JP5086392B2 - 発光装置、照明装置および車両用前照灯 - Google Patents

発光装置、照明装置および車両用前照灯 Download PDF

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Description

本発明は、高輝度光源として機能する発光装置および当該発光装置を備えた照明装置に関するものである。
近年、励起光源として発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や半導体レーザ(LD;Laser Diode)等の半導体発光素子を用い、これらの励起光源から生じた励起
光を、蛍光体を含む発光部に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いる発光装置の研究が盛んになってきている。
このような発光装置に関する技術の例として特許文献1および2に開示された灯具がある。これらの灯具では、高輝度光源を実現するために、励起光源として半導体レーザを用いている。半導体レーザから発振されるレーザ光は、コヒーレントな光であるため、指向性が強く、当該レーザ光を励起光として無駄なく集光し、利用することができる。このような半導体レーザを励起光源として用いた発光装置(LD発光装置と称する)を車両用ヘッドランプに好適に適用することができる。
一方、インコヒーレントな白色LEDを用いて車両用ヘッドランプを実現する技術の例としては、非特許文献1に開示された車両用ヘッドランプがある。
なお、この非特許文献1には、車両用ヘッドランプの発光部から発生する光の配光パターン(配光分布)を、鉛直方向に狭く、水平方向に広くすることが記載されている。
特開2005−150041号公報(2005年6月9日公開) 特開2003−295319号公報(2003年10月15日公開)
佐々木 勝、「白色LEDの自動車照明への応用」、応用物理学会誌、2005年、第74巻、第11号、p.1463―1466
ところが、蛍光体を含む微小な発光部を、LEDを励起光源とした場合には実現できないようなハイパワーの励起光で励起すると(すなわち非常に高い励起パワー並びにパワー密度で発光部を励起すると)、発光部が激しく劣化するという問題が生ずることが本発明の発明者らの検討により分かった。
発光部を劣化させないためには、発光部に照射する励起光の強さ(単位:ワット)を小さくすればよい。しかし、この方法では、発光部から出射される光の量(光束)が低下してしまい、発光装置として要求される光度を実現することができない可能性がある。
また、従来の白色LEDを用いて照明装置を実現する場合には、単一の白色LEDでは、輝度・光束が小さいという問題がある。輝度が小さいと、光学系を大きくする必要が生じ、光束が小さいと、複数の白色LEDを集積させる必要が生じる。その結果、照明装置が大型化するという問題が生じる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、小型で高輝度な光源であって、出射する光の光束を低下させることなく長寿命な光源を実現することができる発光装置、当該発光装置を備える照明装置および車両用前照灯を提供することにある。
本発明に係る発光装置は、上記の課題を解決するために、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源が出射した励起光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射した励起光を出射する複数の出射端部とを有する導光部と、上記複数の出射端部から出射された励起光を受けて発光する発光部とを備え、上記複数の出射端部から出射される励起光がそれぞれ有する光強度分布における最も光強度の大きい部分が、上記発光部の互いに異なる部分に対して照射されることを特徴としている。
上記の構成によれば、励起光源が出射した励起光は、導光部の入射端部に入り、導光部の複数の出射端部から出射される。この励起光が発光部に照射されると当該発光部が発光する。このとき複数の出射端部から出射される励起光がそれぞれ有する光強度分布における最も光強度の大きい部分が、上記発光部の互いに異なる部分に対して照射される。換言すれば、複数の出射端部からの励起光は、発光部に対して分散して照射される。
それゆえ、励起光が発光部の一箇所に集中的に照射されることによって発光部が著しく劣化する可能性を低減でき、出射する光の光束を低下させることなく長寿命の光源を実現することができる。また、発光部に照射する励起光の強度を低下させる必要がないため、発光装置の輝度および光束を大きくすることができる。従って、小型で高輝度な発光装置を実現できる。
また、上記発光部は、上記励起光源からの励起光を受ける受光面を有しており、上記複数の出射端部を上記受光面に対して所定のパターンで保持する保持部をさらに備えることが好ましい。
上記の構成によれば、保持部は、導光部が有する複数の出射端部を発光部の受光面に対して所定のパターンで保持する。それゆえ、導光部が可撓性を有している等の理由のために出射端部と発光部との相対位置が可変である場合でも、複数の出射端部を発光部の面に対して所定のパターンで位置決めすることができる。
その結果、複数の出射端部からの出射光によって形成される受光面における複数の投影像は、所定のパターンを形成する。この所定のパターンを発光装置の目的に応じて適切に設定することにより、発光部を好ましい状態で発光させることができる。例えば、発光部全体を均一に発光させることや、発光部の一部を他の部分よりも強く発光させることができる。
また、上記受光面は、長軸を有しており、上記複数の出射端部の少なくとも一部は、上記長軸に沿って配列していることが好ましい。
車両用ヘッドランプの配光パターンは、鉛直方向に狭く、水平方向に広い。上記の構成により、長軸を有する発光部が、長軸に沿って配列している複数の出射端部によって励起されるため、上記配光パターンを実現できる。この配光パターンの設定は、発光部の形状および複数の出射端部の配置によって行うことができるため、従来よりも容易に上記配光パターンを実現できる。
また、上記受光面に対して配置された出射端部の密度は、上記受光面において偏っていることが好ましい。
上記の構成により、発光部の一部を他の部分よりも強く発光させることができる。それゆえ、発光装置から出射される光線束の一部の光度を高めることができる。例えば、本発明を自動車のヘッドランプに適用した場合に、当該ヘッドランプによって照らされる領域の一部の照度を高めることができる。
また、上記導光部は、可撓性を有していることが好ましい。
上記の構成によれば、導光部は、可撓性を有する部材、例えば、光ファイバーである。それゆえ、入射端部と出射端部との位置関係を容易に変更することでき、励起光源と発光部との位置関係を容易に変更することできる。したがって、発光装置の設計自由度を高めることができる。
本発明に係る照明装置は、上記発光装置と、上記発光部から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、発光部から出射した光は、反射鏡によって反射され、所定の立体角内を進む光線束が形成される。それゆえ、車両用ヘッドランプやサーチライトに適した、小型で高輝度かつ長寿命の照明装置を実現できる。
本発明に係る車両用前照灯は、上記発光装置と、上記発光部から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、発光部から出射した光は、反射鏡によって反射され、所定の立体角内を進む光線束が形成される。それゆえ、小型で高輝度かつ長寿命の車両用前照灯を実現できる。
本発明に係る発光装置は、以上のように、励起光を出射する励起光源と、上記励起光源が出射した励起光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射した励起光を出射する複数の出射端部とを有する導光部と、上記複数の出射端部から出射された励起光を受けて発光する発光部とを備え、上記複数の出射端部は、上記発光部の互いに異なる部分に対して上記励起光を出射する構成である。
それゆえ、励起光が発光部の一箇所に集中的に照射されることによって発光部が著しく劣化する可能性を低減でき、小型で高輝度であり、かつ長寿命の光源を実現することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るヘッドランプが備える光ファイバーの出射端部と発光部との位置関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係るヘッドランプの構成を示す断面図である。 発光部の位置決め方法の変更例を示す断面図である。 (a)および(b)は、光ファイバーの複数の出射端部5aを、発光部のレーザ光照射面に対して配置するパターンの一例を示す図である。 (a)は光ファイバーの出射端部から出射されるレーザ光の光強度分布を示す図であり、(b)は、複数のレーザ光照射領域の位置関係を示す図である。 (a)は半導体レーザの回路図を模式的に示す図であり、(b)は半導体レーザの基本構造を示す斜視図である。 本発明の別の形態に係るヘッドランプが備える半導体レーザの構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るレーザダウンライトが備える発光ユニットおよび従来のLEDダウンライトの外観を示す概略図である。 上記レーザダウンライトが設置された天井の断面図である。 上記レーザダウンライトの断面図である。 上記レーザダウンライトの設置方法の変更例を示す断面図である。 上記LEDダウンライトが設置された天井の断面図である。 上記レーザダウンライトおよび上記LEDダウンライトのスペックを比較するための図である。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここでは、本発明の照明装置の一例として、自動車用のヘッドランプ(車両用前照灯)1を例に挙げて説明する。ただし、本発明の照明装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、その他の照明装置として実現されてもよい。その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、家庭用照明器具を挙げることができる。
ヘッドランプ1は、走行用前照灯(ハイビーム)の配光特性基準を満たしていてもよいし、すれ違い用前照灯(ロービーム)の配光特性基準を満たしていてもよい。
(ヘッドランプ1の構成)
図2は、ヘッドランプ1の構成を示す断面図である。同図に示すように、ヘッドランプ1は、半導体レーザアレイ(励起光源)2、非球面レンズ4、光ファイバー(導光部)5、フェルール(保持部)6、発光部7、反射鏡8、透明板9、ハウジング10、エクステンション11およびレンズ12を備えている。半導体レーザアレイ2、光ファイバー5、フェルール6および発光部7によって発光装置の基本構造が形成されている。
半導体レーザアレイ2は、励起光を出射する励起光源として機能し、複数の半導体レーザ(半導体レーザ素子)3を基板上に備えるものである。半導体レーザ3のそれぞれからレーザ光が発振される。励起光源として複数の半導体レーザ3を用いる必要は必ずしもなく、半導体レーザ3を1つのみ用いてもよい。しかし、高出力のレーザ光を得るためには、複数の半導体レーザ3を用いることが好ましい。
半導体レーザ3は、1チップに1つの発光点を有するものであり、例えば、405nm(青紫色)のレーザ光を発振し、出力1.0W、動作電圧5V、電流0.6Aのものであり、直径5.6mmのパッケージに封入されているものである。半導体レーザ3が発振するレーザ光は、405nmに限定されず、380nm以上470nm以下の波長範囲にピーク波長を有するレーザ光であればよい。なお、380nmより小さい波長のレーザ光を発振する良質な短波長用の半導体レーザを作製することが可能であれば、本実施の形態の半導体レーザ3として、380nmより小さい波長のレーザ光を発振するように設計された半導体レーザを用いることも可能である。
非球面レンズ4は、半導体レーザ3から発振されたレーザ光(励起光)を、光ファイバー5の一方の端部である入射端部5bに入射させるためのレンズである。例えば、非球面
レンズ4として、アルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ4の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の透過率が高く、かつ耐熱性のよい材料であることが好ましい。
光ファイバー5は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を発光部7へと導く導光部材であり、複数の光ファイバーの束である。この光ファイバー5は、上記レーザ光を受け取る複数の入射端部5bと、入射端部5bから入射したレーザ光を出射する複数の出射端部5aとを有している。複数の出射端部5aは、発光部7のレーザ光照射面(受光面)7a(図1参照)における互いに異なる領域に対してレーザ光を出射する。より詳細には、複数の出射端部5aから出射されるレーザ光がそれぞれ有する光強度分布(図5(a)参照)における最も光強度の大きい部分が、発光部7の互いに異なる部分に対して照射される。出射端部5aは、レーザ光照射面7aに接触していてもよいし、僅かに間隔を置いて配置されてもよい。
光ファイバー5は、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造をしている。コアは、レーザ光の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。例えば、光ファイバー5は、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバー5の構造、太さおよび材質は上述のものに限定されず、光ファイバー5の長軸方向に対して垂直な断面は矩形であってもよい。
なお、導光部材として光ファイバー以外の部材、または光ファイバーと他の部材とを組み合わせたものを用いてもよい。この導光部材は、半導体レーザ3が発振したレーザ光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射したレーザ光を出射する複数の出射端部とを有するものであればよい。例えば、少なくとも1つの入射端部を有する入射部、および複数の出射端部を有する出射部を光ファイバーとは別の部材として形成し、これら入射部および出射部を光ファイバーの両端部に接続してもよい。
図1は、出射端部5aと発光部7との位置関係を示す図である。同図に示すように、フェルール6は、光ファイバー5の複数の出射端部5aを発光部7のレーザ光照射面7aに対して所定のパターンで保持する。このフェルール6は、出射端部5aを挿入するための孔が所定のパターンで形成されているものでもよいし、上部と下部とに分離できるものであり、上部および下部の接合面にそれぞれ形成された溝によって出射端部5aを挟み込むものでもよい。
このフェルール6は、反射鏡8から延出する棒状または筒状の部材などによって反射鏡8に対して固定されていればよい。フェルール6の材質は、特に限定されず、例えばステンレススチールである。また、1つの発光部7に対して、複数のフェルール6を配置してもよい。なお、図1では、便宜上、出射端部5aを3つ示しているが、出射端部5aの数は3つに限定されない。出射端部5aの数および配置様式の詳細については後述する。
発光部7は、出射端部5aから出射されたレーザ光を受けて発光するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部7は、蛍光体保持物質としてのシリコーン樹脂の内部に蛍光体が分散されているものである。シリコーン樹脂と蛍光体との割合は、10:1程度である。また、発光部7は、蛍光体を押し固めたものであってもよい。蛍光体保持物質は、シリコーン樹脂に限定されず、いわゆる有機無機ハイブリッドガラスや無機ガラスであってもよい。
上記蛍光体は、酸窒化物系のものであり、青色、緑色および赤色の蛍光体がシリコーン
樹脂に分散されている。半導体レーザ3は、405nm(青紫色)のレーザ光を発振するため、発光部7に当該レーザ光が照射されると白色光が発生する。それゆえ、発光部7は、波長変換材料であるといえる。
なお、半導体レーザ3は、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる「青色」近傍のレーザ光)を発振するものでもよく、この場合には、上記蛍光体は、黄色の蛍光体、または緑色の蛍光体と赤色の蛍光体との混合物である。換言すれば、半導体レーザ3は、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する励起光を出射してもよく、この場合、白色光を生成するための発光部の材料(蛍光体材料)を容易に選定および製造できる。なお、黄色の蛍光体とは、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。緑色の蛍光体とは、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。赤色の蛍光体とは、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。
上記蛍光体は、サイアロン蛍光体と通称されるものが好ましい。サイアロンとは、窒化ケイ素のシリコン原子の一部がアルミニウム原子に、窒素原子の一部が酸素原子に置換された物質である。サイアロン蛍光体は、窒化ケイ素(Si)にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)および希土類元素などを固溶させて作ることができる。
また、上記蛍光体の別の好適な例としては、III−V族化合物半導体のナノメータサイ
ズの粒子を用いた半導体ナノ粒子蛍光体を用いることもできる。同一の化合物半導体(例えばインジュウムリン:InP)を用いても、その粒子径を変更させることにより、量子サイズ効果によって発光色を変化させることができることが半導体ナノ粒子蛍光体の特徴の一つである。例えばInPでは、粒子サイズが3〜4nm程度のときに赤色に発光する。ここで、粒子サイズは透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価した。
また、この蛍光体は半導体ベースであるので蛍光寿命が短く、励起光のパワーを素早く蛍光として放射できるのでハイパワーの励起光に対して耐性が強いという特徴もある。これは、上記半導体ナノ粒子蛍光体の発光寿命が10ナノ秒程度と、希土類を発光中心とする通常の蛍光体材料に比べて5桁も小さいためである。発光寿命が短いため、励起光の吸収と蛍光の発光を素早く繰り返すことができる。
その結果、強い励起光に対して高効率を保つことができ、蛍光体からの発熱が低減される。よって、光変換部材が熱により劣化(変色や変形)するのをより抑制することができる。これにより、光の出力が高い発光素子を光源として用いる場合に、発光装置の寿命が短くなるのをより抑制することができる。
発光部7の形状および大きさは、例えば、3mm×1mm×1mmの直方体である。この場合、半導体レーザ3からのレーザ光を受けるレーザ光照射面7aの面積は、3mmである。日本国内で法的に規定されている車両用ヘッドランプの配光パターン(配光分布)は、鉛直方向に狭く、水平方向に広いため、発光部7の形状を、水平方向に対して横長(断面略長方形形状)にすることにより、上記配光パターンを実現しやすくなる。発光部7は、直方体でなくてもよく、レーザ光照射面7aが楕円である筒状であってもよい。また、レーザ光照射面7aは、平面である必要は必ずしもなく、曲面であってもよい。ただし、レーザ光の反射を制御するためには、レーザ光照射面7aは、レーザ光の光軸に対して垂直な平面であることが好ましい。
また、発光部7は、図2に示すように、透明板9の内側(出射端部5aが位置する側)の面において、出射端部5aと対向する位置に固定されている。発光部7の位置の固定方
法は、この方法に限定されず、反射鏡8から延出する棒状または筒状の部材によって発光部7の位置を固定してもよい。
図3は、発光部7の位置決め方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、反射鏡8の中心部を貫いて延びる筒状部15の先端に発光部7を固定してもよい。この場合には、筒状部15の内部に光ファイバー5の出射端部5aを通すことができる。
反射鏡8は、発光部7から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成するものである。すなわち、反射鏡8は、発光部7からの光を反射することにより、ヘッドランプ1の前方へ進む光線束を形成する。この反射鏡8は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された曲面形状(カップ形状)の部材である。
透明板9は、反射鏡8の開口部を覆う透明な樹脂板であり、発光部7を保持している。この透明板9を、半導体レーザ3からのレーザ光を遮断するとともに、発光部7においてレーザ光を変換することにより生成された白色光(インコヒーレントな光)を透過する材質で形成することが好ましく、樹脂板以外に無機ガラス板等も使用できる。発光部7によってコヒーレントなレーザ光は、そのほとんどがインコヒーレントな白色光に変換される。しかし、何らかの原因でレーザ光の一部が変換されない場合も考えられる。このような場合でも、透明板9によってレーザ光を遮断することにより、レーザ光が外部に漏れることを防止できる。なお、このような効果を期待せず、かつ透明板9以外の部材によって発光部7を保持する場合には、透明板9を省略することが可能である。
ハウジング10は、ヘッドランプ1の本体を形成しており、反射鏡8等を収納している。光ファイバー5は、このハウジング10を貫いており、半導体レーザアレイ2は、ハウジング10の外部に設置される。半導体レーザアレイ2は、レーザ光の発振時に発熱するが、ハウジング10の外部に設置することにより半導体レーザアレイ2を効率良く冷却することが可能となる。また、半導体レーザ3は、故障する可能性があるため、交換しやすい位置に設置することが好ましい。これらの点を考慮しなければ、半導体レーザアレイ2をハウジング10の内部に収納してもよい。
エクステンション11は、反射鏡8の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ1の内部構造を隠して見栄えを良くするとともに、反射鏡8と車体との一体感を高めている。このエクステンション11も反射鏡8と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。
レンズ12は、ハウジング10の開口部に設けられており、ヘッドランプ1を密封している。発光部7が発生し、反射鏡8によって反射された光は、レンズ12を通ってヘッドランプ1の前方へ出射される。
(出射端部5aの配置様式)
図4(a)および(b)は、光ファイバー5の複数の出射端部5aを、発光部7のレーザ光照射面7aに対して配置するパターンの一例を示す図である。同図では、出射端部5aがレーザ光照射面7aに接触している(または対向している)位置を円で示している。同図(a)に示すように、発光部7のレーザ光照射面7aは、長軸を有しており、複数の出射端部5aの少なくとも一部は、上記長軸に沿って配列させてもよい。具体的には、出射端部5aを5本ずつ2段に密に配置してもよい。この構成により、水平方向に長い発光部7を効率良く励起することができる。
また、同図(b)に示すように、レーザ光照射面7aの中央部のみ出射端部5aを3段に配置してもよい。すなわち、発光部7のレーザ光照射面7aに対して配置された複数の
出射端部5aの密度は、レーザ光照射面7aにおいて偏っている。この構成により、発光部7の中央部(出射端部5aの密度が高い部分)が他の部分よりも強く光るため、ヘッドランプ1によって照射される領域の中央部の照度を高めることができる。
また、発光部7のレーザ光照射面7aの全面に対して複数の出射端部5aがマトリクス状に配置されてもよい。この構成によれば、発光部7を効率良く、ムラなく励起することができる。
(レーザ光照射領域の位置関係)
1つの出射端部5aから出射されたレーザ光が、発光部7のレーザ光照射面7aに照射された領域をレーザ光照射領域と称する。光ファイバー5は、複数の出射端部5aを有しているため、レーザ光照射領域も複数形成される。図5(a)は光ファイバー5の出射端部5aから出射されるレーザ光の光強度分布を示す図であり、図5(b)は、複数のレーザ光照射領域の位置関係を示す図である。図5(a)では、光ファイバー5を構成する光ファイバー51の出射端部5aから出射されるレーザ光の光強度分布を曲線21で示し、光ファイバー52の出射端部5aから出射されるレーザ光の光強度分布を曲線22で示している。図5(a)のグラフの横軸は光ファイバー5の位置を示し、縦軸は、レーザ光照射面7aに照射されたレーザ光の光強度を示している。
図5(a)に示すように、1つの出射端部5aから出射されたレーザ光は、所定の角度で広がりつつレーザ光照射面7aに到達する。そのため、光ファイバー51・52の出射端部5aが、レーザ光照射面7aに対して平行な平面において並んで配置されていたとしても、図5(b)に示すように、これら出射端部5aからのレーザ光によって形成されるレーザ光照射領域23・24が、互いに重なることがある。
このような場合でも、出射端部5aから出射されるレーザ光の光強度分布における最も光強度が大きいところ(図5(a)に示す中心軸21a・22aの近傍)が、発光部7のレーザ光照射面7aの互いに異なる部分に対して出射されれば、レーザ光照射面7aに対してレーザ光を2次元平面的に分散して照射することができる。
すなわち、複数の出射端部5aのうちの1つから出射されたレーザ光が発光部7に照射されることによって形成される投影像において最も光強度が大きい部分である最大光強度部分(レーザ光照射領域の中央部分)の位置が、他の出射端部5aに由来する投影像の最大光強度部分の位置と異なっていればよい。それゆえ、レーザ光照射領域を互いに完全に分離する必要は必ずしもない。
(半導体レーザ3の構造)
次に半導体レーザ3の基本構造について説明する。図6(a)は、半導体レーザ3の回路図を模式的に示したものであり、図6(b)は、半導体レーザ3の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ3は、カソード電極19、基板18、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極17がこの順に積層された構成である。
基板18は、半導体基板であり、本願のように蛍光体を励起する為の青色〜紫外の励起光を得る為にはGaN、サファイア、SiCを用いることが好ましい。一般的には、半導体レーザ用の基板の他の例として、Si、GeおよびSiC等のIV属半導体、GaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体、ZnO、Al、SiO、TiO、CrOおよびCeO等の酸化物絶縁体、並びに、SiNなどの窒化物絶縁体のいずれかの材料が用いられる
アノード電極17は、クラッド層112を介して活性層111に電流を注入するためのものである。
カソード電極19は、基板18の下部から、クラッド層113を介して活性層111に電流を注入するためのものである。なお、電流の注入は、アノード電極17・カソード電極19に順方向バイアスをかけて行う。
活性層111は、クラッド層113及びクラッド層112で挟まれた構造になっている。
また、活性層111およびクラッド層の材料としては、青色〜紫外の励起光を得る為にはAlInGaNから成る混晶半導体が用いられる。一般に半導体レーザの活性層・クラッド層としては、Al、Ga、In、As、P、N、Sbを主たる組成とする混晶半導体が用いられ、そのような構成としても良い。また、Zn、Mg、S、Se、TeおよびZnO等のII−VI属化合物半導体によって構成されていてもよい。
また、活性層111は、注入された電流により発光が生じる領域であり、クラッド層112及びクラッド層113との屈折率差により、発光した光が活性層111内に閉じ込められる。
さらに、活性層111には、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるために互いに対向して設けられる表側へき開面114・裏側へき開面115が形成されており、この表側へき開面114・裏側へき開面115が鏡の役割を果す。
ただし、完全に光を反射する鏡とは異なり、誘導放出によって増幅される光の一部は、活性層111の表側へき開面114・裏側へき開面115(本実施の形態では、便宜上表側へき開面114とする)から出射され、励起光L0となる。なお、活性層111は、多層量子井戸構造を形成していてもよい。
なお、表側へき開面114と対向する裏側へき開面115には、レーザ発振のための反射膜(図示せず)が形成されており、表側へき開面114と裏側へき開面115との反射率に差を設けることで、低反射率端面である、例えば、表側へき開面114より励起光L0の大部分を発光点103から照射されるようにすることができる。
クラッド層113・クラッド層112は、n型およびp型それぞれのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、及びAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、並びに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよく、順方向バイアスをアノード電極17及びカソード電極19に印加することで活性層111に電流を注入できるようになっている。
クラッド層113・クラッド層112および活性層111などの各半導体層との膜形成については、MOCVD(有機金属化学気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法、CVD(化学気相成長)法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。各金属層の膜形成については、真空蒸着法やメッキ法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。
(発光部7の発光原理)
次に、半導体レーザ3から発振されたレーザ光による蛍光体の発光原理について説明する。
まず、半導体レーザ3から発振されたレーザ光が発光部7に含まれる蛍光体に照射されることにより、蛍光体内に存在する電子が低エネルギー状態から高エネルギー状態(励起状態)に励起される。
その後、この励起状態は不安定であるため、蛍光体内の電子のエネルギー状態は、一定時間後にもとの低エネルギー状態(基底準位のエネルギー状態または励起準位と基底準位との間の準安定準位のエネルギー状態)に遷移する。
このように、高エネルギー状態に励起された電子が、低エネルギー状態に遷移することによって蛍光体が発光する。
白色光は、等色の原理を満たす3つの色の混色、または補色の関係を満たす2つの色の混色で構成でき、この原理に基づき、半導体レーザから発振されたレーザ光の色と蛍光体が発する光の色とを、上述のように組み合わせることにより白色光を発生させることができる。
上述の半導体レーザ3を10個設け、各半導体レーザ3から405nmのレーザ光を受けた場合、発光部7から1500ルーメンの光束が放射される。この場合の輝度は80カンデラ/mmである。
(ヘッドランプ1の効果)
発光部をハイパワー、高光密度のレーザ光で励起すると、発光部が激しく劣化することを本発明の発明者は見出した。励起光としてLEDからの出射光を用いてもハイパワー、高光密度であれば同様の問題が生じると考えられる。発光部の劣化は、発光部に含まれる蛍光体そのものの劣化とともに、蛍光体を取り囲む物質(例えば、シリコーン樹脂)の劣化によって主に引き起こされる。上述のサイアロン蛍光体は、レーザ光が照射されると60〜80%の効率で光を発生させるが、残りは熱となって放出される。この熱によって蛍光体を取り囲む物質が劣化すると考えられる。
この問題を考慮して、ヘッドランプ1では、光ファイバー5の出射端部5aから出射されるレーザ光の少なくとも一部は、発光部7のレーザ光照射面7aにおける互いに異なる領域に対して照射される。換言すれば、複数の出射端部5aからのレーザ光は、レーザ光照射面7aに対して一箇所に集中することなく、2次元平面的に分散して、マイルドに照射される。
それゆえ、レーザ光が発光部7の一箇所に集中的に照射されることによって発光部7が著しく劣化する可能性を低減できる。このとき、発光部7から出射される光の光束を低下させずに発光部7の劣化を防止でき、ヘッドランプに要求される輝度を実現しつつ、長寿命のヘッドランプ1を実現できる。
さらに、発光部7が長寿命になることにより、発光部7を取り替えるための手間および費用を削減することができる。
また、水平方向に広い発光部7が、その長軸に沿って配列している複数の出射端部によって励起されるため、車両用ヘッドランプの配光パターンを実現できる。この配光パターンの設定は、発光部7の形状および複数の出射端部5aの配置によって行うことができるため、従来よりも容易に上記配光パターンを実現できる。
また、光ファイバー5は、可撓性を有しているため、出射端部5aのレーザ光照射面7aに対する配置を容易に変えることができる。それゆえ、レーザ光照射面7aの形状に沿って出射端部5aを配置することができ、レーザ光をレーザ光照射面7aの全面にわたってマイルドに照射することができる。
また、光ファイバー5は、可撓性を有しているため、半導体レーザ3と発光部7との相対位置関係を容易に変更できる。また、光ファイバー5の長さを調整することにより、半導体レーザ3を発光部7から離れた位置に設置することができる。
それゆえ、半導体レーザ3を、冷却しやすい位置または交換しやすい位置に設置できるなど、ヘッドランプ1の設計自由度を高めることができる。
また、発光部7のレーザ光照射面7aに対する複数の出射端部5aの配置様式を設定することにより、発光部7からの光によって照らされる領域の照度を、当該領域内において変化させることができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
半導体レーザ3は、1つのチップに1つの発光点を有するものであるが、ヘッドランプ1の励起光源として、1つのチップに複数の発光点を有するものを用いてもよい。
図7は、半導体レーザ30の構成を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ30は、1つのチップに5つの発光点31を有している。各発光点31は、波長405nmのレーザ光を発振し、その出力は1W、1チップから発振される光の総和は5Wである。発光点31は0.4mmの間隔で設けられている。
このような半導体レーザ30を用いる場合には、半導体レーザ30の発光点31が存在する面と対向する位置にロッド状レンズ32を配置する。このロッド状レンズ32は、発光点31から発振されるレーザ光を光ファイバー5の入射端部5bへ入射させる。発光点31のそれぞれに非球面レンズ4を設けてもよいが、ロッド状レンズ32を用いることにより半導体レーザの構成を簡単にすることができる。
光ファイバー固定具33は、複数の入射端部5bに発光点31からのレーザ光が入射するように入射端部5bを位置決めするものである。発光点31の間隔が0.4mmであるため、入射端部5bも0.4mmの間隔で光ファイバー固定具33によって固定される。そのために光ファイバー固定具33には、0.4mmピッチの溝が切られている。
光ファイバー5の出射端部5a側の構成は、実施の形態1と同様である。
このように半導体レーザ30を用いることにより、励起光源の構造を簡単にすることができ、励起光源の製造コストを下げることができる。
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施形態について図8〜図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1・2と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
ここでは、本発明の照明装置の一例としてのレーザダウンライト200について説明する。レーザダウンライト200は、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置であり、半導体レーザ3から出射したレーザ光を発光部7に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いるものである。
なお、レーザダウンライト200と同様の構成を有する照明装置を、構造物の側壁または床に設置してもよく、上記照明装置の設置場所は特に限定されない。
図8は、発光ユニット210および従来のLEDダウンライト300の外観を示す概略図である。図9は、レーザダウンライト200が設置された天井の断面図である。図10は、レーザダウンライト200の断面図である。図8〜図10に示すように、レーザダウンライト200は、天板400に埋設され、照明光を出射する発光ユニット210と、光ファイバー5を介して発光ユニット210へレーザ光を供給するLD光源ユニット220とを含んでいる。LD光源ユニット220は、天井には設置されておらず、ユーザが容易に触れることができる位置(例えば、家屋の側壁)に設置されている。このようにLD光源ユニット220の位置を自由に決定できるのは、LD光源ユニット220と発光ユニット210とが光ファイバー5によって接続されているからである。この光ファイバー5は、天板400と断熱材401との間の隙間に配置されている。
(発光ユニット210の構成)
発光ユニット210は、図10に示すように、筐体211、光ファイバー5、発光部7および透光板213を備えている。
筐体211には、凹部212が形成されており、この凹部212の底面に発光部7が配置されている。凹部212の表面には、金属薄膜が形成されており、凹部212は反射鏡として機能する。
また、筐体211には、光ファイバー5を通すための通路214が形成されており、この通路214を通って光ファイバー5が発光部7まで延びている。光ファイバー5の出射端部5aと発光部7との位置関係は上述したものと同様である。
透光板213は、凹部212の開口部をふさぐように配置された透明または半透明の板である。この透光板213は、透明板9と同様の機能を有するものであり、発光部7の蛍光は、透光板213を透して照明光として出射される。透光板213は、筐体211に対して取外し可能であってもよく、省略されてもよい。
図8では、発光ユニット210は、円形の外縁を有しているが、発光ユニット210の形状(より厳密には、筐体211の形状)は特に限定されない。
なお、ダウンライトでは、ヘッドランプの場合とは異なり、理想的な点光源は要求されず、発光点が1つというレベルで十分である。それゆえ、発光部7の形状、大きさおよび配置に関する制約は、ヘッドランプの場合よりも少ない。
(LD光源ユニット220の構成)
LD光源ユニット220は、半導体レーザ3、非球面レンズ4および光ファイバー5を備えている。
光ファイバー5の一方の端部である入射端部5bは、LD光源ユニット220に接続されており、半導体レーザ3から発振されたレーザ光は、非球面レンズ4を介して光ファイバー5の入射端部5bに入射される。
図10に示すLD光源ユニット220の内部には、半導体レーザ3および非球面レンズ4が一対のみ示されているが、発光ユニット210が複数存在する場合には、発光ユニット210からそれぞれ延びる光ファイバー5の束を1つのLD光源ユニット220に導いてもよい。この場合、1つのLD光源ユニット220に複数の半導体レーザ3と非球面レンズ4との対(または、複数の半導体レーザ3と1つのロッド状レンズ32との対)が収納されることになり、LD光源ユニット220は集中電源ボックスとして機能する。
(レーザダウンライト200の設置方法の変更例)
図11は、レーザダウンライト200の設置方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、レーザダウンライト200の設置方法の変形例として、天板400には光ファイバー5を通す小さな穴402だけを開け、薄型・軽量の特長を活かしてレーザダウンライト本体(発光ユニット210)を強力な粘着テープ等を使って天板400に貼り付けるということもできる。この場合、レーザダウンライト200の設置に係る制約が小さくなり、また工事費用が大幅に削減できるというメリットがある。
(レーザダウンライト200と従来のLEDダウンライト300との比較)
従来のLEDダウンライト300は、図8に示すように、複数の透光板301を備えており、各透光板301からそれぞれ照明光が出射される。すなわち、LEDダウンライト300において発光点は複数存在している。LEDダウンライト300において発光点が複数存在しているのは、個々の発光点から出射される光の光束が比較的小さいため、複数の発光点を設けなければ照明光として十分な光束の光が得られないためである。
これに対して、レーザダウンライト200は、高光束の照明装置であるため、発光点は1つでもよい。それゆえ、照明光による陰影がきれいに出るという効果が得られる。また、発光部7の蛍光体を高演色蛍光体(例えば、数種類の酸窒化物蛍光体の組み合わせ)にすることにより、照明光の演色性を高めることができる。
図12は、LEDダウンライト300が設置された天井の断面図である。同図に示すように、LEDダウンライト300では、LEDチップ、電源および冷却ユニットを収納した筐体302が天板400に埋設されている。筐体302は比較的大きなものであり、筐体302が配置されている部分の断熱材401には、筐体302の形状に沿った凹部が形成される。筐体302から電源ライン303が延びており、この電源ライン303はコンセント(不図示)につながっている。
このような構成では、次のような問題が生じる。まず、天板400と断熱材401との間に発熱源である光源(LEDチップ)および電源が存在しているため、LEDダウンライト300を使用することにより天井の温度が上がり、部屋の冷房効率が低下するという問題が生じる。
また、LEDダウンライト300では、光源ごとに電源および冷却ユニットが必要であり、トータルのコストが増大するという問題が生じる。
また、筐体302は比較的大きなものであるため、天板400と断熱材401との間の隙間にLEDダウンライト300を配置することが困難な場合が多いという問題が生じる。
これに対して、レーザダウンライト200では、発光ユニット210には、大きな発熱源は含まれていないため、部屋の冷房効率を低下させることはない。その結果、部屋の冷房コストの増大を避けることができる。
また、発光ユニット210ごとに電源および冷却ユニットを設ける必要がないため、レーザダウンライト200を小型および薄型にすることができる。その結果、レーザダウンライト200を設置するためのスペースの制約が小さくなり、既存の住宅への設置が容易になる。
また、レーザダウンライト200は、小型および薄型であるため、上述したように、発光ユニット210を天板400の表面に設置することができ、天板裏側のスペースもほとんど必要ないためにLEDダウンライト300よりも設置に係る制約を小さくすることができるとともに工事費用を大幅に削減できる。
図13は、レーザダウンライト200およびLEDダウンライト300のスペックを比較するための図である。同図に示すように、レーザダウンライト200は、その一例では、LEDダウンライト300に比べて体積は94%減少し、質量は86%減少する。
また、LD光源ユニット220をユーザの手が容易に届く所(高さ)に設置できるため、半導体レーザ3が故障した場合でも、手軽に半導体レーザ3を交換できる。また、複数の発光ユニット210から延びる光ファイバー5を1つのLD光源ユニット220に導くことにより、複数の半導体レーザ3を一括管理できる。そのため、複数の半導体レーザ3を交換する場合でも、その交換が容易にできる。
なお、LEDダウンライト300において、高演色蛍光体を用いたタイプの場合、消費電力10Wで約500lmの光束が出射できるが、同じ明るさの光をレーザダウンライト200で実現するためには、3.3Wの光出力が必要である。この光出力は、LD効率が35%であれば、消費電力10Wに相当し、LEDダウンライト300の消費電力も10Wであるため、消費電力では、両者の間に顕著な差は見られない。それゆえ、レーザダウンライト200では、LEDダウンライト300と同じ消費電力で、上述の種々のメリットが得られることになる。
以上のように、レーザダウンライト200は、レーザ光を出射する半導体レーザ2を少なくとも1つ備える光源ユニット220と、発光部7および反射鏡としての凹部212を備える少なくとも1つの発光ユニット210と、発光ユニット210のそれぞれへ上記レーザ光を導く光ファイバー5とを含んでいる。
光ファイバー5の複数の出射端部5bは、発光ユニット210が備える1つの発光部7に対して複数配置されており、複数配置された出射端部5bから出射されるレーザ光がそれぞれ有する光強度分布における最も光強度の大きい部分が、配置の対象となる発光部7の互いに異なる部分に対して照射される。
それゆえ、レーザダウンライト200において、レーザ光が発光部7の一箇所に集中的に照射されることによって発光部7が著しく劣化する可能性を低減できる。その結果、長寿命のレーザダウンライト200を実現できる。
(変更例)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、励起光源として高出力のLEDを用いてもよい。この場合には、450nmの波長の光(青色)を出射するLEDと、黄色の蛍光体、または緑色および赤色の蛍光体と
を組み合わせることにより白色光を出射する発光装置を実現できる。
また、励起光源として、半導体レーザ以外の固体レーザを用いてもよい。ただし、半導体レーザを用いる方が、励起光源を小型化できるため好ましい。
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、本願高輝度光源は、高出力の発振が可能な半導体レーザからなる励起光源と、水平方向に長い略矩形形状を有し、前記励起光源からの励起光により発光する発光部を有しており、略矩形形状の発光部を効率よく、ムラ無く(一部に偏らず)励起するための導光部材を有している。
前記導光部材は、一つまたは複数の励起光源に光学的に結合され、他端が複数の光出射端を有する導光部材であって、前記複数の光出射端が前記略矩形形状の発光部の一面(略矩形面)に対して、(密に)整列している。
本発明は、高輝度で長寿命な発光装置、特に車両用等のヘッドランプに適用することができる。
1 ヘッドランプ(発光装置、照明装置、車両用前照灯)
2 半導体レーザアレイ(励起光源)
3 半導体レーザ(励起光源)
5 光ファイバー(導光部)
5a 出射端部
5b 入射端部
6 フェルール(保持部)
7 発光部
7a レーザ光照射面(受光面)
8 反射鏡
30 半導体レーザ(励起光源)
200 レーザダウンライト(照明装置)

Claims (7)

  1. 励起光を出射する励起光源と、
    上記励起光源が出射した励起光を受け取る少なくとも1つの入射端部と当該入射端部から入射した励起光を出射する複数の出射端部とを有する導光部と
    上記励起光源からの励起光を受ける受光面を有し、上記複数の出射端部から出射された励起光を受けて発光する発光部と
    上記複数の出射端部を上記受光面に対して所定のパターンで保持する保持部と、を備え、
    上記複数の出射端部から出射される励起光がそれぞれ有する光強度分布における最も光強度の大きい部分が、上記発光部の互いに異なる部分に対して照射され
    上記受光面に対して配置された出射端部の密度は、上記受光面において偏っていることを特徴とする発光装置。
  2. 上記保持部の構造が、上記導光部の上記複数の出射端部を上記受光面に対して上記所定のパターンで位置決めする構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 上記受光面に対して配置された出射端部の密度は、上記受光面の他の部分と比較して中央部が高くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
  4. 上記受光面は、長軸を有しており、上記複数の出射端部の少なくとも一部は、上記長軸に沿って配列していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
  5. 上記導光部は、可撓性を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置と、
    上記発光部から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡と、を備えることを特徴とする照明装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置と、
    上記発光部から出射した光を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成する反射鏡と、を備えることを特徴とする車両用前照灯。
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