JP5087284B2 - シャフトシール装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば空調機用の圧縮機、ポンプ、原動機等の回転装置においてハウジングとシャフトとの間の被密封流体をシールするシャフトシール装置に関し、特に、被密封流体の圧力が高圧となる回転装置、あるいは、被密封流体の圧力が高圧な状態と低圧な状態とにランダムに変化する回転装置において被密封流体をシールするシャフトシール装置に関する。具体的には、例えばCOを冷媒とする空調装置の圧縮機(CO圧縮機)において冷媒COをシールするのに適したシャフトシール装置に関する。
従来、例えば空調機用の圧縮機等の回転装置に適用されるシャフトシール装置として、図17に示すような構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図17に示すシャフトシール装置900は、回転装置のハウジング901に密封的に取り付けられる固定側の密封環(以下、固定環と称する。)903と、シャフト902に密接嵌合されて一体で回転するゴム材製の端面リップシール904とを有し、端面リップシール904に形成される突出リップ905が固定環903の端面に対して外径方向へ傾斜して延在密接することにより密封摺動面が形成され、これにより、突出リップ905の外周部に存在する被密封流体Q’が、固定環903より内径側、背面側の大気空間A’へ漏洩するのを防止する構成となっている。
特開2003−214541号公報
このような構成のシャフトシール装置900を組み付ける際には、端面リップシール904は、シャフト902の段差端面902aに突き当てられる。すなわち、端面リップシール904の組み付け位置は、シャフト段差端面902aが基準とされる。一方、端面リップシール904と対向して密封摺動面を形成する固定環903は、パッキン907,908、補強ケース909及びシールリップ910を構成部として有する固定側シール906を介して回転装置のハウジング901の段差端面901aに突き当てられる。すなわち、固定環903の組み付け位置は、ハウジング段差端面901aが基準とされる。
従って、固定環903と端面リップシール904とを回転装置に組み付けた際の固定側シール906と端面リップシール904の両部品間の軸方向固定距離(以下、シール取り付け長と称する。)L0は、回転装置のハウジング901とシャフト902との取り合い寸法(相対位置)に依存する。
このような構成のシャフトシール装置900においては、固定環903と端面リップシール904とを回転装置に組み付けた際のシール取り付け長L0がシール性能に大きく影響し、これを適切な長さにすることが重要である。
具体的には、端面リップシール904と固定環903との軸方向離間距離が増加すると、突出リップ905と固定環903とのの摺動面面積が小さくなって摺動面の負荷応力が大きくなるが、その離間距離が所定よりも大きくなると、突出リップ905の摺動面面積が極端に小さくなって負荷応力が集中し、摺動面の過剰摩耗や突出リップ905の破損が発生する可能性がある。さらには、突出リップ905が固定環903の摺動面に対して充分に追随できない状態、あるいは離接状態となり、いわゆる「シール面の開き」が発生する可能性が生じる。
また、反対に、端面リップシール904と固定環903との軸方向離間距離が減少すると、突出リップ905と固定環903との摺動面の直径が大きくなり、摺動面の相対滑り速度を増大させ、また、摺動面の受圧面積を増大させ、摺動面にかかる圧力による荷重を増大させ、さらに、突出リップ905の弾性反発力による摺動面荷重も大きくなる。その結果、摺動面温度の異常上昇や摺動面の過剰摩耗、さらには突出リップ905の破損が惹起される可能性が生じる。
以上のように、固定環903と端面リップシール904との軸方向配置距離が所定の範囲内にない場合、すなわちシール取り付け長L0が所定の規定値より大きくずれた場合には、被密封流体Q’の洩れに帰する不具合が発生する可能性が高くなり、このような構成のシャフトシール装置900について所望の性能を発揮させるためには、シール装置組み付け時において、シール取り付け長L0をできるだけばらつき(誤差)の小さい規定値に管理することが重要である。
一方で、前述したように、このようなシャフトシール装置900では、端面リップシール904がシャフト902に対して嵌合固定されているため、端面リップシール904がシャフト902上を軸方向に移動する構造、さらには、バネ等の弾発手段によって固定環903に対して押圧される構造を持たない。従って、シール取り付け長L0の許容誤差は、固定環903の摺動面に対して端面リップシール904の突出リップ905が弾性変形しながら追随できる範囲に制限される。換言すると、突出リップ905の長さにより制限される。
シール取り付け長L0の許容誤差を拡大するために突出リップ905の長さを長くすることは、突出リップ905と固定環903との摺動面の直径、すなわち摺動面の相対滑り速度を増大させ、また、摺動面の受圧面積、すなわち摺動面にかかる圧力による荷重を増大させることになるため好ましくない。従って、突出リップ905の長さはできるだけ短くすることが設計上必要である。その結果、このような構成によるシャフトシール装置900のシール取り付け長L0の許容誤差は、例えばメカニカルシール等の端面シールと比較すると極めて小さい値に制限される。
従来の端面リップシール904を有するシャフトシール装置900の組み付け方法では、シール取り付け長(L0)を規定値通りに管理すること、すなわち許容誤差内で組み付けることが非常に難しいという問題がある。
前述したように、シール取り付け長L0は、回転装置のハウジング901とシャフト902との取り合い寸法(相対位置)に依存する。しかし、回転装置は、通常はハウジング901やシャフト902以外にも多数の部品(ベアリング等)が使用される。そのため、ハウジング901とシャフト902との取り合い寸法の誤差、すなわちばらつきは、それら個々の部品自体の誤差と部品相互の組み付け誤差とを合わせた値となり、その結果、シャフトシール装置900のシール取り付け長L0のばらつきは、上記取り合い寸法のばらつきとシャフトシール装置に係るばらつきとを合わせた範囲となる。
そのために従来は、シャフトシール装置900を組み付ける前に、一度、回転装置を仮組みしてハウジング901とシャフト902との相対位置を計測し、次に、回転装置を分解して固定環903の取り付け基準面となるハウジング段差端面901aあるいは端面リップシール904の取り付け基準面となるシャフト段差端面902aの一方あるいは両方に、計測した相対位置と規定値との差を修正するための、例えばシム、金属ワッシャー等の別部品を装着した上で、シャフトシール装置900を組み付けて、再度回転装置を組み立てると言うような方法を行っていた。
しかしそのような組み付け方法は、実質的に回転装置を2度組み立てることとなり作業が煩雑で工数が多くなり組み立て時間が長くなるという問題がある。また、装着する部品の寸法精度や再組み立てする際の再現性等の問題から、実際に最終的に組み付けられたシャフトシール装置900のシール取り付け長L0を厳密に規定値とするには限界があった。
このような課題を解決するシャフトシール装置として、図18に示すように、突出リップ925の根元部の直径D1と、嵌合部926のシャフト直径D2とを等しくする構成が、本願発明者らにより提案されている。
図18に示すシャフトシール装置では、突出リップ925の根元部の直径D1が嵌合部926のシャフト直径D2と等しいため、突出リップ925の根元部から端面リップシール924の背端面924bまでの領域W2については、被密封流体Qの圧力Pに起因したシャフト902の軸方向の力は発生しない。
一方、突出リップ925の根元部から摺動面903aまでの領域W1については、突出リップ925が圧力Pで摺動面903aに押し付けられる作用の反発力により、端面リップシール924に対して、突出リップ925側から背端面924b方向に向かう力F1(被密封流体圧力Pによる軸方向の外力F1)が発生する。
この外力F1は被密封流体の圧力Pに起因する力であることから、被密封流体の圧力が高圧とならない回転装置においてはその力は小さい。従って、そのような装置では、端面リップシール924の嵌合部926のゴム弾性による緊迫力F2により、端面リップシール924は、シャフト902の軸方向に移動することなく、シャフト902に固定される。そしてそのような装置では、端面リップシール924とシャフト902の軸方向及び回転方向の相対移動が嵌合部926の緊迫力F2により防止され、端面リップシール924の組み付け位置をシャフト902の段差端面で規定する必要がなく、また、回転装置の作動時においても端面リップシール924をシャフト段差端面で支持する必要がない。すなわち、端面リップシール924とシャフト902の相対的な位置関係を任意に設定することができ、端面リップシール924の組み付け位置の基準面をハウジング901側に設けること、さらには、固定環903の組み付け基準面(図18に示す例においては、基準面901b)と同一にすることが可能となる。つまり、被密封流体の圧力Pが高圧とならない回転装置においては、図18に示すような構成のシャフトシール装置により、簡単な工程により、高精度に規定値通りの組み付けが可能なシャフトシール装置を提供することができる。
ところで、例えばカーエアコン等の空調装置用の冷媒としては、従来、フロンガスが広く使用されていたが、フロンガスは、空調装置から漏洩したり使用後の空調装置から適切に回収されない等の理由によって大気中に拡散される場合があり、地球温暖化に多大な悪影響を与えるとして昨今世界的に問題視されている。このため、フロンガスに代わる冷媒として、地球温暖化係数が小さい、いわゆる自然冷媒が検討されている。中でもCOは、比較的容易に液化し、その熱特性から冷房に加えて暖房(ヒートポンプ)としても利用できる点で好適であり、また、毒性が小さく汚染や安全性の観点からも好ましい。このCOを冷媒として使用する冷凍回路中のCO圧縮機では、被密封流体(冷媒COと霧状あるいは滴状のオイルとの混合流体)の圧力が約3MPaから約12MPaという空調装置としては非常に高い圧力範囲となる。
ここで、CO圧縮機に図18に示すようなシャフトシール装置を適用しようとすると、被密封流体の圧力Pが約3MPaから約12MPaと高圧であるため、圧力Pに起因する外力F1が非常に大きく、端面リップシール924の嵌合部926のゴム弾性による緊迫力F2では、端面リップシール924をシャフト902に対して固定できなくなる可能性がある。
緊迫力F2によって端面リップシール924をシャフト902に固定する力よりも外力F1が大きくなると、端面リップシール924は固定環903から離れる方向に移動し、突出リップ925が摺動面903aに対して充分に追随できない状態、あるいは届かない「シール面開き」の状態となり、被密封流体Qが漏洩する。
このような事態を避けるために、予めCOの圧縮機において想定される外力F1よりも緊迫力F2によって端面リップシール924をシャフト902に固定する力が大きくなるように端面リップシール924を設計することも可能であるが、実際の使用においては、端面リップシール924をシャフト902へ組み付け難くなる、あるいは、組み付け時に端面リップシール924の嵌合部926が破損する(むしれる)等の問題が生じる。従って、CO圧縮機のような被密封流体の圧力Pが高くなるような回転装置に対しては、図18に示すようなシャフトシール装置を適用するのは困難であった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被密封流体の圧力が高圧となる回転装置、あるいは高圧と低圧とに変化する回転装置においても、簡単な工程によりシール取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることができるシャフトシール装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のシャフトシール装置は、シャフトが通過するハウジングに固定される固定環と、前記シャフトに嵌合される端面リップシールとを有し、前記固定環の摺動面に前記端面リップシールの突出リップを摺動可能に密接させることにより、前記シャフトに沿って被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、前記端面リップシールの前記シャフトと嵌合されている箇所の直径(D2)は、前記突出リップの前記被密封流体側表面の最小径部分の直径(D1)よりも小さく、前記端面リップシールの前記突出リップが配設される箇所の直径(D3)よりも大きいことを特徴とする。
また、請求項2に係る本発明のシャフトシール装置は、前記端面リップシールは、前記ハウジングの所定の基準位置に対して所定の取り付け長となる位置で前記シャフトに嵌合され、前記固定環も、前記基準位置に対して位置合わせされて設置されることを特徴とする。
また、請求項3に係る本発明のシャフトシール装置は、前記端面リップシールは、前記突出リップ及び当該端面リップシールの表面を構成するゴム製の軟質部と、前記軟質部に埋設されて前記端面リップシールの形状を維持する補強環とを有し、前記補強環は、前記シャフトとの嵌合部において周面の一部が除去されていることを特徴とする。
また、請求項4に係る本発明のシャフトシール装置は、前記シャフトは段差を有し、前記端面リップシールは、前記シャフトの段差を跨ぎ、当該段差を跨ぐ範囲で前記シャフトの軸方向に位置調整可能に当該シャフトに嵌合されることを特徴とする。
また、請求項5に係る本発明のシャフトシール装置は、前記固定環は、固定側シール部品を介して前記ハウジングに保持され、前記固定側シール部品は、先端内周面が前記シャフトと密接するシールリップと、第1パッキンと、前記第1パッキンを介して前記ハウジングに固定される円環状の補強ケースと、前記補強ケースの内周側で前記補強ケースと前記シールリップ及び前記固定環との間に介在される第2パッキンと、を有し、前記第1パッキンは、前記補強ケースと前記ハウジングとの間を密封し、前記第2パッキンは、前記固定環の外周面と前記補強ケースの内周面とを密封するとともに、前記シールリップの固定環側の端面と前記補強ケースの支持部の端面との間を密封することを特徴とする。
請求項1に係る本発明のシャフトシール装置によれば、端面リップシールに作用する、被密封流体側から突出リップ側に向かうシャフトの軸方向の外力と、突出リップ側から被密封流体側に向かうシャフトの軸方向の外力とを平衡させることができ、あるいは、後者の影響を小さくすることができ、被密封流体の圧力が高圧である、あるいは、高圧と低圧とに変化する回転装置においても、端面リップシールはシャフトの軸方向に移動せず、組み付け位置に維持される。その結果、端面リップシールを従来行われていたようにシャフトの段差に突き当てて位置決めするような組み付け方法をとる必要がなく、端面リップシールを固定環と同じ基準に基づいて組み付けることができる。従って、固定環と端面リップシールとの相対的な位置を高精度に設計値通りとすることができ、適切なシール性能を発揮するシャフトシール装置を供することができる。
また、請求項1に係る本発明のシャフトシール装置によれば、端面リップシールとシャフトとのスリップが発生しにくくなる。
また、請求項2に係る本発明のシャフトシール装置によれば、端面リップシールと固定環とをハウジングの所定の基準面を基準として組み付けることが可能となり、簡単な工程によりシール取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることが可能となる。
また、請求項3に係る本発明のシャフトシール装置によれば、補強環が除去された領域の軟質部に被密封流体の圧力が直接的に作用し、端面リップシールをシャフトに圧接する緊迫力が有効に作用する。また、補強環が存在する部分に対する被密封流体の圧力により補強環が弾性変形し易くなり、補強環が存在する部分においても、同様の緊迫力が発生する。その結果、端面リップシールのシャフトに対する緊迫力が一層強くなり、簡単な工程によりシール取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることが可能なシャフトシール装置を提供することができる。
また、請求項4に係る本発明のシャフトシール装置によれば、シャフトの段差部分を用いて適切に前記条件の端面リップシールを設置することができる。
また、請求項5に係る本発明のシャフトシール装置によれば、簡単な部品を用いて簡単な方法により固定環の組み付けあるいは分解を行うことができ、また、部品寸法さえ管理しておけば高精度な組み付け状態が維持できて高い信頼性を維持することができ、さらにはコストを抑制することもできる。
第1実施形態
本発明の第1実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、第1実施形態のシャフトシール装置100の構造を示す断面図である。
本実施形態のシャフトシール装置100は、回転装置のシャフト102に取り付けられて、シャフト102が通過するハウジング101内において、シャフト102に沿って被密封流体Qと大気空間Aとをシールするものである。
図1に示すように、シャフトシール装置100は、回転装置のハウジング101に取り付けられる固定側シール部品120及び固定環103、及び、シャフト102に密接嵌合されて一体で回転する端面リップシール104を有する。そしてシャフトシール装置100は、端面リップシール104に形成される突出リップ105が固定環103の端面たる摺動面103aに対して外径方向へ傾斜して密接し、これにより、突出リップ105の外周部に存在する被密封流体Qが、固定環103より内径側、背面側の大気空間Aへ漏洩するのを防止する構成となっている。
シャフト102は、端面リップシール104の突出リップ105のわずかに被密封流体Q側に段差102aが形成されており、この段差102aを境界として、突出リップ105側(固定側シール部品120側)が細径部分102b、被密封流体Qが収容されている側が太径部分102cとなっている。すなわち、シャフト102は、段差102aを境界として、突出リップ105側より被密封流体Q側の方が直径が太く形成されている。
そして、この段差102aを跨ぐように、シャフト102に端面リップシール104が装着されている。
端面リップシール104は、図示のような断面形状を有し、内部に補強環109が埋設され、その周囲をゴム材が被覆した構成である。
端面リップシール104の一方の端部の、固定環103の摺動面103aと対向する位置には、断面がV形状に外方へ延在した突出リップ105が形成されている。突出リップ105は、前述したように固定環103の摺動面103aに向かって発散するように外方へ傾斜しており、突出リップ105の先端角部である密接面は、対向する摺動面103aに弾性接触して被密封流体Qをシールする。この突出リップ105は外周側から被密封流体Qの圧力を受けると傾斜角度を水平方向へ小さくなるように変形して摺動面103aに圧接するように構成されている。
また、端面リップシール104の突出リップ105とは反対側の端部の内面部は、嵌合部106として形成されており、この部分が、シャフト102の太径部分102cに嵌合されることにより被密封流体Qがシール(封止)され、かつ、端面リップシール104は、シャフト102に回転方向に回動が困難なように装着固定される。
そして本実施形態の端面リップシール104においては、端面リップシール104の突出リップ105の付け根部分に相当する突出リップ105の最小径部分の外周側表面の直径D1(突出リップ最小径D1と称する)は、端面リップシール104のシャフト102と嵌合している嵌合部106の直径(内径)D2よりも大きくなるように構成されている。
また、端面リップシール104の最小直径、すなわち、端面リップシール104の突出リップ105が形成されている箇所の直径(内径)D3は、前記端面リップシールの前記シャフトと嵌合されている箇所の直径(内径)D2よりも小さくなるように形成されている。なお、この端面リップシール104の最小直径D3は、シャフト102の細径部分102bの直径と略同等、あるいは細径部分102bの直径よりも僅かに大に構成され、この箇所においては被密封流体Qはシール(封止)されない。
突出リップ最小径D1、端面リップシール104のシャフト102と嵌合している嵌合部106の直径D2、及び、端面リップシール104の突出リップ105が形成されている箇所の直径D3の寸法をこのような関係とすることにより、被密封流体の圧力Pに起因し、端面リップシール104の背端面104b側から突出リップ105側に向かうシャフト102の軸方向の力(外力F1’)を端面リップシール104に作用させ、これを、突出リップ105が被密封流体の圧力で摺動面103aに押し付けられる作用の反発力F1と平衡させるか、あるいはその差を小さくして反発力F1の端面リップシール104に対して実際に作用する力を小さくさせることができる。
その結果、被密封流体の圧力Pが高圧である、あるいは、高圧と低圧とに変化する回転装置においても、端面リップシール104が外力F1の作用によりシャフト102の軸方向に移動するのを防ぐことができ、端面リップシール104を組み付け時に配置した位置に安定的に保持することができる。
なおここで、外力F1’は、端面リップシール104の背端面104bに作用する被密封流体の圧力Pのうち、端面リップシール104のシャフト102と嵌合されている箇所の直径D2と、突出リップ最小径D1との差により発生する力であって、本発明に係るシャフトシール装置ではD1>D2なので、端面リップシール104の背端面104b側から突出リップ105側に向かうシャフト102の軸方向の力である。
また、端面リップシール104に対して作用する軸方向の外力(F1及びF1’の合力)が小さいかあるいは完全に平衡されるため、端面リップシール104の嵌合部106のゴム弾性による緊迫力F2を小さく設計しても、シャフト102に対する端面リップシール104の固定が確実に行われる。従って、シャフトシール装置100の組み付け時において、端面リップシール104をシャフト102に嵌合する際の抵抗を小さくすることができ、端面リップシール104の装着性を向上させることができる。また、端面リップシール104の嵌合部106が破損する(むしれる)等の問題を回避することもできる。
また、端面リップシール104にはシャフト102の軸方向に動かされる力が実質的に作用せず、端面リップシール104は、シャフト102に組み付けた位置、設置した位置に確実に固定される。従って、端面リップシール104は、ハウジング101の固定環103の摺動面103aと当接する面を基準面101bとして、この基準面101bから規定の距離が所定のシール取り付け長L1となるように配置することができる。後述する組み付け方法によって固定環103も同じ基準面101bを基準として組み付けることにより、固定環103と端面リップシール104との相対的な位置を高精度に設計値通りとすることができ、適切なシール性能を発揮し維持することができる。すなわち、端面リップシール104については、従来行われていたように端面リップシール104をシャフトの段差102aに突き当てることによってシール取り付け長を設定するようなことはしない。
また、図2に示すように、端面リップシール104の突出リップ105が形成されている側の端面(固定環側端面)104aには、端面リップシール104を組み付ける際に装着治具が係合される薄肉部104bが形成されている。
図2(A)は、端面リップシール104の固定環側端面104aを突出リップ105方向から見た時の図であり、図2(B)は、図2(A)に対応する端面リップシール104の断面図である。
図2(A)に示すように、薄肉部104bは、固定環側端面104aに対して4等配の溝形状に形成される。
シャフトシール装置100の組み付け方法については後述するが、装着治具が当接される部分の固定環側端面104aのゴム材の厚みを薄くしておくことにより、装着治具の押圧による端面リップシール104のゴム材の寸法変形(圧縮変形)を極めて小さくすることができ、シール取り付け長L1(図1参照)の管理を精度よく行うことができる。
端面リップシール104の表面ゴム材の材質は、被密封流体の種類により選定され、例えばニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)等が使用される。
また、端面リップシール104の補強環109は、例えば鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、エンジニアリングプラスチック等により形成され、切削加工、プレス加工、又はモールド成形により製作される。
図1に戻って、固定環103は、固定側シール部品120を介してハウジング101に設置され、端面リップシール104側の端面が端面リップシール104の突出リップ105が圧接される摺動面103aとして形成されている。
固定環103は、後述するように、固定環103の摺動面103aがハウジング101の基準面101bに当接するようにハウジング101に嵌合されて端面リップシール104方向に押し込まれて設置される。
固定環103は、例えば超硬合金、炭化珪素、セラミックス、鋳鉄、エンジニアリングプラスチック等の、端面リップシール104の表面ゴム材よりも硬質の材料により形成される。なお、潤滑条件が厳しい回転装置においては、自己潤滑性に優れるカーボン、又はカーボンと硬質材の複合材を選定することも可能である。
固定側シール部品120は、その内周部のシャフト102の端部側(端面リップシール104の遠位側)にシールリップ124を有するとともに、内周部の端面リップシール104側に固定環103を保持する。
固定側シール部品120は、第1パッキン121、第1パッキン121を介してハウジング101に固定される円環状の補強ケース122、補強ケース122の内周側で補強ケース122とシールリップ124及び固定環103との間に介在される第2パッキン123、及び、シールリップ124を有する。
第1パッキン121は、補強ケース122とハウジング101との間から被密封流体が漏洩しないように、補強ケース122とハウジング101との間をシールしている。
また、第2パッキン123は、固定環103の外周面と補強ケース122の内周面との間を密封し、さらに、シールリップ124の固定環103側の端面と、補強ケース122の支持部126の端面との間を密封して被密封流体が漏洩しないようにしている。
シールリップ124は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の低摩擦係数の性質を有する合成樹脂により形成されている。このシールリップ124は、成形時の原形が円盤状板に形成されて、さらに円盤状板を軸方向に曲げ加工して外周が固定側シール部品120による保持部として形成されると共に、内周が軸方向を成す筒状に形成されたリップに構成されている。そして、このリップのシール接合面124aの先端内周面が、シャフト102とシャープに密接してシールする。
シール固定部品108は、固定環103及び固定側シール部品120をシャフト102に沿ってハウジング101内に挿入し固定するための部材であり、ハウジング101に対して軸方向の移動及び固定が自在に可能な部材である。本実施形態においてシール固定部品108は、図1にその断面形状を示すように、両端部を除く外周面にねじ溝108aが形成されている略円筒状の部材である。ハウジング101のシール固定部品108が挿入される部分の内周面にもねじ溝101aが形成されており、シール固定部品108は、これらのねじ溝101a及び108aを係合させてハウジング101に挿入されることにより、ハウジング101の内部をシャフト102に沿って移動可能であるとともに、所望の位置に精度よく固定される。
次に、本発明に係るシャフトシール装置100の組み付け方法について図3を参照して説明する。
シャフトシール装置の組み付けに際しては、まず、シャフト102とハウジング101の組み立てが完了した回転装置に対して、図3(A)に示すように、端面リップシール104を、装着治具110を用いて装着する。
図3(B)及び図3(C)は、その装着治具110の構造を示す側面図及び正面図である。
図3(A)〜図3(C)に示すように、装着治具110は、先端面の外周側に治具基準先端面110aが形成され、内周側に治具突起110bが形成された治具である。
治具基準先端面110aは、装着治具110をハウジング101内に挿入した時にハウジング101の基準面101bに当接する面であり、治具突起110bの高さL2を規定するための基準となる面である。
装着治具110は、治具突起110bを、端面リップシール104の固定環側端面104aの薄肉部104bに係合した状態で、これをハウジング101とシャフト102との間隙に挿入し、治具基準先端面110aがハウジング101の基準面101bに当接するまで押し込む。
治具突起110bの治具基準先端面110aに対する高さL2は、ハウジング101の基準面101b(換言すれば、固定環103の摺動面103a)と端面リップシール104との間隔であるシール取り付け長L1と等しくされる。
端面リップシール104を押し込んだら、次に、図1に示すように固定環103及び固定側シール部品120を、シール固定部品108を介して、すなわちシール固定部品108をねじ込むことにより、ハウジング101に挿入し、固定環103の摺動面103aをハウジング101の基準面101bに規定の荷重で突き当てる。
その結果、図1に示すように端面リップシール104、固定環103及び固定側シール部品120が配置されたシャフトシール装置100が構成される。
このように、本実施形態のシャフトシール装置100においては、図2(B)に示すように、端面リップシール104の突出リップ最小径D1が、端面リップシール104のシャフト102と嵌合している嵌合部106の直径D2よりも大きくなるように形成されているため、端面リップシール104に対して、シャフト102の軸方向に沿った2方向(各々反対方向を指す)から作用する被密封流体の圧力による外力を平衡させる、あるいは略同等とすることができる。その結果、端面リップシール104はシャフト102の軸方向に移動しないように構成される。従って、端面リップシール104の組み付け位置を例えばシャフト102の段差102aにより規定する必要がなく、シャフトシール装置100の作動時において端面リップシール104をシャフト102の段差102aで支持する必要もない。
従って、端面リップシール104とシャフト102との相対位置を任意に設定することができ、端面リップシール104の組み付け位置の基準面をハウジング101側に設けることも可能であり、固定環103と同一の基準面を用いることも可能である。
そして、そのように端面リップシール104を固定環103と同一の基準面を用いて設置することにより、シャフトシール装置100のシール取り付け長L1が、回転装置のハウジング101とシャフト102との取り合い誤差(寸法のばらつき)の影響を受けることを回避することができる。その結果、シール取り付け長を高精度かつ容易に規定値通りに管理することができ、シールの密封性能及び信頼性を大幅に向上させることができる。
また、その組み付けに際して、端面リップシール104の固定環側端面104aの装着治具110が当接される部分は、ゴム材の厚みが薄い薄肉部104bとして形成されているため、装着治具110の当接による端面リップシール104の変形量を小さくすることができ、シール取り付け長L1を一層精度よく管理することができる。
なお、本実施形態は本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を何ら限定するものではない。本実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、前述した端面リップシールの構成や端面リップシールのシャフトへの装着方法、あるいはシール固定部品の構成等についても、本発明の範囲内において、前述した実施形態以外の種々の形態で実現することができ、また、前述した実施形態の種々の変形も可能である。
以下、そのような他の形態や変形例について説明する。
第2実施形態
まず、端面リップシールの他の形態について、本発明の第2実施形態として図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第2実施形態の端面リップシール204の構造を示す図であり、図4(A)はその断面図(図4(B)のA−O−A’における断面図)であり、図4(B)は図4(A)のB−B’における断面図であり、図4(C)はその補強環209の側面図である。
端面リップシール204は、その外径形状、寸法等は、第1実施形態の端面リップシール104と同じである。
しかし端面リップシール204においては、内部に埋設されている補強環209に、切り欠き210が形成されている。そして、切り欠き210が形成された箇所には周囲と同じゴム材が配設されている。
このような構成の端面リップシール204においては、補強環209の切り欠き部210に配設されたゴム材に被密封流体の圧力が直接的に作用し、端面リップシール204をシャフト102に圧接する緊迫力F3が発生する。
また、補強環209の梁部分211が被密封流体の圧力により弾性変形し易くなり、補強環209が切り欠かれていない部分においても、同様の緊迫力F2が発生する。
従ってこのような構成の補強環209を有する端面リップシール204は、第1実施形態の端面リップシール104と比較してシャフト102に対する緊迫力が一層強くなっており、端面リップシール204はシャフト102の軸方向に移動することは一層阻止される。その結果、端面リップシール204のシール取り付け長は長期にわたって初期の組み付け時の寸法(規定値)に保持される。また、端面リップシール204とシャフト102とのシャフト102の回転方向の相対移動も一層強く阻止され、被密封流体の洩れやシールの破損等の不具合をより有効に防止することができる。
第3実施形態
端面リップシールのさらに他の形態について、本発明の第3実施形態として図5を参照して説明する。
図5は、その端面リップシール304の構造を示す図であり、図5(A)はその断面図(図5(B)のA−O−A’における断面図)であり、図5(B)は図5(A)のB−B’における断面図であり、図5(C)はその補強環309の側面図である。
端面リップシール304も、その外径形状、寸法等は第1実施形態及び第2実施形態の端面リップシール104及び204と全く同じである。
しかし端面リップシール304においては、内部に埋設されている補強環309に、図5(C)に示すような開口310が形成されており、この開口310には、周囲と同じゴム材が配設されている。
このような構成の端面リップシール304においても、補強環309の開口310に配設されたゴム材に被密封流体の圧力が直接的に作用し、端面リップシール304をシャフト102に圧接する緊迫力が発生する。
従って端面リップシール304は、第1実施形態の端面リップシール104と比較してシャフト102に対する緊迫力が一層強くなっており、シャフト102の軸方向に一層移動し難い状態となる。その結果、端面リップシール304のシール取り付け長は長期にわたって初期の組み付け時の寸法(規定値)に保持される。また、端面リップシール304とシャフト102とのシャフト102の回転方向の相対移動も一層強く阻止され、被密封流体の洩れやシールの破損等の不具合をより有効に防止することができる。
第4実施形態
端面リップシールのさらに他の形態について、本発明の第4実施形態として図6を参照して説明する。
図6は、その端面リップシール404の構造を示す図であり、図6(A)はその断面図(図6(B)のA−O−A’における断面図)であり、図6(B)は図6(A)のB−B’における断面図であり、図6(C)はその補強環409の側面図である。
端面リップシール404は、図4を参照して前述した第2実施形態の端面リップシール204と同様に、補強環409に切り欠き410を形成したものであり、これについては第2実施形態の端面リップシール204と同様の作用効果を奏する。
端面リップシール404においては、さらに、端面リップシール404が装着される箇所のシャフト102(太径部分102c)に、ノックピン413が圧入設置されており、また、端面リップシール404の補強環409にこのノックピン413に係合する係合切り欠き412が形成されている。そして、図6(A)及び図6(B)に示すように、この係合切り欠き412にノックピン413が係合されている。
このような構成とすることにより、端面リップシール404はシャフト102に対するシャフト102の回転方向の相対移動(ずれや滑り等)が機械的に完全に阻止されるため、シールの信頼性がさらに向上して好適である。
なお、図6(A)及び図6(B)に示すように、ノックピン413のシャフト圧入部の径は、補強環409の係合切り欠き412の幅よりも大きくしておくのが好適である。そのような構成としておけば、ノックピン413がシャフト圧入部より外れた場合でも、ノックピン413が回転装置の機内に脱落することを防止することができる。
第5実施形態
前述したような端面リップシールのシャフトに対する相対移動を防止する機構に係る変形、すなわち回り止め機構に係る変形としては、さらに種々の形態が考えられる。
図6を参照して前述した第4実施形態の端面リップシール404は、シャフト102にノックピン413を圧入してこれに端面リップシール404を係合させたが、ノックピン413に相当する凸部を予めシャフトに形成しておくようにしてもよい。
そのような形態のシャフトシール装置について、本発明の第5実施形態として図7を参照して説明する。
図7は、その端面リップシール404の回り止め機構の変形例を示す図であり、図7(A)はシャフト202に装着された端面リップシール404の断面図(図7(B)のA−O−A’における断面図)であり、図7(B)は図7(A)のB−B’における断面図である。
端面リップシール404は、第4実施形態として図6に示した同一符号の端面リップシールと同じ構成である。一方、端面リップシール404が装着されるシャフト202には、端面リップシール404の装着箇所に凸部203が形成されており、端面リップシール404の係合切り欠き412に、シャフト202のこの凸部203が係合される。
このような構成とすることによっても、端面リップシール404とシャフト202のシャフト回転方向の相対移動(ずれや滑り等)が機械的に完全に阻止され、シールの信頼性がさらに向上する。
第6実施形態
端面リップシールのシャフトに対する回り止め機構に係るさらに他の形態を、本発明の第6実施形態として図8を参照して説明する。
図8は、端面リップシールの回り止め機構の他の形態を示す図であり、図8(A)はシャフト302に装着された端面リップシール504の断面図(図8(B)のA−O−A’における断面図)であり、図8(B)は図8(A)のB−B’における断面図である。
本実施形態は、端面リップシール504の補強環509にダボ加工部513を形成し、シャフト302に面取り部303を形成し、これらを係合させることにより端面リップシール504とシャフト302のシャフト回転方向の相対移動を阻止するものである。
ダボ加工部513は、補強環509の側周面の一部を、プレス加工により、内径側に突起させることにより形成する。また、ダボ加工部513においては、図示のごとく、補強環509をゴム層よりむき出しにして、シャフト302の面取り部303とメタルタッチ(金属同士のカシメ又は噛合わせ)として係合させる。これにより、一層強固に補強環509(端面リップシール504)とシャフト302とを係合させることができる。
なお、このような構成は、回転装置の構造によっては、端面リップシールをシャフトの正規の位置に装着してから、プレス加工によりダボを形成することによっても実現可能である。
なお、図8に示した端面リップシール504においては、図4を参照して例示した端面リップシール204と同様に補強環509に切り欠き510が形成されており、この箇所に被密封流体の圧力が直接的に作用し、端面リップシール504をシャフト302に圧接する緊迫力が発生するように構成されている。
第7実施形態
さらに、端面リップシールとシャフトの嵌合方法の他の形態について、本発明の第7実施形態として図9を参照して説明する。
図9は、端面リップシールとシャフトとが嵌合した状態を示すシャフト軸方向の断面図である。
本実施形態は、シャフト402の端面リップシール204の嵌合箇所にローレット加工を施しておき、端面リップシール204の嵌合部206の一部を、このシャフト402に形成されたローレット加工部403に食い込ませるようにして、端面リップシール204とシャフト402とを嵌合させるものである。
ローレット加工の方法としては、切削ローレット加工が好適である。
軸方向に平行なローレット加工(スプライン加工)であれば、端面リップシール204とシャフト402とのシャフト回転方向の相対移動(ずれ)を抑止できる。また、網目加工の場合は、回転方向と軸方向の両方のずれを抑止できて効果的である。なお、端面リップシール204をシャフト402に圧入する際に、密封面にキズが付くのを避けるため、シャフト402の嵌合部は2段に形成するのが好適である。すなわち、ローレット加工部403が形成された部分のシャフト402の直径は、突出リップ205が配置されるシャフト402の細径部分402bよりも太く、端面リップシール204が嵌合されるシャフト402の太径部分402cよりも細い直径とするのが好適である。
なお、ローレット加工部403が形成されたシャフト402に嵌合される端面リップシールとして、図9においては、図4に示した端面リップシール204を示したが、その他、図1及び図2に示した端面リップシール104、図5に示した端面リップシール304、図6に示した端面リップシール404、及び、図8に示した端面リップシール504等を嵌合させることも可能である。
第8実施形態
また、本発明に係る端面リップシールのさらに他の形態について、本発明の第8実施形態として図10を参照して説明する。
図10は、その端面リップシール604とシャフト102とが嵌合した状態を示すシャフト軸方向の断面図である。
図10に示す端面リップシール604は、前述した各端面リップシールと同様に、内部に補強環609が埋設され、その周囲をゴム材が被覆した構成である。端面リップシール604の固定環103側の端面には突出リップ605が形成されており、また、他方の端面は、シャフト102の太径部分102cに嵌合する嵌合部606として形成されている。また、端面リップシール604の突出リップ最小径D1が、端面リップシール604のシャフト102と嵌合している嵌合部606の直径D2よりも大きくなるように形成されているため、端面リップシール604に対して、シャフト102の軸方向に沿った2方向(各々反対方向を指す)から作用する被密封流体の圧力による外力を平衡させる、あるいは略同等とすることができ、端面リップシール604は、シャフト102の軸方向に移動しないように構成される。また、被密封流体の圧力は端面リップシール604のシャフト102の径方向に緊迫力として作用し、端面リップシール604はシャフト102に固定されている。
そして図10に示す端面リップシール604においては、突出リップ605が形成されている側とは反対側の端面、すなわち嵌合部606側の端面に、補助リップ613が形成されている。補助リップ613は、図示のように端面リップシール604の端面からシャフト102の軸心方向に傾斜してシャフト102の太径部分102cに密接するように形成されており、このような補助リップ613に対して被密封流体の圧力が作用することにより、補助リップ613はシャフト102に押圧され、シャフト102に対して緊迫力を作用させることになる。その結果、端面リップシール604は、一層強固にシャフト102に固定される。
また、端面リップシール604においては、補助リップ613が形成されている側の端部において、補強環609の端部が外周面に突出してゴム材からも露出した状態とされている。この補強環609の端部は、シャフト102の軸方向に垂直に立設される面614として形成されている。この立設面614は、端面リップシール604をシャフト102に組み付ける際に、装着治具110(図3参照)を突き当てるための面として使用される。
端面リップシール604を組み付ける際に、装着治具110を補強環609のような硬質部材で形成された面に当接させて、端面リップシール604の位置決めをすることにより、ゴム材のような柔軟な構成部に装着治具110を突き当てる場合に比べて、端面リップシール604の位置決めを高精度かつ簡単に行うことができる。
端面リップシールは、このような形態で実現されてもよい。
第9実施形態
また、さらに端面リップシールの他の形態について、本発明の第9実施形態として図11を参照して説明する。
図11は、その端面リップシール704の他の形態を示す図であり、図11(A)はシャフト502に装着された端面リップシール704の断面図(図11(B)のA−O−A’における断面図)であり、図11(B)は図11(A)のB−B’における断面図である。
図11に示す端面リップシール704の基本的な構成は、図10に示した端面リップシール604と同じである。すなわち、端面リップシール704には、突出リップ705とは反対側の端面に補助リップ713が形成されており、また、補強環709の補助リップ713側の端部は、外径方向に突出して装着治具110(図3参照)が突き当てられる立設面714を形成している。
そして、特に、図11に示す端面リップシール704においては、その立設面714が形成された補強環709の端面の一部が、さらにシャフト502の軸方向に平行に延伸されて係合爪715として形成されている。図11に示す端面リップシール704においては、図11(B)に示すように、補強環709を3等配する位置に、係合爪715が形成されている。
そして、シャフト502には、端面リップシール704のこの係合爪715に係合するための構成が形成される。すなわち、シャフト502には、端面リップシール704の嵌合部706が嵌合される太径部分502cのさらに奥側(細径部分502bに連なる側とは反対側)に、径拡大部分502dが形成されており、この径拡大部分502dの周縁部の係合爪715に対応する位置に、係合爪715と係合する係合切り欠き503が形成されている。このシャフト502の係合切り欠き503に端面リップシール704の係合爪715が係合されることにより、端面リップシール704とシャフト502とのシャフト502の回転方向の相対移動(ずれや滑り等)が機械的に完全に阻止され、シールの信頼性が向上する。
なお、端面リップシール704の係合爪715は、補強環709とともに一体的にプレス加工等により形成する。
第10実施形態
また、前述した各実施形態の端面リップシールは、いずれも、補強環の内周側表面に配設されたゴム材によりシャフトに嵌合される構成であった。しかしながら、嵌合部のゴム材の代わりに、Oリング等を用いることも可能である。
そのように構成の端面リップシール804について、本発明の第10実施形態として図12を参照して説明する。
図12は、その端面リップシール804とシャフト102とが嵌合した状態を示すシャフト軸方向の断面図である。
図12に示すように、端面リップシール804においては、ゴム材は、補強環809の突出リップ805が形成される側の端面及び周面にのみ装着されており、突出リップ805とは反対側の側周面は補強環809が露出した構成となっている。そして、その補強環809は、シャフト102との間にOリング806を介在させて、シャフト102の太径部分102cに嵌合されている。
また、端面リップシール804が装着される箇所のシャフト102(太径部分102c)に、ノックピン813が圧入設置されており、また、端面リップシール804の補強環809には、ノックピン813に係合する係合切り欠き812が形成されており、図12に示すように、この係合切り欠き812にノックピン813が係合されている。
本発明のシャフトシール装置は、このような構成の端面リップシール804を用いても実現することができる。すなわち、端面リップシール804に対して、シャフト102の軸方向に沿った2方向(各々反対方向を指す)から作用する被密封流体の圧力による外力が平衡、あるいは略同等となり、端面リップシール804がシャフト102の軸方向に移動することはない。また、ノックピンにより端面リップシール804をシャフト102に係合させているので、端面リップシール804とシャフト102とのシャフト回転方向の相対的移動は機械的に完全に阻止され、シールの信頼性も向上される。
第11実施形態
また、前述した各実施形態において固定環103及び固定側シール部品120は、例えば図1に示すように、外周面にねじ溝108aが形成されている略円筒状のシール固定部品108により、シャフト102に沿ってハウジング101内に挿入され、大気A側背面が支持され、ハウジング101の基準面101bとシール固定部品108との間に保持されるものであった。しかしながら、シール固定部品の構成及び固定環103等の固定方法はこれに限られるものではなく、他の構成や方法であってもよい。
シール固定部品の構成及び固定環103等の固定方法の他の例について、第11実施形態として図13を参照して説明する。
本実施形態においては、いわゆる(穴用)止め輪(スナップリング)により、固定環103及び固定側シール部品120をハウジングに固定する。特に、本実施形態においては、外周端面がテーパー形状に形成されているベベル形止め輪をシール固定部品として用いて、固定環103及び固定側シール部品120の固定を行う。
図13は、ベベル形止め輪208を用いて固定環103及び固定側シール部品120を固定したシャフトシール装置200を示す図であり、図13(A)はそのシャフトシール装置の構造及び組み付け方法を説明するための断面図であり、図13(B)はそのべベル形止め輪208の正面図であり、図13(C)はそのべベル形止め輪208の環状部の断面図であって図13(B)のA−A’における断面図である。
図13に示すシャフトシール装置200において、シャフト102、固定環103、端面リップシール104及び固定側シール部品120の構成及び配置は、図1を参照して前述した第1実施形態のシャフトシール装置100と同一である。
シャフトシール装置200においては、ハウジング201の内周面に、べベル形止め輪208が嵌入される溝201cが形成されている。この溝201cのシャフト102の軸方向大気A側(端面リップシール104から遠位側)の側面は、べベル形止め輪208を掛止し支持するための掛止面201dとされ、この掛止面201dは、内径方向に向かって大気側に傾斜した傾斜面(テーパー面)として形成されている。
一方、固定環103及び固定側シール部品120を固定するために用いるべベル形止め輪208は、例えば図13(B)に示すような平面形状で、図13(C)に示すような断面形状の円環部を有し、その外周面に、外周方向に向かって肉薄となるようなテーパー面208aが形成されている。
このようなハウジング201及びべベル形止め輪208を有するシャフトシール装置200においては、端面リップシール104をシャフト102に沿ってハウジング201内の被密封流体Q側の所定位置に押し込んだ後、固定環103及び固定側シール部品120をハウジング201に挿入し、固定環103の摺動面103aがハウジング201の基準面(段差部)201bに当接するまで端面リップシール104方向に押し込む。そして、固定環103の摺動面103aがハウジング201の基準面(段差部)201bに当接したら、固定側シール部品120の大気側背面に当接配置されるべベル形止め輪208をハウジング201の溝201cに嵌入する。これにより、べベル形止め輪208は大気側に移動しない状態となる。
その結果、固定環103と固定側シール部品120とは、べベル形止め輪208とハウジング201の基準面(段差部)201bとの間に挟持された状態となり、図13(A)に示すような構成のシャフトシール装置200が構成される。
このような構成のシャフトシール装置200においても、ハウジング201の基準面201bを基準として端面リップシール104及び固定環103の組み付けを行うため、組み付けに係る積み重ね誤差を少なくすることができ、シャフトシール装置200を高精度に組み付けることが可能となる。
また、このような構成で現実に固定環103及び固定側シール部品120をハウジング201に組み付けるためには、固定環103、固定側シール部品120及びべベル形止め輪208の全体の軸方向長さと、ハウジング201の基準面201bから溝201cのテーパー状掛止面201dまでの長さとを等しくしておく必要がある。本実施形態のシャフトシール装置200においては、べベル形止め輪208の外周テーパー面208aとハウジング201のテーパー状掛止面201dとが噛合うようにしているので、そのテーパー面208aの軸方向の長さt分(図13(A)及び図13(C)参照)、組み付けの許容範囲が生まれる。従って、固定環103及び固定側シール部品120の実際の組み付けを、容易かつ高精度に行うことができる。換言すれば、この許容範囲を規定の寸法としておくことにより、規定の許容範囲で組み付けを行うことが可能となり、固定環103及び固定側シール部品120を安定的に高精度に組み付けることができる。
また、べベル形止め輪208は、部品寸法さえ管理しておけば緩み止めの必要が無い。従って、高い信頼性で、固定環103及び固定側シール部品120を設置することができる。
また、べベル形止め輪208を用いたこのような固定環103及び固定側シール部品120の設置方法は、簡単な方法であり、組み付けや分解を容易に行うことができる。また使用する部品も単純な部品でよい。従って、シャフトシール装置の製造や設置に係るコスト、あるいはこれを用いた装置に係るコストを抑えることができる。
固定環103及び固定側シール部品120は、このように、べベル形止め輪208を用いて固定するようにしてもよい。
以上説明したように(図1参照)、本発明に係る端面リップシール104においては、突出リップ105の付け根部分の直径D1は、シャフト102と嵌合している嵌合部106の内径D2よりも大きくなるように形成されている。
その結果、端面リップシール104に作用する、背端面104b側から突出リップ105側に向かうシャフト102の軸方向の外力F1’と、突出リップ105側から背端面104b側に向かうシャフト102の軸方向の外力F1とを平衡させることができ、あるいは、外力F1の影響を小さくすることができ、被密封流体の圧力Pが高圧である、あるいは、高圧と低圧とに変化する回転装置においても、端面リップシール104はシャフト102の軸方向に移動せず、組み付け位置に維持される。
また、その結果、端面リップシール104を従来行われていたようにシャフト102の段差102aに突き当てて位置決めするような組み付け方法をとる必要がなく、端面リップシール104を固定環103と同じハウジング101の基準面101bを基準として組み付けることができる。従って、固定環103と端面リップシール104との相対的な位置を高精度に設計値通りとすることができ、適切なシール性能を発揮するシャフトシール装置を供することができる。
ここで、突出リップ105の付け根部分の直径D1を嵌合部106の内径D2よりも大きくすることの効果、及び、その差異の適切な範囲について図14及び図15を参照して説明する。
図14は、突出リップ105の付け根部分の直径D1と嵌合部106の内径D2の比が異なる種々の端面リップシール104における、被密封流体の圧力と、被密封流体の圧力に起因して端面リップシール104に作用するシャフト102の軸方向の力との関係を示す図である。なお、図14に示す関係は、有限要素法による解析結果である。
図14において、横軸は被密封流体の圧力Pであり、CO圧縮機を想定してその最大範囲は12MPaとした。また、縦軸は、端面リップシール104に作用するシャフト102の軸方向の力Fであり、F=F1−F1’と定義する。すなわち、外力Fの値がプラスの場合は、外力F1が作用して突出リップ105から背端面104b方向に端面リップシール104に力が作用し、また、外力Fの値がマイナスの場合は、外力F1’が作用して背端面104bから突出リップ105方向に端面リップシール104に力が作用する。
ここでは、突出リップ105の付け根部分の直径D1と嵌合部106の内径D2との比D2/D1が1.000から0.831までの端面リップシール104について、被密封流体の圧力と、端面リップシール104に作用する軸方向の力Fとの関係を示す。
なお、突出リップ105の付け根部分の直径D1は14.2mmとし、これに対して嵌合部106の内径D2を変化させて、D2/D1の各条件の端面リップシール104を構成した。また、各端面リップシール104で異なるのは嵌合部106の内径D2のみであり、例えば突出リップ105の断面形状、突出リップ105が形成される箇所の端面リップシール104の内径D3、被密封流体の圧力Pにより、突出リップ105が摺動面103aに押し付けられる力、シャフトシールの性能(密封性能、摩擦摩耗特性)等の他の条件は各例において全て同じである。また、端面リップシール104のゴム材としては、摺動用あるいは高圧用シール材として好適とされる公知のゴム材とした(例えば、特開2002−80639号公報の実施例1のゴム組成物等)。
なお、図14においては、突出リップ105の付け根部分の直径D1と嵌合部106の内径D2とが等しい場合、すなわちD2/D1=1.000の場合は、図18に示した構成と同じ構成なので、これを従来例とし、また、結果の適切性から、D2/D1が、0.972、0.944、及び0.831の場合は比較例(比較例1〜比較例3)とし、D2/D1が0.915、0.887及び0.859の場合は実施例(実施例1〜実施例3)として示した。
図14に示すように、従来例では、例えば被密封流体の圧力Pが12MPaの条件において、端面リップシール104に約410Nもの外力F(F1方向)が作用するが、比較例1及び比較例2に示すように、D2/D1が小さくなるに連れて、外力Fも低下する。ただし、D2/D1を小さくし過ぎた場合には、比較例3に示すように、F1’方向の外力が大きくなり好ましくない。
従って、この例においては、実施例1〜実施例3に示すような範囲のD2/D1が好ましいと言える。
なお、D2/D1の最適な値は、設計者あるいは使用者が目的に合わせて選定すればよい。
例えば、CO圧縮機の使用圧力範囲の中でも、圧力4MPa〜6MPaの中圧域における信頼性、安定性を重視するなら、外力Fの絶対値が他よりも小さい実施例1の構成を選択すればよい。また、CO圧縮機で想定される圧力範囲の全域(約3MPa〜約12MPa)について被密封流体の圧力の変化に影響されにくいシャフトシール装置100を得たい場合は、外力Fの平均絶対値及び変化率が小さい実施例2の構成を適用すればよい。あるいはまた、嵌合部106に何らかの不具合があり、緊迫力が失われた場合の安全性を重視するなら、実施例3の構成を選定すればよい。すなわち、実施例3ではCO圧縮機で想定される圧力範囲の全域にわたって外力Fがマイナスの値(F1’方向)となっていることから、仮に緊迫力が失われた場合には端面リップシール104は固定環103に押し付けられる方向に移動し、少なくとも被密封流体の摺動面103aからの大量漏れを防止することができる。
また、ある一定の圧力Pにおける端面リップシール104の径の比D2/D1と外力Fとの関係を図15に示す。図15においては、圧力Pが6MPa及び12MPaの場合について示す。
図15に示すように、端面リップシール104の径の比D2/D1と外力Fとの関係は、1次関数で近似される。従って、図14に示されていない構成についても、図15に示すような関係式を用いることで補間することが可能であり、より精度よく端面リップシール104の形態の条件、すなわち、突出リップ105の付け根部分の直径D1と嵌合部106の内径D2との関係を求めることができる。
また、本発明に係る端面リップシール104においては、嵌合部106の内径D2は、突出リップ105が配設される箇所の直径(図1に示す端面リップシール104では端面リップシール104の最小直径)D3よりも大きいものとした。これは、端面リップシール104とシャフト102とがスリップをしないようにする上で好適な条件である。このことについて、図16を参照して説明する。
図16は、端面リップシール104の嵌合部106の内径D2と端面リップシール104の最小直径D3との寸法比D2/D3と、固定トルクの比(T2/T3)との関係を示す図である。
固定トルクTは、端面リップシール104とシャフト102とを円周方向に相対回転させる際に必要な力で、固定トルクT=緊迫力×半径×摩擦係数として定義される。固定トルクTが大きいほど、端面リップシール104とシャフト102とのスリップが発生しにくくなり、好適な設計となる。
図16において、トルクT2は、嵌合部106の内径D2における固定トルクを示し、トルクT3は、嵌合部106の内径を端面リップシール104の最小直径D3と仮定した場合の固定トルクを示す。なお、緊迫力はゴム弾性による緊迫力とし、嵌合部における端面リップシールの設計寸法(径方向締め代率、軸方向幅)及び端面リップシールとシャフトとの間の摩擦係数は全て同一とした。
図16から明らかなように、嵌合部106の内径D2が端面リップシール104の最小直径D3より大きくなるほど、固定トルクTは大きくなる。
従って、嵌合部106の内径D2は、少なくとも端面リップシール104の最小直径D3よりも大きいことが、適切な端面リップシール104の設計条件となる。
産業上の利用分野
本発明のシャフトシール装置及びその組み付け方法は、空調機用の圧縮機、ポンプ、原動機等の回転装置に好適に適用可能である。また、ハウジングとシャフトとの間の被密封流体をシールする装置であれば、任意の装置に対して適用することができる。
図1は、本発明の第1実施形態のシャフトシール装置を示す断面図である。 図2は、図1に示したシャフトシール装置の端面リップシールを示す図であり、図2(A)は端面リップシールの固定環側端面を突出リップ方向から見た正面図であり、図2(B)は図2(A)のA−Oにおける断面図である。 図3は、図1に示したシャフトシール装置の組み付け方法を説明するための図であり、図3(A)は装着治具により端面リップシールをハウジング内に押し込む状態を示す図であり、図3(B)は装着治具の側面図であり、図3(C)は装着治具の正面図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係る端面リップシールを示す図であり、図4(A)はその断面図(図4(B)のA−O−A’における断面図)であり、図4(B)は図4(A)のB−B’における断面図であり、図4(C)はその補強環の側面図である。 図5は、本発明の第3実施形態に係る端面リップシールを示す図であり、図5(A)はその断面図(図5(B)のA−O−A’における断面図)であり、図5(B)は図5(A)のB−B’における断面図であり、図5(C)はその補強環の側面図である。 図6は、本発明の第4実施形態に係る端面リップシールを示す図であり、図6(A)はその断面図(図6(B)のA−O−A’における断面図)であり、図6(B)は図6(A)のB−B’における断面図であり、図6(C)はその補強環の側面図である。 図7は、本発明の第5実施形態に係る端面リップシールを示す図であり、図7(A)はその断面図(図7(B)のA−O−A’における断面図)であり、図7(B)は図7(A)のB−B’における断面図である。 図8は、本発明の第6実施形態に係る端面リップシールを示す図であり、図8(A)はその断面図(図8(B)のA−O−A’における断面図)であり、図8(B)は図8(A)のB−B’における断面図である。 図9は、本発明の第7実施形態に係る端面リップシールを示す断面図である。 図10は、本発明の第8実施形態に係る端面リップシールを示す断面図である。 図11は、本発明の第9実施形態に係る端面リップシールを示す図であり、図11(A)はその断面図(図11(B)のA−O−A’における断面図)であり、図11(B)は図11(A)のB−B’における断面図である。 図12は、本発明の第10実施形態に係る端面リップシールを示す断面図である。 図13は、本発明の第11実施形態に係るシャフトシール装置を示す図であり、図13(A)はシャフトシール装置の構造及び組み付け方法を説明するための断面図であり、図13(B)はシャフトシール装置の組み付けに用いるシール固定部品(べベル形止め輪)の正面図であり、図13(C)は図13(B)のA−A’における環状部断面図である。 図14は、突出リップの付け根部分の直径と嵌合部の内径の比が異なる種々の端面リップシールにおける、被密封流体の圧力と、被密封流体の圧力に起因して端面リップシールに作用するシャフトの軸方向の力との関係を示す図である。 図15は、ある一定の圧力における、突出リップの付け根部分の直径と嵌合部の内径の比と、外力との関係を示す図である。 図16は、端面リップシールの嵌合部の内径と端面リップシールの最小直径との寸法比と、固定トルクの比との関係を示す図である。 図17は、従来のシャフトシール装置を示す図である。 図18は、他の従来のシャフトシール装置を示す図である。
符号の説明
100、200…シャフトシール装置
101、201…ハウジング
102、202、302、402、502…シャフト
203…凸部
303…面取り部
403…ローレット加工部
503…係合切り欠き
103…固定環
104、204、304、404、504、604、704、804
…端面リップシール
105、605…突出リップ
106、606、706…嵌合部
109、209、309、409、509、609、709、809…補強環
210、510…切り欠き
211…梁部
310…開口
412、812…係合切り欠き
413、813…ノックピン
513…ダボ加工部
613、713…補助リップ
614、714…立設面
715…係合爪
806…Oリング
108…シール固定部品
208…べベル形止め輪(シール固定部品)
120…固定側シール部品
121…第1パッキン
122…補強ケース
123…第2パッキン
124…シールリップ
110…装着治具
900…シャフトシール装置
901…ハウジング
902…シャフト
903…固定環(固定側密封環)
904…端面リップシール
905…突出リップ
906…固定側シール
907,908…パッキン
909…補強ケース
910…シールリップ

Claims (5)

  1. シャフトが通過するハウジングに固定される固定環と、前記シャフトに嵌合される端面リップシールとを有し、前記固定環の摺動面に前記端面リップシールの突出リップを摺動可能に密接させることにより、前記シャフトに沿って被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
    記端面リップシールの前記シャフトと嵌合されている箇所の直径(D2)は、前記突出リップの前記被密封流体側表面の最小径部分の直径(D1)よりも小さく、前記端面リップシールの前記突出リップが配設される箇所の直径(D3)よりも大きいことを特徴とするシャフトシール装置。
  2. 前記端面リップシールは、所定の取り付け長となる位置で、前記ハウジングの基準面が前記固定環の前記摺動面と当接することによって、前記ハウジングの前記基準面に対して所定の取り付け長となる位置で前記シャフトに嵌合され、前記固定環も、前記基準面で位置合わせされて設置されることを特徴とする請求項1に記載のシャフトシール装置。
  3. 前記端面リップシールは、前記突出リップ及び当該端面リップシールの表面を構成するゴム製の軟質部と、前記軟質部に埋設されて前記端面リップシールの形状を維持する補強環とを有し、前記補強環は、前記シャフトとの嵌合部において周面の一部が除去されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のシャフトシール装置。
  4. 前記シャフトは段差を有し、前記端面リップシールは、前記シャフトの段差を跨ぎ、当該段差を跨ぐ範囲で前記シャフトの軸方向に位置調整可能に当該シャフトに嵌合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフトシール装置。
  5. 前記固定環は、固定側シール部品を介して前記ハウジングに保持され、
    前記固定側シール部品は、
    先端内周面が前記シャフトと密接するシールリップと、
    第1パッキンと、
    前記第1パッキンを介して前記ハウジングに固定される円環状の補強ケースと、
    前記補強ケースの内周側で前記補強ケースと前記シールリップ及び前記固定環との間に介在される第2パッキンと、
    を有し、
    前記第1パッキンは、前記補強ケースと前記ハウジングとの間を密封し、
    前記第2パッキンは、前記固定環の外周面と前記補強ケースの内周面とを密封するとともに、前記シールリップの固定環側の端面と前記補強ケースの支持部の端面との間を密封することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシャフトシール装置。
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