JP4052179B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置に関し、より詳細には記録媒体の幅方向にインク吐出口(ノズル)を連続して配列した、いわゆるライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録時の騒音が小さく、また記録媒体として普通紙を使用できることなどから、インクジェット記録装置が近年広く普及しつつある。これまでインクジェット記録装置の多くは、記録媒体の幅方向にインクジェットヘッド自体を走査することで画像を形成するシリアル型のインクジェットヘッドを用いていた。このため、記録速度を速くするという最近の市場要望には充分には応えられなかった。そこで、インク吐出口を記録媒体の幅方向に長く配列したライン型のインクジェットヘッドを用いて、インクジェットヘッドを固定した状態で記録媒体を副走査方向に高速搬送して記録速度を大幅に速くする技術が注目されている。
【0003】
一方、インクジェットヘッドの吐出口付近に滞留しているインクは外気と接触して乾燥しやすいため、記録開始前あるいは記録中であっても1ページ分の記録終了後などに、乾燥して固まりかけたインクを吐出口から強制的に吐出させて排除する、いわゆるフラッシング処理を行う必要がある。シリアル型のインクジェットヘッドでは、記録領域から外れた位置にフラッシング処理を行う場所を設け、インクジェットヘッドをそこに移動させてフラッシング処理を行っている。しかし、ライン型のインクジェットヘッドでは、フラッシング処理を行う場所を記録領域外に設け、インクジェットヘッドをそこに移動させることは、インクジェットヘッドの移動を可能とする広い空間と高精度の移動機構を必要とし現実的ではない。また、インクジェットヘッドを固定した状態でそのインク吐出方向位置に、フラッシング処理で強制吐出させたインクを回収する部材をフラッシング処理の度ごとに移動させる方法もあった。しかし、インク回収部材の移動に必要な空間や移動機構などの設置で装置が大型化するとともに、フラッシング処理に時間がかかってしまい、記録速度を速くするという所期の目的は達成できなかった。
【0004】
そこで、例えば特開2001−71521号公報では、インクジェットヘッドの直下に、直径方向に貫通した細長孔を有する回転円柱体を設けるとともに、この回転円柱体を挟んでインクジェットヘッドの対向位置にインク吸収体を設け、フラッシング処理時には、インクジェットヘッドとインク吸収体とが細長孔を介して対面するように回転円柱体を回転させ、インクジェットヘッドから吐出するインクをインク吸収体で回収させる技術が提案されている。また、特開昭63−160850号公報では、インク吐出口の対向位置にインク吸収部材を設けるとともに、インク吐出口とインク吸収部材との間に退避可能なプラテンを設け、フラッシング処理時には、プラテンをインク吐出口とインク吸収部材との間から退避させて、吐出したインクをインク吸収部材で回収させる技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの提案されている技術によっても、フラッシング処理特有の動作が必要でありフラッシング処理におおよそ2〜3秒を要する。例えば、記録速度が180枚/分の装置において、仮に1枚記録終了の度に1回フラッシング処理を行った場合には記録速度は20枚/分前後にまで落ちてしまい、記録媒体への記録速度自体は速くてもフラッシング処理を含めた実効的な記録速度を速くするという目的は充分には達成できていなかった。
【0006】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ライン型のインクジェットヘッドを用いた場合であっても、記録速度を落とさずにフラッシング処理を行うことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出口を有するインクジェットヘッドと、記録時及びフラッシング処理時にインク吐出口に近接対向する多孔質層を、少なくとも表面に有する回転可能な円柱体を有し、フラッシング処理によりインク吐出口から吐出されたインクを多孔質層により吸収するよう構成され、多孔質層が記録媒体を支持するプラテン部材とを備える。
【0008】
更に、上記インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのインク吐出口に付着した紙粉や塵埃などを除去し、目詰まりを防止する観点から、インクジェットヘッド及びプラテン部材の少なくとも一方を、多孔質層がインク吐出口の形成された面に接触する接触位置と非接触位置との間で移動させる移動機構を備え、接触位置にあるとき、多孔質層がインク吐出口の形成された面を清掃するよう構成される。
【0009】
また、プラテン部材に吸収されたインクを効率的に除去する観点から、前記多孔質層を弾性体としてもよい。さらに、搾り部材を設けて、弾性体である多孔質層を押圧して、吸収されたインクを流出させる、あるいは吸引機構を設けて、プラテン部材内に吸収されたインクをプラテン部材から吸引・除去するようにしても良い。
【0010】
前記プラテン部材は、前記円柱体を支持する中空の軸部材を有し、前記軸部材は多孔質により形成されると共に外周面に複数の微少孔が設けられ、前記軸部材は前記吸引機構に接続されており、前記微少孔を介して前記吸引機構により前記プラテン部材内に吸収されたインクを吸引するよう構成してもよい。
【0011】
上記構成において、更に、前記円柱体を囲むカバー部材を更に有し、前記カバー部材には、前記インクジェットヘッドに対向する位置にスロットを形成しても良い。このような構成によれば、吸引機構によりプラテン表面の空気がプラテン側に引き込まれるため、記録時には記録媒体をプラテン密着させることにより、鮮明な画像の記録が可能となる。
【0012】
また請求項に記載の発明によれば、記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出口を有するインクジェットヘッドと、記録時及びフラッシング処理時にインク吐出口に近接対向するインク吸収性を有しない回転可能な円柱体を有し、円柱体が記録媒体を支持するプラテン部材と、円柱体表面に付着した、フラッシング処理によりインク吐出口から吐出されたインクを取り除くクリーニング機構と、円柱体の外周に、当該円柱体の軸方向に延びた形状を有する清掃部材とを備え、清掃部材がインク吐出口の形成された面に接触して当該面を清掃することを特徴とするインクジェット記録装置が提供される。
【0013】
クリーニング機構は、例えば、前記円柱体外周面に当接して、付着したインクを吸収する多孔質部材により構成することができる。
【0014】
紙などの記録媒体をプラテンに密着させて記録を鮮明にする観点からは、プラテン部材を電気的に絶縁性とするとともに、このプラテン部材の周縁に帯電部材を設け、プラテン部材を帯電させてプラテン部材に記録媒体を吸着させることが考えられる。
【0015】
また、インクジェットヘッドのインク吐出口に付着した紙粉や塵埃などを除去し、目詰まりを防止する観点からは、プラテン部材の外周に軸方向に清掃部材を設け、前記インク吐出口が形成された面にこの清掃部材を接触させて前記インク吐出口を清掃させるようにしてもよい。ここで、清掃部材をインク吐出口に接触させるには、インクジェットヘッド及びプラテン部材の少なくとも一方を両者の接触位置と非接触位置とに移動させる移動機構を設けて、インク吐出口が形成された面に清掃部材を接触させる、あるいはプラテン部材の回転により清掃部材をインク吐出口が形成された面に接触させるようにしてもよい。さらに後者の場合には、インク吐出口を傷つけないようにするために、清掃部材を回転可能な円柱体とし、プラテン部材の回転に従ってインク吐出口が形成された面に清掃部材を接触させて回転させインク吐出口を清掃するようにしても良い。
【0016】
また、前記クリーニング機構が、前記円柱体表面に当接して、付着したインクを掻き取る掻き取り部材を備えていても良い。これに加えて、円柱体表面に当接して、付着したインクを吸収する多孔質部材を併設すれば、確実に円柱体表面のインクを除去することができる。
【0017】
またインクジェットヘッドに異なる色のインクを吐出するインク吐出口を設ける、あるいはインクジェットヘッドを2以上設け、各インクジェットヘッドが互いに異なる色のインクを吐出するようにしてカラー記録可能としてもよい。また、上記インクジェット記録装置は、フラッシング処理後、インク吐出口と対向する位置に多孔質層の新しい表面が出現するように円柱体を回転させる構成としてもよい。また、インクジェットヘッドは、例えばライン型のインクジェットヘッドである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明者は、ライン型のインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置であっても、記録速度を落とすことなくフラッシング処理を円滑に行うことができないか鋭意検討を重ねた結果、インクジェットヘッドに対向して設けられているプラテン部材に、フラッシング処理時に吐出されるインクの回収機能も果たさせればよいというこれまでにない着想に基づき本発明をなすに至った。以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
第1の発明に係るインクジェット記録装置では、プラテン部材を、少なくともその表面に多孔質層を有する回転可能な円柱体とし、フラッシング処理時にインク吐出口から吐出されたインクをこのプラテン部材で吸収させることが大きな特徴である。フラッシング処理時にプラテン部材の表面に付着したインクを、プラテン部材の表面層を構成する多孔質層の有する吸収力、すなわち、表面に存在するインクを表面から内部に移動させようとする力により表面から取り除こうとするものである。このような構成によれば、インク吸収部材を別途設けて、またそれを移動させる必要がなく、装置の小型化が図れると共に記録速度の低下を来すことがない。
【0020】
図1に、第1の発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す。図1はインクジェット記録装置の記録部分の概説図である。シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各インク(C、Y、M、B)を吐出するライン型のインクジェットヘッド1a〜1d(以下、単に「インクジェットヘッド1」と記すことがある)が記録媒体搬送方向に並設され、各インクジェットヘッド1のインク吐出口11の対向位置には円柱状のプラテン部材2a〜2d(以下、単に「プラテン部材2」と記すことがある)がそれぞれ配設されている。なお、各インクジェットヘッド1およびプラテン部材2は、図1の紙面に垂直な方向に延出した形状となっている。また、各インクジェットヘッド1には、複数の吐出口11が、図1の紙面に垂直な方向に沿って配置されている。紙などの記録媒体4は、一対の給紙ローラR1によりインクジェットヘッド1とプラテン部材2との間に搬送され、途中中間ローラR2に補助されながら図の右から左方向に移動し、一対の排紙ローラR3で外部に排出される。この間、各インクジェットヘッド1から吐出するインク(不図示)により記録媒体4にカラー記録が形成される。
【0021】
図2に、一組のインクジェットヘッド1とプラテン部材2についての拡大構成図を示す。インクジェットヘッド1のインク吐出口11に対向すように支持板3に細長孔31が形成され、その細長孔31の下方に、最上端が支持板表面と同じ高さとなるようにプラテン部材2が軸21により回転可能に支持されている。このプラテン部材2は、後述するように少なくとも表面に多孔質層20を有する円柱体であってインク(不図示)を吸収することができる。
【0022】
インク吐出口11とプラテン部材2との間には、記録媒体4の厚み以上の間隙が形成され、この間隙を記録媒体4が通過する。本記録装置を用いて記録媒体4に記録する場合には、インク吐出口11とプラテン部材2との間に記録媒体4が搬送され、プラテン部材2で記録媒体4が支持されると同時にインク吐出口11から記録媒体4に向かってインク(不図示)が吐出され記録媒体4に記録がなされる。一方、乾燥して固まりかけたインクを吐出口11から強制的に排除するフラッシング処理を行う場合には、記録媒体4が前記間隙にないときに、インク吐出口11から微量のインクをプラテン部材2に向かって吐出させる。ここで、プラテン部材2の表面には多孔質層20が設けられているので、吐出したインクはこの多孔質層20の表面に留まることなく内部に速やかに吸収される。なお、詳しくは後述するが、プラテン部材2は、フラッシング処理によりインクが吐出された後、インク吐出口11に対向する位置には多孔質層20の新しい表面が出現するよう回転される。従って、新たに搬送されてきた記録媒体4の裏面がフラッシング処理時の吐出インクで汚されることはない。
【0023】
本発明で使用できるプラテン部材としては、少なくとも表面に多孔質層を有するものであれば特に限定はないが、多孔質層が弾性体であることが好ましい。もちろんプラテン部材の全体が弾性多孔質層からなっていも構わない。多孔質層の材料として、セラッミク製多孔質体を挙げることができる。また、弾性体としても働く弾性多孔質層の材料としては、例えばポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、海綿状の合成繊維(スポンジ)などが挙げられる。なお、吐出されたインクを速やかに吸収するためには、発泡体の気泡は連続気泡構造が望ましく、この観点からはビスコーススポンジや軟質ウレタン発泡体が推奨される。
【0024】
また、インクジェットヘッドのインク吐出口には紙粉や塵埃などが付着しやすく、これが原因でインク吐出口の目詰まりが生じるおそれがある。そこで、図3に示すように、プラテン部材2を上下方向に移動させる駆動機構100を図2に示した記録装置にさらに設け、プラテン部材2を上昇させてインク吐出口11に接触させインク吐出口11を清掃させるようにしてもよい。このとき、プラテン部材2を回転又は揺動させてもよいし、単に接触して停止させるだけでもよい。インク吐出口11が傷つきやすい構成を有する場合には、プラテン部材2を回転停止させた状態でインク吐出口11に押圧させるのが好ましい。
【0025】
前記駆動機構100としては従来公知の移動機構を用いることができる。また、インク吐出口の清掃時期については特に限定はなく、例えば一定期間ごと、あるいは記録装置の不使用期間が一定期間以上となった時、記録装置の電源を入れた時、使用者の望む時などに行えばよい。
【0026】
吐出したインクを多孔質層がその容量一杯まで吸収した場合には、その多孔質層又はプラテン部材ごと新しいものと取り替えればよい。しかし、多孔質層やプラテン部材を長寿命化してプラテン部材の維持管理作業を少なくするには、吸収したインクを多孔質層から順次除去するのが望ましい。吸収したインクを多孔質層から順次除去するには、例えば図4に示すように、多孔質層を弾性体とし、搾り部材5で弾性多孔質層20を押圧して、弾性多孔質層20内に吸収されたインクを弾性多孔質層20から流出させる。搾り部材5としては、プラテン部材2の軸方向の長さと同じ又はそれ以上の長さの板状物が好ましい。搾り部材5は弾性多孔質層20を常時押圧していてもよいし、搾り部材5に昇降手段としての駆動機構105を取り付け、必要なときに弾性多孔質層20を押圧するようにしてもよい。プラテン部材2の回転負荷を考慮すれば後者が望ましい。また、搾り部材5の弾性多孔質層20への差し込み長さは、弾性多孔質層20の材質や大きさなどから適宜決定すればよい。
【0027】
図5に、吸収したインクを弾性多孔質層20から除去する他の方法を示す。図5はプラテン部材2の平面図である。このプラテン部材2では、軸21の外周に弾性多孔質層20が形成されている。そしてプラテン部材2の軸21の一方の側端部と、吸引ポンプ(吸引機構)6とが管Pで接続されている。この図には表れていないが、軸21は中空円筒であって、その周壁には、半径方向に貫通した複数の微小孔が形成されている。このような構成のインク除去手段によれば、吸引ポンプ6を作動させることにより、インクジェットヘッド1が吐出して弾性多孔質層20の表面に付着したインクは、弾性多孔質層20の内部に吸収されるばかりでなく、軸21の周壁に形成された微小孔から軸内に吸引し、そして管Pを介して吸引ポンプ6に吸引することができる。この場合、弾性多孔質層20が多孔質体であることによる内部へのインクの吸収効果に加えて、弾性多孔質体20表面に付着したインクに対して、この表面から内部へさらに弾性多孔質体20の内側に配置された軸21の内側へと、インクを強制的に移動させる吸引ポンプ6による吸引効果が働く。そのため、より確実に弾性多孔質層20の表面にに付着したインクを、その表面から取り除くことができる。なお、吸引ポンプ6は常時作動させていてもよいし、必要なときに作動させてもよい。
【0028】
また、ここでは、プラテン部材2を構成する軸21の外周に弾性体である弾性多孔質層20が形成されているとして説明したが、弾性体ではない、例えば、セラミック製の多孔質層としてもよい。また、プラテン部材2を構成する軸21は、この外周に形成される多孔質体の剛性にもよるが、必ずしも多孔質層を軸方向に端から端まで貫通するように配設されていなくてもよい。例えば、多孔質層がセラミック製のように充分な剛性を有するものであれば、多孔質層の軸方向の中心軸に沿って形成された穴の端部にのみ嵌合するように配設されておればよい。この場合、穴の内部を吸引ポンプ6により負圧にするために、軸21には貫通孔を設けたり、軸21を貫通するように中空状の針状部材を設けることが好ましい。
【0029】
ここで、弾性多孔質層20に吸収されたインクを吸引・除去するこのような機構を利用して、紙などの記録媒体4をプラテン部材2に吸着させて、記録部材4の搬送時に生じる浮きを防止してもよい。図6に具体的構成の一例を示す。図6はプラテン部材2の側断面図であって、軸21が中空円筒でその周壁に複数の微小孔21aが形成されている点、及びこの軸21の一方側端部と吸引ポンプ6とが管Pで接続されている点は図5と同様である。図6の構成が図5と異なる点は、上面に開口部71を有する円筒状のカバー部材7でプラテン部材2の全体を覆っている点にある。かかる構成により、吸引ポンプ6によって吸引される空気が、カバー部材上面の開口部71のみから流入することになって、搬送されてきた記録部材4に対してプラテン部材2の方向への吸引力が生じ、記録部材4の浮きが有効に防止される。
【0030】
さらに、図6の構成において、カバー部材7はプラテン部材2による記録部材4の載置と搬送の障害とならない範囲の開口を有する開口部71を残して、プラテン部材2の外周に当接するように配設してもよい。これにより、プラテン部材2上の記録部材4の浮きを防止しようとする空気の流れが、開口部71から露出したプラテン部材2の部分に制限されることになり、より効果的にプラテン部材2の表面に付着したインクをその内部に吸引しようとする力と、搬送されてきた記録部材4がプラテン部材2から浮き上がるのを防止しようとする力を働かせることができる。図5及び図6に示した態様においては、いずれの場合でも、プラテン部材2の外周が弾性体である弾性多孔質層20で構成されているとして説明したが、弾性体ではない、例えば、セラミック製の多孔質層としてもよい。
【0031】
次に、第2の発明に係るインクジェット記録装置について説明する。このインクジェット記録装置の大きな特徴は、プラテン部材としてインクを吸収しないものを用いることにある。このためこの記録装置では、プラテン部材表面に付着したインクをプラテン部材の内部方向ではなく、外部方向に移すことで除去するためのクリーニング部材が設けられる。以下、図に基づいてこの発明の記録装置を説明する。
【0032】
図7に、インクジェットヘッドとプラテン部材についての拡大構成図を示す。図2と同じように、インクジェットヘッド1のインク吐出口11に対向するように支持板3に細長孔31が形成され、その細長孔31の下方に、最上端が支持板3の表面と同じ高さとなるようにプラテン部材2’が軸21’により回転可能に支持されている。このプラテン部材2’は、図2のものと異なりインク非吸収性の円柱体である。そして、クリーニング部材8がプラテン部材2’の表面に接触するように取り付けられている。プラテン部材2’表面に付着したインクは、プラテン部材2’の回転によりクリーニング部材8がプラテン部材2’の表面に接触する位置まで移動して、クリーニング部材8によりプラテン部材2’の表面から除去される。
【0033】
プラテン部材2’の材質としてはインクを吸収しないものであれば特に限定はなく、例えばポリイミドやポリアセタール、フッ素樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のプラスチック材料;ステンレス鋼やアルミニウム、銅などの金属材料;ジエン系ゴムやオレフィン系ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料などが挙げられる。中でも撥水性のものが好ましい。もちろん表面コーティングにより表面に撥水性を付与しても構わない。
【0034】
本発明で使用するクリーニング部材としては例えば、吸収によりプラテン部材の表面に存在するインクを除去する弾性多孔質部材、およびプラテン部材表面を摺擦してインクを除去するポリウレタンゴム等のゴムブレードなどが挙げられる(図7の記録装置では弾性多孔質部材を用いている)。クリーニング部材8はプラテン部材2’に常時接触させてもよいし、フラッシング処理時のみに接触させてもよいが、フラッシング処理は頻繁に行われるので常時接触させておくのが効率的である。
【0035】
また、プラテン部材2’を電気的に絶縁性とするとともに、図8に示すように、プラテン部材2’の周縁に帯電部材9を設け、プラテン部材2’を帯電させてプラテン部材2’に記録媒体4を吸着させ、記録部材4の搬送時に生じる浮きを防止してもよい。ここで用いる帯電部材としては、コロナ放電によって発生したイオンをプラテン部材表面に与えるコロナ帯電部材、あるいは導電ブラシや導電ローラをプラテン部材に接触させて電子又はイオンを与えるブラシ帯電部材やローラ帯電部材が挙げられる。なお、図8の記録装置ではブラシ帯電部材を用いている。
【0036】
第2の発明に係るインクジェット記録装置の他の実施態様を図9に示す。図9の記録装置では、インクジェットヘッド1のインク吐出部11を清掃する(ワイピング処理)ための清掃部材23を、プラテン部材2’の外周に設けたことが大きな特徴である。この場合においても、プラテン部材2’に接触するようにクリーニング部材8が設置されている。具体的には、円柱状プラテン部材2’の表面の軸方向に溝22を形成し、この溝22に、プラテン部材2’の外周面と段差なく清掃部材23を取り付けている。図9(A)に示すように、プラテン部材2’とインク吐出口11との間には記録媒体4が通過する間隙があるので、通常の使用状態ではプラテン部材2’の回転によってもインク吐出口11に清掃部材23が接触することはない。一方、インク吐出口11をワイピング処理する場合は、同図(B)に示すように、駆動手段120によりプラテン部材2’を図の上方に移動させ、清掃部材23をインク吐出口11に接触させて清掃する。このときプラテン部材2’を記録媒体4の搬送方向及びその反対方向に揺動させて、インク吐出口11を清掃部材23で摺擦しワイピング処理してもよいし、インク吐出口11に清掃部材23を単に押圧することによりワイピング処理してもよい
【0037】
ここで使用する清掃部材としては、例えばスポンジなどの弾性多孔質材やポリウレタンゴムなどが挙げられる。
【0038】
プラテン部材によるワイピング処理の他の態様を図10に示す。図10の記録装置では、プラテン部材2’の外周に取り付けた清掃部材24の、プラテン部材表面からの突出量をプラテン部材2’とインク吐出口11との間隙よりも長くした。これにより、プラテン部材2’が1回転する度に清掃部材24がインク吐出口11に摺擦してワイピング処理がなされる。なお、プラテン部材表面からの清掃部材24の突出量が長すぎると、インク吐出口11が過度に摺擦されて傷みやすくなるとともにプラテン部材2’の回転負荷が大きくなる。したがって、プラテン部材表面からの清掃部材24の突出量は、プラテン部材2’とインク吐出口11との間隙と同等程度が好ましい。
【0039】
また、この態様においても、プラテン部材2’に接触するようにクリーニング部材8が設置されていてもよい。このままでは、インク吐出口11を摺察した後で回転して来る清掃部材24の突出部とクリーニング部材8とが衝突してしまい、清掃部材24とクリーニング部材8の少なくともいずれかが損傷してしまうことが心配される。これに対しては、後述するように、クリーニング部材8を待避させたり、プラテン部材2’の反転をしてもよい。
【0040】
プラテン部材によるワイピング処理のさらに他の態様を図11に示す。図11の記録装置では、清掃部材25がインク吐出口11を過度に摺擦してインク吐出口11が傷むのを防止するために、清掃部材25を円柱状とし、さらに自転可能にプラテン部材2’に取り付けた。この円柱状の清掃部材25は軸26によりプラテン部材2’に自転可能に支持され、プラテン部材表面からの突出量は、プラテン部材2’とインク吐出口11との間隙と同等程度に調整されている。これにより、図10の記録装置と同様に、プラテン部材2’が1回転する度に清掃部材25がインク吐出口11に接触してワイピング処理がなされる。ただし、図11の記録装置では、図10の記録装置と異なり、プラテン部材2’の回転に伴って清掃部材25がインク吐出口11に接触し始めると清掃部材25は軸26を中心に自転し始める。このため、清掃部材25によるインク吐出口11への摺擦力は格段に小さくなり、インク吐出口11を傷つけにくくなる。
【0041】
なお、清掃部材25はプラテン部材2’の取り付け部において、プラテン部材2’に形成された凹状の外周と接触するように取り付けられていてもよい。この場合、プラテン部材2’の外周面に取り付けられた円柱状の清掃部材25が吸収したインクを、プラテン部材2’の表面に形成された凹部の底面から吸引ポンプ6(図示せず)で吸引するよにしてもよい。これは、図9や図10に示した態様に対してもいえることであり、例えば、プラテン部材2’の外周面と段差なく取り付けられた清掃部材23(図9に示した態様)やプラテン部材2’の外周面から突出して取り付けられた清掃部材24(図10に示した態様)が吸収したインクは、プラテン部材2’の表面に形成された溝22の底面から吸引ポンプ6(図示せず)で吸引するようにしおけばよい。これにより、清掃部材の裏面を長期にわたって清浄に保つことができるとともに清掃部材によるインク吐出口を清掃する効果を良好に維持することができる。
【0042】
以上説明した図9〜図11の清掃部材を有する記録装置では、プラテン部材の回転によって清掃部材も回転するため、プラテン部材の周縁に取り付けられた、プラテン部材表面に付着したインクを除去するクリーニング部材にも清掃部材が接触してしまう。このため、清掃部材とクリーニング部材との間において汚れの移動が起こる。また清掃部材がプラテン部材から突出している場合には部材劣化が進みやすくなる。この結果、両部材の使用寿命が短くなり部材交換頻度が多くなるおそれがある。そこで、クリーニング部材に清掃部材が近づいた時には、クリーニング部材を、プラテン部材と接触しない位置に退避可能にし、プラテン部材の回転により清掃部材がクリーニング部材の位置近傍に達した時、クリーニング部材を一時的に退避させプラテン部材に接触させないようにすることが望ましい。あるいは、プラテン部材の回転を反転するようにしてもよい。
【0043】
また、2個以上のインクジェットヘッドを備えた記録装置において、省力化の観点などから共通の駆動源でプラテン部材を回転させる場合、プラテン部材の回転を例えば次のように制御して、清掃部材による記録媒体の裏汚れを防止してもよい。図12にプラテン部材の回転制御を示す工程図を示す。
【0044】
図12の記録装置では4個のプラテン部材2a〜2d(以下、単に「プラテン部材2」と記すことがある)が記録媒体搬送方向に並設されている。これらのプラテン部材2は、清掃部材23の円周方向の回転位置が一致するように反時計回りに回転する。同図()は、第1インクジェットヘッド1aを記録媒体4aの後端が通過した後で、記録媒体4bが搬送される前の状態である。このとき清掃部材23は第1プラテン部材2aの外周面の左斜め上に位置する。この状態で第1インク吐出口11aのフラッシング処理を行い、第1プラテン部材2aの表面にインクを吐出させる。なお、クリーニング部材8は清掃部材23との接触を避けるため非接触位置に退避させた状態にしておく。そして、記録媒体4aの後端が順次通過した第2インクジェットヘッド1b、第3インクジェットヘッド1cにおいて、同様にフラッシング処理を次々と行う(同図()、())。この間プラテン部材2は一定の回転速度で回転し、第3インクジェットヘッド1cのフラッシング処理時には、プラテン部材2のクリーニング位置(左横)を通過し左斜め下に達してるので、クリーニング部材8をプラテン部材2と非接触位置から接触位置に復帰させる(同図())。
【0045】
次に、記録媒体4aの後端が通過した第4インクジェットヘッド1dにおいてフラッシング処理を行う(同図())。そして、記録媒体4aが排出された後、次の記録媒体4bに各インクジェットヘッド1a〜1dにより記録がなされる(同図())。そして、記録媒体4bの後端が第1インクジェットヘッド1aを通過すると(同図())、第1インクジェットヘッド1aにおいてフラッシング処理がなされるが、プラテン部材2がこのまま回転を続ければフラッシング処理により吐出したインクが清掃部材23にまでかかってしまうことになる。そこでこれを避けるため、清掃部材23の回転位置をプラテン部材2の外周面の右斜め上から左斜め上に動かす必要がある。しかし、順方向(半時計回り)にプラテン部材2を速く回転させると、第2プラテン部材2b〜第4プラテン部材2d上には記録媒体4bがまだ存在するため、清掃部材23が記録媒体4bと接触し記録媒体4bを裏汚れさせるおそれがある。従って、プラテン部材2の外周面の右斜め上から左斜め上までプラテン部材2を逆方向(時計回り)に速く回転させて、フラッシング処理による吐出インクの清掃部材23への直接的な付着を回避するとともに、清掃部材23による記録媒体4bの裏汚れを防止する(同図(G))。なお、プラテン部材2の逆方向回転の際、クリーニング部材8は、清掃部材4と接触しないように非接触位置に退避させておく必要がある。
【0046】
次に、第2の発明の変形例である第3の発明に係るインクジェット記録装置について説明する。このインクジェット記録装置は、第2の発明の形態と同様に、プラテン部材としてインクを吸収しないものを用い、プラテン部材の表面に付着したインクをプラテン部材の外部方向に移すことで取り除くためのインク除去部材から構成される。ここで、インク除去部材は、プラテン部材の外周面に接触しその表面からインクを掻き取る掻き取り部材を備えることを特徴としている。図13に、本発明の形態を示す拡大構成図を示す。なお、図13の例では、上記構成に加えて、プラテン部材外周面に付着したインクを吸収し除去する多孔質部材をさらに備えている。
【0047】
図7と同様に、インクジェットヘッド1のインク吐出口11に対向するように支持板3に細長孔31が形成され、その細長孔31の下方に、最上端が支持板3の表面と同じ高さとなるようにプラテン部材2Mが軸21Mにより回転可能に支持されている。このプラテンは、図7で示したものと同様に、インクに対する吸収性のない円柱体である。これにより、支持板3が作る開口である細長孔31を介してインク吐出口11とプラテン部材2Mとが対向配置することになる。このうち、プラテン部材2Mに対しては、インク除去部材としてのブレード28と弾性多孔質体8とがプラテン部材2Mの表面に接するように取り付けられている。取り付けの順番は、プラテン部材2Mのインク吐出口11に対向する位置から図中矢印Aで示した方向に向かって、はじめにブレード28が配設され、次に弾性多孔質体8の順で配設されている。この時、ブレード28は、プラテン2Mとの接触位置における接平面(一点鎖線で示す)に対し、接触位置下流側において鋭角を為すようにプラテン部材2Mに接して取り付けられている。
【0048】
フラッシング処理によりプラテン部材2Mの表面に付着したインクは、プラテン部材2Mの回転により図中矢印Aの方向に移動するとともに、まずブレード28が当接しているところまで来る。ブレード28は、上記のようにプラテン部材2Mに対して、プラテン部材2Mにより運ばれてくるインクをちょうど掬うような形で掻き取る。ブレード28は、図示したように重力方向の下方に傾斜するようにも取り付けられている。このため、このようにして掻き取られたインクは、ブレード28を矢印Bに示すように伝わって下降していき、ブレードの下端部に対向するようにして配置されている廃インク受け30に一時的に収容される。
【0049】
プラテン部材2Mの表面に付着したインクは、必ずしもブレード28により全てその表面から取り除かれるとは限らない。このようにプラテン部材2Mの表面に残っているインクは、さらにプラテン部材2Mの回転に伴って弾性多孔質体8が当接している位置に達する。ここでは、弾性多孔質体8が、プラテン部材2Mの表面に残っているインクを吸収することでプラテン部材2Mの表面を清浄化する。これにより、プラテン部材2’の表面に付着したインクは確実に取り除かれることになる。
【0050】
本発明の形態を構成するプラテン部材2Mの材質としては、インクを吸収しないものであれば特に限定はない。例として、前述の第2の発明を構成するプラテン部材2Mに用いる材質と同様のものが挙げられる。中でも、撥水性のものが好ましい。この場合、プラテン部材2M自体を撥水性材料で構成しても、あるいはその表面を撥水処理してもよい。なお、インクに対する撥水性は、インクのプラテン部材2Mの表面に対する接触角で、20度以上であることが望ましい。このようにすることで、フラッシング処理により付着するインクがその表面から離脱しやすくなるので、インクをインク除去部材により容易に取り除くことができる。
【0051】
本発明に使用するインク除去部材である掻き取り部材としてのブレードの材質は、ポリウレタンゴム等が好適に用いられる。また、多孔質部材としての弾性多孔質体の材料としては、例えばポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、海綿状の合成繊維等が挙げられる。この場合、発泡は連続気泡構造を有することが望ましく、例えば、ビスコーススポンジや軟質ウレタン発泡体が推奨される。これらは、インクを速やかに吸収することができる点で好適である。
【0052】
上述したように、本発明の形態では、プラテン部材が、インク吸収性を有しない円柱部とこの円柱部を回転可能に軸支する芯部材とを有し、インク除去手投が、この円柱部に接触しその表面からインクを吸収し除去する多孔質部材と前記円柱部に接触してその表面からインクを掻き取る掻き取り部材とを有して構成され、インク吐出口からプラテン部材に向けて吐出されてプラテン部材の表面に存在するインクを、前記多孔質部材と前記掻き取り部材とにより取り除くように構成してある。このように、インク吐出口からプラテン部材に向けて直接インクを吐出するとともに、多孔質部材と掻き取り部材とを併用することにより、プラテン部材の表面に存在するインクを確実に取り除くことができる。また、搬送される記録媒体間に存在する間隙を利用してフラッシング処理を行うようにすれば、記録媒体を搬送中でも、フラッシング処理と記録媒体への記録とが記録速度を落とすことなく行える。さらに、フラッシング処理において吐出されたインクを受けるために特別な移動を伴うインク受け機構がない。また、この特別な機構やインクジェットヘッドを、フラッシング処理を行うために両者が特定の位置関係になるように移動させたり、再び元の位置に精度よく戻したりする必要もない。さらに、特別な機構のための空間やインクジェットヘッドや特別な機構がフラッシング処理のために移動する空間を装置内に確保しておく必要がないので、装置自体をコンパクトに形成することができる。もちろん、このような特別な機構自体も不要であるので、低コストで装置を構成することもできる。
【0053】
また、プラテン部材を電気的に絶縁性とするとともに帯電部材を設けて、プラテン部材を帯電させ、電気的吸引力によりプラテン部材に記録媒体を引き付けて、記録部材の浮きを防止してもよい。
【0054】
以上、ライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を中心に説明したが、本発明はシリアル型のインクジェット記録装置であってももちろん構わない。また、本願各発明は前記説明した実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【0055】
【発明の効果】
第1の発明に係るインクジェット記録装置では、プラテン部材を、少なくともその表面に多孔質層を有する回転可能な円柱体とし、インク吐出口から吐出されたインクをこの多孔質層で吸収させるので、ライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置であっても、記録速度を落とさずにフラッシング処理を行うことができる。
【0056】
また、インクジェットヘッド及びプラテン部材の少なくとも一方を両者の接触位置と非接触位置とに移動させる移動機構をさらに設け、インクジェットヘッドのインク吐出口が形成された面にプラテン部材を接触させて清掃するようにすると、インク吐出口に付着した紙粉や塵埃などを除去でき、インク吐出口の目詰まりを有効に防止できる。
【0057】
さらに、多孔質層を弾性体とし、搾り部材を設けて、プラテン部材を押圧してプラテン部材内に吸収されたインクをプラテン部材から流出させる、あるいは吸引機構を設けて、プラテン部材内に吸収されたインクをプラテン部材から吸引・除去すると、プラテン部材に吸収されたインクを効率的に除去でき、プラテン部材の長期使用が可能となる。
【0058】
第2の発明に係るインクジェット記録装置では、プラテン部材をインク吸収性を有しない回転可能な円柱体とするとともに、このプラテン部材表面に接触するようにクリーニング部材を設け、プラテン部材表面に付着した、インク吐出口から吐出されたインクをクリーニング機構で取り除く構成としたので、ライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置であっても、記録速度を落とさずにフラッシング処理を行うことができる。ここで、クリーニング機構は、プラテン部材表面に当接して、付着したインクを掻き取る掻き取り部材とすることができる。あるいは、プラテン部材表面に当接して、付着したインクを吸収する吸収部材としてもよい。さらには、上記掻き取り部材と吸収部材の両方を備える構成としても良い。このような構成によれば、フラッシング処理時にインクをプラテン部材表面に付着させるため、フラッシング処理のための特別な移動機構および処理を必要としないため、記録速度を落とさずにフラッシング処理ができると共に、プラテン部材表面に付着したインクは確実に除去されるため、記録時に記録媒体の裏面にプラテン部材からインクが転写されることもない。
【0059】
また、プラテン部材を絶縁性とするとともに、このプラテン部材の周縁に帯電部材を設け、プラテン部材を帯電させて記録媒体をプラテン部材に吸着させると、紙などの記録媒体の浮きを確実に防止でき、画像などの情報を記録媒体に鮮明に記録できる。
【0060】
プラテン部材の外周に軸方向に清掃部材を設け、インクジェットヘッドのインク吐出口の形成された面にこの清掃部材を接触させてインク吐出口を清掃するようにすると、インク吐出口に付着した紙粉や塵埃などを除去でき、インク吐出口の目詰まりを有効に防止できる。
【0061】
ここで、インクジェットヘッド及びプラテン部材の少なくとも一方を両者の接触位置と非接触位置とに移動させる移動機構を設けて、インク吐出口が形成された面に清掃部材を接触させる、あるいはプラテン部材の回転によりインク吐出口が形成された面に清掃部材を接触させるようにすると、より効果的にインク吐出口の清掃ができる。さらにプラテン部材の回転により、インク吐出口が形成された面に清掃部材を接触させる場合に、清掃部材を回転可能な円柱体とし、プラテン部材の回転に従ってインク吐出口が形成された面に清掃部材を接触させて回転させると、インク吐出口を傷つけることなくインク吐出口の清掃ができる。
【0062】
またインクジェットヘッドに異なる色のインクを吐出するインク吐出口を設ける、あるいはインクジェットヘッドを2以上設け、各インクジェットヘッドが互いに異なる色のインクを吐出するようにするとカラー記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の概説図である。
【図2】第1の発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す断面図である。
【図3】プラテン部材をインク吐出口に接触させてインク吐出口を清掃させる一例を示す概説図である。
【図4】搾り部材を設けたインクジェット記録装置の一例を示す断面図である。
【図5】吸引機構を設けたインクジェット記録装置の一例を示す平面図である。
【図6】吸引機構を設けたインクジェット記録装置のさらに他の例を示す断面図である。
【図7】第2の発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す断面図である。
【図8】帯電部材を設けたインクジェット記録装置の一例を示す断面図である。
【図9】プラテン部材に清掃部材を設けたインクジェット記録装置の一例を示す概説図である。
【図10】プラテン部材に清掃部材を設けたインクジェット記録装置の他の例を示す概説図である。
【図11】プラテン部材に清掃部材を設けたインクジェット記録装置のさらに他の例を示す概説図である。
【図12】清掃部材をもうけた複数のプラテン部材の回転制御の例を示す工程図である。
【図13】第2の発明に係るインクジェット記録装置の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2、2’、2M プラテン部材
3 支持板
4 記録媒体(紙)
5 搾り部材
6 吸引機構
7 カバー部材
8 クリーニング部材
9 ブラシ帯電部材(帯電部材)
11 インク吐出口
20 弾性多孔質層
21、21’、21M 軸
22 溝
23,24,25 清掃部材
28 ブレード
71 開口部

Claims (17)

  1. 記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出口を有するインクジェットヘッドと、
    記録時及びフラッシング処理時に前記インク吐出口に近接対向する多孔質層を、少なくとも表面に有する回転可能な円柱体を有し、前記フラッシング処理により前記インク吐出口から吐出されたインクを前記多孔質層により吸収するよう構成され、前記多孔質層が前記記録媒体を支持するプラテン部材と、
    前記インクジェットヘッド及び前記プラテン部材の少なくとも一方を、前記多孔質層が前記インク吐出口の形成された面に接触する接触位置と非接触位置との間で移動させる移動機構と、を備え、
    前記接触位置にあるとき、前記多孔質層が前記インク吐出口の形成された面を清掃すること、を特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記多孔質層が弾性体であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記多孔質層を押圧して、前記多孔質層内に吸収されたインクを流出させる搾り部材をさらに備えること、を特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記多孔質層内に吸収されたインクを吸引・除去する吸引機構をさらに備えること、を特徴とする請求項1からの何れかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記プラテン部材は前記円柱体を支持する中空の軸部材を有し、前記軸部材は多孔質により形成されると共に外周面に複数の微少孔が設けられ、前記軸部材は前記吸引機構に接続されており、前記微少孔を介して前記吸引機構により前記プラテン部材内に吸収されたインクを吸引するよう構成されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記円柱体を囲むカバー部材を更に有し、前記カバー部材には、前記インクジェットヘッドに対向する位置にスロットが形成されていることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 記録媒体に対してインクを吐出するインク吐出口を有するインクジェットヘッドと、
    記録時及びフラッシング処理時に前記インク吐出口に近接対向するインク吸収性を有しない回転可能な円柱体を有し、前記円柱体が前記記録媒体を支持するプラテン部材と、
    前記円柱体表面に付着した、前記フラッシング処理により前記インク吐出口から吐出されたインクを取り除くクリーニング機構と、
    前記円柱体の外周に、当該円柱体の軸方向に延びた形状を有する清掃部材と、を備え、
    前記清掃部材が前記インク吐出口の形成された面に接触して当該面を清掃すること、を特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 前記クリーニング機構は、前記円柱体外周面に当接して前記円柱体外周面に付着したインクを吸収する多孔質部材を有することを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記プラテン部材を電気的に絶縁性とし、このプラテン部材の周縁に帯電部材を設け、前記プラテン部材を帯電させて前記プラテン部材に記録媒体を吸着させること、を特徴とする請求項又は8の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記インクジェットヘッド及び前記プラテン部材の少なくとも一方を両者の接触位置と非接触位置とに移動させる移動機構をさらに備え、前記インク吐出口が形成された面に前記清掃部材を接触させて前記インク吐出口を清掃させること、を特徴とする請求項7から9の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記プラテン部材の回転により前記清掃部材を前記インク吐出口が形成された面に接触させて前記インク吐出口を清掃させること、を特徴とする請求項7から9の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記清掃部材を回転可能な円柱体とし、前記プラテン部材の回転に従って前記インク吐出口が形成された面に接触させて回転させ前記インク吐出口を清掃させること、を特徴とする請求項11記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記クリーニング機構が、前記円柱体外周面に当接して、前記円柱体外周面に付着したインクを掻き取る掻き取り部材を有することを特徴とする請求項7から12の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記インクジェットヘッドが、異なる色のインクを吐出するインク吐出口を備えること、を特徴とする請求項1〜13の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記インクジェットヘッドが2以上備えられ、各インクジェットヘッドは互いに異なる色のインクを吐出するとともに、各インクジェットヘッドのインク吐出口の近接対向位置には対応する前記プラテン部材がそれぞれ配設されていること、を特徴とする請求項14記載のインクジェット記録装置。
  16. 前記フラッシング処理後、前記インク吐出口と対向する位置に前記多孔質層の新しい表面が出現するように前記円柱体を回転させること、を特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  17. 前記インクジェットヘッドは、ライン型のインクジェットヘッドであること、を特徴とする請求項1から請求項16の何れかに記載のインクジェット記録装置。
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