JP5092166B2 - シャフトシール装置 - Google Patents

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本発明は、例えば空調装置のコンプレッサ、ポンプ、原動機等の回転装置において、ハウジングとシャフト(回転軸)との間の被密封流体をシールするシャフトシール装置に関し、特に、被密封流体の圧力が高圧な回転装置、被密封流体の圧力が高圧と低圧間で変動する回転装置、あるいは、軸の回転速度(周速)が大きい回転装置に適用して好適なシャフトシール装置に関する。
従来のシャフトシール装置としては、例えば、特開2002−340199号公報(特許文献1)に開示の船尾管軸封装置が知られている。特許文献1に開示のシャフトシール装置の基本的な構成を図7に示す。図7に示すシャフトシール装置700は、端面リップシール720がシャフト20と一体で回転し、ゴム製のリップ部723が、船体側に固定のハウジング(相手材)710と摺動する構造のシャフトシール装置である。
シャフトシール装置700においては、端面リップシール720に形成されたリップ部723が相手材710の摺動面711に対して外径方向へ傾斜して密接摺動することにより、リップ部723の外周部側となる空間Aに存在する被密封流体が相手材(ハウジング)710より内径側及び背面側の空間Bへ漏洩するのを防止する(圧力はA>B)。
この種のシャフトシール装置においては、端面リップシール720本体に軸方向の対向する方向に作用する被密封流体の圧力の差(差圧)、換言すれば軸方向の対向面の受圧面積の差によって、端面リップシール720には、常に相手材710に押し付けられる方向の力、すなわち、リップ部723と相手材710とが近づく方向の力(図7に矢印Dで示す方向の力)が作用する。
具体的に説明すると、端面リップシール720においては、端面リップシール720を相手材710に近づける方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積と、端面リップシール720を相手材710から離す方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積との差、すなわち受圧面積の差は、径方向の幅が図7に示す長さdであるような円環面の面積に相当する。すなわち、この径方向の長さdに相当する面積だけ、端面リップシール720を相手材710に近づける方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積が大きく、その結果、端面リップシール720には、図7において矢印Dで示すような、端面リップシール720を相手材710に近づける方向の力が作用する。
シャフトシール装置700において、この力は、リップ部723の外周に敷設される鍔部725が受け、鍔部725が相手材710に押し付けられながら摺動することになる。その結果、リップ部723と相手材710との距離、すなわち、シール取付け長(L)は、シール作動中も常に所定の寸法に保たれる。このように、シャフトシール装置700において、シール取付け長(L)は、この鍔部725によって規定される。
また、高圧用途の従来のシャフトシール装置としては、特開2003−214541号公報(特許文献2)に開示のシール装置が知られている。特許文献2に開示のシール装置の基本的な構成を図8に示す。
図8に示すシール装置800も、図7に示したシャフトシール装置700と同様に、端面リップシール820に形成された突出リップ823が固定環(相手材)810の摺動面811に対して外径方向へ傾斜して密接摺動することにより、突出リップ823の外周部側となる機内側Aに存在する被密封流体が固定環810より内径側及び背面側の大気側Bへ漏洩するのを防止するシール装置である(圧力はA>B)。
このような構成のシール装置800は、端面リップシールを高圧用途のエアコン用コンプレッサに適用可能にしたシール装置であって、端面リップシール820が、受圧面積の差に起因する差圧によって相手材(固定環)810から離れる方向(図8に矢印Dで示す方向)に押圧され、これにより端面リップシール820がシャフト21の段差端面21aに押し付けられる構造としたシール装置である。
具体的に説明すると、端面リップシール820においては、端面リップシール820を固定環810に近づける方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積と、端面リップシール820を固定環810から離す方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積との差、すなわち受圧面積の差は、径方向の幅が図8に示す長さdであるような円環面の面積に相当する。すなわち、この径方向の長さdに相当する面積だけ、端面リップシール820を固定環810から離す方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積が大きく、その結果、端面リップシール820には、図8において矢印Dで示すような、端面リップシール820を固定環810から離れる方向の力が作用する。
このような構造とすることにより、図8に示すシール装置800においては、高圧条件下においても、端面リップシール820が固定環810に過大な圧力で押圧されることが無く、被密封流体を適切にシールすることができる。
特開2002−340199号公報 特開2003−214541号公報
ところで、このようなシャフトシール装置においては、シール性能や耐久性等の点でシール取付け長が非常に重要である。
例えば、図8に示したシール装置においてシール取付け長(L)が適切ではなく、固定環810と端面リップシール820との離間距離が長くなると、突出リップ823と固定環810との摺動面の面積が小さくなって、摺動面の負荷応力が大きくなる。そして、離間距離がさらに大きくなると、突出リップ823の摺動面の面積が極端に小さくなって負荷応力が集中し、摺動面の過剰摩耗や突出リップ823の破損が発生する可能性がある。さらには、突出リップ823が固定環810の摺動面に対して充分に追随できない状態、あるいは離接状態となり、いわゆる「シール面の開き」が発生する可能性がある。
反対に、端面リップシール820と固定環810との軸方向離間距離が減少すると、突出リップ823と固定環810との摺動面の直径が大きくなり、摺動面の相対滑り速度を増大させ、また、摺動面の受圧面積を増大させ、摺動面にかかる圧力による荷重を増大させ、さらに、突出リップ823の弾性反発力による摺動面荷重も大きくなる。その結果、摺動面温度の異常上昇や摺動面の過剰摩耗、さらには突出リップ823の破損が惹起される可能性が生じる。
また、図8に示すようなシール装置800は、シール取付け長(L)がコンプレッサのハウジング890とシャフト21との取り合い寸法(相対位置)により規定されるため、シール取付け長(L)を規定値に管理する組み付け作業が煩雑になるという問題がある。
具体的に説明すると、シール装置800をコンプレッサに組み付ける際には、端面リップシール820は、シャフト21の段差端面21aに突き当てられ、固定環810は、パッキン841、843、補強ケース845及びシールリップ847を構成部として有する固定側シール840を介してコンプレッサのハウジング890の段差端面890aに突き当てられる。すなわち、端面リップシール820の組み付け位置はシャフト段差端面21aが基準とされ、固定環810の組み付け位置はハウジング段差端面890aが基準とされる。従って、端面リップシール820と固定環810とをコンプレッサに組み付けた際のシール取付け長(L)は、ハウジング890とシャフト21との取り合い寸法に依存する。
しかしながら、コンプレッサには、ハウジング890やシャフト21以外にも多数の部品が使用されるため、ハウジング890とシャフト21との取り合い寸法の誤差は、それら全ての部品に関する、部品自体の寸法誤差と部品相互の組み付け誤差とを合わせた値となり、これを所定の範囲内の値(規定値)に管理するのは非常に難しい。
そのために従来は、シール装置800を組み付ける前にコンプレッサを仮組みしてハウジング890とシャフト21との相対位置を計測し、その後一度コンプレッサを分解して、ハウジング段差端面890aあるいはシャフト段差端面21aの一方あるいは両方に計測した相対位置と規定値との差を修正するための例えばシムや金属ワッシャー等の別部品を装着し、再度、シール装置800を組み付けてコンプレッサを組み立てていた。しかしそのような方法は、コンプレッサを2度組み立てることとなり工数が多くなり作業が煩雑になる上に、装着する部品の寸法精度や再組み立て時の再現性等の問題から、最終的に組み付けられたシール装置800のシール取付け長(L)の誤差(ばらつき)が大きくなるという問題も生じていた。
また、このようなシール装置800では、端面リップシール820がシャフト21に嵌合固定されているため、シール取付け長(L)の許容誤差は、端面リップシール820の突出リップ823が弾性変形しながら追随できる範囲に制限される。換言すると、突出リップ823の長さにより制限される。
しかし、突出リップ823の長さを長くすることは、突出リップ823と固定環810との摺動面の直径が大きくなり、摺動面の相対滑り速度を増大させ、また、摺動面の受圧面積を増大させ、摺動面にかかる圧力による荷重を増大させることになるため好ましくない。従って、突出リップ823の長さはできるだけ短くすることが望まれており、このような構成のシール装置のシール取付け長(L)の許容誤差は、例えばメカニカルシール等の端面シールと比較すると極めて小さい値に制限される。
一方、図7に示すようなシャフトシール装置700は、端面リップシール720に鍔部725が形成されていることによりシール取付け長(L)を所定の寸法に適切に規定及び保持することができるという利点があるが、被密封流体の圧力に制限があり、高圧条件の下では適切に使用できない場合がある。
図7に示すシャフトシール装置700は、被密封流体の圧力が高圧な条件の下では端面リップシール720にかかる差圧が大きくなり、鍔部725と相手材710との摺動トルク及び摺動発熱が過大になる場合がある。そしてそのような場合には、弾性材で形成される鍔部725が変形してシール取付け長(L)が変化し、適切にシールすることができなくなる場合がある。例えば、特許文献1に開示されている海水を密封するために使用される船尾管用のシャフトシール装置700においては、端面リップシール720の本体に加わる差圧は吃水深さの水圧程度(数百kPa)が適切な圧力となるように構成されており、被密封流体の圧力(水圧)がそれより大きくなると、適切にシールすることができなくなる可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被密封流体の圧力が高圧な回転装置や、被密封流体の圧力が高圧と低圧間で変動する回転装置、あるいは、軸の回転速度(周速)が大きい回転装置等、負荷の大きな回転装置に適用した場合も被密封流体を適切にシールすることのできるシャフトシール装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のシャフトシール装置(100)は、ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)を通過するシャフト(20)との間で被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
前記ハウジング(10)又は前記シャフト(20)の一方に密封に取付けられて、軸方向の一方の端面に摺動面(111)を有する密封環(110)と、
前記ハウジング(10)又は前記シャフト(20)の他方に取付けられて、前記密封環(110)側の端部から前記密封環(110)の前記摺動面(111)方向に突出し、当該摺動面(111)に弾性接触して密接摺動する密接面(125)を有するリップ(121)を備えた端面リップシール(120)と、
前記端面リップシール(120)と前記密封環摺動面(111)との距離を規定するシール取付け長規定部材と、
前記端面リップシール(120)に一体的に保持されるスラスト軸受の一方の軌道盤(143)又はラジアル軸受の内径側軌道輪と、前記シール取付け長規定部材を介して前記密封環(110)に固定されるスラスト軸受の他方の軌道盤(142)又はラジアル軸受の外径側軌道輪と、を有し、前記端面リップシール(120)と前記密封環(110)との間に設置される転がり軸受(140)と、
を有するシャフトシール装置(100)において、
前記シール取付け長規定部材は、前記密封環摺動面(111)に対向して、前記スラスト軸受の前記他方の軌道盤(142)側面又は前記ラジアル軸受の前記外径側軌道輪側面に、軸方向に突出した鍔部(144)として一体形成されており、且つ、当該鍔部(144)端面は、前記密封環摺動面(111)に当接され、支持固定されている
ことを特徴とするものである。
また、請求項2に係る本発明のシャフトシール装置(200)は、ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)を通過するシャフト(20)との間で被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
前記ハウジング(10)又は前記シャフト(20)の一方に密封に取付けられて、軸方向の一方の端面に摺動面(211)を有する密封環(210)と、
前記ハウジング(10)又は前記シャフト(20)の他方に取付けられて、前記密封環(210)側の端部から前記密封環(210)の前記摺動面(211)方向に突出し、当該摺動面(211)に弾性接触して密接摺動する密接面(125)を有するリップ(121)を備えた端面リップシール(120)と、
前記端面リップシール(120)と前記密封環摺動面(211)との距離を規定するシール取付け長規定部材と、
前記端面リップシール(120)に一体的に保持されるスラスト軸受の一方の軌道盤又はラジアル軸受の内径側軌道輪(243)と、前記シール取付け長規定部材を介して前記密封環(210)に固定されるスラスト軸受の他方の軌道盤又はラジアル軸受の外径側軌道輪(242)と、を有し、前記端面リップシール(120)と前記密封環(210)との間に設置される転がり軸受(240)と、
を有するシャフトシール装置(200)において、
前記シール取付け長規定部材は、前記スラスト軸受の前記他方の軌道盤の側面又は前記ラジアル軸受の前記外径側軌道輪(242)の側面に対向して、前記密封環摺動面(211)に、軸方向に突出した鍔部(244)として一体形成されており、且つ、当該鍔部(244)端面は、前記他方の軌道盤の側面又は前記外径側軌道輪(242)の側面に当接され、支持固定されている
ことを特徴とするものである。
また、請求項3に係る本発明のシャフトシール装置(300)は、ハウジング(10)と、当該ハウジング(10)を通過するシャフト(20)との間で被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
前記ハウジング(10)又は前記シャフト(20)の一方に密封に取付けられて、軸方向の一方の端面に摺動面(111)を有する密封環(110)と、
前記ハウジング(10)又は前記シャフト(20)の他方に取付けられて、前記密封環(110)側の端部から前記密封環(110)の前記摺動面(111)方向に突出し、当該摺動面(111)に弾性接触して密接摺動する密接面(125)を有するリップ(121)を備えた端面リップシール(120)と、
前記端面リップシール(120)と前記密封環摺動面(111)との距離を規定するシール取付け長規定部材(350)と、
前記端面リップシール(120)に一体的に保持されるスラスト軸受の一方の軌道盤(343)又はラジアル軸受の内径側軌道輪と、前記シール取付け長規定部材を介して前記密封環(110)に固定されるスラスト軸受の他方の軌道盤(342)又はラジアル軸受の外径側軌道輪と、を有し、前記端面リップシール(120)と前記密封環(110)との間に設置される転がり軸受(340)と、
を有するシャフトシール装置(300)において、
前記シール取付け長規定部材(350)は、前記スラスト軸受の前記他方の軌道盤(342)の外周又は前記ラジアル軸受の前記外径側軌道輪の外周に嵌合する環状の本体部(351)を有し、前記本体部(351)は前記密封環(110)側に配置される端部側に、前記密封環摺動面(111)に対向して、軸方向に突出した鍔部(344)が一体形成されており、且つ、当該鍔部(344)端面は前記密封環摺動面(111)に当接され、支持固定されている
ことを特徴とするものである。
また、請求項4に係る本発明のシャフトシール装置は、前記シール取付け長規定部材としての鍔部(144、244、344)が、前記端面リップシール(120)が前記密封環摺動面(111、211)に密接摺動する密接面(125)よりも外周側に位置し、前記端面リップシール(120)が前記摺動面(111、211)と密接摺動するリップ密接面(125)に被密封流体を導入するための被密封流体の流路(145、245、345)を前記鍔部(144、244、344)に有することを特徴とするものである。
また、請求項5に係る本発明のシャフトシール装置は、前記端面リップシール(120)、前記密封環(110)及び前記転がり軸受(440)が、前記ハウジング(10)の内周面に嵌合される外周面を有する円筒状部材(450)の内部に一体的に保持されることを特徴とするものである。
また、請求項6に係る本発明のシャフトシール装置は、前記円筒状部材(450)は、外周面に流体を内部に導入するための開口(451)を有し、大気側(B)の端部が前記密封環(110)の外周面に延伸して、ガスケット(470)を介して前記密封環(110)及び前記ハウジング(10)と一体化され、機内側(A)の端部が前記転がり軸受(440)の外周面に延伸して、前記スラスト軸受の他方の軌道盤(442)の外周又は前記ラジアル軸受の外径側軌道輪の外周に嵌合されることを特徴とするものである。
請求項1に係る本発明のシャフトシール装置(100)によれば、密封環(110)と端面リップシール(120)との間に転がり軸受(140)を介在させ、転がり軸受(140)の一部を成すスラスト軸受の他方の軌道盤(固定側軌道盤)(142)又はラジアル軸受の外径側軌道輪(固定側軌道輪)に密封環(110)の摺動面(111)方向に突出した鍔部(144)を一体成形し、この鍔部(144)により密封環(110)と端面リップシール(120)とのシール取付け長(L)を規定し維持している。従って、シール組み込み時や使用時において、また高圧条件で使用している時においても、常に、シール取付け長(L)は所定の寸法に規定され維持される。その結果、被密封流体の圧力が高圧な回転装置や、被密封流体の圧力が高圧と低圧間で変動する回転装置、あるいは、軸の回転速度(周速)が大きい回転装置等、負荷の大きな回転装置に適用した場合も、被密封流体を適切にシールすることのできるシャフトシール装置を提供することができる。
また、請求項2に係る本発明のシャフトシール装置(200)によれば、固定環(210)と端面リップシール(120)との組み付け寸法(シール取付け長(L))は、シール組み込み時や使用時において、常に、所定の寸法に規定され、その寸法に維持されており、高圧条件においてもシール取付け長を確実に規定し保持することができる。また、使用時の摺動トルクや摺動発熱を非常に小さく抑制することができ、被密封流体の圧力が高圧な場合においても適切に適用することができる。
さらに、転がり軸受(240)をすきまばめ状態で設置しており、端面リップシール(120)をラジアル方向にも精度よく支持することができる。従って、回転装置の軸の回転速度(周速)が大きい条件においても、シャフトシール装置(200)の偏心、揺動、振動等の影響を抑えることができ、端面リップシール(120)の摺動面からの被密封流体の漏れを確実に防ぐことができる。
また、請求項3に係る本発明のシャフトシール装置(300)によれば、シール組み込み時や使用時において、また高圧条件で使用している時においても、常に、シール取付け長(L)は所定の寸法に規定され維持され、被密封流体の圧力が高圧な回転装置や、被密封流体の圧力が高圧と低圧間で変動する回転装置、あるいは、軸の回転速度(周速)が大きい回転装置等、負荷の大きな回転装置に適用した場合も、被密封流体を適切にシールすることができる。
また、請求項4に係る本発明のシャフトシール装置によれば、端面リップシール(120)が密封環(110)の摺動面(111)と密接摺動する箇所に被密封流体を導入することができ、リップ摺動面(125)の潤滑及び冷却性が確保される。その結果、リップ摺動面(125)の摺動トルク及び摺動発熱が大きくなる高圧−高速な条件下においても、適切にシールをすることができる。
また、請求項5に係る本発明のシャフトシール装置(400)によれば、固定環(110)と端面リップシール(120)との組み付け寸法(シール取付け長(L))は、シール組み込み時や使用時において、常に、所定の寸法に規定され、その寸法に維持されており、高圧条件においてもシール取付け長(L)を確実に規定し保持することができる。また、転がり軸受(440)を用いており、使用時の摺動トルクや摺動発熱を非常に小さく抑制することができ、被密封流体の圧力が高圧な場合においても適切に適用することができる。
さらに、シャフトシール装置(400)においては、円筒状部材(450)を用いて一体型に構成しているので、取り扱いが容易でメンテナンスも容易にすることができる。
また、請求項6に係る本発明のシャフトシール装置(400)によれば、一層取り扱いが容易でメンテナンスも容易にすることができる。
第1実施形態
本発明のシャフトシール装置の第1実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態のシャフトシール装置100の構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のシャフトシール装置100は、回転装置において、シャフト20がハウジング10の開口11を通過する箇所に設置される。シャフトシール装置100は、シャフト20の軸方向に沿った機内側Aと大気側Bとの間で被密封流体の漏洩が無いように、シャフト20とハウジング10との間をシールする。
図1に示すように、シャフトシール装置100は、回転装置のハウジング10に取付けられる固定環(密封環)110、シャフト20に密接嵌合されて一体で回転する端面リップシール120、及び、固定環110と端面リップシール120との間に介在される転がりスラスト軸受140を有する。なお、本第1実施形態においては、転がり軸受140はスラスト軸受であって(以下、転がりスラスト軸受という。)、転動体141、他方の軌道盤142及び一方の軌道盤143よりなる。
シャフトシール装置100においては、端面リップシール120に形成されたリップ(突出リップ)121が固定環110の摺動面111に対して外径方向へ傾斜して密接摺動することにより、リップ121の外周部側となる機内側Aに存在する被密封流体が固定環110より内径側及び背面側の大気側Bへ漏洩するのを防止する(圧力はA>B)。
固定環110は、ハウジング10に設置された固定側密封環であり、ハウジング10の開口11の機内側Aに形成された拡径部13に嵌合設置される。固定環110は、大気側Bの端面112が拡径部13の軸方向端面12に当接され、軸方向位置がハウジング10により直接規定された状態でハウジング10の拡径部13に設置される。
ハウジング10の拡径部13の固定環110が設置される箇所の周面には、Oリングを設置するための溝14が形成されており、この溝14には、Oリング113が嵌合されている。このOリング113により、固定環110とハウジング10との間がシールされ、固定環110とハウジング10との間からの被密封流体の漏洩が防止される。
Oリング113は、例えば、ゴム、合成樹脂あるいはソフトメタル等で形成される。
なお、このOリング113の代わりに、例えば断面がI字状やL字状のガスケット、Vリングあるいは角リングという形態のパッキン、あるいは、断面がC字形状の中空金属リング等を適用してもよい。
固定環110の機内側Aの端面は、回転側の端面リップシール120のリップ121が圧接、摺動される摺動面111として形成される。本実施形態のシャフトシール装置100においては、固定環110の摺動面111の外周部には、後述する転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤である他方の軌道盤142に形成されたシール取付け長規定部材としての鍔部144の大気側Bの端面が密着される。
固定環110の材質は、後述する端面リップシール120よりも硬質の材料であればよく、例えば、超硬合金、炭化珪素、セラミックス、鋳鉄あるいはエンジニアリングプラスチック等である。なお、潤滑条件が厳しい回転装置においては、自己潤滑性に優れるカーボン、又はカーボンと硬質材の複合材を選定することも有効である。
端面リップシール120は、シャフト20に嵌合装着され、シャフト20と一体的に回転する回転側密封環である。
端面リップシール120は、弾性材123の内部に補強環122が埋設された構成、換言すれば、補強環122の周囲を弾性材123により被覆した構成である。補強環122の固定環110から遠位側の端部は、弾性材123の外周側の端部から外部に露出し、径方向に円環面が形成されるように円板状フランジ124に形成されている。この円板状フランジ124は、転がりスラスト軸受140の回転側軌道盤である一方の軌道盤143を軸方向に支持する支持部124として構成されている。
補強環122の材質は、例えば鉄、鋼、鋳鉄、ステンレス鋼、アルミニウムあるいはエンジニアリングプラスチック等であり、補強環122は、そのような材質の部材を、切削加工、プレス加工あるいはモールド成形等して製作される。
また、弾性材123の材質は、被密封流体の種類により選定されるが、例えばニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)等のゴム材あるいはエンジニアリングプラスチック等である。
端面リップシール120の固定環110側の端部の、固定環110の摺動面111と対向する位置には、断面がV形状に外方へ延在したリップ121が形成されている。リップ121は、固定環110の摺動面111に向かって外径方向に傾斜しており、リップ121の先端角部である密接面125は、対向する摺動面111に弾性接触し、その内径側と外径側とをシールする。このリップ121は外周側から被密封流体の圧力を受けると、傾斜角度が水平方向へ小さくなるように変形して摺動面111に圧接するように構成されている。
ここで、端面リップシール120において、端面リップシール120を固定環110に近づける方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積と、端面リップシール120を固定環110から離す方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積との差、すなわち受圧面積の差は、径方向の幅が図1に示す長さdであるような円環面の面積に相当する。すなわち、この径方向の長さdに相当する面積だけ、端面リップシール120を固定環110に近づける方向に被密封流体の圧力が作用する面の面積が大きく、その結果、端面リップシール120には、図1において矢印Dで示すような、端面リップシール120を固定環110に近づける方向の力が作用する。
転がりスラスト軸受140は、固定環110と端面リップシール120との間に介在され、シール取付け長規定部材144を有している。シール取付け長規定部材144は、シール取付け長(L)を所望の長さに規定し保持するとともに、高圧な状態で相手部材である固定環110と摺動することを要しないように、固定環110に当接する部材である。
転がりスラスト軸受140は、ボール(転動体)141を他方の軌道盤142及び一方の軌道盤143で挟持した構成の、軸方向荷重への負荷能力に優れた転がり軸受である。
転がりスラスト軸受140は、回転側軌道盤である一方の軌道盤143が端面リップシール120の外周面に嵌合されて、さらにその軸方向外側の端面が端面リップシール120の補強環122の円板状フランジ124に当接されて支持されている。従って、前述したように端面リップシール120が、図1に矢印Dで示すように固定環110方向に押圧された場合には、回転側軌道盤143も一体的に、すなわち、転がりスラスト軸受140の全体も一体的に固定環110方向に押圧される。
転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤142は、回転側軌道盤143に対してボール141を介して回動自在な構成である。
転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤142の固定環110側の端部の、固定環110の摺動面111と対向する面の外周部には、シール取付け長規定部材としての鍔部144が形成されている。そして、この鍔部144を固定環110の摺動面111に当接させた状態において、端面リップシール120と固定環110との距離、すなわち、シール取付け長(L)は、適切な所望の長さとなるように、シャフトシール装置100は設計されている。
また、ハウジング10の拡径部13には、ハウジング10と端面リップシール120との摺動面近傍に対して被密封流体を供給するための流体供給ポート15が形成されている。また、固定側軌道盤142に形成される鍔部144には、その周面に沿って、また、流体供給ポート15の位置に対応するように、所定の長さの流路(切欠き)145が適宜形成されている。この流体供給ポート15及び流路145により、機内側Aの被密封流体が端面リップシール120と固定環110との間にも流入することとなる。その結果、端面リップシール120のリップ121が固定環110の摺動面111と密接摺動する箇所に被密封流体を導入することができ、リップ摺動面の潤滑及び冷却性が確保される。その結果、リップ摺動面の摺動トルク及び摺動発熱が大きくなる高圧−高速な条件下においても、適切にシールをすることができる。
また、端面リップシール120の固定環110側に被密封流体が流入することにより、端面リップシール120に対して、端面リップシール120を固定環110から遠ざける方向の圧力が適切に作用することとなる。
このような構成で転がりスラスト軸受140が固定環110と端面リップシール120との間に配置されると、前述したように端面リップシール120には、図1において矢印Dで示すような端面リップシール120を固定環110に近づける方向の力が作用しているので、端面リップシール120の支持部124で支持された転がりスラスト軸受140は端面リップシール120と一体的に固定環110方向に押圧され、転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤142の鍔部144が固定環110の摺動面111に圧接された状態となる。
この状態において、転がりスラスト軸受140の回転側軌道盤143は、端面リップシール120と一体となって回転し、固定側軌道盤142は固定環110に押圧固定された状態となる。その結果、回転側軌道盤143と固定側軌道盤142とは、シャフト20の回転に伴ってボール141が固定側軌道盤142と回転側軌道盤143との間を転がることにより相対的に回転する。
なお、この状態において、固定側軌道盤142に形成されている取付け長規定部材としての鍔部144が固定環110に支持固定されているので、固定環110と端面リップシール120については適切なシール取付け長(L)となっている。
第1実施形態のシャフトシール装置100においては、固定環110と端面リップシール120との間に転がりスラスト軸受140を介在させており、転がりスラスト軸受140は、一方の端部たる回転側軌道盤143の端面は端面リップシール120の補強環122の支持部124に支持され、他方の端部たる固定側軌道盤142の鍔部144は固定環110の摺動面111に押圧されている。従って、転がりスラスト軸受140により、固定環110と端面リップシール120との組み付け寸法(シール取付け長(L))は、シール組み込み時や使用時において、常に、所定の寸法に規定され、その寸法に維持されている。換言すれば、本願のシャフトシール装置100においては、高圧条件においてもシール取付け長(L)を確実に規定し保持することができる。
また、転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤142の鍔部144は固定環110に押圧固定されているが、固定側軌道盤142と回転側軌道盤143とはボール141により回転可能な状態とされており、鍔部144が固定環110の摺動面111との間で摺動することは無い。従って、使用時の摺動トルクや摺動発熱を非常に小さく抑制することができ、被密封流体の圧力が高圧な場合においても適切に適用することができる。
なお、本実施形態では、転がり軸受として転がりスラスト軸受140を用いたが、転がり軸受として転がりラジアル軸受を用いることも可能である。この場合、固定側軌道盤142の部位に外径側軌道輪を用い、回転側軌道盤143の部位に内径側軌道輪を用いればよい。
第2実施形態
本発明のシャフトシール装置の第2実施形態について、図2を参照して説明する。なお、以下の説明においては、先に説明した実施形態の構成と実質的に同一の構成については同一の符号を用いるとともにその説明は省略し、先に説明した実施形態との相違点についてのみ説明をする。
図2は、本実施形態のシャフトシール装置200の構成を示す断面図である。
第2実施形態のシャフトシール装置200においては、適用する転がり軸受の種類及び設置形態が第1実施形態とは異なる。
図2に示すシャフトシール装置200においては、転がり軸受240として、ラジアル荷重とアキシャル荷重を同時に受けることができる「ラジアル軸受」タイプの転がり軸受(転がりラジアル軸受、アンギュラ玉軸受)を用い、外径側軌道輪242とハウジング10がすきまばめ、内径側軌道輪243と端面リップシール120は弾性材の弾性による嵌合としている。転がりラジアル軸受240は、外径側軌道輪242が軸方向に移動可能で、且つ、ハウジング10との径方向隙間が極めて小さい状態に設置されている。
また、第1実施形態では転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤142に形成されていた取付け長規定部材としての鍔部144を、本第2実施形態では、固定環210の摺動面211の外周部から転がりラジアル軸受240の外径側軌道輪242方向に突出させることによって、鍔部244が取付け長規定部材として形成されている。
また、これに伴って、流路245も、固定環210の摺動面211の外周面に形成されている鍔部244に対して適宜設けられている。
このような構成のシャフトシール装置200においても、第1実施形態のシャフトシール装置100と同様に、固定環210と端面リップシール120との組み付け寸法(シール取付け長(L))は、シール組み込み時や使用時において、常に、所定の寸法に規定され、その寸法に維持されており、高圧条件においてもシール取付け長(L)を確実に規定し保持することができる。
また、転がりラジアル軸受240を用いており、使用時の摺動トルクや摺動発熱を非常に小さく抑制することができ、被密封流体の圧力が高圧な場合においても適切に適用することができる。
さらに、第2実施形態のシャフトシール装置200においては、転がりラジアル軸受240をすきまばめ状態で設置することにより、端面リップシール120を径方向に支持する作用を得ることができる。すなわち、端面リップシール120が転がり軸受によってラジアル方向にも精度よく支持されることとなった。従って、回転装置の軸の回転速度(周速)が大きい条件においても、シャフトシール装置200の偏心、揺動、振動等の影響を抑えることができ、端面リップシール120の摺動面からの被密封流体の漏れを確実に防ぐことができる。
なお、本実施形態では、転がり軸受として転がりラジアル軸受240を用いたが、転がり軸受として転がりスラスト軸受を用いることも可能である。この場合、外径側軌道輪242の部位に固定側軌道盤を用い、内径側軌道輪243の部位に回転側軌道盤を用いればよい。
第3実施形態
本発明のシャフトシール装置の第3実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。ここでも、先に説明した実施形態の構成と実質的に同一の構成については同一の符号を用いるとともにその説明は省略し、先に説明した実施形態との相違点についてのみ説明をする。
図3は、本実施形態のシャフトシール装置300の構成を示す断面図であり、図4は図3に示すシャフトシール装置300で使用しているスペーサー350を詳細に示す図である。
第3実施形態のシャフトシール装置300も、基本的な構成は第1実施形態のシャフトシール装置100と同じである。
第3実施形態のシャフトシール装置300においては、シール取付け長(L)を所望の値に設定及び維持するための転がり軸受の鍔部を、スペーサー350なる別部品により構成したものである。
図3及び図4に示すように、スペーサー350は、環状の部品であって、固定環110の遠位側となる側に転がりスラスト軸受340の固定側軌道盤342の外周に嵌合する環状の本体部分351が形成されており、固定環110側に配置される他方の端部側に、固定環110の摺動面111に当接固定されてシール取付け長(L)を所望の値に維持するためのシール取付け長規定部材としての鍔部344が形成されている。
また、鍔部344には、流路345が形成されており、機内側Aの被密封流体が端面リップシール120と固定環110との間にも流入することとなる。その結果、端面リップシール120のリップ121が固定環110の摺動面111と密接摺動する箇所に被密封流体を導入することができ、リップ摺動面の潤滑及び冷却性が確保される。その結果、リップ摺動面の摺動トルク及び摺動発熱が大きくなる高圧−高速な条件下においても、適切にシールをすることができる。
また、端面リップシール120の固定環110側に被密封流体が流入することにより、端面リップシール120に対して、端面リップシール120を固定環110から遠ざける方向の圧力が適切に作用することとなる。
なお、スペーサー350は、例えば鋼板をプレス成形して製作するのが好適である。
なお、これに伴って、第1実施形態のシャフトシール装置100の転がりスラスト軸受140の固定側軌道盤142に形成されていた鍔部144及び流路145は、本実施形態のシャフトシール装置300の転がりスラスト軸受340の固定軌道盤342に形成することが不要となっている。
このような構成のシャフトシール装置300においても、第1実施形態及び第2実施形態のシャフトシール装置100及び200と同様に、固定環110と端面リップシール120との組み付け寸法(シール取付け長(L))は、スペーサー350に形成されている取付け長規定部材としての鍔部144が固定環110に当接固定されているので、シール組み込み時や使用時において、常に、所定の寸法に規定され、その寸法に維持されており、高圧条件においてもシール取付け長(L)を確実に規定し保持することができる。
また、転がりスラスト軸受340を用いており、使用時の摺動トルクや摺動発熱を非常に小さく抑制することができ、被密封流体の圧力が高圧な場合においても適切に適用することができる。
さらに、第3実施形態のシャフトシール装置300においては、シール取付け長規定部材である鍔部344を有するスペーサー350を転がりスラスト軸受340に装着することによりシール取付け長(L)を規定し維持できる構成としたので、転がりスラスト軸受340の固定側軌道盤342に鍔部を形成する必要がなくなり、構成の簡単な部品によりシャフトシール装置300を構成することができる。
なお、本実施形態においては、スペーサー350は転がりスラスト軸受340の固定側軌道盤342に嵌合する構成としたが、固定環110に嵌合する構成としてもよい。
また、本実施形態では、転がり軸受として転がりスラスト軸受340を用いたが、転がり軸受として転がりラジアル軸受を用いることも可能である。この場合、固定側軌道盤342の部位に外径側軌道輪を用い、回転側軌道盤343の部位に内径側軌道輪を用いればよい。
第4実施形態
本発明のシャフトシール装置の第4実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。なお、ここでも、先に説明した実施形態との相違点についてのみ説明をする。
図5は、本実施形態のシャフトシール装置400の構成を示す断面図であり、図6は、シャフトシール装置400で使用するアウターシリンダ450の説明をするための図である。
第4実施形態のシャフトシール装置400は、アウターシリンダ450によって、固定環(密封環)110、端面リップシール120及び転がりスラスト軸受440等を一体型に構成したものである。
アウターシリンダ450は、大気側Bの端部が固定環(密封環)110の外周面にまで延伸した構成となっており、固定環(密封環)110の外周面においてガスケット470と加硫接着される。すなわち、本実施形態のシャフトシール装置400においては、固定環(密封環)110は、ハウジング10との間にガスケット470を介在させて設置される。
また、アウターシリンダ450の外周面の、ハウジング10に形成された流体供給ポート15の流体供給口に対応する箇所には、流体をアウターシリンダ450の内部に導入するための開口451が形成されている。
シャフトシール装置400の転がりスラスト軸受440の構成は、基本的には第1実施形態のシャフトシール装置100の転がりスラスト軸受140と同じであるが、第1実施形態のシャフトシール装置100において固定側軌道盤142の外周側に鍔部144が形成されている。この鍔部144は、流体供給ポート15及び開口451を介した流体の導入の障害にならないように、固定側軌道盤442の固定環(密封環)110の摺動面111と対向する面の内径側に取付け長規定部材として形成されている。
このようなシャフトシール装置400を組み立てる場合には、アウターシリンダ450の中に転がりスラスト軸受440及び端面リップシール120等の部品をセットした後、アウターシリンダ450のカシメ部452を内径側に折り曲げるようにして組み立てるのが好適である。その際には、加工を容易にするために、カシメ部452として、爪状の突起を複数個設けておくとよい。
このような構成のシャフトシール装置400においても、前述した各実施形態のシャフトシール装置と同様に、固定環(密封環)110と端面リップシール120との組み付け寸法(シール取付け長(L))は、シール組み込み時や使用時において、常に、所定の寸法に規定され、その寸法に維持されており、高圧条件においてもシール取付け長(L)を確実に規定し保持することができる。
また、転がりスラスト軸受440を用いており、使用時の摺動トルクや摺動発熱を非常に小さく抑制することができ、被密封流体の圧力が高圧な場合においても適切に適用することができる。
さらに、第4実施形態のシャフトシール装置400においては、アウターシリンダ450を用いて一体型として構成したので、取り扱いが容易でメンテナンスも容易にすることができる。
変形例
なお、前述した実施形態は本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、前述した各実施形態は、いずれも、リップを回転環側に設けたものであったが、固定環側にリップ(端面リップシール)を形成するような構成であってもよい。
また、被密封流体をリップ部(摺動面)に導入するための流路の数、形状、配置等は、適宜決定してよい。
図1は、本発明の第1実施形態のシャフトシール装置の構成を示す断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態のシャフトシール装置の構成を示す断面図である。 図3は、本発明の第3実施形態のシャフトシール装置の構成を示す断面図である。 図4は、図3に示したシャフトシール装置のスペーサーの構成を示す図である。 図5は、本発明の第4実施形態のシャフトシール装置の構成を示す断面図である。 図6は、図5に示したシャフトシール装置の説明をするための図である。 図7は、従来のシャフトシール装置の構成を示す第1の図である。 図8は、従来のシャフトシール装置の構成を示す第2の図である。
符号の説明
10…ハウジング
11…開口
12…軸方向端面
13…拡径部
14…溝
15…流体供給ポート
20、21…シャフト(回転軸)
21a…段差端面
100、200、300、400…シャフトシール装置
110、210…固定環(密封環)
111、211…摺動面
112…大気側端面
113…Oリング
120…端面リップシール
121…リップ(突出リップ)
122…補強環
123…弾性材
124…支持部(円板状フランジ)
125…密接面
140、340、440…転がりスラスト軸受
141…ボール(転動体)
142、342、442…転がりスラスト軸受の他方の軌道盤又は固定側軌道盤
143、343、443…転がりスラスト軸受の一方の軌道盤又は回転側軌道盤
144、344、444…鍔部
145、345…流路
240…転がりラジアル軸受
242…転がりラジアル軸受の外径側軌道輪
243…転がりラジアル軸受の内径側軌道輪
244…鍔部
245…流路
350…スペーサー
351…本体部分
450…アウターシリンダ
451…開口
452…カシメ部
470…ガスケット
700、800…従来のシャフトシール装置
710…相手材(ハウジング)
810…相手材(固定環)
711、811…摺動面
720、820…端面リップシール
723、823…突出リップ
725…鍔部
840…固定側シール
841、843…パッキン
845…補強ケース
847…シールリップ
890a…ハウジング段差端面

Claims (6)

  1. ハウジングと、当該ハウジングを通過するシャフトとの間で被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
    前記ハウジング又は前記シャフトの一方に密封に取付けられて、軸方向の一方の端面に摺動面を有する密封環と、
    前記ハウジング又は前記シャフトの他方に取付けられて、前記密封環側の端部から前記密封環の前記摺動面方向に突出し、当該摺動面に弾性接触して密接摺動する密接面を有するリップを備えた端面リップシールと、
    前記端面リップシールと前記密封環摺動面との距離を規定するシール取付け長規定部材と、
    前記端面リップシールに一体的に保持されるスラスト軸受の一方の軌道盤又はラジアル軸受の内径側軌道輪と、前記シール取付け長規定部材を介して前記密封環に固定されるスラスト軸受の他方の軌道盤又はラジアル軸受の外径側軌道輪と、を有し、前記端面リップシールと前記密封環との間に設置される転がり軸受と、
    を有するシャフトシール装置において、
    前記シール取付け長規定部材は、前記密封環摺動面に対向して、前記スラスト軸受の前記他方の軌道盤側面又は前記ラジアル軸受の前記外径側軌道輪側面に、軸方向に突出した鍔部として一体形成されており、且つ、当該鍔部端面は、前記密封環摺動面に当接され、支持固定されている
    ことを特徴とするシャフトシール装置。
  2. ハウジングと、当該ハウジングを通過するシャフトとの間で被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
    前記ハウジング又は前記シャフトの一方に密封に取付けられて、軸方向の一方の端面に摺動面を有する密封環と、
    前記ハウジング又は前記シャフトの他方に取付けられて、前記密封環側の端部から前記密封環の前記摺動面方向に突出し、当該摺動面に弾性接触して密接摺動する密接面を有するリップを備えた端面リップシールと、
    前記端面リップシールと前記密封環摺動面との距離を規定するシール取付け長規定部材と、
    前記端面リップシールに一体的に保持されるスラスト軸受の一方の軌道盤又はラジアル軸受の内径側軌道輪と、前記シール取付け長規定部材を介して前記密封環に固定されるスラスト軸受の他方の軌道盤又はラジアル軸受の外径側軌道輪と、を有し、前記端面リップシールと前記密封環との間に設置される転がり軸受と、
    を有するシャフトシール装置において、
    前記シール取付け長規定部材は、前記スラスト軸受の前記他方の軌道盤の側面又は前記ラジアル軸受の前記外径側軌道輪の側面に対向して、前記密封環摺動面に、軸方向に突出した鍔部として一体形成されており、且つ、当該鍔部端面は、前記他方の軌道盤の側面又は前記外径側軌道輪の側面に当接され、支持固定されている
    ことを特徴とするシャフトシール装置。
  3. ハウジングと、当該ハウジングを通過するシャフトとの間で被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
    前記ハウジング又は前記シャフトの一方に密封に取付けられて、軸方向の一方の端面に摺動面を有する密封環と、
    前記ハウジング又は前記シャフトの他方に取付けられて、前記密封環側の端部から前記密封環の前記摺動面方向に突出し、当該摺動面に弾性接触して密接摺動する密接面を有するリップを備えた端面リップシールと、
    前記端面リップシールと前記密封環摺動面との距離を規定するシール取付け長規定部材と、
    前記端面リップシールに一体的に保持されるスラスト軸受の一方の軌道盤又はラジアル軸受の内径側軌道輪と、前記シール取付け長規定部材を介して前記密封環に固定されるスラスト軸受の他方の軌道盤又はラジアル軸受の外径側軌道輪と、を有し、前記端面リップシールと前記密封環との間に設置される転がり軸受と、
    を有するシャフトシール装置において、
    前記シール取付け長規定部材は、前記スラスト軸受の前記他方の軌道盤の外周又は前記ラジアル軸受の前記外径側軌道輪の外周に嵌合する環状の本体部を有し、前記本体部は前記密封環側に配置される端部側に、前記密封環摺動面に対向して、軸方向に突出した鍔部が一体形成されており、且つ、当該鍔部端面は前記密封環摺動面に当接され、支持固定されている
    ことを特徴とするシャフトシール装置。
  4. 前記シール取付け長規定部材の鍔部は、前記端面リップシールが前記密封環摺動面に密接摺動する密接面よりも外周側に位置し、前記端面リップシールが前記摺動面と密接摺動するリップ密接面に被密封流体を導入するための被密封流体の流路を前記鍔部に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフトシール装置。
  5. 前記端面リップシール、前記密封環及び前記転がり軸受が、前記ハウジングの内周面に嵌合される外周面を有する円筒状部材の内部に一体的に保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトシール装置。
  6. 前記円筒状部材は、外周面に流体を内部に導入するための開口を有し、大気側の端部が前記密封環の外周面に延伸して、ガスケットを介して前記密封環及び前記ハウジングと一体化され、機内側の端部が前記転がり軸受の外周面に延伸して、前記スラスト軸受の他方の軌道盤の外周又は前記ラジアル軸受の外径側軌道輪の外周に嵌合されることを特徴とする請求項5に記載のシャフトシール装置。
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