JP5092783B2 - 流体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、流体吐出装置に関する。特に、流体を媒体に吐出するためのノズルと、該媒体を保持するための保持領域と非保持領域とを周面に備え、該周面を前記ノズルに対向させながら回転する回転ドラムと、を有する流体吐出装置に関する。
流体を媒体に吐出するためのノズルと、該媒体を保持するための保持領域と非保持領域とを周面に備え、該周面を前記ノズルに対向させながら回転する回転ドラムと、を有する流体吐出装置は既に知られている。このような流体吐出装置の中には、前記回転ドラムの周面の非保持領域に開口が形成されているものがある。かかる流体吐出装置では、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される。さらに、上記の流体吐出装置の中には、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて吐出された前記流体、を吸収する吸収部材が前記回転ドラムに取り付けられているものもある(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−239871号公報
ところで、上記吸収部材が、フラッシングのためにノズルから開口に向けて吐出された流体、を吸収すると、該吸収部材が前記回転ドラムの回転に対して影響を及ぼす場合がある。例えば、前記吸収部材が回転ドラムに取り付けられている場合、該回転ドラムにおける前記吸収部材の取付位置に局所的に流体が吸収されることになり、回転中の回転ドラムの重量バランスが変化し、該回転ドラムの回転に支障を来たしてしまう可能性がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転ドラムの回転に支障を来たすことなく、フラッシングのためにノズルから吐出される流体、を吸収することである。
上記の課題を解決するために、主たる発明は、流体を媒体に吐出するためのノズルと、該媒体を保持するための保持領域と、開口が形成された非保持領域と、を周面に備え、該周面を前記ノズルに対向させながら回転する回転ドラムと、前記回転ドラム内に備えられ、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて吐出された流体、を外周部にて吸収する吸収ドラムと、を有し、前記吸収ドラムは、該吸収ドラムの回転軸が前記回転ドラムの回転軸に沿った状態で回転可能に支持され、かつ、前記外周部のうち、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される際に該開口により露出する露出位置に位置する領域、にて前記流体を受けることにより、当該領域にて前記流体を吸収し、前記吸収ドラムは、前記回転ドラムが回転する間に該回転ドラムとは異なる角速度にて回転し、前記吸収ドラム及び前記回転ドラムの角速度の相対関係は、複数回のフラッシングが実施される場合に、前記外周部のうち、前記複数回のフラッシング中の一のフラッシングのために前記ノズルから流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、他のフラッシングのために前記ノズルから流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、が前記吸収ドラムの回転方向において異なるような関係、であることを特徴とする流体吐出装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
先ず、流体を媒体に吐出するためのノズルと、該媒体を保持するための保持領域と、開口が形成された非保持領域と、を周面に備え、該周面を前記ノズルに対向させながら回転する回転ドラムと、前記回転ドラム内に備えられ、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて吐出された流体、を外周部にて吸収する吸収ドラムと、を有する流体吐出装置。
このような流体吐出装置であれば、フラッシングのためにノズルから吐出された流体、を吸収する吸収部材として、回転ドラムとは別部材の吸収ドラムが、該回転ドラムの内部に備えられている。これにより、回転ドラムの回転に支障を来たすことなく前記流体を吸収することが可能になる。かかる効果の詳細については、後述する。
また、上記の流体吐出装置において、前記吸収ドラムは、該吸収ドラムの回転軸が前記回転ドラムの回転軸に沿った状態で回転可能に支持され、かつ、前記外周部のうち、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される際に該開口により露出する露出位置に位置する領域、にて前記流体を受けることにより、当該領域にて前記流体を吸収することとしてもよい。
かかる構成であれば、前記吸収ドラムが回転することにより、前記外周部のうち、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域、を前記吸収ドラムの回転方向において変化させることが可能になる。これにより、吸収ドラムの外周部において、フラッシングのためにノズルから吐出される流体、を吸収する領域が局在化してしまうことを抑制することが可能になる。つまり、当該外周部にバランスよく流体を吸収させることが可能になる。この結果、回転ドラムの回転に支障を来たすことなく前記流体を吸収することが可能になる。
また、上記の流体吐出装置において、前記吸収ドラムは、前記回転ドラムが回転する間に該回転ドラムとは異なる角速度にて回転することとしてもよい。かかる流体吐出装置であれば、吸収ドラムの外周部において、フラッシングのためにノズルから吐出される流体、を吸収する領域が局在化してしまうのをより効果的に抑制して、前記外周部によりバランスよく流体を吸収させることが可能になる。
また、上記の流体吐出装置において、前記吸収ドラム及び前記回転ドラムの角速度の相対関係は、複数回のフラッシングが実施される場合に、前記外周部のうち、前記複数回のフラッシング中の一のフラッシングのために前記ノズルから流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、他のフラッシングのために前記ノズルから流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、が前記吸収ドラムの回転方向において異なるような関係、であることとしてもよい。
かかる流体吐出装置であれば、吸収ドラムの外周部のうち、フラッシングのためにノズルから吐出される流体を吸収する領域、が自動的に変化する。これにより、吸収ドラムの外周部において、フラッシングのためにノズルから吐出される流体を吸収する領域、が局在化してしまうことを一層効果的に抑制し、前記外周部に更にバランスよく流体を吸収させることが可能になる。この結果、回転ドラムの回転に支障を来たすことなく前記流体を吸収させることが可能になる。また、例えば、ユーザが手動により吸収ドラムを回転させて、フラッシングのためにノズルから吐出される流体を吸収する領域、を変える手間が不要となる。
また、上記の流体吐出装置において、前記回転ドラム及び前記吸収ドラムの角速度の相対関係は、前記外周部のうち、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域が、フラッシング毎に、前記吸収ドラムの回転方向において一定間隔ずつ変化するような関係、であることとしてもよい。
かかる流体吐出装置であれば、吸収ドラムの外周部全域に、バランス良く、フラッシングのためにノズルから吐出される流体、を吸収させることが可能になる。これにより、回転ドラムの回転に支障を来たすことなく前記流体を吸収する効果、がより効果的に発揮される。
===本発明に係る流体吐出装置について===
以下、本発明に係る流体吐出装置の一例として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ10と言う)を例に挙げて説明する。
<<プリンタ10の構成>>
先ず、図1及び図2を参照しながら、プリンタ10の構成の概要について説明する。
図1は、プリンタ10の構造を模式的に示す斜視図である。なお、図1には、プリンタ10の上下方向と、ヘッド31の移動方向(走査方向)が矢印にて示されている。図2は、紙保持ドラム20及びその周辺機器の構造を示す断面図である。図2は、その法線方向が紙保持ドラム20の中心軸方向と一致する断面を示している。
本実施形態のプリンタ10は、不図示のホストコンピュータから印刷データを受信すると、該印刷データに基づき、媒体の一例としての紙に、流体の一例としての紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を吐出して該紙に画像を印刷する装置である。UVインクは、ビヒクル、光重合開始剤及び顔料の混合物に、消泡剤等の補助剤を添加して調合されたインクである。そして、プリンタ10は、図1に示すように、回転ドラムとしての紙保持ドラム20と、ヘッド部30と、UV照射部40とを有する。さらに、本実施形態のプリンタ10は、図2に示すように、吸収ドラム200を有している。
紙保持ドラム20は、その周面22に紙を保持した状態で回転する中空状のドラムである。この紙保持ドラム20は、図1に示すように、その中心軸方向両端部に回転軸(以下、紙保持ドラム回転軸21)を有し、対面して直立した一対のフレーム12に該紙保持ドラム回転軸21が軸受14(図7参照)を介して支持されることにより回転可能に支持されている。そして、紙保持ドラム20は、駆動モータ80(図7参照)からの駆動力を受けて、紙保持ドラム回転軸21を中心にして、図1中、矢印にて示す方向に一定の角速度ω1にて回転する。
本実施形態では、図2に示すように、紙保持ドラム20の周面22に、紙を保持するための保持領域22aと、紙を保持しない非保持領域22bと、が備えられている。また、非保持領域22bには、紙保持ドラム20の軸方向における長さよりも一回り小さい幅、を有する略矩形状の開口23が形成されている。さらに、図2に示すように、本実施形態の紙保持ドラム20の内部には、吸収ドラム200が収容されている。吸収ドラム200については、後に詳述する。
ヘッド部30は、紙保持ドラム20の周面22(より正確には保持領域22a)に保持された紙にUVインクを吐出するためのものである。このヘッド部30は、図2に示すように、ヘッド31と、該ヘッド31を搭載するヘッドキャリッジ32と、を有する。
ヘッド31は、紙保持ドラム20の周面22と対向し、ノズルが形成されたノズル面31aを有する。換言すると、紙保持ドラム20は、その周面22をノズルに対向させながら回転する。ノズルは、紙保持ドラム20の周面22に保持された紙にUVインクを吐出するためのノズルである。ヘッドキャリッジ32は、紙保持ドラム回転軸21に沿うガイド軸51、52に支持されており、ガイド軸51、52に沿って往復移動する。このため、ヘッド31は、ヘッドキャリッジ32の移動により、ガイド軸51、52の軸方向に沿って往復移動可能となる。すなわち、ガイド軸51、52の軸方向が、ヘッド31の移動方向、すなわち、走査方向に相当する。なお、図2に示すように、ヘッドキャリッジ32には、UVインクを収容するインクカートリッジ33が着脱可能に取り付けられている。
UV照射部40は、紙に付着したUVインクに紫外線を照射するためのものである。このUV照射部40は、紙保持ドラム20の回転方向においてヘッド部30よりも下流側に位置する。また、UV照射部40は、紙保持ドラム20の回転方向に並ぶように整列された複数のランプユニット41と、当該複数のランプユニット41を搭載する照射部キャリッジ42と、を有する。
複数のランプユニット41の各々は、紙保持ドラム20の周面22と対向する対向面を備え、不図示の光源から発せられる紫外線を該対向面から紙保持ドラム20の周面22に向けて照射する。複数のランプユニット41の各々が有する対向面は前記紙保持ドラム20の回転方向に沿って並んで列を成している。このように前記回転方向に沿った複数の対向面が、UV照射部40が紫外線を照射するために備える照射面40a、を形成している。そして、紙保持ドラム20は、その周面22を前記照射面40aに対向させながら回転する。照射部キャリッジ42は、紙保持ドラム回転軸21に沿うガイド軸53、54に支持されており、ガイド軸53、54に沿って移動する。このため、複数のランプユニット41は照射部キャリッジ42の移動により、ガイド軸53、54の軸方向に沿って移動する。
<<ノズルについて>>
次に、図3及び図4を参照しながら、ヘッド31のノズル面31aに形成されたノズルについて説明する。図3は、ヘッド部30の斜視図である。図4は、ノズル面31aを示した図であり、ヘッド部30を、図3中、矢印にて示す方向から見た図である。なお、図3及び図4には、ヘッド31の走査方向が示されている。
本実施形態のヘッド部30には、図3に示すように、複数のヘッド31(本実施形態では、5つのヘッド31)が、走査方向に並んだ状態で備えられている。これらのヘッド31の各々は、互いに種類が異なるUVインクを吐出する。具体的に説明すると、ブラック色のUVインクを吐出するヘッド31と、シアン色のUVインクを吐出するヘッド31と、マゼンタ色のUVインクを吐出するヘッド31と、イエロー色のUVインクを吐出するヘッド31と、ホワイト色のUVインクを吐出するヘッド31と、が備えられている。
ヘッド31のノズル面31aには、図4に示すように、走査方向に沿って一定の間隔で整列した複数のノズルが形成されている。各ノズルには、インクチャンバー及びピエゾ素子(インクチャンバー及びピエゾ素子ともに不図示)が設けられており、ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張することにより、ノズルからUVインクが滴状に吐出される。
<<UV照射部40について>>
次に、図5を参照しながら、UV照射部40について説明する。図5は、UV照射部40の斜視図である。なお、図5には、矢印にて、ヘッド31の走査方向に相当する方向(図5中、単に走査方向と示す)が示されている。
本実施形態のUV照射部40には、紙保持ドラム20の回転方向に沿って整列された複数のランプユニット41(以下、ランプユニット列とも言う)が、ヘッド31の数に対応して複数備えられている。すなわち、本実施形態では、ブラック色のUVインク用のランプユニット列と、シアン色のUVインク用のランプユニット列と、マゼンタ色のUVインク用のランプユニット列と、イエロー色のUVインク用のランプユニット列と、ホワイト色のUVインク用のランプユニット列が備えられている。これらのランプユニット列は、図5に示すように、共通のホルダー43に装着され、ヘッド31の走査方向に相当する方向に沿って並んでいる。したがって、インクの種類に対応した照射面40aが走査方向に複数並ぶことになる。
以上のように、ランプユニット列がUVインクの種類毎に備えられているため、ランプユニット41から照射される紫外線の波長及び照射強度を、対応するUVインクの種類毎に設定することが可能である。なお、ランプユニット41が備える光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等が使用可能である。
また、本実施形態では、各照射面40aの走査方向における幅が、各ヘッド31のノズル面31aの走査方向における幅よりも長くなっている。
<<制御ユニット100の構成>>
次に、図6を参照しながら、制御ユニット100の構成について説明する。図6は、プリンタ10の制御ユニット100を示すブロック図である。
制御ユニット100のメインコントローラ101は、図6に示すように、ホストコンピュータと接続するためのインターフェイス102と、ホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ103と、を備えている。
サブコントローラ104は、図6に示すように、プリンタ装置本体の各部(紙保持ドラム20、ヘッド部30、UV照射部40など)と電気的に接続されている。そして、当該各部が備えるセンサからの信号を受信することによって、当該各部の状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて当該各部を制御する。
<<プリンタ10の動作例>>
次に、以上のように構成されたプリンタ10により紙に画像を印刷する動作例(印刷動作)について説明する。
先ず、ホストコンピュータからの画像信号がインターフェイス102を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づいて、サブコントローラ104がプリンタ装置本体の各部を制御する。これにより、駆動モータ80が作動して紙保持ドラム20が回転するとともに、UV照射部40が紫外線を照射する。
一方、給紙部60から供給された紙が、紙保持ドラム20まで搬送され、該紙の紙幅方向が紙保持ドラム回転軸21の軸方向に沿うように該紙保持ドラム20に巻きつけられる。そして、紙は、紙保持ドラム20の周面22の保持領域22aに設けられた保持機構(不図示)により、該保持領域22a上に保持される。
紙が紙保持ドラム20の周面22に保持されて該紙保持ドラム20とともに回転するようになると、各ヘッド31のノズルからUVインクが吐出される。そして、紙の、ヘッド31のノズル面31aに対向する位置に至る部分に、UVインクが着弾する。このとき、紙が回転しているため、紙のヘッド31のノズル面31aに対向する位置に至る部分は、紙幅方向と交差する方向において変化する。この結果、紙には、紙幅方向と交差する方向に沿ったドットラインが形成される。
また、紙の回転により、紙のUVインクが付着した部分がUV照射部40の照射面40aに対向する位置に移動すると、該UVインクに紫外線が照射される。これにより、ノズルから吐出されたUVインクが紙に付着すると、該UVインクに即座に紫外線が照射され、該UVインクは硬化するようになる。この結果、紙に形成されたドットラインが紙に定着する。
なお、ランプユニット41(より正確には、ランプユニット列)がUVインクの種類毎に備えられているため、紙に付着したUVインクは、その種類に対応したランプユニット41からの紫外線を受けることとなる。
また、本実施形態では、紙保持ドラム20の回転方向に沿って複数のランプユニット41が配置されているため(換言すると、照射面40aが前記回転方向において一定の長さを有するため)、紙のUVインクが付着した部分が照射面40aに対向する時間を十分に確保することが可能である。このため、紙に付着したUVインクに十分に紫外線を照射することが可能である。
紙が更に回転して、紙保持ドラム20の周面22のうち、非保持領域22bがノズルと対向する位置に至ると、各ヘッド31が走査方向に移動する。その後、上記と同様の動作が実行される。この結果、既に紙に硬化して付着しているUVインクに、該UVインクとは異なる色のUVインクを重ねて付着することとなる。したがって、未硬化のUVインクに他の色のUVインクが混ざり合うことが防止される。なお、前述したように、紙保持ドラム20が回転している間に各ヘッド31を走査方向に移動させる必要があるため、紙保持ドラム20の周面22の一部の領域については、当該一部の領域がノズルと対向した際に該ノズルからのインクの吐出が行われないようになっている。そして、前記非保持領域22bが当該一部の領域に相当する。
また、各ヘッド31が走査方向に移動することに伴い、各ランプユニット41も走査方向に移動する。これにより、各ヘッド31が移動した後にも、各ランプユニット41が、当該各ランプユニット41に対応した種類のUVインクに紫外線を照射するようになる。なお、照射面40aの幅が、各ヘッド31のノズル面31aの幅よりも長いため、ヘッド31及びランプユニット41が移動するタイミングが多少ずれた場合であっても、紙に付着したUVインクに十分に紫外線を照射することが可能である。
以上のような動作が繰り返し実行される結果、紙の画像印刷領域全域に亘って各色のドットラインが定着する。これにより、最終的に紙に画像が印刷される。そして、画像が印刷された紙は、紙保持ドラム20から剥離されて、排紙部62に搬送される。
===フラッシングによりノズルから吐出されるUVインクの吸収について===
本実施形態では、ノズルから適切にUVインクを吐出させ続けるために、フラッシングが実施される。フラッシングとは、ノズル近傍にあって溶媒の蒸発により粘度が上昇したUVインク、によってノズルの目詰まりが発生するのを防止するために、該UVインクを強制的にノズルから吐出する動作である。
また、フラッシングは、紙保持ドラム20の周面22の保持領域22a、及び、該保持領域22aに保持された紙、にUVインクが付着しないように実施される必要がある。このため、本実施形態では、紙保持ドラム20の周面22のうち、非保持領域22bに形成された開口23にノズルが臨んだ際に、フラッシングが実施される。すなわち、本実施形態では、フラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出されることになる。
さらに、本実施形態では、紙保持ドラム20が周面22上にて紙を保持している間(すなわち、印刷動作の期間)を含め、該紙保持ドラム20が回転している期間に、フラッシングが定期的に行われる。具体的に説明すると、紙保持ドラム20の回転に伴ってノズルが前記開口23に臨む度に、フラッシングが実施され、該フラッシングのために前記ノズルから前記開口23に向けてUVインクが吐出される。
ところで、フラッシングのためにノズルから吐出されたUVインク(以下、廃インクとも言う)は、前記開口23を通過した後、紙保持ドラム20内において回収される必要がある。このため、本実施形態では、廃インクを回収するための機構としての吸収ドラム200が、紙保持ドラム20内に備えられている。以下、吸収ドラム200について説明する。
<<吸収ドラム200の構成>>
先ず、図2と図7を参照しながら、吸収ドラム200の構成について説明する。図7は、吸収ドラム200の構成についての説明図であり、図2中の断面Aを示す模式図である。なお、図7には、紙保持ドラム20の中心軸方向(図7において単に軸方向と示す)が矢印にて示されている。
吸収ドラム200は、前記開口23を通過して紙保持ドラム20内に進入した廃インク、を吸収するための吸収部材であり、図2や図7に示すように、円筒状に成形された鋼材からなるドラム基部203の周面に、該ドラム基部203の外周全域に亘って、スポンジ等の多孔質な吸液材料、が巻き付けられた部材である。つまり、吸収ドラム200の外周部202は前記吸液材料からなり、吸収ドラム200は、当該外周部202にて、紙保持ドラム20内に進入した廃インクを吸収する。
また、吸収ドラム200は、図7に示すように、その中心軸方向両端部に回転軸(以下、吸収ドラム回転軸201)を有し、該吸収ドラム回転軸201が紙保持ドラム回転軸21に沿った状態で、紙保持ドラム20内において回転可能に支持されている。
具体的に説明すると、紙保持ドラム回転軸21には、該紙保持ドラム回転軸21に沿い、かつ、吸収ドラム回転軸201の外径より一回り大きい径を有する貫通孔21aが形成されている。そして、吸収ドラム回転軸201は、上記貫通孔21aに挿入された状態で、紙保持ドラム回転軸21に対して相対回転可能に該紙保持ドラム回転軸21に支持されている。これにより、吸収ドラム200は、紙保持ドラム20内において該紙保持ドラム20に対して相対回転可能に支持されることになる。
なお、吸収ドラム回転軸201が紙保持ドラム回転軸21に支持された状態では、吸収ドラム回転軸201の軸中心と、紙保持ドラム回転軸21の軸中心とが略一致する。つまり、吸収ドラム回転軸201が紙保持ドラム回転軸21に支持されると、図2に示すように、吸収ドラム200の外周部202の断面、及び、紙保持ドラム20の周面22の断面の双方(いずれも中心軸に対して直交する断面)が同心円状に並ぶことになる。
また、吸収ドラム回転軸201のうち、吸収ドラム200が紙保持ドラム20内に支持された状態において該紙保持ドラム20の中心軸方向一端側に位置する吸収ドラム回転軸201、の先端部201aは、図7に示すように、前記貫通孔21aから紙保持ドラム回転軸21の外側に突出している。当該吸収ドラム回転軸201の先端部201aには、図7に示すように、歯車(以下、吸収ドラム歯車72)が軸着されている。一方、紙保持ドラム20の中心軸方向一端側に位置する紙保持ドラム回転軸21の先端部21b、にも歯車(以下、紙保持ドラム歯車71)が軸着されている。
そして、紙保持ドラム歯車71及び吸収ドラム歯車72は、ともに、駆動モータ80の駆動軸81に軸着された歯車と噛合する。具体的に説明すると、前記駆動軸81には、紙保持ドラム歯車71と噛合する第一駆動歯車73a、及び、吸収ドラム歯車72と噛合する第二駆動歯車73b、の双方を備えた複合歯車73が軸着されている。
したがって、駆動モータ80が作動して駆動軸81が回転すると、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の双方が回転することになる。すなわち、本実施形態では、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の双方を回転させるために、当該双方にとって共通の駆動モータ80が備えられている。したがって、本実施形態の吸収ドラム200は、紙保持ドラム20が回転する間に、一定の角速度にて回転することになる。
さらに、本実施形態では、紙保持ドラム歯車71、吸収ドラム歯車72、第一駆動歯車73a、及び、第二駆動歯車73bの各々の歯車数(換言すると、互いに噛合するギア間のギア比率)は、吸収ドラム200が、紙保持ドラム20とは異なる角速度にて回転するように設計されている。これにより、紙保持ドラム20が角速度ω1にて回転する間、吸収ドラム200は、角速度ω1とは異なる角速度ω2にて、図2中、矢印にて示す方向に回転することになる。ここで、角速度ω1、ω2の相対関係は、紙保持ドラム20が一回転する間に、吸収ドラム200がf/k回転(fとkは互いに素であり、本実施形態では、99/125回転)するような関係になっている。
以上のような構成の吸収ドラム200(より正確には、吸収ドラム200の外周部202)によって、開口23を通過して紙保持ドラム20内に進入した廃インクが吸収される。
より具体的に説明すると、前述したように、紙保持ドラム20の回転に伴ってノズルが開口23に臨むと、フラッシングのために前記ノズルから該開口23に向けてUVインクが吐出される。このとき、吸収ドラム200の外周部202のうち、前記開口23により露出する露出位置に位置する領域が、前記UVインク(すなわち、廃インク)を受けるようになる。そして、前記UVインクは当該領域にて吸収されて当該領域中に保持される。
ここで、露出位置に位置する領域とは、吸収ドラム200の外周部202のうち、紙保持ドラム20の回転中心から該紙保持ドラム20の回転方向における前記開口23の端に向かう2つの仮想平面(図2中、一転鎖線にて示す)により仕切られ、当該2つの仮想平面の内側に位置する領域のことである。
なお、本実施形態では、吸収ドラム200における廃インクの吸収能力を持続させる目的のために、ドラム基部203の内部に吸引機構210(図6参照)を設けている。また、ドラム基部203の周面には、図7に示すように、吸引機構210が吸収ドラム200の外側からの空気を吸気するために通気孔203aが設けられている。
そして、吸引機構210より吸収ドラム200の外側からの空気が通気孔203aを介して吸気されると、吸収ドラム200の外周部202における通気が促進され、当該外周部202に吸収された廃インク中の溶媒が気化し易くなる。この結果、吸収ドラム200の吸収能力を持続させることが可能になる。なお、吸引機構210は、吸引機構駆動制御回路を介してサブコントローラ104により制御され、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200が回転している間、常時作動し続ける。
<<吸収ドラム200の動作例>>
次に、図8A乃至図8Gを参照しながら、吸収ドラム200の動作例、すなわち、吸収ドラム200による廃インクの吸収について説明する。図8A乃至図8Gは、吸収ドラム200が廃インクを吸収する様子を経時的に示した図である。なお、吸収ドラム200の状態は、図8A、図8B、図8C、図8D、図8E、図8F、図8Gの順に遷移する。
本実施形態では、前述したように、紙保持ドラム20が回転する期間中、定期的にフラッシングが実施される。特に、本実施形態では、紙保持ドラム20が回転する期間において、当該紙保持ドラム20の回転に伴ってノズルが開口23に臨む度に、フラッシングのためにノズルからUVインクが吐出される。フラッシングのためにノズルから吐出されたUVインク(すなわち、廃インク)は、吸収ドラム200の外周部202のうち、フラッシングのために前記UVインクがノズルから吐出される際に前記露出位置に位置する領域、にて受けられ、該領域に吸収される。
また、本実施形態では、紙保持ドラム20が角速度ω1にて回転する間、吸収ドラム200は紙保持ドラム20とは異なる回転速度ω2にて回転する。このような紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の間の回転速度の差により、吸収ドラム200の外周部202のうち、フラッシングのためにUVインクがノズルから吐出される際に前記露出位置に位置する領域が、フラッシング毎に、前記吸収ドラム200の回転方向において変化するようになる(換言すると、ずれていくようになる)。
上記内容について、以下、具体的に説明する。なお、以下の説明では、紙保持ドラム20が複数回回転する場合、つまり、複数回のフラッシングが実施される場合を想定して説明する。また、説明を分かり易くする為に、紙保持ドラム20が静止することなく複数回連続して回転し、紙保持ドラム20が回転し始めた時点においては、吸収ドラム200の外周部202に廃インクが吸収(保持)されていないものとする。
紙保持ドラム20が回転し始めてから、該紙保持ドラム20の回転に伴ってノズルが最初に開口23に臨むようになると、前記複数回のフラッシングのうち、初回のフラッシングが実施される。この際(すなわち、初回のフラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際)、吸収ドラム200の外周部202のうち、図8Aにてハッチングが施された領域Aが、開口23により露出する露出位置に位置する領域となる。そして、吸収ドラム200は、前記領域Aにて、初回のフラッシングのためにノズルから吐出された廃インクを受けることにより、前記領域Aにて該廃インクを吸収する。
その後、紙保持ドラム20が1回転すると、再び、紙保持ドラム20の回転に伴ってノズルが開口23に臨むようになり、前記複数回のフラッシングのうち、2回目のフラッシングが実施される。一方、初回のフラッシングが実施されてから2回目のフラッシングが実施されるまでの間、吸収ドラム200が紙保持ドラム20とは異なる角速度ω2にて回転する。この結果、吸収ドラム200の外周部202のうち、初回のフラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置する領域と、2回目のフラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置する領域とが、吸収ドラム200の回転方向において変化する(ずれる)ようになる。
より具体的に説明すると、吸収ドラム200の外周部202のうち、2回目のフラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域は、図8Bにてハッチングが施された領域中、前記領域Aとは異なる領域Bとなる。ここで、本実施形態では、紙保持ドラム20が1回転する間に吸収ドラム200が99/125回転するため、該吸収ドラム200の回転方向における領域A及び領域Bの間隔(より正確には、前記回転方向における領域Aの中央と領域Bの中央との間の間隔であって、図8B中、記号lにて示す)は、吸収ドラム200の外周の26/125倍となる。すなわち、2回目のフラッシングのためにノズルから吐出された廃インクを吸収する領域Bは、前記吸収ドラム200の回転方向とは反対の方向に、初回のフラッシングのためにノズルから吐出された廃インクを吸収する領域A、から前記間隔lだけずれた領域となる。
以降、紙保持ドラム20が1回転する度、フラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出されることになる。そして、図8C乃至図8Fに示すように、吸収ドラム200の外周部202のうち、フラッシングのためにノズルから吐出された廃インクを吸収する領域が、フラッシング毎に、吸収ドラム200の回転方向とは反対の方向に前記間隔lずつずれていく。
換言すると、本実施形態では、紙保持ドラム20の角速度ω1及び吸収ドラム200の角速度ω2の相対関係が、前記外周部202のうち、フラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域が、フラッシング毎に、吸収ドラム200の回転方向において一定間隔ずつ変化するような関係、になっている。
なお、ある回のフラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域には、当該領域にて吸収されたUVインクが保持され続ける。これは、UV照射部40から照射された紫外線の一部が、開口23から紙保持ドラム20内に漏れ込み、当該領域にて吸収されたUVインクに当たって該UVインクを硬化させて、該UVインクの前記外周部202内における流動を抑えるためである。
そして、吸収ドラム200は、125回目のフラッシングまで、前記外周部202のうち、廃インクを吸収させる領域をフラッシング毎に一定間隔ずつ変化させながら、該廃インクを吸収し続ける。その後、126回目のフラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際には、前記露出位置に位置する領域が再び領域Aに戻る。以降、上記と同様の流れに従って、前記露出位置に位置する領域が、吸収ドラム200の回転方向において一定間隔ずつずれていく。
以上により、吸収ドラム200の外周部202中、該吸収ドラム200の回転方向において互いに位置が異なる125箇所の領域に、廃インクがバランスよく吸収されることになる。この結果、吸収ドラム200の外周部202の一箇所のみに廃インクが局所的に吸収される場合と比較して、廃インクをより多く吸収することが可能になる。
なお、本実施形態では、紙保持ドラム20の角速度ω1及び吸収ドラム200の角速度ω2の相対関係の一例として、紙保持ドラム20が1回転する間に吸収ドラム200が99/125回転する関係について説明したが、これに限定されるものではない。吸収ドラム200は、紙保持ドラム20が1回転する間にf/k回転(f/kは互いに素)であればよい。そして、kが大きいほど、吸収ドラム200の外周部202における廃インクの吸収量をより増加させることが可能になる。
<<本実施形態のプリンタ10の有効性について>>
本実施形態のプリンタ10は、UVインクを紙に吐出するためのノズルと、該紙を保持するための保持領域22aと、開口23が形成された非保持領域22bと、を周面22に備え、該周面22を前記ノズルに対向させながら回転する紙保持ドラム20と、該紙保持ドラム20内に備えられ、フラッシングのためにノズルから前記開口23に向けて吐出された廃インク、を外周部202にて吸収する吸収ドラム200と、を有する。これにより、紙保持ドラム20の回転に支障を来たすことなく前記廃インクを吸収することが可能である。かかる効果について、図9を参照しながら説明する。図9は、本実施形態のプリンタ10の有効性について説明するための比較例を示した図である。
『発明が解決しようとする課題』の項で説明したように、フラッシングのためにノズルから吐出された廃インク、を吸収するための吸収部材を設けた場合、当該吸収部材が廃インクを吸収することにより、紙保持ドラム20の回転に対して影響を及ぼす可能性がある。例えば、図9に示すような吸収部材300が紙保持ドラム20に取り付けられている場合、該吸収部材300は紙保持ドラム20と一体的に回転することになる。この吸収部材300は、スポンジ等の多孔質な吸収材料からなり、図9に示すように、紙保持ドラム20の周面22の非保持領域22bにおいて該紙保持ドラム20の軸方向に沿って形成された窪み、に嵌入された状態で該紙保持ドラム20に取り付けられている。
したがって、吸収部材300が紙保持ドラム20と一体的に回転するため、該紙保持ドラム20は、吸収部材300が取り付けられている位置に廃インクを吸収させながら回転することになる。つまり、紙保持ドラム20における吸収部材300の取り付け位置に局所的に廃インクが吸収されることになる。また、図9に示すように、紙保持ドラム200の回転方向における吸収部材300の長さは、開口23の長さよりも長くなっている。このため、前記開口23を通過して吸収部材300に吸収された廃インクは該吸収部材300全体に浸透しきれず、該吸収部材300の前記開口23に臨んだ部分にのみ局所的に存在することになる。
以上により、吸収部材300に廃インクが吸収され続けると、回転中の紙保持ドラム20の重量バランスが変化してしまう。こうした紙保持ドラム20の重量バランスの変化は、該紙保持ドラム20の回転に乱れを生じさせ、該紙保持ドラム20の回転に支障を来たしてしまう。
これに対して、本実施形態では、廃インクを吸収する部材としての吸収ドラム200が、紙保持ドラム20の内部に収容された状態で備えられている。すなわち、紙保持ドラム20と、廃インクを吸収する吸収ドラム200と、が別部材になっている。これにより、紙保持ドラム20と吸収部材300とが一体化している場合に生じる上記課題を解消することが可能になる。
具体的に説明すると、紙保持ドラム20と吸収ドラム200とが別部材になっているため、例えば、紙保持ドラム20を回転させるための駆動モータと、吸収ドラム200を回転させるための駆動モータとを、それぞれ別個に設けることにより、紙保持ドラム20のみを単独で回転させることが可能である。この結果、廃インクを吸収する吸収ドラム200が紙保持ドラム20から分離されることになる。このことは、紙保持ドラム20が、吸収ドラム200が廃インクを吸収する際の影響を受けることなく(具体的には、廃インクの吸収により紙保持ドラム20の重量バランスが変化することなく)、回転することが可能になることを意味する。このため、紙保持ドラム20の回転に支障を来たすことなく、廃インクを吸収することが可能になる。
また、吸収ドラム200が紙保持ドラム20内において回転可能に支持されており、単一の駆動モータ80により吸収ドラム200及び紙保持ドラム20の双方を回転させる構成、すなわち、紙保持ドラム20の回転に吸収ドラム200が連動して回転する構成、も考えられる。かかる構成においても、本実施形態のように紙保持ドラム20と吸収ドラム200とが別部材になっていることにより、紙保持ドラム20の回転に支障を来たすことなく前記廃インクを吸収することが可能である。
単一の駆動モータ80により吸収ドラム200及び紙保持ドラム20の双方を回転させる場合には、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の双方が、いずれも、複合歯車73と噛合する歯車(すなわち、紙保持ドラム歯車71や吸収ドラム歯車72)を有していることになる。かかる構成の下では、吸収ドラム200の回転、及び、紙保持ドラム20の回転が互いに影響を及ぼし得る。そして、吸収ドラム200の外周部202において局所的に廃インクが吸収された場合、吸収ドラム200の重量バランスが崩れ、吸収ドラム200の回転に乱れが生じてしまうことがある。そして、吸収ドラム200の回転の乱れは、複合歯車73を介して、紙保持ドラム20側に伝達される結果、紙保持ドラム20の回転にも乱れが生じてしまう。このように、吸収ドラム200の外周部202において局所的に廃インクが吸収されると、紙保持ドラム20の回転に支障を来たしてしまう虞がある。
しかし、単一の駆動モータ80により吸収ドラム200及び紙保持ドラム20の双方を回転させる場合であっても、当該双方が互いに別部材であり、かつ、当該双方がいずれも回転可能に支持されていることにより、吸収ドラム200の外周部202における局所的な廃インクの吸収、を回避することが可能である。
具体的に説明すると、吸収ドラム200を回転させることによって、吸収ドラム200の外周部202のうち、フラッシングのためにノズルから開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域を、吸収ドラム200の回転方向において変化させることが可能になる。これにより、吸収ドラム200の外周部202における廃インクの吸収領域が、該吸収ドラム200の回転方向において変化するようになり(ずれるようになり)、局所的な廃インクの吸収を回避することが可能になる。
より詳細に説明すると、本実施形態では、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の角速度の相対関係が、複数回のフラッシングが実施される場合に、前記外周部202のうち、当該複数回のフラッシング中の一のフラッシングのためにノズルからUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、他のフラッシングのためにノズルからUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、が吸収ドラム200の回転方向において異なるような関係、となっている。
これにより、吸収ドラム200の外周部202における局所的な廃インクの吸収が抑制され、上述したような吸収ドラム200の回転の乱れを抑えることが可能になる。この結果、紙保持ドラム20の回転に支障を来たすことなく、廃インクを適切に吸収することが可能になる。また、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の角速度の相対関係が上記関係になっていれば、前記外周部202のうち、廃インクを吸収する領域が増える結果、当該外周部202における廃インクの吸収量を増加させることが可能になる。
なお、吸収ドラム200及び紙保持ドラム20の角速度の相対関係が上記関係となっていることにより、紙保持ドラム20の回転期間中、吸収ドラム200の外周部202中の廃インクを吸収する領域、が自動的に変わることになる。しかし、吸収ドラム200が紙保持ドラム20内に回転可能に支持されていれば、例え前記相対関係が上記以外の関係(すなわち、吸収ドラム200の角速度ω2が紙保持ドラム20の角速度ω1の整数倍になっている関係)であっても、紙保持ドラム20が停止している間にユーザが手動にて吸収ドラム200を紙保持ドラム20に対して相対的に回転させる等して、前記廃インクを吸収する領域を変えることが可能である。但し、本実施形態のように、吸収ドラム200及び紙保持ドラム20の角速度の相対関係が上記関係となっていれば、廃インクを吸収する領域をユーザに変えさせる手間、を省くことが可能になる。
さらに、本実施形態では、紙保持ドラム20の回転に伴ってノズルが開口23に臨む度(すなわち、ノズルが開口23に臨んでから紙保持ドラム20が1回転する度)に、フラッシングのためにノズルから前記開口23に向けてUVインクが吐出されることとした。一方で、吸収ドラム200は、紙保持ドラム20が1回転する間に、f/k回転(=99/125回転)することとした。この結果、本実施形態では、紙保持ドラム20及び吸収ドラム200の角速度の相対関係が、フラッシングのためにノズルから前記開口23に向けてUVインクが吐出される際に前記露出位置に位置する領域が、フラッシング毎に、吸収ドラム200の回転方向において一定間隔lずつ変化するような関係、になる(図8A〜図8G参照)。
以上により、本実施形態では、吸収ドラム200の外周部202に、バランス良く廃インクを吸収させることが可能になる。具体的に説明すると、前記外周部202のうち、吸収ドラム200の回転方向において互いに位置が異なるk箇所(125箇所)の領域に、満遍なく廃インクを吸収させることが可能になる。これにより、吸収ドラム200の回転に乱れが生じることを、より効果的に抑制することが可能になる。この結果、紙保持ドラム20の回転に乱れが生じることを、より効果的に抑制し、該紙保持ドラム20の回転状態をより安定させることが可能になる。
===その他の実施形態===
以上、上記実施の形態に基づき、主として、流体吐出装置の一例であるプリンタ10について説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
また、上記の実施形態では、流体の一例であるUVインクを吐出するインクジェット式記録装置について説明したが、これに限られるものではない。UVインク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して噴射できる固体など)を吐出する流体吐出装置に具体化することも可能である。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料が分散または溶解した状態で含まれた液状体を吐出する流体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する流体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する流体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を例とする固体を吐出する粉体吐出式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の吐出装置に本発明を適用することができる。
プリンタ10の構造を模式的に示す斜視図である。 紙保持ドラム20と周辺機器の構造を示す断面図である。 ヘッド部30の斜視図である。 ノズル面31aを示した図である。 UV照射部40の斜視図である。 プリンタ10の制御ユニット100を示すブロック図である。 吸収ドラム200の構成についての説明図である。 図8A乃至図8Gは、吸収ドラム200が廃インクを吸収する様子を経時的に示した図である。 本実施形態のプリンタ10の有効性について説明するための比較例を示した図である。
符号の説明
10 プリンタ、12 フレーム、14 軸受、
20 紙保持ドラム、21 紙保持ドラム回転軸、21a 貫通孔、21b 先端部、
22 周面、22a 保持領域、22b 非保持領域、23 開口、
30 ヘッド部、31 ヘッド、31a ノズル面、
32 ヘッドキャリッジ、33 インクカートリッジ、
40 UV照射部、40a 照射面、41 ランプユニット、
42 照射部キャリッジ、43 ホルダー、
51、52、53、54 ガイド軸、60 給紙部、62 排紙部、
71 紙保持ドラム歯車、72 吸収ドラム歯車、73 複合歯車、
73a 第一駆動歯車、73b 第二駆動歯車、
80 駆動モータ、81 駆動軸、
100 制御ユニット、101 メインコントローラ、
102 インターフェイス、103 画像メモリ、104 サブコントローラ、
200 吸収ドラム、201 吸収ドラム回転軸、201a 先端部、
202 外周部、203 ドラム基部、203a 通気孔、210 吸引機構

Claims (2)

  1. 流体を媒体に吐出するためのノズルと、
    該媒体を保持するための保持領域と、開口が形成された非保持領域と、を周面に備え、該周面を前記ノズルに対向させながら回転する回転ドラムと、
    前記回転ドラム内に備えられ、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて吐出された流体、を外周部にて吸収する吸収ドラムと、
    を有し、
    前記吸収ドラムは、該吸収ドラムの回転軸が前記回転ドラムの回転軸に沿った状態で回転可能に支持され、かつ、
    前記外周部のうち、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される際に該開口により露出する露出位置に位置する領域、にて前記流体を受けることにより、当該領域にて前記流体を吸収し、
    前記吸収ドラムは、前記回転ドラムが回転する間に該回転ドラムとは異なる角速度にて回転し、
    前記吸収ドラム及び前記回転ドラムの角速度の相対関係は、
    複数回のフラッシングが実施される場合に、前記外周部のうち、前記複数回のフラッシング中の一のフラッシングのために前記ノズルから流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、他のフラッシングのために前記ノズルから流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域と、が前記吸収ドラムの回転方向において異なるような関係、
    であることを特徴とする流体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の流体吐出装置において、
    前記回転ドラム及び前記吸収ドラムの角速度の相対関係は、
    前記外周部のうち、フラッシングのために前記ノズルから前記開口に向けて流体が吐出される際に前記露出位置に位置する領域が、フラッシング毎に、前記吸収ドラムの回転方向において一定間隔ずつ変化するような関係、
    であることを特徴とする流体吐出装置。
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