ
ユラウドヘツド及びセパレータ、４は上部格子板、５は
炉心支持板、８はシユラウドヘツドフランジ、１２はガ
イドピン、１３はシユラウドヘツド上部ガイドリング、
１４はシユラウドヘツド下部ガイドリングである。炉心
部内を定期的に検査する場合、シユラウドヘツド及びセ
パレータ３をシユラウド２に対して着脱しなければなら
ないが、シユラウドに対するシユラウドヘツド及びセパ
レータの位置決めは正確さが求められることから両端の
着脱に際して両者の位置決めのためのガイド機能が必要
とされ、そのために上記のガイドピン１２が存在する。
シユラウドヘツドガイドピン１２はピン１７，プラグ１
８，ナツト１９，ストツパ(1) ２０、スリーブ２１，シ
ヤフト２２，ストツパ(2) ２３等から構成されている。
プラグ１８はシユラウドヘツドガイドブロツク１１の穴
に挿入され、プラグ１８上部に設けられたネジにナツト
１９を螺合することでシユラウドヘツドガイドブロツク
１１に固定されている。プラグ１８の下方より挿入され
たピン１７はプラグ１８内径面に設けられたネジ部とピ
ン外径面に設けたネジ部が螺合することでプラグ１８と
結合する。さらにピン１７上部にストツパ(1) ２０をさ
し込み、溶接によりピン１７に固定する。また、ピン１
７上部ねじ部にスリーブ２１を螺合し、スリーブ２１の
上部にはシヤフト２２を螺合し、ピン１７とスリーブ２
１とシヤフト２２は各々寸法を調整した後に溶接により
固定される。またシヤフト２３の上端部にはストツパ
(2) ２３が位置決め寸法を調整後溶接により固定され
る。上述の構成により、ストツパ (2)２３を回転させる
と、ピン１７、ストツパ (1)２０、スリーブ２１、シヤ
フト２２，が一体となつて回転し、ピン１２がシユラウ
イド及びシユラウドヘツドのガイドブロツクに対して上
下に移動する。第８図ａないし第８図ｃにシユラウドヘ
ツド及びセパレータ３をシユラウド２に取付け又は取外
しする時の操作手順を示す。即ち、第８図ａに示すステ
ツプ１において、シユラウドヘツド及びセパレータ３を
シユラウド上部フランジ９上まで下げて、シユラウドヘ
ツドガイドピン１２のピン１７の下部テーパ部をガイド
にして、シユラウドガイドブロツク１０のシユラウドヘ
ツドガイドピン１２用穴にピン１７を挿入する。ピン１
７の嵌合によつてシユラウドヘツドの位置決めが行われ
る。第８図ｂに示すステツプ２において、シユラウドヘ
ツドフランジ８下面とシユラウド上部フランジ９上面が
接触するまで、シユラウドヘツド及びセパレータ３を下
げる。この状態においてシユラウド上部フランジ９に植
えられた対震ピンはシユラウドヘツドフランジ８に設け
られた穴に装入状態にある。次に第８図ｃに示すステツ
プ３において、シユラウドヘツド及びセパレータ３をシ
ユラウド２に設定後、シユラウドヘツドガイドピン１２
の上部に固定されているストツパ (2)２３を右回転して
シユラウドヘツドガイドピン１２のピン１７を下方に移
動する。シユラウドガイドピン１７のシユラウドガイド
ブロツク１０の穴に嵌合する嵌合部を外れる上部は同嵌
合部よりも細くなつており、したがつて上記のピン17の
下方移動により嵌合状態が解除される。この解除状態に
おけるシユラウドガイドブロツク１０の孔とピン１７の
クリアランスを“ａ”とし、一方シユラウドヘツドフラ
ンジ８の穴径と耐震ピン１５のクリアランスを“ｂ”と
すると両者の関係が“ａ”＞“ｂ”となるように設定さ
れている。両クリアランスの関係を“ａ”＞“ｂ”とし
ている理由は原子炉運転事象の中の地震時における水平
地震力を耐震ピン１５に持たせる為である。１１００Ｍ
Ｗｅクラスでは全周等間隔に３６本設けられている。ま
た、毎定検時におけるシユラウドヘツド及びセパレータ
３を炉外への取出しする時のシユラウドガイドピン１２
の操作は第８図に示すように、シユラウドヘツドガイド
ピン１２のストツパ (2)２３を左回転させピン１７が上
方へ移動したステツプ２の状態にして、シユラウドヘツ
ド及びセパレータ３全体を引き上げる手順となつてい
る。このようにシユラウドヘツド及びセパレータ３の定
検時における取付け取外し作業は非常に慎重を期して実
施しなければならない構造となつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術における、シユラウドヘツド及びセパレー
タ３の毎定検時における取付け取外し時において、数十
本のシユラウドヘツドガイドピン１２を一つ一つ上下さ
せる操作を必要とすることは、定検工程の短縮化及び、
取扱い作業の信頼性の向上の観点からの配慮が不足して
いる。またシユラウドヘツドガイドピン12そのものの構
造が前記したような複雑な構造となつている為、シユラ
ウドヘツド及びセパレータ３の取扱い中の何らかのミス
（他機器との接触等）によりシユラウドヘツドガイドピ
ン１２の変形が発生するというポテンシヤルを持つてい
るという問題があつた。本発明の目的は、定検時にシユ
ラウドヘツドガイドピン１２の上下操作を不要とすると
共に、シユラウドヘツドガイドピン１２そのものの構造
を単純にして上記問題点を解決し、定検工程の短縮とよ
り信頼性の高い原子炉内部構造を具体化することにあ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

炉心部を形成する燃料集合体、制御棒等を包蔵するシュ
ラウドとシュラウドヘッドを有し、前記シュラウドと前
記シュラウドヘッドの着座面にシュラウドの上端面に植
え込まれ、シュラウドヘッドと下端面に設けられた穴に
所定のクリアランスを保って嵌装する耐震ピンを設けて
なり、かつ前記シュラウドに対するシュラウドヘッドの
装着時に、前記シュラウドヘッド側に設けられたガイド
ピンが前記シュラウド側に設けられたガイドピン対応穴
に嵌合状態に置かれることにより前記シュラウドと前記
シュラウドヘッドの位置決めがなされる手段を具えてな
るものにおいて、前記ガイドピンと前記対応穴の嵌合が
シュラウドヘッドがシュラウドに着座する前に解除され
るように構成し、前記耐震ピンと前記シュラウドヘッド
側に設けられた前記穴の嵌合により少なくとも前記ガイ
ドピンと前記対応穴との嵌合が解除された後の前記シュ
ラウドヘッドがシュラウドに着座するまでの間の前記位
置決めが行われるように構成したところにある。

〔作用〕 本発明によれば、シユラウドに対しシユラウドヘツドを
装着しようとする場合、シユラウドヘツドに取付けられ
たガイドピンの嵌合部がシユラウドと一体になつた孔に
嵌合することによつてシユラウドとシユラウドヘツドの
正確な位置決めが行われ、この正確な位置決めのための
ガイド機能は、シユラウドヘツドがシユラウドに着座す
る寸前まで維持され、同着座寸前に同ガイド機能は対震
ピンとこれの装入穴との嵌合によつて引継がれる。それ
により厳密を要するシユラウドに対するシユラウドヘツ
ドの位置決めはシユラウドヘツドが着座するまで完全に
機能する。したがつて本発明によればガイドピンの嵌合
はシユラウドヘツドの着座段階ではすでに解除されてい
るので、あらためて嵌合状態の解除のためにガイドピン
を下方に移動させる必要がない。

〔発明の実施例〕

本発明の一実施例を第１図ないし第３図により説明す
る。これらの図において８はシユラウドヘツドフラン
ジ、９はシユラウド上部フランジ、１０はシユラウドガ
イドブロツク、１１はシユラウドヘツドガイドブロツ
ク、１３はシユラウドヘツド上部ガイドリング、１４は
シユラウドヘツド下部ガイドリングであり、これらは第
４図ないし第８図に示す従来技術と同様な構成である。
５０はガイドピンであり、ピン５１とシヤフト５３から
なる。ガイドピン５１はシユラウドヘツドガイドブロツ
ク１１にナツト５２によつて固着されている。ピン５１
の下部は嵌合部とそれよりも直径が小さい首部からなつ
ており、主部の長さＬはシユラウドヘツドがシユラウド
に着座した状態で嵌合部がシユラウドガイドブロツク１
０の嵌合穴から出外れるように与えられている。５４は
シユラウド上部フランジ９に植込まれた対震ピンであ
り、第２図に明らかなようにその下部は上部よりも大き
な直径となつている。同図においてクリアランス“ａ”
とクリアランス“ｂ”は“ａ”＞“ｂ”の関係にあり、
これにより、地震対力を対震ピンに持たせることが保証
される。又クリアランス“ｃ”とクリアランス“ｄ”は
“ｃ”＝“ｄ”の関係にある。これによりシユラウドヘ
ツドの着座寸前にガイドピンの嵌合が外れるが、その段
階で対震ピンが位置決めのためのガイド機能をはたすこ
とが保証される。

第３図ａないしｃは本実施例においてシユラウドに対す
るシユラウドヘツドの装着の各段階を示すが、第３図ａ
はピン５１の嵌合部がシユラウドガイドブロツク１０の
穴に嵌合状態にあり、これによつてシユラウドとシユラ
ウドヘツドの位置関係が正確に規制される。第３図ｂは
シユラウドヘツドがシユラウドに対して着座寸前にある
状態にあり、ここでピン５１の嵌合部が孔から出外れ、
一方対震ピン５４が位置決めのための嵌合を開始する。
第３図ｃは着座完了時の状態にあり、ガイドピンは嵌合
が解除されている。

本実施例によれば、シユラウドヘツドがシユラウドに着
座した段階で第３図ｃのようにガイドピンは嵌合状態か
ら解除されているので、従来のようにガイドピンを嵌合
状態から解除するためにあらためてガイドピンを下方に
移動させる必要がない。シユラウドに対しシユラウドヘ
ツドを取外す場合も、対震ピンのクリアランス“ｄ”及
びピンのクリアランス“ｃ”によつてガイドされるの
で、従来のように、予めガイドピンを上方に移動させる
作業を必要としない。これらのようにシユラウドに対す
るシユラウドヘツドの着脱に際してガイドピンを下方向
又は上方向に移動させる必要がないから、移動のために
必要な機構が不要となり、ガイドピンの構造は著しく単
純化される。

〔発明の効果〕

本発明によれば、シユラウドヘツド及びセパレータの定
期検査時における、取付け、取外しの際に、シユラウド
ヘツドガイドピン５０を上下させる操作が不要となり、
更にシユラウドヘツドガイドピン５０の構造を単純化で
きるので、定期検査工程の短縮化を実現することが出来
ると共にシユラウドヘツド及びセパレータの取扱い作業
の信頼性の向上、更にシユラウドヘツドガイドピンの信
頼性の向上ひいては、原子炉内部構造物の信頼性を高め
ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例におけるシユラウドヘツドガイ
ドピンの構成を示す縦断面図、第２図は第１図のII部詳
細図、第３図ａないしｃは本発明によるシユラウドヘツ
ドガイドピンによるシユラウドヘツド及びセパレータの
シユラウドへの取付け取外し手順を示す縦断面図、第４
図は沸騰水型原子炉縦断面図、第５図はシユラウドヘツ
ド及びセパレータの全体構造図、第６図は第５図のVI〜
VI断面図、第７図は、第６図のVII〜VII断面図、第８図
ａないしｃは、従来のシユラウドヘツドガイドピン及び
セパレータのシユラウドへの取付け手順を示す縦断面図
である。 １……原子炉圧力容器、２……シユラウド、３シユラウ
ドヘツド及びセパレータ、６……燃料集合体、７……制
御棒、８……シユラウドヘツドフランジ、９……シユラ
ウド上部フランジ、１０……シユラウドガイドブロツ
ク、１１……シユラウドヘツドガイドブロツク、５０…
…シユラウドヘツドガイドピン、５１……ピン、５２…
…ナツト、５３……シヤフト、５４……耐震ピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】炉心部を形成する燃料集合体、制御棒等を
   包蔵するシュラウドとシュラウドヘッドを有し、前記シ
   ュラウドと前記シュラウドヘッドの着座面にシュラウド
   の上端面に植え込まれ、シュラウドヘッドの下端面に設
   けられた穴に所定のクリアランスを保って嵌装する耐震
   ビンを設けてなり、かつ前記シュラウドに対するシュラ
   ウドヘッドの装着時に、前記シュラウドヘッド側に設け
   られたガイドピンが前記シュラウド側に設けられたガイ
   ドピン対応穴に嵌合状態に置かれることにより前記シュ
   ラウドと前記シュラウドヘッドの位置決めがなされる手
   段を具えてなるものにおいて、前記ガイドピンと前記対
   応穴の嵌合がシュラウドヘッドがシュラウドに着座する
   前に解除されるように構成し、前記耐震ピンと前記シュ
   ラウドヘッド側に設けられた前記穴の嵌合により少なく
   とも前記ガイドピンと前記対応穴との嵌合が解除された
   後の前記シュラウドヘッドがシュラウドに着座するまで
   の間の前記位置決めが行われるように構成したことを特
   徴とする原子炉。