発明の詳細な説明
[本発明の技術分野]
本発明は、半導体素子に関し、特にオン抵抗の低いパワー半導体素子に関する。
[本発明の背景技術]
パワー半導体素子類の開発における1つの重要な目的は、可能な限り高度な耐圧特性を有し、それでもなお、低いオン抵抗を有すると同時に、可能な限り低いスイッチング損失を有する素子を製造することである。
所定の耐圧特性のパワー半導体素子のオン抵抗を低減する1つの可能性は、例えば米国特許第4,754,310号明細書(コー)、米国特許第5,216,275号明細書(チェン)、米国特許第5,438,215号明細書、または、ドイツ特許第4309764号明細書(チハニー)に記載されているような補償原理を用いることである。
半導体素子のオン抵抗を低減するさらなる1つの可能性は、ドリフト領域から直接的に絶縁されているフィールド電極を設けることである。このタイプの素子は、米国特許第4,903,189号明細書(ンゴ)、米国特許第4,941,026号明細書(テンプル)、米国特許第6,555,873号明細書(ディズニー)、米国特許第6,717,230号明細書(ココン)、または、米国特許第6,853,033号明細書(リャン)に記載されている。
欧州特許公開公報第1073123号明細書(ヤスハラ)には、複数の補助電極を有する横(ラテラル)型パワーMOSFETが開示されている。該補助電極は、上記素子のドリフト領域内に配置され、誘電体によって該ドリフト領域から絶縁されている。上記補助電極は、半絶縁性ポリシリコン(SIPOS)または抵抗材料から成り、上記素子のソース端子とドレイン端子との間に接続されている。上記補助電極は、上記素子が上記オフ状態に駆動される場合に、上記ドリフト領域内に空乏ゾーン(空乏層)を形成する。
英国特許公開公報第2089118号明細書には、抵抗層を有するパワーMOSFETが開示されており、該抵抗層は、ゲート電極とドレイン電極との間のドリフト領域に沿って伸びて、絶縁耐力を増大させるために、該ドリフト領域に電界を「広げ」ている。
米国特許第5,844,272号明細書(セダベーグ)には、半導体基材の水平方向に伸びるドリフト領域を有する横型高周波数トランジスタが開示されている。
米国特許出願公開公報第2003/0073287号(ココン)は、半導体素子のドリフト経路に沿うと共に、異なる電位にある複数のフィールド電極を提供することを提案している。
本発明の目的は、低いオン抵抗を有するドリフト経路/ドリフト領域を有する、半導体素子、特にパワー半導体素子を提供することにある。
[本発明の要約]
本発明による半導体素子は、半導体基材内に、半導体材料からなるドリフト領域およびドリフト制御領域を有する。該ドリフト制御領域は、少なくとも部分的に、上記ドリフト領域に隣り合って配置されている。上記ドリフト領域と上記ドリフト制御領域との間には、蓄積誘電体が配置されている。本半導体素子では、上記ドリフト制御領域は、上記蓄積誘電体に沿ったドリフト領域内の導電チャネルを制御するために機能している。
〔図面の簡単な説明〕
本発明を、以下に、各図面を参照しながらさらに詳細に説明する。図1は、本発明に係る、プレーナ型MOSFETとして実施され、複数の各MOSFETセル、および上記ドリフト領域内に配置された複数の各ドリフト制御領域を有する半導体基材を備え、該ドリフト領域と該各ドリフト制御領域との間には、誘電体が配置されている半導体素子の一部の断面図である。
図2は、上記誘電体が、垂直(バーティカル)方向に上記半導体基材の2つの互いに対向する各側面の間にて伸びている、複数の各ドリフト制御領域を有するプレーナMOSFETの一部を示す断面図である。図3は、該各ドリフト制御領域が上記半導体基材のソース側表面まで伸びているプレーナ型MOSFETの一部を示す断面図である。
図4は、上記各基材領域に隣接する各補償領域を有し、該各補償領域の間には、該各基材領域に対して相補的にドープされた各中間領域が配置され、該各中間領域のドレイン側には、上記各ドリフト制御領域が配置されている本発明によるMOSFETの一部を示す断面図である。図5は、図4に基づくMOSFETを示し、上記各ドリフト制御領域を囲む誘電体が、上記各中間領域まで伸びていることを示す断面図である。
図6は、複数の各ドリフト制御領域と共に複数の各補償領域を備え、該複数の各ドリフト制御領域が水平方向において互いに離間され、上記各補償領域の下方の領域においては、上記半導体基材の他の領域よりも、より小さい間隔を有しているMOSFETの一部を示す断面図である。図7は、水平方向において互いに等距離に離間されている、多数の各ドリフト制御領域を有するMOSFETの一部を示す断面図である。
図8は、本発明による半導体素子の一部を示し、トレンチMOSFETとして実施され、上記半導体基材の複数の各トレンチ内に配置された複数の各ゲート電極と、該各ゲート電極の下に配置された各ドリフト制御領域とを示す断面図である。図9は、図8のトレンチMOSFETの一部を示し、上記各ドリフト制御領域、および、該各ドリフト制御領域と上記ドリフト領域との間に配置された上記誘電体が上記各ゲート電極と上記ドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁体から離間されていることを示す断面図である。
図10は、複数の各ドリフト制御領域を有するトレンチMOSFETの一部を示し、上記各ドリフト制御領域は、上記各ゲート電極間に水平方向にてそれぞれ配置されており、該各ドリフト制御領域、および、該各ドリフト制御領域と上記ドリフト領域との間に配置された誘電体は、上記半導体基材の互いに対向する各面の間を垂直方向に伸びていることを示す断面図である。
図11は、図8に基づく縦型MOSFETの一部を示し、上記ドリフト領域と上記ドリフト制御領域との間に配置された誘電体が、空気、または、低誘電率を有する材料が配置された2つの各部分層を有していることを示す断面図である。図12は、ドリフト制御領域を有するMOSFETの一部を示し、該ドリフト制御領域は、上記ソース側と上記ドレイン側とによって上記ドリフト制御領域に隣接している高濃度にn型ドープされた接続領域と共に、接合型電界効果トランジスタを形成し、該ドリフト制御領域は、第1のダイオードを介して、上記ソース領域に接続されていることを示す断面図である。
図13は、従来技術による導通しているMOSFETの電子分布プロファイルの一例を示す断面図である。図14は、図12に基づく本発明の導通しているMOSFETの電子分布プロファイルの一例を示す断面図である。図15は、従来技術によるMOSFETのドレイン−ソース電流プロファイルと、図12による本発明のMOSFETのドレイン−ソース電流プロファイルとを、ドレイン−ソース電圧UDSの関数として比較したグラフである。
図16は、図12による本発明のMOSFETの一部を示し、上記各ドリフト制御領域が、上記ソース側において第1のダイオードを介し、高濃度にp型ドープされた接続領域に続く低濃度にp型ドープされた接続領域によって、上記各ソース領域に接続されていると共に、p型ドープされた接続領域によって、上記各ドレイン領域に接続されていることを示す断面図である。
図17Aは、図16によるMOSFETを示し、上記各ソース領域と上記各ドリフト制御領域とは、キャパシタを介して接続されており、該各ドリフト制御領域と上記各ゲート電極とは、第2のダイオードを介して、互いに接続されていることを示す概略断面図である。図17Bは、図17AのMOSFETに対する変形例としてのMOSFETを示し、上記ドリフト制御領域が、少なくとも部分的に、トンネル誘電体を介してドレイン電極に結合されていることを示す概略断面図である。
図18は、図16および図17に基づくMOSFETを示し、該MOSFETが図16の第1のダイオードに接続されており、図17Aの第2のダイオードおよびキャパシタに接続されており、該MOSFETでは、上記各ドリフト制御領域が、ドレイン側において、第3のダイオードによってドレイン領域に接続されていることを示す概略断面図である。図19は、図16ないし図18に基づく回路構成を有するMOSFETを示し、図15のドレイン側ダイオードは、上記半導体基材内に組み込まれており、上記ドレイン領域は、ドリフト制御領域の下まで伸びていることを示す概略断面図である。
図20は、MOSトランジスタとして実施される半導体素子を示し、上記オン抵抗を低減させるために、上記ドリフト領域よりも高濃度にドープされた中間領域が、上記ドリフト領域と上記基材領域との間に配置されていることを示す概略断面図である。図21は、図20に対して変形された素子を示し、より高濃度にドープされた上記中間領域に隣り合って、フィールド電極が配置されていることを示す概略断面図である。図22は、図20および図21に示した素子を、断面I−Iによって切断した断面図である。
図23は、図20および図21に示した素子の一変形を、第1の断面(図23A)および第2の断面(図23B)に示す断面図である。図24は、図23に示した素子の一変形例を示す断面図である。図25は、図24による素子を、断面III−III’によって切断した断面図である。図26は、MOSトランジスタとして実現され、ゲート電極が、垂直方向において、ドリフト制御領域よりも上に配置されている半導体素子を示す断面図である。
図27は、図26に示した素子の一変形例を示し、上記ドリフト制御領域は、部分的に半導体基材の表面まで伸びていることを示す断面図である。図28は、MOSトランジスタとして実現され、上記基材領域に隣り合い、より深部に位置する基材領域を有する半導体素子を示す断面図である。図29は、ドレイン電極とドリフト制御領域との間にショットキーダイオードを有するMOSトランジスタを示す断面図である。
図30は、図29による素子のショットキーダイオードを実現するために、想定され得る方法を示す概略断面図である。図31は、図29による素子の第1の変形例を示す断面図である。図32は、図29による素子の第2の変形例を示す断面図である。
図33は、図29ないし図32に示した半導体素子の可能な製造方法を示す概略断面図である。図34は、MOSトランジスタとして実現され、上記ドレイン領域に対して相補的にドープされた半導体領域が存在する半導体素子を示し、該半導体領域には、該素子のドレイン電極が接触していることを示す断面図である。
図35は、図34に示した素子の一変形例を示し、ドリフト領域と該ドリフト領域に対して相補的にドープされた樹器素子領域との間に、フィールドストップ領域が配置されていることを示す断面図である。図36〜40は、図34および図35に示した素子の様々な各変形例をそれぞれ示す各断面図である。
図41は、MOSトランジスタとして実現され、上記ドレイン領域に対して相補的にドープされたドリフト領域を有する半導体素子を示す断面図である。図42は、図41に示した素子の一変形例を示し、ゲート電極は、ドリフト制御領域の上に垂直方向に配置されていることを示す断面図である。図43は、図42に示した素子の一変形例を示す断面図である。
図44は、MOSトランジスタとして実現され、トンネル誘電体およびドリフト領域の一部分が、半導体素子のドリフト制御領域とドレイン領域との間に配置されている、半導体素子を示す概略断面図である。図45は、図44の素子に対する一変形例であり、プレーナ型MOSトランジスタとして実現された素子を示す断面図である。図46は、図45に対する変形例であり、上記ドリフト領域には、互いに相補的にドープされた半導体領域が存在する素子を示す断面図である。図47は、図46の素子に対する変形例としての半導体素子を示す断面図である。
図48は、図44ないし図47に示した半導体素子を製造するための個々の方法ステップを示す断面図である。図49は、MOSトランジスタとして実現され、ソース電極とドリフト制御領域との間に静電容量を有する半導体素子を示し、該静電容量が、半導体基材よりも上の2つの導電層間に組み込まれていることを示す断面図である。図50ないし図56は、半導体基材内に静電容量を実現するための、可能な構成を示す斜視図、平面図または断面図である。
図57は、ドレイン電極が、半導体基材の端部におけるドリフト制御領域に接続されている、縦型MOSトランジスタとして実現された半導体素子を示す斜視図である。図58〜図63は、図57による素子に対する各変形例の素子を示す各斜視図である。図64は、各ドリフト制御領域が、ドレイン側で組み込みダイオードを介して上記ドレイン領域に接続され、該ドリフト制御領域が、垂直方向に、該ドレイン領域の中まで伸びている、複数の各ドリフト制御領域を有するMOSFETを示す断面図である。
図65は、図64によるMOSFETに対応し、上記ドリフト制御領域が、上記高濃度にドープされた接続領域から、垂直方向に離間されているMOSFETを示す断面図である。図66は、図65によるMOSFETに対応し、上記垂直方向に対して直交する方向に伸びる図65に示した平面E−E’でのストリップレイアウトを有する、本発明によるMOSFETの断面図である。図67は、長方形のセル配置を有する、本発明によるMOSFETの、上記垂直方向に対して直交する方向での断面図である。図68は、断面が円形であるセル配置を有する、本発明によるMOSFETの、上記垂直方向に対して直交する水平方向での断面図である。
図69は、断面において曲折して伸びているドリフト領域を有する、本発明によるMOSFETの、上記垂直方向に対して直交する水平方向での断面図である。図70は、ノーマリオン型MOSトランジスタとして実現された半導体素子を示す断面図である。図71は、負荷トランジスタのセルアレイ内に、該負荷トランジスタを介して負荷電流を計測するための計測トランジスタが配置された半導体素子を示す断面図である。
図72は、負荷トランジスタのセルアレイ内に、温度センサーが配置された半導体素子を示す断面図である。図73は、図72による半導体素子に対する一変形例の半導体素子を示す斜視図である。図74〜図85は、本発明による半導体素子の想定可能な各エッジ終端をそれぞれ示す断面図である。
図86は、ショットキーダイオードをして実施されると共に、複数の上記ドリフト制御領域が単結晶に形成されて、カソード側において、上記ダイオード領域の高濃度にドープされた接続領域から電気的に絶縁されている半導体素子を示す断面図である。図87は、図86によるショットキーダイオードのダイオード電流プロファイルを線にて示すグラフである。上記グラフでは、上記ドリフト制御領域は、カソード側において、同一のダイオードを流れるが、上記ドリフト制御領域と上記カソード電極との間に陰極ショートを有するダイオード電流と比べると高い抵抗率で、上記高濃度にドープされた接続領域に接続されている。図88は、図87によるグラフを対数関数的に示すグラフである。
図89は、オン状態の場合における図86によるショットキーダイオードの電子分布を示す断面図である。図90は、ドリフト制御領域に対して低濃度および相補的にドープされた第1の接続領域を介して、ショットキーダイオードのカソード電極に接続されている、ドリフト制御領域を有するショットキーダイオードを示す断面図である。図91は、図90に基づき、上記第1の接続領域が、ドープされた半導体材料よりもむしろ真性半導体より形成されているショットキーダイオードを示す断面図である。
図92は、真性な第1の接続領域を介して、上記高濃度にドープされた接続領域に直接接続されているドリフト制御領域を有するショットキーダイオードを示す断面図である。図93は、少なくとも1つの上記ドリフト制御領域が延長部を、上記高濃度にドープされた接続領域まで伸びて、該高濃度にドープされた接続領域に接触して有するショットキーダイオードを示す断面図である。図94は、高い抵抗率の抵抗層を介して、上記高濃度にドープされた接続領域に接続されているドリフト制御領域を有するショットキーダイオードを示す断面図である。
図95は、カソード側において、部分的に該ショットキーダイオードのカソード電極から絶縁されているドリフト制御領域を備えているショットキーダイオードを示す断面図である。図96は、図86に基づき、ドリフト制御領域は、該ショットキーダイオードのショットキーコンタクトの陽極金属に、低濃度にp型ドープされた接続層によって接続されているショットキーダイオードを示す断面図である。図97は、上記ドリフト制御領域が、接続電極の一部を介して上記高濃度にドープされた接続領域に接続されているショットキーダイオードを示す断面図である。
図98は、上記ドリフト制御領域が上記高濃度にドープされた接続領域に接触している接続電極にトンネル誘電体を介して接続されているショットキーダイオードを示す断面図である。図99は、図98のショットキーダイオードに対する一変形例の、「融合された」ピンショットキーダイオードとして実施されるショットキーダイオードを示す断面図である。図100は、図98のショットキーダイオードに対する他の変形例であり、上記トンネル誘電体と上記接続電極との間に、単結晶半導体層が配置されたショットキーダイオードを示す断面図である。
図101は、MOSFETとして実施され、ドリフト制御領域が、一面では、上記ゲート電極に直接隣接し、他面では、ダイオードを介して上記ドレイン領域に結合された半導体素子を示す断面図である。図102は、上記ダイオードが組み込みダイオードとして実施されている、図101の素子に対する一変形例の素子を示す断面図である。図103は、図101の素子に対する他の変形例の素子を示す断面図である。
図104は、上記ドリフト制御領域がコンタクト電極を介して上記ゲート電極に接続された、図102の素子に対する一変形例の素子を示す断面図である。図105は、図104の素子に対する一変形例であり、上記ゲート電極と上記ドリフト制御領域とが互いに絶縁されており、上記ドリフト制御領域が制御電位に接続されていることが可能な素子を示す断面図である。
図106は、個々の方法ステップの間、上記ドリフト制御領域が上記ゲート電極に直接的に隣り合っている、MOSFETとして実施される半導体素子の製造方法を示す各断面図である。図107は、個々の方法ステップの間、上記ドリフト制御領域が上記ゲート電極に直接的に隣接している、MOSFETとして実施される、他の半導体素子の製造方法を示す各断面図である。図108は、個々の方法ステップの間、上記ドリフト制御領域が上記ゲート電極に直接的に隣接している、MOSFETとして実施される、さらに他の半導体素子の製造方法を示す各断面図である。
図109は、上記ゲート電極に直接的に隣接したドリフト制御領域と、多層に構成された蓄積誘電体とを備え、MOSFETとして実施される半導体素子を示す断面図である。図110は、図109の素子に対する一変形例の、多層に構成された蓄積誘電体を有する素子を示す断面図である。図111は、MOSFETとして実施され、複数のドリフト制御領域を有する、本発明による横型パワー半導体素子を、該素子が集積された半導体基材中および半導体基材上の集積された様々な断面図を元に示す各図であり、該複数のドリフト制御領域は、それぞれ、蓄積誘電体によって、ドリフト領域から絶縁されている。
図112は、MOSFETとして実施され、ドリフト制御領域がトンネル誘電体によって部分的に上記ドリフト領域から分離されているパワー半導体素子を示す平面図である。
図113は、SOI基板に基づいて、ドリフト領域とドリフト制御領域とを有する横型パワーMOSFETを示す斜視断面図である。図114は、複数の各ドリフト制御領域が、それぞれに隣接するドリフト領域の全長よりも長く、水平方向に伸びている、MOSFETとして実施される横型パワー半導体素子を示す各断面図である。
図115は、図114による素子に対する一変形例の、ドリフト制御領域が、部分的に上記パワーMOSFETの基材領域に隣接して配置されている素子を示す断面図である。
図116は、図114による素子に対する他の変形例の、ゲート電極が、連続的なストリップ型電極として実現されている素子を示す斜視図である。図117は、図114による素子に対する、さらに他の変形例の、SOI基板に基づいて実現された素子を示す斜視図である。
図118は、上記ドリフト制御領域が第1のダイオードを介してドレイン電極に結合され、組み込まれた第2のダイオードを介して、ソース電極に結合されている、パワーMOSFETとして実現された素子の一部を示す概略の断面図および斜視図である。図119は、上記ドリフト制御領域が、直接、上記ドレイン電極に結合されると共に、上記ソース電極には、ダイオードを介して結合されている、パワーMOSFETの一部を示す概略断面図である。図120は、上記ドリフト制御領域と上記ソース電極との間において、静電容量と組み込みダイオードとが接続されている、パワーMOSFETの一部を示す概略断面図である。
図121は、外部ダイオードを有する、図120の素子に対する一変形例の素子を示す概略断面図である。図122は、図120の素子に対する他の変形例の、上記ドリフト制御領域と上記ゲート電極との間には、さらなるダイオードが接続されている素子を示す概略断面図である。図123は、半導体基材の領域において静電容量が統合されている、ドリフト領域およびドリフト制御領域を有する半導体素子の一部を示す斜視図である。
図124〜図126は、図123による素子に対する一変形例の半導体素子をそれぞれ異なる角度から示す各断面図である。図127は、ゲート電極が1つのトレンチ内に配置され、上記ゲート電極によって制御される反転チャネルが、垂直方向に伸びた、MOSFETとして実現された横型パワー半導体素子を示す各断面図である。図128は、図127のMOSFETに対する一変形例の、上記ゲート電極によって制御される反転チャネルが、水平方向に伸びたパワーMOSFETを示す各断面図である。
図129は、複数の各ゲート電極部分が、それぞれ、ドリフト制御領域の延長部内に水平方向に配置されている横型パワーMOSFETを示す各断面図である。図130は、パワーMOSFETの基材領域が半導体基板に接続されている、SOI基板に基づいた横型パワーMOSFETの第1の典型的な実施形態を示す斜視図である。図131は、パワーMOSFETの基材領域が半導体基板に接続された、SOI基板に基づいた横型パワーMOSFETの第2の典型的な実施形態を示す斜視図である。図132は、蓄積誘電体によって、ドリフト領域から分離されたドリフト制御領域の想定可能な製造方法の各方法ステップを示す各断面図である。
図133は、ショットキーダイオードとして実現された横型パワー半導体素子を示す斜視図である。図134は、半導体基材の表面に平行に伸びるドリフト制御領域と、該表面よりも上に配置されたゲート電極とを有する横型パワーMOSFETをそれぞれ異なる角度からの各断面図である。図135は、図134の素子に対する一変形例である、上記ゲート電極が1つのトレンチ内に配置されている素子を互いに異なる角度から示す各断面図である。
図136は、図135の素子に対する一変形例に係り、上記ゲート電極がドリフト制御領域の延長部にそれぞれ配置された複数のゲート電極部分を備えている素子を異なる角度からの各断面図である。図137は、複数の埋め込み半導体領域に接触する接続コンタクトの形成方法の各方法ステップをそれぞれ示す各断面図である。
図138は、パワー半導体素子内に配置された複数のストリップ型ドリフト制御領域を有するパワー半導体素素子のドリフト領域の一部を示す各斜視図である。図139は、図138の配置に対する、一変形例としての他の配置を示す斜視図である。図140は、図138の配置に対する、他の変形例としてのさらに他の配置を示す斜視図である。
図141は、パワー半導体素子内に配置された複数のストリップ型ドリフト領域を有するパワー半導体素子のドリフト制御領域の一部を示す斜視図である。図142は、パワー半導体素子内に配置された複数のビーム型ドリフト制御領域を有するパワー半導体素子のドリフト領域の一部を示す斜視図である。図143は、パワー半導体素子内に配置された他の複数のビーム型ドリフト領域を有するパワー半導体素子のドリフト制御領域の一部を示す斜視図である。
図144は、パワー半導体素子内に配置され、曲折(蛇行)した外周を有する1つのドリフト制御領域を有するパワー半導体素子のドリフト領域の一部を示す斜視図である。図145は、パワー半導体素子内に配置され、曲折した外周を有する1つのドリフト領域を有する他のパワー半導体素子のドリフト制御領域の一部を示す斜視図である。
〔図面の詳細な説明〕
図面では、特に指摘しない限り、同一の参照符号は、同一の素子領域を示し、同一の意味を有するものである。
本発明による素子では、一実施形態において、ドリフト領域およびドリフト制御領域が、半導体基材内において、少なくとも部分的に互いに隣り合って配置されており、誘電体層によって互いに分離されている。上記ドリフト領域と上記ドリフト制御領域とを分離する該誘電体層のこの領域を、以下の本明細書では「蓄積誘電体」と呼ぶ。
パワー半導体素子の場合の用語「ドリフト領域」または「ドリフト経路」は、該素子に逆電圧が印加される場合に、該逆電圧が低減される半導体領域、つまり、該逆電圧が増大するにつれて、空間電荷領域が広がる領域を指す。上記用語「ドリフト領域」および「ドリフト経路」は、特に、例えばパワーMOSFETまたはパワーショットキーダイオードのようなユニポーラパワー半導体素子でも用いられるが、用語「n型ベース」または「p型ベース」は、上記逆電圧を受け入れる半導体領域のドーピング型に応じたバイポーラ部品に用いられるのが通例である。以下の説明では、全体に渡って、本発明をユニポーラ部品に限定することなく、この用語「ドリフト領域」または「ドリフト経路」を、パワー半導体素子の逆電圧を受け入れる領域に用いる。
上記ドリフト制御領域のドーピングは、例えば、該ドリフト制御領域が、上記蓄積誘電体に対して垂直方向において完全に空乏化され得る、少なくとも1つの半導体部分を有するように選択されている。これは、該蓄積誘電体に対して垂直方向において電界が存在する場合には、該半導体部分に存在するドーパント原子が、アバランシェ降伏を生じさせることなく、完全にイオン化され得ることと同じである。上記素子がオン状態に駆動される場合には、上記ドリフト制御領域は、蓄積チャネルを制御するため、つまり、上記蓄積誘電体に沿ったドリフト領域内の局所的に著しく増大した電荷キャリア濃度を有する領域を制御するために機能する。該チャネルを形成するためには、上記ドリフト制御領域と上記ドリフト領域との間に電位差が必要である。この場合、電荷キャリアの型、つまり、上記蓄積誘電体に沿って蓄積するのが電子であるか、またはホールであるかは、上記電位差の極性によって決定されるのであって、非ドープ領域または真性領域として実現され得るドリフト領域の基本ドーピングによって決定されるのではない。
このような蓄積チャネルの存在によって、上記パワー半導体素子のオン抵抗は、このようなドリフト制御領域を備えていない素子と比較すると著しく低減される。同一のオン抵抗では、本発明による素子のドリフト領域の基本ドーピングは、従来の素子のドリフト領域の基本ドーピングと比較すると、低減されることが可能であり、このため、本発明の素子は、従来の素子と比べてより高い絶縁耐力を有することになる。
上記ドリフト領域は、上記蓄積誘電体を介して、上記ドリフト制御領域に容量結合されており、これによって、上記素子がオン状態に駆動される場合に、上記蓄積チャネルが形成され得る。この容量結合と、上記ドリフト制御領域のための上記して特定したドーピング条件を満たすこととによって、上記素子がオフ状態の場合、つまり上記ドリフト領域内に空間電荷領域が広がる場合には、上記ドリフト制御領域においても空間電荷領域が広がるという効果が生じる。上記ドリフト制御領域において広がるこの空間電荷領域によって、上記ドリフト制御領域内の電位プロファイルは、上記ドリフト領域内の電位プロファイルに従うという効果が生じる。電位差、または、上記ドリフト領域と上記ドリフト制御領域との間の電圧は、これによって制限される。この電圧制限によって、該ドリフト制御領域と該ドリフト領域との間において、改善された容量結合を有効に生じさせる薄い蓄積誘電体を用いることが可能になる。
上記ドリフト領域に隣り合って、素子の接合部、例えばpn接合部またはショットキー接合部を設けることが可能である。該ドリフト領域と第1の素子領域との間に逆電圧が印加される場合には、空間電荷領域が、この接合部から上記ドリフト領域内に広がる。
本発明による半導体素子は、特に、例えばパワーMOSFETまたはパワーショットキーダイオードのような、ユニポーラパワー半導体素子である。しかしながら、ダイオードまたはIGBTのようなバイポーラ部品の場合に、ドープされた半導体材料または非ドープの半導体材料から成り、蓄積誘電体によってドリフト領域から絶縁されると共に、上記して特定したドーピング条件を満たすドリフト制御領域を設けることも可能である。
MOSFET、IGBT、または、ダイオードの場合には、第1の素子領域と第2の素子領域との間の素子の接合部は、pn接合部である。該第1の素子領域は、MOSFETまたはIGBTの場合には、基材領域を形成し、ダイオードの場合には、p型エミッタ領域またはn型エミッタ領域のうちのいずれか1つの領域を形成する。該第2の素子領域は、MOSFETの場合には、上記ドレイン領域を形成し、IGBTの場合、または、ダイオードの場合には、上記エミッタ領域を形成する。
ショットキーダイオードの場合には、上記第1の素子領域と上記ドリフト領域との間の素子の接合部は、ショットキーコンタクトであり、該第1の素子領域は、ショットキー金属から成る。ショットキーダイオードの場合には、上記第1の素子領域は、該ショットキーダイオードのアノード領域であり、ショットキー金属から成る。
図1は、本発明によるパワー半導体素子の典型的な一実施形態の一部を示す断面図である。図示した素子は、プレーナ型MOSFETとして実現されており、ドリフト領域2、ソース領域9、および、基材領域8を備えている。基材領域8は、ソース領域9とドリフト領域2との間に配置され、ソース領域9に対して相補的にドープされている。
ソース領域9とドリフト領域2との間の基材領域8における反転チャネルを制御するために、ゲート電極15が設けられており、該ゲート電極は、ゲート誘電体16によって、上記半導体基材から誘電的に絶縁されている。図示した実施形態では、上記ゲート電極は、半導体基材100の表面101よりも上に配置されて、半導体基材100の水平方向rにおいて、ソース領域9から、部分的に表面101まで達しているドリフト領域2上まで伸びている。上記素子は、さらに、ドリフト領域2に隣り合っていると共に、該ドリフト領域よりも高濃度にドープされたドレイン領域5を含み、該ドレイン領域は、ドレイン電極11に接触している。
図示した素子のドレイン領域5を、例えば基本ドーピングを有するエピタキシャル層を堆積させた半導体基板によって実現することが可能である。本明細書では、該基本ドーピングを有するエピタキシャル層の断面が、ドリフト領域2を形成している。図1では、上記半導体基板および上記エピタキシャル層の各実際寸法のスケール(比)は再現されていないことに留意されたい。
図示したこのMOSFETはn型導電性であり、この場合、ソース領域9、ドリフト領域2、および、ドレイン領域5は、n型ドープされているが、上記基材領域は、p型ドープされている。本発明は、当然ながら、p型導電性MOSFETにも適用可能であり、該p型導電性MOSFETの素子領域は、n型導電性MOSFETの素子領域に対して相補的にドープされている。
図1に示したMOSFETは、縦型MOSFETとして実現されている。この素子のソース領域9、基材領域8、ドリフト領域2、および、ドレイン領域5は、半導体基材100の垂直(厚さ)方向vに、連続的に配置されている。該素子がオン状態に駆動される場合に、つまり、ドレインとソースとの間に正電圧が印加され、ゲート電極15に好適な駆動電位が印加される場合に、電流が、ソースとドレインとの間のドリフト領域を通って垂直方向に流れる。この素子では、基材領域8およびドレイン領域5が、第1の素子領域および第2の素子領域を形成し、これら素子領域間にはドリフト領域2が配置される。基材領域8とドレイン領域5との間に逆電圧が印加される場合、ドリフト領域2において、基材領域8とドリフト領域2との間の半導体接合部から、空間電荷領域が広がる。
上記素子では、少なくとも部分的にドリフト領域2に隣り合って、少なくとも1つのドリフト制御領域3が形成される。図1に示した素子には、半導体基材1の水平方向rにおいて互いに離間されて配置された、複数の上記のようなドリフト制御領域3がそれぞれ設けられている。各ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間には、「蓄積誘電体」と呼ばれる誘電体層4が配置されている。以下の説明のために、ここでは、該蓄積誘電体とは、ドリフト領域2とドリフト制御領域3との間に直接配置された、つまり、一面にはドリフト領域2が直接隣接し、他面にはドリフト制御領域3が直接隣接する、誘電体層4の部分だけを意味することを留意されたい。
ドリフト制御領域3は、上記MOSFETの負荷接続電位のうちのいずれか1つに結合されている。負荷接続電位とは、動作中に、ドレイン5および/またはソース9に存在する電位のことである。本実施形態では、このために、ドリフト制御領域3が、ドレイン領域5に接続されている。ドリフト制御領域3は、このドレイン領域5に、様々な方法で接続されていることが可能である。これに関して、4つの異なる可能性を、図1に示した。まず、ドリフト制御領域3は、上記ドリフト制御領域と同じ伝導型である高濃度にドープされた第1の接続領域31を介して、ドレイン電極11に接続されていることが可能である。この場合、誘電体層4は、ドレイン電極11まで伸び、これによって、第1の接続領域31とドレイン領域5とを互いに誘電的に絶縁している。
状況に応じて、上記第1の接続領域に対して相補的にドープされた第2の接続領域32を、高濃度にドープされた第1の接続領域31とドレイン電極11との間に配置してもよく、ここでは、第2の接続領域32は、第1の接続領域31よりも低濃度にドープされている。
さらに、ドレイン領域5は、ドリフト制御領域3の下部まで、または、ドリフト制御領域3に隣接する第1の接続領域31まで伸びていてもよい。この場合も、相補的にドープされた第2の接続領域32が存在していてもよい。この第2の接続領域32は、その後、第1の接続領域31と、ドリフト制御領域3の下部まで伸びるドレイン領域5の部分との間に配置される。
図1による素子は、セルによって構成されており、同一の型である多数の各トランジスタセルを有する。該各トランジスタセルは、ソース領域9および基材領域8をそれぞれ有する。個々の該トランジスタセルは、そのソース領域9が、共通のソース電極13に接続されていると共に、そのゲート電極15が、共通のゲート接続部(図示せず)に接続されているために、並列接続されている。図示した素子では、ドリフト領域2は、全トランジスタセルに共通である。ドリフト制御領域3の実現によっては、ドレイン領域5は、全トランジスタセルに共通の連続した半導体領域として実現されるか、または、ドレイン電極11によって互いに接続された、分離した複数の半導体部分を有してもよい。
個々の各ドリフト制御領域3は、単結晶であることが可能な半導体材料から成る。各ドリフト制御領域3は、蓄積誘電体4に垂直な方向において完全に空乏化されることが可能な、少なくとも1つの半導体部分を有するようにドープされている。本明細書では、特に、電流フロー方向に沿って伸びる、つまりこの場合には上記半導体基材の垂直方向vに伸びる、蓄積誘電体4のこれらの部分について考慮する。
そして、上記ドリフト制御領域は、少なくとも1つの部分を有し、該少なくとも1つの部分は、上記ドリフト制御領域の全寸法に渡って、上記電流フロー方向に対して垂直方向に伸びると共に、該方向において電界によって完全に空乏化されることが可能である。これは、上記電流フロー方向に対し水平に(つまり図示した本実施形態では、半導体基材100の水平方向rにおいて)、電界が存在する場合に、上記ドリフト制御領域のこの少なくとも1つの部分のドーパントは、アバランシェ降伏を生じさせることなく、完全にイオン化されることが可能である。
この条件が適合するのは、該半導体部分にあるネットドーパント電荷が、該半導体部分をドリフト領域2から誘電的に絶縁している蓄積誘電体4のこの区域の部分に関して、上記ドリフト制御領域に用いられる半導体材料の絶縁破壊電荷よりも低い場合である。
ドリフト制御領域3は、特に、上記電流フロー方向に対して垂直または水平の方向において、部分的に空乏化されるだけでなく、完全に空乏化され得るように、ドープされていることが可能である。そして、上記ドリフト制御領域、および、ドリフト領域2とドリフト制御領域3との間を上記電流フロー方向に伸びる蓄積誘電体4の部分に存在するネットドーパント電荷の指数は、ドリフト制御領域3に用いられる半導体材料の絶縁破壊電荷よりも低くなる。
図1に示した、両面に沿って上端まで誘電体層4によって区切られているドリフト制御領域のいずれか1つを、以下に説明のために考慮する。さらに、各ドリフト制御領域3が均一にドープされている特定のケースを、以下に説明のために想定する。この特定のケースでは、上記して特定したドーピング条件は、蓄積誘電体4に対する垂直方向rにおける、ドリフト制御領域3のイオン化されたドーパント濃度の積分であり、ドリフト制御領域3の全「幅」に渡って、ドリフト制御領域3の半導体材料の絶縁破壊電荷の値の2倍よりも小さいと考えられるということである。半導体材料としてのシリコンでは、上記絶縁破壊電荷は、約1.2×1012e/cm2である(eは電気素量を指す)。
均一にドープされたドリフト制御領域の一面だけに、誘電体層によってドリフト制御領域から分離されたドリフト領域が隣り合っている、該ドリフト制御領域(詳細に示していない)について考慮するならば、上記誘電体層に対して垂直方向にあるドーパント濃度の積分は、上記絶縁破壊電荷よりも少ないということが、このドリフト制御領域に当てはまる。そして、上記のようなドリフト制御領域は、蓄積誘電体4を介して存在する電界によって、完全に空乏化されることが可能である。
ドリフト制御領域3の上述のドーピング条件は、上記ドリフト制御領域が極めて低濃度にドープされると、誘電体層4の方向におけるドリフト制御領域3では、ドリフト領域2に既に存在する電位に対し依存せずに、ドリフト制御領域3の半導体材料の絶縁破壊電界強度に達する電界を形成することができないということに基づいている。
ドリフト制御領域3は、ドリフト領域2と同一の半導体材料から成ることが可能であり、該ドリフト領域と同一のドーピング濃度を有することが可能である。電流フロー方向に対して水平方向、つまり本実施形態の水平方向rでは、上記ドリフト制御領域の寸法は、誘電体4の領域に対するネットドーパント電荷に関して既に特定した条件が満たされるように選択される。
上記蓄積誘電体に沿ったドリフト領域2における電荷キャリアに良好な蓄電効果を実現するために、誘電体4を極めて薄くすることが有効であり、これによって、ドリフト制御領域3内の電界は、可能な限り良好にドリフト領域2をパンチスルーすることが可能になる。この場合、誘電体4の最小厚さは、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間に存在する電位差、および、上記蓄積誘電体の最大許容される持続的な電界強度装荷によって決定される。
ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間が、約100Vよりも明らかに少なく、好ましくは5V〜20Vである典型的な持続性電位差では、熱酸化による二酸化ケイ素を誘電体として用いることによって、誘電体4の最小厚さは、約500nm未満、好ましくは約25nm〜約150nmの典型的な厚さになる。
蓄積誘電体4は、ドリフト領域2からドリフト制御領域3を完全に分離することが可能であり、従ってドリフト制御領域3とドリフト領域2との間に完全に閉じた部分を形成することが可能である。この場合、特に、蓄積誘電体4をいわゆるトンネル誘電体として形成する誘電体層を形成することが可能である。これを、図1の各ドリフト制御領域3のうちの1つに示しており、ドリフト制御領域3の上の誘電体をトンネル誘電体4’として形成している。このトンネル誘電体について、以下にさらに説明する。
上記電流フロー方向、つまり本実施形態では垂直方向vにおいて、ドリフト制御領域3は、該電流フロー方向に対して水平方向に、ドリフト制御領域3に隣接して配置されたドリフト領域2の区域と同じドーピング特性を有していることが好ましい。該区域は、ドリフト制御領域3と同じ領域を通って上記電流フロー方向(垂直方向v)に伸びている。
図1による実施形態では、ドリフト制御領域3は、表面101の領域内に配置されたセルアレイの格子に適合する。ここでは、各ドリフト制御領域3は、半導体基材1の水平方向における2つの互いに隣り合う各基材領域8間に配置されている。しかしながら、このように、上記セルアレイの格子に適合させることは必ずしも必要ではない。従って、特に、上記セルアレイよりもむしろドリフト制御領域3のために別の格子を選択することも可能である。つまり、特に、ドリフト制御領域3を、基材領域8の下方に配置することも可能である(図示せず)。
図2は、MOSFETとして実施される、本発明による素子の典型的なさらなる一実施形態を示す断面図である。該素子は、ドリフト制御領域3が半導体基材1の表面101まで伸びている点で、図1による素子とは異なる。本実施形態では、ドリフト制御領域3は、同様に、上記表面の領域において、蓄積誘電体4を形成する誘電体層4またはトンネル誘電体4’に覆われている。
図3は、さらなる典型的な実施形態を示す図である。図3では、蓄積誘電体4を形成する誘電体層は、水平方向においてのみドリフト制御領域3に隣接している。これは、該ドリフト制御領域を覆う誘電体または絶縁体を、ドリフト制御領域3の領域内の半導体基材1の表面に堆積させる場合に可能である。本実施形態では、ドリフト制御領域3は、ゲート誘電体16によって覆われている。従って、各セルのドリフト制御領域3は、半導体基材1の表面の領域(上記ソース側)において、ゲート電極15およびソース電極13から電気的に絶縁されている。
ドリフト制御領域3が上記半導体基材の表面まで伸びている、図2および図3の素子では、選択的に、ドリフト制御領域3を、ドリフト制御領域3に対して相補的にドープされた接続領域35を介して、および、トンネル誘電体4’を介して、ソース電極13に接続してもよい。これを、図2の最も右に示したドリフト制御領域3に示している。
図4では、上記MOSFETのドリフト領域2内に、補償領域7を設けることが可能である。該補償領域は、個々のセルの基材領域8と同じ伝導型を有するが、これら基材領域よりも低濃度にドープされている。補償領域7は、それぞれ1つの基材領域8に接触していることが好ましい。示した実施形態では、ドリフト領域2の他の領域よりも高濃度にドープされた中間領域21が、隣接する基材領域8および補償領域7の間のドリフト領域2において、さらに配置されており、該中間領域のドーピングは、補償領域7に対して相補的である。
図4による典型的な一実施形態では、各ドリフト制御領域3が、中間領域21とドレイン電極11との間に配置されている。本実施形態では、上記半導体基材において誘電体4に囲まれているドリフト制御領域3の、垂直方向の端部は、中間領域21と距離を隔てた位置となっている。
図5に示すように、ドリフト制御領域3を囲む誘電体4を有するドリフト制御領域3は、中間領域21に接するまで伸びるか、または、中間領域21の中まで伸びていてもよい。この場合、ドリフト制御領域3は、上記半導体基材の表面まで伸びていることも可能である(図示せず)。
図6は、ドリフト制御領域3を有するMOSFETの典型的なさらなる一実施形態を示す図である。ここでは、上記ドレイン領域に結合された複数の各ドリフト制御領域3は、半導体基材100において、不均一に水平方向にそれぞれ配置されている。この場合、隣り合う複数の各ドリフト制御領域3間の間隔は、補償領域7の領域に対応する位置において他の領域よりも小さいように選択されている。
図7に示すように、各ドリフト制御領域3は、半導体基材100の水平方向において、等距離で互いに離間されていることが可能である。
図1〜図7による典型的な各実施形態は、プレーナ型ゲート電極を有するMOSFETを示す。当然ながら、ドリフト制御領域3を設けるという本発明の原理を、1つのトレンチ内に配置された縦型ゲート電極15を有するトレンチMOSFETにも用いることが可能である。この場合、該ドリフト制御領域3は、半導体材料から成り、蓄積誘電体によってドリフト領域2から絶縁されており、誘電体4の部分に対する該ドリフト制御領域のネットドーパント電荷は、絶縁破壊電荷よりも少ない。
図8は、このような、複数の各ドリフト制御領域3を有するトレンチ型MOSFETを示す断面図である。この素子の場合、ソース領域9、該ソース領域に対して相補的にドープされた基材領域8、ドリフト領域2、および、高濃度にn型ドープされた接続領域またはドレイン領域5が、ソース電極13からドレイン電極11まで、互いに直接的に連続して配置されている。
トレンチ型MOSFETは、例えば、金属、または、高濃度にドープされた多結晶半導体材料(例えばポリシリコン)から成る導電的なゲート電極15を有する。該ゲート電極は、例えば半導体酸化物であるゲート誘電体16によって、半導体基材100の他の領域から、および、ソース電極13から、電気的に絶縁されている。
ゲート電極15は、ソース領域9および基材領域8を介して、上記ドリフト領域の中まで伸びる複数の各トレンチ内にそれぞれ配置されている。
ソース電極13は、ソース領域9および基材領域8をショートさせて、公知の方法によって、ソース領域8、基材領域9、および、ドリフト領域2によって形成される寄生バイポーラトランジスタを除去するように、形成されていることが好ましい。このために、本実施形態では、ソース電極13は電極区域13’を有している。図8の右手部分のトランジスタセルに示したように、電極区域13’は、ソース領域9を介して垂直方向に、基材領域8の中まで伸びている。
上述の典型的な実施形態のように、ドリフト制御領域3は、高濃度にn型ドープされた第1の接続領域31によって、ドレイン電極11、従ってドレイン領域5に接続されている。
この場合、各ドリフト制御領域3は、ゲート電極15を有する複数のトレンチの下に直接配置されて、誘電体4によってドリフト領域2から絶縁されている。この場合、誘電体4を有するドリフト制御領域3は、ゲート電極15を有する複数のトレンチにまで伸びている。しかしながら、図9に示すように、蓄積誘電体4を有するドリフト制御領域3は、ゲート電極15を有する複数のトレンチから、距離を隔てて終結していてもよい。
図8および図9による典型的な各実施形態では、各ドリフト制御領域3は、ゲート電極15とドレイン電極11との間に配置されているが、選択的または追加的に、水平方向において互いに隣り合う各ゲート電極15間に配置される、さらなるドリフト制御領域を設けることも可能である。
上記後者の場合では、図10に示したように、上記蓄積誘電体4は、半導体基材100のドレイン側表面102から、半導体基材100のソース側表面101まで伸びていてもよい。
上記にて示した典型的な実施形態では、ドリフト制御領域3は、ドレイン領域5(正確に言うとドレイン電極11を介して)、および、ソース領域9(正確に言うとソース電極13を介して)の両方に接続されている。この場合、ドレイン電極11への接続は、第1の接続領域31を介して行われるが、ソース電極13への接続は、低濃度にp型ドープされた第3の接続領域33および高濃度にp型ドープされた第4の接続領域34を介して行われる。この場合、第4の接続領域34が、ソース電極13に接触しているか、または、少なくとも導電的にソース電極13に接続されている。
図10では、ドリフト制御領域3は、垂直方向vにおいて、ドリフト領域2と同じ領域に渡って伸びていることが可能である。この場合、第3の接続領域33は、垂直方向vにおいて、基材領域8と同じ領域に渡って伸び、第4の接続領域34は、上記ソース領域と同じ垂直領域に渡って伸び、第1の接続領域31は、ドレイン領域5と同じ垂直領域に渡って伸びている。
図10による実施形態では、ドリフト制御領域3は、高濃度にn型ドープされた第1の接続領域31によって、ドレイン電極11、従ってドレイン領域5に接続されている。ここでは、図1に関連して説明した、ドリフト制御領域3をドレイン領域5に電気的に接続する様々な可能性は、図10の素子、上述の図2〜図9の素子、および、以下に説明する図11による素子に適合可能であることに留意されたい。
図10の右手部分のトランジスタセルのいずれか1つに示したように、基材領域9において、および、部分的にソース領域8において、蓄積誘電体4を形成する誘電体層に隣り合って、高濃度にp型ドープされた半導体領域17を配置することが可能である。
以下ではバイパス領域と呼ぶこの領域17は、ソース電極13へのホールにとって極めて低い抵抗率のバイパスを形成し、従って、特に上記パワー半導体素子が「アバランシェ」および「整流」の動作をする場合に、上記セルが早くラッチすることを防止する。この領域17は、さらに、ドリフト制御領域3によって制御可能なチャネルが、ソース領域9とドリフト領域2との間に存在することを防止する。さらに、半導体領域17は、ソース電極13を、基材領域8に低抵抗接続させる。加えて、半導体領域17は、ソース電極13を、基材領域8に低抵抗接続させる。
図11は、ドリフト制御領域3を囲む蓄積誘電体4を有するドリフト制御領域3を形成する結果として生じ得る機械的応力に対する、半導体基材1への悪影響を与える感受性を低減するための可能性を示す図である。このために、誘電体4が各誘電体部分層4a、4bから形成され、これら2つの誘電体部分層の間には、気体(例えば空気)のような圧縮可能な媒体によって充填された空隙4cが存在している。
この場合、誘電体4の各部分層4a、4bは、ソース側において互いに寄りかかった形状であるか、または、ソース側において一体となって形成されていることが可能である。さらに、部分層4a、4bと同じ材料から成り得る網状部を、部分層4a、4b間を安定させるために部分層4a、4b間に設けてもよい。
様々な実施例に基づいて説明した上記MOSFETは、好適な駆動電位をゲート電極15に印加することによって、および、ドレイン領域5とソース領域9との間、または、ドレイン電極11とソース電極13との間に、正電圧を印加することによって、オン状態に駆動される。
この場合、ドリフト制御領域3の電位は、ドレイン領域5の電位に従い、ドリフト制御領域3がpn接合部(図1の32、31)を介してドレイン領域5に接続されている場合、ドリフト制御領域3の電位は、ドレイン領域5の電位よりも、pn接合部の順電圧の値だけ低いことが可能である。ドリフト領域2の避けられない電気抵抗によって、ドリフト領域2の電位は、基材領域8の方向に低下する。
結果として、ドリフト制御領域3は、ドリフト領域2よりも高い電位にあり、ドレイン領域5から基材領域8の方向に離れるにつれてこの電位差も増大する。該電位差によって、蓄積誘電体4に隣り合うドリフト領域2内に蓄積領域が生じるという効果があり、該蓄積領域には、電荷キャリア(この場合は電子)が蓄積される。該蓄積領域によって、上記素子のオン抵抗は、従来の素子と比べて低減される。
ゲート電極15に好適な駆動電位が存在しない場合、および、ドレイン−ソース間に正電圧が存在する場合、上記MOSFETは、オフ状態である。従って、ドリフト領域2と基材領域8との間のpn接合部は、逆バイアスを掛けられて、該pn接合部から上記ドレイン領域までのドリフト領域2内には空間電荷領域が形成される。この場合、存在する逆電圧は、ドリフト領域2において低減される。これはつまり、ドリフト領域2に印加される電圧が、存在する逆電圧に相当することである。
オフ状態の場合も、ドリフト制御領域3の垂直方向において、空間電荷領域が形成される。該空間電荷領域は、ドリフト制御領域3の低濃度ドーピングのために、蓄積誘電体4における電圧降下が、最大値に制限されることから生じる。蓄積誘電体4は、ドリフト制御領域3およびドリフト領域2と共に静電容量を形成し、該静電容量の単位長さ当りC’には、以下の式が当てはまる。
C’=ε0εr/daccu (1)
この場合、ε0は、フリー空間の誘電率を指し、εrは、用いられる誘電体の相対誘電率を示す。この相対誘電率は、二酸化ケイ素(SiO2)の場合には、約4である。
上記誘電体を通る電圧は、公知の方法で蓄積された電荷に依存する。
U=Q’/C’ (2)
ここでは、Q’は、上記誘電体の部分に対して蓄積された電荷を指す。
オフ状態の場合、蓄積誘電体4に存在する電圧Uは、ドリフト制御領域3のネットドーパント電荷によって制限される。誘電体の部分に対するドリフト制御領域3のネットドーパント電荷が、絶縁破壊電荷QBrよりも少ないとすれば、以下の式が、誘電体4に存在する電圧Uに当てはまる。
U=(Q’/C’)≦(QBr・daccu/ε0εr) (3)
これによって、蓄積誘電体4に存在する最大電圧は、蓄積誘電体4の厚さdaccuと共に直線的に上昇し、従って、その絶縁耐力とほぼ同一の強さの第1の近似値まで上昇する。εrが約4であり厚さが100nmであるSiO2の最大電圧装荷は、6.8Vになり、これは、このような酸化物の許容される連続装荷(約20V)よりも著しく少ない。この場合、該絶縁破壊電荷は、約1.2×1012/cm2である。
従って、オフ状態では、ドリフト制御領域3に、空間電荷領域が形成される。該空間電荷領域の電位プロファイルは、ドリフト領域2の電位プロファイルとは、最大でも、誘電体4に存在してドリフト制御領域3の低濃度ドーピングによって制限される電圧値だけ異なることが可能である。この場合、蓄積誘電体4に存在する電圧は、通常、蓄積誘電体4の絶縁破壊電圧よりも低い。
説明のために、上述の素子内のドリフト制御領域3を、ドリフト領域2と同一の伝導型の領域として示す。しかしながら、この表示とは異なって、ドリフト制御領域3は、ドリフト領域2に対して相補的にドープされた半導体領域として、または、真性半導体領域としてドープされていてもよい。
上述および以下に記載する半導体素子は、n型導電性素子であり、該素子がオン状態に駆動される場合に、ドリフト領域2内に浮遊する大多数の電荷キャリアは、電子である。しかしながら、本発明の原理は、n型導電性素子に限定されるのではなく、p型導電性素子にも適用されることが可能であり、p型導電性素子の半導体領域は、上述のn型導電性素子の半導体領域に対して相補的にドープされることが可能である。
図1〜図9および図11に関連して説明した素子の場合には、ドリフト制御領域3は、ドレイン領域5にのみ接続されている。該素子がオフ状態である場合、ドリフト制御領域3にはホールが蓄積され、このホールは、電子ホール対が熱によって発生した結果として生じるもので、流れ出すことはない。長い時間をかけて、この電荷量は、蓄積誘電体4の最大限許容される電界強度に達し、誘電体4を破壊するまで増大する。
図1に関しては、このような絶縁破壊を、誘電体層4によって回避することが可能である。誘電体層4は、トンネル誘電体4’として実施される蓄積誘電体を部分的に形成する。蓄積誘電体4が絶縁破壊電界強度に達する前であっても、トンネル誘電体4’が絶縁破壊電界強度に達するとすぐに、該トンネル誘電体は、蓄積された電荷キャリアがドリフト領域2内に流れ込むことを可能にする。
好適なトンネル誘電体の実施例は、酸化ケイ素(SiO2)または窒化ケイ素(Si3N4)から成る層、または、酸化ケイ素と窒化ケイ素とから成る多層構造の層を含んでよい。シリコン、酸素、および、窒素から成る混合誘電体であってもよい。例えば、典型的なトンネル電界強度は、1V/nm〜2V/nmの範囲内である。13nmの厚さを有するトンネル酸化物4’では、これによって、最大電圧13V〜26Vになる。この電圧は、通常のオフ状態での動作中に誘電体4に存在する電圧よりも高く、そして、100nmの厚さを有する酸化ケイ素から成る誘電体4によって、問題無く耐えられる。
図1に示した典型的な実施形態の場合には、上記トンネル誘電体は、ドリフト制御領域3の上端部に配置されている。特に有効な点は、蓄積されたホールが上記素子をスイッチオン状態にすることを促進することである。なぜなら、該ホールは、ドリフト領域2と上記ドレイン領域の電位間の差が上記トンネル電圧値よりも下がるまで、ドリフト領域2内に蓄積領域を生成することを促進するからである。余分のホールは、その後、ドリフト制御領域3から、ドレイン領域5またはドレイン電極11の方向に向かって流れ出る。
図2の、ドリフト制御領域3とソース電極13との間に配置されたトンネル誘電体4’も、熱電荷キャリア生成によって生成される漏れ電流を排出するために機能する。ドリフト制御領域3と相補的にドープされた中間領域35との間のpn接合部は、ドリフト制御領域3と上記ソース電極との間に存在する逆電圧を吸収する。上記トンネル誘電体は、ソース領域9に隣り合ってもよい(図示せず)。
図12は、n型導電性トレンチMOSFETとして実施される、本発明による素子の典型的なさらなる一実施形態を示す断面図である。同一の多数の上記素子のトランジスタセルのうちの1つのセルが、側面断面図に示されている。該素子は、従来の縦型トレンチMOSFET20の素子構造を有し、ソース領域9、基材領域8、ドリフト領域2、ドレイン領域5、および、トレンチ内に配置されたゲート電極15を有する。ここでは、ソース電極13はソース領域9に接触しており、ドレイン電極11はドレイン領域5に接触している。
この場合、p型ドープされた基材領域8は、高濃度p型ドープされたバイパス領域17を介して、ソース電極13に接続されており、該ソース電極は、極めて低い抵抗率のバイパスを、ソース領域9へのホールに形成し、従って、特に上記パワー半導体素子が「アバランシェ」および「整流」である動作の場合に、該セルが早期にラッチすることを防止する。この領域17は、さらに、ドリフト制御領域3によって制御可能なチャネルが、ソース領域9とドリフト領域2との間に存在することを防止する。
ドリフト領域2に隣り合って、ドリフト制御領域3が配置され、該ドリフト制御領域は、高濃度n型ドープされた第1の接続領域31によって、裏面側のドレイン電極11に接続されている。この素子では、ドリフト制御領域3は、垂直方向に、半導体基材1のほぼ表面まで伸びており、従って、部分的に基材領域8に対し隣り合って配置されている。上記表面の方向では、ドリフト制御領域3に、高濃度n型ドープされたさらなる接続領域133が隣り合っており、半導体基材100上に配置された第4の電極19は、該接続領域に接触している。本実施形態では、該第4の電極19は、ソース電極13から分離されている。
ドリフト制御領域3は、第1の接続領域31およびさらなる接続領域133と共に、接合型電界効果トランジスタ(JFET)を形成し、そのゲートは、基材領域8またはバイパス領域17を示している。この接合型電界効果トランジスタ31、3、133は、基材領域8の十分に高い負電位によって、スイッチをオフされることが可能である。従来のn型チャネルJFETでは、p型ドープされたゲートとn型ドープされたチャネル領域との間には、誘電体が配置されていない。しかしながら、ここに示す誘電体4が、ピンチオフ効果を妨げることはない。
ドリフト制御領域3内のドーパント濃度は、極めて低いことが可能であり、例えば約1014cm-3であってもよい。従って、接合型電界効果トランジスタ31、3、133のピンチオフは、基材領域8とドリフト制御領域3との間の電圧差が数ボルトの場合に、既に生じている。
説明した素子では、ドリフト制御領域3は、第1のダイオード41を介して、ソース領域9またはソース電極13に接続されている。この場合、該ダイオード41のアノード41aは、ソース電極13を介して、ソース領域9に導電的に接続されており、カソード41bは、第4の電極19を介して、ドリフト制御領域3または接合型電界効果トランジスタ31、3、133に導電的に接続されている。上記漏れ電流に関して、ダイオード41に厳しい要件を課す必要はない。なぜなら、上記MOSFETがオフ状態である場合に、接合型電界効果トランジスタ31、3、133はスイッチが切られており、ここから電流が流れ出すことは不可能であるので、第1のダイオード41が高い漏れ電流を有することは重要ではない。
第1のダイオード41は、外部の素子として実現されるか、または、例えばモノリシック構造的に、または、ポリシリコンダイオードとして、上記半導体基材内に組み込むことが可能である。さらに、第1のダイオード41の代わりに、高抵抗性の抵抗、または、ダイオードとして接続されているトランジスタを用いることも可能である。
図12は、全素子の一部または1つのセルだけを示していることに、留意されたい。左手側には、該一部に隣接して、まず、さらなるトレンチMOSFET構造(図示せず)に続く、誘電体4のさらなる一部が存在している。図示したMOSFET構造およびさらなるMOSFET構造は、垂直方向vに伸びる対称面および、図示された上記対称面に対し直交する面に対し、互いに鏡面対称的に形成されている
図示した素子の機能を、以下に説明する。ドレイン電極11とソース電極13との間に正動作電圧が存在し、ゲート電極15に好適な駆動電位が存在するならば、該素子はオン状態にある。該素子がオン状態に駆動される場合には、ドレインとソースとの間の電圧降下は、ダイオード41の逆電圧よりも低いために、ダイオード41はオフ状態であり、ドリフト制御領域3の電位は、該ドレインの電位にほぼ相当する。
上記MOSFET構造の領域では、上記動作電圧は、ドリフト領域2の経路での電圧まで下降し、これによって、上記ドリフト領域2の経路内の電位は、ドレイン領域5から離れるにつれて減少し、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間の電圧は、ドレイン領域5から離れるにつれて同じだけ増加する。ドリフト領域2の電位に対するドリフト制御領域3の正電位によって、誘電体4に沿ったドリフト領域2内に、電荷キャリア(本実施例では電子)を蓄積することができる。これによって、上記素子のオン抵抗を低減することが可能である。
上記素子が、好適な方法によって駆動されるゲート電極15によってオフ状態であるならば、pn接合部から始まるドリフト領域2では、空間電荷領域が拡大し、ドリフト領域2の経路電圧は上昇する。この場合、まず、ドレイン領域5またはドレイン電極11の電位が、遮断ダイオード41によって、ドリフト制御領域3の電位に従う。ドリフト制御領域3の電位が上昇するにつれて、ドリフト制御領域3、誘電体4、および、基材領域4によって形成された接合型FETは、徐々にピンチオフされて、完全にオフ状態になり、上記基材領域に隣接するこの領域において、基材領域8の電位から上記接合型FETの逆電圧値だけ異なる値を持続する。この場合、上記ドリフト制御領域の上部領域において形成される接合型FETは、上記ドレイン電位がさらに上昇するにつれて、高すぎる電圧から上記ダイオード41を保護する。ここでは、上記接合型FETを完全にピンチオフするための電圧は、ダイオード41の絶縁破壊電圧よりも低くなるように設定される。
上記ドレイン電位がさらに上昇するのに伴い、ドリフト制御領域3の電圧降下は、下部領域において、つまり、高濃度にドープされた接続領域31と基材領域8との間の領域において、ドリフト領域2の電圧降下に応じて上昇し、ドリフト制御領域3において電圧が上昇するにつれて、空間電荷領域が、高濃度にドープされた接続領域31の方向にさらに拡大する。
この場合、ドリフト制御領域3において広がっている空間電荷領域、および、ドリフト領域2において広がっている空間電荷領域は、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間の蓄積誘電体4に存在する最大電圧を制限する。ドリフト領域2のドーピングとドリフト制御領域3のドーピングとが同一であるとすれば、または、上記電流フロー方向におけるドーピング特性が同一であるとすれば、該電圧は、ほぼ上記接合FETのターンオフ電圧の範囲内にあって、通常数ボルトであり、その結果、蓄積誘電体4は、高電圧装荷の対象にはならず、これに応じて薄く設計することが可能である。
薄い誘電体4は、上記素子がオン状態に駆動される場合に、ドリフト領域2内に電荷キャリアを蓄積することに関しても利点を有する。ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間の一定の電位差において、誘電体4が薄ければ薄いほど、この蓄積動作はより良好になる。
図12による配置の利点は、上記素子の上記各接続電極またはドレイン電極11と各ソース電極13との間の電流経路は、ダイオード41を介して存在し、該ダイオードを介して、ドリフト制御領域3内に熱によって生成された電流経路電荷キャリアが流れ出すので、オフ状態の場合には、ドリフト制御領域3内、または、誘電体4では、上述の望ましくない電荷キャリアの蓄積は生じない。
図13および図14は、従来のMOSFETの電子分布と、図12によるMOSFETの電子分布とを比較する図であり、いずれの場合にも、MOSFETは、オン状態に駆動されて、ゲート電圧は10Vであり、ドレイン電圧およびソース電圧はどちらも同様に10Vである。図13が従来のMOSFETの電子分布を示す図であり、図14が、図12のMOSFETの電子分布を示す図である。
これらの各図に示した各数値は、各領域における、cm3当りの電子の電子濃度を特定するものである。
この場合、図14による本発明の素子では、対応する図13による従来の素子のドリフト領域の電子濃度よりも、少なくとも2オーダー高い電子濃度を有する領域が、蓄積誘電体4に隣接するドリフト領域2の領域内に、該ドリフト領域のほぼ全長に渡って形成されていることが認められ得る。この電子濃度が高いことは、上記ドリフト制御領域の電位のためである。該ドリフト制御領域は、電子濃度が上昇し、該ドリフト領域の電位よりも電位が高い、ドリフト領域2の領域に隣り合っている。
図15は、MOSFETのドレイン−ソース電流IDSのプロファイルを、ドレイン−ソース電圧UDSの関数として示す各特性曲線58、59を示すグラフである。図12による本発明のMOSFETの対応する特性曲線58と、従来技術によるMOSFETを示す該特性曲線59とを比較した。
ここで認められるのは、本発明によるMOSFETの場合の電流フローのために得られる断面図が、上記ドリフト制御領域に必要とされる空間のために、従来技術によるMOSFETの断面領域と比べて著しく低減されるにもかかわらず、本発明によるMOSFETの負荷電流IDSは、従来技術によるMOSFETのドレイン−ソース電流IDSよりも高いという点(ドレイン−ソース電圧が4Vの場合は4倍だけ高く、ドレイン−ソース電圧が10Vの場合は7倍だけ高い)である。
図16は、トレンチMOSFETを示す図であり、該トレンチMOSFETは、図12によるMOSFETと、ドリフト制御領域3が、低濃度にp型ドープされた第3の接続領域33、および、高濃度にp型ドープされた第4の接続領域34を介して、第4の電極19に接続されているという点が異なっている。より高濃度にドープされた領域34、および、より低濃度にドープされた領域33を有する、p型ドープされた接続領域の2段式構成は、この場合任意により選択できる。ここでは、より高濃度にドープされた領域34の目的は、実質的に、接続電極19を、ドリフト制御領域3とpn接合部を形成している、より低濃度にp型ドープされた領域33に低抵抗接続させることである。
上記素子は、オン状態において、図12に関連して説明した素子に対応して機能し、図16による素子の場合には、ドリフト制御領域3とp型ドープされた各領域33、34との間に形成されたpn接合部が、既に、該ドリフト制御領域の電位を、上記ソース電位よりも、つまり、ソース電極13の電位よりも上昇させることが可能である。
さらに、上記MOSFETがオフ状態にあり、該ドレイン電極11とソース電極13との間、または、上記MOSFET構造のドリフト領域2の経路には、数10Vの電圧または数100Vの電圧が存在することと、ソース電極13が、例えば0Vである基準電位にあることとが想定され得る。
第4の電極19における電位は、その後、最大でも、第1のダイオード41の凡その絶縁破壊電圧値(例えば+15V)だけ該基準電位よりも高くなる。上記逆電圧の残り、つまり上記ドレイン電位と第4の電極19の電位との間の差は、実質的には、低濃度にドープされたドリフト制御領域3によって受け入れられ、該低濃度にドープされたドリフト制御領域では、該ドリフト制御領域とp型ドープされた各領域33、34との間のpn接合部から、空間電荷領域が形成される。
この場合、ドリフト領域2内に広がる空間電荷領域、および、ドリフト制御領域3内に広がる空間電荷領域は、オフ状態の場合に、蓄積誘電体4に存在する電圧を制限する。なぜなら、該空間電荷領域の領域の蓄積誘電体4には、蓄積物も、逆転層も形成されないからである。
ドリフト領域2のドーピングとドリフト制御領域3のドーピングとが同一であり、電流フロー方向における、基材領域8とドリフト領域2との間のpn接合部、および、p型領域33とドリフト制御領域3との間のpn接合部が、同じレベルであるとするならば、この電圧は、最大限でも、ダイオード41の逆電圧に相当する。このダイオード41によって、p型領域33は、オフ状態の場合の基材領域よりも、高い電位にある。
ドリフト領域2のドーピングとドリフト制御領域3のドーピングとは、異なっていてもよく、上記蓄積誘電体の電圧装荷は、これら2つの領域の個々のドーピングよりも大きいことが可能である。
この場合、最大許容逆電圧の場合に、ドリフト制御領域3内にアバランシェ降伏が生じず、ドリフト制御領域3では、空間電荷領域が電流フロー方向に広がって、電界強度素子から電流フロー方向および該電流フロー方向に対して直交する方向に形成された電界が、上記半導体材料の絶縁破壊電界強度を超えないよう、ドリフト制御領域3のドーピングは、ドリフト領域2内のドーピング条件、蓄積誘電体4の絶縁耐力、および、上記素子の所望の絶縁耐力に適合している必要がある。
基材領域8に隣り合って配置されたp型ドープされた各半導体領域33、34、および、ドリフト制御領域3の上の高濃度にドープされたショート回路領域17は、オフ状態における素子では(つまり、これらの各領域33、34の電位が、基材領域8の電位よりも、ダイオード41の絶縁破壊電圧値だけ高い場合に)、p型ドープされた領域では、ホールが誘電体4の領域内に蓄積される。
オフ状態にある素子によって、上記構造のこの部分は、該ダイオードの絶縁破壊電圧に荷電された静電容量に相当する。以下では、該静電容量をストレージ静電容量と呼ぶ。この素子の場合、ダイオード41は、任意により設けてもよいことに留意されたい。このダイオード41は、上記素子がオフ状態の場合に、ドリフト制御領域3内の電荷蓄積を促進するので、オン状態に駆動する場合にも、より少ない電荷を供給するだけでよい。
上記MOSFETのスイッチをオンする場合に、基材領域8に近接したドリフト領域2の領域は、第1のダイオード41の絶縁破壊電圧よりも低い電位に急降下する。結果として、ホールが、上部領域、つまり第4の電極19に近接したドリフト制御領域3の領域から抽出され、さらに下に、つまりドレイン電極11の方向にある領域内に移動する。これらホールは、誘電体4の反対側、つまりドリフト領域2のドリフト制御領域3に面した側面上に、電子の蓄積を生じさせる。従って、該電荷は、ストレージ静電容量から、より深部に位置された「蓄積静電容量」に移る。
n型ドープされた第1の接続領域31は、p型ドープされた第2の接続領域32と共に、上記ホールが、オン状態の間に、ドリフト制御領域3から、ドレイン領域5またはドレイン接続部11まで流れ出すことを防止している。ドリフト領域2は、高濃度にn型ドープされた接続領域31のドリフト領域2に面した側の、1つのホールチャネル用の制御電極とみなされ得る。ドリフト制御領域3内に必要とされるホールの蓄積を維持するために、該ホールチャネルの形成は、必ず防止される必要がある。
該チャネルの閾値電圧の大きさを増大させるために、高濃度にn型ドープされた接続領域31内のドナー濃度を、これに応じて高くすること、または、誘電体2の厚さを接続領域31(図示せず)のレベルにまで局所的に増加させることが好ましい。
本実施形態では、第1の接続領域31のドナー濃度は、水平方向の誘電体4に直接的に隣り合う領域において、特に高く選択することで十分である。これによって、ホールチャネルの形成は回避される。つまり、接続領域31の残りの領域では、より低いドーピングが選択されていてもよい。この場合、接続領域31のドーピング濃度は、誘電体4に隣り合う領域において、垂直方向に、接続領域31の全幅に渡って増大するのではなく、むしろ部分的に増大するだけで十分であろう。
ドリフト領域2における、ドリフト制御領域3に面した側に電子蓄積チャネルを形成して、オン状態の損失を低減させるためのホール電荷は、対応した寸法の各接続領域31、32によって、大部分は維持される。第1のダイオード41の漏れ電流によって、および、誘電体4に沿った層31を流れる閾値下電流によって、比較的小さな部分だけが失われる。
熱によって生成された電子が、オフ状態の間に、ドリフト制御領域3から、第1の接続領域31および第2の接続領域32を有する構成を介して、流れ出すことが可能である。
従って、図16による素子の場合には、ドリフト制御領域3内のオン状態の素子に必要とされるホールは、下部の(ドリフト領域2に対向する)n型ドープされた「蓄積領域」と上部のp型ドープされた「蓄電領域」33、34との間においてのみシフトし、その結果、ここでは電荷シフトのみが行われ、スイッチをオンする各動作の度毎に、上記素子のドレイン−ソース電流から上記ホールを供給する必要はない。従って、上記素子のスイッチング損失は最小化される。
図16に示したストレージ静電容量は、必ずしも完全に半導体基材100の一部である必要はない。従って、基材領域8と、p型ドープされた各領域33、34と、上記誘電体とによって形成されたストレージ静電容量に追加的に、上記半導体基材の外側に配置される、さらなる静電容量が存在していてもよい。
このような追加的な静電容量50を有する構造を、図17Aに示す。ここでは、該静電容量を、概略的にキャパシタとして示し、以下では外部静電容量と呼ぶ。該外部静電容量を、任意の所望の方法によって、上記半導体基材内または上記半導体基材外に、実現することが可能である。このさらなる静電容量50は、ソース電極13と第4の電極34との間に接続され、従って、ドリフト制御領域3とソース領域9との間に接続されている。
本実施形態では、ドリフト制御領域3に対して相補的にドープされた各接続領域33、34が、ドリフト制御領域3と第4の接続電極19との間に配置されており、これら各接続領域は、内部ストレージ静電容量を形成している。図12による素子に応じた外部静電容量50が存在する場合に、これらの蓄電性を有するp型ドープされた各接続領域33、34を、高濃度にn型ドープされた接続領域33(図示せず)と置き換えることが可能である。p型ドープされた各接続領域33、34についての利点は、それらの漏れ電流特性がより好適な(少ない)点である。
従来の素子と比べて改善された上記素子のオン状態損失を最大限利用することを可能にするためには、上記ストレージ静電容量(図16の内部静電容量であっても、または、図17Aの内部および外部静電容量であっても)が、上記素子のスイッチがオンされる場合に確実に充電され、漏れ電流によって失われた電荷が、その後に再び供給される必要がある。
上記必要性は、図17Aを参照して、第2のダイオード42を、ゲート電極15とドリフト制御領域3との間に接続して設けることにより実現することが可能である。この場合、ダイオード42のアノード42aはゲート電極15に接続されており、カソード42bは、ソース電極13から離れた側の外部静電容量の接続部である第4の電極19に接続されている。スイッチがオンされている間にドリフト制御領域3においてシフトされた、ホールの形の電荷が、十分な量で維持されるために、上記ドリフト制御領域の上方のp型ドープされた領域34は、十分に高濃度のドーピング濃度を有している必要がある。
これに応じて、図12の素子の場合にも、外部静電容量50および第2のダイオード42を設けてもよい。これらについては、図12では、破線によって示されている。
上記MOSFETのスイッチが最初にオンされる場合には、図12および図17A、17Bの素子の場合に内部静電容量および/または外部静電容量によって形成されるストレージ静電容量は、上記ゲート回路から第2のダイオード42を介して荷電される。ただし、ドリフト制御領域3からの熱による逆電流によって既に荷電されていない場合は除く。上記MOSFETのスイッチがオン状態の場合では、失われたホールが、その後すぐに上記ゲート回路から供給される。ストレージ静電容量と蓄積静電容量とが動的に(ダイナミックに)電荷逆転する間に、安定状態では、外部の制御接続部、つまりゲート電極15からは、電流が流れないか、または、極めて少しの電流しか流れない。
ドレイン電位がドリフト制御領域3の電位よりも下がる場合に、上記ストレージ静電容量が、ドレイン領域5に向かって放電しないように、ドリフト制御領域3とドレイン電極11との間に、pn接合部を設けてもよい。該pn接合部は、図17Aによる素子の場合、ドリフト制御領域3に隣り合うn型ドープされた第1の接続領域31と、ドレイン電極11に隣り合う、より低濃度にp型ドープされた第2の接続領域32とによって形成されている。
上述の素子が適切に機能するためには、第1の接続領域31および第2の接続領域32によって形成されたダイオードは、逆電圧を有する必要がある。該逆電圧は、上記素子をオン状態に駆動するために、ゲートとソースとの間に印加される最大許容ゲート電圧よりも高い。
図17Bは、図17Aに対して変形された素子を示す断面図である。該素子では、ドリフト制御領域3は、任意により高濃度にドープされた第1の接続領域31と、トンネル誘電体4’とを介してドレイン電極11に接続されている。この第1の接続領域31のドーピングは、ドレイン領域5のドーピングに対応した、例えば同等なものであってもよい。
オン状態の場合には、トンネル誘電体4’は、ドリフト制御領域3内に蓄積された複数のホールが、ドレイン電極11に向かって流れ出さないように防止しており、オフ状態の場合には、該トンネル誘電体は、熱によって生成された漏れ電流がドレイン電極11に向かって流れ出すことを可能にする。この場合、トンネル誘電体4’の絶縁耐力は、単に、該トンネル誘電体が上記ゲート電圧を遮断することができる程度にて高いものである必要がある。
図17Bによる素子の場合には、トンネル誘電体4’の上に、単結晶半導体材料が配置されている。上記トンネル誘電体上にエピタキシャル法を用いて上記半導体材料を成長させることによって、このような素子を形成してもよい。この場合、ドレイン領域5は、トンネル酸化物が堆積され、その上にさらにエピタキシャル層が成長している基板を示す。この場合(図17Bの素子とは異なり)、トンネル誘電体4’は、ドリフト制御領域3と高濃度にn型ドープされたドレイン領域5との間に配置される(図示せず)。
図18は、ドレイン領域5の方向における(ホール)ストレージ静電容量の放電を防止できる、他の可能性を示す断面図である。ここでは、ドリフト制御領域3は、高濃度にドープされた接続領域を介して、第2の電極12に接続されており、該第2の電極は、ドレイン電極11から分離されている。これら2つの各電極11、12間を、第3のダイオード43が接続している。該第3のダイオードは、外部の素子として実現されることが可能であり、該第3のダイオードのアノード43aは、ドレイン電極11に接続され、該第3のダイオードのカソード43bは、第2の電極12に接続されている。この第3のダイオード43によって、上記蓄積静電容量がドレイン領域5に向かって放電されることは防止される。この場合、第3のダイオード43の遮断能力(耐電圧)は、上記MOSFETのスイッチをオンにするための最大ゲート電圧よりも高い必要があり、蓄積誘電体4を通過可能な電位差よりも低くてもよい。
最初に、上記MOSFETがスイッチオンされる場合、ドリフト制御領域3は、上記ゲート回路から、例えば10Vの最大ゲート電圧まで荷電される。上記MOSFETがスイッチオフされる場合、この電荷は、上記蓄積静電容量から上記ストレージ静電容量までシフトされる。この場合、該ストレージ静電容量は、第2のダイオード42の逆電圧(例えば15V)を超えないような大きさに選択されている必要がある。該ストレージ静電容量は、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間の蓄積静電容量の2〜3倍であることが好ましく、各接続領域33、34およびバイパス領域17によって形成された内部静電容量の合計、または、任意の外部蓄積静電容量50をさらに加えた合計であってもよい。
外部ストレージ静電容量50を上記素子の外側に設ける代わりに、このような静電容量を、例えば半導体基材100のような素子内に組み込んでもよい。特に、より高い誘電率を有する誘電体4によって、および/または、ホールのバイパス領域17と誘電体4(図示せず)との間の接合部を拡大させることによって、上記ストレージ静電容量をバイパス領域17に向かって増大させることが可能である。
図18による素子の場合には、原則的に、第1のダイオード41を省いてもよい。しかしながら、生じ得る余分な電荷が、上記ストレージ静電容量から上記ゲート回路内に流れ出すことが起こり得る。このような余分な電荷が生じるのは、特に、比較的長くオフ状態が続いている間に、該ストレージ静電容量が、上記ドリフト制御領域3からの漏れ電流によって、第2のダイオード42の逆電圧まで充電される場合である。
上述の図とは異なり、ドリフト制御領域3を、ドリフト領域2に対して相補的にドーピングすることも可能である。つまり、図18による実施形態では、p型ドープされたドリフト制御領域3を設けることが可能である。上記素子をオフ状態にする場合には、ドリフト制御領域3と接続領域31との間のpn接合部から半導体基材100の表面側の方向に向かうドリフト制御領域3において、空間電荷領域が広がると同時に、基材領域8とドリフト領域2との間のpn接合部から上記裏面側の方向に向かうドリフト領域2において、空間電荷領域が広がる。
異なる方向から広がるこれらの空間電荷領域は、上記蓄積誘電体に電圧降下をもたらす。該電圧降下によって、空間電荷領域は、この素子の場合、水平方向にドリフト領域2およびドリフト制御領域3に広がるという利点を有する。つまり、これによって、補償効果が生じ、ドリフト領域2は、同じ絶縁耐力のために、より高濃度の基本ドーピング濃度を有することが可能になる。
ドリフト領域2のドーピング濃度、および、ドリフト領域2と同一のドーピング型のドリフト制御領域3のドーピング濃度は、例えば1014cm-3のオーダーの領域内にあるが、ドリフト領域2と、ドリフト制御領域3とドーピング型が相補的(つまり互いに逆)の場合は、ドリフト領域2とドリフト制御領域3との各ドーピング濃度については、1015cm-3〜1016cm-3の範囲内が可能である。
図19は、ドリフト制御領域3をドレイン領域5にリンクするためのさらに他の可能性を示す断面図である。この場合、ドリフト制御領域3は、ドレイン電極11を介さずに、互いに相補的にドープされている各接続領域31、32を直接介して、ドレイン領域5に接続されている。これは、蓄積誘電体4を形成している誘電体層が、ドレイン電極5から距離を隔てた位置から始まり、ドレイン領域5が、水平方向にドリフト制御領域3の下方まで伸びていることによって実現されている。
半導体素子の場合、特にパワー半導体素子の場合によくあるように、複数の個々のセル(ここでは、複数のMOSFETセル)は、同一の半導体基板内に配置されて、互いに並列接続されていることが可能である。本発明による素子の場合には、該素子の互いに隣り合う2つの各セルは、その間に設けられた共通のドリフト制御領域3を用いている。
パワー半導体素子の各負荷接続部間に存在する電圧を検出するために、容量性分圧器を該パワー素子の各負荷接続部間に接続させて、該容量性分圧器における電圧信号を引き出すことが知られている。この場合、該電圧信号の値は、存在する負荷経路電圧に依存している。
上記各実施形態に基づいて説明した本発明によるパワー半導体素子では、このような容量性分圧器は、既に、負荷経路に並列(ここではドレイン−ソース経路に並列)に接続されている。この素子の場合には、第1の静電容量が、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3によって形成されており、これらドリフト領域2およびドリフト制御領域3は、蓄積誘電体4によって互いに分離されている。
該静電容量は、図19に概略的に示されている。この場合、該静電容量の1つの接続部が、ドレイン領域5に接続されている。ソース領域9に接続されている静電容量は、図19では外部素子として示される静電容量50であるか、または、高濃度にドープされた接続領域34、基材領域8の高濃度にドープされた接続領域17、および、その中間にある誘電体によって形成された内部静電容量であるかのいずれかである。
これら2つの静電容量によって形成された上記容量性分圧器のセンタータップは、ドリフト制御領域3の接続電極19を形成している。結果的に、上記パワー半導体素子の負荷経路電圧に関連する信号は、ドリフト制御領域3のこの接続部19において直接引き出され得る。
上記負荷経路電圧の値を評価するために、この接続部19における電位の絶対値を評価することも可能である。しかしながら、この接続部19における電位の動的挙動を評価してもよい。ここでは、該電位の上昇は、該負荷経路電圧の上昇に対応し、該電位の下降は、該負荷経路電圧の下降に対応している。
図20は、図19に示した縦型パワー素子の一変形例を示す断面図である。該素子の場合には、ドリフト領域2と同じ伝導型であると共に、ドリフト領域2よりも高濃度にドープされた中間領域22が、基材領域8とドリフト領域2との間の存在している。この中間領域22は、ゲート誘電体16から蓄積誘電体4まで、半導体基材100の水平方向rに伸びている。
この中間領域22の目的は、上記素子がオン状態に駆動される場合に、ゲート誘電体16に沿った基材領域8内に形成される反転チャネルと、蓄積誘電体4に沿ったドリフト領域2内に形成される蓄積チャネルとの間の横の伝導率を上昇させるか、または、該半導体基材の水平方向rにおいて該蓄積チャネルに距離を隔てて配置された該反転チャネル間の電気抵抗を低減することである。
ソース領域9とドレイン領域5との間の素子を通る電荷キャリアの経路を、図20では破線によって示した。中間領域22のドーピング濃度は、例えば1015cm-3と1017cm-3との間の範囲内にあり、従って、ドリフト領域2のドーピング濃度よりも1オーダーから2オーダー多い。
ドリフト領域2のドーピング濃度を同一に維持して、より高濃度にドープされた中間領域22を設けたことによって、基材領域8とドレイン領域5との間のドーパント原子の数は増加し、基本的には、該素子の絶縁耐力は減少する。このような絶縁耐力の減少を回避するために、より高濃度にドープされた中間領域22を設ける場合には、ドリフト領域2のドーピング濃度を低減することが可能である。
より高濃度にドープされた中間領域22を設ける場合に、上記絶縁耐力の減少を回避するために、図21では、ドリフト領域2のドーピング濃度を低減させる代わりに、または上記低減に加えて、フィールド電極23を設けることが可能である。
該フィールド電極は、より高濃度にドープされた中間層22に対して隣り合って配置され、誘電体層24によって、中間領域22およびドリフト領域2から、誘電的に絶縁されている。図示した典型的な実施形態では、フィールド電極23は、半導体基材100の垂直方向vにおいて、ゲート電極15に対し、直接的に、隣り合って配置されている。フィールド電極23は、例えば、ソース電極13、従って上記半導体素子のソース電位に電気的に接続されている。
このフィールド電極23の目的は、該半導体素子をオフ状態にする場合、つまり、基材領域8とより高濃度にドープされた中間領域22との間のpn接合部から空間電荷領域が形成される場合に、中間領域22内に存在するドーパント電荷の少なくとも一部を補償することである。従って、上記素子が同一の絶縁耐力を有する場合に、中間領域22は、フィールド電極23を備えていない素子と比べると、より高濃度にドープされ得る。
図20および図21による素子の場合には、ドリフト制御領域3は、既に説明した各接続領域31、32を介して、ドレイン領域5に接続され、同じく既に説明した各接続領域33、34を介して、接続電極19に接続されている。当然ながら、該ドリフト制御領域は、図12、図17、および、図18に関する説明に従って、ドレイン領域5および接続電極19に接続されていてもよいことに留意されたい。
図22は、図20および図21に示した素子を、図20および図21のI−I線の矢視断面によって切断した断面図である。これらの素子の場合には、ゲート電極15は、半導体基材100の水平方向において、ドリフト制御領域3にほぼ平行に伸びている。これらの素子の場合には、図20および図21に示した、より高濃度にドープされた中間領域22は、ゲート電極15に沿った反転チャネルと蓄積誘電体4に沿った蓄積チャネルとの間の横断方向の伝導率を上昇させる。
図23Aは、図20および図21の素子に対して変形された素子を、I−I線の矢視断面に対応する断面に示す断面図である。図23Bは、上記素子を、図23Aに示したII−II線の矢視断面で切断した断面図を示す。上記素子では、各ゲート電極15、またはゲート電極15の各部と、各基材領域または基材領域8の各部とが、2つの各ドリフト制御領域3間に交互に配置されている。
図23Aの断面図は、高濃度にドープされた接続領域17およびソース領域9を示し、基材領域8は、ここでは、この接続領域17およびソース領域9よりも下方に配置されている。ゲート電極15は、ゲート誘電体16によって該基材領域から絶縁されており、さらに、誘電体層によって、ドリフト制御領域3から絶縁されている。ゲート電極15をドリフト制御領域3から絶縁する、ゲート誘電体16、蓄積誘電体4、および、誘電体25は、ここでは、同一の材料から形成しても、または、同一の誘電体特性を有する材料から形成してもよい。
図23Aおよび図23Bに関連して図示した素子において、該素子がオン状態に駆動される場合には、基材領域8内に上記反転チャネルが形成される、上記ゲート誘電体16の領域、および、ドリフト領域2内に上記蓄積チャネルが形成される、蓄積誘電体4の領域が、互いに直交する各方向に伸びている。この素子の場合には、該半導体基材の上部領域内のゲート誘電体16に沿って形成される反転チャネルは、水平方向に、半導体基材100の下部領域内の蓄積誘電体4に沿って形成される蓄積チャネルにまで伸びている。
蓄積誘電体4に隣接する基材領域8の部分に、オフ状態に切り換えることができないチャネルが形成されることを防止するために、図23Aに示すように、ソース領域9が、半導体基材100の水平方向において蓄積誘電体4まで伸びないように配置されている。
製造技術的な理由から、ソース領域9が該半導体基材の水平方向において蓄積誘電体4まで伸びることが意図されるならば、オフ状態に切り換えることができないチャネルの形成を防止するために、図24に示した様々な可能性が存在している。
1つの可能性は、ソース領域9が蓄積誘電体4まで伸びている領域において、蓄積誘電体4を、残りの領域よりも厚くすることである。これは、図24では、追加的な誘電体層44を蓄積誘電体4に直接的に隣り合わせて設けることによって示されている。
あるいは、蓄積誘電体4の誘電率が、ソース領域9が蓄積誘電体4まで伸びている領域においての方が、残りの領域、特に、該素子をオン状態に駆動する場合に、蓄積チャネルがドリフト領域2内の蓄積誘電体4に沿って形成される領域においてよりも低くなるように、蓄積誘電体4を実現することでも可能である。
あるいは、ソース領域9とドリフト領域2との間の半導体基材100の垂直方向において、チャネル停止領域26を、基材領域8に対し隣り合う蓄積誘電体4に沿って設けてもよい。チャネル停止領域26は、ソース領域9に対して相補的、且つ、基材領域8よりも高濃度にドープされており、上記ソース領域9とドリフト領域2との間の蓄積誘電体4に沿って形成され、ドリフト制御領域によって制御されるチャネルの形成を、妨害する機能を有している。図25は、このチャネル停止領域26の領域の、図24に示すIII−III線の矢視断面での断面図である。
上記素子がオン状態に駆動される場合に、ゲート誘電体16に沿って形成される反転チャネルが、蓄積誘電体4に沿って形成される蓄積チャネル内に直接遷移するように、ゲート電極15をドリフト制御領域3の延長部内に配置するならば、図21〜図25に関連して説明したような、上記横断方向での伝導率を上昇させる特別の手段は、図26および図27では省略してもよい。
図26および図27に示した素子の場合には、ゲート電極15は、半導体基材100の垂直方向の、ドリフト制御領域3の上方に配置される。ゲート誘電体16および蓄積誘電体4を実現するために、共通の誘電体層を設けることが可能である。該共通の誘電体層は、ゲート電極15と基材領域8との間の領域にゲート誘電体16を形成し、ドリフト制御領域3と該ドリフト領域との間の領域に蓄積誘電体4を形成する。
この場合、ゲート電極15およびドリフト制御領域3は、誘電体によって互いに誘電的に絶縁されており、該誘電体は、その誘電体特性に関して、ゲート誘電体16および/または蓄積誘電体4に相当してもよい。図12および図17〜19に関連して説明した可能性のうちのいずれか1つに従って、ドリフト制御領域3は、ソース電極13またはゲート電極15に結合されていることが可能である。電気接続部、または、状況に応じて追加的に必要とされる、ダイオードまたは静電容量のような部材の図は、分かり易いように、図26および図27では省かれている。
図26による素子の場合には、ゲート電極15は、半導体基材100の表面まで部分的に達していない、ドリフト制御領域3の領域を部分的に完全に覆っている。詳細には示していないが、この素子は、ドリフト制御領域3が半導体基材100の表面まで伸びて該表面と接触している、複数の区域を含んでいる。示した図の平面に垂直な方向において、該複数の区域は、図26に示したドリフト制御領域3のこの区域に対してずれて配置されている。
図27による素子の場合には、ゲート電極15は、図26の半導体素子の場合よりも、ゲート誘電体16に直交する方向においてより狭く形成されており、この素子の場合のドリフト制御領域3は、ゲート電極15の側を通り過ぎ、誘電体層によってゲート電極15から絶縁されながら、上記半導体基材100の表面まで伸びている。この領域では、上述の各中間層または各接続層33、34を設けることが可能である。これらを、図27では破線によって示した。
図26および図27に関連して説明した素子の場合には、ゲート電極15がドリフト制御領域3の直接的な延長部に設けられており、該素子がオフ状態に駆動される場合には、ドリフト領域2に広がる電界のスパイクが、ゲート電極15とドリフト制御領域3との間の遷移領域において、または、該素子がオン状態に駆動される場合に上記反転チャネルおよび上記蓄積チャネルが形成される領域間の遷移領域において起こり得る。
このような電圧スパイクによって、該素子のこの領域では、絶縁破壊電圧に達する前に電圧絶縁破壊が生じ得る。このような時ならぬ電圧絶縁破壊を防止するために、図28に示すように、基材領域8と同じ伝導型の半導体領域81を、基材領域8に隣り合って設けることが可能である。この半導体領域81を、以下では、基材拡張領域または基材拡張部と呼ぶ。
この基材拡張領域81は、半導体基材100の垂直方向においてはドリフト制御領域3の高さまで伸びているが、半導体基材100の水平方向においては蓄積誘電体4まで伸びてはいない。結果として、該基材拡張領域は、該半導体素子がオン状態に駆動される場合には、蓄積誘電体4に沿った蓄積チャネルの形成に影響しないが、オフ状態の場合には、該基材拡張領域は、ドリフト領域2の、基材拡張領域81と蓄積誘電体4との間の領域を上記電界から遮断する。これによって、蓄積誘電体4に近接するドリフト領域2のこの領域において、電界スパイクが生じることは防止される。
図28に示した素子の第1の構成では、上記基材拡張領域は、比較的低濃度にドープされている。つまり、例えば基材領域8と同じくらいにドープされているか、または、これよりも低濃度にソープされている。この場合、該基材拡張領域は、ドリフト領域2の上端部、つまり基材拡張領域81に直接隣接するドリフト領域2の領域において、相補的なドーパント電荷に対する補償電荷を供給する。上記素子がオフ状態に駆動される場合には、上記電界の勾配が小さいために、基材拡張領域81とドリフト領域2との間の遷移領域において受け入れられた電圧は上昇し、これによって、電界スパイクの発生は回避される。
さらなる構成では、オフ状態の素子によって、電界強度スパイクを基材拡張領域81の領域内に局所的に生成して、電圧絶縁破壊を上記基材拡張領域に集中させるように、基材拡張領域81を実現している。上記電圧絶縁破壊を上記基材拡張領域に集中させることは、例えば図28による基材拡張領域81に示したような、比較的強い各端部を有するドリフト領域2と、基材拡張領域81との間のpn接合部によって達成され得る。
さらに、基材拡張領域81が、局所的に、特にドリフト領域2内に深く伸びるように、基材拡張領域81を実現することも可能である。その後、半導体基材100のドリフト領域2内に深く伸びる領域において、電圧絶縁破壊が生じる。このような基材拡張領域81の局所的に特に深く伸びる進路を、図28では、破線によって示す。この場合、基材拡張領域81は、比較的高濃度にドープされている。つまり、例えば基材領域8よりも高濃度にドープされている。
図28に関連して説明した基材拡張領域81は、(図28に示すような)n型ドープされたドリフト領域2を有するn型導電性素子の場合、および、p型ドープされたドリフト領域を有するn型導電性素子の場合の両方に用いられ得る。これについては、図41〜図43に関連して、以下においてさらに説明する。
図16、図17、および、図19に関連して説明したパワー素子の場合には、該素子のドレイン領域5は、整流素子(この場合はダイオードまたはトンネル誘電体)を介して、ドリフト制御領域3に接続されている。図16、17A、および、図19では、該ダイオードは、2つの各接続領域31、32間のpn接合部によって形成されていることが可能であり、該2つの各接続領域は、互いに相補的にドープされており、半導体基材100の裏面方向に沿って、連続して、ドリフト制御領域3に隣り合って配置されている。
図29では、ドレイン領域5またはドレイン電極11と、ドリフト制御領域3との間のこのようなpn接合部を、ショットキー接合部と置き換えてもよい。図示した素子では、例えば白金であるショットキー金属64と、ドリフト制御領域3よりも高濃度にドープされた中間領域65との間には、ショットキーコンタクトが設けられている。この中間領域65は、ショットキーコンタクトを形成するために必要とされるのではなく、むしろ、ホールがドリフト制御領域3からドレイン電極11に流れ出すことを防止する停止領域として機能する。
図30は、想定され得る製造方法における、図29による素子を示す図である。この方法では、ホール停止領域65を形成し、ショットキー金属64をこのホール停止領域65に成膜した後、半導体基材100の露出した裏面を介して、イオン注入を行う。このイオン注入の間に、半導体基材100のこの裏面を介して、n型ドーパント原子がドリフト領域2内に注入される。
ここでは、ショットキー金属64は、ドーパント原子がドリフト制御領域3内に注入されることを防止するマスクとして機能する。n型ドーパント原子が注入される、ドリフト領域2の半導体領域を、図30では、参照符号5’によって示している。上記半導体素子は、裏面側金属膜を成膜して、ドレイン電極11を形成し、アニーリングステップによって高濃度にドープされたドレイン領域5を形成することによって完成する。
該アニーリングステップでは、半導体基材100の裏面側領域を加熱して、半導体領域5’内に注入されたドーパント原子を電気的に活性化し、これによって高濃度にドープされたドレイン領域5を形成する。このドレイン領域5は、同時に、ドレイン電極11とドリフト領域2との間に、低抵抗性電気接触を形成する。
上記素子のホール停止領域65は、様々な方法によって形成することが可能である。
まず、このホール停止領域65を、ドリフト制御領域3を形成する間の早期のステップにおいて形成することが可能である。ドリフト制御領域3を、既に予め存在している半導体基板(図示せず)上に半導体材料をエピタキシャル法によって堆積させて形成する。
ホール停止領域65およびドリフト制御領域3を有する配置は、次の手順によって製造することが可能である。まず、このエピタキシャル法を開始時に、後にホール停止領域65を形成するより高濃度にドープされた層を形成し、その後、後にドリフト制御領域3を形成するより低濃度にドープされた半導体材料をエピタキシャル法によって堆積する。
この場合、このエピタキシャル堆積法は、両側が上記蓄積誘電体によって境界が形成されている1つのトレンチ内において行われる。エッチバックの後、つまり上記基板を除去した後、ショットキー金属を堆積して好適なパターニングを行うことによって、上記ショットキー金属を形成する。
あるいは、ホール停止領域65を、ドレイン領域5に応じて、半導体基材100の裏面側を介してマスクされたイオン注入法を行うことによって、形成することも可能である。
ホール停止領域65を形成するため、および/または、ドレイン領域5を形成するために注入されたドーパント原子を、レーザービーム(レーザーアニーリング)を用いて半導体基材100の裏面側を加熱することによって、活性化することが可能である。
図31は、図29に示した半導体素子の他の変形例を示す断面図である。この素子は、ドリフト領域2内に、フィールド停止領域66を含み、該フィールド停止領域は、例えばホール停止領域65と同じ高さであり、ドリフト領域2よりも高濃度にドープされている。このフィールド停止領域66を、例えばドレイン電極11を形成する裏面側金属膜を成膜する前に、イオン注入法、およびその後のアニーリングプロセスによって形成してもよい。
図32に示した本発明による半導体素子のさらに他の変形例の場合には、ドリフト領域2の領域内の半導体基材100は、ドレイン電極11を形成する裏面側金属膜を形成する前に、より高濃度にドープされた半導体領域66の高さまでエッチバックされる。この半導体領域66は、図31による素子内に上記フィールド停止領域を形成する。この素子では、裏面側金属膜11は、より高濃度にドープされた半導体領域66に直接接触しており、この半導体領域66は、ここでは、裏面側の金属膜11とドリフト領域2との間に低抵抗性接触を提供している。
図33では、図29〜図32に関連して説明した、ドリフト制御領域3、蓄積誘電体4、および、ドリフト領域2を有する半導体構造と、上記半導体基材の表面側の領域内に配置されたさらなる素子構造とを、最初に、p型ドープされた半導体基板上に、形成することが可能である。
該p型ドープされた半導体基板は、上記ショットキー金属(図29〜図32の64)と上記裏面側金属膜(図29〜図32の11)を形成する前に、除去されるものである。このp型基板を、例えば、NH4OH、NaOH、KOHの水溶液のような基本エッチング媒体において、電気化学エッチング法を行うことによって除去する。
この場合、電圧源68によって、半導体基板67と該半導体基板上に堆積させたエピタキシャル層との間に電圧を印加して、これによって上記p型基板を電気化学的にエッチバックする。このエッチバックプロセス中に、電圧源68から供給された電流が、電流測定部69によって測定される。
ここでは、基板67が完全にエッチバックされて、その後、上記エッチング媒体が上記n型ドープされたエピタキシャル層に侵襲する時に、流れる電流が急上昇するという点を利用している。該流れる電流は、この方法では、エッチング制御体として機能し、該電流が該n型ドープされたエピタキシャル層に到達して急上昇した時に、このエッチングは終了される。
説明した上記方法は、電気化学エッチング法によってp型基板67を除去する工程を含み、化学除去プロセスまたは機械除去プロセスよりも良好に制御可能である。ここでは、この説明した方法を、このようなプロセスと組み合わせてもよく、この場合は、最初に半導体基板67を化学的または機械的に薄くし、その後、正確な終点制御が可能な電気化学法を行う。
図34は、本発明によるパワー素子の典型的な一実施形態を示す断面図である。該素子は、そのスイッチオン動作、スイッチオフ動作、および、過電流動作に関して、上述の半導体素子と比べて改善されている。この素子の場合には、ドリフト領域2に隣り合って、該ドリフト領域に対して相補的にドープされた半導体領域27が設けられており、この半導体領域27は、ドレイン領域5と共に、ドレイン電極11に接続されている。
このp型の半導体領域27は、水平方向にて、2つの各ドレイン領域5間において、ドリフト領域2の全幅に渡って伸びている。ドリフト領域2は、ドリフト領域2の両面にそれぞれ隣り合っている2つの各ドリフト制御領域3の各蓄積誘電体4間に存在している。この素子では、ドリフト制御領域3は、各接続領域31、32によって形成されたダイオードを介して、ドレイン電極11に接続されている。
しかしながら、ドリフト制御領域3をドレイン電極11に接続させるために、上述の他の各可能性のうちのいずれか1つ、特にショットキーダイオードを設ける方法を用いてもよい。
p型領域27の機能、または、上記半導体素子の機能に対するp型領域27の効果を以下に説明する。
説明のために、最初は、オフ状態の半導体素子を想定する。前述されたように、オフ状態の素子では、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3において、空間電荷領域が、ドリフト領域2の制御下にて広がる。その後、上記素子がオン状態に駆動されるならば、まず、基材領域8内のゲート誘電体16に沿って、反転チャネルが形成され、その結果、電荷キャリアが、ソース領域9から、該反転チャネルを介してドリフト領域2内に流れ出す。
この駆動動作の最初には、ドリフト領域2では、上記蓄積チャネルはまだ形成されておらず、その結果該電荷キャリアは、ほぼ均等に分配されて、該ドリフト領域を介して、ドレイン領域5の方向に流れる。この場合、ドリフト領域2内に蓄積チャネルが形成されるのは、ドリフト領域2の電圧降下が、このような蓄積チャネルを蓄積誘電体4に沿って形成するために必要な範囲の、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間の電位差まで降下する場合のみである。
この素子では、スイッチオン動作の最初に、ドリフト領域2に隣り合うp型領域27が、ドリフト領域2に存在する電圧を低減することを促進し、これによって、上記蓄積チャネルの形成を導く動作を加速させる。
この効果が生じるのは、p型領域27によって、ドリフト領域2は、電荷キャリアにて充満されるためである。図34による素子では、蓄積誘電体4に沿った蓄積チャネルは、同様に、蓄積誘電体4まで伸びるp型領域27の各部を通って、ドレイン領域5まで伸びている。従って、スイッチオン状態には、つまり蓄積チャネルが形成された後には、p型ドープされた上記領域27に対して分路が存在する。
この素子では、その後、上記電荷キャリアの大部分は、ゲート誘電体16に沿った反転チャネル、および、蓄積誘電体4に沿った蓄積チャネルを介して、ドレイン領域5内に流れる。従って、上記素子のスイッチがオンされる場合には、p型領域27によって形成される裏面側エミッタは、もはや有効ではない。
p型領域27のp型ドーピング濃度の大きさは、広範囲に変動可能である。これは、少なくとも1×1017cm-3以上になるが、これよりもより高濃度にドープされていてもよい。
p型領域27の横の広がりは、ドレイン領域5内の垂直方向の導電率が高い状態で保持されるように設計される必要がある。つまり、上記素子が定格電流の場合に、ドレイン領域5内の電圧降下が、p型領域27とドリフト領域2とによって形成されるpn接合部のダイオード閾値よりも小さくなるような高さの導電率を保持するように設計される必要がある。
p型領域27の垂直方向での広がりは、比較的重要ではない。該広がりは、少なくとも、垂直方向におけるp型ドーズが、良好なエミッタ特性に必要とされる程度の、例えば約1013cm-2である必要がある。これは、1017cm-3のp型ドーピングの場合の垂直方向の寸法の1μmに相当する。
図35は、図34に示した半導体素子の一変形例を示す断面図である。この素子の場合には、ドリフト領域2と同じ伝導型のフィールド停止領域28が、p型領域27の上流側に配置されている。このフィールド停止領域28は、ドリフト領域2よりも高濃度にドープされており、ドリフト領域2における、水平方向に示した境界を形成している2つの各蓄積誘電体4の間を水平方向に伸びている。
図36は、図34に示した半導体素子のさらなる一変形例を示す断面図である。この素子の場合には、半導体基材100の垂直方向におけるp型領域27の寸法は、ドレイン領域5の寸法に相当する。結果として、p型領域27は、該半導体基材の水平方向においては、蓄積誘電体4まで伸びていないので、蓄積誘電体4の領域では、ドリフト領域2が、ドレイン領域5に直接的に隣り合っている。
図36に示した素子の一変形例を示す図37では、フィールド停止領域28が、ドレイン領域5およびp型領域27に直接的に隣り合っている。あるいは、このフィールド停止領域28を、図38に示したように、ドレイン領域5およびp型領域27から離間して配置してもよい。この素子の場合には、ドリフト領域2の一部が、フィールド停止領域28とドレイン領域5との間、または、フィールド停止領域28とp型領域27との間に存在する。
図39は、図36に示した半導体素子のさらなる一変形を示す断面図である。この素子の場合には、垂直方向におけるp型領域27の寸法は、ドレイン領域5の寸法と比べて小さいので、p型領域27は、上記ドレイン電極の表面方向におけるドレイン領域5に対して凹状に窪んでいる。
図40は、上記ドレイン領域およびp型領域27の上流側に配置されたフィールド停止領域28をさらに有する、図39による素子を示す図である。
図41は、本発明によるパワー半導体素子のさらなる典型的な一実施形態を示す断面図であり、該パワー半導体素子は、ドリフト領域2、ドリフト制御領域3、および、ドリフト領域2とドリフト制御領域3との間に配置された蓄積誘電体4を備えている。
図示した素子は、n型ドープされたソース領域9とn型ドープされたドレイン領域5とを備えた、n型導電性MOSFETとして実現されているが、該MOSFETは、少なくとも部分的にp型ドープされたドリフト領域2も備えている。分かり易いように、ドリフト制御領域3の、ドレイン領域5、ソース領域9、および、場合によってはゲート電極15への接続は、図41には詳細に示していない。ドリフト制御領域3をこれら半導体領域に接続することは、上述の各可能性のいずれか1つの可能性を用いて行われ得る。
上記素子がオン状態に駆動される場合、つまり、ドレイン領域5とソース領域9との間に正電圧が印加され、ゲート電極15に好適な駆動電位が印加される場合には、図示した素子のp型ドープされたドリフト領域2では、蓄積誘電体4に沿って、反転チャネルが形成される。従って、この素子では、蓄積誘電体4は、「反転誘電体」の機能を有する。しかしながら、簡略化するために、ここでは、誘電体にも用語「蓄積誘電体」を用いる。該誘電体に沿って、p型ドープされたドリフト領域2では、反転チャネルが形成される。
図示した素子では、ゲート電極15は、半導体基材100の水平方向rにおいて、ドリフト制御領域3から離間されて配置されている。従って、該素子がオン状態に駆動される場合に、基材領域8内のゲート誘電体16に沿って形成される反転チャネル、および、p型ドリフト領域2内の蓄積誘電体4に沿って形成される反転チャネルは、水平方向において、互いに離間されて配置されている。
この間を橋渡しするために、基材領域8とp型ドリフト領域2との間に、n型ドープされた中間領域22が配置されており、該中間領域は、これら2つの各チャネル間における横断方向の伝導性を増大させる、つまり、ここではまずこれら2つの各チャネル間の電子流を可能にする。
図42は、図41に示した素子の一変形例を示す断面図である。この素子の場合には、ゲート電極15は、上記半導体基材の垂直方向vにおいて、ドリフト制御領域3の上方に配置されている。この素子の場合には、p型のドリフト領域2は、p型ドープされた基材領域8に対し直接的に隣り合っている。
図42に示した素子でも、ドリフト制御領域3の、ドレイン領域5およびソース領域9への相互接続、またはドリフト制御領域3のゲート電極15への相互接続は、いずれも詳細には示していない。この相互接続は、上述の任意の方法で行うことが可能である。p型のドリフト領域2のドーピング濃度は、例えば、1014cm-3から5×1015/cm-3の範囲内にあり、従って、これは、基材領域8のドーピング濃度よりも著しく低い。
図41に示した素子の場合には、任意により、ドリフト領域2と横断方向に伸びる中間領域22との間に、より高濃度にp型ドープされた領域29を設けてもよい。p型領域29の目的は、該素子がオフ状態に駆動される場合に、基材領域8およびゲート電極15よりも下に電界強度を低減することである。
さらに、任意により、蓄積誘電体4に沿ったp型ドリフト領域2内に、低濃度にn型ドープされた半導体領域45を設けてもよく、該半導体領域では、該素子がオン状態に駆動される場合に、蓄積チャネルが形成される。この領域45のドーピング濃度は、例えば、1015cm-3から5×1016cm-3の範囲内にあり、該領域の水平方向における幅/寸法は、例えば、0.2μm〜2μmの間の範囲内である。
この極めて薄いn型ドープされた半導体領域45は、上記素子のオフ状態の動作には、小さな影響しか与えないが、改善されたスイッチオン動作を提供する。なぜなら、通常は、大多数の電荷キャリアのための導電チャネルが、蓄積誘電体4に沿って存在しているからである。このn型領域45は、垂直方向に、n型導電性中間領域22からドレイン領域5まで伸びている。このようなn型領域を、図42による素子の場合にも設けてもよい。
この素子の場合には、該n型領域は、基材領域8からドレイン領域5まで伸びている。図42による素子の場合には、ゲート電極15およびドリフト制御領域3は、垂直方向に上下に配置されており、このような細長く低濃度にn型ドープされた領域45の寸法は、これが、垂直方向にゲート電極15からのみ、ゲート電極15とドリフト制御領域3とを分離する上記誘電体を介して、ドリフト制御領域3の高さまで伸びるように決定されている。これによって、p型ドリフト領域2内において、該素子がオン状態の場合にゲート誘電体16に沿って形成される反転チャネルと、蓄積誘電体4に沿って広がる蓄積チャネルとの間の区域を橋渡しして連結することが可能である。
図43は、図42に示した素子の一変形を示す断面図である。この素子の場合には、p型ドリフト領域2には、より高濃度にp型ドープされた領域29が隣り合って配置されており、この領域29は、ドリフト領域2の上部領域において装荷する電界強度を低減させる機能を有している。
このより高濃度にp型ドープされた領域29と基材領域8との間には、低濃度にn型ドープされた領域22が設けられる。この領域22は、ゲート誘電体16と、蓄積誘電体4に沿った領域との間の半導体領域を「橋渡しする」機能を有する。
該素子がオン状態に駆動される場合に、基材領域8では、ゲート誘電体16に沿って反転チャネルが形成され、該素子がオン状態に駆動される場合に、蓄積誘電体4に沿って蓄積チャネルが形成される。当然ながら、p型領域29のドーピングは、上記チャネルが蓄積誘電体4に沿ってピンチオフされるほど高いことに留意されたい。
n型導電性の半導体素子を実現するためのドリフト制御領域3は、必ずしもn型ドープされている必要はないことに留意されたい。図41〜図43に明示したように、ドリフト制御領域3は、選択的に、低濃度にp型ドープされているか、または、真性半導体であってもよい。このことは、上述および以下に記載する本発明の全パワー半導体素子に適用される。
図44は、本発明によるパワー半導体素子のさらなる典型的な一実施形態を示す断面図である。図示した素子は、縦型のn型導電性MOSFETとして実現されている。この素子の場合には、ドリフト制御領域3が、ドリフト領域2に対し部分的にのみ隣り合って配置されている。つまり、ドリフト制御領域3は、半導体基材100の垂直方向vにおいて、完全にドリフト領域2に沿って伸びてはいない。
図示した素子の場合では、ドリフト制御領域3は、半導体基材100の上部領域において、ドレイン領域5から離間されて配置されており、ドリフト領域2の一部は、ドリフト制御領域3とドレイン領域5との間に配置されている。
図示した素子の場合には、ドリフト制御領域3は、上記半導体基材の水平方向rにおいて、蓄積誘電体4によって、ドリフト領域2から誘電的に絶縁されている。該半導体基材の垂直方向では、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間に、トンネル誘電体4’が存在し、該トンネル誘電体は、ドリフト制御領域3から、「ホット逆電流」および「変位電流」を分散させることが可能になっている。
ドリフト制御領域3は、既に説明した方法を用いて、高濃度にドープされた接続領域34と、ダイオードおよび静電容量(破線に示した)とによって、ソース領域9、場合によってはゲート電極15に接続されていてもよい。
図44による素子は、トレンチMOSFETの基本構造に基づいており、該トレンチMOSFETでは、追加的に、ドリフト制御領域3が、ドリフト領域2に沿って設けられている。このトレンチMOSFETの場合には、ゲート電極15は、表面101から始まる半導体基材内に伸びる1つのトレンチ内に配置されている。この素子の場合には、基材領域8内の反転チャネルが、垂直方向に、表面101の領域内に配置されたソース領域9と、垂直方向において基材領域8に隣接するドリフト領域2との間に配置されている。
図45は、図44に示した素子の一変形例を示す断面図である。図45に示した素子は、プレーナ型MOSFETの基本構造に基づいている。図示した素子の場合には、ゲート電極15は、半導体基材100の表面101の上に配置されており、ゲート誘電体16によって、半導体基材100から絶縁されている。半導体基材100の水平方向rにおいては、ゲート電極15は、半導体基材100内にて垂直方向vに伸びる蓄積誘電体4まで伸びている。
しかしながら、ゲート電極15は、水平方向において、蓄積誘電体4に到達する前に既に終結してもよい(図示せず)が、水平方向において、ソース領域9から、表面101まで伸びるドリフト領域2の一部まで伸びている必要がある。
図示した素子の場合には、オン状態では、ソース領域9と表面101まで伸びるドリフト領域2の部分との間の基材領域8において、水平方向に、反転チャネルが形成される。さらに、基材領域8は、半導体基材100の水平方向および垂直方向において、ソース領域9を囲むように、形成されている。
図46は、図45に対して変形された一素子を示す図である。この素子の場合、ドリフト領域2は、互いに異なってドープされた2つの各半導体部分を含む。これら異なってドープされた各半導体部分は、蓄積誘電体4に隣り合う、第1のより低濃度にドープされた半導体部分91と、ドリフト制御領域3とドレイン領域5との間の領域内の、第2のより高濃度にドープされた半導体部分92である。
この素子の場合には、ドリフト領域2に対して相補的にドープされた各補償領域93、94が設けられている。該補償領域の第1の領域93は、上記半導体基材の水平方向において、より低濃度にドープされたドリフト領域部分91に隣り合って配置され、該補償領域の第2の領域94は、水平方向rにおいて、より高濃度にドープされたドリフト領域部分92に隣り合って配置されている。この場合、第1の補償領域部分93のドーピング濃度は、第2の補償領域部分94のドーピング濃度よりも低い。
図46では、補償領域部分94とドレイン領域5との間に、より高濃度にドープされたドリフト領域部分92の一部を配置するように、ドリフト領域2を実現することが可能である。各補償領域部分93、94は、上記半導体基材の垂直方向vにおいて、互いに直接的に隣り合って配置されている。さらに、第1の補償領域部分93は、垂直方向vにおいて、基材領域8に直接的に隣り合っている。
上記素子がオフ状態に駆動される場合の、各補償領域部分93、94の目的は、各補償領域部分93、94内のp型ドーパント原子によって、ドリフト領域2のn型ドーパント原子を補償することである。この補償効果は、特に、より高濃度にドープされたドリフト領域部分92とより高濃度にドープされた補償領域部分94とが互いに隣り合っている、上記半導体基材の下部領域において生じる。該ドリフト領域は、対応する補償領域を備えていない素子と同じ絶縁耐力を有する場合において、説明した補償効果によって、より高濃度にドープされることが可能となり、上結果として、記オン抵抗の低減が招来される。
図47は、図46に示した素子の一変形例を示す断面図であり、該素子では、より低濃度にドープされた補償領域部分93は、上記半導体基材の水平方向のより高濃度にドープされた補償領域部分94よりも小さい。この素子の場合には、より低濃度にドープされた補償領域部分93は、より低濃度にドープされたドリフト領域部分91内のドーパント原子を補償するためにはあまり役立たないが、実質的にはむしろ、より高濃度にドープされた補償領域部分94を基材領域8に接続するために役立っている。
以下に、図44〜図47による素子に用いられる半導体構造を製造する方法ステップを、図48A〜図48Dを参照しながら説明する。該半導体構造では、ドリフト制御領域3は、ドリフト領域2に対し部分的にのみ隣り合って配置される。
この方法では、最初に半導体基板を用いる。該半導体基板は、後に該半導体素子のドレイン領域5を形成する。続いて該半導体基板に、エピタキシャル法によって、半導体層2’を堆積させ、該半導体層は、該半導体素子の後のドリフト領域2の一部を形成する。
n型伝導性パワー素子を実現するために、半導体基板5をn型ドープし、エピタキシャル層2’をn型ドープするか、または、p型ドープすることが可能である。その後、このエピタキシャル層2’上には、部分的に、トンネル誘電体4’を堆積させる。
該トンネル誘電体は、後に、ドリフト制御領域3とドリフト領域2とを分離する機能を有している。このトンネル誘電体4’の形成は、例えば、好適な誘電体層を全域に堆積させて、その後、あるエッチング法を用いて該誘電体層を選択的に除去することによって実現される。図48Aは、上述の方法ステップの結果を示す断面図である。
図48Bでは、その後、第1のエピタキシャル層2’およびトンネル誘電体4’に、さらなるエピタキシャル層2”を堆積させる。従って、トンネル誘電体4’は、さらなるエピタキシャル層2”によって、エピタキシャル法により過度に成長する。
図48Cでは、第2のエピタキシャル層2”を堆積させた後の半導体基材100の表面101から、トレンチ110をエッチングする。該トレンチは、垂直方向では、トンネル誘電体4’の高さまで達し、水平方向では、トンネル誘電体4’まで伸びる。次に、このトレンチを、蓄積誘電体4を実現するために好適な材料によって充填する。この充填した結果を、図48Dに示した。この蓄積誘電体は、例えば、半導体基材100を加熱する際に形成され得る、熱半導体酸化物(例えば、シリコンから成る半導体基材100の場合には酸化ケイ素)であってもよい。
この半導体構造の場合には、水平方向において2つのトレンチ110(図48Cには、1つのトレンチしか示していない)によって区切られ、垂直方向においてトンネル誘電体4’によって区切られた、第2のエピタキシャル層2”の一部分は、後のドリフト制御領域3を形成し、この第2のエピタキシャル層2”の残りの領域は、後のドリフト領域2の一部を形成する。
図48A〜図48Dを参照して説明した、ドリフト領域2、ドリフト制御領域3、および、蓄積誘電体4を有する半導体構造を製造するための方法ステップの後には、上記半導体基材の表面101の領域にトランジスタ構造を実現するための基本的には公知のさらなる方法ステップ、つまり、ソース領域9、基材領域8、ゲート電極15、および、ゲート誘電体16を形成するための方法ステップが続く。
上述のエピタキシャル層2’、2”を異なる濃度にドープして、これによって、互いに異なる濃度にドープされた各ドリフト領域部分91、92を形成することが可能である。各補償領域部分93、94を、上記エピタキシャル法を行う間に、既に形成することが可能である。
該エピタキシャル法による手順では、いずれの補償領域部分でも、特定の厚さを有する層をエピタキシャル法によって堆積させた後、p型ドーパント原子が、このエピタキシャル法によって堆積させた層の中に、局所的に導入される。最終的に、これら導入されたドーパント原子は、拡散法によって該半導体基材内に内向拡散され、その後、連続的な各補償領域93、94を形成する。
図17〜図20に関連して説明したように、ドリフト制御領域3とソース領域9との間には、キャパシタ50を設けることが可能であり、該キャパシタは、上記素子がオフ状態に駆動される場合には、求められる電荷キャリアをバッファ記憶するように機能し、上記素子がオン状態に駆動される場合には、ドリフト制御領域3において、蓄積誘電体4に沿って蓄積チャネルを形成するように機能する。このキャパシタ50を実現する1つの可能性を、図49Aおよび図49Bを参照して、以下に説明する。
この場合、図49Aは、上記半導体素子の一部を、側面断面図に示す図である。図49Bは、図49Aに示した2つの断面III−IIIおよびIV−IVによって切断した、該素子の断面図を示す。図49Bでは、III−III線矢視の断面の素子構造は、実線によって示され、IV−IV線矢視の断面の素子構造は、破線によって示される。この場合、括弧内の数字は、IV−IV線矢視の断面の素子構造の参照符号を示すものである。
説明した素子の場合には、キャパシタ50は、2つの各金属層122、124間に配置された誘電体層121を含む。これら各金属層のうちの最初の1つの金属層122は、半導体基材100に関しては、キャパシタ誘電体層121よりも下、つまりキャパシタ誘電体層121と半導体基材100との間に配置されている。この場合、この第1の金属層122は、ドリフト制御領域3に対して、直接的に、または、図49Aに示したように、上述の各接続領域33、34のうちの少なくとも1つの領域を介して、接続されている。
この場合、第1の金属層122は、金属膜部分を有し、該金属膜部分は、該半導体基材の表面101まで部分的に伸びて、ドリフト制御領域3に、直接的または間接的に、この表面101に接触している。この場合、第1の金属層122の、表面101の方向に伸びている部分は、図17〜図19に関連して説明したドリフト制御領域3の接続コンタクト19を形成している。上記各金属層の第2の金属層124は、キャパシタ誘電体121よりも上に配置され、従って、キャパシタ誘電体121によって、第1の金属層122から、誘電的に絶縁されている。
キャパシタ誘電体121および第1の金属層122は、各カットアウト125を有しており、該各カットアウトを介して、金属層124は、上記半導体基材の表面101まで伸びて、ソース領域9と接触し、高濃度にドープされた接続領域17を介して、基材領域8に接続されている。このカットアウト125内では、第2の金属層124は、例えば酸化物である絶縁層127によって、第1の金属層122から絶縁されている。この素子の場合には、第2の金属層124は、同時に、該素子のソース電極13を形成している。
図49Aおよび図49Bに示したトランジスタは、トレンチトランジスタとして実現されており、該トレンチトランジスタのゲート電極15は、表面101から上記半導体基材内に伸びる1つのトレンチの中に配置されている。この素子の場合には、ゲート電極15は、垂直方向vにおいて、ドリフト制御領域3よりも上方に配置されており、ドリフト制御領域3は、図49Aおよび図49Bの左手部分において示したように、部分的に表面101まで伸びて、そこで接続電極19に接続されている。ゲート電極15と第1の金属層122との間には、例えば酸化物層である、さらなる絶縁層123が配置されており、該ゲート電極は、図示した実施体形態においては、上記半導体基材の表面101を超えて伸びている。
詳細には示していないが、当然ながら、ゲート電極15を、水平方向において、ドリフト制御領域3から離間して配置してもよい。この場合、ドリフト制御領域3は、上記半導体基材の表面101に、その全長に渡って、直接的、または、各接続領域33、34を介して間接的に隣接していてもよい。
図49Aおよび図49Bに示した、上記素子を製造するための個々の方法ステップを、以下に簡単に説明する。
半導体基材100において、上記トランジスタ構造を形成した後、つまり、ソース領域9、基材領域8、および、高濃度にドープされた接続領域17を形成した後、および、ドリフト制御領域3と、ゲート電極15を実現するためのトレンチ構造とを形成した後、該半導体基材の表面101上の絶縁層に、導電層(例えばドープされたポリシリコン)を堆積させる。この場合、該絶縁層は、該半導体基材内にゲート誘電体16および蓄積誘電体4を形成する同一の絶縁層によって形成され得る。
ゲート電極15のために設けられたトレンチを充填する導電層が、上記素子のゲート電極15を形成する。その後、該導電層には、絶縁層123を堆積させる。続いて、この絶縁層123、および、ゲート電極15を形成する導電層において、コンタクトホールを、ドリフト制御領域3よりも上方に形成する。
該コンタクトホールの各側壁上には、絶縁層126が形成される。その後、絶縁層123の上、および、該コンタクトホール内には、上記キャパシタの第1の金属層122を堆積させる。その後、第1の金属層122に、キャパシタ誘電体121を堆積させ、ソース領域9の上に、コンタクトホールを形成する。該コンタクトホールは、キャパシタ誘電体121、絶縁層123、ゲート電極15を形成する導電層、および、表面101に直接堆積させた絶縁層を通って伸びている。
その後、コンタクトホールの各側壁では、絶縁層127を、少なくとも、第1の金属層122の露出した領域上に形成する。その後、第2の金属層124を、キャパシタ誘電体121の上および既に形成した上記コンタクトホール内に堆積させる。この場合、キャパシタ誘電体121の形成は、ソース領域9の上に該コンタクトホールを形成する前か、または、後のいずれかに行うことが可能である。
しかしながら、該コンタクトホールを形成した後に、キャパシタ誘電体121を堆積させる場合、第2の金属層124を形成する前に、少なくとも上記コンタクトホールの底部において、上記キャパシタ誘電体を、再び除去する必要がある。
以下に、ソース領域9とドリフト制御領域3との間にキャパシタ50を実現するさらなる可能性を、図50〜図56を参照して説明する。
図50Aは、本発明による半導体素子の典型的な一実施形態の一部を示す斜視図である。図50Bは、該素子のキャパシタ構造を示す、半導体基材100の表面101の平面図である。
上記素子は、図17Aに記載の素子に基づくトレンチ型MOSFETとして実現されており、図17Aに示した素子とは、ソース領域9とドリフト制御領域3との間のストレージキャパシタ50がドリフト制御領域3の上方の半導体基材内に組み込まれている点において異なっている。
本実施形態の素子の場合には、キャパシタ50は、第1のキャパシタ電極128を有しており、このキャパシタ電極128は、半導体基材100内のドリフト制御領域3の上方の1つのトレンチ内に配置されている。説明した典型的な実施形態においては、該トレンチは、水平方向において、蓄積誘電体4を形成する誘電体層4により区切られて形成されている。
第1のキャパシタ電極128は、ドリフト制御領域3、および、場合によってはドリフト制御領域3に隣り合う各接続領域33、34から、キャパシタ誘電体129によって、誘電的に絶縁されている。本素子の場合、特に、上記半導体の表面101の領域内における基材高濃度にドープされた接続領域34が、第2のキャパシタ電極を形成している。ストレージキャパシタ50のできる限り最大のストレージ静電容量を実現するために、キャパシタ電極128は、蓄積誘電体層4から離れた対面において、指形状に実施される。
本素子の場合には、上記ソース電極を第1のキャパシタ電極128に直接接続することが可能である。さらに、該ソース電極およびゲート電極15を、図17Aに関連して既に説明した方法によって、複数のダイオードを介して、ドリフト制御領域3、または、該ドリフト制御領域の接続領域34に接続してもよい。
図51は、半導体基材100内に組み込まれた、上述のキャパシタ構造の一変形例を示す平面図である。このキャパシタ構造の場合には、第1のキャパシタ電極128は、部分的に曲折した構造を有しており、その接触面、および、従って第1のキャパシタ電極128と第2のキャパシタ電極34との間のキャパシタ誘電体129の界面つまり領域は、図50による指形状の構造と比べると、さらに大きくなる。第1のキャパシタ電極128は、例えば、高濃度にドープされたポリシリコンを含んでもよい。
図52によれば、ソース領域9を、ソース電極13によって、第1のキャパシタ電極128に直接接続させることが可能である。この場合、ソース電極13は、半導体基材100の水平方向rにおいて、ソース領域9から、高濃度にドープされた基材の接続領域17を通り、第1のキャパシタ電極128まで伸びている。
図53Aおよび図53Bは、ストレージキャパシタ50を実現するためのさらなる一変形例を示す断面図である。この場合、図53Aは、本発明による半導体素子の典型的な一実施形態の一部を、側面断面図に示す図である。図53Bは、上記キャパシタ構造の領域における上記半導体素子を、図53Aに示したVI−VI矢視の断面で切断した断面図である。
本素子の場合には、上記キャパシタ構造は、多数の柱形の各電極部分を含み、該各電極部分は、垂直方向vにおいて、表面101から上記半導体基材内にて伸び、該各電極部分は、それらの周りを囲む領域から、上記キャパシタ誘電体によって絶縁されている。本実施形態では、共に第1のキャパシタ電極128を形成する、複数の柱形の各電極部分の一部は、蓄積誘電体層4に隣り合っており、この蓄積誘電体層4によって、部分的に半導体基材100から絶縁されている。
該各電極部分の個々は、接続電極130によって、互いに導電的に接続されており、接続電極130は、半導体基材100の上方に配置され、絶縁層131によって、半導体基材100の半導体領域から絶縁されている。図52に関連して説明した典型的な実施形態に従って、ソース領域9は、このキャパシタ構造に対し、水平方向に該キャパシタ構造の上方まで伸びるソース電極13によって電気的に接続されている。
図54は、本発明の典型的な一実施形態に係る半導体素子の側面断面図である。該素子では、上記キャパシタ構造の静電容量を増大させるために、第2のキャパシタ電極を形成するドープされた半導体領域34が、図50〜図53による典型的な実施形態の場合よりも、より深く、上記半導体基材内に伸びている。説明した典型的な実施形態では、高濃度にドープされた領域34は、上記半導体基材の垂直方向において、基材領域8の下方側まで伸びている。本素子の場合には、第1のキャパシタ電極128も、該半導体基材の垂直方向vにおいて、基材領域8の下方側まで伸びている。
しかしながら、該素子の絶縁耐力を損ねないためには、より高濃度にドープされた接続領域34は、蓄積誘電体4の反対側にあるドリフト領域2に対し、過度に重なり合わない必要がある。
上記接続領域34は、ドリフト制御領域3に隣り合って第2のキャパシタ電極を形成している。従って、該キャパシタ構造の静電容量をさらに増大させるために、図55による典型的な実施形態では、接続領域34、基材領域8、および、それに対応してゲート電極15を、これらが表面101から上記半導体基材の内部方向により深く伸びるように実現されている。
図54および図55に示したキャパシタ構造の形は、図50Bおよび図51に関連して説明したキャパシタ構造の形に対応している。選択的に、図53Bに関連して説明したキャパシタ構造を実現してもよい。
図56は、組み込みキャパシタ構造を含む、本発明によるパワー半導体素子の典型的な一実施形態を示す断面図である。該組み込みキャパシタ構造は、図50〜図55を参照して説明した典型的な実施形態とは異なり、該半導体基材内のドリフト領域2よりも上方にて実現される。図56に示すキャパシタ構造は、形状的には、図50〜図55を参照して説明したキャパシタ構造の、蓄積誘電体層4を中心に鏡映した形になる。これに応じて、第1のキャパシタ電極128は、指の形、曲折した形、または、複数の柱を有する柱形に実現することが可能である。
この典型的な実施形態の場合には、第2のキャパシタ電極を、高濃度にドープされた接続領域17によって形成する。この接続領域17は、ソース電極13を、基材領域8に、低抵抗接続するために機能している。この接続領域17は、水平方向rにおいて、キャパシタ誘電体129に対し、直接的に隣り合っている。上記キャパシタ構造は、接続領域17側に対する反対側では、蓄積誘電体4によって境界が形成されている。上記キャパシタは、上記ドリフト制御領域の接続電極19によって、ドリフト制御領域3に接続されており、接続電極19は、蓄積誘電体4上を通過して、水平方向に、該キャパシタ構造における第1の接続電極128の上方側まで伸びている。
特に図16、図17A、図18、および、図19を参照して前述したように、ドレイン領域5、または、ドレイン電極11と、本発明による半導体素子のドリフト制御領域3との間に、ダイオードを設けることが可能である。該ダイオードは、該素子がオン状態である場合に、ドリフト制御領域3内にある上記電荷キャリアが、ドレイン領域5またはドレイン電極11の方向に流れ出すことを防止する。該電荷キャリアは、蓄積誘電体4に沿ったドリフト領域内の蓄積チャネルを制御するために機能している。
図16、図17A、および、図19では、該半導体基材内のこのダイオードを、互いに相補的にドープされている2つの各接続領域31、32によって、実現することが可能である。該2つの各接続領域は、ドリフト制御領域3とドレイン領域5との間、または、ドリフト制御領域3とドレイン電極11との間に設けられている。これら各接続領域は、pn接合部を形成し、従ってダイオード機能を提供する。
しかしながら、この方法によって所望のダイオード機能を実現することは複雑である。なぜなら、上記セルアレイ内、つまり、説明したトランジスタ構造に沿って複数の個々のトランジスタ構造が形成される半導体基材100の領域内に、相補的にドープされた各半導体領域31、32を実現するには、好適なパターニングが必要とされるからである。外部のダイオードを設ける場合には、これまで説明してきた典型的な実施形態の場合のダイオードは、上記セルアレイの真下のドリフト制御領域に接続される。
図57は、本発明によるパワー半導体素子の典型的な一実施形態を示す斜視図であり、ここでは、ドレイン領域5とドリフト制御領域3との間のダイオードが、水平方向において上記セルアレイから離間されて、半導体基材100に接続されている。該ダイオードを、以下に、ドレイン−ドリフト制御領域ダイオードと呼ぶ。図57では、MOSFET構造と、該MOSFET構造のドリフト領域に隣り合うドリフト制御領域3とを有するセルアレイは、該図の左の、ソース領域9、ソース電極13、および、水平方向にソース領域9を囲んでいる基材領域8の一部分によって、概略的にのみ示されているだけである。
ソース領域9は、ソース電極13によって接続され、ドリフト制御領域3の接続領域34は、ドリフト制御領域の接続電極19によって接続されている。図57に示したVII−VII矢視の断面では、ドリフト制御領域3を有するMOSFET構造は、上述の各トランジスタ構造のいずれか1つを有していることが可能である。上記MOSトランジスタを、特にプレーナ型トランジスタ、または、トレンチ型トランジスタとして実現することが可能である。分かり易いように、図57では、上記MOSトランジスタのゲート電極は省略されている。
本実施形態では、ドリフト制御領域3と、本実施形態では半導体基板として実現されたドレイン領域5との間に、絶縁層134を配置した。ダイオード43は、該半導体基材の表面101に接続されており、ダイオード43のカソードは、ドリフト制御領域接続コンタクト132を介してドリフト制御領域3に接続され、ダイオード43のアノードは、ドレイン電極11に接続されている。
状況に応じて、該素子は、ドリフト制御領域3と絶縁層134との間に、ドリフト制御領域3よりも高濃度にドープされると共に、ドリフト制御領域3と同じ伝導型である半導体領域131を含む。この領域131によって、オフ状態の場合にドリフト制御領域3内に生成された逆電流が、確実にダイオード43を通るように意図されている。
この動作は、より高濃度にドープされた領域131を以下のように実現することによって、さらに改善されることが可能である。すなわち、より高濃度にドープされた領域131が、該素子の端部領域においてダイオード43つまり接続領域132まで伸びるように(図示せず)、より高濃度にドープされた領域131を実現することによって、改善することが可能である。
図58は、図57に示した半導体素子の一変形を示す斜視図である。該素子の場合、上記ダイオードは、上記半導体基材内に組み込まれていると共に、ドリフト制御領域接続コンタクト132の下に、p型ドープされた接続領域133を含む。このp型領域133は、ドリフト制御領域3と共にpn接合部を形成し、該pn接合部は、ダイオード43を形成している。
図59は、図58による素子の一変形例を示す斜視図である。この素子の場合には、ダイオード43は、上記半導体基材の表面101を介して、上記ドレイン電位に接続されている。この場合、ドリフト領域2では、ドリフト領域2と同じ伝導型の接続領域135が、水平方向において、上記セルアレイから離間されて設けられており、該領域には、ドリフト制御領域の接続電極132が接続されている。
状況に応じて、この素子は、ドリフト領域2の下の、ドリフト制御領域3に隣り合う領域131の高さにおいて、半導体領域136を含む。該半導体領域136は、ドリフト領域2よりも高濃度にドープされて、ドリフト領域2と同じ伝導型を有している。オフ状態の場合には、この半導体領域136は、広がっている空間電荷領域を、垂直方向において、ドリフト制御領域3の下の領域131と同じ深度に制限する。これによって、電界強度スパイクは回避される。
図59による素子の場合には、ドリフト制御領域の接続電極132、および、高濃度にドープされた領域135は、半導体基材100の端部領域内に配置される。これによって、上記半導体基材の端部領域では、該半導体基材の表面101も、ドレイン電位であり、その結果、該ドレイン電位は、ドリフト領域2の高濃度にドープされた接続領域135を介して引き出され得るという点を利用している。
図59による素子の場合には、ダイオード43を実現するためのpn接合部は、直接、上記半導体基材の端部103に対し伸びて形成されている。図60に示した該素子の変形では、半導体基材100の端部103と、該pn接合部との間に、n型ドープされた半導体領域138、139が存在しており、該半導体領域には、同様に、ドリフト制御領域の接続電極132が接触している。
上記pn接合部が半導体基材の端部103まで伸びないようにするn型領域を設けることによって、該pn接合部の領域における漏れ電流を低減する。ドリフト制御領域3と半導体領域133との間には、誘電体層が存在し、該半導体領域は、ドリフト制御領域3およびn型領域138、139と共にpn接合部を形成している。
n型領域138、139は、異なってドープされた2つの各半導体領域を含んでもよく、この場合、より高濃度にドープされた領域は、ドリフト制御領域の接続電極132に隣り合い、より低濃度にドープされた半導体領域138は、より高濃度にドープされた領域の下方に位置している。
図61では、ドリフト制御領域3と同じ伝導型のより高濃度にドープされた領域137によって、上記ダイオードの耐圧特性、および、上記素子の長期安定性を改善することが可能である。このより高濃度にドープされた領域137は、p型領域133とドリフト制御領域3との間に配置されており、半導体表面に、電荷によって寄生p型チャネルが形成されることを防止する。
既に説明したように、半導体基材100の端部領域103では、表面101もドレイン電位である。しかしながら、水平方向に端部領域103から離間されて配置された、ソース領域9および基材領域8、並びに、ドリフト制御領域3の接続領域34は、該素子が動作している間では、ソース電位であることが可能である。
ドレイン電位とソース電位との間の電圧差を許容可能にするために、図63では、上記セルアレイと該半導体基材の端部103との間の、該半導体基材の表面101の領域に、いわゆる各VLD領域(VLD=ドーピング濃度の水平方向での変化)141、142を設けてもよい。該VLD領域は、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3に対して相補的にドープされた半導体領域であり、該VLD領域のドーピング濃度は、該セルアレイから端部103の方向に向かって、順次、低減している。
p型ドープされたドリフト領域、および、p型ドープされたドリフト制御領域(図62および図63には示していない)の場合には、p型ドリフト領域2のp型ドーピング、および、p型ドリフト制御領域3のp型ドーピングが、上記VLD領域の機能を引き受けるので、これらVLD領域は必要とされない。しかしながら、その後、素子103の端部に、垂直方向において連続しているn型ドープされた半導体領域を設ける必要がある。
端部103と上記セルアレイとの間の電圧差を低減するためのさらなる一変形は、いわゆる各フィールドリング構造143、144を設けることである。該フィールドリング構造は、上記パワー半導体素子のセルアレイを、リング状にて取り囲んでいる。図62による素子の場合には、このような各フィールドリングが3つ設けられている。これらは、半導体基材100の水平方向において、互いに離間された状態で配置されており、いずれのフィールドリングも、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3に対して相補的にドープされている。
図64は、複数の各MOSFETセル61、62、63を有する、MOSFETとして実施された、本発明による素子の一部分を示す断面図である。各MOSFETセル61、62、63は、ソース領域9、基材領域8、ドリフト領域2、バイパス領域17、ゲート電極15、ゲート絶縁体16、および、ソース電極13を有している。この場合、ドレイン領域5およびドレイン電極11は、全MOSFETセル61、62、63によって、共有されている。
2つの隣り合う各MOSFETセル61、62、63の間には、ドリフト制御領域3が配置されており、該ドリフト制御領域は、ドレイン側では、第1の接続領域31および第2の接続領域32から形成される各ダイオード31、32を介して、ドレイン領域5に接続されている。
この場合、上記蓄積誘電体を形成する誘電体層は、図64の左手部分に示したように、少なくとも第2の接続領域32に達するまで伸びているか、または、図64の右手部分に示したように、第2の接続領域32の内部にまで伸びている必要がある。さらに、この誘電体が、垂直方向においてドレイン領域5内においてのみ終結するように、該誘電体を形成してもよい(図示せず)。
ソース側では、各ドリフト制御領域3は、高濃度にp型ドープされた第4の接続領域34を介して、第4の電極19に接続されている。本実施形態では、ストレージ静電容量の大部分は、外部静電容量50によって形成されている。本実施形態においてもまた、必要に応じて、第3の接続領域33は、第4の接続領域34とドリフト制御領域3との間に形成されていてよい。
各MOSFETセル61、62、63のそれぞれを互いに並列接続するために、個々のセルのソース電極13、ゲート電極15、および第4の電極19は、それぞれ相互接続されている。電気的接続は、半導体基材1の表面側またはソース側の上方に配置されていると共にパターン形成された少なくとも1つの金属層(図64には示さず)によって行われることが好ましい。
誘電体4は、少なくとも部分的に、隣り合うドリフト領域2とドリフト制御領域3との間に配置されている。誘電体4は、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3との間におけるそれぞれ隣り合う全領域において覆って封鎖するように形成されていることが好ましい。ドレイン側では、誘電体4が少なくともドレイン領域5まで伸びていることが好ましい。さらに、誘電体4は、半導体基材1のドレイン側表面まで伸びていてもよい。
ドリフト領域2およびドリフト制御領域3は、共に垂直方向vに伸びている領域において、同一のドーピング濃度のプロファイルを有していてよい。これによって、オフ状態にある場合に、ドリフト制御領域およびドリフト領域において同様の電位分布が達成される結果、誘電体4の電圧負荷が低くなる。
図64に係る典型的な実施形態の場合では、ドリフト制御領域3をドレイン領域5に接続するための、ドレイン側のブロッキング用の各pn接合部31および32は、ドレイン領域5内において垂直方向vに並んで配置されている。
別の形態として、図65に示されているMOSFETの場合では、第1の接続領域31は、ドリフト領域2の領域内において垂直方向vの端部に配置されており、第2の接続領域32は、ドレイン領域5の領域内において垂直方向vの端部に配置されている。
個々の各セルは、多数の様々な形状を有していてよい。図66、図67、図68、および図69は、異なるセル形状を有する素子の水平方向断面をそれぞれ示している。
図66は、図65に係るMOSFETを、垂直方向vに対して垂直に伸びる平面E−E’で切断した状態を示す断面図である。当該MOSFETのトランジスタセルは、ストリップセルとして形成されている。本実施形態では、各MOSFETセル61、62の個々の領域は、断面の第1の水平方向rではストライプ状に形成されており、第2の水平方向r’では互いに距離を置いて配置されている。対応する各蓄積誘電体4を有するドリフト制御領域3は、それぞれ、隣り合う2つの各MOSFETセル61、62間に配置されている。
図67は、長方形のセル構造を有するMOSFETの断面を示している。隣り合う各MOSFETセル61、62、63間に配置されているドリフト制御領域3は、本実施形態では連続的に形成されている。しかし、別の実施形態では、隣り合う2つの各MOSFETセル間に配置された個々のドリフト制御領域3は、非連続的に形成されていてもよい。
図68は、図67の実施形態に示されている長方形に代わり、円形に形成されたMOSFETセルを有するMOSFETの断面を示している。
図69は、図66に係るストリップ型のレイアウトに変化を加えたものである。このように、断面において蛇行状のセル構造を有している場合、MOSFETセルの個々の領域は細長く形成されており、所定の距離を置いて蛇行状の波形を有している。
本発明に係る半導体素子について、ノーマリオフ型MOSトランジスタに関する典型的な実施形態に基づいて上述してきた。これらのトランジスタは、基材領域8内に反転チャネルを形成するための十分な駆動電位がゲート電極15に存在していない場合はオフになる。これらのノーマリオフ型トランジスタは、ゲート誘電体16に沿って基材領域8内に反転チャネルが形成されるに至る適切な駆動電位がゲート電極15に存在しているときにのみオンになる。しかし、ドリフト領域に隣接するドリフト制御領域3の形成、およびドリフト領域とドリフト制御領域との間における蓄積誘電体の形成は、ノーマリオフ型MOSトランジスタに制限されるものではない。
図70では、上記概念が、ノーマリオン型トランジスタ(空乏型トランジスタ)に応用されている。図70の参照符号140は、ノーマリオン型トランジスタのトランジスタセルが集積されている半導体基材100内の半導体領域を示している。これらの各トランジスタセルは、トレンチトランジスタセルとして形成されており、それぞれゲート電極144を有している。これらのゲート電極144は、表面101から垂直方向vに沿って半導体基材内へ伸びており、また、ゲート誘電体145によって半導体基材から絶縁されている。
図70に示されている空乏型トランジスタは、n伝導性トランジスタとして形成されており、またn型ドープされたソース領域142、p型ドープされた基材領域141、およびドリフト領域146を有している。本実施形態では、基材領域141は、ソース領域142とドリフト領域146との間に配置されている。
伝導型はソース領域142と同一であるがドーピング濃度はソース領域142よりも低い、薄いチャネル領域148は、ゲート誘電体145に沿って基材領域141内に形成されている。ゲート誘電体145に沿ったチャネル領域148は、ゲート電極144が駆動されていない場合でもあっても、ソース領域142とドリフト領域146との間が導電接続する。
オフ状態にある当該素子を駆動するためには、ゲート電極144に、チャネル領域148の電荷キャリアを空乏化させる適切な駆動電位が印加される必要がある。当該電位は、n伝導性トランジスタの場合は、ソース領域142の電位に対して負電位である。
ドリフト制御領域3は、半導体基材100の水平方向rに沿って、ドリフト領域146に隣り合って形成されている。当該ドリフト制御領域は、蓄積誘電体4により、ドリフト領域146から誘電的に絶縁されている。ドリフト制御領域3は前述の各説明に従って形成されており、また、前述の各接続方法のいずれか1つを用いて、ドレイン領域5に接続することができる。詳細には図示されていないが、ドリフト制御領域3は、空乏型トランジスタのソース電極147にさらに接続することができる。
図70に示されている素子の場合では、ノーマリオフ型トランジスタのトランジスタセルは、空乏型トランジスタと同一の半導体基材100内に形成されている。上記ノーマリオフ型トランジスタのトランジスタ構造は、既に説明したノーマリオフ型トランジスタのトランジスタ構造のいずれか1つと対応していてよい。図70に示されているノーマリオフ型トランジスタは、そのゲート電極が、ドリフト制御領域3の上方において、ドリフト制御領域3と同一のトレンチ内に配置されるように形成されている。
ノーマリオフ型トランジスタのドリフト領域2、ノーマリオン型トランジスタのドリフト領域146、およびドリフト制御領域3のドーピング型は、所望の通りに任意に組み合わせて用いることができる。ノーマリオフ型トランジスタのドリフト領域2は、ノーマリオン型トランジスタのドリフト制御領域3およびドリフト領域146のドーピング型とは無関係に、p型あるいはn型ドープすることができる。
ドリフト制御領域3は、各ドリフト領域2、146のドーピングとは無関係にp型あるいはn型ドープすることができる。ドリフト領域146も同様に、n伝導性空乏型トランジスタを形成するために、p型あるいはn型ドープすることができる。ドリフト領域146がp型ドープされている場合、図示されている実施形態では、ドリフト領域146と基材領域141との間に、nドープされた半導体領域149が形成される。
当該半導体領域によって、電荷キャリアが、チャネル領域148から水平方向に沿って蓄積誘電体4まで流れる。図70に示されている、ドリフト制御領域3の低濃度にp型ドープされた接続領域33は、ドリフト制御領域3がp型ドープされている場合、省くことができる。
上述したように、本発明に係る半導体素子は、同一タイプの素子構造(例えばトランジスタ構造)を多数有するセル状に形成することができる。図71に示す一変形例では、素子のセルアレイは、個々のトランジスタセル(本実施形態ではトランジスタセル160)と別々に接続するように、つまり他のトランジスタセルとは無関係に接続するようにしてもよい。
本実施形態では、他のトランジスタセルのゲート電極15およびソース電極13とは無関係に、トランジスタセル160のソース電極166、および必要に応じてトランジスタセル160のゲート電極163を接続させることができる。本実施形態では、ドレイン電極11は、全てのトランジスタセルによって共有されている。
別々に接続させることのできるトランジスタセル160は、例えば素子における電流測定用として、公知の方法によって用いることができる。以下において測定セルと称される当該セルは、本実施形態では、素子の動作中において、他のトランジスタセルと同一の動作点において動作される。
そして、当該測定素子に流れる電流が決定される。本実施形態では、言うまでもなく、複数の測定セルを並列接続することができる。測定セル、あるいは並列接続された複数の測定セルに流れる電流は、他のトランジスタセル(以下では負荷セルと称する)に流れる電流に比例する。本実施形態では、測定電流と負荷電流との比例定数は、測定セルおよび負荷セルの数の比率に対応している。
図示されている測定セルは、ノーマリオフ型トランジスタセルとして形成されており、ソース領域161、ドリフト領域167、および基材領域162を有している。上記基材領域162は、ソース領域161とドリフト領域167との間に配置され、かつ、ソース領域161に対して相補的にドープされている。
ゲート誘電体164によって素子の半導体領域から絶縁されているゲート電極163は、ソース領域161とドリフト領域167との間の基材領域162内に配置された反転チャネルを制御する機能を有している。
上記測定セルは、蓄積誘電体172によってドリフト領域167から分離された、ドリフト制御領域171をさらに有している。ドリフト制御領域171は、既に説明した方法によって、ドレイン領域5、ソース領域161、および適切な場合はゲート電極163に接続可能である。上記トランジスタ構造のドリフト制御領域171と他の素子領域との接続は、簡潔にするため、図71には詳細に示されていない。
上記負荷セルから測定セルを分離するために、測定セルのドリフト制御領域171と、隣り合う負荷セルのドリフト制御領域3との間に、中間領域173を形成することができる。当該中間領域は、具体的には「デッド」トランジスタセル、すなわち、ソース領域およびソース金属層を有しておらず、場合によってはゲートも有していないトランジスタセルであってよい。しかし、測定セルがドリフト制御領域によって完全に囲まれている場合は、上記のような中間領域はなくてもよい。
図72は、2つの各トランジスタセル(本実施形態ではノーマリオフ型トランジスタセル)間に温度センサーが一体的に形成された、本発明に係るパワー半導体素子を示している。当該温度センサーは、p型エミッタ181、182、n型ベース183、およびn型エミッタ184を有するダイオードとして形成されている。これらの素子領域は、半導体基材100の垂直方向vに沿って互いに隣り合って配置されている。
図示されている実施形態では、p型エミッタは、接続電極185が接続される高濃度にp型ドープされた領域を有している。p型エミッタはさらに、n型ベース183の方向に沿って、高濃度にドープされた領域に隣り合って配置された、より低濃度にp型ドープされた領域182を必要に応じて有している。
n型エミッタ184が接続されている裏面側のドレイン電極11を介して、上記センサーに電圧が供給される。接続電極185において、温度信号を測定電流として引き出すことができる。これは、ダイオード内を反対方向に流れる逆電流が温度に依存するという事実を利用したものである。
図73は、本発明に係るパワー半導体素子の典型的な一実施形態を部分的に示している。温度センサーは、半導体において、水平方向に一体的に形成することができる。本実施形態では、温度センサーの各素子領域181〜184は、水平方向rに沿って互いに隣り合って配置されている。
本発明に従って実施可能な、半導体素子のための様々な各エッジ構造について、図74〜図85を参照しながら以下に説明する。これらのような各エッジ構造は、半導体チップのエッジ領域あるいはセルアレイのエッジ領域内に配置された半導体素子の十分な絶縁耐力を得るために、基本的には公知の方法に従って提供される。
図74は、本発明の第1の実施形態に係るエッジ構造を有したパワー半導体素子の一実施例を示している。当該素子は、半導体基板5を有している。半導体基板5は、本実施形態ではトランジスタとして形成された素子のドレイン領域を形成している。当該半導体基板上には、エピタキシャル層などの半導体層が形成されている。当該半導体層内には、活性素子構造、すなわちトランジスタ構造およびドリフト制御領域3が形成されている。
上記素子のエッジ構造は、基板5上に配置された半導体層が、表面101から、半導体基材のエッジ領域あるいはセルアレイのエッジ領域内に位置する半導体基板5までエッチバックされることによって形成される。エッチング後において被覆されていないエッジに、表面101から半導体基板5まで伸びる不活性な保護層191が形成される。
本実施形態では、エッジを形成するためのエッチングは、セルアレイ内のドリフト制御領域3に対応する素子構造の領域内において行われる。当該素子構造は、図74において参照符号192によって示されている。半導体構造192と第1の活性ドリフト制御領域(すなわち第1の活性トランジスタセルのドリフト制御領域)との間には、エッジから伸びる非活性トランジスタ構造190(本実施形態においては、ゲート電極およびソース領域を有していないトランジスタ構造)が存在している。
図示されている素子の場合では、ドリフト制御領域3は複数の各半導体層を有している。これらの各半導体層は、製造処理中において、蓄積誘電体4に接するトレンチ内に、当該トレンチが充満するまで連続的にエピタキシャル堆積される。これらの層は、p型ドープすることができ、また低濃度にn型ドープすることもできる。上記のようにドープする場合は、ドーピング型によって、表面における電界の分布プロファイルを目標に合わせて調節することができる。
図75は、図74に示されている素子に対する一変形例の素子を示している。当該素子の場合、ドリフト制御領域3は多層構造を有しており、個々の層は、本実施形態においては水平方向のみに沿って互いに隣り合って配置されている。このような構造は、蓄積誘電体4に接するトレンチ内に半導体層が堆積された後、堆積された半導体層が、当該トレンチの底部への異方性エッチバックによって形成される。
図76は、本発明に係る、エッジ構造を有するパワー半導体素子の典型的な別の実施形態を示している。当該素子の場合、ドリフト領域2は、半導体基材の水平方向rに沿って、それぞれ異なる濃度でドープされた複数の各半導体層を有している。これらの各半導体層とは、蓄積誘電体4に隣り合っていると共により低濃度にドープされた半導体層301、および、より低濃度にドープされた半導体層301に隣り合っていると共により高濃度にドープされた半導体層302である。
ドリフト制御領域3も同様に、蓄積誘電体4に隣り合っていると共により低濃度にドープされた半導体層303と、より低濃度にドープされた半導体層303に隣り合っていると共により高濃度にドープされた半導体層304とを有している。蓄積誘電体4に隣り合っていると共により低濃度にドープされたこれらの各半導体層301、303は、当該素子がオフ状態にされた際に、蓄積誘電体4における電圧破壊を防止する。
図76に示されている半導体素子の場合では、低濃度にドープされた半導体領域303を有するドリフト制御領域部分は、非活性トランジスタセル190と保護層191との間において、水平方向にて配置されている。
図77は、図76に示されている素子の一変形例を示している。当該素子では、保護層191は、非活性トランジスタセル190に対し、直接的に形成されている。この場合、セルアレイ内において蓄積誘電体4に対応する誘電体層305は、非活性トランジスタセルと上記トランジスタセルとの間に配置することができる。
図78は、本発明に係る、エッジ構造を有した半導体素子の典型的な別の実施形態を示している。本実施形態における素子では、ドリフト制御領域3はp型ドープされている。p型ドープされた半導体部分は、非活性トランジスタセル190と保護層191との間に位置している。当該半導体部分は、エッジ領域内のドリフト制御領域を部分的にエッチングすることによって形成されたものである。
図74〜図78を参照しながら説明したエッジ構造では、エピタキシャル層が半導体基板5までエッチバックされる必要がある。しかし、図79では、エピタキシャル層のそのようなエッチバックは不要である。図79に示されている実施形態の素子では、エッジ終端は、半導体基材の表面101の下方において水平方向に沿って互いに距離を置いて配置された複数の各フィールドリング193によって形成されている。
これらの各フィールドリングは、エピタキシャル層の基本ドーピング(本実施形態ではn型ドーピング)に対して相補的にドープされている。必要に応じて、これら各フィールドリングに対する接続部を、各フィールド電極195によって形成できる。これらの各フィールド電極または各フィールドプレート195は、エピタキシャル層の基本ドーピングされた領域から、絶縁層によって絶縁されている。
図80によれば、半導体基材のエッジ領域内に、フィールドリングに代わってVLD領域196を形成することも可能である。
図81によれば、エッジ領域内に、エピタキシャル層の基本ドーピングに対して相補的にドープされていると共に均一にドープされた、半導体領域197を形成することも可能である。半導体領域197の上方には、各フィールドプレート199が配置されている。これらの各フィールドプレートは、一方では、エピタキシャル層の基本ドープされた区域に接続されており、他方では、基本ドーピングに対して相補的にドープされた半導体領域197に接続されている。
図82は、p型ドープされたエピタキシャル層、すなわちp型ドープされたドリフト領域2を有する、n伝導性半導体素子のためのエッジ終端を示している。本実施形態における素子では、エッジ構造は、半導体基材100のエッジにおいて、n型ドープされた半導体領域115を有している。
図83では、n型ドープされた半導体領域115は、n型領域115に接続されている方のフィールドプレート構造199と組み合わせることができる。フィールドプレート199の他方は、エピタキシャル層の基本ドープされた区域に接続されている。当該他方のフィールドプレートは、伝導型がエピタキシャル層と同一である接続領域116を介して、基本ドープされた区域に接続することができる。
エッジ構造の別の実施形態を示す図84では、2つの各VLD領域117、118が形成されている。一方のVLD領域117は、セルアレイの方向からエッジの方向に向かって伸びており、他方のVLD領域118は、エッジの方向からセルアレイの方向に沿って伸びている。本実施形態では、「伸びる方向」は、各VLD領域のドーピング濃度が低くなる方向を示している。
エピタキシャル層がp型ドープされている実施形態を示す図85によれば、n型ドープされたエッジ領域115と、p型エピタキシャル層のエッジ領域内に位置する半導体基材の表面101の下方に配置されたn型ドープされたフィールドリング119とを組み合わせることができる。
本発明はMOSFETに限定されるものではなく、任意のパワー半導体素子、特にユニポーラパワー半導体素子にも応用することができる。以下の図では、本発明の原理をショットキーダイオードに応用した実施形態を示す。
図86は、金属アノード13を有するショットキーダイオードを示している。金属アノード13は、低濃度にn型ドープされたドリフト領域2と接続されており、また、ドリフト領域2とのショットキー接合60を形成している。高濃度にn型ドープされた接続領域5は、ショットキー接合60とは離れている側のドリフト領域2上に配置されている。カソード電極11は、上記接続領域と接続されている。
ドリフト領域2に隣り合って、低濃度にn型ドープされた単結晶のドリフト制御領域3が形成されている。当該ドリフト制御領域3は、誘電体層4を介して上記ドリフト領域から分離されている。図86の実施形態における素子では、ドリフト制御領域3よりも高濃度にドープされた接続領域31が、ドリフト制御領域3に隣り合って形成されている。当該接続領域31は、ドリフト制御領域3を、カソード側の第2の電極12に電気的に接続している。
好ましい一実施形態によると、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3は、垂直方向vに沿った同一領域上にてに伸びており、また垂直方向vに沿って同一のドーピング濃度のプロファイル(分布)を有していることが好ましい。接続領域5および第1の接続領域31も同様に、垂直方向vに沿った同一領域上にて伸びており、また垂直方向vに沿って同一のドーピング濃度のプロファイルを有していることが好ましい。
カソード電極11および第2の電極12は、互いに電気的に絶縁されている。
図86に示されているショットキーダイオードは、順方向における動作中において、アノード電極13とカソード電極11との間にダイオード電流IDを有している。ダイオード電流IDは、カソード電極11および第2の電極12が短絡した場合の、同一素子のダイオード電流IDよりも大幅に高くなる。第2の電極12と短絡したカソード電極11の上記後者の場合では、蓄積誘電体4は別として、ドリフト制御領域を有さない従来のショットキーダイオードのカソード電極と対応している。
本発明に係る図86のショットキーダイオードを動作させるためには、カソード側の接続領域5に、好ましくは高い抵抗値を有するようにドリフト制御領域3を接続する必要がある。このような接続によって、ドリフト制御領域内に、ドリフト領域2内の蓄積誘電体に沿って蓄積チャネルを形成する電位プロファイルが確立され得る。
図87および図88は、ダイオード電圧UDに応じたダイオード電流IDを、それぞれ直線および対数メモリで示したグラフである。これらのグラフにおける特性曲線51は、第2の電極12が高い抵抗値を有するようにカソード電極11に接続されている本発明の図86の実施形態に係るダイオードの電流−電圧特性曲線を示している。電流−電圧特性曲線52は、カソード電極11および第2の電極12が短絡している場合における同一のダイオードの特性曲線であって、特性曲線51と比較するために示されている。
動作点53は、ドリフト制御領域および誘電体を有していない、従来のショットキーダイオードの状態を示している。上記従来のショットキーダイオードのドリフト領域は、図86のショットキーダイオードの誘電体4の領域上、およびドリフト制御領域3上を水平方向に伸びている。従って、上記従来のショットキーダイオードのドリフト領域は、図86のショットキーダイオードのドリフト領域2(定常状態の電流が流れる)よりも大きい断面を有している。
動作点53の位置は、従来のショットキーダイオードの特性曲線52の位置と非常に近似している。このことから、幅が同一である従来のショットキーダイオードの特性を有するショットキーダイオードは、カソード電極11と第2の電極12との間における短絡によって生じることが明らかである。誘電体4が追加的に備えられた場合には、動作点53が特性曲線52から逸脱する可能性があるが、これは、誘電体4の寸法が微細であるため無視することができる。
各特性曲線51、52の特性がこれほど大幅に異なっている理由は、本発明に係るショットキーダイオードのドリフト領域2内における電子分布が、高度に不均一なチャネル様であることにある。このような電子分布は、ドリフト制御領域3と接続領域5とが高い抵抗値でカソード連結されていることによって生じる。
図89は、カソード電極11とアノード電極13との間に存在する電圧レベルが5Vである場合における、上記のような電子分布を示している。当該電子分布から、ドリフト制御領域3に面している側のドリフト領域2上に、電子密度が約1017電子/cm3という高い電子濃度を有する領域が形成されることが明確に分かる。これは、ドリフト制御領域3が接続領域5に高い抵抗値で連結されているために、蓄積誘電体4内に電界が構築されるからである。
ドリフト制御領域3を接続領域5に連結するための高い抵抗値は、ショットキーダイオードがオフ状態にある場合、カソード電極11における有意な電圧降下を引き起こすことなく、カソード電極側にある接続領域5の領域から熱性漏れ電流を消散させるのに十分に低くなければならない。
しかし、他方では、この接続抵抗値は、電極付近に位置する接続領域5の領域の体積抵抗値よりも遥かに高くなくてはならない。これは、ショットキーダイオードに順方向バイアスが印加された際に、蓄積を可能にするためである。
逆耐圧が600Vであるショットキーダイオードの場合、接続領域5とドリフト制御領域3とのカソード接続抵抗率の便宜上の値は、1Ωcm2〜104Ωcm2の範囲内である。このような接続抵抗値を得るための様々な実施形態は、以下の図90〜図96に示されている。
図90の実施形態に示されているショットキーダイオードには、上記目的のために、低濃度にp型ドープされた第1の接続領域31が形成されている。当該接続領域は、ドリフト制御領域3を、カソード電極11を介してカソード側のドリフト領域2に接続し、また高濃度にn型ドープされた接続領域5に接続している。
図91に示されているショットキーダイオードは、図90に示されているショットキーダイオードと同一の構造を有しているが、第1の接続領域31は低濃度にp型ドープされているのではなく、真性(つまりドープされていない)半導体領域、あるいは、ドリフト制御領域3よりも低濃度にn--ドープされた半導体領域として形成されている点において異なっている。
図92では、カソード電極11を介在させてドリフト制御領域3をドリフト領域2に結合させる必要はない。代わりに、例えば、第1の接続領域31を、高濃度にドープされた接続領域5を介してドリフト領域2に結合し、カソード電極11を回避することも可能である。本発明の本実施形態では、第1の接続領域31は、高濃度にドープされた接続領域5と直接接触している。これを可能にするために、誘電体4は、半導体基材1のカソード側表面から少なくとも部分的に距離を置いて配置されている。しかし、誘電体4は、ドリフト領域2とドリフト制御領域3とが直接接続されないように形成される必要がある。
図93に示されている典型的な実施形態では、ドリフト制御領域3は、高濃度にドープされた接続領域5と直接接続している。この目的のために、誘電体4は、少なくとも部分的には、半導体基材1のカソード側表面までは伸びていない。誘電体4と半導体基材1のカソード側表面との間の領域内では、ドリフト制御領域3の区域56が、高濃度にドープされた接続領域5まで伸びており、これと直接接触している。ドリフト制御領域3とドリフト領域2との電気結合抵抗値は、具体的には、例えば区域56の伸長の形状寸法によって決定される。
しかし、ドリフト制御領域3の区域56の代わりに、ドリフト制御領域3を接続領域5に電気的に接続する別の電気的抵抗材料を用いてもよい。
図94に示されている典型的な実施形態では、ドリフト制御領域3を接続領域5にカソード連結するために、半導体基材1のカソード側に層状の抵抗55が設けられている。本実施形態では、抵抗55は、高濃度にn型ドープされた第1の接続領域31と高濃度にドープされた接続領域5との両方に接触している。
図95に示されている典型的な実施形態では、誘電体4は、ドリフト制御領域3のカソード側の末端と、カソード電極11との間において、ドリフト制御領域3の下方を水平方向に伸びている。
誘電体4は、ドリフト制御領域3とカソード電極11との間の領域内において、抵抗材料によって充填された1つ以上のカットアウト57を有している。ドリフト制御領域3と接続領域5との連結抵抗値は、カットアウト57の数および寸法、およびカットアウト57内部において用いられる抵抗材料の抵抗率に応じて決定することができる。抵抗材料としては、具体的には、n型ドープされた半導体材料、p型ドープされた半導体材料、あるいは真性半導体材料もまた適している。
図96に示されている典型的な実施形態は、特別な特徴を有している。本実施形態では、ドリフト制御領域3は、低濃度にp型ドープされた第3の接続領域33を介して、アノード側のショットキー接合60の金属13に接続されている。ドリフト制御領域3とドリフト領域2とが高い抵抗値でカソード接続されているため、低濃度にp型ドープされた第3の接続領域33を介して、バイポーラ電荷キャリアが注入されることはない。
低濃度にp型ドープされた第3の接続領域33は、これと対応するマージドピンショットキーダイオードのp型ドープされた領域と同様に、フィールドを保護する機能を有しており、これによってショットキー接合60における電界強度が低減される。しかし、ドリフト制御領域3の上記領域内において有意な電流は流れないため、マージドピンショットキーダイオードの場合の望ましくない注入動作は、本願発明では起こらない。この結果、ドリフト制御領域3からの、注入された電荷キャリアが空乏化の結果によってターンオフ損失が不要に増加することもない。
図96に示されている典型的な実施形態では、ドリフト領域2およびドリフト制御領域3は、象徴的に示されている抵抗55を介して、カソード側に電気的に接続されている。この抵抗は、原理上は、任意の所望の方法によって形成することができる。しかし、電気結合は、具体的には、図89〜図95および図97〜図100に示されている典型的な実施形態に従って実現される。
図97は、カソード電極11が、区域11’内のドリフト制御領域3と部分的に重なっていることによって、ドリフト制御領域3と接続領域5とが抵抗結合している一実施形態を示している。本実施形態では、接触抵抗の値は、接触領域11’の幅によって設定することができる。
ドリフト制御領域3と接続領域5との間に様々な方法によって実現可能な非反応性抵抗は、トンネル誘電体、特にトンネル酸化物に置き換えることができる。これについては、以下の図を参照しながら説明する。
図98に示されているショットキーダイオードの実施形態では、接続電極11は、ドリフト制御領域3およびドリフト領域2の領域を完全に被覆している。ドリフト制御領域3は、必要に応じて高濃度にドープされた接続領域31およびトンネル誘電体4’を介して、接続電極11に接続されている。ドリフト制御領域3は、第3の接続領域33を介して、アノード電極13に必要に応じて接続されている。
図99に示されている素子は、マージドピンショットキーダイオードとして形成されており、ドリフト領域2内において、部分的に、アノード電極13に隣り合うp型ドープされた注入領域33’を有している。本実施形態では、図99に示されているように、注入領域33’を誘電体4に対し隣り合って配置することができ、あるいは側方を誘電体4から離して配置することもできる。注入領域33’の側方を誘電体4から離して配置した実施形態(図示せず)とすることによって、ショットキー接合60と、ドリフト領域2と誘電体4との境界に形成された蓄積チャネルとが連結しやすくなる。
図100に示されている素子は、誘電体4がカソード電極11に達するまで伸びていない点、および、接続領域5がトンネル誘電体4’の下方にて伸びており、ドリフト制御領域3が、必要に応じて高濃度にドープされた接続領域31およびトンネル誘電体4’を介して接続領域5に接続されている点において、図98に示されている素子とは異なっている。
図101は、MOSFETとして形成された本発明に係るパワー半導体素子の典型的な別の実施形態を示している。本実施形態における素子では、ゲート電極15およびドリフト制御領域3は、半導体基材1の垂直方向に沿って互いに隣り合って配置されており、ゲート電極15は、ドリフト制御領域3に直接的に隣り合っている。
本実施形態における素子では、ゲート電極15は、2つの部分を有するように形成されており、また接続電極151を有している。接続電極151は、半導体基材1の表面の上方に配置されており、また絶縁層72によってソース電極13から絶縁されている。p型ドープされた半導体区域152は、垂直方向において接続電極151に対し隣り合っている。
p型ドープされた半導体区域152の半導体区域は、水平方向において半導体基材1の基材領域8に隣り合っており、またゲート誘電体16によって基材領域8から分離されている。半導体領域152は、ゲート電極の実際の機能を行う。半導体領域152はまた、適切な駆動電位が印加された際には、基材領域8内に、ゲート誘電体16に沿って、ソース領域9とドリフト領域2との間に導電チャネルを形成する機能を有している。
ゲート電極15の半導体領域152は、図101に示されているn伝導性MOSFETでは、p型ドープされている。半導体領域152に直接隣接しているドリフト制御領域3は、n型ドープされているか、あるいはp型ドープされている。当該ドリフト制御領域のドーピング濃度は、半導体領域152のドーピング濃度よりも低い。当該ドリフト制御領域のドーピングは、例えば1×1014cm-3の領域内において行われ、またドリフト領域2のドーピング濃度と対応していてもよい。本実施形態では、半導体領域152のドーピング濃度は、基材領域8のドーピング濃度と対応していてよい。
図101に示されているn−MOSFETは、ドレイン領域5とソース領域9との間に正電圧が存在している場合、および、ソース領域9および基材領域8の電位よりも高い駆動電位がゲート電極15に存在している場合はオンになる。ゲート電極15における正の駆動電位によって、ソース領域9とドリフト領域2との間に位置する基材領域8内に、反転チャネルが形成される。
上記素子がオン状態になると、ドリフト制御領域3は、ゲート電極15とほぼ同じ電位を示す。これにより、ドリフト領域2内において、蓄積誘電体4に沿って蓄積チャネルが形成される。上記素子が完全にオン状態になると、ドレイン領域5の電位は、通常はゲート電極15の電位よりも低くなる。これにより、基材領域8とドレイン領域5との間における蓄積誘電体4に沿って、蓄積チャネルが垂直方向に形成される。
ドリフト制御領域3の接続電極12とドレイン領域5またはドレイン電極11との間に接続されているダイオード43は、上記回路状態中は、ドリフト制御領域3内に存在している(蓄積チャネルを生じさせる)ホールが、ドレイン領域5またはドレイン電極11の方向へ流れることを防止する。
図101において回路符号のみで示されているダイオード43は、外部ダイオードとして形成することができる。図102では、接続領域31およびドレイン領域5に対して相補的にドープされていると共に、ドリフト制御領域3の高濃度にドープされた接続領域31とドレイン電極11との間に備えられている半導体領域32によって、ドリフト制御領域内にダイオード43を一体化して形成することも可能である。図16に関連して既に説明したように、ダイオード43は、ホールがドリフト制御領域3からドレイン領域5へ流れることを防止する機能を有している。
図101および図102の実施形態に示されている素子では、ゲート誘電体16および蓄積誘電体4は、半導体基材100内を垂直方向に伸びる共通誘電体層として形成することができる。図101および図102の実施形態に示されている素子では、これらの誘電体層は、素子の深さ全体を垂直方向に伸びている。つまり、これらの誘電体層は、半導体基材1の表面側から裏面側まで伸びている。
図103は、図102の素子に対する一変形例の素子を示している。図103に示されている素子では、ドレイン領域5およびp型ドープされた接続領域32同士が水平方向において部分的に隣り合うように、蓄積誘電体4が半導体基材1の裏面102の手前で終端している。しかし、N型ドープされた接続領域31およびドレイン領域5は、蓄積誘電体4によって、半導体基材内において水平方向に完全に分離されている。
図104は、図102の素子に対する別の変形例の素子を示している。本実施形態では、ドリフト制御領域3は、ゲート電極15の方向において、ドリフト制御領域3よりも高濃度にドープされた接続領域34を有している。この接続領域は、例えばp型ドープされている。接続領域34は、例えばシリサイドまたは金属からなる接続電極19を介して、ゲート電極15に接続されている。本実施形態における素子では、ゲート電極15は、金属あるいは高濃度にドープされたポリシリコンによって形成されていてよい。
ゲート電極15の材料としてn型ドープされたポリシリコンが用いられる場合、導電性の接続電極19は、ゲート電極15を、電気的かつ導電的に、ドリフト制御領域3のp型ドープされた接続領域34に接続する機能を有している。接続電極19が形成されていない場合は、ゲート電極15とドリフト制御領域3との間にpn接合部が形成され、ゲート電極15からドリフト制御領域3への電荷キャリアの移動が阻害される。ゲート電極15がp型ドープされたポリシリコンから形成されている場合は、接続電極19は形成されなくてもよい。
図105は、図104に示されているMOSFETに対する一変形例のMOSFETを示している。本実施形態における素子では、ゲート電極15およびドリフト制御領域3は、ゲート電極15とドリフト制御領域3との間に形成された別の絶縁層74によって互いに絶縁されている。
本実施形態における素子では、詳細には図示されていないが、ドリフト制御領域3の絶縁層74に隣り合っている接続電極19は、ゲート電位から分離されている駆動電位に接続することができる。ドリフト領域2内に蓄積チャネルを形成するための上記駆動電位は、少なくともソース電位(すなわちソース電極13あるいはソース領域9および基材領域8の電位)よりも大きくなるように選択される必要がある。
本実施形態では、上記駆動電位は、ドレイン電位(すなわちドレイン領域5の電位)よりも大きくなるように選択することもできる。このように選択することで、ドリフト制御領域3は、ドリフト制御領域3とドレイン領域5との間において逆バイアスが印加されるダイオード31、32によって共通電位を示す。
接続電極19の駆動電位がドレイン領域5の電位よりも小さい場合、本実施形態においては、ドリフト制御領域3内において垂直方向に電圧降下が生じ、またドリフト領域2内において、蓄積誘電体4の長さ全体に沿って蓄積チャネルが形成されない。しかし、基材領域8に隣り合う領域内において蓄積チャネルを部分的に形成することは可能であり、これによってオン抵抗を低減することができる。
図106Eは、図103に示されている素子に対する一変形例のMOSFETとして形成された半導体素子を示している。本実施形態における素子では、水平方向に沿って連続的かつ高濃度にドープされていると共にドレイン電極11に隣り合っている半導体領域51が、半導体基材1の裏面102の領域内に位置している。
ドリフト制御領域3の各接続領域31、32は互いに相補的にドープされており、またダイオードを形成している。各接続領域31、32はまた、半導体領域51とドリフト制御領域3との間に位置している。高濃度にドープされた半導体領域51とドリフト領域2との間には、上記素子のドレイン領域を形成し、互いに上下に配置された2つの半導体領域52および53を有する、n型ドープされた半導体領域が配置されている。
本実施形態における素子では、ドレイン領域5の区域52は、ドリフト制御領域3のp型ドープされた接続領域32と水平方向において隣接している。本実施形態における素子では、半導体領域51は、本質的には上部に素子構造を有する基板として機能し、またドレイン電極11とドレイン領域5とを低抵抗で電気的かつ導電的に接続する。
図106Eの実施形態に係る素子を製造する方法について、図106A〜図106Dを参照しながら以下に説明する。
図106Aによると、本方法は、半導体基板51を設ける工程によって開始される。半導体基板51は、例えば高濃度にn型ドープされた半導体基板である。これに関して、以下に説明する垂直方向における当該半導体基板の寸法、および当該半導体素子の素子領域の寸法は、互いに相対的な縮尺としては図示されていないことに留意されたい。垂直方向における基板51の寸法は、通常は、以下に説明する別の素子領域または半導体層よりも大幅に大きい。
図106Bでは、半導体基板51に半導体層が形成される。当該半導体層は、水平方向に沿って、n型ドープされた半導体領域52とp型ドープされた半導体領域32とを交互に有している。本実施形態では、p型ドープされた領域は、後のダイオードを部分的に形成する。ドリフト制御領域4は、上記p型ドープされた領域を介して、ドレイン領域またはドレイン電極に接続される。n型ドープされた半導体領域52は、当該素子の後のドレイン領域を部分的に形成する。
半導体基板51に形成される上記半導体層は、例えばエピタキシー法によって、均一にドープされた一伝導型の層、あるいは真性ドープされた半導体層として形成される。半導体領域32および52は、後に、ドーパント原子が半導体層内に導入される注入法によって、異なるようにドーピングすることができる。
図106Cでは、互いに相補的にドープされた各半導体領域32、52を有する上記半導体層に、3つの別の各半導体層53’、2’、9’が堆積される。例えば、第1の層53’はn型ドープされており、第2の層2’は第1の層53’よりも低濃度にn型ドープされており、第3の層9’はp型ドープされている。
第3の層9’は、これらの各半導体層が堆積された後に、半導体基材1の表面101を形成する。
図106Dでは、トレンチが形成される。これらのトレンチは、表面101から、半導体基材内を垂直方向に、半導体層のp型ドープされた半導体領域32内まで伸びている。次に、これらのトレンチに、半導体酸化物などの誘電体材料が充填される。この誘電体材料は、第2の層2’の上記領域内に蓄積誘電体4を形成し、第3の層9’の上記領域内にゲート誘電体16を形成する。
内部に誘電体が配置された上記トレンチは、上記3つの各半導体層53’、2’、9’を個々の半導体区域に分割する。半導体層53’、2’、9’のこれら半導体区域は、上記第1の半導体層のn型ドープされた半導体領域52上にある領域内において、ドレイン領域5の一部53、ドリフト領域2、および基材領域8を形成している。これら3つの各半導体層は、上記第1の層のp型ドープされた半導体領域32の上方では、組み込みダイオードの一部31、ドリフト制御領域3、およびゲート電極15の一部152を形成している。
図106Eでは、上記基材領域内にソース領域9を形成することによって、素子の製造が完了する。このためには、上記基材領域のドーピングと相補的な伝導型のドーパント原子が、上記表面の付近に位置する基材領域8の領域内に導入される。最後に、ゲート電極15のソース電極13および接続電極151が、表面101の上方に形成される。これらの電極13および151は、金属層または高濃度にドープされたポリシリコン層を堆積し、この層をパターン形成することによって形成することができる。本実施形態では、パターン形成を行う工程は、上記半導体層を個々の電極区域に分割し、これら個々の電極区域間に絶縁層72を形成する工程を含んでいる。
図106Eの実施形態に係る素子では、最初に堆積された半導体層のp型ドープされた各区域32、および次に堆積されたn型ドープされた半導体層の区域31によって、ドリフト制御領域3をドレイン領域5に接続する組み込みダイオードが形成される。本実施形態における素子では、ドレイン領域5は、最初に堆積された半導体層のn型ドープされた区域52、および次に堆積されたn型ドープされた半導体層の区域53によって形成される。
図106A〜図106Eの方法に対する一変形例の方法について、図107A〜図107Dを参照しながら以下に説明する。
本方法は、MOSFETのソース領域を形成する工程を含んでいる点において、図106の実施形態に係る方法とは異なっている。図107に係る方法の変形例である本方法は、図106Dに示されている構成から開始される。表面101から広がる第3の半導体層9’上の全領域に、高濃度にn型ドープされた半導体層9”が形成される。高濃度にn型ドープされた半導体層9”は、当該素子の後のソース領域を部分的に形成する。半導体領域9”は、例えば、半導体基材の表面101を介したイオン注入によって形成される。
図107Bでは、誘電体材料を含んだトレンチの上方に、絶縁領域72が形成される。これらの絶縁領域は、まず絶縁層を堆積し、当該絶縁層をパターン形成することによって形成される。絶縁領域72は、既に説明した方法によって、当該素子の後のソース電極およびゲート電極同士を互いに電気的に絶縁する機能を有している。これらトレンチの上方に位置する絶縁領域72の寸法は、これらの各絶縁領域72が、半導体基材内において水平方向に隣接するトレンチの両側において、高濃度にドープされた半導体領域9”と部分的に重なり合うように選択される。
図107Cでは、絶縁区域72によって被覆されていない領域内において、高濃度にn型ドープされた半導体層9”が除去される。これは、エッチャントを用いた異方性エッチング法によって、半導体層9”を絶縁区域72に対して選択的にエッチングすることによって行うことができる。エッチング完了後、後のゲート電極を部分的に形成する基材領域8および半導体領域152が、半導体基材の表面101の領域から部分的に露出される。
図107を参照しながら説明されている実施形態に係る方法では、誘電体材料を含む上記トレンチの両側において、高濃度にドープされた半導体層9”の区域9および154が、絶縁区域72に残る。本実施形態では基材領域8の上方に残った、n型ドープされた領域9は、後の素子のソース領域を形成する。高濃度にドープされた層9”の残留区域154は、電気的機能は有しておらず、本実施形態における製造方法の結果として単に生じたものである。
図107Dでは、ゲート電極15のp型ドープされた半導体領域の上方において、ゲート電極15の基材領域8および接続領域151の上方にソース電極13が形成される。必要に応じて、電極13および151を形成する前に、基材領域8および半導体領域152よりも高い濃度でドープされた各半導体領域81、153が、基材領域8および半導体領域152内に形成されされてもよい。
より高濃度にドープされたこれらの各領域81、153は、各電極13、151を、基材領域8およびp型半導体領域152にそれぞれ低抵抗で接続接触させるために形成されている。図107Dの実施形態に係る半導体素子では、ソース領域9が水平方向においてソース電極13と隣り合っている領域内において、ソース領域9とソース電極13とが接続されている。
図107Dに示されている半導体素子を形成するための別の方法について、図108A〜図108Fを参照しながら以下に説明する。本実施形態に係る方法では、まず、高濃度にドープされた半導体基板51(例えばn型基板)を有する半導体基材1が設けられる。そして、当該半導体基板に、より低濃度にドープされた半導体層2’が形成される。半導体層2’は、素子の後のドリフト領域を部分的に形成する。必要に応じて、より低濃度にドープされた半導体層2’を形成する前に、より高濃度にドープされた半導体層53’が半導体基板51に形成されてもよい。
次に、上記半導体基材の表面101から伸びるトレンチ10が形成される。これらのトレンチは、半導体基板51内を垂直方向に伸びている。これらのトレンチは、基本的には公知の方法に従って、表面101の上方にマスク200を形成し、マスク200により被覆されていない領域内の半導体基材を選択的にエッチングすることによって形成される。
次に、図108Cでは、上記のように形成されたトレンチ10の側壁に誘電体が形成される。これらの誘電体は、後のゲート誘電体16および蓄積誘電体4を形成する。トレンチ10の側壁における誘電体の形成は、例えば、まず半導体基材を熱酸化し、得られた熱酸化物をトレンチ10の底部から除去することによって行われる。トレンチ10の底部からの酸化物層または誘電体層の除去は、異方性エッチングによって行うことができる。
図108Dでは、上記トレンチ内に、異なるようにドープされた複数の区域を有する単結晶半導体材料が導入される。この半導体材料は、エピタキシー法によって形成することができる。半導体基板51に直接的に隣り合うp型ドープされた半導体区域32は、この方法によって形成される。p型ドープされた区域32の上方には、低濃度にn型ドープされた半導体材料が形成される。当該半導体材料は、後のドリフト制御領域3を部分的に形成する。必要に応じて、p型領域32とドリフト制御領域3との間に、ドリフト制御領域3よりも高濃度にn型ドープされた半導体領域31を形成することができる。当該半導体領域は、後の組み込みダイオードを部分的に形成する。
図108Eでは、得られた半導体基材1の表面101の領域内に、p型ドープされた各半導体領域8、152が形成される。これらの各半導体領域は、ドリフト領域2の上方における領域内に基材領域8を形成し、またドリフト制御領域3の上方において、後のMOSFETのゲート電極を部分的に形成する。これらの各p型領域8、152は、例えばp型ドーパント原子を注入した後、これに対応するアニーリング工程を行うことによって形成される。
上記各p型領域8、152の形成に続いて、図107A〜図107Dを参照しながら既に説明したソース領域9を形成する工程、ソース電極13を形成する工程、およびゲート電極15を完成させる工程が行われる。図108Fは、完成した素子の断面図を示している。
図109は、図107Dに示されているMOSFETの一変化例の断面を示している。本実施形態に係る素子では、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間における領域内に蓄積誘電体4が形成され、またゲート電極15と基材領域8との間における領域内にゲート誘電体を形成する誘電体層が、多層構造として形成される。この素子構造は、例えば、2つの酸化物層4Aおよび4Cを有している。これら酸化物層4Aおよび4Cは、トレンチの一側面においてドリフト領域2と直接的に隣り合っており、トレンチの他の側面においてはドリフト制御領域3と直接的に隣り合っている。
また、上記酸化物層4Aと酸化物層4Cとの間には、酸化物層4Aおよび酸化物層4Cよりも高い誘電率を有していることが好ましい誘電体層4Bが配置されている。上記誘電体層を、複数の誘電体層を有する積層として形成することによる利点は、高い誘電率(例えば15を超える)を有する誘電体材料を用いた場合に、ドリフト制御領域3とドリフト領域2との間における容量結合を損なうことなく、単一の酸化物層を用いた場合よりも、誘電体層を形成するためのトレンチを広く形成することができるという点にある。
図110は、図109に示されている素子の一変化例である。本実施形態に係る素子では、半導体基材100の表面101から裏面102まで、多層の誘電体層が伸びている。
ドリフト制御領域3とドリフト領域2との電圧差が或る一定の値の場合、ドリフト領域2内に蓄積される電荷キャリア量は、ドリフト領域2、ドリフト制御領域3、および蓄積誘電体4によって形成される蓄積静電容量に依存している。この場合、当該静電容量が大きくなれば、蓄積される電荷も増加する。蓄積誘電体4の厚さが或る一定の値である場合、上記静電容量が大きくなると、上記蓄積誘電体の誘電率も高くなる。蓄積静電容量がある一定の値である場合、蓄積誘電体に必要とされる厚さは、その誘電率が低いほど小さくなる。
上記蓄積誘電体のる材料として二酸化ケイ素(SiO2)を用いた場合、当該蓄積誘電体の厚さは、十分な蓄積効果を得るために、一般的には200nm以下である必要がある。しかし、これほど薄く、且つより深くまで伸びる誘電体層は、形成が困難である。
この場合、本発明の一実施形態は、その一部または全部が、中間的な誘電率を有する材料、いわゆる中誘電率材料からなる蓄積誘電体を提供する。このような材料は、比誘電率または誘電率が約7〜25であることによって区別される。このような材料を用いることによって、SiO2よりも厚い蓄積誘電体を用いることが可能になるため、形成が容易になる。
これに適した材料としては、例えば、誘電率がSiO2の約2倍の7.5である窒化ケイ素(SiN)、あるいは、誘電率がSiO2の約2.5倍の9.7である炭化ケイ素(SiC)が挙げられる。上記中誘電率材料は、いわゆる高誘電率材料とは異なり、半導体素子の製造において標準的に用いられるプロセスによって形成することができる。
上述した各素子では、全て中誘電率材料からなる蓄積誘電体4を形成することができる。例えば、図11、図109、および図110に係る各素子では、例えば、複数の誘電体層の中間にある層4bは中誘電率材料から形成されていてよく、外側の各層4a、4cは、誘電率のより低い材料(例えばSiO2)から形成されていてよい。この場合、中間層4bは非常に厚い層であってよく、例えば外側の各層4a、4cの5倍から10倍の厚さであってよい。
さらに、ドリフト領域2とドリフト制御領域3との間に位置する蓄積誘電体4を、中誘電率材料から形成し、また、上記素子の別の領域同士を分離する誘電体を、誘電率のより低い材料から形成することも可能である。上記別の領域とは、例えば図19の実施形態に係る素子では、より低い誘電率を有する誘電体によって分離可能な基材領域8および接続領域33であり、図101の実施形態に係る素子では、より低い誘電率を有する誘電体によって分離可能な接続領域31およびドレイン領域5である。
別の実施形態として、図16に係る素子では、p型ドープされた半導体領域33および34と、基材領域8および短絡回路領域17との間に位置する誘電体層を中誘電率材料から形成して、当該素子の内部ストレージ静電容量を増加させることできる。
この場合、ドリフト領域2とドリフト制御領域3との間に位置する蓄積誘電体4は、誘電率のより低い材料から形成される。また、蓄積誘電体4を中誘電率材料から形成して、内部ストレージ静電容量を増加させることもできる。この場合、p型ドープされた半導体領域33および34と、基材領域8および短絡回路領域17との間に位置する誘電体層は、高誘電率材料から形成される。
本発明による半導体素子について、縦型パワー素子、すなわちドリフト領域内において電流が垂直方向に流れる素子に基づいて説明した。この場合、上記ドリフト領域は、半導体基材100内において、第1の部品領域(MOSFETの場合はソース領域に対応し、ショットキーダイオードの場合はショットキー金属に対応する)と、第2の素子領域(MOSFETの場合はドレイン領域に対応し、ショットキーダイオードの場合はカソード領域に対応している)との間に、垂直方向に配置されている。
以下に説明するように、半導体素子のドリフト領域に隣り合って蓄積誘電体およびドリフト制御領域を形成する本発明に係る概念は、言うまでもなく、横型素子にも応用可能である。
横型半導体素子の典型的な実施形態について以下に説明する。以下において表面と称される第1の面101と、当該第1の面と向かい合っており、以下において裏面と称される第2の面102とを有している、半導体基材100の断面図を参照しながら以下に説明する。当該半導体基材の垂直方向vは、表面101と裏面102との間において、これら表面101および裏面102に対して垂直に伸びる方向である。
当該半導体基材の水平方向は、表面101および裏面102に沿って平行に伸びる方向、すなわち垂直方向vに対して直交する方向に伸びる方向である。以下では、横断面は、表面101および裏面102に沿った断面を指し、垂直断面は、表面101および裏面102に対して垂直な断面を指している。
MOSFETとして形成された本発明に係る半導体素子の典型的な実施形態について、本発明の一般的な有効性を限定することなく、n型ドープされたドリフト領域211と、p型ドープされた基材領域212と、n型ドープされたソース領域213およびドレイン領域214とを有するnチャネルMOSFET(n−MOSFET)に基づいて説明する。しかし、nチャネルMOSFETのドリフト領域211は、ドープされていない領域、すなわち真性ドープされた領域であってもよい。
しかし、本発明は、言うまでもなく、pチャネルMOSFET(p-MOSFET)に応用することもできる。p-MOSFETの場合、n−MOSFETの形態において既に説明した半導体基板103を有する素子領域は、相補的にドープされていなければならない。
図111A〜図111Dは、MOSFETとして形成された本発明に係るラテラルパワー半導体素子の典型的な一実施形態を、MOSFETの複数の素子構造が一体的に形成されている半導体基材100の様々な断面に基づいて示している。図111Aは、横断面Z−Zにおける半導体基材100を示している。図111Bおよび図111Cは、2つの異なる垂直断面A−AおよびB−Bにおける半導体基材100を示しており、半導体基材100の横断面は図111Aに示されている。図111Dは、半導体基材100の一部を示す部分斜視図である。
図111に示されているパワーMOSFETは、半導体基材100の第1の水平方向xにおいて互いに距離を置いて配置されていると共にn型ドープされている、ソース領域213およびドレイン領域214を有している。ドリフト領域211は、ドレイン領域214に対し隣り合っている。
また、ドリフト領域211は、本実施形態においてはドレイン領域214と同一の伝導型を有しているが、ドレイン領域214よりも低い濃度でドープされていてもよく、あるいはドープされていなくてもよい。ソース領域212とドリフト領域211との間には、ソース領域213およびドリフト領域211に対して相補的にドープされた基材領域212が配置されている。
当該基材領域は、ドリフト領域211と共にpn接合部を形成している。当該素子がオフ状態になると、上記pn接合部からドリフト領域211内に、空間電荷領域(空乏ゾーン)が広がる。基材領域212も同様に、第1の水平方向xにおいて、ドレイン領域214から距離を置いて配置されている。
ソース領域213とドリフト領域211との間の基材領域212内に配置された反転チャネル215を制御するために、ゲート電極221が配置されている。当該ゲート電極は、ゲート誘電体222によって半導体基材100から絶縁されるように配置されている。またゲート電極221は、基材領域212に隣接して配置されており、ソース領域213からドリフト領域211まで伸びている。ゲート電極221に適切な駆動電位が印加されると、ソース領域213とドリフト領域211との間のゲート誘電体222に沿った基材領域212内に反転チャネルが形成される。
図示されている実施形態では、基材領域212内に、半導体基材100の表面101に沿って、第1の水平方向xに反転チャネル215が形成されるように、半導体基材100の表面101の上方にゲート電極221が配置されている。当該ゲート電極は、分かりやすくする為に、図111Dの斜視図には示されていない。
ソース領域213はソース電極231に接続されており、ドレイン領域214はドレイン電極232と接続されている。これらはそれぞれ、本実施形態においては上記表面の上方に配置されており、また個々の半導体領域に対するこれらの配置位置は、図111Aにおいて破線で示されている。本実施形態では、ソース領域213および基材領域212を短絡させるために、ソース電極231は基材領域212とも接続されている。
本実施形態では、ソース領域213、基材領域212、およびドレイン領域214は、n型基本ドーピングが施された半導体層104内に配置されている。また図111Aを参照すると、ソース領域213、基材領域212、およびドレイン領域214は、第1の水平方向xに対して垂直な第2の水平方向yに沿って、ストリップ状に伸びている。ゲート電極221、ソース電極231、およびドレイン電極232も同様に、第2の水平方向yに沿ってストリップ状に伸びている。
上記パワーMOSFETは、ドープされた半導体材料またはドープされていない半導体材料によって形成された複数のドリフト制御領域241を有している。これらのドリフト制御領域241は、半導体基材104内においてドリフト領域221に隣り合って配置されており、また、第1の誘電体層によってドリフト領域211から絶縁されている。
ドリフト領域211とドリフト制御領域241との間に直接配置された誘電体層の上記領域は、以下では蓄積誘電体251と称される。これらの各ドリフト制御領域241は、蓄積誘電体251の領域に対して直交する方向において蓄積誘電体251に隣り合っている領域である。従って、これらの各ドリフト制御領域241は、以下に説明するが、ドリフト領域211内の蓄積チャネルを制御するのに適している。
ドリフト制御領域241は、ドレイン領域214に結合されている。ドレイン領域214は、図示されている実施形態においては、接続領域242を介してドレイン電極232に接続されたドリフト制御領域241によって形成されている。接続領域242は、ドリフト制御領域241と伝導型が同一であるが、ドリフト制御領域241よりも高い濃度でドープされている。本実施形態では、接続領域242は、ドリフト制御領域241とドレイン電極232とを低抵抗で接続させる。
以下に説明するように、各ドリフト制御領域241は、ダイオードを介してドレイン電極232に接続することもできる。nチャネルMOSFETの場合、上記ダイオードは、ドレイン電極232からドリフト制御領域241の方向に順方向バイアスが印加される。
上記ダイオードは、また、図111Cでは、ドリフト制御領域241と、ドリフト制御領域241に対して相補的にドープされた接続領域243との間のpn接合部によって形成されていてよい。本実施形態では、ドレイン電極232は、相補的にドープされた接続領域243と接続されている。
必要に応じて、相補的にドープされた接続領域243を、図111Cに示されているように、上記ドリフト制御領域と伝導型が同一である接続領域242内に組み込むことができる。この場合、pn接合部は、各接続領域242、243との間に形成されている。
別の実施形態では、ドリフト制御領域241は、基材領域212と伝導型は同じであるが、基材領域212よりも低い濃度でドープされているか、あるいはドープ自体がされていない(真性)。
この実施形態では、各ドリフト制御領域241は、プレート型またはストリップ型の形状をしている。各ドリフト制御領域241は、第2の水平方向yにおいて互いに距離を置いて配置されており、また、ドリフト領域211の各区域に隣り合って配置されている。この実施形態では、各ドリフト領域211および各ドリフト制御領域241が蓄積誘電体によって分離されながら交互に配置されている層構造またはプレート構造が、第2の水平方向に沿って存在している。
ドリフト制御領域241は、半導体基材100の表面101から半導体基材100内に垂直方向vに伸びている。図示されている実施形態では、これらのドリフト制御領域は、半導体基板103まで伸びており、半導体基板103から別の絶縁層252(例えば酸化物層)によって絶縁されている。
この実施形態では、基板103の伝導型は、ドリフト領域211に対して相補的である。これらのドリフト制御領域は、ドレイン領域214から第1の水平方向xに伸びており、また基材領域212の方向においてドレイン領域214に電気的に結合されている。この実施形態では、これらのドリフト制御領域241は、第1の水平方向xにおいて基材領域212の手前で終端していてよく、あるいは基材領域212内まで伸びていてもよい(図示せず)。
以下に詳述するように、上記素子がオン状態になると、各ドリフト制御領域241は、蓄積誘電体251に沿ってドリフト領域211内に配置された蓄積チャネルを制御する。ドリフト制御領域241は、ゲート電極221によって制御される基材領域212の反転チャネル215(図111B)がドリフト領域211に遷移している領域まで可能な限り近接して伸びるように形成されていることが好ましい。
図111の実施形態に係る素子では、反転チャネル215は半導体基材100の表面101の下方に形成されている。このため、ドリフト制御領域は、垂直方向vでは表面101まで伸びており、第1の水平方向xではほぼ基材領域212まで伸びている。
反転チャネル215、およびドリフト領域211内のドリフト制御領域241の蓄積誘電体251に沿って形成されている蓄積チャネル(図111Aでは参照符号216で示されている)は、互いに90度の角度で回転された状態で伸びている。反転チャネル215は、半導体基材100の表面101に沿って伸びている。一方、蓄積チャネル216は、ドリフト領域211内の蓄積誘電体においてドリフト制御領域241内を垂直方向に伸びる「側壁」に沿って形成されている。本実施形態に係る素子では、電流方向は、半導体基材の第1の水平方向xに対応している。
ドリフト制御領域241は、ドープされている、あるいはドープされていない半導体材料(好ましくは単結晶)であって、ドリフト領域211のドーピングと同一の伝導型、あるいはドリフト領域211のドーピングに対して相補的な伝導型である半導体材料によって形成されている。ドリフト制御領域241およびドリフト領域211がドレイン領域214と基材領域212との間において平行に伸びている方向、すなわち図111に示されている第1の水平方向xにおけるドリフト制御領域241のドーピング特性は、同方向においてドリフト制御領域241と同じ領域に伸びているドリフト領域211の区域のドーピング特性と同一であることが好ましい。
これらのドリフト制御領域241は、電流方向に対して横向きの方向(すなわち、本実施形態における第2の水平方向y)に広がっていると共に同方向において電界によって完全に空乏化可能な半導体区域を、これらドリフト制御領域241の幅全体において少なくとも1つ持つようにドープされている。
特に、各ドリフト制御領域241は、完全に空乏化することができる。これは、ドリフト制御領域241および蓄積誘電体251の領域のネットドーパント電荷の指数が、ドリフト制御領域241の半導体材料の絶縁破壊電荷未満である場合に達成される。この場合、上記ネットドーパント電荷は、ドリフト制御領域241の体積に対するドリフト制御領域241のネットドーパント濃度の積分を示している。
この場合、上記指数は、図111に示されている実施形態では、ドリフト制御領域241とドリフト領域211との間に直接位置している蓄積誘電体251の領域のみを用いて決定されなければならない。ドリフト制御領域241が、第2の水平方向yにおいて、蓄積誘電体251によって両側から分離された状態でドリフト領域211に隣接している場合では、上記指数は、ドリフト制御領域241の両側に位置する蓄積誘電体251の領域を用いて決定されなければならない。
これについてさらに説明するために、上記複数の各ドリフト制御領域241のうちの1つについて、以下に考慮する。これらドリフト制御領域241は、図111において、第2の水平方向yにおける面と、基材領域212の方向における面との2つの各面において、蓄積誘電体を形成している誘電体層251と境界を接している。
以下では、説明用として特殊な形態が仮定的に挙げられている。この特殊な形態では、各ドリフト制御領域241は、ドレイン領域214と同一の伝導型で均一にドープされている。また、基材領域212の方向において、ドリフト制御領域241と境界を接している誘電体層251の区域254の領域は、第2の水平方向yにおいてドリフト制御領域241をドリフト領域211から分離している誘電体層251の「各水平領域」よりも小さい。
この特殊な形態では、上述したドーピング仕様は、誘電体層251に対して垂直な方向r(本実施形態においては第2の水平方向yに対応している)におけるドリフト制御領域241のイオン化したドーパント濃度の積分が、ドリフト制御領域241を形成している半導体材料の絶縁破壊電荷の値の二倍未満であるということと同等である。半導体材料としてシリコンを用いる場合は、上記絶縁破壊電荷は、約1.2×1012e/cm2(eは基本電荷)である。
蓄積誘電体によってドリフト制御領域から分離されているドリフト領域の一面のみと隣り合っている、均一にドープされたドリフト制御領域(詳細には図示せず)について考慮した場合、誘電体層に対して垂直な方向におけるドーパント濃度の積分は、絶縁破壊電荷の値未満であることが、このドリフト制御領域について必要なことである。
ドリフト制御領域241に対して上述したドーピング仕様に準拠することによって、ドリフト領域211内における電位とは無関係に、ドリフト制御領域241内において誘電体層251の方向に、ドリフト制御領域241を形成する半導体材料の破壊電界強度よりも常に低い電界が構築されるという効果が得られる。
これらのドリフト制御領域241は、ドリフト領域211を形成する半導体材料と同一の材料および同一のドーピング濃度によって形成されていることが好ましい。また、これらドリフト制御領域241の寸法、特に第2の水平方向yにおける寸法は、誘電体層251の面積に対するネットドーパント電荷に関連して先に説明した条件を満たすように選択される。
上述のラテラルパワーMOSFETについて、まず当該素子をオン状態にするための機能、そして当該素子をオフ状態にするための機能について説明する。
MOSFETは、ゲート電極221に適切な駆動電位が印加されたとき、および、適切な電圧(nチャネルMOSFETの場合は正電圧)が、ドレイン領域214とソース領域212との間、あるいはドレイン電極232とソース電極231との間に印加されたときに、オン状態となる。pチャネルMOSFETの場合、電圧または電位は、互いに逆転している必要がある。
本実施形態においてはドレイン電極232に接続されているドリフト制御領域241の電位は、ドレイン領域214の電位に従っている。この場合、ドリフト制御領域241がpn接合部を介してドレイン領域214に接続されている場合は、ドリフト制御領域241の電位は、ドレイン領域214の電位よりも、pn接合部の順電圧の分だけ低くすることができる。
上記素子がオン状態になると、ドリフト領域211の不可避な電気抵抗によって、ドリフト領域211内の電位が基材領域212の方向において低下する。従って、ドレイン電極232に接続されているドリフト制御領域241の電位がドリフト領域211の電位よりも高くなり、基材領域212の方向におけるドレイン領域214からの距離が大きいほど、蓄積誘電体251における電位差が大きくなる。この電位差によって、電荷キャリアが蓄積される蓄積領域または蓄積チャネルが、蓄積誘電体251に隣り合うドリフト領域211内に生じるという効果が得られる。
これらの電荷キャリアは、本実施形態に見られるようにドリフト制御領域241における電位がドリフト領域211よりも高い場合は電子であり、この逆の状態であればホールである。ドリフト領域211に従ってドープされたドリフト領域を有するがドリフト制御領域は有していない従来の素子とは異なり、上記蓄積チャネルによって、上記素子のオン抵抗の低下が生じる。
上記素子において得られる上記蓄積効果は、ドリフト制御領域241とドリフト領域211とにおける電圧差のみならず、第2の水平方向yにおける蓄積誘電体251の厚さ(図111Aのd)、および上記蓄積誘電体の誘電率(比誘電率)に依存している。この場合、上記蓄積効果は、蓄積誘電体251の厚さdが小さいほど、また上記誘電率が大きいほど強力になる。上記素子がオン状態になると、ドリフト制御領域241とドリフト領域211との最大電位差、従って蓄積誘電体の最大許容永久電界強度負荷から、上記誘電体の最小の厚さが得られる。
蓄積誘電体251に適した材料としては、例えばドリフト領域211またはドリフト制御領域241を形成するために用いられる半導体材料(例えばシリコン)の半導体酸化物が挙げられる。蓄積誘電体251の典型的な永久電圧負荷である約100Vを大幅に下回る(例えば5V〜20V)場合、および蓄積誘電体251の材料として酸化ケイ素が用いられる場合は、誘電体251の厚さdは、約500nm未満、好ましくは約25nm〜約150nmの範囲内である。
上記素子は、ゲート電極221に適切な駆動電位が存在していない場合、および、ドレイン領域214とソース領域213との間に、ドレイン−ソース電圧(nチャネルMOSFETの場合では正のドレイン−ソース電圧)すなわち電圧(nチャネルMOSFETの場合では正電圧)が存在している場合は、オフ状態になる。これによって、ドリフト領域211内において、上記pn接合部からドレイン領域214の方向に空間電荷領域が形成されるように、ドリフト領域211と基材領域212との間のpn接合部には逆バイアスが印加される。この場合、ドリフト領域211内の逆電圧が低下する。つまり、ドリフト領域211における電圧が、上記逆電圧にほぼ対応する。
オフ状態では、ドリフト領域211内に上記空間電荷領域が広がるため、上記素子のドリフト制御領域241内においても空間電荷領域が広がる。この空間電荷領域は、本質的には、ドリフト制御領域241に関連して先に説明したドーピング仕様に準拠することによるドリフト制御領域の低いドーピング濃度によって生じる。この場合、蓄積誘電体251における電圧降下は、以下のように得られる最大値に限定される。
厚さdaccuの蓄積誘電体251は、ドリフト制御領域241およびドリフト領域211と共に静電容量を形成する。面積に関連する静電容量の大きさC’は、以下のように求められる。
C’=ε0εr/daccu (4)
この場合、ε0は自由空間の誘電率を表し、εrは用いられる誘電体の比誘電率を表している。比誘電率は、酸化ケイ素(SiO2)の場合は約4である。
誘電体251における電圧は、以下の式のように、公知の方法によって蓄積される電荷に依存している。
U=Q’/C’ (5)
上記Q’は、誘電体251の面積に対する蓄積電荷を表している。
上記静電容量によって蓄積可能な電荷は、ドリフト制御領域241の正味ドーパント電荷によって制限される。誘電体の面積に対するドリフト制御領域241の正味ドーパント電荷が絶縁破壊電荷QBr未満であると仮定すると、誘電体251に存在する電圧Uについて以下の式(6)が成り立つ。
従って、誘電体251に存在する最大電圧は、誘電体251の厚さdaccuに応じて直線的に上昇する。すなわち、上記最大電圧は、誘電体251の絶縁耐力とほぼ同程度の第1近似となる。εrがほぼ4、且つ厚さが100nmのSiO2を用いた場合、最大電圧負荷Uは6.8Vとなる。この値は、このような酸化物を用いた場合に連続負荷可能な値である約20Vを遥かに下回っている。この場合、シリコンの絶縁破壊電荷は、約1.2×1012/cm2である。
従って、オフ状態では、ドリフト制御領域241内に空間電荷領域が形成される。この空間電荷領域は、最大で、誘電体251に存在していると共にドリフト制御領域の低いドーピングによって制限される電圧分、ドリフト領域211の電位プロファイルとは異なる電位プロファイルを有していてよい。この場合、蓄積誘電体251における電圧は、その耐圧よりも常に低い。
上記素子の絶縁耐力は、ドリフト領域211のドーピング濃度、および空間電荷領域が広がる方向(すなわち、図111の実施形態に係る素子では第1の水平方向x)におけるドリフト領域211の寸法によって、決定的に決まる。この寸法は、以下において、ドリフト領域211の「長さ」と称される。この場合、十分に濃度の低いドーピングが施されている場合は、絶縁耐力は上記長さが大きいほど大きくなり、また上記長さに対し、ほぼ線形的に依存する。半導体材料としてシリコンを用いた場合、100Vの絶縁耐力を得るためには約10μmの長さが必要である。絶縁耐力は、ドリフト領域211のドーピング濃度が高いほど低下する。
本発明に係る素子のオン抵抗は、蓄積チャネルの形成に依存しており、ドリフト領域211のドーピング濃度にもわずかに依存している。本発明に係る素子では、高い絶縁耐力を得るためにドリフト領域211を低濃度にドープすることができ、またドリフト制御領域241によって蓄積チャネルを制御することによって低いオン抵抗が得られる。
この場合、ドリフト領域211の最大ドーパント濃度Nは、遮断される電圧Umaxと、オフ状態にある場合に、アバランシェ現象(アバランシェ破壊)に起因して半導体材料内において破壊が始まる臨界電界強度Ecritとに依存している。臨界電界強度Ecritは、シリコンを用いた場合は約200kV/cmである。pn接合部が、片面の階段接合部である場合、ドーピングと逆電圧との間に以下の式(7)の関係が成り立つ。
従って、600Vの耐圧特性を有するシリコン素子の場合では、ドリフト領域211のドナーまたはアクセプタドーピングNは、約2・1014/cm3未満である必要がある。
上述した理由により、蓄積誘電体251への電圧負荷は、先に説明したような典型的な寸法設定を行った場合では、蓄積誘電体251へ負荷できる最大電圧よりも常に低い。このため、蓄積誘電体251は、先に説明したような典型的な寸法設定を行った場合では、公知のフィールドプレートとは異なり、素子の絶縁耐力を制限することがない。
図111A〜図111Dを参照しながら説明した素子の場合、ドリフト制御領域241は、ドレイン領域214のみと接続されている。当該素子がオフ状態になると、電子−ホール対が生成する熱によって、ドリフト制御領域241(本実施形態においてはn型ドープされている)内にホールが蓄積され、蓄積されたこれらのホールは流れ出すことはない。蓄積される電荷の量は、蓄積誘電体251の最大電界強度に達して誘電体251が破壊されるまで、経時的に増加する。
参照した図112は、図111に基づく素子の一変形例を示している。上記一変形例は、部分的にトンネル誘電体253として設けられている蓄積誘電体251の特性によって、トンネル誘電体253の電界強度が絶縁破壊値に達すると、残りの蓄積誘電体251の電界強度が絶縁破壊値に達する前でも、蓄積された各電荷キャリアが直ちにドリフト領域211内に流れ出る。典型的な実施形態は図112に図示されており、上記トンネル誘電体253は、基材領域212に対面する側の各ドリフト制御領域241の端部の領域内に配置される。
トンネル誘電体として、例えば、酸化ケイ素(SiO2)または窒化ケイ素(Si3N4)の各層体、または他の、酸化ケイ素および窒化ケイ素からなる多層構造体は好適なものである。シリコン、酸素および窒素からなる混合誘電体も同様にトンネル誘電体として適用可能である。一般的な、トンネル効果の絶縁破壊の電界強度は、1V/nm〜2V/nmの範囲内である。13nmの厚さを有するトンネル酸化物253において、上記範囲内は、13V−26Vの最大電圧を結果として生じる。上記最大電圧は、通常のオフ状態の間における蓄積誘電体251にて存在している電圧より高い。また、例えば、100nmの厚さを有する酸化ケイ素からなる蓄積誘電体251は、何ら問題無く、上記最大電圧に耐えるものである。
図113は、図111に基づく素子に係る他の変形例の素子の要部を斜視図にて示す。図111Dに図示された、ドレインおよびソースの各領域214、213と接触しているドレインおよびソースの各電極は、簡潔な記載の理由により、図113に示す素子には図示されていない。
上記素子では、半導体基材100は、いわゆるSOI基板として具現化されており、かつ、半導体基板103と半導体層104との間に、連続的な絶縁層105を含む。上記半導体層104内では、ドリフト領域211、ドリフト制御領域241、および、ドレインおよびソースの各領域213、214も組み込まれて集積されている。上記の場合、上記絶縁層は、半導体酸化物からなり、例えば、ドリフト領域211およびドリフト制御領域241の双方を、基板103から絶縁するものである。上記半導体基板103は、半導体層104と同一の伝導型であってもよいし、半導体層104とは相補的な逆の伝導型であってもよい。
オフ状態での動作中において、絶縁層105との界面部分での基板103内に、電荷キャリアの所望しない蓄積を防止するために、各カットアウト部106を、ソース領域213の下方、および/またはドレイン領域214の下方の絶縁層105内に設けてもよい。上記各カットアウト部106は、ドリフト領域211および基板103の間の接続領域226を形成する、ドープされたまたはドープされていない半導体材料により充填されている。
上記各カットアウト部106を設けた場合、ドレイン領域214つまりドレイン電極の下方の接続領域226は、絶縁層105との界面部分での基板103内に蓄積した電子をドレイン領域214に放散させるために好適なものである。絶縁層105との界面部分での基板103内に各ホールが蓄積した場合、ソース領域213の下方の接続領域226は、上記各ホールをソース領域213に放散させるために好適なものである。
図113による素子の場合では、ゲート電極221は、図111の素子の半導体基材100の表面101の上方に配置されている。上記ゲート電極221およびその下に位置するゲート誘電体は、ストリップ状に形成され、かつ、例えば、それぞれ、ドリフト領域の個々の各区域の幅bに合わせて第2の水平方向yに沿って伸びるように形成されている。ドリフト領域211の上記幅bは、2つの互いに隣り合う各ドリフト制御領域241の距離により設定される。
詳細には図示されていないように、ゲート電極221は、第2の水平方向yに沿って、半導体基材100の全領域上に渡って伸びていてもよく、また、各ドリフト制御領域 241およびドリフト領域211の各区域が配置された、半導体基材100の各部分上に渡って伸びていてもよい。
上記の接続では、ゲート電極221のドリフト制御領域241上への水平方向でのオーバーラップは許容され、ゲート電極221の形成と同様に、ドリフト制御領域241は、第2の水平方向yでの長さが、ドリフト領域211の第2の水平方向yでの長さより短いことに留意されたい。
図114Aないし図114Dは、図111に示す本発明に係るパワーMOSFETのさらに他の変形例を示す。図111Aないし図111Dに基づき、図114Aは、表面101に近い位置の水平方向断面での上記素子を示し、図114Bおよび図114Cは、図111Aに示すC−C線矢視、D−D線矢視での、上記素子の互いに異なる2つの各垂直方向断面をそれぞれ示し、かつ、図114Dは、上記素子の一部断面の斜視図を示す。
図111に基づく素子の場合における各ドリフト制御領域241は、ドレイン領域214つまりドレイン電極232への接続のための接続領域242を1つのみ有している一方、図114に基づく各ドリフト制御領域241は、それぞれ、第1の水平方向xに沿った、第1の接続領域242から離れて配置された第2の接続領域244を有している。
前述されているように、上記各第2の接続領域244は、ドリフト制御領域241とドーピング伝導型を同一としてもよいが、各第2の接続領域244を、ドリフト制御領域241に対して相補的なドーピング伝導型としてもよい。図示された実施形態では、各第2の接続領域244の各外形寸法は、第2の水平方向yにおいてそれぞれ隣り合って配置された各基材領域212の各外形寸法に一致している。
それゆえ、各第2の接続領域244は、各基材領域212の表面位置から第1の水平方向xに沿って形成されており、かつ、各基材領域212と同じ深さまで垂直方向vに沿って、半導体基材100の内部に伸びている。各第2の接続領域244の形成を、同一の各方法ステップ、つまり、同一のイオン注入および/または拡散の各方法ステップによる各基材領域212および各第2の接続領域244の製造により達成できる。
しかしながら、各第2の接続領域244における、半導体基材100の水平方向および垂直方向の各寸法は、各基材領域212と必ずしも一致している必要はないことを指摘しておく。ドリフト制御領域241および基材領域212は、図114Aの断面に対応する図115に図示されているように、半導体基材100の第1の水平方向xにて、互いにオーバーラップしていてもよい。
本実施形態の素子のスイッチング特性に対するドリフト制御領域241の作用を回避するために、基材領域212と同じ伝導型にて、高濃度にドープされた各半導体領域216が、上記基材領域212内のドリフト制御領域241に隣接して設けられている。
各第2の接続領域244と高濃度にドープされた各半導体領域216との各境界も、図115と異なり、第1の水平方向xにて、互いにオフセット、すなわち、互いにずらして設けてもよい。
図114Aの素子の場合、ソース領域213と基材領域212とは、ソース電極231によって連結されて接続されている。一方、ドレイン領域214つまり複数の各ドレイン領域部分は、ドレイン電極つまり各ドレイン電極部分232によって、接続されている。
本実施形態では、各ドリフト制御領域241の各第1の接続領域242は、それぞれ、第1の接続電極s 233に接続されており、以下に、各ドレイン電極232による内部接続について説明する。各ドリフト制御領域241の各第2の接続領域が、各ドリフト制御領域241の各第2の接続電極に接続されている。以下に、同様な、他の各内部接続について説明する。
図114Aないし図114Dに図示されたパワーMOSFETの場合、ゲート電極221は、複数の各ゲート電極部分を有している。複数の各ゲート電極部分は、各ドリフト領域211の個々の幅上においてのみ、それぞれ、第2の水平方向yに沿って伸びている。
図114Dによれば、ゲート誘電体222は、本実施形態では、連続したストリップ型誘電体層として形成されてもよい。図114Bおよび図114Cに記載の参照符号223は、絶縁層または保護層を示している。絶縁層または保護層は、ゲート電極221をソース電極231から絶縁し、かつ、半導体基材の表面101上にて各ドリフト領域211および各ドリフト制御領域241を覆っている。
詳細には図示されていないが、第2の水平方向yに沿った各ゲート電極221および/またはゲート誘電体222の各寸法は、第2の水平方向yに沿った各ドリフト領域211の各寸法と異なっていてもよい。それゆえ、共通のゲート電極221が、図114Dに示すゲート誘電体222に合わせて、連続した電極層として特に設けられていもよい。
図114に基づく素子の一変形例の素子を示す図116を参照して、ゲート電極221が、第2の水平方向yに沿って連続したストリップ型の電極221として実現されてもよい。それゆえ、上記ストリップ型の電極221は、各基材領域212上、各ドリフト制御領域241上または各ドリフト制御領域241の各第2の接続領域(図116では図示せず)の上を、第2の水平方向yに沿って伸びている。
図117は、図114に図示されたパワーMOSFETの他の変形例を示す。上記他の変形例の素子では、半導体基材は、図113に示す素子に基づくSOI基板として実現され、半導体基板103、半導体基板103上に配置された絶縁層105、および半導体層104も有している。上記半導体層104は、絶縁層上に配置されている。上記半導体層104内には、各ドリフト領域211、各ドリフト制御領域241、各ソース領域213、各基材領域212、各ドレイン領域214、および、各ドリフト制御領域241の各接続領域s 242、244も配置されている。
図117に示す素子では、ゲート電極221は、ドリフト領域211の幅の範囲内のみにて、それぞれ伸びて形成されているが、ドリフト領域211の幅から異なる寸法に形成されてもよい。また、上記ゲート電極221は、図116に示す素子のように、連続したストリップ型ゲート電極(図示せず)として実現されてもよい。
ドリフト制御領域241またはドリフト制御領域241の第1および第2の各接続電極との種々な各接続方法について以下に説明する。
図118Aおよび図118Bに図示された第1実施形態では、ドリフト制御領域241を、ドレイン領域214つまりドレイン電極232に対し、ドレイン側端部に位置する第1のダイオード261を介して接続し、かつ、ソース領域つまりソース電極231に対し、ソース側端部に位置する第2のダイオード262を介して接続するための構成を提供している。本実施形態では、これらの2つの各ダイオード 261、262は、半導体基材100内に組み込まれている。
第1のダイオード261は、図111の素子に関連して説明された各接続領域242、243によって形成されている。接続領域242は、ドリフト制御領域241と同じ伝導型であり、接続領域243は、ドリフト制御領域241に対し相補的にドープされている。本実施形態の素子では、ドレイン電極232および第1の接続電極233は、ストリップ型に形成された共通電極として実現されており、各ドリフト領域241、および各第1の接続領域242に対し相補的にドープされた各接続領域243に対し接続されている。
第1のダイオード261は、ドレイン電極232と第1の接続電極234との間の外部ダイオード(図示せず)として実現されてもよい。
本実施形態では、第2のダイオード262は、各ドリフト制御領域241に対して相補的にドープされている各半導体領域として実現されている各ドリフト制御領域241における第2の接続領域244の物性によって実現されている。本実施形態においては、ソース電極231および第2の接続電極234は、互いに電気的に接続されており、また、図118Bに図示されたドレイン電極232に基づき、共通のストリップ型電極(図示せず)として実現されてもよい。
第2の接続電極234と第2の接続領域244との間の接続抵抗を低減するために、より高濃度にドープされた半導体領域245を、必要に応じて、第2の接続領域244内に形成して、第2の接続電極234による第2の接続領域244へ接続してもよい。
図118Aおよび図118Bに図示された素子の各機能について以下に説明する。
図示されたnチャネルMOSFETは、ゲート電極221に対し適切な駆動電位が印加され、また、ドレイン−ソース間に正電位が印加されると、オン状態に切り換わる。その結果、ソース領域213とドリフト領域211との間の基材領域212内に、反転チャネルが形成される。上記動作状態の間、第1のダイオード261は、順方向にバイアスされている。一方、第2のダイオード262は、逆方向にバイアスされている。この場合、第2のダイオード262は、その絶縁耐力が、上記素子が上記オン状態にて駆動されるときのドレイン−ソース間に存在する電位より高くなるように規格が設定されている。
オン動作状態の間において順方向にバイアスされている第1のダイオード261により、ドリフト制御領域241の電位は、ドレイン電位から第1のダイオード261の順方向電位を引いた電位に相当する。ドリフト領域211内を流れる負荷電流、および、それゆえに、ドリフト領域211の広い方の各領域を横切った方向にてドリフト領域211内に生成されるバルクの電圧降下による、ドリフト制御領域241の電位は、ドリフト領域211内の電位より大きくなる。それによって、蓄積誘電体251を横切って生じる上記電圧降下は、ドリフト領域211内において、蓄積誘電体251に沿った領域にて蓄積チャネルの形成を招来する。
上記素子がオフ状態にて駆動される、つまり、高い正のドレイン−ソース電位が存在するが、反転チャネルが形成されていないとき、空間電荷領域がドリフト制御領域241内に形成される。蓄積誘電体251を横切る電圧は、前述したように、第2の水平方向yでの各ドリフト制御領域241内の低濃度のドーパントによって、上限が設定されている。
第2のダイオード262は、上述と同様に上記オフ状態での駆動の間、逆バイアスされている。この場合、上記オフ状態の素子でのドリフト制御領域241内に形成され、かつ、ドリフト領域211により制御される空間電荷領域は、電圧印加による絶縁破壊に対して第2のダイオード262を保護する。
好ましくは、ドリフト制御領域241に対する第2のダイオード262耐圧特性、およびドリフト領域211に対する基材領域212の耐圧特性は、第2のダイオード262および基材領域212が同一の方法ステップにて特に作成されるのであれば、同様な高い耐圧特性を有している。
図118Aおよび図118Bに図示された素子の場合、オフの動作状態では、ドリフト制御領域241を介してソース領域つまりソース電極231に接続される第2のダイオード262は、熱性にて生成される各電荷キャリアを、ドリフト制御領域241から流し出すことができる。それゆえ、熱性の各電荷キャリアの蓄積に起因する蓄積誘電体251の電圧による絶縁破壊を防止できる。
第2の機能(いわゆる、以下に示す、電荷を捕捉する機能)は、本実施形態では、生成された各ホールがp型領域を介して流れ出すため、生じない。もし、図示された場合のように、p型領域は、ソースに対し直接的に接続されているならば、電荷の蓄積は生じない。しかしながら、p型領域が、ソースに対し、外部ダイオードまたはキャパシタを介して、また、上記キャパシタを内の電圧を限定するための好適な、他のダイオードを介して接続されるとき、上記電荷を蓄積する、前述した効果が生じる。
ドリフト制御領域241内にて電荷を「捕捉」することは、図120または図121に基づく内部接続が存在するときに説明されるように機能する。この場合、ダイオード 261および/またはダイオード266は、内部に組み込まれても、外部に取り付けられてもよい。ドリフト制御領域241の下部または右手方向部分は、単に、n+にドープされた領域242を含む必要がある。
上記素子がオン状態にて駆動されるとき、本実施形態での第1のダイオード261は、ドリフト制御領域241からドレイン電極232へ各ホールが流れだすことを防止する。
図119に示すように、第1のダイオード261を省いてもよい。しかしながら、上記省略は、オン状態での損失を増加させる結果となる。なぜなら、ドリフト制御領域241内でのホールの蓄積が生じず、むしろ、ドリフト領域内のバルクの電圧降下、およびチャネルの形成のための、対応して増加されたドレイン電圧を利用できるだけとなるからである。
必要に応じて、ソース電極231と接続電極234との間を接続する他のダイオード265を、図119では破線で示すように設けてもよい。他のダイオード265は、ダイオード261のように、内部または外部素子として実現されてもよい。他のダイオード265はは、上記素子がオフ状態にて駆動されるとき、ドリフト制御領域241に対して相補的にドープされた第2の接続領域244内において、p型の各電荷キャリアすなわち各ホールが、基材領域212(その位置は破線にて図示された)に隣り合う、蓄積誘電体251の各領域内に蓄積されることを可能にする。
上記素子が、実質的にオン状態にて駆動される場合、蓄積誘電体251に沿ったドリフト領域211内の蓄積チャネルを制御するために、上記各ホールは、ドリフト制御領域241内にて必要とされる。上記のようなスイッチオンの状態の場合、上記各ホールは、基材領域212に近い位置のドリフト制御領域領域から抽出され、ドレイン領域214の方向、またはドリフト制御領域の第1の接続領域242の方向にシフトされる。
上記素子が、実質的にオン状態にて駆動されるとき、第2のダイオード262のホールの電荷は、上記素子がオフ状態に駆動されるとき、ストレージ静電容量として機能し、ドリフト領域211、蓄積誘電体251およびドリフト制御領域241によって形成された「蓄積静電容量」にシフトされる。
図120を参照して、上述した電荷の蓄積の効果は、ソース電極231との第2の接続電極233との間を連結する静電容量263によって達成されてもよい。上記静電容量は、図120においてキャパシタ263として図示され、半導体基材内、または、半導体基材の外部にて、何れの望ましい形態にて実現されてもよい。
オフ状態での漏れ電流により充電されるキャパシタ263内に生じる電圧を限定するために、図121に示すようにキャパシタ263に対し並行に、ダイオード266を設けてもよい。ダイオードの絶縁破壊電圧の規格は、キャパシタ263の絶縁耐力に適応、つまりキャパシタ263の絶縁耐力より若干小さく設定されている。
図120の素子および図121の素子の双方の場合、必要に応じて、第1のダイオード261を、各図では破線にて図示されているように、ドリフト制御領域241のドレインが端部とドレイン領域214つまりドレイン電極232との間に設けてもよい。
上記ダイオード261は、具体的には、各接続電極233、234のそれぞれへの内部接続によって形成されたダイオード266のように接続されてもよく、好ましくは、単結晶半導体材料中のダイオード構造、または、単結晶の半導体基材100上のいわゆる「ポリシリコンダイオード」として設けられてもよい。
図122に図示された、さらなる典型的な実施形態では、外部ストレージ静電容量263が、他のダイオード264を介してゲート電極221に接続されて設けられている。この実施形態では、他のダイオード264のアノードは、ゲート電極221に接続され、カソードは 第2の接続電極233、または第2の接続電極233に面する静電容量263の接続部に接続されている。
上記他のダイオード264は、p型の各電荷キャリアが、ゲート駆動回路から順次供給されるという効果を有している。第1のダイオード261が、ドリフト制御領域241からドレイン電極232への各ホールが流れだすのを防止しているときでさえ、p型の各電荷キャリアは、電荷の組み換えを通して、または各漏れ電流によって、不可避的に失われるので、順次供給される必要がある。
他のダイオード264は、具体的には、MOSFETが、最初、オン状態に駆動されたとき、上記静電容量263は、ドリフト制御領域241内にて熱性により生成された逆電流により以前において既に充電されていない場合、ゲート駆動回路から充電される。この場合、上記電圧を限定するダイオード265は、必要に応じて、キャパシタ263に対し並列に接続されてもよい。
「外部」の静電容量263を半導体基材100内に組み込むための種々な各可能性について、以下に、図123ないし図126を参照して説明する。
図123は、半導体基材内に組み込まれた横型MOSFETのトランジスタ構造を有する半導体基材の一部を示す要部断面斜視図を示す。簡明な記載のために、本実施形態では、水平方向に伸びるように形成されたドリフト領域211、水平方向に伸びるように形成されたドリフト制御領域241、およびドリフト領域211とドリフト制御領域241との間に配置された蓄積誘電体251のみが図示されている。
本実施形態では、静電容量263は、半導体基材100の裏面102に形成された誘電体層271または半導体基板103、半導体基板103および誘電体層271上に形成された電極層272によって形成されている。本実施形態においては、電極層272は、詳細には図示されていないが、MOSFETのソース電極に接続されている。それゆえ、静電容量263の接続部位の電位は、ソース電位である。
本実施形態では、半導体基板103は、ドリフト制御領域241に対し直接的に隣接してもよく、ドリフト制御領域241および半導体基板103は互いに同じ伝導型であってもよい。静電容量の第2の接続部は、基板103によって形成されており、ドリフト制御領域241に対して直接的に接続されている。
一変形例として、誘電体層252は、半導体基板103とドリフト制御領域241との間に配置されてもよい。本一変形例では、静電容量の第2の接続部は、ドリフト制御領域241に対し、接続線(詳細には図示せず)を介して接続される必要がある。
基板103より高濃度にドープされた半導体層273は、必要に応じて、基板103の一面側に設けてもよい。半導体層は、直接的に、蓄積誘電体271に対し隣り合い、空間電荷領域の、誘電体271から基板103内への拡張を防止するので、安定で、大きなストレージ静電容量を保証する。
本実施形態においては、基板103のドーピング濃度は、ドリフト制御領域241のドーピング濃度に対応していてもよい。何れの場合でも、基板103のドーピング濃度は、上記素子に生じる逆電圧のほぼ全体がトランジスタのドレイン領域下にて生じるように、十分に低い濃度である必要がある。
一変形例として、半導体基板103のドーピングが、ドリフト制御領域241より、いくらか高くてもよい(上述した条件の範囲内)。そして、上記より高濃度にドープされた中間領域273を省くことができる。その上、ドリフト制御領域241を、半導体基板に対して相補的なドーピングとしてもよい。
ストレージ静電容量の容量を大きくするために、図124および図125に示すように、蓄積誘電体271の形状を、平面型ではない、水平方向に対し、非平面型、例えば、凹凸状に形成してもよい。この場合、より高濃度にドープされた領域273は、必要に応じて、誘電体271の形状に沿うように設けてもよいし(図125)、また、半導体基板103との界面が、実質的に平面となるように実現されてもよい。
図126に示すように、外部静電容量263は、ウエハ結合法によって実現されてもよい。この場合、誘電体層271が形成される半導体基材は、例えば、熱処理を含む結合法によって、半導体基板の裏面側上に結合される。この場合、基板は、上記裏面側の領域内により高濃度のドープされて、より高濃度にドープされた中間領域273を得ることができる。上記結合された半導体基材における、基板103から離れた結合面上の電極層272は、ストレージ静電容量の良好な電気的な接続を保証する。
ゲート電極221が、半導体基材の表面101の上方に配置された、上述した各素子では、反転チャネルが、半導体基材100の表面101の領域内における、ゲート誘電体222の下方の基材領域212内に伸びるように形成される。この場合、有効なチャネル幅は、ドリフト領域211の合計幅、すなわち、2つの各ドリフト制御領域241間に位置する、各ドリフト領域区域のそれぞれの各幅b(図111A)の合計によって、ほぼ決定される。
上記素子がオン状態に駆動されるとき、ドリフト領域211内の電流は、蓄積誘電体251に沿ったドリフト領域211内に形成される各蓄積チャネル内に集中する。上記蓄積チャネルの領域の各寸法は、蓄積誘電体251に対して直交する方向、つまり、前述した本発明に係る各素子での第2の水平方向yでは極めて小さく、よって、2つの各ドリフト制御領域214の相互間の距離、つまり各ドリフト領域211のそれぞれの各部分の幅bを、上記素子の抵抗値への顕著な影響無しにて、極めて小さく選択、すなわち、上記蓄積チャネルの各寸法値のほぼ倍までに低減することができる。
2つの各ドリフト制御領域241間における距離の低減量の増加に伴い、すなわち、ドリフト領域211の部分における幅bの低減量の増加に伴い、前述した各素子の場合では、ドリフト領域211のそれぞれの部分において有効な、基材領域212の反転チャネルのチャネル幅においても低減が生じる。この低減は、オン抵抗を増加させる。蓄積チャネルの第2の水平方向での寸法は、例えば、50nm未満の範囲内にある。
上記オン抵抗が増加する問題を回避できる各素子について、図127ないし図129を参照して以下に説明する。ゲート電極221は、半導体基材の表面101から半導体基材100の内部に、垂直方向に沿って伸びるように形成されている。図127A、図128Aおよび図129Aのそれぞれは、各ゲート電極221が内部に組み込まれた半導体基材100の表面の平面図を示す一方、図127B、図128Bおよび図129Bのそれぞれは、上記各素子における第1の垂直方向の断面図を示し、図127C、図128C、図129Cのそれぞれは、上記各素子における第2の垂直方向の断面図を示す。
図127に基づく素子の場合では、ソース領域213は、基材領域212内に配置され、かつゲート電極221は、ソース領域213、基材領域212を通り、垂直方向に沿ってドリフト領域211の内部に進入する位置まで伸びて形成されている。この場合、ゲート電極221は、第1の水平方向xに沿ったドリフト領域211の延長部内に、かつ、第2の水平方向yに沿った蓄積誘電体251からの離れた位置に配置されている。
上記素子が、オン状態に管歐姿漣されたとき、反転チャネルは、ソース領域213から基材領域212を通りドリフト領域211に達するゲート誘電体221に沿って、垂直方向に伸びるように形成される。本実施形態では、反転チャネルのチャネル長は、ソース領域213とドリフト領域211との間の垂直方向vでの基材領域212の寸法によって決定される。上記チャネル長は、図127Bおよび図127Cでは、「l」により示されている。
本実施形態においては、図127Bは、ゲート電極221の領域内での半導体基材100の垂直方向の断面図を示す一方、図127Cは、ゲート電極221と蓄積誘電体251との間の領域での半導体基材100内部の断面図を示す。
ドリフト制御領域の断面図およびドリフト制御領域の各接続領域242、244の図示については、図127では省略されている。上記断面図は、図114Cを参照して前述された断面図に対応している。本実施形態のドリフト制御領域241は、詳細には図示されていないが、図118ないし図122に関する各説明に沿ってソース電極およびドレイン電極に接続され、または、図111に関する説明に沿ってドレイン領域214のみに接続されてもよい。
詳細には図示されていないが、図127に図示された素子の半導体基材100は、図111に示す半導体基材に沿って実現されてもよい。この場合、半導体層104は、半導体基板103に対して直接的に形成されている一方、ドリフト制御領域241は、さらなる絶縁層252によって半導体基板103から絶縁されている。さらに、図127に図示された素子の他の変形例として、図113に示す素子と同様に、SOI基板内に、連続的な絶縁層105を半導体基板103と半導体層104との間に設けてもよい。
図128は、パワーMOSFETとして実現され、図127に示す半導体素子の一変形例を示したものである。図128に図示された素子では、反転チャネル長が、第1の水平方向xでの、ソース領域213とドリフト領域211との間の距離によって決定される。上記素子の場合、ゲート電極221は、半導体基材の内部を、ソース領域213から基材領域212を通り、ドリフト領域211の内部に進入する位置まで垂直方向vに沿って伸びて形成され、かつ、ゲート誘電体222により絶縁されて、第1の水平方向xに沿って伸びている。上記素子がオン状態に管歐姿漣されるとき、長さ「l」を有する反転チャネルは、第1の水平方向xにゲート誘電体222に沿って伸びるように形成される。
図128Bおよび図128Cに示すように、ソース領域213は、基材領域212内に配置され、それゆえ、ドリフト領域211から基材領域213によって、第1の水平方向xおよび垂直方向vの双方にて離間されている。図128Bおよび図128Cに破線にて示したように、ソース領域213および基材領域212のそれぞれを、半導体基材100の表面101から、垂直方向vに沿って、半導体層104の下方に配置された半導体基板103まで、あるいはSOI基板を用いたとき、絶縁層105まで伸びて形成されてもよい。
図127による素子に類似する他の変形例として、ゲート電極221は、基材領域212より、垂直方向vにそって、より深く伸びて形成されてもよい。その結果、オン状態にスイッチされた場合では、反転チャネルを第1の水平方向xおよび垂直方向vの双方に形成できる。
図129は、図128に図示された素子の一変形例を示す。上記素子の場合では、ゲート電極221は、ドリフト制御領域241の延長部内にて、第1の水平方向xに沿って、基材領域212と第2の水平方向yに沿って隣り合って配置されている。上記素子の場合では、蓄積誘電体251およびゲート誘電体222は、共通の誘電体層により形成されている。共通の誘電体層は、第2の水平方向yにて、ドリフト領域211を、ドリフト制御領域241および基材領域212から分離し、かつ、ソース領域213の各部分、およびドリフト領域211もゲート電極221から分離している。第1の水平方向xにおいて、ゲート電極221は、他の誘電体層つまり絶縁層224によって、ドリフト制御領域241から分離されている。
図129Bおよび図129Cに示すように、上記素子の半導体基材100は、半導体基板103、絶縁層105および半導体層104を有するSOI基板として実現される。図129Bに示すように、上記基材および各ソース領域212、213は、半導体基材100の垂直方向vに沿って、絶縁層105まで伸びて形成されている。ゲート電極221についても、同様に、垂直方向vに沿って絶縁層105まで伸びるように形成されている。上記素子の場合では、反転チャネルは、ソース領域213とドリフト領域211の間の基材領域212内において、ゲート誘電体222に沿った第1の水平方向xに沿って形成される。
詳細には図示されていないが、基材領域213の下端を絶縁層105の上方にて設定してもよく、かつ、ソース領域213を、基材領域212に内部内のみに配置してもよい。それゆえ、図127による素子に基づく、反転チャネルが垂直方向vに伸びるパワーMOSFETを得ることができる。
図129に係る素子のドリフト制御領域241は、図118ないし図122に関する各説明に沿って接続することが可能である。この場合、ドリフト制御領域241の第2の接続領域244は、第1の水平方向xにおいて、ゲート電極221のさらなる絶縁層224に隣り合って、ドリフト制御領域241内に配置されてもよい。
詳細には図示されていないが、第2の接続領域244は、基材領域212の深さ全体上にて垂直方向vに沿って伸びていてもよく、および/または絶縁層105にまで上記垂直方向に沿って伸びていてもよい。
図111ないし図113に関する各説明に基づき、当然のことながら、ドリフト制御領域をドレイン電位に対し第1の接続電極233を介してのみ接続してもよい。この接続において、間にダイオードを挿入しても、挿入しなくともよい。
図130および図131は、SOI基板による横型パワーMOSFETに関するさらに他の典型的な各実施形態を示す。本実施形態では、MOSFETがそれぞれ組み入れられている半導体基材100は、半導体基板103、半導体基板103上に配置された 絶縁層105、および絶縁層105の上方に配置された半導体層104も有している。上記半導体層104には、MOSFETの各活性素子領域が組み込まれている。
図130および図131による各素子の場合、絶縁層105は、カットアウト部106を有している。上記カットアウト部106は、基材領域212に隣接する接続領域217を通り、絶縁層105を通って伸び、半導体基板103の内部にまっすぐに進入するように伸びて形成されている。上記接続領域は、基材領域212と同一の伝導型である。半導体基板103は、接続領域217に対して相補的にドープされている。
図130による素子の場合では、基板に対して相補的にドープされている各フィールド領域218A、218B、218C、218Dが、半導体基板103内に配置されている。各フィールド領域は、互いに離間して第1の水平方向xに沿って配置され、かつ、絶縁層105に対して直接的に隣り合っている。
第2の水平方向yでは、上記各フィールド領域218A〜218Dは、詳細には図示されていないが、ストリップ形状にて形成されている。本実施形態では、フィールド領域218Aは、接続領域217に最も近い位置に配置され、接続領域217に直接的に接続されている。互いに隣り合う2つの各フィールド領域218A〜218Dにおける水平方向の間隔は、好ましくは、接続領域217からの距離が大きくなるに伴い、大きくなっている。
各フィールド領域218A〜218Dは、パワー半導体素子類の各エッジ端部からの公知な各フィールドリングの機能を満たすものであり、誘電体の絶縁層105を通して、ドリフト領域211内の電界分布を制御して、所定の電位が印加される半導体基板103の場合での絶縁層105への電圧負荷を低減することを目的とするものである。上記電位は、接地電位または基準電位であってもよく、また、ドレイン電位に対応するものであってもよい。
図131による素子の場合では、上記と同じ目的が、半導体基板103に対して相補的にドープされたフィールド領域219によって達成される。上記フィールド領域は、垂直方向vでのドーパント濃度が、接続領域217のからの距離が増加するに伴い減少するように形成されている。そのようなフィールド領域は、VLD領域(VLD=水平方向ドーピングの変化)として称されてもいる。
図131に示すように、カットアウト部106は、ドレイン領域214の下方の絶縁層105内に設けられてもよく、接続領域228のカットアウト部(切欠き部)を通してドレイン領域214から半導体基板103まで伸びて形成されてもよい。
カットアウト部の領域では、半導体領域227は、必要に応じて、第1の水平方向に沿って絶縁層105の下方まで伸びて形成され、かつ接続領域228と接続されてもよい。各フィールドリング229A、229Bが、必要に応じて、ドレイン領域214の下方の領域内の上記基板内に設けられてもよい。
上記各フィールドリングの機能は、図130に示した各フィールドリングの機能に相当する。接続領域228、基板103内の半導体領域227、および各フィールドリングは、ドレイン領域214と同じ伝導型であることが好ましい。これらの各領域は、ドリフト領域211より、高濃度にてドープされていることが好ましい。
図130および図131に図示された各素子の場合では、ゲート電極221は、半導体基材の表面101の上方にて、平板型の電極として配置されている。上記ゲート電極は、言うまでもなく、詳細には図示されていないが、図127ないし図129に示す典型的な各実施形態に基づく、トレンチ電極として実現されてもよい。
その上、図130および図131による各素子の場合においては、ドリフト制御領域241は、第1の接続領域242、および第1の接続領域242に対して相補的にドープされた半導体領域243の間のpn接合によって形成されたダイオードを介して、ドレイン電極232に対し接続されている。
さらに、第2の接続電極234を介してドリフト制御領域241と接続されている。ドリフト制御領域241は、図118ないし図122を参照して前述された各方法の何れにより接続されてもよい。その上、ドリフト制御領域241を、図111ないし図113に示した典型的な各実施形態において前述されたように、ドレイン電位にのみ接続してもよい。
SOI基板に基づかない上述した各素子の場合では、ドリフト領域211は、ドリフト領域211の下方に位置し、かつ、ドリフト領域211に対して相補的にドープされた半導体基板103に直接的に隣接しており、例えば、ドリフト制御領域241を半導体基板103から絶縁する絶縁層252(例えば図111Dを参照のこと)が前述した方法にて必要とされてもよい。
これらの各素子は、半導体基板103、半導体基板103上に配置された各ドリフト領域211、および、各ドリフト領域211に対して水平方向にて隣り合う各ドリフト制御領域241を有する基本構造に基づいている。上記各ドリフト制御領域は、各ドリフト領域211から、蓄積誘電体251によって絶縁され、かつ、半導体基板103から、さらなる絶縁体つまり誘電体層252によって絶縁されている。
図132を参照して、上記基本構造の素子における、可能な製造方法について以下に説明する。図132Aに示すように、上記製造方法の出発点の方法ステップは、半導体基板103を設けることによって形成されている。
図132Bに示すように、絶縁層252’を、半導体基板103の両面における一方の面上に形成する。絶縁層252’は、酸化物層であり、例えば、熱酸化により形成されてもよく、また、例えば、TEOS(テトラエチルオルソシリケート)といった酸化物を堆積して形成してもよい。
絶縁層252’を、続いて、絶縁層252’の個々の各部分を除去するパターニングにより、図132Cおよび図132Dに結果として図示された各ストリップ型絶縁層252が生じる。この場合、図132Cは、半導体基板103およびパターン化された絶縁層を有する構成の断面図を示す一方、図132Dは、上記構成の平面図を示す。
上記構成の場合、各ストリップ型絶縁層252のそれぞれは、前述の素子における第2の水平方向yに対応する水平方向において互いに離間して配置されている。第2の水平方向yにおける、残った各絶縁層252の幅は、前述の各ドリフト制御領域の幅を規定する一方、上記2つの各絶縁層252間の距離は、前述の各ドリフト領域211の幅を規定する。
図132Eに示すように、続いて、半導体層104を、パターン化された絶縁層252を有する基板103上に、エピタキシー法によって堆積して形成する。このとき、各絶縁層252は、エピタキシー的に各絶縁層252上に半導体層104が堆積される。
半導体層104がより厚く形成されるに伴い、得られたトランジスタのオン抵抗が、より低くなる。上記厚さは、次のエッチングおよび充填の各方法ステップの技術的な可能性およびそれらのコストによって限定される。一般的な厚さは、2μmから40μmの範囲内である。
図132Fに示すように、エッチングマスク200を用いて、半導体基板103および半導体層104から形成された半導体基材100の表面101からエッチングを進行させて、各トレンチが半導体基材100の内部にエッチングにより形成される。上記各トレンチは、第2の水平方向yにおいて互いに離間し、かつ、トレンチのそれぞれが各絶縁層252の水平方向端部の領域内に位置するように配置されている。
上記エッチングは、例えば、絶縁層252の材料にはエッチングしないが、半導体層104を選択的にエッチングするエンチャントによって行われる。このとき、上記各絶縁層252は、エッチング中での各エッチング停止層として機能する。
各トレンチ107の幅は、前述のドリフト領域211およびドリフト制御領域241間の最大負荷電圧により、また、上記誘電体層の形成のための方法によっても設定される。もし、上記誘電体層が、半導体材料の熱酸化により形成さるとき、トレンチ幅による半導体材料の減少を考慮すべきである。一般的なトレンチ幅は、熱酸化での各誘電体層の場合では、約20nmから、約100nmまでの範囲内であり、上記各トレンチへの誘電体の充填の場合では、約30nmから約200nmまでの範囲内である。
続いて、上記各トレンチ107内に、誘電体層を形成する。上記誘電体層は、例えば、酸化物層である。上記酸化物層の形成は、エッチングマスク200の除去の前、または後において、半導体基材100の露出した各領域の熱酸化によって実施しても、また、例えば、CVDプロセスによる絶縁体層の堆積、あるいは、上記各方法の組み合わせであってもよい。エッチングマスク200の除去後の上記熱酸化を使用するときは、酸化物層は、半導体基材100の表面101上にも生じ、その後、上記酸化物層は、例えば、アニソトロピックエッチング法により、再度、除去される必要がある。
図132Gは、上記各方法ステップが実行された後の半導体基材100を示す。図132Gに図示された上記基本構造では、上述した各半導体素子は、MOSFET構造における、基材、ソース、およびドレインの各領域212、213、214、並びに、各ドリフト制御領域241における各接続領域233、234もまた、例えば、慣例の各ドーピング方法や、イオン打ち込みおよび/またはイオン拡散法を含む公知な各方法によって実現されてもよい。
パワー半導体素子のドリフト領域211内での蓄積チャネルを制御するための低濃度にドープされたドリフト制御領域241の使用は、パワーMOSFET類に限定されず、ドリフト領域を有する、どのようなパワー半導体素子類にも適用可能である。上記のようなドリフト制御領域の使用は、具体的には、IGBT類に適用可能である。
上記のようなIGBT類は、ドリフト領域に相補的にドープされたドレイン領域214が、IGBTでは、エミッタ領域として参照されるという特性によって、上記各図を参照して前述したパワーMOSFET類と異なる。
ユニポーラのパワー半導体類の場合でも、ドリフト領域211内での蓄積チャネルを制御するための低濃度にドープされたドリフト制御領域241の使用により、具体的な利点が得られる。
ドリフト領域に隣り合って配置された低濃度にドープされたドリフト制御領域のためのさらに他の応用例は、パワーショットキーダイオード類です。上記タイプのショットキーダイオード類は、ショットキー金属領域が、基材領域212に代えて存在しており、さらに、ゲート電極が存在していないという特性によって、前述のパワーMOSFET類と異なる。
図133は、図113による実施形態の一変形例としての上記のようなパワーショットキーダイオードを示す。この場合、参照符号271は、ドリフト領域211に隣り合いうショットキー金属領域を示す。ショットキー金属領域271は、ドリフト領域211と共に、素子結合部272を形成し、上記素子がオフ状態のときに、ドリフト領域211内を伝搬する空間電荷領域の形成を促進する。
上記素子の場合では、ショットキー金属領域271は、アノード領域を形成する一方、ドリフト領域211内に高濃度にドープされた半導体領域214が配置される。半導体領域は、MOSFETではドレイン領域を形成し、ショットキーダイオードではカソード領域を形成する。このショットキーダイオードは、カソード領域214およびアノード領域261の間に正電圧が存在すると、オフ状態に切り換わる。
上述した本発明に係るパワー素子類では、ドリフト領域211およびドリフト制御領域241は、半導体基材100の第2の水平方向yに沿って、互いに隣り合い、かつ、蓄積誘電体251によって互いに分離されるように配置されている。この場合、上記素子がオン状態に駆動されるとき、ドリフト領域211内にて伝搬する蓄積チャネルに沿った蓄積誘電体251の領域は、半導体基材の表面101に対し直交する方向に伸びて形成されている。
図134Aないし図134Dは、本発明に係る、横型パワー半導体素子の他の典型的な実施形態を示す。上記素子の場合では、各ドリフト制御領域241は、ドリフト領域211に対して隣り合うように配置され、または、半導体基材100における、垂直方向vに沿ったドリフト領域211の個々の各部分に隣り合うように配置されている。
図134Aは、この半導体素子における、半導体基材100の表面101での平面図を示し、図134Bは、図134AのJ−J線矢視での、上記素子の垂直方向断面図を示し、図134Cは、図134AのK−K線矢視での、上記素子の垂直方向断面図を示し、および図134Dは、図134Bおよび図134CのL−L線矢視での、上記素子における、表面101に対し平行に伸びる水平方向断面図を示す。
各ドリフト制御領域241のそれぞれは、ドリフト領域211から蓄積誘電体251によって絶縁されており、かつドレイン領域214つまりドレイン電極232に対して電気的に連結されている。図134Bおよび図134Cでは、各ドリフト制御領域241のそれぞれと、ドレイン電極232との接続を、実線の接続線により図示されている。
第1の接続電極233が、各ドリフト制御領域241との接続のために設けられている。上記第1の接続電極233は、表面101から垂直方向に沿って半導体基材の内部を伸びて形成され、各ドリフト制御領域 241のそれぞれと接続されている。ただし、第1の接続電極233は、ドリフト領域211から絶縁されている。図134Eは、第1の接続電極233の領域内での上記素子の要部断面図を示す。この場合、第1の接続電極233は、ドレイン領域214に面する側の、各ドリフト制御領域241の端部に位置している。上記ドレイン領域214は、第2の水平方向yに沿った、望ましいどのような位置に配置されてもよい。図134Aは、例えば、水平方向断面が四角である、第1の接続電極233の可能な位置の一例を示す。
第1の接続電極233は、ドレイン電極232に対して、半導体基材の表面101における上方の接続リンク部235によって接続され、かつ、少なくともドリフト領域211から、上記表面上の絶縁層256により絶縁されている。図134Eに示す参照符号255は、半導体基材100内に伸びて形成されている接続電極233から、半導体基材100内のドリフト領域211を絶縁する垂直絶縁層を示す。
基材領域212またはソース領域213に面する側の、各ドリフト制御領域241の各端部との接続を可能にするために、第2の接続電極234が、上述した第1の接続電極233に対応して設けられ、かつ、半導体基材100内を、垂直方向に沿って、各ドリフト制御領域241の基材またはソース側の位置にて、各ドリフト制御領域241に接続され、ただし、各ドリフト領域211から絶縁されている。
必要に応じて設けられる、第2の接続電極234の可能な位置の一例は、図134Aにて破線に示されている。本実施形態では、各第2の接続領域244が、各ドリフト制御領域内に設けられている。上記各第2の接続領域は、各ドリフト制御領域241に対して相補的にドープされ、また、第2の接続電極が、各第2の接続領域と接続されている。
各ドリフト制御領域241については、図118ないし図122を参照して前述した各接続方法の望ましい何れの方法により、ドレイン電極232およびソース電極231 に対して接続してよい。各ドリフト制御領域241をドレイン電極232にダイオードを介して接続するために、例えば、各接続領域243を、接続リンク部235の領域内の、各ドリフト制御領域241内に設けてもよい。
上記各接続領域は、ドリフト制御領域241の残りの各領域に対して相補的にドープされている。上記のような各接続領域は、図134Eに図示されている。具体的には、高濃度にドープされた領域は、接続領域243とドリフト制御領域241との間に導入されてもよい。高濃度にドープされた領域は、接続領域243に対して相補的にドープされている。
ドレインでの耐電圧が存在しているとき、高濃度にドープされた領域は、蓄積ホールが、ドリフト制御領域から接続電極233へと流れだすことを防止する。ドリフト制御領域241に対して相補的にドープされた各接続領域244が、各ドリフト制御領域241とソース電極231との接続の目的のために、他の接続部237の領域内における各ドリフト制御領域241にそれぞれ対応して設けられてもよい。
図134にて図示された素子の場合では、基材領域212は、ドリフト領域211に対して相補的にドープされ、かつ、ドレイン領域214への方向内の第1の水平方向xに沿って伸びる各部分を有している。
各基材領域218の構成の特性により、各ドリフト領域211と各ドリフト制御領域241との各pn接合の積み上げは、第1の垂直方向xに沿って交互に積み重なっている。それゆえ、電界強度および各空間電荷領域のプロファイル(分布)は、実際上、上記2つの各半導体領域にて生じるプロファイルと同一である。このことは、オフ状態での動作内での蓄積誘電体251を横断する方向での静的負荷電圧を減少できる。
図134に示すMOSFETのゲート電極221は、半導体基材の表面101の上方の平板状の電極として配置されている。ソース領域213は、基材領域212、反転チャネルによって完全に囲まれている。上記反転チャネルは、上記素子がオン状態に駆動されるとき、半導体基材100の表面101の下方の、ソース領域213とドリフト領域211との間にて第1の水平方向xに沿って形成される。
図示された実施形態では、各ドリフト制御領域241とドリフト領域211との間の蓄積誘電体251の各領域は、表面101に対して平行に伸びて形成され、その結果、上記素子がオン状態に駆動されるとき、各ドリフト領域211内の各蓄積チャネルは、同様に、半導体基材の表面101に対して平行に形成される。
図135Aないし図135Cは、図134に図示された素子の一変形例を示す。上記素子の場合、ゲート電極221は、トレンチ電極として実現される。上記トレンチ電極は、表面101から半導体基材100内へ垂直方向に沿って伸びて形成されている。
図135Aは、半導体基材の表面101の平面図を示し、ソース、ドレイン、および各ゲート電極の図示については、簡明な記載のために省略されている。図135Bは、ゲート電極221を横切る上記素子の垂直方向断面図を示し、図135Cは、ゲート電極221から離れた位置での、第2の水平方向yに沿った平面での上記素子の垂直方向断面図を示す。
上記素子のゲート電極221は、ゲート誘電体222によって覆われ、第1の水平方向xに沿って、ソース領域213から基材領域212を通りドリフト領域211内部へ進入するように伸びて形成されている。上記素子がオン状態に駆動されるとき、本実施形態では、反転チャネルは、第1の水平方向に沿ったゲート電極221内の水平方向の各領域内に沿った基材領域212内に形成される。
詳細には図示されていないが、図134に示された素子に基づく各ドリフト制御領域241は、ドレイン電極232に対して第1の接続電極233(図135A)を介して接続されてもよく、また、ソース電極231に対して、必要に応じて設けた第2の接続電極234を介して接続してもよい(図135A)。
上記ゲート構造は、図128に関する各ゲートの形成についての各説明に基づいて実施されてもよい。上記実施では、図128に関する各説明にて特定される各変形例も包含される。
図136Aないし図136Dは、横型パワーMOSFETのさらなる典型的な実施形態を示す。上記実施形態では、各ドリフト制御領域241は、半導体基材100の垂直方向vに沿ったドリフト領域211の各部分に対して隣り合って配置されている。この場合、図136Aは、半導体基材の表面101の平面図を示し、図136Bおよび図136Cは、図136Aに示す、第2の水平方向yに沿って互いに離れた各位置における2つのO−O線矢視、P−P線矢視での、上記半導体基材の各垂直方向断面図をそれぞれ示し、図136Dは、図136Bおよび図136Cに図示されたQ−Q線矢視での、上記半導体基材を通る水平方向断面図を示す。
上記素子の場合では、ゲート電極221は、複数の各電極区域を有している。複数の各電極区域は、半導体基材100の垂直方向vに沿って、互いに離間して配置されている。上記素子の場合においては、ゲート電極221の各電極区域のそれぞれは、各ドリフト制御領域 241のそれぞれに対して、第1の水平方向xに沿って隣り合っており、各ドリフト制御領域241から絶縁層224によって絶縁されている。
基材領域212は、複数の各基材領域区域を有している。複数の各基材領域区域のそれぞれは、ドリフト領域211の一部と、第1の水平方向xに沿って隣り合って配置され、ゲート電極221の少なくとも一つの電極区域に対し、垂直方向vに沿った位置にて隣り合っている。
上記素子の場合では、ゲート誘電体222および蓄積誘電体251は、共通の誘電体層によって形成される。ゲート誘電体222は、ゲート電極221の電極区域と基材領域212の区域との間に配置されている。蓄積誘電体251は、ゲート電極221の区域に隣り合うドリフト制御領域241と基材領域212の区域に隣り合って配置されたドリフト領域211との間に形成されている。
基材領域212の各区域に対して、第1の水平方向xに沿った位置にて、ソース領域213の各区域がそれぞれ隣接しており、それら隣接している各区域間が、表面101から半導体基材100内に垂直方向に沿って進入するように伸びて形成されたソース電極231によって接続されている。
上記素子の場合では、ゲート電極221の各区域のそれぞれ、基材領域212の各区域のそれぞれ、およびソース領域213の各区域のそれぞれもまた、第2の水平方向yに沿った各ドリフト制御領域241および各ドリフト領域211に合わせて、ストリップ型に形成されている。
ソース領域213に合わせて、ドレイン領域214も、同様に、上記素子において、複数の各区域を有している。ドレイン領214の各区域のそれぞれは、ドリフト領域211の各区域に対して隣り合っている。ドレイン領域214の各区域のそれぞれは、表面101から半導体基材100の内部に垂直方向に沿って伸びるように形成されたドレイン電極232により互いに接続されている。ドレイン領域214の各区域のそれぞれは、ストリップ型に形成されており、それゆえ、ソース領域213の各区域に合わせて、第2の垂直方向yに沿って伸びているように形成されている。
上記素子の場合では、各ドリフト制御領域241は、ドレイン電極232から、つまり絶縁層257とドレイン電極232との間に配置された半導体領域245から、第1の水平方向xに垂直方向の各絶縁層257によって絶縁されている。
詳細には図示されていないが、図134に示された素子の各ドリフト制御領域 241に合わせて、各ドリフト制御領域241は、ドレイン電極232に対し第1の接続電極233を介して接続され(図135A)、かつソース電極231に対し、必要に応じて設けられた第2の接続電極234を介して接続されてもよい (図135A)。第1および第2の各接続電極233、234の可能な各配置の一例は、図136Aに図示されている。図136Aに示すように、ドリフト制御領域241に対し相補的にドープされた各接続領域244は、各ドリフト制御領域 241のそれぞれの内部に設けられ、上記各接続領域を接続電極234によって互いに接続されていてもよい。上記構成では、ドリフト制御領域241をソース電極231つまりソース領域213に接続するためのダイオードを設けてもよい。
言うまでもなく、ドリフト領域211の各区域に対し、半導体基材の垂直方向に沿って、それぞれ隣り合うように配置された各ドリフト制御領域241の配置は、図134ないし図 136に図示されたパワーMOSFET類に限定されるものではなく、上記のような各ドリフト制御領域241を、ドリフト領域を有するどのようなパワー素子類、具体的には、ショットキーダイオード類に設けてもよい。ショットキーダイオード類は、ゲート電極類が設けられておらず、かつ、基材およびソース領域類に代えて、ショットキー金属領域がドリフト領域に隣り合って設けられている点によって、MOSFET類と相違している。
図134ないし図136を参照して前述された各横柄パワー素子の場合では、積層様の素子構造類が、半導体基材100の垂直方向vに沿って連続して、ドリフト領域211としての半導体層、蓄積誘電体251としての誘電体層、ドリフト制御領域241としてのさらなる半導体層、および、上記ドリフト制御領域上に、他の蓄積誘電体251としての他の誘電体層を含んで設けられている。
上記構造は、半導体基材の垂直方向に沿って、複数の各ドリフト領域211、複数の各ドリフト制御領域241をそれぞれ、交互に設けるために、垂直方向に沿って複数繰り返されてもよい。複数の各ドリフト領域211、複数の各ドリフト制御領域241の間をそれぞれ分離するために、上記両者間に蓄積誘電体251が設けられている。
上記の場合、各ドリフト領域211つまりドリフト領域の各区域のそれぞれ、かつ、各ドリフト制御領域241のそれぞれを形成する各半導体層は、垂直方向に沿って同一の寸法を有してもよく、また、それぞれ、同一の各ドーピング濃度を備えていてもよい。
半導体層および誘電体層が交互に作成された各層構成は、種々な各方法にて作成されてもよい。
上記のような積層を作成する一方法は、半導体層内に、互いに異なる深さに埋め込まれた各絶縁層を形成する方法ステップを含む。上記作成のために、酸素イオンが半導体層内に表面から注入される。この酸素の注入に続く、加熱ステップでは、酸素が注入された各領域において絶縁層を形成する半導体酸化物を生じさせる。半導体基材内に注入される酸素イオンの注入エネルギーは、酸素イオンの進入深さを決定し、よって、半導体層の垂直方向に沿った絶縁層の形成位置を決定する。互いに異なる各注入エネルギーを適用することによって、複数の各絶縁層を、上記イオンの注入方向に沿った、表面から互いに異なる距離に配置して形成することが上記方法により可能となる。
半導体層の表面に対し直交する方向に伸びる各絶縁層も、上記方法により作成することができる。上記作成のために、酸素イオンの注入を、マスクを用いて、マスクされた状態にて実行される。上記マスクは、半導体層の水平方向に沿った絶縁層の位置および大きさを決定する。印加された注入エネルギーは、半導体層の垂直方向に沿った絶縁層の位置および大きさを決定する。
半導体層 と誘電体層とを交互に有する積層を作成する他の方法は、最初に、シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層とを交互に有する半導体層を形成するための方法ステップを含む。上記のような半導体層の積層は、公知のエピタキシャルターン−オフ法によって作成することができる。上記積層では、個々の各層に対し直交する方向となる、得られた積層の垂直方向に沿ったシリコン−ゲルマニウム層の大きさ(厚さ)は、各シリコン層の大きさより小さい。
続いて、各トレンチが、上記の各積層内に表面から内部に進入するように形成される。上記シリコン−ゲルマニウム層の各トレンチ領域は、上記各トレンチから順次エッチャントにより選択的に除去される。その結果、互いに隣り合う各シリコン層間に、垂直方向に沿ったキャビティ(空間)がそれぞれ形成される。
その後、半導体酸化物が、好適な酸化温度にて、以前に作成された各トレンチを介して上記積層の各キャビティ内に酸化ガスが導入されることにより上記各キャビティ内に形成される。
各半導体層と各絶縁層とを交互に有する積層を作成するためのさらに他の方法は、図132Aないし図132Eを参照して前述された方法に記載のように、各絶縁層を、半導体層と共にエピタキシャルに成長させ、上記成長を複数回繰り返して実行、つまり、パターン化された絶縁層を、成長させたエピタキシャル層上に新たに成長させ、かつ、エピタキシャル層を、上記絶縁層上に新たに成長させる。
さらに、各半導体層と各絶縁層とを交互に有する積層は、いわゆる、スマートカット法の適用により作成することができる。スマートカット法は、原理的には、所望深さに、水素イオンを注入することによって、半導体層から、薄い半導体層を「イジェクト(射出)」させるための方法ステップと、その後に、加熱ステップを実行するための方法ステップとを提供している。
上記スマートカット法は、2つの各半導体層の間に絶縁層が配置されるように、ウエハボンディング法によって上記半導体層の表面で酸化させて、絶縁層を有する半導体層を、他の半導体層において作成することによって半導体−絶縁体層を作成するために使用され得る。
その後、上記スマートカット法により、上に結合された半導体層が、上記絶縁層および上に結合された半導体層の薄層が上記担体上に残るようにイジェクトされる。
続いて、上記半導体層の薄層は、酸化され、その次に、絶縁層が設けられた半導体層は、その上に、新たに結合され、上に結合された層は、スマートカット法によって新たにイジェクトされる。上記各方法ステップは、複数回繰り返して実行されて、半導体−絶縁体の積層を作成できる。
埋め込まれた各酸化物層を作成するためのさらに他の方法は、半導体層内にエッチングにより各トレンチを形成する方法ステップと、続いて、上記半導体層を、水素雰囲気下にて加熱する方法ステップとを含む。上記加熱する方法ステップは、各トレンチから近接した位置の半導体層内に各キャビティを生じさせる。その後、上記各キャビティは、酸化される。
半導体層の表面からの各キャビティのそれぞれの位置決めは、上記方法では、半導体層の内部へのエッチングされた各トレンチの深さ、および上記トレンチの側壁の大きさを決定するエッチングの方法ステップの選択によって予め規定されている。
それゆえ、例えば、いわゆる「ボッシュプロセス」では、上記トレンチのエッチングでの作成中に、上記側壁を表面処理する、異方性および等方性の各フェーズが、交互に実行される。上記各フェーズの交互の実行は、上記トレンチの壁に、スカラップ模様(波状模様)を有する規則的な構造を形成する。
上記規則的な構造を有する各チェンバーの形成は、スカラップを有する等方性エッチングされた各領域の幅と、異方性エッチングされたことによって、より狭い各領域の幅との比の好適な選択により進行される。上記キャビティ内へ絶縁層の作成のための上記各キャビティ内の半導体材料の酸化は、上記各キャビティを開口させるために他のトレンチの作成を必要とする。
図134ないし図136を参照して前述された各素子の作成において解決されるべき一問題点は、各ドリフト制御領域241と各ドリフト領域211とが垂直方向に沿って互いに重なり合うように配置されている素子において接続電極を作成することである。
上記接続電極としては、例えば、ドリフト制御領域241の前述された各接続電極233、234、または、図136による素子のドレイン電極232が挙げられる。上記ドレイン電極232は、表面101から半導体基材の内部に伸びており、上記積層の第2の半導体層の全てとのみ、すなわちドリフト領域211のそれぞれとのみ、または、ドリフト制御領域241のそれぞれとのみと接続されている。
上記問題点を解決する、各ドリフト領域211にのみ接続されているドレイン電極232の作成のための方法について、図137Aないし図137Fを参照して以下に説明する。本実施形態では、上記方法は、図134ないし図136に記載された上記素子の第1および第2の各接続電極233、234の作成にも、それぞれ応用できるものである。
図137Aは、上記方法の最初の段階である、各ドリフト領域211と各ドリフト制御領域241とが、垂直方向vに沿って互いに重なり合うように配置され、かつ、上記両者間が蓄積誘電体251によってそれぞれ分離されている半導体基材100を示す。
図137Aでは、上記素子における、後に各ドリフト領域211を形成する各第1半導体層に対し、111の参照番号が付与され、後に各ドリフト制御領域241を形成する各第2半導体層に対し、参照符号141が付与されている。
上記各第1半導体層111では、垂直方向の各絶縁層257が、半導体基材100の垂直方向vに沿って、1つおきに配置されている。上記各絶縁層は、2つの各誘電体層251間に、それぞれ、垂直方向に沿って伸びて形成されている。
図137Bに示すように、次に、トレンチ117が、上記構成の内部に、表面101から進行して伸びるように形成される。本実施形態では、絶縁層に対しても、同様にトレンチが形成される。上記トレンチは、垂直方向vに沿って表面101から半導体基材の内部に向かって伸びるように形成され、上記表面からの垂直方向に沿った積層における最下層の誘電体層251’の上方または誘電体層251’の上の位置にて、上記トレンチの形成が停止される。上記トレンチは、上記各絶縁領域257から第1の水平方向xに沿って離間し、後に各ドリフト領域211を形成する各第1半導体層の領域における外側の位置に形成される。
トレンチは、上記トレンチの水平方向の位置および大きさを規定するエッチングマスクを用いる、エッチング法によって作成されてもよい。
図137Cに示すように、続いて、2つの誘電体層251間にある各半導体層111、141は、それぞれ、トレンチ117の各側壁から進行する等方性エッチング法によって、第1の水平方向に沿った方向に部分的に除去される。後に各ドリフト領域211を形成する、各半導体層の各部分の場合では、垂直方向の各絶縁領域257が、エッチング停止部として機能し、その結果、上記各半導体層の領域では、半導体材料は、各絶縁領域257までが、トレンチ117から進行してエッチングにより除去される。
この場合、上記エッチング法は、後に各ドリフト制御領域241を形成する各第2半導体層141の領域内においては、半導体材料が各第1半導体層111内に配置された各絶縁領域257を超えた位置まで、第1の水平方向xに沿って除去されるように実行される。各絶縁領域257に対し反対側のトレンチ117の側壁117’に関する領域内においては、各半導体層は、上記等方性エッチング法の実行の間において、それぞれ等しく除去される。
上記等方性エッチング法の結果は、トレンチ117の当初の一方の側壁上の第1の水平方向xにおいて、後に各ドリフト領域211を形成する各半導体層が、後に各ドリフト制御領域241を形成する各半導体層より、上記カットアウト部の方向において、さらに突出している。カットアウト部118からの進行部が、上記等方性エッチング法によって形成されることから、各ドリフト制御領域241は、各ドリフト領域211に対して、第1の水平方向xに沿って、後退した位置に設定される。
さらに他の各方法ステップの実行結果は、図137Dに図示されている。各絶縁層258、259が、上記等方性エッチング法によって形成されたカットアウト部118内の各半導体層の露出された各領域上に形成される。トレンチの一側面上において、各ドリフト制御領域241となる、各第2半導体層141のみが存在している。上記新たに作成された各絶縁層は、上記領域内において、参照符号258により示されている。カットアウト部の反対側の側面上、かつ、第2の水平方向yにおいて互いに離間して配置された各側壁(図示せず)上において、垂直方向の各絶縁層が、第1および第2の各半導体層111、141の、露出された各領域上に作成され、図137Dでは、参照符号259によって示されている。
図137Eは、表面101から積層の内部に進行するエッチングによる他のカットアウト部119の形成を含む、さらに他の各方法ステップが実行された後の構成を示す。上記カットアウト部は、各第1半導体層111内に前から存在していた各第1垂直方向絶縁領域257と、各第2半導体層141の露出された各側面上の各第1垂直方向絶縁領域257より後に形成された各第2垂直絶縁領域258との間に、第1の水平方向に沿った一水平方向領域が配置されるように、位置付けられている。
上記各第1垂直絶縁領域257は、上記プロセスによって除去されるので、各第1半導体層111は、上記他のカットアウト部119内にて露出している一方、各第2半導体層は、カットアウト部119内において、各第2の絶縁領域により覆われている。
上記新たに作成されたカットアウト部119における、当初の各第1絶縁領域257に相対する側では、カットアウト部の側壁は、各第2絶縁領域258内にあり、その結果、上記領域内では、第1の水平方向xに伸びる各誘電体層251の突出部(ウェッブ部)のみが除去されるが、半導体材料は除去されず、各垂直絶縁層259もまた除去されない。上記各方法ステップは、上記第2の水平方向yに沿った、カットアウト部119の反対側(図示せず)でも有効に作用する。
図137Fに示すように、上記方法は、カットアウト部119内に、電極層を堆積により形成して完了されるので、接続電極232が生じる。本実施形態では、電極232は、ドレイン電極232を形成し、かつ、各第1半導体層111に接続される。上記各第1半導体層111は、カットアウト部の各側壁上の各絶縁領域257を除去した後に露出され、その位置にて各ドリフト領域211を形成する。電極232は、各第2絶縁領域258によって、各第2半導体層141から絶縁され、各ドリフト領域211に隣り合う各領域内に、各ドリフト制御領域241を形成する。
詳細には図示されないが、電極232の作成のために電極層を堆積する前に、各ドーパント原子が、各ドリフト領域211の露出した各領域内に注入されて、高濃度にドープされた各接続領域を作成する、注入の方法ステップが実行されてもよい。この場合では、上記注入は、上記表面に対し直交する方向に対し傾斜した角度にて実行される。
図137Aないし137Fを参照して上述した上記方法は、各第2半導体層の全てにのみ接続される接続電極を作成するためのものであるが、各ドリフト制御領域241に接続される各接続電極(図134ないし図136では、236、237)を作成するための、また、ソース電極231を作成するための、対応する方法においても使用可能である。
The of the 上述されたパワー半導体素子類の各ドリフト制御領域241は、それぞれ、ドリフト領域211内において、上記素子の電流の流れる方向に沿って長く伸びるように形成されている。MOSFETの場合、基材領域212とドレイン領域214との間の方向に対応する上記電流方向は、上述した典型的な各実施形態において、半導体基材100の第1の水平方向xに対応している。
上記電流方向に対して横断する方向において、各ドリフト制御領域は、図111ないし図131および図133に示す各素子の場合では、それぞれ、半導体基材の表面101に対し直交する方向に伸びて形成され、また、図134ないし図136に示す典型的な各実施形態の場合においては、それぞれ、半導体基材の表面101に対し平行な方向に伸びて形成されている。図134ないし図136に示す各素子では、各ドリフト制御領域は、第2の水平方向yに沿って半導体基材の端部まで伸びていてもよく、または、半導体基材のエッジ終端まで伸びていてもよい。
図138ないし図145にて以下に説明されるように、各ドリフト制御領域241に関する上述した各寸法や各大きさについては、それぞれ組み合わせてもよい。図138ないし図145は、それぞれ、パワー半導体素子の各ドリフト領域211および各ドリフト制御領域241の部分を示す斜視図である。
図138Aおよび図138Bに示すように、各ドリフト制御領域241は、ストリップ型に形成され、かつ、ドリフト領域211内にて蓄積誘電体251によって囲まれるように配置されている。上記素子の場合では、各蓄積チャネルは、ドリフト領域211内において、各ドリフト制御領域241の上方および下方の双方において垂直方向に沿った各位置と、各ドリフト制御領域241に隣り合って水平方向に沿った位置とに、それぞれ形成され得る。
半導体基材100は、公知の方法にて、半導体基板103、および半導体基板に対し付加された半導体層104を含んでもよい。半導体基板103および半導体層104は、互いに異なる伝導型であってもよく、または、互いに同一の伝導型であってもよい。この場合、半導体層104の基本ドーピングは、ドリフト領域211のドーピングに対応、例えば、同一の伝導型であってもよい。
図139に示すように、絶縁層105は、必要に応じて、半導体基板103と半導体層104との間に配されることによって、ドリフト領域100を半導体基板103から絶縁することができる。
図138および図139に基づく各素子の場合では、表面101側から、最も離れた最下部のドリフト制御領域241は、半導体基板103からも離れた位置に配置されている。図138に基づく典型的な実施形態の位置変形例は、上記最下部のドリフト制御領域241が、図140に図示されているように、半導体基板103にまで達するように伸びて形成されている。この典型的な実施形態の場合では、絶縁層が、各ドリフト制御領域241の内における最下部のものと半導体基板103との間に存在しており、上記絶縁層は、ドリフト制御領域を半導体基板103から絶縁している。
図141は、図140に図示された構成の一変形例を示す。この場合、各ドリフト領域211は、ストリップ型状に、ドリフト制御領域241内に形成されている。蓄積誘電体251は、ドリフト制御領域241と各ドリフト領域211との間に、それぞれ対応して設けられている。この場合、絶縁層252が、ドリフト制御領域241と半導体基板103との間に少なくとも設けられ、一方、各ドリフト領域211の内における最下部の一つは、半導体基板103に対して直接的に隣り合っている。この場合、半導体基板103は、上記最下部のドリフト領域211に対して同一の伝導型であってもよいし、また、相補的な伝導型であってもよい。上記の場合、他の絶縁層が、必要に応じて、上記最下部のドリフト領域211と半導体基板103との間に設けてもよい(図示せず)。
各ドリフト制御領域241または各ドリフト領域211における、上述したストリップ型の形状については、上記各領域241、211の各寸法は、垂直方向での大きさより第2の水平方向yでの大きさの方が大きく設けられているので、上記の各素子領域のストリップ型の外形が生じる。他の変形例として、ストリップ型の形状は、上記各領域241、211の各寸法を、第2の水平方向yの大きさより、垂直方向の大きさを大きくなるように設けてもよい。
図142Aおよび図142Bは、図139に図示された素子の一変形例を示し、この一変形例での各ドリフト制御領域241が、「柱状型」の形状にて実現されている。上記柱状条型は、垂直方向vおよび第2の水平方向yの双方により形成される断面が、少なくとも四角形状を有するものである。これらの各ドリフト制御領域は、それぞれ、第1の水平方向xに沿って長く伸びる形状に形成されている。
図142Aに図示された絶縁層105が、半導体基板103と半導体層104またはドリフト領域211との間に、必要に応じて設けられている。半導体基板103は、ドリフト領域211と同一の伝導型であってもよく、また、ドリフト領域211に対して相補的な伝導型であってもよい。
図143Aおよび図143Bは、図142に基づく構成の一変形例を示し、上記一変形例の各ドリフト領域211は、「柱状型」の形状にて実現され、かつ、ドリフト制御領域241によって囲まれ、また、垂直方向および水平方向の双方から蓄積誘電体251によって分離されるように、設けられている。この場合、ドリフト制御領域241は、半導体基板103から、他の絶縁層252により絶縁されている。上記一変形例では、半導体基板は、その伝導型が、ドリフト制御領域241の伝導型と同一であっても、相補的な伝導型であってもよい。
図144に基づく構成では、ドリフト制御領域241は、第1の水平方向xに沿って伸びるように形成され、かつ、垂直方向vに沿って蛇行状に形状に有するような外形状を有している。この場合、ドリフト制御領域241は、ドリフト領域211により完全に囲まれ、蓄積誘電体251によって分離されるようになっている。ドリフト領域211およびドリフト制御領域241は、半導体層104内に配置されている。半導体層104は、半導体基板103上に配置され、必要に応じて、半導体基板103から絶縁層105によって絶縁されている。
図145は、図145に基づく構成の一変形例を示し、ドリフト領域211が、ドリフト制御領域241によって囲まれている。また、ドリフト領域211は、蓄積誘電体251が、ドリフト領域211と、垂直方向vに沿って蛇行状の外形を有するドリフト制御領域241との間に配置されるような外形を有している。
上記蓄積誘電体の蛇行状の外形は、ドリフト領域211およびドリフト制御領域241を実現するために要求される所定容量の半導体材料において、蓄積誘電体251のより大きな領域面積を実現でき、よって、上記素子がオン状態に駆動されるとき、大きな幅の蓄積チャネルを形成できるという利点を有する。
本発明では、MOSFETおよびショットキーダイオードを基本とした例について説明されている。MOSFETの場合では、具体的には、示されたnチャネルMOSFETに代えて、pチャネルMOSFETを設けることも可能である。この場合において図示されたnチャネルMOSFETの典型的な各実施形態では、n型ドープされた各半導体領域の全ては、p型ドープされた各半導体領域に置き換えられる必要が生じ、反対に、p型ドープされた各半導体領域の全てが、n型ドープされた各半導体領域に置き換えられる必要が生じる。具体的な第1、第2および第3の各ダイオードについても、上記と同様に置き換え可能であり、置き換えられた各ダイオードでは、対応するが、相補的にドープされた各領域に接続される必要がある。
T本発明の技術的な思想は、ドリフト領域を有する、どのようなユニポーラ素子類、具体的には、JFET類にも適用可能である。
ドリフト制御領域の実現のためには、単結晶半導体材料が、必ずしも必要ではなく、前述された、完全に空乏化され得るドーピング仕様を満たす多結晶半導体材料を用いることも可能であることに留意されたい。しかしながら、多結晶半導体材料をドリフト制御領域3に用いるとき、多結晶材料の個々の各結晶間の各粒界にて生成する電荷キャリアの増加を招来する、より高い漏れ電流について考慮されるべきである。
本発明に係る、プレーナ型MOSFETとして実施され、複数の各MOSFETセル、および上記ドリフト領域内に配置された複数の各ドリフト制御領域を有する半導体基材を備え、該ドリフト領域と該各ドリフト制御領域との間には、誘電体が配置されている半導体素子の一部の断面図である。
上記誘電体が、垂直方向に上記半導体基材の2つの互いに対向する各側面の間にて伸びている、複数の各ドリフト制御領域を有するプレーナMOSFETの一部を示す断面図である。
該各ドリフト制御領域が上記半導体基材のソース側表面まで伸びているプレーナ型MOSFETの一部を示す断面図である。
上記各基材領域に隣接する各補償領域を有し、該各補償領域の間には、該各基材領域に対して相補的にドープされた各中間領域が配置され、該各中間領域のドレイン側には、上記各ドリフト制御領域が配置されている本発明によるMOSFETの一部を示す断面図である。
図4に基づくMOSFETを示し、上記各ドリフト制御領域を囲む誘電体が、上記各中間領域まで伸びていることを示す断面図である。
複数の各ドリフト制御領域と共に複数の各補償領域を備え、該複数の各ドリフト制御領域が水平方向において互いに離間され、上記各補償領域の下方の領域においては、上記半導体基材の他の領域よりも、より小さい間隔を有しているMOSFETの一部を示す断面図である。
水平方向において互いに等距離に離間されている、多数の各ドリフト制御領域を有するMOSFETの一部を示す断面図である。
本発明による半導体素子の一部を示し、トレンチMOSFETとして実施され、上記半導体基材の複数のトレンチ内に配置された複数のゲート電極を有すると共に、該ゲート電極の下に配置されたドリフト制御領域を有することを示す断面図である。
図8のトレンチMOSFETの一部を示し、上記各ドリフト制御領域、および、該各ドリフト制御領域と上記ドリフト領域との間に配置された上記誘電体が上記各ゲート電極と上記ドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁体から離間されていることを示す断面図である。
複数の各ドリフト制御領域を有するトレンチMOSFETの一部を示し、上記各ドリフト制御領域は、上記各ゲート電極間に水平方向にてそれぞれ配置されており、該各ドリフト制御領域、および、該各ドリフト制御領域と上記ドリフト領域との間に配置された誘電体は、上記半導体基材の互いに対向する各面の間を垂直方向に伸びていることを示す断面図である。
図8に基づく縦型MOSFETの一部を示し、上記ドリフト領域と上記ドリフト制御領域との間に配置された誘電体が、空気、または、低誘電率を有する材料が配置された2つの各部分層を有していることを示す断面図である。
ドリフト制御領域を有するMOSFETの一部を示し、該ドリフト制御領域は、上記ソース側と上記ドレイン側とによって上記ドリフト制御領域に隣接している高濃度にn型ドープされた接続領域と共に、接合型電界効果トランジスタを形成し、該ドリフト制御領域は、第1のダイオードを介して、上記ソース領域に接続されていることを示す断面図である。
従来技術による導通しているMOSFETの電子分布プロファイルの一例を示す断面図である。
図12に基づく本発明の導通しているMOSFETの電子分布プロファイルの一例を示す断面図である。
従来技術によるMOSFETのドレイン−ソース電流プロファイルと、図12による本発明のMOSFETのドレイン−ソース電流プロファイルとを、ドレイン−ソース電圧UDSの関数として比較したグラフである。
図12による本発明のMOSFETの一部を示し、上記各ドリフト制御領域が、上記ソース側において第1のダイオードを介し、高濃度にp型ドープされた接続領域に続く低濃度にp型ドープされた接続領域によって、上記各ソース領域に接続されていると共に、p型ドープされた接続領域によって、上記各ドレイン領域に接続されていることを示す断面図である。
図16によるMOSFETを示し、上記各ソース領域と上記各ドリフト制御領域とは、キャパシタを介して接続されており、該各ドリフト制御領域と上記各ゲート電極とは、第2のダイオードを介して互いに接続されていることを示す概略断面図である。
図17AのMOSFETに対する変形例としてのMOSFETを示し、上記ドリフト制御領域が、少なくとも部分的に、トンネル誘電体を介してドレイン電極に結合されていることを示す概略断面図である。
図16および図17に基づくMOSFETを示し、該MOSFETが図16の第1のダイオードに接続されており、図17Aの第2のダイオードおよびキャパシタに接続されており、該MOSFETでは、上記各ドリフト制御領域が、ドレイン側において、第3のダイオードによってドレイン領域に接続されていることを示す概略断面図である。
図16ないし図18に基づく回路構成を有するMOSFETを示し、図15のドレイン側ダイオードは、上記半導体基材内に組み込まれており、上記ドレイン領域は、ドリフト制御領域の下まで伸びていることを示す概略断面図である。
MOSトランジスタとして実施される半導体素子を示し、上記オン抵抗を低減させるために、上記ドリフト領域よりも高濃度にドープされた中間領域が、上記ドリフト領域と上記基材領域との間に配置されていることを示す概略断面図である。
図20に対して変形された素子を示し、より高濃度にドープされた上記中間領域に隣り合って、フィールド電極が配置されていることを示す概略断面図である。
図20および図21に示した素子を、断面I−Iによって切断した断面図である。
図20および図21に示した素子の一変形を、第1の断面にて示すに示す断面図である。
図20および図21に示した素子の一変形を、第2の断面(図23B)に示す断面図である。
図23に示した素子の一変形例を示す断面図である。
図24による素子を、断面III−III’によって切断した断面図である。
MOSトランジスタとして実現され、ゲート電極が、垂直方向において、ドリフト制御領域よりも上に配置されている半導体素子を示す断面図である。
図26に示した素子の一変形例を示し、上記ドリフト制御領域は、部分的に半導体基材の表面まで伸びていることを示す断面図である。
MOSトランジスタとして実現され、上記基材領域に隣り合い、より深部に位置する基材領域を有する半導体素子を示す断面図である。
ドレイン電極とドリフト制御領域との間にショットキーダイオードを有するMOSトランジスタを示す断面図である。
図29による素子のショットキーダイオードを実現するために、想定され得る方法を示す概略断面図である。
図29による素子の第1の変形例を示す断面図である。
図29による素子の第2の変形例を示す断面図である。
図29ないし図32に示した半導体素子の可能な製造方法を示す概略断面図である。
MOSトランジスタとして実現され、上記ドレイン領域に対して相補的にドープされた半導体領域が存在する半導体素子を示し、該半導体領域には、該素子のドレイン電極が接触していることを示す断面図である。
図34に示した素子の一変形例を示し、ドリフト領域と該ドリフト領域に対して相補的にドープされた樹器素子領域との間に、フィールドストップ領域が配置されていることを示す断面図である。
図34および図35に示した素子の一変形例を示す断面図である。
図34および図35に示した素子の他の変形例を示す断面図である。
図34および図35に示した素子のさらに他の変形例を示す断面図である。
図34および図35に示した素子のさらに他の変形例を示す断面図である。
図34および図35に示した素子のさらに他の変形例を示す断面図である。
MOSトランジスタとして実現され、上記ドレイン領域に対して相補的にドープされたドリフト領域を有する半導体素子を示す断面図である。
図41に示した素子の一変形例を示し、ゲート電極は、ドリフト制御領域の上方に垂直方向に配置されていることを示す断面図である。
図42に示した素子の一変形例を示す断面図である。
MOSトランジスタとして実現され、トンネル誘電体およびドリフト領域の一部分が、半導体素子のドリフト制御領域とドレイン領域との間に配置されている、半導体素子を示す概略断面図である。
図44の素子に対する一変形例であり、プレーナ型MOSトランジスタとして実現された素子を示す断面図である。
図45に対する変形例であり、上記ドリフト領域には、互いに相補的にドープされた半導体領域が存在する素子を示す断面図である。
図46の素子に対する変形例としての半導体素子を示す断面図である。
図44ないし図47に示した半導体素子を製造するための一方法ステップを示す断面図である。
上記半導体素子を製造するための他の方法ステップを示す断面図である。
上記半導体素子を製造するためのさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記半導体素子を製造するためのさらに他の方法ステップを示す断面図である。
MOSトランジスタとして実現され、ソース電極とドリフト制御領域との間に静電容量を有する半導体素子を示し、該静電容量が、半導体基材よりも上の2つの導電層間に組み込まれていることを示す断面図である。
上記半導体素子の他の断面図である。
半導体基材内に静電容量を実現するための、可能な一構成を示す斜視図である。
上記一構成を示す平面図である。
上記静電容量を実現するための、可能な他の構成を示す平面図である。
上記静電容量を実現するための、可能なさらに他の構成を示す概略断面図である。
上記静電容量を実現するための可能なさらに他の構成を示す断面図である。
上記さらに他の構成を示す他の断面図である。
上記静電容量を実現するための可能なさらに他の構成を示す断面図である。
上記静電容量を実現するための可能なさらに他の構成を示す断面図である。
上記静電容量を実現するための可能なさらに他の構成を示す断面図である。
ドレイン電極が、半導体基材の端部におけるドリフト制御領域に接続されている、縦型MOSトランジスタとして実現された半導体素子を示す斜視図である。
図57による半導体素子に対する一変形例の半導体素子を示す斜視図である。
図57による半導体素子に対する他の変形例の半導体素子を示す斜視図である。
図57による半導体素子に対するさらに他の変形例の半導体素子を示す斜視図である。
図57による半導体素子に対するさらに他の変形例の半導体素子を示す斜視図である。
図57による半導体素子に対するさらに他の変形例の半導体素子を示す斜視図である。
図57による半導体素子に対するさらに他の変形例の半導体素子を示す斜視図である。
各ドリフト制御領域が、ドレイン側で組み込みダイオードを介して上記ドレイン領域に接続され、該ドリフト制御領域が、垂直方向に、該ドレイン領域の中まで伸びている、複数の各ドリフト制御領域を有するMOSFETを示す断面図である。
図64によるMOSFETに対応し、上記ドリフト制御領域が、上記高濃度にドープされた接続領域から垂直方向に離間されているMOSFETを示す断面図である。
図65によるMOSFETに対応し、上記垂直方向に対して直交する方向に伸びる図65に示した平面E−E’でのストリップレイアウトを有する、本発明によるMOSFETの断面図である。
長方形のセル配置を有する、本発明によるMOSFETの、上記垂直方向に対して直交する方向での断面図である。
断面が円形であるセル配置を有する、本発明によるMOSFETの、上記垂直方向に対して直交する水平方向での断面図である。
断面において曲折して伸びているドリフト領域を有する、本発明によるMOSFETの、上記垂直方向に対して直交する水平方向での断面図である。
ノーマリオン型MOSトランジスタとして実現された半導体素子を示す断面図である。
負荷トランジスタのセルアレイ内に、該負荷トランジスタを介して負荷電流を計測するための計測トランジスタが配置された半導体素子を示す断面図である。
負荷トランジスタのセルアレイ内に、温度センサーが配置された半導体素子を示す断面図である。
図72による半導体素子に対する一変形例の半導体素子を示す斜視図である。
本発明による半導体素子の想定可能なエッジ終端を示す断面図である。
上記エッジ終端の一変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端の他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
上記エッジ終端のさらに他の変形例を示す断面図である。
ショットキーダイオードをして実施されると共に、複数の上記ドリフト制御領域が単結晶に形成されて、カソード側において、上記ダイオード領域の高濃度にドープされた接続領域から電気的に絶縁されている半導体素子を示す断面図である。
図86によるショットキーダイオードのダイオード電流プロファイルを線にて示すグラフである。
図87によるグラフを対数関数的に示すグラフである。
オン状態の場合における図86によるショットキーダイオードの電子分布を示す断面図である。
ドリフト制御領域に対して低濃度および相補的にドープされた第1の接続領域を介して、ショットキーダイオードのカソード電極に接続されている、ドリフト制御領域を有するショットキーダイオードを示す断面図である。
図90に基づき、上記第1の接続領域が、ドープされた半導体材料よりもむしろ真性半導体より形成されているショットキーダイオードを示す断面図である。
真性な第1の接続領域を介して、上記高濃度にドープされた接続領域に直接接続されているドリフト制御領域を有するショットキーダイオードを示す断面図である。
少なくとも1つの上記ドリフト制御領域が延長部を、上記高濃度にドープされた接続領域まで伸びて、該高濃度にドープされた接続領域に接触して有するショットキーダイオードを示す断面図である。
高い抵抗率の抵抗層を介して、上記高濃度にドープされた接続領域に接続されているドリフト制御領域を有するショットキーダイオードを示す断面図である。
カソード側において、部分的に該ショットキーダイオードのカソード電極から絶縁されているドリフト制御領域を備えているショットキーダイオードを示す断面図である。
図86に基づき、ドリフト制御領域は、該ショットキーダイオードのショットキーコンタクトの陽極金属に、低濃度にp型ドープされた接続層によって接続されているショットキーダイオードを示す断面図である。
上記ドリフト制御領域が、接続電極の一部を介して上記高濃度にドープされた接続領域に接続されている、ショットキーダイオードを示す断面図である。
上記ドリフト制御領域が上記高濃度にドープされた接続領域に接触している接続電極にトンネル誘電体を介して接続されているショットキーダイオードを示す断面図である。
図98のショットキーダイオードに対する一変形例の、「融合された」ピンショットキーダイオードとして実施されるショットキーダイオードを示す断面図である。
図98のショットキーダイオードに対する他の変形例であり、上記トンネル誘電体と上記接続電極との間に、単結晶半導体層が配置されたショットキーダイオードを示す断面図である。
MOSFETとして実施され、ドリフト制御領域が、一面では、上記ゲート電極に直接隣接し、他面では、ダイオードを介して上記ドレイン領域に結合された半導体素子を示す断面図である。
上記ダイオードが組み込みダイオードとして実施されている、図101の素子に対する一変形例の素子を示す断面図である。
図101の素子に対する他の変形例の素子を示す断面図である。
上記ドリフト制御領域がコンタクト電極を介して上記ゲート電極に接続された、図102の素子に対する一変形例の素子を示す断面図である。
図104の素子に対する一変形例であり、上記ゲート電極と上記ドリフト制御領域とが互いに絶縁されており、上記ドリフト制御領域が制御電位に接続されていることが可能な素子を示す断面図である。
個々の方法ステップの間、上記ドリフト制御領域が上記ゲート電極に直接的に隣り合っている、MOSFETとして実施される半導体素子の製造方法の一方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法の他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
個々の方法ステップの間、上記ドリフト制御領域が上記ゲート電極に直接隣接している、MOSFETとして実施される、他の半導体素子の製造方法の一方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法の他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
個々の方法ステップの間、上記ドリフト制御領域が上記ゲート電極に直接的に隣接している、MOSFETとして実施される、さらに他の半導体素子の製造方法の一方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法の他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記ゲート電極に直接的に隣接したドリフト制御領域と、多層に構成された蓄積誘電体とを備え、MOSFETとして実施される半導体素子を示す断面図である。
図109の素子に対する一変形例の、多層に構成された蓄積誘電体を有する素子を示す断面図である。
MOSFETとして実施され、蓄積誘電体によって、ドリフト領域から、それぞれ絶縁されている複数の各ドリフト制御領域を有する、本発明による横型パワー半導体素子を、該素子が集積された半導体基材中および半導体基材上の集積された様々な断面図を元に示す平面図である。
上記横型パワー半導体素子の一断面図である。
上記横型パワー半導体素子の他の断面図である。
上記横型パワー半導体素子の一斜視図である。
MOSFETとして実施され、ドリフト制御領域がトンネル誘電体によって部分的に上記ドリフト領域から分離されているパワー半導体素子を示す平面図である。
SOI基板に基づいて、ドリフト領域とドリフト制御領域とを有する横型パワーMOSFETを示す斜視断面図である。
複数の各ドリフト制御領域が、それぞれに隣接するドリフト領域の全長よりも長く、水平方向に伸びている、MOSFETとして実施される横型パワー半導体素子を示す一断面図である。
上記横型パワー半導体素子を示す、図114AのC−C線の矢視断面図である。
上記横型パワー半導体素子を示す、図114AのD−D線の矢視断面図である。
上記横型パワー半導体素子を示す斜視図である。
図114による素子に対する一変形例の、ドリフト制御領域が、部分的に上記パワーMOSFETの基材領域に隣接して配置されている素子を示す断面図である。
図114による素子に対する他の変形例の、ゲート電極が、連続的なストリップ型電極として実現されている素子を示す斜視図である。
図114による素子に対する、さらに他の変形例の、SOI基板に基づいて実現された素子を示す斜視図である。
上記ドリフト制御領域が第1のダイオードを介してドレイン電極に結合され、組み込まれた第2のダイオードを介して、ソース電極に結合されている、パワーMOSFETとして実現された素子の一部を示す概略断面図である。
上記パワーMOSFETとして実現された素子の一部を示す概略斜視図である。
上記ドリフト制御領域が、直接、上記ドレイン電極に結合されると共に、上記ソース電極には、ダイオードを介して結合されている、パワーMOSFETの一部を示す概略断面図である。
上記ドリフト制御領域と上記ソース電極との間において、静電容量と組み込みダイオードとが接続されている、パワーMOSFETの一部を示す概略断面図である。
外部ダイオードを有する、図120の素子に対する一変形例の素子を示す概略断面図である。
図120の素子に対する他の変形例の、上記ドリフト制御領域と上記ゲート電極との間には、さらなるダイオードが接続されている素子を示す概略断面図である。
半導体基材の領域において静電容量が統合されている、ドリフト領域およびドリフト制御領域を有する半導体素子の一部を示す斜視図である。
図123による素子に対する一変形例の半導体素子を示す一断面図である。
図123による素子に対する一変形例の半導体素子を示す他の断面図である。
図123による素子に対する一変形例の半導体素子を示すさらに他の断面図である。
ゲート電極が1つのトレンチ内に配置され、上記ゲート電極によって制御される反転チャネルが、垂直方向に伸びた、MOSFETとして実現された横型パワー半導体素子を示す一断面図である。
上記横型パワー半導体素子を、図127AのE−E矢視にて示す他の断面図である。
上記横型パワー半導体素子を、図127AのF−F矢視にて示す他の断面図である。
図127のMOSFETに対する一変形例である、上記ゲート電極によって制御される反転チャネルが水平方向に伸びたパワーMOSFETを示す一断面図である。
上記パワーMOSFETを、図128AのE−E矢視にて示す他の断面図である。
上記パワーMOSFETを、図128AのF−F矢視にて示すさらに他の断面図である。
複数の各ゲート電極部分が、それぞれ、ドリフト制御領域の延長部内に水平方向に配置されている横型パワーMOSFETを示す一断面図である。
上記横型パワーMOSFETを、図129AのG−G矢視にて示す他の断面図である。
上記横型パワーMOSFETを、図129AのH−H矢視にて示すさらに他の断面図である。
パワーMOSFETの基材領域が半導体基板に接続された、SOI基板に基づいた横型パワーMOSFETの第1の典型的な実施形態を示す斜視図である。
パワーMOSFETの基材領域が半導体基板に接続された、SOI基板に基づいた横型パワーMOSFETの第2の典型的な実施形態を示す斜視図である。
蓄積誘電体によって、ドリフト領域から分離されたドリフト制御領域の想定可能な製造方法の一方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法の他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記製造方法のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
ショットキーダイオードとして実現された横型パワー半導体素子を示す斜視図である。
半導体基材の表面に対して平行に伸びるドリフト制御領域と、該表面よりも上方に配置されたゲート電極とを有する横型パワーMOSFETをそれぞれ異なる角度からの各断面図である。
上記横型パワーMOSFETにおける、図134AのJ−J線矢視の他の断面図である。
上記横型パワーMOSFETにおける、図134AのK−K線矢視のさらに他の断面図である。
上記横型パワーMOSFETにおける、図134Bおよび図134CのL−L線矢視のさらに他の断面図である。
上記横型パワーMOSFETにおける、さらに他の断面図である。
図134の素子に対する一変形例である、上記ゲート電極が1つのトレンチ内に配置されている素子を一断面図である。
上記素子における、図135AのM−M線矢視の他の断面図である。
上記素子における図135AのN−N線矢視のさらに他の断面図である。
図135の素子に対する一変形例に係り、上記ゲート電極がドリフト制御領域の延長部にそれぞれ配置された複数のゲート電極部分を備えている素子を示す一断面図である。
上記素子における、図136AのO−O線矢視の他の断面図である。
上記素子における図136AのP−P線矢視のさらに他の断面図である。
上記素子における図136Bおよび図136CのQ−Q線矢視のさらに他の断面図である。
複数の埋め込み半導体領域に接触する接続コンタクトの形成方法の複数の各方法ステップの内の一方法ステップを示す断面図である。
上記複数の各方法ステップの内の他の方法ステップを示す断面図である。
上記複数の各方法ステップの内のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記複数の各方法ステップの内のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記複数の各方法ステップの内のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
上記複数の各方法ステップの内のさらに他の方法ステップを示す断面図である。
パワー半導体素子内に配置された複数のストリップ型ドリフト制御領域を有するパワー半導体素素子のドリフト領域の一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置された複数のストリップ型ドリフト制御領域を有するパワー半導体素素子のドリフト領域のさらに一部を示す斜視図である。
図138の配置に対する、一変形例としての他の配置を示す斜視図である。
図138の配置に対する、他の変形例としてのさらに他の配置を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置された複数のストリップ型ドリフト領域を有するパワー半導体素子のドリフト制御領域の一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置された複数のビーム型ドリフト制御領域を有するパワー半導体素子のドリフト領域の一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置された複数のビーム型ドリフト制御領域を有するパワー半導体素子のドリフト領域のさらに一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置された他の複数のビーム型ドリフト領域を有するパワー半導体素子のドリフト制御領域の一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置された他の複数のビーム型ドリフト領域を有するパワー半導体素子のドリフト制御領域のさらに一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置され、曲折した外周を有する1つのドリフト制御領域を有するパワー半導体素子のドリフト領域の一部を示す斜視図である。
パワー半導体素子内に配置され、曲折した外周を有する1つのドリフト制御領域を有する他のパワー半導体素子のドリフト領域の一部を示す斜視図である。