JP5099023B2 - エピタキシャルウエーハの製造方法及び固体撮像素子の製造方法 - Google Patents
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そのため、基板そのものにゲッタリング能力を持たせて、汚染された金属元素をデバイス特性に影響しない領域に形成されたゲッタリング層に偏析させるといった手法も一般的に用いられている。
しかし、イオン注入工程を追加することで汚染の機会も増えるので、この工程では汚染防止が重要な技術となっている。
これによって、回復熱処理を独立して行うことなくイオン注入ダメージを回復させることができ、従って極力熱処理を少なくすることができ、金属不純物に対するゲッタリング能力を十分高くすることを目的として製造されたエピタキシャルウエーハの汚染を極力低減させることができる。また、工程を少なくすることで、拡散層上にエピタキシャル層が形成されたウエーハの製造コスト低減も達成することができる。
また、洗浄前にその酸化膜を除去することによって、付着した異物をリフトオフにより除去するとともにエピタキシャル層形成の際に酸化膜が障害となることを抑制することができる。
ここで形成する酸化膜はシリコン単結晶基板の表面の自然酸化膜に比べて厚さの厚い酸化膜のことであり、この酸化膜の形成方法としては、例えば酸化性雰囲気での熱処理や、CVDによる堆積が挙げられる。
この再結晶化は空孔、格子間シリコンの平衡濃度、拡散係数が大きくなる高温で安定的に進む。700〜900℃の温度帯では上記条件が必ずしも十分でなく、又、表面酸化による過剰な格子間シリコンの供給で空孔濃度が減少する条件下では、不安定な格子構造に再配置される、つまり、結晶欠陥が生成される確率が高くなる。
近年、ウエーハを短時間で高温まで昇温させるRTA(ラピッドサーマルアニール)装置で、イオン注入の回復熱処理が行われることが増えている。この場合、700〜900℃の温度帯の滞留時間が少ないので、適切な回復熱処理条件が簡単に得られる。但し、生産性の問題があり、限定的に実用化されている。
このような熱処理の実現は、ランプの性能、サセプターの薄型等、若干の既存装置の改造により、エピタキシャル成長の生産性を悪化させることは殆どなく、工程短縮と汚染防止を同時に実現できる。
一般的にイオン注入層や拡散層を形成した後、エピタキシャル成長を行う製品において、本発明のエピタキシャルウエーハの製造方法は、品質のみならず、工程削減、コスト低減に有効なエピタキシャルウエーハを製造することができる。取り分け、撮像素子に対して、本方法は高性能な撮像素子の低コストでの量産技術として有効である。
このことは、製造工程の簡略化によるコスト低減に寄与するばかりではなく、イオン注入前後の熱処理中に生ずる金属汚染の可能性をなくすことができるので、特にその電気特性が不純物汚染に敏感な撮像素子を製造する際において、イオン注入による素子特性への影響を低減させたり、不純物をゲッタリングして素子領域でのリーク電流の低減を行うことができる。そしてこれらに関連する付加的な工程における汚染を最小限とすることができ、本来の目的を着実に達成することができるようになる。
前述のように、必要最低限のプロセスでイオン注入層を有したエピタキシャルウエーハを製造でき、汚染の低減と共に、コスト低減を両立させたエピタキシャルウエーハの製造方法の開発が待たれていた。
その場合も、一般的にはイオン注入の欠陥がエピタキシャル成長時、及び、その後の素子形成工程で更なる結晶欠陥を形成しないように、通常、イオン注入の後、拡散炉でアニールすることで結晶性の回復が行われる。
図1は本発明のエピタキシャルウエーハの製造方法の一例を示した工程フローである。図7は、従来、イオン注入により拡散層を形成し、その上にエピタキシャル成長を行う場合の標準的な工程であり、図1(a)、(b)は本発明におけるエピタキシャルウエーハの製造工程フロー図である。以下基本的に図1(a)を中心に工程の概略を説明する。
この時準備するシリコン単結晶基板は、一般的に用いられているものであれば良く、例えばCZ法で育成したシリコン単結晶棒からスライスして作製したものを用いればよい。またその導電型や抵抗率などの電気特性値や結晶方位や結晶径等は、設計する半導体素子に適したものとなるように適宜選択することができる。
この時、注入するイオン種はボロン、炭素、アルミニウム、砒素、アンチモンのうち少なくとも1種類、ドーズ量を5×1014〜1×1016atoms/cm2とする。このイオン注入は例えば大電流イオン注入装置を用いればよい。
ここで、ドーズ量が5×1014atoms/cm2未満の場合、不純物に対するゲッタリング能力が低く、不純物濃度を十分に減少させることができないため、ドーズ量の下限は5×1014atoms/cm2とする。またドーズ量が1×1016atoms/cm2より大きい場合、後の枚葉式エピタキシャル装置での加熱処理でイオン注入ダメージを安定して回復させることができなくなるため、ドーズ量の上限は1×1016atoms/cm2とする。
この洗浄として、例えばRCA洗浄がある。この場合、イオン注入層がエッチングされないようにSC1洗浄を高温で長時間行わないようにすることが望ましい。
イオン注入装置の形式にもよるが、シリコン単結晶基板にイオン注入を行う際には、通常、イオン注入時の除電、放熱に有利な金属系、或いは、シリコンコートされた金属のホルダーにシリコン単結晶基板を保持してイオン注入が行われる。また、イオンのパイルアップを防ぐためプラズマで除電することもしばしば行われることもある。
このような場合には、シリコン単結晶基板に酸化膜を形成してからイオン注入を行うことによって金属不純物による汚染をより確実に防止することができる。
図6に示すように、拡散炉での回復熱処理に比べてRTAによる回復熱処理によって基板の結晶性が安定して回復しており、イオン注入及び回復熱処理無しの場合とさほど変わらない水準にできることが判った。拡散炉での回復熱処理に関しては、更に細かな条件の設定が必要であるが、RTAでは標準的なレシピでイオン注入による結晶性の回復が容易に達成されていることが判る。
この枚葉式エピタキシャル装置では、通常カーボンサセプターが用いられるので、熱容量的にRTAのような昇温速度の高速加熱は難しいにしても、パワーのかけ方、サセプターの最適化等により、RTAに近い高速加熱を実現することは可能である。
また、1100℃前後で自然酸化膜がSiOになって蒸発し、Siの表面が露出し、エピタキシャル成長が始まる段階では、イオン注入による結晶性の乱れは表面においては完全に回復されていると推定される。つまり、RTA装置で不活性ガス中で回復アニールされた場合と比較して結晶性の回復を阻害する要因はないと推定される。エピタキシャル成長過程では、表面から基板側に格子間シリコンが供給されると考えられるが、その段階では、イオン注入による結晶性の乱れは、1100℃以上の高温水素雰囲気下で30秒以上保持されることにより回復されて、エピタキシャル層に結晶欠陥を生じさせることはない。
シリコンソースに金属不純物が最も少ないといわれるトリクロロシランを用いてエピタキシャル成長する場合は、エピタキシャル層の形成温度が1100℃以上で、2〜4μm/minの成長速度であれば、良好なエピタキシャル層が得られる。
そして回復熱処理を独立で行わずにすむため、工程を少なくすることができ、イオン注入層や拡散層上にエピタキシャル層が形成されたウエーハの製造コストを低減することができる。
(実施例1、比較例1,2)
図1(a)に示すようなフローに従って、エピタキシャルウエーハを製造した。
まず、シリコン単結晶基板として、直径200mm、p型、抵抗率5ΩcmのCZ法で成長させたポリシュドウエーハを6枚準備した。
その後、大電流イオン注入装置を用いて、150keV、傾斜0°、ドーズ量2×1015atoms/cm2で砒素のイオン注入をシリコン単結晶基板に行った。
そして、ランプ加熱型の枚葉式エピタキシャル装置を用いて、トリクロロシランをソースガスとして、1130℃の温度で抵抗率10Ωcm、厚さ5μmのエピタキシャル層を成長させて、エピタキシャルウエーハを製造した。この際、昇温条件を後述する3パターン準備し、各パターン2枚エピタキシャル層を形成して、エピタキシャルウエーハを計6枚製造した。
その後、1130℃で60秒保持し自然酸化膜を除去してから、同じ温度でエピタキシャル成長を行った。
上記の3種類のエピタキシャル成長の条件の概要を図2に示す。図2において(A)は実施例1、(B)が比較例1、(C)が比較例2である。
図3(A)に示すように、実施例1のエピタキシャルウエーハのLPDはウエーハ1枚当たり5〜50程度であり、積層欠陥がほとんど発生していないことが判った。
また、図3(B)(C)に示すように、比較例1,2のエピタキシャルウエーハのLPDの数は500を超えており、積層欠陥が多く発生していた。このように、エピタキシャル層を成長させるための加熱を枚葉式エピタキシャル装置内で高速で行うことによって、エピタキシャル層に結晶欠陥が発生することを抑制できる程度にイオン注入ダメージを回復できることが判った。
直径200mm、p型、抵抗率5ΩcmのCZ法によって作製したシリコン単結晶基板を10枚準備し、その後縦型熱処理炉を用いて900℃で、100分、酸素ガス中で熱処理して、シリコン単結晶基板の表裏面に200Åの熱酸化膜を形成した。
イオン注入後のシリコン単結晶基板をフッ酸水溶液(体積濃度5%)により酸化膜をエッチング除去した後、SC1、SC2洗浄液で洗浄した。
そして、エピタキシャル成長を行った。エピタキシャル成長条件は、実施例1、比較例1,2と同様の条件(各々実施例2、比較例3,4)を用いて、実施例2を8枚、比較例3,4それぞれ1枚ずつ計10枚エピタキシャルウエーハを製造した。
図4(a)に示したように、実施例2のエピタキシャルウエーハのライフタイムはウエーハ全面で良好な値を保っており、金属不純物の少ないエピタキシャルウエーハであることが判った。これに対し、比較例3,4のエピタキシャルウエーハはウエーハ中央部でライフタイムが低く、金属不純物の低減が十分に達成できていないことが判った。
実施例2の全8枚のエピタキシャルウエーハにおいて、エピタキシャルウエーハ表面のLPDは7〜43個/ウエーハ(1枚のウエーハ当たりの0.12ミクロン以上のLPDの数)となり、積層欠陥が少なく、図5に8枚のうちの2枚の結果を示したように、ウエーハ表面にLPDはほとんど発見されず、異常はなかった。
Claims (3)
- エピタキシャルウエーハの製造方法であって、
少なくとも、シリコン単結晶基板を準備した後、
該シリコン単結晶基板に対してボロン、炭素、アルミニウム、砒素、アンチモンのうち少なくとも1種類をドーズ量5×1014〜1×1016atoms/cm2の範囲でイオン注入し、
その後、該イオン注入を行った前記シリコン単結晶基板に対して回復熱処理を行わずに洗浄を行った後、
枚葉式エピタキシャル装置を用いて1100℃以上の温度でエピタキシャル層を形成するにあたり、
前記洗浄の後に、前記イオン注入を行った前記シリコン単結晶基板を前記枚葉式エピタキシャル装置に導入した後、少なくとも700〜1000℃までの範囲は毎秒20℃以上の昇温速度で加熱し、その後1100〜1150℃の温度帯で30秒以上保持した後に、前記エピタキシャル成長を行うことを特徴とするエピタキシャルウエーハの製造方法。 - 前記シリコン単結晶基板を準備した後でかつ前記イオン注入前に、前記シリコン単結晶基板の表面に酸化膜を形成し、
前記イオン注入後かつ前記洗浄前に、前記酸化膜を除去することを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウエーハの製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載された製造方法で製造されたエピタキシャルウエーハのエピタキシャル層に、固体撮像素子を形成することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
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