JP2008175318A - シャフトシール装置 - Google Patents

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Noriaki Takigahira
宜昭 瀧ヶ平
Jiro Iizuka
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Abstract

【課題】簡単な工程により取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることのできるシャフトシール装置を提供する。
【解決手段】端面リップシール104の突出リップ最小径D1と、密封環103の嵌合部106が嵌合される箇所のシャフト102の直径D2とが等しく形成されているため、被密封流体の圧力によって密封環103がシャフト102の軸方向に移動することが無く、密封環103とシャフト102との相対位置を任意に設定することができる。従って、密封環103を端面リップシール104と同一の基準面を用いて設置することができ、シール取り付け長を高精度かつ容易に規定値通りに管理することができ、シールの密封性能及び信頼性を大幅に向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば空調機用の圧縮機、ポンプ、原動機等の回転装置に適用して好適な、ハウジングとシャフトとの間の被密封流体をシールするシャフトシール装置に関する。
従来、例えば空調機用の圧縮機等の回転装置に適用されるシャフトシール装置(以下、単にシャフトシールと称する場合もある。)として、図6に示すような構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図6に示すシャフトシール装置900は、回転装置のハウジング901に密封的に取り付けられる固定側の密封環(以下、固定環と称する。)903と、シャフト902に密接嵌合されて一体で回転するゴム材製の端面リップシール904とを有し、端面リップシール904に形成される突出リップ905が固定環903の端面に対して外径方向へ傾斜して延在密接することにより密封摺動面が形成され、これにより、突出リップ905の外周部に存在する被密封流体Q’が、固定環903より内径側、背面側の大気空間A’へ漏洩するのを防止する構成となっている。
特開2003−214541号公報
このような構成のシャフトシール装置900を組み付ける際には、端面リップシール904は、シャフト902の段差端面902aに突き当てられる。すなわち、端面リップシール904の組み付け位置は、シャフト段差端面902aが基準とされる。一方、端面リップシール904と対向して密封摺動面を形成する固定環903は、パッキン907,908、補強ケース909及びシールリップ910を構成部として有する固定側シール906を介して回転装置のハウジング901の段差端面901aに突き当てられる。すなわち、固定環903の組み付け位置は、ハウジング段差端面901aが基準とされる。
従って、固定環903と端面リップシール904とを回転装置に組み付けた際の固定側シール906と端面リップシール904との両部品間の軸方向固定距離(以下、シール取り付け長と称する。)L0は、回転装置のハウジング901とシャフト902との取り合い寸法(相対位置)に依存する。
ところで、このような構成のシャフトシール装置900においては、固定環903と端面リップシール904とを回転装置に組み付けた際のシール取り付け長L0がシール性能に大きく影響し、これを適切な長さにすることが重要である。
具体的には、端面リップシール904と固定環903との軸方向離間距離が増加すると、突出リップ905と固定環903との摺動面面積が小さくなって摺動面の負荷応力が大きくなるが、その離間距離が所定よりも大きくなると、突出リップ905の摺動面面積が極端に小さくなって負荷応力が集中し、摺動面の過剰摩耗や突出リップ905の破損が発生する可能性がある。さらには、突出リップ905が固定環903の摺動面に対して十分に追随できない状態、あるいは離接状態となり、いわゆる「シール面の開き」が発生する可能性が生じる。
また、反対に、端面リップシール904と固定環903との軸方向離間距離が減少すると、突出リップ905と固定環903との摺動面の直径が大きくなり、摺動面の相対滑り速度を増大させ、また、摺動面の受圧面積を増大させ、摺動面にかかる圧力による荷重を増大させ、さらに、突出リップ905の弾性反発力による摺動面荷重も大きくなる。その結果、摺動面温度の異常上昇や摺動面の過剰摩耗、さらには突出リップ905の破損が惹起される可能性が生じる。
以上のように、固定環903と端面リップシール904との軸方向配置距離が所定の範囲内にない場合、すなわちシール取り付け長L0が所定の規定値より大きくずれた場合には、被密封流体Q’の洩れに帰する不具合が発生する可能性が高くなり、このような構成のシャフトシール装置900について所望の性能を発揮させるためには、シール装置組み付け時において、シール取り付け長L0をできるだけばらつき(誤差)の小さい規定値に管理することが重要である。
一方で、前述したように、このようなシャフトシール装置900では、端面リップシール904がシャフト902に対して嵌合固定されているため、端面リップシール904がシャフト902上を軸方向に移動する構造、さらには、バネ等の弾発手段によって固定環903に対して押圧される構造を持たない。従って、シール取り付け長L0の許容誤差は、固定環903の摺動面に対して端面リップシール904の突出リップ905が弾性変形しながら追随できる範囲に制限される。換言すると、突出リップ905の長さにより制限される。
シール取り付け長L0の許容誤差を拡大するために突出リップ905の長さを長くすることは、突出リップ905と固定環903との摺動面の直径、すなわち摺動面の相対滑り速度を増大させ、また、摺動面の受圧面積、すなわち摺動面にかかる圧力による荷重を増大させることになるため好ましくない。従って、突出リップ905の長さはできるだけ短くすることが設計上必要である。その結果、このような構成によるシャフトシール装置900のシール取り付け長L0の許容誤差は、例えばメカニカルシール等の端面シールと比較すると極めて小さい値に制限される。
従来の端面リップシール904を有するシャフトシール装置900の組み付け方法では、シール取り付け長(L0)を規定値通りに管理すること、すなわち許容誤差内で組み付けることが非常に難しいという問題がある。
前述したように、シール取り付け長L0は、回転装置のハウジング901とシャフト902との取り合い寸法(相対位置)に依存する。しかし、回転装置は、通常はハウジング901やシャフト902以外にも多数の部品(ベアリング等)が使用される。そのため、ハウジング901とシャフト902との取り合い寸法の誤差、すなわちばらつきは、それら個々の部品自体の誤差と部品相互の組み付け誤差とを合わせた値となり、その結果、シャフトシール装置900のシール取り付け長L0のばらつきは、上記取り合い寸法のばらつきとシャフトシール装置に係るばらつきとを合わせた範囲となる。
そのために従来は、シャフトシール装置900を組み付ける前に、一度、回転装置を仮組みしてハウジング901とシャフト902との相対位置を計測し、次に、回転装置を分解して固定環903の取り付け基準面となるハウジング段差端面901aあるいは端面リップシール904の取り付け基準面となるシャフト段差端面902aの一方あるいは両方に、計測した相対位置と規定値との差を修正するための、例えばシム、金属ワッシャー等の別部品を装着した上で、シャフトシール装置900を組み付けて、再度回転装置を組み立てるというような方法を行っていた。
しかしそのような組み付け方法は、実質的に回転装置を2度組み立てることとなり作業が煩雑で工数が多くなり組み立て時間が長くなるという問題がある。また、装着する部品の寸法精度や再組み立てする際の再現性等の問題から、実際に最終的に組み付けられたシャフトシール装置900のシール取り付け長L0を厳密に規定値とするには限界があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な工程によりシール取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることができるシャフトシール装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のシャフトシール装置は、シャフトと当該シャフトが通過するハウジングとの間に設置され、当該シャフトに沿って被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、前記シャフトに嵌合される密封環と、前記ハウジングに固定され、突出リップを前記密封環の摺動面に摺動可能に密接させる端面リップシールとを有し、前記突出リップの被密封流体側表面の最小径部分の直径(D1)は、密封環が嵌合されている箇所の前記シャフトの直径(D2)と等しいことを特徴とする。
また、請求項2に係る本発明のシャフトシール装置は、前記密封環は、前記ハウジングの所定の基準位置に対して所定の取り付け長となる位置で前記シャフトに取り付けられ、前記端面リップシールは、前記基準位置に対して位置合わせされて取り付けられることを特徴とする。
また、請求項3に係る本発明のシャフトシール装置は、前記密封環が前記シャフトに対して相対的に回転しないように、前記密封環と前記シャフトとを係合させる係合手段をさらに有することを特徴とする。
また、請求項4に係る本発明のシャフトシール装置は、前記シャフトは段差を有し、前記密封環は、前記シャフトの段差を跨ぎ、当該段差を跨ぐ範囲で前記シャフトの軸方向に位置調整可能に当該シャフトに嵌合されることを特徴とする。
また、請求項5に係る本発明のシャフトシール装置は、前記端面リップシールが、前記ハウジング内に設置される止め輪により、少なくとも前記突出リップが配置される端部とは反対側の端部が支持され、前記ハウジングに固定されることを特徴とする。
また、請求項6に係る本発明のシャフトシール装置は、前記シャフトは段差を有し、前記密封環は、前記シャフトの段差の前記端面リップシール側に配置され、前記段差までの間隙の範囲で前記シャフトの軸方向に位置調整可能に当該シャフトに嵌合されることを特徴とする。
請求項1に係る本発明のシャフトシール装置によれば、突出リップの最小径と密封環の嵌合部が嵌合されるシャフトの直径とが等しく形成されているため、密封環のシャフトの軸方向の両側において、被密封流体から圧力を受ける領域の面積(受圧面積)が略等しくなり、密封環に対して、被密封流体により、端面リップシールから密封環方向に作用する力と、被密封流体が溜まっているシャフトの太径部分から端面リップシール方向に作用する力とが略等しくなる。従って、シャフトシール装置が作動している状態において、密封環がシャフトの軸方向に移動することを防ぐことができる。その結果、密封環と端面リップシールとを同一の基準面を基準として組み付けることが可能となり、簡単な工程によりシール取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることが可能なシャフトシール装置を提供することができる。
また、請求項2に係る本発明のシャフトシール装置によれば、密封環と端面リップシールとをハウジングの所定の基準面を基準として組み付けることが可能となり、簡単な工程によりシール取り付け長が高精度に規定値となるように組み付けることが可能なシャフトシール装置を提供することができる。
また、請求項3に係る本発明のシャフトシール装置によれば、密封環とシャフトとのシャフト回転方向の相対移動も一層強く阻止され、被密封流体の洩れやシールの破損等の不具合をより有効に防止することができる。
また、請求項4に係る本発明のシャフトシール装置によれば、シャフトの段差部分を用いて適切に前記条件の端面リップシールを設置することができる。
また、請求項5に係る本発明のシャフトシール装置によれば、簡単な部品を用いて簡単な方法により端面リップシールの組み付けあるいは分解を行うことができ、また、部品寸法さえ管理しておけば高精度な組み付け状態が維持できて高い信頼性を維持することができ、さらにはコストを抑制することもできる。
また、請求項6に係る本発明のシャフトシール装置によれば、密封環の構成を単純化することができるので製造コストを低減することができる。
第1実施形態
本発明の第1実施形態について、図1及び2を参照して説明する。
図1は、本実施形態を示すシャフトシール装置100の半断面図である。
本実施形態のシャフトシール装置100は、回転装置のシャフト102とハウジング101との間に取り付けられて、シャフト102が通過するハウジング101内において、シャフト102に沿って被密封流体Qと大気空間Aとをシールするものである。
図1に示すように、シャフトシール装置100は、回転装置のハウジング101に取り付けられる端面リップシール104、及び、シャフト102に密接嵌合されて一体で回転する密封環103を有し、端面リップシール104に形成される突出リップ105が密封環103の端面たる摺動面103aに対して外径方向へ傾斜して密接し、これにより、突出リップ105の外周部に存在する被密封流体Qが、端面リップシール104より内径側、背面側の大気空間Aへ漏洩するのが防止される構成となっている。
端面リップシール104は、図示のような断面形状を有し、内部に補強環109が埋設され、その周囲をゴム材が被覆した構成である。端面リップシール104は、ハウジング101に固定的に設置される。
端面リップシール104の一方の端部の、密封環103の摺動面103aと対向する位置には、断面がV形状に外方へ延在した突出リップ105が形成されている。突出リップ105は、前述したように密封環103の摺動面103aに向かって発散するように外方へ傾斜しており、突出リップ105の先端角部である密接面は、対向する摺動面103aに弾性接触して被密封流体Qをシールする。この突出リップ105は外周側から被密封流体Qの圧力を受けると傾斜角度を水平方向へ小さくなるように変形して摺動面103aに圧接するように構成されている。
そして本実施形態の端面リップシール104においては、端面リップシール104の突出リップ105の付け根部分に相当する、突出リップ105の最小径部分の外周側表面の直径D1(突出リップ最小径D1と称する)は、密封環103がシャフト102に嵌合される部分のシャフト102の直径D2と等しくなるように形成されている。
また、端面リップシール104の他方の端部は、シール固定部品108の基準面108bによりその位置が規定されている。シール固定部品108は、基準面108bが、ハウジング101の基準面101bに当接するまでハウジング101に押し込まれたものであり、従って、端面リップシール104の他方の端部は、ハウジング101の基準面101bに位置合わせされていることとなる。
また、端面リップシール104の、突出リップ105が形成されている最小径部分の突出リップ105の背面側には、ダストリップシール107が形成されている。ダストリップシール107は、シャフト102方向に僅かに傾斜して延在し、先端部がシャフト102の周面に接触するように形成されており、大気空間A側の(大気中の)ダストが摺動面103a近傍に侵入するのを防止している。
端面リップシール104の表面ゴム材の材質は、 被密封流体の種類により選定され、例えばニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)等が使用される。
また、端面リップシール104の補強環109は、例えば鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、エンジニアリングプラスチック等により形成され、切削加工、プレス加工、又はモールド成形により製作される。
シール固定部品108は、端面リップシール104をシャフト102に沿ってハウジング101内に挿入し固定するための部材であり、ハウジング101に対して軸方向の移動及び固定が自在に可能な部材である。本実施形態においてシール固定部品108は、図1にその断面形状を示すように、両端部を除く外周面にねじ溝108aが形成されている略円筒状の部材である。ハウジング101のシール固定部品108が挿入される部分の内周面にもねじ溝101aが形成されており、シール固定部品108は、これらのねじ溝101a及び108aを係合させてハウジング101に挿入されることにより、ハウジング101の内部をシャフト102に沿って移動可能であるとともに、所望の位置に精度よく固定される。
密封環103は、シャフト102に嵌合固定される断面がL字状の部材である。
密封環103の端面リップシール104側は肉厚部(つば部)103bとなっており、その端面リップシール104と対向する端面は、端面リップシール104の突出リップ105が圧接される摺動面103aとして形成されている。
また、密封環103の摺動面103aが形成されている肉厚部103bとは反対側の肉薄部は、嵌合部106として形成されており、この部分がガスケット120を介してシャフト102に嵌合されることにより、密封環103はシャフト102に嵌合固定される。
シャフト102には段差102aが形成されており、密封環103は、この段差102aを跨ぐように配置される。
また、シャフト102の密封環103が装着される箇所には、ノックピン131が圧入設置されており、また、密封環103の肉薄部側の端部には、このノックピン131に係合する切り欠き103cが形成されている。図示のごとく、この切り欠き103cにノックピン131が係合されることにより、密封環103とシャフト102とのシャフト102の回転方向の相対移動(ずれや滑り等)が機械的に完全に阻止される。
なお、ノックピン131のシャフト圧入部の径は、密封環103の切り欠き103cの幅よりも大きくしておくのが好適である。そのような構成としておけば、ノックピン131がシャフト圧入部より外れた場合でも、ノックピン131が回転装置の機内に脱落することを防止することができる。
また、密封環103は、後述する組み付け方法によりシャフト102に嵌合されて装着されるが、その軸方向設置位置は、ハウジング101の基準面101bを基準として、この基準面101bから規定の距離が所定のシール取り付け長L1となるように配置される。従って、密封環103は、端面リップシールに対して従来行われていたような、端面リップシールをシャフト102の段差102aに突き当てることによってシール取り付け長を設定するようことはしない。
密封環103をこのような構成とする結果、密封環103とシャフト102の段差102aとの間には隙間が生じることとなり、十分に強い力を作用させれば、密封環103は、シャフト102の軸方向に沿って移動する。
しかしながら、本実施形態のシャフトシール装置100においては、前述したように、端面リップシール104の突出リップ105の付け根の直径D1と、密封環103がシャフト102に嵌合される部分のシャフト102の直径D2とが等しく形成されているため、密封環103がシャフト102の軸方向の両側において被密封流体から圧力を受ける領域の面積(受圧面積)が略等しくなっている。すなわち、密封環103に対して、被密封流体Qにより、端面リップシール104から密封環103の方向に作用する力と、密封環103から端面リップシール104の方向に作用する力とが略等しくなる。
従って、シャフトシール装置100が作動している状態において、密封環103がシャフト102の軸方向に移動することは無い。
また、嵌合部106においては、ガスケット120が被密封流体の圧力によって圧縮される反発力の径方向成分、及び、嵌合部106の外周面にかかる被密封流体の圧力による外力(シャフト102の軸心方向に向かう力)が、密封環103をシャフト102に対して強固に圧接する緊迫力として作用する。従って、密封環103は、シャフト102の軸方向に移動し難い状態で装着される。
また、このような緊迫力により密封環103がシャフト102に圧接されることにより、密封環103とシャフト102とのシャフト102の回転方向における相対移動(ずれや滑り等)を防ぐことができる。本実施形態のシャフトシール装置100においては、前述したように、シャフト102にノックピン131が装着され、密封環103には切り欠き103cが形成され、これらが係合されることにより密封環103とシャフト102とは回転方向にずれないようになっている。しかしながら、ノックピン131が無くとも、密封環103に作用する緊迫力により、密封環103とシャフト102とのシャフト102の回転方向における相対移動(ずれや滑り等)は、十分に防ぐことができる。
密封環103は、例えば超硬合金、炭化珪素、セラミックス、鋳鉄、エンジニアリングプラスチック等の、端面リップシール104の表面ゴム材よりも硬質の材料により形成される。なお、潤滑条件が厳しい回転装置においては、自己潤滑性に優れるカーボン、又はカーボンと硬質材の複合材を選定することも可能である。
密封環103とシャフト102との間に介在されるガスケット120は、図示のごとく内部に補強環121が埋設されたものであり、シャフト102と密封環103との間をシールする。
ガスケット120の材料は、端面リップシール104と同様に、被密封流体の種類により選定され、例えばニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)、エンジニアリングプラスチック等が使用される。
また、ガスケット120に埋設される補強環121は、例えば鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、エンジニアリングプラスチック等により形成され、切削加工、プレス加工、又はモールド成形により製作される。
次に、本発明に係るシャフトシール装置100の組み付け方法について図2を参照して説明する。
シャフトシール装置の組み付けに際しては、まず、シャフト102とハウジング101の組み立てが完了した回転装置に対して、図2に示すように、密封環103を、装着治具110を用いて装着する。
装着治具110は、装着治具110をハウジング101内に挿入した時にハウジング101の基準面101bに当接する治具基準面110bと、密封環103をハウジング101とシャフト102との間隙のハウジング101の基準面101bよりもさらに奥に挿入するための治具突起110aとを有する。
治具突起110aの治具基準面110bに対する高さL2は、ハウジング101の基準面101bと密封環103の摺動面103aとの間隔であるシール取り付け長L1と等しくされる。
密封環103を押し込んだら、次に、図1に示すように端面リップシール104をシール固定部品108を介して、すなわちシール固定部品108をねじ込むことにより、ハウジング101に挿入する。その結果、端面リップシール104の突出リップ105が密封環103の摺動面103aに突き当たり、図1に示すように端面リップシール104及び密封環103が配置されたシャフトシール装置100が構成される。
このように、本実施形態のシャフトシール装置100においては、端面リップシール104の突出リップ最小径D1と、密封環103の嵌合部106が嵌合される箇所のシャフト102の直径D2とが等しく形成されているため、密封環103が、シャフト102の軸方向に沿った2方向(各々反対方向を指す)について圧力を受ける面積が、その2方向で略等しくなっており、その結果、受ける荷重の大きさも略等しくなっている。従って、密封環103がシャフト102の軸方向に移動することが無いので、密封環103の組み付け位置を、従来技術のようにシャフト102の段差102aにより規定する必要が無く、また、シャフトシール装置100の作動時において密封環103をシャフト102の段差102aで支持する必要も無い。
従って、密封環103、換言すれば摺動面103aとシャフト102との相対位置を任意に設定することができ、密封環103の組み付け位置の基準面をハウジング101側に設けることも可能であり、端面リップシール104と同一の基準面を用いることも可能である。
そして、そのように密封環103を端面リップシール104と同一の基準面を用いて設置することにより、シャフトシール装置100のシール取り付け長L1が、回転装置のハウジング101とシャフト102との取り合い誤差(寸法のばらつき)の影響を受けることを回避することができる。その結果、シール取り付け長を高精度かつ容易に規定値通りに管理することができ、シールの密封性能及び信頼性を大幅に向上させることができる。
第2実施形態
本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。
図1を参照して前述した第1実施形態において端面リップシール104は、外周面にねじ溝108aが形成されている略円筒状のシール固定部品108により大気空間A側端部が支持され、ハウジング101の基準面101bに対して位置決めされ、ハウジング101に固定的に設置されていた。しかしながら、シール固定部品の構成や端面リップシール104の固定方法はこれに限られるものではなく、他の構成や他の方法であってもよい。ここでは、シール固定部品の構成及び端面リップシールの固定方法の他の例について、本発明の第2実施形態として図3を参照して説明する。
本実施形態においては、いわゆる(穴用)止め輪(スナップリング)により、端面リップシールをハウジングに固定する。特に、本実施形態においては、外周端面がテーパー形状に形成されているベベル形止め輪をシール固定部品として用いて、端面リップシールの固定を行う。
図3は、ベベル形止め輪208を用いて端面リップシール104を固定したシャフトシール装置200を示す図であり、図3(A)はそのシャフトシール装置200の構造及び組み付け方法を説明するための断面図であり、図3(B)はそのべベル形止め輪208の正面図であり、図3(C)はそのべベル形止め輪208の環状部の断面図であって図3(B)のA−A’における断面図である。
図3に示すシャフトシール装置200において、シャフト102、密封環103、端面リップシール104及びガスケット120の構成及び配置は、図1を参照して前述した第1実施形態のシャフトシール装置100と同一である。
シャフトシール装置200においては、ハウジング201の内周面に、べベル形止め輪208が嵌入される溝201cが形成されている。この溝201cのシャフト102の軸方向大気空間A側(端面リップシール104から遠位側)の側面は、べベル形止め輪208を掛止し支持するための掛止面201dとされ、この掛止面201dは、内径方向に向かって大気空間A側に傾斜した傾斜面(テーパー面)として形成されている。
端面リップシール104を固定するために用いるべベル形止め輪208は、例えば図3(B)に示すような平面形状で、図3(C)に示すような断面形状の円環部を有し、その外周面に、外周方向に向かって肉薄となるようなテーパー面208aが形成されている。
このようなハウジング201及びべベル形止め輪208を有するシャフトシール装置200においては、まず、密封環103をハウジング201内の被密封流体Q側の所定位置に押し込む。次に、端面リップシール104を、突出リップ105が密封環103の摺動面103aに当接し、端面リップシール104の大気空間A側の端部がハウジング201の溝201cの掛止面201dよりも被密封流体Q側の位置となるまで、密封環103方向に押し込む。そして、端面リップシール104の大気空間A側端部に当接配置されるべベル形止め輪208をハウジング201の溝201cに嵌入する。
これにより、べベル形止め輪208は大気空間A側に移動しない状態となり、端面リップシール104はべベル形止め輪208に大気空間A側の端部が支持された状態となり、図3(A)に示すような構成のシャフトシール装置200が構成される。
このような構成のシャフトシール装置200においては、ハウジング201の溝201cあるいは掛止面201dを基準として端面リップシール104及び密封環103の組み付けを行うため、組み付けに係る積み重ね誤差を少なくすることができ、シャフトシール装置200を高精度に組み付けることが可能となる。
またその際には、端面リップシール104の位置を厳密に規定する必要があるが、本実施形態のシャフトシール装置200においては、べベル形止め輪208の外周テーパー面208aとハウジング201のテーパー状掛止面201dとが噛合って配置される構成としているので、そのテーパー面208aの軸方向の長さt分(図3(A)及び図3(C)参照)、組み付けの許容範囲が生まれる。従って、端面リップシール104の実際の組み付けを、容易かつ高精度に行うことができる。換言すれば、この許容範囲を規定の寸法としておくことにより、端面リップシール104をその規定の許容範囲内で組み付けることができ、端面リップシール104を安定的に高精度に組み付けることが可能となる。
また、べベル形止め輪208は、部品寸法さえ管理しておけば緩み止めの必要が無い。従って、高い信頼性で、端面リップシール104を設置することができる。
また、べベル形止め輪208を用いたこのような端面リップシール104の設置方法は、簡単な方法であり、組み付けや分解を容易に行うことができる。また使用する部品も単純な部品でよい。従って、シャフトシール装置の製造や設置に係るコスト、あるいはこれを用いた装置に係るコストを抑えることができる。
端面リップシール104は、このように、べベル形止め輪208により大気空間A側の端部(突出リップ105が形成されていない側の端部)を支持されて固定されるようにしてもよい。
第3実施形態
本発明の第3実施形態について、図4を参照して説明する。
図3を参照して前述した第2実施形態において端面リップシール104は、一方の端部がべベル形止め輪208に当接されて支持されることのみによって、ハウジングに固定設置されていた。本実施形態においては、さらに他の端面リップシールの固定方法として、ハウジングに設けた段差部とべベル形止め輪との間に端面リップシールを挟持することにより、端面リップシールをハウジングの所定位置に設置する方法について説明する。
図4は、第3実施形態のシャフトシール装置300を示す図であって、その構造及び組み付け方法を説明するための断面図である。
図4に示すシャフトシール装置300において、シャフト102、密封環103及びガスケット120の基本的な構成及び配置は、前述した第1実施形態及び第2実施形態のシャフトシール装置100,200と同じである。また、べベル形止め輪208の構造は、図3を参照して前述した第2実施形態のべベル形止め輪と同じである。また、端面リップシール304は、ダストリップシール107(図1及び図3参照)を具備しない構成となっている点を除いて、前述した第1実施形態及び第2実施形態の端面リップシール104と同じ構成である。
本実施形態のシャフトシール装置300においても、第2実施形態のシャフトシール装置200と同様に、ハウジング301(シャフトシール装置200においてはハウジング201)の内周面に、べベル形止め輪208が嵌入される溝201cが形成されている。溝201cの大気空間A側の側面は、べベル形止め輪208を掛止し支持するための掛止面201dとして形成されており、掛止面201dは、内径方向に向かって大気空間A側に傾斜した傾斜面(テーパー面)として形成されている。
シャフトシール装置300においては、さらに、ハウジング301の内周面の端面リップシール304の突出リップ105と密封環103とが当接する摺動面103aの近傍に、端面リップシール304の突出リップ105が形成されている側の端面306を当接するための段差部301bが形成されている。
そしてシャフトシール装置300においては、この段差部301bとべベル形止め輪208との間に端面リップシール304を挟持し、端面リップシール304をハウジング301に固定設置している。この際、シャフトシール装置300においては、段差部301bを基準面として、密封環103及び端面リップシール304の位置を決定する。
すなわちシャフトシール装置300においては、まず、密封環103を、図2を参照して前述したようにハウジング301内の被密封流体Q側の所定位置に押し込む。次に、端面リップシール304をハウジング301に挿入し、突出リップ105が形成されている付け根の部分を形成する端面306がハウジング301の段差部(基準面)301bに当接するまで密封環103方向に押し込む。そして、端面リップシール304の端面306がハウジング301の段差部301bに当接したら、端面リップシール304の大気空間A側背面に当接配置されるべベル形止め輪208をハウジング301の溝201cに嵌入する。
これにより、べベル形止め輪208は大気側に移動しない状態となり、端面リップシール304はべベル形止め輪208とハウジング301の段差部301bとの間に挟持された状態となり、図4に示すような構成のシャフトシール装置300が構成される。
このような構成のシャフトシール装置300においては、ハウジング301の段差部301bを基準として端面リップシール304及び密封環103の組み付けを行うため、組み付けに係る積み重ね誤差を少なくすることができ、シャフトシール装置300を高精度に組み付けることが可能となる。
このような構成で現実に端面リップシール304をハウジング301に組み付けるためには、端面リップシール304とべベル形止め輪208の全体の軸方向長さと、ハウジング301の段差部301bから溝201cのテーパー状掛止面201dまでの長さとを等しくしておく必要がある。この点において、シャフトシール装置300においては、べベル形止め輪208の外周テーパー面208aとハウジング301のテーパー状掛止面201dとが噛合って配置される構成としているので、そのテーパー面208aの軸方向の長さt分、組み付けの許容範囲が生まれる。従って、端面リップシール304の実際の組み付けを、容易かつ高精度に行うことができる。換言すれば、この許容範囲を規定の寸法としておくことにより、端面リップシール304をその規定の許容範囲内で組み付けることができ、端面リップシール304を安定的に高精度に組み付けることが可能となる。
なお、べベル形止め輪208は部品寸法さえ管理しておけば緩み止めの必要が無いため、高い信頼性で端面リップシール304を設置することができる点、べベル形止め輪208を用いたこのような端面リップシール304の設置方法は単純な部品を用いた簡単かつ容易な方法でありコストを抑えることができる点等も、第2実施形態と同様である。
端面リップシール304は、このように、ハウジング301に設けた段差部301bとべベル形止め輪208により挟持して固定するようにしてもよい。
第4実施形態
本発明の第4実施形態について、図5を参照して説明する。
前述した第1実施形態〜第3実施形態においては、例えば図1に示すように、密封環103は、肉厚部と肉薄部とを有する形状に形成され、シャフト102の段差102aを跨ぐように配置され、その肉薄部側がガスケット120を介在してシャフト102の太径部分(直径D2の部分)に嵌合されてシャフト102に装着されている。しかしながら、密封環の構成や密封環のシャフトへの装着方法はこのような形態に限られるものではなく、他の構成や他の方法であってもよい。ここでは、シャフトの段差を跨がない構成の密封環及びその装着方法について、本発明の第4実施形態として図5を参照して説明する。
図5は、第4実施形態のシャフトシール装置400を示す図であって、その構造及び組み付け方法を説明するための断面図である。
図5に示すシャフトシール装置400において、ハウジング101、シャフト102、端面リップシール104及びシール固定部品108の基本的な構成及び配置は、図1を参照して前述した第1実施形態のシャフトシール装置100と同じである。従って、それらの説明は省略する。
本実施形態のシャフトシール装置400は、密封環403及び密封環403とともに配置されるガスケット420の構成が、前述した各実施形態とは異なる。
密封環403は、図示のごとく、断面が略矩形の円環状の部材であり、ガスケット420の太径部420aに嵌合されて、シャフト102の段差102aより端面リップシール104側(大気空間A側)、すなわちシャフト102の細径部分に配置される。密封環403の端面リップシール104と対向する面は、端面リップシール104の突出リップ105が圧接される摺動面403aとして形成されている。
密封環403の摺動面403aの背面403bは、ガスケット420と当接する当接面として形成されている。密封環403は、後述するようにガスケット420の太径部420aに嵌入されるが、この際、密封環403は、当接面403bがガスケット420の当接面420eに当接するまで太径部420aに嵌入され、ガスケット420と一体化される。
また、密封環403の摺動面403aと当接面403bとの間の外周面403cは、密封環403をガスケット420の太径部420aに嵌合保持する際の嵌合面として形成される。
ガスケット420は、シャフト102と密封環403との間をシールする部材であって、図5に示すような断面形状の円環状部材、すなわち径の異なる2つの円環状部材(太径部420aと細径部420b)が同心で接続された形態の、段差を有する円環状部材である。このような形状のガスケット420において、太径部420aには密封環403が嵌合され、細径部420bにはシャフト102が嵌合される。
ガスケット420の内部には、補強環421が埋設されている。ガスケット420は、補強環421の周囲に略同じ肉厚で材料が形成されて構成されるが、太径部420aと細径部420bとを接続する部分の内面、すなわちシャフト102の軸方向に略垂直な、密封環403が当接される当接面420eにおいては、その材料の肉厚が極めて薄いか、あるいは材料が全く形成されずに補強環421がむき出しになった状態に構成される。このような構成とすることにより、密封環403を組み付ける時や機内の圧力が高圧となった時に、ガスケット420を構成する材料が圧縮変形して密封環403にずれが発生するのを防ぐことができ、取り付け長の精度を確保し易くなる。
前述したように、ガスケット420の太径部420aの内周面420dは密封環403の嵌合面として形成されている。密封環403をガスケット420の太径部420aに嵌入することにより、密封環403の嵌合面403cとガスケット420の太径部420aの内周面420dとが密接嵌合し(嵌合部451)、密封環403はガスケット420の太径部420aに嵌合保持され、密封環403とガスケット420は一体化される。この際、密封環403は、前述したように、当接面403bがガスケット420の当接面420eに当接するまで(当接部452)、ガスケット420の太径部420aに嵌入される。
また、ガスケット420の細径部420bの内周面420fは、ガスケット420をシャフト102に嵌合装着するための嵌合面として形成されており、この部分がシャフト102に嵌合されることにより(嵌合部453)、ガスケット420はシャフト102に嵌合装着される。
ガスケット420は、密封環403を嵌合保持した状態で、図2を参照して前述した第1実施形態の場合と同様に装着治具110を用いて、ハウジング101とシャフト102との間に挿入されてシャフト102に装着される。すなわち、装着治具110(図2参照)の突起110aの先端を密封環403の摺動面403aに当接させた状態で、一体化した密封環403とガスケット420とをハウジング101とシャフト102との間に押し込む。これにより、密封環403の摺動面403aは、ハウジング101の基準面101bから所定の距離に配置される。
この状態において、ガスケット420の太径部420aと細径部420bとの間に規定される当接面420eがシャフト102の段差102aより端面リップシール104側に配置され、また、ガスケット420の細径部420bは、シャフト102の太径部(直径D2の部分)の段差102aの近傍に嵌合される。換言すれば、シャフトシール装置400においては、このような状態で密封環403及びガスケット420が組み付けられるように、各部の形状等が規定されている。そしてその結果、密封環403は、シャフト102の段差102aとある程度の間隔をもって、シャフト102の細径部に配置されることになる。
この時、シャフトシール装置400においては、前述した各実施形態と同様に、端面リップシール104の突出リップ105の付け根の直径D1と、一体化された密封環403とガスケット420とがシャフト102に嵌合される嵌合部453のシャフト102の直径D2とが等しく形成されているため、一体化された密封環403及びガスケット420がシャフト102の軸方向の両側において被密封流体から圧力を受ける領域の面積(受圧面積)が略等しくなっている。すなわち、密封環403に対して、被密封流体Qにより、端面リップシール104から密封環403の方向に作用する力と、密封環403から端面リップシール104の方向に作用する力とが略等しくなる。
従って、シャフトシール装置400が作動している状態において、密封環403がシャフト102の軸方向に移動することは無い。
シャフト102のガスケット420が装着される箇所には、ノックピン431が圧入設置されており、また、ガスケット420の細径部420bの端部には、このノックピン431に係合する切り欠き420cが形成されている。この切り欠き420cにノックピン431が係合されることにより、密封環403と一体化されたガスケット420とシャフト102との回転方向の相対移動(ずれや滑り等)が機械的に完全に阻止される。
なお、シャフトシール装置400においては、このガスケット420の最外径、すなわち、太径部420aの外周面の直径は、ハウジング101の内径(端面リップシール104が配置されている箇所の内径)よりも小さく形成する、換言すれば、ハウジングの内径(ボア径)は、ガスケット420の外径よりも大きくする。
また、ガスケット420及び補強環421の材料は、前述した第1実施形態のシャフトシール装置100のガスケット120及び補強環121と同一である。
このような構成のシャフトシール装置400においては、ハウジング101の基準面101bを基準として密封環403及び端面リップシール104の組み付けを行うため、組み付けに係る積み重ね誤差を少なくすることができ、シャフトシール装置400を高精度に組み付けることが可能となる。
また、このような構成のシャフトシール装置400においては、密封環403の形状を非常に簡単にすることができるので、密封環403の加工や組み付けも容易となり、シャフトシール装置400の製造に係るコストを低減することができる。
また、密封環403はガスケット420及びノックピン431を介してシャフト102と一体的に回転するように係止されており、密封環403が直接にノックピンにより係止されているものではない。従って、シャフト102(及び密封環403、ガスケット420)が高い負荷(高いトルク)がかかって回転する時等においても、密封環403が破損等する可能性をより少なくすることができる。
本発明に係るシャフトシール装置は、このような形態で実施してもよい。
なお、前述した各実施形態は本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を何ら限定するものではない。前述した各実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、密封環103とシャフト102との廻り止め(滑り止め)機構は、本実施形態のようにノックピン131を用いる方法に限られない。例えば、シャフト102に面取り部を設けて密封環103と係合させるようにしてもよいし、密封環103が金属系の材料からできている時には、シャフト102とのメタルタッチとして強固に係合させることも可能である。また、回転装置の構造によっては、密封環103をシャフト102上の正規の位置に装着してから、ダボ加工(プレス加工)することも可能である。
また、これらの廻り止め機構は、密封環103の肉薄部に形成することに限られるものではなく、肉厚部(つば部)103bに設けるようにしてもよい。
産業上の利用分野
本発明のシャフトシール装置及びその組み付け方法は、空調機用の圧縮機、ポンプ、原動機等の回転装置に好適に適用可能である。また、ハウジングとシャフトとの間の被密封流体をシールする装置であれば、任意の装置に対して適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態のシャフトシール装置の構成を示す図である。 図2は、図1に示したシャフトシール装置の組み付け方法を説明するための図である。 図3は、本発明の第2実施形態に係るシャフトシール装置を示す図であり、図3(A)はシャフトシール装置の構造及び組み付け方法を説明するための断面図であり、図3(B)はシャフトシール装置の組み付けに用いるシール固定部品(べベル形止め輪)の正面図であり、図3(C)は図3(B)のA−A’における環状部断面図である。 図4は、本発明の第3実施形態に係るシャフトシール装置を示す図であり、その構造及び組み付け方法を説明するための断面図である。 図5は、本発明の第4実施形態に係るシャフトシール装置を示す図であり、その構造及び組み付け方法を説明するための断面図である。 図6は、従来のシャフトシール装置の構成を示す図である。
符号の説明
100、200、300、400…シャフトシール装置
101、201、301…ハウジング
102…シャフト
102a…段差
103、403…密封環
103a、403a…摺動面
103b…肉厚部
106…嵌合部
403b…当接面
403c…嵌合面
104、304…端面リップシール
105…突出リップ
306…端面
107…ダストリップシール
109…補強環
108…シール固定部品
208…べベル形止め輪(シール固定部品)
120、420…ガスケット
420a…太径部
420b…細径部
420c…切り欠き
420d、420f…嵌合面
420e…当接面
121、421…補強環
131、431…ノックピン
451、453…嵌合部
452…当接部
900…シャフトシール装置
901…ハウジング
902…シャフト
903…固定環(固定側密封環)
904…端面リップシール
905…突出リップ
906…固定側シール
907,908…パッキン
909…補強ケース
910…シールリップ

Claims (6)

  1. シャフトと当該シャフトが通過するハウジングとの間に設置され、当該シャフトに沿って被密封流体をシールするシャフトシール装置であって、
    前記シャフトに嵌合される密封環と、
    前記ハウジングに固定され、突出リップを前記密封環の摺動面に摺動可能に密接させる端面リップシールとを有し、
    前記突出リップの被密封流体側表面の最小径部分の直径(D1)は、前記密封環が嵌合されている箇所の前記シャフトの直径(D2)と等しいことを特徴とするシャフトシール装置。
  2. 前記密封環は、前記ハウジングの所定の基準位置に対して所定の取り付け長となる位置で前記シャフトに取り付けられ、前記端面リップシールは、前記基準位置に対して位置合わせされて取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のシャフトシール装置。
  3. 前記密封環が前記シャフトに対して相対的に回転しないように、前記密封環と前記シャフトとを係合させる係合手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトシール装置。
  4. 前記シャフトは段差を有し、前記密封環は、前記シャフトの段差を跨ぎ、当該段差を跨ぐ範囲で前記シャフトの軸方向に位置調整可能に当該シャフトに嵌合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフトシール装置。
  5. 前記端面リップシールは、前記ハウジング内に設置される止め輪により、少なくとも前記突出リップが配置される端部とは反対側の端部が支持され、前記ハウジングに固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシャフトシール装置。
  6. 前記シャフトは段差を有し、前記密封環は、前記シャフトの段差の前記端面リップシール側に配置され、前記段差までの間隙の範囲で前記シャフトの軸方向に位置調整可能に当該シャフトに嵌合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフトシール装置。
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