JP2008307840A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体噴射装置の筐体内に漂った液体ミストが、筐体内部の壁面や部品等に付着しないようにすることができる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】液体噴射ヘッド3の液体吐出口を覆うキャップ部材7を備える液体噴射装置において、キャップ部材7は、液体噴射装置1の非噴射動作時には、キャップ部材7の開口部が液体吐出口を覆うキャッピング位置に配置され、液体噴射装置1の噴射動作可能時には、開口部が噴射媒体Pの上方となる噴射動作位置に配置され、キャップ部材7には、開口部内に対して吸引を行う吸引手段10が接続されていることとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体噴射装置に関する。
液体噴射装置の一種であるインクジェットプリンタにおいては、印字動作実行時に、印字ヘッドから吐出されるインクの一部がミスト(霧状)となって、インクジェットプリンタの筐体内に漂うことがある。このように筐体内に漂ったインクミストは、筐体内部の壁面や部品等に付着し、部品の劣化や動作上の支障を招いたり、該壁面等に付着したミストが印字用紙に付着してしまうという問題がある。従来、特許文献1には、非印字動作時に、ノズル内に在るインクの溶媒が蒸発しノズル内のインクが凝固してしまうことのないように印字ヘッドに対してキャッピングを行い、また、印字に関与しない印字ヘッドのノズルが目詰まりしないように、この印字に関与しないノズルについてフラッシングを行った際のインクを受けるキャップを備えるインクジェットプリンタが開示されている。
特開2007−69448号公報
しかしながら、特許文献1に開示される構成のインクジェットプリンタに備えられるキャップは、印字ヘッドのキャッピングとフラッシングされたインクの受けに使用されるものであり、印字ヘッドから吐出されるインクミストに起因する上述の問題の解決を意図するものではなく、その解決に寄与するものでもない。
そこで、本発明は、液体噴射装置の筐体内に漂った液体ミストが、筐体内部の壁面や部品等に付着しないようにすることができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、液体噴射ヘッドの液体吐出口を覆うキャップ部材を備える液体噴射装置において、キャップ部材は、液体噴射装置の非噴射動作時には、キャップ部材の開口部が液体吐出口を覆うキャッピング位置に配置され、液体噴射装置の噴射動作可能時には、開口部が噴射媒体の上方となる噴射動作位置に配置され、キャップ部材には、開口部内に対して吸引を行う吸引手段が接続されていることとする。
液体噴射装置をこのように構成した場合には、キャップ部材を介して吸引手段により、液体噴射ヘッドから吐出された液体の液体ミストを吸引することができる。そのため、筐体内部の壁面や部品等に液体ミストが付着することを防ぐことができる。
また、他の発明は、上述の発明に加え、キャップ部材は、噴射動作位置では、開口部が下方に向いていることとする。
液体噴射装置をこのように構成した場合には、開口部を液体噴射ヘッドの液体吐出部に近づけることができるので、液体ミストの吸引を効率的に行うことができる。
また、他の発明は、上述の発明に加え、吸引は、噴射動作実行時において行われることとする。
液体噴射装置をこのように構成した場合には、噴射動作実行時において液体噴射ヘッドから吐出された液体の液体ミストを吸引することにより、液体ミストが液体噴射装置内に飛散する前に、液体ミストを吸引することができる。そのため、筐体内部の壁面や部品等に液体ミストが付着することをより効果的に防ぐことができる。
また、他の発明は、上述の発明に加え、キャップ部材は、液体噴射ヘッドに対して、噴射媒体の搬送方向の側に配設されていることとする。
液体噴射装置をこのように構成した場合には、液体ミストの流れ側にキャップ部材を配設することができるので、液体ミストの吸引の効率を上げることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1および図2は、本発明の実施の形態に係る液体噴射装置としてのインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタと言う。)1の全体的な概略の構成を示す斜視図である。図1は、プリンタ1が噴射動作としての印字動作を実行することができる状態にある噴射動作可能時としての印字動作可能時のプリンタ1の状態を示し、図2は、プリンタ1が印字動作を実行することができない状態にある非噴射動作時としての非印字動作時のプリンタ1の状態を示している。
なお、以下の説明において、図中矢印Aで示す方向を前方(前側)、その反対方向を後方(後側)とし、前方から後方を見て、左手側を左方(左側)、右手側を右方(右側)、そして、液体が噴射される対象である噴射媒体としての印字用紙Pの印字面PMの側を上方(上側)、その反対側を下方(下側)として説明を行う。
図1に示すように、プリンタ1は、図示を省略する搬送モータによって回転駆動される搬送ローラ対2A,2Bを備えている。印字動作可能時において、印字用紙Pを、搬送ローラ対2Aに供給すると供給された印字用紙Pは、搬送ローラ対2A,2Bにより前方に向かって、すなわち、搬送ローラ対2Aから搬送ローラ対2Bに向かって搬送される。そして、この搬送される印字用紙Pに対して、液体噴射ヘッドとしての印字ヘッド3から液体であるインクを吐出(噴射)することによって印字動作が実行される。
印字ヘッド3は、搬送ローラ対2Aと搬送ローラ対2Bの間に、プリンタ1に対して固定状態で配設され、搬送ローラ対2Aの側から搬送ローラ対2Bの側に搬送される印字用紙Pに対してインクを吐出する。この印字ヘッド3は、図示を省略するフレキシブルケーブルを介して、同じく図示を省略するCPU(Central Processing Unit)等により構成される制御部の制御を受け、各インクノズル(図示省略)からインクを吐出し、印字用紙Pの記録面PMに対して文字や図形等を印字する。すなわち、各インクノズルから吐出されるインクにより、印字用紙Pの記録面PMに対して文字や図形等を記録する。
印字ヘッド3は、左右方向に長い長尺状をした略直方体を呈し、印字面PMに対向する下側の面となるインク吐出口形成面4に、印字用紙Pの左右方向の幅方向に亘って図示を省略するインクノズルと液体吐出口としてのインク吐出口とが形成される、いわゆるライン型ヘッドとして構成されている。すなわち、この印字ヘッド3は、印字用紙Pに対して、該幅方向の広い範囲に亘って一括してインクの吐出を行うことができるものである。
印字ヘッド3の下側には、搬送ローラ対2Aから搬送ローラ対2Bに向かって搬送される印字用紙Pの下面を支持するプラテン5が配設されている。すなわち、印字用紙Pは、印字ヘッド3とプラテン5の間を通って、搬送ローラ対2A側から搬送ローラ対2B側に搬送される。なお、プラテン5の前後にはそれぞれ、搬送ローラ対2Aからプラテン5の間、およびプラテン5から搬送ローラ対2Bの間において、印字用紙Pの下面を支持する図示を省略する用紙ガイドが設けられ、この用紙ガイド沿って、印字用紙Pは、搬送ローラ対2Aからプラテン5を通って搬送ローラ対2Bに向かって搬送される。
また、プリンタ1には、印字動作可能時と非印字動作時とで、配置位置が変位するキャップ機構6が設けられている。すなわち、このキャップ機構6は、印字動作可能時においては、図1に示すように、印字ヘッド3の前方に配置され、非印字動作時においては、図2に示すように、印字ヘッド3の下側に配置されるように配置位置が変位する。
プラテン5は、図2に示すように、前プラテン5Aと後プラテン5Bにより構成され、前プラテン5Aと後プラテン5Bとは前後方向に2分割可能に構成されている。後プラテン5Bは、プリンタ1に対して固定状態に配設されているのに対して、前プラテン5Aは、図示を省略するプラテン移動機構により、前後方向に変位可能に構成されているもので、印字ヘッド3の下方位置で、前プラテン5Aと後プラテン5Bとに分割させられる。
図1に示すように、前プラテン5Aは、印字動作可能時にプラテン移動機構により(図示省略)、前プラテン5Aの後端縁5Aeを後プラテン5Bの前端縁5Beに当接する後方位置に配置させられる。一方、前プラテン5Aは、図2に示すように、非印字動作時に前プラテン5Aの後端縁5Aeと後プラテン5Bの前端縁5Beとの間に間隔Dが形成される前方位置に配置される。したがって、キャップ機構6は、前プラテン5Aが前方位置に配置され前プラテン5Aと後プラテン5Bとの間に形成される間隔Dを通して、図1に示す印字動作可能時における印字ヘッド3の前方と、図2に示す非印字動作時における印字ヘッド3に下側とに変位することができる。なお、後プラテン5Bは、後プラテン5Bの前端縁5Beが、非印字動作時に印字ヘッド3の下側に配置されるキャップ機構6に干渉しない位置に配設されている。
(キャップ機構の構成)
次に、キャップ機構6の構成について説明する。キャップ機構6は、キャップ部材7と、このキャップ部材7を図1に示す印字ヘッド3の前方と図2に示す印字ヘッド3の下側とに変位させるキャップ部材変位用モータ8等を有している。また、キャップ部材7には、可撓性チューブ9を介して吸引手段としての吸引ポンプ10が接続されている。
(キャップ部材の構成)
キャップ部材7は、図3に示すように、左右方向に長い長尺状を呈し、一面に開口を有し中空状の空間となる開口部11が形成されている箱体となっている。このキャップ部材7の左右方向の長さは、印字ヘッド3の左右方向の長さと略同一の長さであり、開口部11は、印字ヘッド3のインク吐出口形成面4のインク吐出口(図示省略)が形成される範囲を全て覆うことができる大きさに形成されている。キャップ部材7は、硬質樹脂から形成されるが開口部11の周縁部12については、ゴムやエラストマ等の軟質の樹脂により形成され、この周縁部12は開口部11から突出した状態で設けられている。
キャップ部材7の右側面には、吸引ポンプ10に繋がる可撓性チューブ9が接続される接続口13が設けられている。この接続口13は、キャップ部材7の開口部11の内部に連通している。また、キャップ部材7の長手方向に沿う一縁には軸孔14が形成される軸受部15が設けられている。
図1,2に示すように、印字ヘッド3の左側には、キャップ部材変位用モータ8が配置されている。このキャップ部材変位用モータ8は、その出力軸16を印字ヘッド3の前方であってプラテン5より上方に位置するように、プリンタ1に対して固定状態で配設されている。この出力軸16の先端側、すなわちキャップ部材変位用モータ8と反対側の端部(図示省略)は、プリンタ1に対して回転自在に支持されている。更に、この出力軸16には、キャップ部材7が軸孔14に出力軸16を通して取り付けられている。キャップ部材7は出力軸16の周りに回転してしまわないように、出力軸16と軸孔14とを接着する等の方法により固定状態となっている。
したがって、キャップ部材変位用モータ8を回転することにより、キャップ部材7を、出力軸16を回転中心として、図1に示す印字ヘッド3の前方であって印字用紙Pの上方の位置と、図2に示す印字ヘッド3の下側の位置とに変位させることができる。キャップ部材7は、図1に示す印字ヘッド3の前方の印字用紙Pの上方の位置に変位された状態では、開口部11は、プラテン5、またはプラテン5上を搬送される印字用紙Pに対向するように下方を向いた噴射動作位置としての印字動作位置に配置させられている。また、キャップ部材7は、図2に示す印字ヘッド3の下側の位置に変位された状態では、開口部11が、インク吐出口(図示省略)を覆いキャッピングを行うキャッピング位置に配置させられている。
なお軸受部15は、キャップ部材7と一体形成され、キャップ部材7と同様に硬質樹脂から形成されている。また、このキャップ部材7の内部には、液体を吸収して保持することができる図示を省略する吸湿材としてのインク吸収材が収容されている。このインク吸収材としては、例えば、ポリビニルアルコール等の材料から形成された親水性多孔質体により構成されている。
(キャップ機構の動作)
次に、上述の構成を備えるプリンタ1のキャップ機構6の動作を、図1および図2を参照しながら説明する。
先ず、図2を参照しながら、プリンタ1が非印字動作時にあるときの、キャップ機構6の動作を説明する。図2に示すように、プリンタ1の非印字動作時には、プラテン5の前プラテン5Aは、前方に配置させられ、後プラテン5Bと前プラテン5Aとの間には、間隔Dが形成されている。そして、キャップ部材7は、この間隔Dの間であって、かつ、印字ヘッド3の下側に配置され、開口部11の周縁部12が、印字ヘッド3のインク吐出口形成面4に当接するキャッピング位置に配置させられている。
周縁部12は、エラストマ等の軟質な樹脂により形成されている。そのため、インク吐出口形成面4に当接した周縁部12はインク吐出口形成面4に密着し、インク吐出口(図示省略)がキャップ部材7によりほぼ気密に覆われた状態となる。このように、キャップ部材7がインク吐出口(図示省略)を気密に覆うことで、インクノズル内に残留するインクの溶媒の蒸発が抑えられ、非印字動作時が長期間継続しても、ノズル内のインクが凝固しノズルが詰まってしまうことを防止できる。なお、インク吐出口(図示省略)をキャップ部材7により覆った状態で、インクを吐出し、インク吸収材(図示省略)を湿潤にしておくことで、より効果的にノズル内のインク溶媒の蒸発を抑えることができる。また、インク吐出口(図示省略)をキャップ部材7により覆った状態で、吸引ポンプ10を駆動し、ノズル内のインクを吸引することで、ノズル内に溜まった凝固したインクを除去することができる。
一方、印字動作を行う際、すなわち印字動作実行時には、キャップ部材7を印字の妨げにならない位置に退避させる必要がある。そのため、キャップ部材変位用モータ8を駆動し、キャップ部材7を、キャップ部材変位用モータ8の出力軸16の周りに、キャッピング位置から前方に向けて、すなわち、右方から見て時計周りに180度回転すると、図1に示すように、キャップ部材7は、印字ヘッド3の下側から、印字ヘッド3の前方のプラテン5の高さより上の位置に配置される。そして、開口部11が印字ヘッド3のインク吐出口形成面4と同じ方向である下方を向いている印字動作位置に配置されることになる。
このように、キャップ部材7を印字動作位置に配置した後、前プラテン5Aを後プラテン5Bに当接する後方位置に変位させる。なお、キャップ部材7の印字動作位置は、前プラテン5Aとキャップ部材7との間に、印字用紙Pが通過できる間隔が空くように設定されている。そうして、プラテン5上に印字用紙Pを搬送し、印字ヘッド3から印字用紙Pにインクを吐出することで、印字面PMに文字等の記録、すなわち印字が行われる。なお、キャップ部材7は、印字動作位置では上述したようにプラテン5の高さより上の位置に配置されることになるので、プラテン5上を印字用紙Pが搬送される際には、印字用紙Pの上方に配置されていることになる。
(インクミスト吸引動作)
キャップ部材7を図1に示す印字動作位置に配置した状態で、吸引ポンプ10を駆動し可撓性チューブ9側を負圧とすることで、キャップ部材7の開口部11から、開口部11の周囲の空気を吸引ポンプ10側に吸引することができる。これにより、印字ヘッド3からインクを吐出する際に発生するインクミストをキャップ部材7の開口部11内に吸引することができる。したがって、プリンタ1の筐体内部の壁面や部品等に付着しないようにすることができる。本実施の形態では、キャップ部材7の開口部11を下方に向けて配置しているので、開口部11を上側に向けた場合に比べて、開口部11を印字ヘッド3のインク吐出口形成面4に近づけることができ、インク吐出口(図示省略)から吐出したインクのインクミストを効率的に吸引することができる。
インクミストの吸引は、実際に印字用紙Pにインクを吐出している印字動作実行時において行うことで、インクミストが周囲に飛散する前に吸引することができる。そのため、インクミストが筐体の壁面等へ付着することを効果的に防ぐことができる。また、印字用紙Pの搬送が終わり、次に搬送ローラ対2A,2Bに給紙が行われるまでの間等の、インクの吐出が実際に行なわれる印字動作実行時ではないが、搬送ローラ対2A,2Bに印字用紙Pを給紙すれば印字動作が行われる印字動作可能時においても吸引動作を行うようにすることで、印字動作実行時に飛散し浮遊しているインクミストを吸引することができ、インクミストの筐体の壁面等への付着を防ぐことができる。
本実施の形態においては、キャップ部材7の印字動作位置は、印字ヘッド3に対して、印字用紙Pの搬送方向の側、すなわち、図1において、印字ヘッド3の前方に配設されている。印字用紙Pが搬送されることにより、その搬送方向、すなわち、後方から前方に向かって流れる気流が生じることになる。そのため、印字ヘッド3から吐出したインクのインクミストは、この気流に従って後方から前方に流れる。したがって、印字ヘッド3の前方にキャップ部材7の印字動作位置を設定することにより、インクミストを効率よく吸引することができる。
なお、吸引ポンプ10により吸引されたインクミストを含んだ空気は、吸引ポンプ10内の備えられる図示を省略するインク吸収フィルタを介してプリンタ1の筐体外に排出される。吸引ポンプ10により吸引された空気のインクミストは、インク吸収フィルタによりインクミストが吸収されるため、プリンタ1の筐体外には、インクミストが除去された空気が排出されることになる。このため、プリンタ1の設置場所付近がインクミストによって汚れてしまうことを防止することができる。
なお、印字を終了し、キャップ部材7を図2に示すキャッピング位置に変位させる場合には、先ず、前プラテン5Aを前方に変位させ、後プラテン5Bと前プラテン5Aとの間に間隔Dを形成する。そして、キャップ部材7を出力軸16の回りに下向きに回転させ、間隔Dを通してキャピング位置に変位させる。
(変形例)
次に、上述した実施の形態にかかるプリンタ1の変形例を、図4(A),(B)を参照しながら説明する。この図4(A),(B)に示す変形例は、キャップ部材7をキャッピング位置と印字動作位置との間で変位させるさせ方が上述の実施の形態に示したプリンタ1と異なる。図4(A),(B)は、キャップ部材7がキャッピング位置と印字動作位置との間を変位する様子を示すものであり、キャップ機構6と印字ヘッド3の部分の右方から見た状態を示している。なお、図1から図3に示したプリンタ1にかかる同様の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4(A)は、プリンタ1の印字動作可能時における印字ヘッド3とキャップ機構6の配置を示し、図4(B)は、プリンタ1の印字動作が実行されていない非印字動作時における印字ヘッド3とキャップ部材7の配置を示している。また、図4(B)は、キャップ部材7を出力軸16の周りに回動させるときの変位の様子を示している。
上述した実施の形態に係るプリンタ1においては、印字ヘッド3のキャッピング位置と印字動作位置との間の変位に際して、プラテン5を前プラテン5Aと後プラテン5Bに分割し、前プラテン5Aと後プラテン5Bとの間に形成される間隔Dを通して、キャップ部材7を出力軸16の周りに回転させている。これに対し、図4(A),(B)に示す変形例にかかるプリンタ1においては、プラテン5を前プラテン5Aと後プラテン5Bに分割する代わりに、キャップ機構6および印字ヘッド3を上方に変位させた状態とする。そしてこの状態でキャップ部材7を出力軸16を中心に回転させ、開口部11が下方を向いた印字動作位置からキャッピング位置に変位させたり、また、キャッピング位置から印字動作位置に変位させる。
つまり、図4(B)に示すように、キャップ部材7が出力軸16を中心に下方(図4で反時計方向)に回転する際にプラテン5に干渉しない位置までキャップ機構6と印字ヘッド3を上昇させた状態にする。そして、この状態で、上述したように、キャップ部材7を印字動作位置からキャッピング位置に変位させたり、また、キャッピング位置から印字動作実行位置に変位させる。
したがって、プリンタ1の印字動作可能時にあり、キャップ部材7が印字動作位置にある図4(A)の状態から、プリンタ1を、図4(B)に実線で示すように、キャップ部材7がキャッピング位置に配置される非印字動作時の状態とするときには、先ず、キャップ機構6と印字ヘッド3を上昇させた状態とする。そして、この状態で、キャップ部材7を下方(図4で反時計方向)に180度回転させ印字動作位置からキャッピング位置に変位させる。一方、図4(B)に実線で示すように、プリンタ1が非印字動作時の状態にあり、キャップ部材7がキャッピング位置に配置されている図4(B)に示す状態から、プリンタ1を図4(A)に示す印字動作可能時の状態とするときには、図4(B)に示すようにキャップ機構6と印字ヘッド3を上昇させた状態で、キャップ部材7を上方(図4で時計方向)に180度回転させ、キャッピング位置から印字動作時位置に変位させ、その後、印字ヘッド3とキャップ機構6とを図4(A)に示す位置に下降させる。この変形例のように構成することで、平滑度を要求されるプラテン5を分割することなく、印字ヘッド3の変位を行うことができる。
上述した実施の形態およびその変形例に係るプリンタ1においては、キャップ部材7と吸引ポンプ10という従来から備えられている部材を利用してインクミストを吸引しているため、インクミストを吸引するために新たに備える部材を少なくすることができ、インクミストを吸引するための構造を小型なものとすることができる。なお、吸引ポンプ10は、インクミストを吸引するためにのみ用いる構成としてもよい。
また、印字動作位置にあるキャップ部材7は、上述の実施の形態およびその変形例では、開口部11の開口縁が印字用紙Pに対して正対している状態で下方に向いているが、開口部11が印字ヘッド3の側に若干向くよう配置してもよい。すなわち、開口部11の開口縁の後側が前側に比べて印字用紙Pに対してやや上方に位置するように配置してもよい。このようにすることで、印字ヘッド3から吐出するインクミストの吸引をより効率的に行うことができる。
また、キャップ部材7の周囲の部材との関係等により、キャップ部材7を印字ヘッド3の前方に配置できない場合には、印字ヘッド3の後方に配置するようにしてもよい。
また、上述したプリンタ1においては、印字ヘッド3をライン型ヘッドとして説明しているが、ライン型に限らず、シリアル型の印字ヘッドであってもよい。この場合、キャップ部材は、印字の際に、印字ヘッドと共に印字用紙の幅方向に移動していくこととなる。また、印字媒体は、紙以外に樹脂、木材等であってもよい。
また、上述したプリンタ1においては、液体噴射装置をインクジェットプリンタに具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体などを含む)を噴射したり吐出したりした際にミストが発生する可能性のある液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。
本発明の実施の形態に係プリンタの全体的な概略の構成を示す斜視図であり、プリンタが印字動作可能時にあるときのものである。 図1と同様に、本発明の実施の形態に係るプリンタの全体的な概略の構成を示す斜視図であり、プリンタが非印字動作時にあるときのものである。 キャップ部材の構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態の変形例を示すもので、(A)は、プリンタの印字動作可能時における印字ヘッドとキャップ機構の配置を示し、(B)は、プリンタの印字動作が実行されていない非印字動作時における印字ヘッドとキャップ部材の配置およびを示している。また、(B)は、キャップ部材を出力軸の周りに回動させるときの変位の様子を示している。
符号の説明
1 … インクジェットプリンタ(液体噴射装置) 3 … 印字ヘッド(液体噴射ヘッド) 5 … プラテン 7 … キャップ部材 11 … 開口部 10 … 吸引ポンプ(吸引手段) P … 印字用紙(吐出媒体)

Claims (4)

  1. 液体噴射ヘッドの液体吐出口を覆うキャップ部材を備える液体噴射装置において、
    上記キャップ部材は、
    上記液体噴射装置の非噴射動作時には、上記キャップ部材の開口部が上記液体吐出口を覆うキャッピング位置に配置され、
    上記液体噴射装置の噴射動作可能時には、上記開口部が噴射媒体の上方となる噴射動作位置に配置され、
    上記キャップ部材には、上記開口部内に対して吸引を行う吸引手段が接続されている、
    ことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記キャップ部材は、前記噴射動作位置では、前記開口部が下方に向いていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記吸引は、噴射動作実行時において行われることを特徴とする請求項1または2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記キャップ部材は、前記液体噴射ヘッドに対して、前記噴射媒体の搬送方向の側に配設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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