JP2012193283A - 発光体、発光装置、照明装置および前照灯 - Google Patents

発光体、発光装置、照明装置および前照灯 Download PDF

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Abstract

【課題】発光体の発光効率を向上させ、その作製を容易にする。
【解決手段】青色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する青色発光蛍光体56と、青色波長領域よりも長波長側の、黄色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する黄色発光蛍光体58とを含むか、または、青色発光蛍光体56と、青色波長領域よりも長波長側の、緑色波長領域および赤色波長領域のそれぞれにピーク波長を有する蛍光を発生する緑色発光蛍光体51および赤色発光蛍光体52とを含み、青色発光蛍光体56または緑色発光蛍光体51のいずれか少なくとも一方がナノ粒子蛍光体である。
【選択図】図2

Description

本発明は、照明光を照射することが可能な発光体、ならびに、該発光体を備えた発光装置、照明装置および前照灯に関する。
近年、励起光源として発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や半導体レーザ(LD;Laser Diode)等の半導体発光素子を用い、これらの励起光源から発生した励起光を、蛍光体を含む発光体に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いる発光装置の研究が盛んになってきている。
このような発光装置の一例として特許文献1に開示された半導体発光装置がある。この半導体発光装置では、蛍光体として、緑色光を発する緑色発光蛍光体(希土類賦活無機蛍光体)と、緑色光よりも長波長側の赤色光を発する赤色発光蛍光体(半導体微粒子蛍光体)とを使用している。また、この半導体発光装置では、赤色発光蛍光体の吸収スペクトルが極小値を示すときの波長と、緑色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長との差のうちの最小を25nm(ナノメートル)以下としている。
その他、特許文献2には、青色発光蛍光体の一例として波長400〜500nmの範囲に発光ピークを持ち水中に分散させた状態での発光効率が35%以上である半導体ナノ粒子蛍光体が開示されている。
また、特許文献3には、複数種類の蛍光体が、LEDチップから発する発光が、外部に放出される際の光路に沿って蛍光波長が長いものから短いものへと順になるよう配置されている発光デバイスが開示されている。
また、特許文献4には、蛍光体の一例として窒化物または酸窒化物蛍光体が開示されている。
特開2010−141033号公報(2010年06月24日公開) 特開2006−291175号公報(2006年10月26日公開) 特開2005−277127号公報(2005年10月06日公開) 特開2007−231245号公報(2007年09月13日公開)
ところで、上記特許文献1の半導体発光装置に使用されているような希土類賦活蛍光体からの蛍光の発光効率(外部量子効率)は、蛍光のピーク波長が、緑色から赤色波長領域にある蛍光体に比べて、より短波長側で発光する青色波長領域の蛍光体の方が低い傾向にある。このため、外部量子効率の観点のみを考慮した場合、必要な蛍光発光量を確保するために、ピーク波長が青色波長領域にある蛍光体の含有量は、ピーク波長が緑色から赤色波長領域にある蛍光体よりも多くなる。
さらに、通常の昼白色からそれ以上の高色温度までの照明光を得る場合には、赤色波長領域にピーク波長をもつ蛍光体の含有量よりも、緑色波長領域にピーク波長をもつ蛍光体の含有量の方が多くなるという一般的な傾向がある。すなわち、必要な蛍光発光量を確保するために、ピーク波長が短波長側にある蛍光体の含有量が、ピーク波長が長波長側にある蛍光体よりも多くなるという一般的な傾向がある。
一方、照明光の高い演色性を実現するためには、可視光領域の光のスペクトルは、できるだけスペクトルの谷間が少ない状態である方が好ましい。このため、演色性の観点を考慮すると、上記特許文献1の半導体発光装置のように照明光の一部として青色LEDの青色光を用いるよりも、青色LEDの青色光よりも発光スペクトルが広い青色光を発する青色発光蛍光体の蛍光を照明光の一部として用いる方が好ましい。なお、上記特許文献1の半導体発光装置では、発光体に青色発光蛍光体を含める観点については、何も開示されていない。
しかしながら、仮に発光体に青色発光蛍光体を含めた場合、青色波長領域(短波長側)の発光は視感度が低いこともあって、発光体の発光効率を高めるために、青色波長領域で発光する青色発光蛍光体の含有量を特に多くする必要がある。このため、青色波長領域よりも長波長側にピーク波長を有する蛍光体に対して、青色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する蛍光体の含有量は特に多くなる。
その結果、青色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体では、特に含有量の多い青色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する蛍光体から発生する蛍光の発光体の外部への放射を妨げてしまうという問題点がある。
例えば、上記特許文献1の半導体発光装置において、仮に発光体に含まれる蛍光体として、青色発光蛍光体を追加した場合、特に含有量の多い短波長側にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する緑色または赤色発光蛍光体から発生する蛍光の発光体の外部への放射を妨げてしまう。
また、青色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体では、特に含有量の多い青色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する蛍光体に対する励起光の照射を妨げてしまうという問題点もある。
例えば、上記特許文献1の半導体発光装置において、仮に発光体に含まれる蛍光体として、青色発光蛍光体を追加した場合、特に含有量の多い短波長側にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する緑色または赤色発光蛍光体に対する励起光の照射を妨げてしまう。
なお、上記二点の問題点は青色発光蛍光体のみが有する問題点ではなく、他の色を発光する蛍光体、例えば緑色発光蛍光体も有している問題点である。つまり緑色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体でも、緑色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する緑色発光蛍光体が、より長波長側で含有量の少ないピーク波長を有する蛍光体から発生する蛍光の発光体外部への放射を妨げたり、蛍光体に対する励起光の照射を妨げてしまうという問題点を有している。
一方、青色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体を用いて、色温度の低い電球色の照明光を実現する観点からは、上述した発光効率の観点のみを考慮した場合と比較して多少事情が異なってくる。例えば、発光体が青色、緑色および赤色発光蛍光体からなる場合、青色発光蛍光体の含有量が、緑色および赤色発光蛍光体の含有量よりも特に多くなる点は上述した発光効率の観点のみを考慮した場合と変わらないものの、色温度の低い電球色の照明光を実現する場合は、赤色発光蛍光体の含有量が緑色発光蛍光体の含有量よりも多くなる場合もあり得る点で事情が異なる。この場合には、むしろ含有量の多い長波長側の赤色発光蛍光体が、含有量の少ない短波長側の緑色発光蛍光体からの蛍光を妨げたり、緑色発光蛍光体への励起光の照射を妨げたりする場合も生じ得る。但し、この場合でも特に含有量の多い短波長側の青色発光蛍光体が、含有量の少ない長波長側の緑色または赤色発光蛍光体からの蛍光を妨げたり、緑色または赤色発光蛍光体への励起光の照射を妨げたりする点は変わらない。
また、上記の例の場合においても含有量の少ない短波長側の緑色発光蛍光体が含有量の多い長波長側の赤色発光蛍光体からの蛍光を妨げたり、赤色発光蛍光体への励起光の照射を妨げたりする場合も生じ得る。
なお、上記特許文献2〜4のいずれにも、含有量の多い蛍光体が、含有量の少ない蛍光体から発生する蛍光の発光体の外部への放射を妨げてしまうという上述した問題点については一切記載されていない。また、上記特許文献2〜4のいずれにも、含有量の多い蛍光体が、含有量の少ない蛍光体に対する励起光の照射を妨げてしまうという上述した問題点についても一切記載されていない。
さらに、上記特許文献1に記載の半導体発光装置では、最も長波長側にピーク波長を有する赤色発光蛍光体を半導体微粒子蛍光体としているが、発光体の演色性および発光効率を高めるために赤色発光蛍光体の吸収スペクトルが極小値を示すときの波長と、緑色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長との差のうちの最小を25nm以下としているため、作製が容易でないという問題点もある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、発光体の発光効率を向上させることができ、その作製を容易にすることができる発光体などを提供することにある。
本発明の発光体は、上記の課題を解決するために、第1色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第1の蛍光体と、上記第1色波長領域よりも長波長側の第2色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第2の蛍光体と、を少なくとも含む発光体であって、少なくとも上記第1の蛍光体は、ナノ粒子蛍光体であることを特徴とする。
上記の構成では、少なくとも第1の蛍光体は、ナノ粒子蛍光体である〔平均粒子径(以下、単に「粒径」と呼ぶ)のオーダが、可視光の波長領域の光の波長よりも2桁程度小さい〕。よって、可視光の波長領域およびその近傍の光に対して透光性(または透明性)を有する。このため、第1の蛍光体がナノ粒子蛍光体でない場合と比較して、第2の蛍光体からの発光体の外部への蛍光の発光効率(外部量子効率)が高くなる。
また、第1の蛍光体がナノ粒子蛍光体でない場合と比較して、第2の蛍光体に対する励起光の照射効率が高くなる。
また、上記特許文献1の技術では、赤色発光蛍光体の吸収スペクトルが極小値を示すときの波長と、緑色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長との差のうちの最小を25nm以下としているため、作製が容易でない。しかしながら、上記の本発明の発光体は、第1の蛍光体をナノ粒子蛍光体とするだけで良いので、作製が容易である。
以上より、発光体の発光効率を向上させることができ、その作製を容易にすることができる。
なお、「発光効率」は、発光材料の特性を表し、本願では内部量子効率を用いる。より具体的には、蛍光体に吸収された励起光の光子数に対する蛍光発光の光子数の割合である。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、上記第1の蛍光体は、青色光を発生する青色発光ナノ粒子蛍光体であることが好ましい。
ここで、以下、簡単のため、青色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を、青色発光蛍光体と呼ぶ。また、黄色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を黄色発光蛍光体と呼ぶ。また、緑色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を緑色発光蛍光体と呼ぶ。さらに、赤色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を赤色発光蛍光体と呼ぶ。
次に、一般に、照明光として用いられる白色(または擬似白色)光は、等色の原理を満たす3つの色の混色、または補色の関係を満たす2つの色の混色などで実現できる。この等色または補色の原理・関係に基づき、例えば、発光体に含まれる複数の蛍光体のそれぞれが発する蛍光の色の混色で白色(または擬似白色)光を実現できる。
例えば、青色発光蛍光体と黄色発光蛍光体とを組合せることで、(擬似)白色光を実現できる。なお、このとき、青色波長領域が第1色波長領域であり、黄色波長領域が第2色波長領域となる。
また、青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および赤色発光蛍光体を組合せることでも、白色光を実現できる。なお、このとき、青色波長領域が第1色波長領域、緑色波長領域が第2色波長領域、赤色波長領域が第3色波長領域となる。
次に、一般に、青色発光蛍光体(例えば、希土類賦活蛍光体)は、長波長側にピーク波長を有するその他の蛍光体と比較して発光効率がかなり低い。例えば、青色発光蛍光体からの蛍光の発光効率(外部量子効率)は、それよりも長波長側にピーク波長を有する黄色(または、緑色および赤色)発光蛍光体と比較してかなり低下する。また、青色波長領域の発光は視感度が低いということもあって、発光体からの照明光を発光効率の高い白色光にするためには青色発光蛍光体の含有量を特に多くする必要がある。しかしながら、希土類賦活蛍光体を含む通常の(ナノ粒子でない)蛍光体は、可視光の波長領域およびその近傍の光に対して不透明である。よって、青色発光蛍光体の含有量を特に多くすると、上記の理由により、黄色(または、緑色および赤色)発光蛍光体に対する励起光の照射効率や、これらの蛍光体からの蛍光の発光効率が著しく低下してしまうという副次的な問題点がある。
しかしながら、上記の構成のように、第1の蛍光体を青色発光ナノ粒子蛍光体とすることにより、第1の蛍光体の含有量を特に多くしても、第1の蛍光体は、可視光の波長領域またはその近傍の波長を有する光に対して透光性を有するため、上記の副次的な問題点を解決できる。
一方、青色に発光するLEDやLDの青色光の発光スペクトルの半値全幅(半値幅)は狭いため、LEDやLDの青色光を照明光の一部として用いる発光装置では、照明光の演色性が低いという副次的な問題点もある。特にLDを用いた場合は顕著である。
しかしながら、一般に、青色発光ナノ粒子蛍光体の発光スペクトルの半値幅は、LEDやLDの青色光の発光スペクトルよりも広い。よって、上記の構成のように、第1の蛍光体を青色発光ナノ粒子蛍光体とすることにより、発光体からの照明光の演色性を向上させることも可能である。
なお、「青色光」は、例えば、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、上記第2の蛍光体は、黄色光を発生する黄色発光蛍光体であっても良い。
発光体に対して、近紫外または青紫色の(350nm以上420nm未満の発振波長を有する)励起光(近紫外光または青紫色光)を照射することにより、発光体から発生する照明光が発光効率の良い(擬似)白色光となる。
なお、「黄色光」は、例えば、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、上記第2の蛍光体は、緑色光を発生する緑色発光蛍光体であり、さらに、第3の蛍光体として、赤色光を発する赤色発光蛍光体を含んでいても良い。
発光体に対して、近紫外または青紫色の励起光を照射することにより、発光体から発生する照明光が、発光効率が良く、かつ、演色性の良い白色光となる。また、これらの蛍光体を上記青色発光ナノ粒子蛍光体と組合せることにより、上記青色領域の励起光と黄色発光蛍光体との組合せよりも演色性が良く、かつ、発光体の発光効率の低下も抑制される。
なお、「緑色光」は、例えば、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。また、「赤色光」は、例えば、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、上記緑色発光蛍光体は、酸窒化物蛍光体であることが好ましい。
上記の構成によれば、酸窒化物蛍光体は耐熱性に優れ、高い発光効率で安定した材料であるので、耐熱性に優れ、高い発光効率で安定した発光体を実現できる。酸窒化物蛍光体の例としては、サイアロン蛍光体を挙示することができる。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、上記赤色発光蛍光体は、窒化物蛍光体であることが好ましい。
窒化物蛍光体、特にCaAlSiN蛍光体(CASN)、SrCaAlSiN蛍光体(SCASN)は、上述した酸窒化物蛍光体と組合せることにより、演色性をより高めることができる。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、上記青色発光ナノ粒子蛍光体は、Si、CdSe、InP、InN、InGaN、ならびに、InNおよびGaNからなる混晶、のいずれかからなる半導体ナノ粒子を少なくとも1種以上含んでいることが好ましい。
例えば、Siからなる半導体ナノ粒子(以下、Siナノ粒子という)は、粒径が1.9nm程度で青紫色〜青色(ピーク波長は420nm付近)の蛍光を発する。また、粒径が2.5nm前後で緑色(ピーク波長は500nm付近)の蛍光を発する。さらに、粒径が3.3nm程度で赤色(ピーク波長は720nm付近)の蛍光を発する。
CdSeナノ粒子は、発光効率が最も高く、内部量子効率は50%以上である。
InPナノ粒子は、内部量子効率は20%程度であり、InPナノ粒子による青色光は、2nm以下という非常に小さい粒径で実現される。
InNナノ粒子は、反応性の高いPに変えてNを使うもので、高い信頼性が期待される。また、粒径を2.5nm以上3.0nm以下とすることで青色に発光する。
InGaNナノ粒子は、GaとNとの混晶比を変えることで、粒径が3.0nm前後にて青色発光を実現できるため、ナノ粒子蛍光体の作製が最も容易である。
なお、InNとGaNとの混晶を用いることも可能である。この場合も数nmの粒径で青色発光させることができる。
また、本発明の発光体は、上記の構成に加えて、可視光の波長領域およびその近傍の光に対して透光性を有し、上記第1の蛍光体および上記第2の蛍光体を少なくとも封止する封止材よりも屈折率が高く、粒径が1μm以上50μm以下である透明微粒子を含んでいることが好ましい。
発光体を励起するための励起光としてレーザ光を用いた場合、レーザ光が発光体を素通りして外部に放射されることを抑制し、さらに発光体の発光面積(発光点のサイズ)も大きくすることができる。これにより、発光体から発生する照明光の安全性を高めることができる。
また、本発明の発光装置は、上記の構成に加えて、上記のいずれかの発光体を備えた発光装置であって、近紫外光または青紫光を上記発光体に照射する励起光源を備えていることが好ましい。
これにより、高効率および/または高い演色性を有する照明光を照射することが可能な発光装置を実現できる。
なお、「近紫外光または青紫光」は、例えば、350nm以上420nm未満の発振波長を有する励起光である。
また、上記発光装置を備える照明装置およびも前照灯も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の発光体は、以上のように、第1色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第1の蛍光体と、上記第1色波長領域よりも長波長側の第2色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第2の蛍光体と、を少なくとも含む発光体であって、少なくとも上記第1の蛍光体は、ナノ粒子蛍光体である構成である。
それゆえ、発光体の発光効率を向上させることができ、その作製を容易にすることができるとの作用効果を奏する。
本発明の一実施形態であるヘッドランプの概略構成を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態である発光体の組成の一例を模式的に示す図であり、(b)は、上記発光体の組成の他の一例を模式的に示す図である。 照明光の色度範囲を示すグラフである。 ナノ粒子蛍光体の粒径と、その蛍光のエネルギーレベル(eV;エレクトロンボルト)との関係を示す図である。 (a)は、上記ヘッドランプに関し、励起光源の一例(LED)の回路図であり、(b)は、上記LEDの外観を示す正面図であり、(c)は、上記励起光源の他の一例(LD)の回路図であり、(d)は、上記LDの外観を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態であるヘッドランプの概略構成を示す断面図である。 上記他の実施形態であるヘッドランプが備える光ファイバーの端部と発光体との位置関係を示す図である。 本発明のさらに他の実施形態であるレーザダウンライトが備える発光ユニットおよび従来のLEDダウンライトの外観を示す概略図である。 上記レーザダウンライトが設置された天井の断面図である。 上記レーザダウンライトの断面図である。 上記レーザダウンライトの設置方法の変更例を示す断面図である。 上記LEDダウンライトが設置された天井の断面図である。 上記レーザダウンライトおよび上記LEDダウンライトのスペックを比較するための図である。
本発明の一実施形態について図1〜図13に基づいて説明すれば、次の通りである。以下の特定の項目で説明する構成以外の構成については、必要に応じて説明を省略する場合があるが、他の項目で説明されている場合は、その構成と同じである。また、説明の便宜上、各項目に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
〔本発明の技術的思想〕
ナノ粒子蛍光体でない通常の粒径(平均粒子径が1μmから数10μm程度)を有する蛍光体からの蛍光の発光効率(外部量子効率)は、蛍光のピーク波長が、緑色から赤色波長領域にある蛍光体に比べて、より短波長側で発光する青色波長領域の蛍光体の方が低い傾向にある。このため、外部量子効率の観点のみを考慮した場合、必要な蛍光発光量を確保するために、ピーク波長が青色波長領域にある蛍光体の含有量は、ピーク波長が緑色から赤色波長領域にある蛍光体よりも多くなる。
さらに、通常の昼白色からそれ以上の高色温度までの照明光を得る場合には、赤色波長領域にピーク波長をもつ蛍光体の含有量よりも、緑色波長領域にピーク波長をもつ蛍光体の含有量の方が多くなるという一般的な傾向がある。すなわち、必要な蛍光発光量を確保するために、ピーク波長が短波長側にある蛍光体の含有量が、ピーク波長が長波長側にある蛍光体よりも多くなるという一般的な傾向がある。
一方、照明光の高い演色性を実現するためには、可視光領域の光のスペクトルは、できるだけスペクトルの谷間が少ない状態である方が好ましい。このため、演色性の観点を考慮すると、上記特許文献1の半導体発光装置のように照明光の一部として青色LEDの青色光を用いるよりも、青色LEDの青色光よりも発光スペクトルが広い青色光を発する青色発光蛍光体の蛍光を照明光の一部として用いる方が好ましい。なお、上記特許文献1の半導体発光装置では、発光体に青色発光蛍光体を含める観点については、何も開示されていない。
しかしながら、仮に発光体に青色発光蛍光体を含めた場合、青色波長領域(短波長側)の発光は視感度が低いこともあって、発光体の発光効率を高めるために、青色波長領域で発光する青色発光蛍光体の含有量を特に多くする必要がある。このため、青色波長領域よりも長波長側にピーク波長を有する蛍光体に対して、青色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する蛍光体の含有量は特に多くなる。
その結果、青色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体では、特に含有量の多い青色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する蛍光体から発生する蛍光の発光体の外部への放射を妨げてしまうという問題点がある。
例えば、上記特許文献1の半導体発光装置において、仮に発光体に含まれる蛍光体として、青色発光蛍光体を追加した場合、特に含有量の多い短波長側にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する緑色または赤色発光蛍光体から発生する蛍光の発光体の外部への放射を妨げてしまう。
また、青色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体では、特に含有量の多い青色波長領域(短波長側)にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する蛍光体に対する励起光の照射を妨げてしまうという問題点もある。
例えば、上記特許文献1の半導体発光装置において、仮に発光体に含まれる蛍光体として、青色発光蛍光体を追加した場合、特に含有量の多い短波長側にピーク波長を有する青色発光蛍光体が、より長波長側にピーク波長を有する緑色または赤色発光蛍光体に対する励起光の照射を妨げてしまう。
一方、青色発光蛍光体を含む複数種類の蛍光体からなる発光体を用いて、色温度の低い電球色の照明光を実現する観点からは、上述した発光効率の観点のみを考慮した場合と比較して多少事情が異なってくる。例えば、発光体が青色、緑色および赤色発光蛍光体からなる場合、青色発光蛍光体の含有量が、緑色および赤色発光蛍光体の含有量よりも特に多くなる点は上述した発光効率の観点のみを考慮した場合と変わらないものの、色温度の低い電球色の照明光を実現する場合は、赤色発光蛍光体の含有量が緑色発光蛍光体の含有量よりも多くなる場合もあり得る点で事情が異なる。この場合には、むしろ含有量の多い長波長側の赤色発光蛍光体が、含有量の少ない短波長側の緑色発光蛍光体からの蛍光を妨げたり、緑色発光蛍光体への励起光の照射を妨げたりする場合も生じ得る。但し、この場合でも特に含有量の多い短波長側の青色発光蛍光体が、含有量の少ない長波長側の緑色または赤色発光蛍光体からの蛍光を妨げたり、緑色または赤色発光蛍光体への励起光の照射を妨げたりする点は変わらない。
また、上記の例の場合においても含有量の少ない短波長側の緑色発光蛍光体が含有量の多い長波長側の赤色発光蛍光体からの蛍光を妨げたり、赤色発光蛍光体への励起光の照射を妨げたりする場合も生じ得る。
さらに、上記特許文献1に記載の半導体発光装置では、最も長波長側にピーク波長を有する赤色発光蛍光体を半導体微粒子蛍光体としているが、発光体の演色性および発光効率を高めるために赤色発光蛍光体の吸収スペクトルが極小値を示すときの波長と、緑色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長との差のうちの最小を25nm以下としているため、作製が容易でないという問題点もある。
本発明の発明者は、このような状況に鑑み、次のような発光体の開発を進めた。つまり、その発光体は、第1色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第1の蛍光体と、第1色波長領域よりも長波長側の第2色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第2の蛍光体と、を少なくとも含む発光体である。そして、少なくとも上記第1の蛍光体を、ナノ粒子蛍光体とする。
本発明の発明者は、このような構成により、発光体の発光効率を向上させることができ、その作製を容易にすることができると考えた。
本発明の発光体は、このような技術的思想に基づいてなされたものである。ここでは、上記発光体を備えた発光装置として、自動車用の走行用前照灯(ハイビーム)の配光特性基準を満たすヘッドランプ(発光装置,照明装置,前照灯)1を例に挙げて説明する。但し、上記発光体を備えた発光装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、サーチライトなどその他の発光装置として実現されてもよい。
〔ヘッドランプ1の構成〕
まず、本実施形態のヘッドランプ1の構成について図1〜図5を用いて説明する。まず、図1は、ヘッドランプ1の概略構成を示す図である。同図に示すように、ヘッドランプ1は、半導体レーザ2(励起光源)、非球面レンズ3、導光部4、発光体5、反射鏡6および透過フィルタ7を備えている。
(半導体レーザ2)
半導体レーザ2は、励起光を発生する励起光源として機能するものである。この半導体レーザ2は1つでもよいし、複数設けられてもよい。また、半導体レーザ2として、1つのチップに1つの発光点を有するもの(1チップ1ストライプ)を用いてもよいし、複数の発光点を有するもの(1チップ複数ストライプ)を用いてもよい。本実施形態では、1チップ1ストライプの半導体レーザ2を用いている。
半導体レーザ2は、例えば、405nm(青紫色)のレーザ光を発振し、光出力が1.0W、動作電圧が5V、電流が0.7Aのものであり、直径5.6mmのパッケージ(ステム)に封入されているものである。また、本実施形態では、半導体レーザ2を10個用いており、光出力の合計は10Wである。なお、図1には便宜上、半導体レーザ2を1つのみ図示している。
半導体レーザ2が発振するレーザ光の波長は、405nmに限定されず、近紫外領域から青色領域(350nm以上460nm以下)、より好ましくは、近紫外領域から青紫色領域(350nm以上420nm以下)の波長範囲にピーク波長(発光ピークの波長)を有するものであればよい。
また、後述する酸窒化物系または窒化物系の蛍光体を発光体5の蛍光体として用いた場合、半導体レーザ2の光出力は、1W以上20W以下であり、発光体5に照射されるレーザ光の光密度は、0.1W/mm以上50W/mm以下であることが好ましい。この範囲の光出力であれば、車両用のヘッドランプに要求される光束および輝度を実現できるとともに、高出力のレーザ光によって発光体5が極度に劣化することを防止できる。すなわち、高光束かつ高輝度でありながら、長寿命の光源を実現できる。
ただし、後述の青色発光ナノ粒子蛍光体を発光体5の蛍光体として用いた場合には、発光体5に照射されるレーザ光の光密度は、50W/mmよりも大きくてもよい。
(励起光源の具体例について)
次に、図5(a)〜図5(d)に基づき、励起光源の具体例について説明する。
図5(a)は、励起光源の一例であるLEDランプ(励起光源)21の回路図であり、図5(b)は、LEDランプ21の外観を示す正面図である。
図5(b)に示すように、LEDランプ21は、アノード14とカソード15に接続されたLEDチップ(励起光源)210が、エポキシ樹脂キャップ16によって封じこめられた構成である。
図5(a)に示すように、LEDチップ210は、p型半導体131とn型半導体132とをpn接合し、p型電極133にアノード14が接続され、n型電極134にカソード15が接続される。なお、半導体レーザ2は、抵抗Rを介して電源Eと接続されている。
また、アノード14とカソード15とを電源Eに接続することにより、回路が構成され、電源EからLEDチップ210に電力が供給されることによってpn接合附近からインコヒーレントな励起光を発生する。
LEDチップ210の材料としては、発光色が赤色となるGaP、AlGaAs、GaAsPなど、発光色が橙色となるGaAsP、発色光が黄色となるGaAsP、GaP、発光色が緑となるGaP、発光色が青色となるSiC、GaNなどの化合物半導体が例示できる。
なお、LEDチップ210は、約2V〜4V程度の低電圧で動作し、小型軽量で、応答速度が速い、長寿命で、低コストといった特徴がある。
次に、上述した半導体レーザ2の基本構造について説明する。図5(c)は、半導体レーザ2の回路図を模式的に示したものであり、図5(d)は、半導体レーザ2の基本構造を示す斜視図である。同図に示すように、半導体レーザ2は、カソード電極19、基板18、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極17がこの順に積層された構成である。
基板18は、半導体基板であり、本願のように蛍光体を励起する為の青色波長領域〜紫外波長領域の励起光を得る為にはGaN、サファイア、SiCを用いることが好ましい。一般的には、半導体レーザ用の基板の他の例として、Si、GeおよびSiC等のIV属半導体、GaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体、ZnO、Al、SiO、TiO、CrOおよびCeO等の酸化物絶縁体、ならびに、SiNなどの窒化物絶縁体のいずれかの材料が用いられる。
アノード電極17は、クラッド層112を介して活性層111に電流を注入するためのものである。
カソード電極19は、基板18の下部から、クラッド層113を介して活性層111に電流を注入するためのものである。なお、電流の注入は、アノード電極17・カソード電極19に順方向バイアスをかけて行う。
活性層111は、クラッド層113およびクラッド層112で挟まれた構造になっている。
また、活性層111、ならびに、クラッド層112および113の材料としては、青色波長領域〜紫外波長領域の励起光を得る為にはAlInGaNから成る混晶半導体が用いられる。一般に半導体レーザの活性層・クラッド層としては、Al、Ga、In、As、P、N、Sbを主たる組成とする混晶半導体が用いられ、そのような構成としても良い。また、Zn、Mg、S、Se、TeおよびZnO等のII−VI属化合物半導体によって構成されていてもよい。
また、活性層111は、注入された電流により発光が生じる領域であり、クラッド層112およびクラッド層113との屈折率差により、発光した光が活性層111内に閉じ込められる。
さらに、活性層111には、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるために互いに対向して設けられる表側へき開面114・裏側へき開面115が形成されており、この表側へき開面114・裏側へき開面115が鏡の役割を果す。
ただし、完全に光を反射する鏡とは異なり、誘導放出によって増幅される光の一部は、活性層111の表側へき開面114・裏側へき開面115(本実施の形態では、便宜上表側へき開面114とする)から出射され、励起光L0となる。なお、活性層111は、多層量子井戸構造を形成していてもよい。
なお、表側へき開面114と対向する裏側へき開面115には、レーザ発振のための反射膜(図示せず)が形成されており、表側へき開面114と裏側へき開面115との反射率に差を設けることで、低反射率端面である、例えば、表側へき開面114より励起光L0の大部分を発光点103から照射されるようにすることができる。
クラッド層113・クラッド層112は、n型およびp型それぞれのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、およびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ならびに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよく、順方向バイアスをアノード電極17およびカソード電極19に印加することで活性層111に電流を注入できるようになっている。
クラッド層113・クラッド層112および活性層111などの各半導体層の膜形成については、MOCVD(有機金属化学気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法、CVD(化学気相成長)法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。各金属層の膜形成については、真空蒸着法やメッキ法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。
(非球面レンズ3)
次に、非球面レンズ3は、各半導体レーザ2から発振されたレーザ光を、導光部4の一方の端部である光入射面4aに入射させるためのレンズである。例えば、非球面レンズ3として、アルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ3の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の透過率が高く、かつ、耐熱性のよい材料であることが好ましい。
なお、非球面レンズ3は、半導体レーザ2から発振されたレーザ光を収束させ、比較的小さな(例えば、直径1mm以下)光入射面に導くためのものである。そのため、導光部4の光入射面4aが、レーザ光を収束させる必要のない程度に大きい場合には、非球面レンズ3を設ける必要はない。
(導光部4)
次に、導光部4は、半導体レーザ2が発振したレーザ光を集光して発光体5(発光体5のレーザ光照射面)へと導く円錐台状の導光部材であり、非球面レンズ3を介して(または、直接的に)半導体レーザ2と光学的に結合している。導光部4は、半導体レーザ2が出射したレーザ光を受光する光入射面4a(入射端部)と当該光入射面4aにおいて受光したレーザ光を発光体5へ出射する光出射面4b(出射端部)とを有している。
光出射面4bの面積は、光入射面4aの面積よりも小さい。そのため、光入射面4aから入射した各レーザ光は、導光部4の側面に反射しつつ前進することにより収束されて光出射面4bから出射される。
導光部4は、BK7(ボロシリケートクラウンガラス)、石英ガラス、アクリル樹脂その他の透明素材で構成する。また、光入射面4aおよび光出射面4bは、平面形状であっても曲面形状であってもよい。
なお、導光部4は、角錐台状であってもよく、光ファイバーであってもよく、半導体レーザ2からのレーザ光を発光体5に導くものであればよい。また、導光部4を設けずに、半導体レーザ2からのレーザ光を、非球面レンズ3を介して、または、直接に発光体5に照射してもよい。半導体レーザ2と発光体5との間の距離が短い場合には、このような構成が可能になる。
(発光体5の組成)
次に、本実施形態の発光体5の組成の要点について説明する。
本実施形態の発光体5の組成では、第1色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第1の蛍光体と、上記第1色波長領域よりも長波長側の第2色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第2の蛍光体と、を少なくとも含むように構成し、少なくとも上記第1の蛍光体を、ナノ粒子蛍光体とする。
また、上記の組成に対して、さらに、上記第2色波長領域よりも長波長側の第3色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第3の蛍光体を含む構成としても良い。
上記の構成では、発光体5に含まれる少なくとも第1の蛍光体は、ナノ粒子蛍光体である〔平均粒子径(以下、単に「粒径」と呼ぶ)のオーダが、可視光の波長領域の光の波長よりも2桁程度小さい〕。よって、可視光の波長領域およびその近傍の光に対して透光性(または透明性)を有する。このため、第1の蛍光体がナノ粒子蛍光体でない場合と比較して、第2の蛍光体(または第3の蛍光体)からの発光体5の外部への蛍光の発光効率が高くなる。
また、発光体5に含まれる第1の蛍光体がナノ粒子蛍光体でない場合と比較して、第2の蛍光体(または第3の蛍光体)に対する励起光の照射効率が高くなる。
また、上記特許文献1の技術では、赤色発光蛍光体の吸収スペクトルが極小値を示すときの波長と、緑色発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長との差のうちの最小を25nm以下としているため、作製が容易でない。しかしながら、上記の発光体5の組成では、第1の蛍光体をナノ粒子蛍光体とするだけで良いので、作製が容易である。
以上より、発光体5の発光効率を向上させることができ、その作製を容易にすることができる。
なお、各蛍光体を封止する封止材は、低融点の無機ガラスであることが好ましいが、極端に高出力・高光密度での励起光を用いないのであれば、シリコーン樹脂などの樹脂や、有機ハイブリッドガラスであっても良い。なお、発光体5は、各蛍光体のみを押し固めたものであってもよいが、各蛍光体が封止材の中に分散されたものであることが好ましい。各蛍光体のみを押し固めた場合には、レーザ光が照射されることにより生じる発光体5の劣化が促進される可能性があるからである。
ここで、以下、簡単のため、青色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を、青色発光蛍光体と呼ぶ。また、黄色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を黄色発光蛍光体と呼ぶ。また、緑色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を緑色発光蛍光体と呼ぶ。さらに、赤色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体を赤色発光蛍光体と呼ぶ。
また、「青色光」は、例えば、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。「黄色光」は、例えば、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。「緑色光」は、例えば、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。「赤色光」は、例えば、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する蛍光である。
次に、図2〜4に基づき、発光体5の組成の具体例について説明する。まず、図2(a)は、本実施形態の発光体5の組成の一例を模式的に示す図である。また、図2(b)は、本実施形態の発光体5の組成の他の一例を模式的に示す図である。なお、これらの図は、発光体5の各構成要素の形状およびサイズを実際に即して描画したものではなく、単に発光体5の組成を模式的に示した図に過ぎない。
一般に、照明光として用いられる白色(または擬似白色)光は、等色の原理を満たす3つの色の混色、または補色の関係を満たす2つの色の混色などで実現できる。この等色または補色の原理・関係に基づき、例えば、発光体5に含まれる複数の蛍光体のそれぞれが発する蛍光の色の混色で白色(または擬似白色)光を実現できる。
例えば、図2(a)に示す例では、発光体5は、緑色発光蛍光体(第2の蛍光体)51、赤色発光蛍光体(第3の蛍光体)52、青色発光蛍光体(第1の蛍光体,ナノ粒子蛍光体)56、および、透明微粒子59が、封止材の中に分散されたものとなっている。なお、封止材は、これらの蛍光体および透明微粒子59の隙間に存在している。
これにより、発光体5は、青色発光蛍光体56、緑色発光蛍光体51および赤色発光蛍光体52の組合せを含んでいるため、白色光を実現できる。
具体的には、発光体5に対して、上記近紫外領域から青紫色領域の励起光を照射することにより、発光体5から発生する照明光が、発光効率が良く、かつ、演色性の良い白色光となる。また、以下の図2(b)の形態よりも演色性が良く、かつ、発光体5の発光効率の低下も抑制される。
なお、青色波長領域を第1色波長領域とみるときは、緑色波長領域または赤色波長領域を、上述した第2色波長領域とみる。すなわち、青色発光蛍光体56を第1の蛍光体とみる場合、緑色発光蛍光体51または赤色発光蛍光体52のいずれかを第2の蛍光体とみれば良い。
一方、緑色波長領域を第1色波長領域とみるときは、赤色波長領域を、上述した第2色波長領域とみれば良い。すなわち、緑色発光蛍光体51を第1の蛍光体とみる場合、赤色発光蛍光体52を第2の蛍光体とみても良い。但し、このときは、緑色発光蛍光体51をナノ粒子蛍光体とする。
さらに、青色波長領域を第1色波長領域とみて、かつ、緑色波長領域を第2色波長領域とみるときは、赤色波長領域が、上述した第3色波長領域であるとみても良い。この場合は、赤色発光蛍光体52を第3の蛍光体とみる。
また、第2の蛍光体および第3の蛍光体は、それぞれ、緑色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体、および、赤色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する蛍光体であれば良いので、第2の蛍光体および/または第3の蛍光体をナノ粒子蛍光体としても良い。
言い換えれば、発光体5の組成では、他の蛍光体よりも低波長側にピーク波長を有する蛍光を発生する少なくとも1種類の蛍光体がナノ粒子蛍光体であれば良い。
次に、図2(b)に示す例では、発光体5は、青色発光蛍光体56、黄色発光蛍光体(第2の蛍光体)58および、透明微粒子59が、封止材の中に分散されたものとなっている。なお、封止材については、上述したとおりである。
これにより、発光体5は、青色発光蛍光体56、黄色発光蛍光体58の組合せを含んでいるため、(擬似)白色光を実現できる。
具体的には、発光体5に対して、近紫外から青紫色の(350nm以上420nm未満の発振波長を有する)励起光を照射することにより、発光体5から発生する照明光が発光効率の良い(擬似)白色光となる。
次に、緑色発光蛍光体51、赤色発光蛍光体52および黄色発光蛍光体58の具体例について説明する。
(緑色発光蛍光体)
緑色発光蛍光体51の具体例としては、各種の窒化物系または酸窒化物系の蛍光体が挙げられる。特に、酸窒化物系の蛍光体は耐熱性に優れ、高い発光効率で安定した材料であるので、耐熱性に優れ、高い発光効率で安定した発光体5を実現できる。
例えば、緑色に発光する酸窒化物系蛍光体として、Eu2+がドープされたβ−SiAlON:Eu蛍光体、Ce3+がドープされたCaα−SiAlON:Ce蛍光体などが挙げられる。β−SiAlON:Eu蛍光体は、近紫外から青色の励起光によりピーク波長が約540nmの強い発光を示す。この蛍光体の発光スペクトル半値幅は約55nmである。また、Caα−SiAlON:Ce蛍光体は、近紫外から青色の励起光によりピーク波長が約510nmの強い発光を示す。
なお、上記のα−SiAlONおよびβ−SiAlON(サイアロン)は、いわゆるサイアロン蛍光体(酸窒化物系蛍光体)であり、窒化ケイ素と同様に、結晶構造によりα型とβ型とがある。特に、α−サイアロンは,一般式Si12−(m+n)Al(m+n)16−n(m+n<12,0<m ,n<11;m ,nは整数)であらわされる28原子からなる単位構造の中に2箇所の空隙があり、ここに各種金属を侵入固溶させることが可能である。希土類元素を固溶させることで蛍光体になる。カルシウム(Ca)とユーロピウム(Eu)とを固溶させると、後述するYAG:Ce蛍光体よりも長波長の黄色から橙色の範囲で発光する特性の良い蛍光体が得られる。
また、サイアロン蛍光体は、近紫外から青色の(350nm以上460nm以下)の光で励起可能であり、白色LED用の蛍光体などに適している。
(赤色発光蛍光体)
赤色発光蛍光体52の具体例としては、各種の窒化物系の蛍光体が挙げられる。
例えば、窒化物系の蛍光体としては、Eu2+がドープされたCaAlSiN:蛍光体(CASN:Eu蛍光体)、Eu2+がドープされたSrCaAlSiN蛍光体(SCASN:Eu蛍光体)などが挙げられる。これらの窒化物系の蛍光体は、上述した酸窒化物蛍光体と組合せることにより、演色性をより高めることができる。
CASN:Eu蛍光体は、励起波長が350nm〜450nmのとき、赤色の蛍光を発し、そのピーク波長は650nmであり、その発光効率は73%である。また、SCASN:Eu蛍光体は、励起波長が350nm〜450nmのとき、赤色の蛍光を発し、そのピーク波長は630nmであり、その発光効率は70%である。
これらの赤色発光蛍光体を用いることにより、演色性が非常に良い白色光を実現することができる。また、赤色発光蛍光体であれば、その白色光を照射する対象物が赤色である場合に、その対象物の視認性を高めることができる。交通標識の背景色として、赤色、黄色および青色が用いられているため、ヘッドランプ1が備える発光体5に赤色発光蛍光体を用いることは、背景色が赤色の交通標識を視認する上で有効である。
また、赤色に発光する窒化物系蛍光体の例としては、(Mg、Ca、Sr、Ba)AlSiN:Eu等のEu賦活窒化物蛍光体や(Mg、Ca、Sr、Ba)AlSiN:Ce等のCe賦活窒化物蛍光体などが挙げられる。
(黄色発光蛍光体)
黄色発光蛍光体58の具体例としては、セリウム(Ce)で賦活したイットリウム(Y)−アルミニウム(Al)−ガーネット(Garnet)蛍光体であるYAG:Ce蛍光体や、Eu2+がドープされたCaα−SiAlON:Eu蛍光体などが挙げられる。
YAG:Ce蛍光体は、550nm付近(550nmよりも若干長波長側)に発光ピークが存在するブロードな発光スペクトルをもつ。また、Caα−SiAlON:Eu蛍光体は、近紫外から青色の励起光によりピーク波長が約580nmの強い発光を示す。
(ナノ粒子蛍光体について)
次に、ナノ粒子蛍光体について説明する。ナノ粒子蛍光体の構成材料である半導体物質の典型は、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdTe等のII−VI族化合物、Si、Ge等の4B族元素、GaAs、InP等のIII−V族化合物である。半導体ナノ粒子は半導体材料からなる、平均粒径が100nm以下程度の粒子を指し、1個のナノ粒子に含まれる原子数は10〜10個である。量子サイズ効果により、バルク(目で見える大きさの塊)の半導体とは異なる波長の光を吸収・発光する。例えば、間接遷移型のため、通常では発光しないSiについてもナノ粒子化することによって発光させることができる。
量子サイズ効果とは、粒子が小さくなるにつれて材料中の電子の状態が変わって、より短い波長の光を吸収したり放出したりする現象のことである。特に平均粒径10nm以下の粒子について顕著に見られることが多い。
すなわち、ナノ粒子蛍光体の特徴の一つは、同一の化合物半導体(例えばインジュウムリン:InP)を用いても、その粒径をnmオーダのサイズに変更することにより、量子サイズ効果によって発光色を変化させることができる点である。例えば、InPでは、粒子サイズが3〜4nm程度のときに赤色に発光する[ここで、粒子サイズは透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価した]。
また、ナノ粒子蛍光体は、半導体ベースであるので蛍光寿命が短く、励起光のパワーを素早く蛍光として放射できるのでハイパワーの励起光に対して耐性が強いという特徴もある。これは、このナノ粒子蛍光体の発光寿命が10ns(ナノ秒)程度と、希土類を発光中心とする通常の希土類賦活蛍光体に比べて5桁も小さいためである。
さらに、上述したように、発光寿命が短いため、励起光の吸収と蛍光体の発光を素早く繰り返すことができる。その結果、強いレーザ光に対しても高効率を保つことができ、蛍光体からの発熱を低減させることができる。
よって、発光体5に含まれる蛍光体をナノ粒子蛍光体とすることにより、発光体5が熱により劣化(変色や変形)するのをより抑制することができる。これにより、光出力が高い発光素子を光源として用いる場合に、本実施形態のヘッドランプ1や、後述するヘッドランプ20の寿命が短くなるのをより抑制することができる。
なお、発光体5の劣化は、発光体5に含まれる蛍光体の封止材(例えば、シリコーン樹脂)の劣化が主たる原因であると考えられる。すなわち、上述のサイアロン蛍光体は、レーザ光が照射されると60〜80%の効率で蛍光を発生させるが、残りは熱となって放出される。この熱によって封止材が劣化すると考えられる。
従って、封止材としては、熱耐性の高い封止材が好ましい。熱耐性の高い封止材としては、例えば、ガラスなどが例示できる。
次に、ナノ粒子蛍光体の好ましい構成材料について説明する。ナノ粒子蛍光体は、Si、CdSe、InP、InN、InGaN、ならびに、InNおよびGaNからなる混晶、のいずれかからなる半導体ナノ粒子を少なくとも1種以上含んでいることが好ましい。
Siからなる半導体ナノ粒子(以下、Siナノ粒子という)は、粒径が1.9nm程度で青紫色〜青色(ピーク波長は420nm付近)の蛍光を発する。また、粒径が2.5nm前後で緑色(ピーク波長は500nm付近)の蛍光を発する。さらに、粒径が3.3nm程度で赤色(ピーク波長は720nm付近)の蛍光を発する。
CdSeナノ粒子は、現在のところ最も発光効率が高く、内部量子効率は50%以上である。
InPナノ粒子は、内部量子効率は20%程度であり、InPナノ粒子による青色光は、2nm以下という非常に小さい粒径で実現される。
InNナノ粒子は、反応性の高いPに変えてNを使うもので、高い信頼性が期待される。また、粒径を2.5nm以上3.0nm以下とすることで青色に発光する。
なお、InNナノ粒子の粒径(nm)と蛍光のエネルギーレベル(eV)または発光色との関係を図4に示す。
InGaNナノ粒子は、GaとNとの混晶比を変えることで、粒径が3.0nm前後にて青色発光を実現できるため、ナノ粒子蛍光体の作製が最も容易である。
なお、InNとGaNとの混晶を用いることも可能である。この場合も数nmの粒径で青色発光させることができる。
しかしながら、ナノ粒子蛍光体の構成材料としては、ここで説明した半導体材料に限られない。例えば、II−VI族半導体の1つであるZnSeを挙示することができる。ZnSeナノ粒子は、表面状態をうまく制御すると青紫色〜青色の強い蛍光を発する。
(Siナノ粒子以外のナノ粒子蛍光体について)
次に、Siナノ粒子以外のナノ粒子蛍光体として、上述したGaN、InN、および、これらの混晶であるInGaNについてより詳細に説明する。これらのナノ粒子蛍光体の平均粒径は、一般的に100nm以下である。また、純粋なGaNの密度は6.10g/cm、InNの密度は6.87g/cmである。InGaNの密度に関しては、その混晶比と不純物の含有量とにより、6.0〜7.0g/cm、より好ましくは6.10〜6.87g/cmの範囲で値を取り得る。
ナノ粒子蛍光体の好ましい平均粒径は、50nm以下であり、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下である。その理由について、図4を用いて説明する。
図4はナノ粒子蛍光体(GaNおよびInN)の平均粒径と蛍光波長との関係を示すグラフである。図4において、横軸はナノ粒子蛍光体の粒径を示し、縦軸はナノ粒子蛍光体のエネルギーレベルを示している。GaNに関する粒径とエネルギーレベルとの関係を実線で示し、InNに関する粒径とエネルギーレベルとの関係を破線で示している。また、青、緑、赤という文字を付した領域は、それぞれ、青色、緑色または赤色に発光する凡そのエネルギーレベルを示す。青色、緑色および赤色を示す領域と、グラフの曲線との交点における粒径が、当該色に発光する粒径を示している。例えば、InNの場合、その粒径が5nm弱のときに赤色の蛍光を発する。
図4に示すように、InNの場合、粒径が2nm以上、5nm以下の範囲において可視光が効率的に発生する。また、GaNでは、可視光を発生させることができないが、GaNとInNとの混晶にすることによって多様な平均粒径のナノ粒子蛍光体を生成し、当該ナノ粒子蛍光体の粒径を制御することで目的の波長での発光が可能なナノ粒子蛍光体を得ることができる。
可視光を発生する粒径の範囲は、ナノ粒子蛍光体ごとに異なるが、平均すれば、平均粒径が50nm以下の場合に可視光を発生する効率が高く、さらに、10nm以下、5nm以下と平均粒径が小さくなるに従って可視光を発生する効率が高い。
それゆえ、ナノ粒子蛍光体の平均粒径は、50nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以下であり、さらに好ましくは5nm以下である。ただし、下限値は0よりも大きい。
ナノ粒子蛍光体のような粒径がナノメータのオーダの蛍光体と、その粒径より100〜10000倍も粒径が大きいガラス粉末とを均一に混ぜる時には、ガラスの密度範囲は酸窒化物蛍光体と混ぜる時に比べて広くても、均一に分散させることができる。それゆえ、発光体5の蛍光体としてナノ粒子蛍光体を用いる場合、すなわち、蛍光体の平均粒径が50nm以下の場合、ガラス材の密度は、2.0g/cm以上、12.0g/cm以下、より好ましくは6.0g/cm以上、11g/cm以下である。
この密度範囲は、ナノ粒子蛍光体の密度の範囲を固定した上で、封止材の密度の好ましい範囲を求めたものである。発光体5の蛍光体としてナノ粒子蛍光体を用いた場合には、封止材の密度範囲を上述のものにすることで蛍光体と封止材とを均一に混ぜ合わせることができる。
ナノ粒子蛍光体の一例であるGaNの密度は6.1g/cmあり、この値は、上記蛍光体の密度範囲に含まれている。
(Siナノ粒子の製造方法)
次に、Siナノ粒子を例にとり、ナノ粒子蛍光体の製造方法について説明する。なお、ナノ粒子蛍光体の製造方法は、ここで記載する方法に限定されない。
Siナノ粒子は、例えば、以下の(1)〜(4)のような化学エッチング法を用いて製造することができる。
(1)シリコンウエハなどを粉砕し、Siを粒径50nm程度の粉末にする。
(2)粉末にしたSiを溶媒中(例えば、純水+メタノール)に入れ、さらにフッ酸(HF)および硝酸(HNO)の混合液を加える。
(3)(2)の溶液に超音波振動を加える。これにより、粉末状態のSiがエッチングされる。粒径に応じてエッチング時間を制御する。
(4)フィルタ(PVDFメンブレンフィルターなど)で(3)のエッチング後の溶液をろ過する。これにより、所望のサイズのSiナノ粒子を得ることができる。
なお、その他のナノ粒子蛍光体も同様に製造することができる。
(透明微粒子)
次に、図2に示す発光体5に含まれる透明微粒子59について説明する。透明微粒子59は、蛍光体を封止する封止材よりも屈折率が高く、粒径が1μm以上50μm以下である。
このように、発光体5に複数の透明微粒子59を分散させることにより、発光体5を励起するための励起光としてレーザ光を用いた場合、レーザ光が発光体5を素通りして発光体5の外部に放射されることを抑制し、さらに発光体5の発光面積(発光点のサイズ)も大きくすることができる。これにより、発光体5から発生する照明光の安全性を高めることができる。
(青色発光蛍光体をナノ粒子蛍光体とすることが好ましい理由)
次に、発光体5に含まれる複数種類の蛍光体のうち、特に青色発光蛍光体をナノ粒子蛍光体とすることが好ましい理由について説明すする。現状では、高効率の青色発光蛍光体が存在していないため、350〜420nm(ナノメートル)近傍の波長の励起光(近紫外領域から青紫色領域)を発するLEDやLDなどの半導体発光素子を励起光源として用いる照明装置の場合、装置の発光効率が低いという副次的な問題点がある。
このような問題点を解決する方法としては、他の蛍光体と比較して青色発光蛍光体の含有量を多くする方法が考えられる。
しかしながら、青色発光蛍光体(例えば、希土類賦活蛍光体)は、不透明であり、かつ、発光効率が低い。このため、上記の方法では、不透明な青色発光蛍光体が、黄色発光蛍光体に対する励起光の照射を妨害するため、高効率であるはずの黄色発光蛍光体の励起効率が低下してしまう。
また、不透明な青色発光蛍光体が、黄色発光蛍光体からの蛍光の外部への放射を妨害するため、黄色発光蛍光体からの発光の取出し効率も低下してしまう。
また、発光体に含まれる蛍光体として、比較的高効率である緑色発光蛍光体や赤色発光蛍光体を用いる場合でも、これらの蛍光体の励起や、これらの蛍光体からの蛍光の取出しに、不透明な青色発光蛍光体が悪影響を及ぼし、結果として装置全体の発光効率が低くなってしまう。
なお、上述した特許文献1〜4を含め、従来の技術文献には、以上のような問題点について言及したものは無い。
一方、青色に発光するLEDやLDを励起光源として用いた場合、その青色光のスペクトルは蛍光体による発光スペクトルに比べて細い(半値幅が狭い)という問題点もある。特にLDを用いた場合は顕著である。そのような青色光を照明に使うと青色光近傍の演色性が低下してしまう副次的な問題点も生じる。
次に、発光色を白色にするために必要な青色発光蛍光体の含有量についてより具体的に検討する。
例えば、Caα−SiAlON:Ce蛍光体と、CASN:Eu蛍光体と、の2種類の蛍光体を使用する場合、典型的には重量比で表わすと、CASN:Eu蛍光体を1としたときに、Caα−SiAlON:Ce蛍光体は3〜4程度、含有する。この2種類の蛍光体に青色発光蛍光体を含有することで発光色を白色(例えば、5000K)にしようとすると、青色発光蛍光体を重量比で16〜20程度は混ぜる必要がある。なお、蛍光体材料のピーク波長や発光効率にも左右されるが、現状入手できるもっとも特性の良い材料を使ったとしてもこのような状況は変わらない。
すなわち、各蛍光体の含有量は、重量比で、赤色:緑色:青色=1:(3〜4):(16〜20)となり、赤色発光蛍光体や緑色発光蛍光体と比較して圧倒的に多量の青色発光蛍光体が必要となる。
また、発光体5に含める蛍光体として青色発光蛍光体を使用した場合であっても、やはり蛍光体の総量と封止材の混合比は、重量比で1:10程度が適当である。そうすると、赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体の含有量は、青色発光蛍光体を含まない発光体と比べてはるかに少なくなる。このため、十分な赤色光および緑色光が得られなくなり、発光効率が極めて悪い照明装置しか実現できなくなってしまう。
しかしながら、ナノ粒子蛍光体は、可視領域またはその近傍の光に対して透光性(または透明性)を有している。そこで、圧倒的に多量の青色発光蛍光体を少なくともナノ粒子蛍光体とすれば、青色発光蛍光体が、他の蛍光体の励起を妨害したり、他の蛍光体からの蛍光の発光体5の外部への放射を妨害したりすることを回避することができる。また、LEDやLDの青色光を照明光の一部として利用する発光装置よりも発光体5からの照明光の演色性を向上させることもできる。以上が、青色発光蛍光体をナノ粒子蛍光体とする理由である。
(複数の蛍光体の好ましい組合せについて)
次に、発光体5に含まれる蛍光体の好ましい組合せについて説明する。
(1)青色発光ナノ粒子蛍光体とYAG:Ce蛍光体(黄色発光蛍光体)との組合せ:演色性は多少劣るものの、発光体5の発光効率(量子内部効率)は、最も高くなる。また、YAG:Ce蛍光体は低コストなのでコストの面でも有利である。また、高い色温度を実現することもできる。
各蛍光体の配合比は、重量比で、(YAG:Ce蛍光体):(青色発光ナノ粒子蛍光体)=1:0.2〜1程度である。また、上記2種類の蛍光体と透明微粒子59との配合比は、重量比で、1〜5:1程度である。また、上記2種類の蛍光体および透明微粒子59と封止材の配合比は、重量比で、10:1程度である。
(2)青色発光ナノ粒子蛍光体、β−SiAlON:Eu蛍光体(緑色発光蛍光体)、およびCASN:Eu蛍光体(赤色発光蛍光体、橙色発光蛍光体)の組合せ:発光体5の発光効率(量子内部効率)は多少劣るものの、演色性が最も良い。また、低い色温度を実現することもできる。
各蛍光体の配合比は、重量比で、(CASN:Eu蛍光体):(β−SiAlON:Eu蛍光体):(青色発光ナノ粒子蛍光体)=1:1〜4:1〜10程度である。また、上記3種類の蛍光体と透明微粒子59との配合比は、重量比で、1〜5:1程度である。また、上記3種類の蛍光体および透明微粒子59と封止材の配合比は、重量比で、10:1程度である。
なお、発光体5に含まれる複数の蛍光体の組合せは、上記の(1)および(2)の形態に限定されない。
(複数の蛍光体と色度との関係について)
次に、図3を用いて、発光体5に含まれる複数の蛍光体と色度との関係について説明する。図3は、照明光の色度範囲を示すグラフである。
ここでは、発光体5に含まれる複数の蛍光体の例として、Siナノ粒子蛍光体(ピーク波長:約420nm、点36参照)、Caα−SiAlON:Ce蛍光体(ピーク波長:約510nm、点31参照)、および、CASN:Eu蛍光体(ピーク波長:約650nm、点32参照)を用いて説明する。
Siナノ粒子蛍光体、Caα−SiAlON:Ce蛍光体およびCASN:Eu蛍光体は、それぞれ、上述した青色発光蛍光体56、緑色発光蛍光体51および赤色発光蛍光体52の典型例である。
同図の曲線33は、色温度(K:ケルビン)を示すものである。また、同図に示す6つの点35を頂点とする多角形は、法律により規定されている車両用前照灯に要求される白色光の色度範囲を示す。
ここで、上記の3種類の蛍光体の配合比を調整することにより、点31、点32、および点36を頂点とする三角形で示される色度範囲に含まれる、任意の色度の照明光を放射できる発光体5の製造が可能である。なお、上記の3種類の蛍光体の組合せでは、図3に示すグラフの色度範囲を覆う三角形の面積がほぼ最大となるので、極めて広範囲の色度の照明光を放射できる発光体5の製造が可能である。
また、上記三角形で示される色度範囲は、上記車両用前照灯に要求される白色光の色度範囲と広い範囲で重複している。よって、上記の3種類の蛍光体の配合比を調整することにより、車両用前照灯に好適な発光体5を製造することも可能である。
例えば、各蛍光体の配合比は、重量比で、(CASN:Eu蛍光体):(Caα−SiAlON:Ce蛍光体):(Siナノ粒子蛍光体)=1:1〜5:1〜10程度である。また、上記3種類の蛍光体と透明微粒子59との配合比は、重量比で、1〜5:1程度である。また、上記3種類の蛍光体および透明微粒子59と封止材の配合比は、重量比で、10:1程度である。
なお、発光体5に含まれる複数種類の蛍光体が上記の3種類の蛍光体の組合せでない場合でも、各蛍光体の材料や種類数などに関わらず、上記車両用前照灯に要求される白色光の色度範囲に含まれる色度の照明光を放射できるように、発光体5に含まれる各蛍光体の配合比を調整すれば良い。これにより、発光体5に含まれる各蛍光体の材料や種類数などに関わらず、車両用前照灯に好適な発光体5を製造することも可能である。
(発光体5の配置および形状)
発光体5は、透過フィルタ7の内側(光出射面4bが位置する側)の面において、反射鏡6の焦点位置またはその近傍に固定されている。発光体5の位置の固定方法は、この方法に限定されず、反射鏡6から延出する棒状または筒状の部材(透明であることが好ましい)によって発光体5の位置を固定してもよい。
発光体5の形状は、特に限定されず、直方体であっても、円柱状であってもよい。ヘッドランプ1では、円柱状である。この円柱状の発光体5は、直径2mm、厚み(高さ)0.8mmの円柱状である。
また、発光体5にレーザ光が照射される面であるレーザ光照射面は、平面である必要は必ずしもなく、曲面であってもよい。ただし、レーザ光の反射を制御するためには、レーザ光照射面は、レーザ光の光軸に対して垂直な平面であることが好ましい。
また、円柱状の発光体5の厚みは0.8mmでなくともよい。また、ここで必要とされる発光体5の厚みは、発光体5における封止材と蛍光体との割合に従って変化する。発光体5における蛍光体の含有量が多くなれば、レーザ光が白色光に変換される効率が高まるため円柱状の発光体5の厚みを薄くできる。
(反射鏡6)
反射鏡6は、発光体5が出射した蛍光(照明光)を反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成するものである。すなわち、反射鏡6は、発光体5からの光を反射することにより、ヘッドランプ1の前方へ進む光線束を形成する。この反射鏡6は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された曲面形状(カップ形状)の部材であり、反射した光の進行方向に開口している。
(透過フィルタ7)
透過フィルタ7は、反射鏡6の開口部を覆う透明な樹脂板であり、発光体5を保持している。この透過フィルタ7は、半導体レーザ2からのレーザ光を遮断するとともに、発光体5においてレーザ光を変換することにより生成された白色光(インコヒーレントな光)を透過する材質で形成することが好ましく、樹脂板以外に無機ガラス板等も使用できる。透過フィルタ7としては、例えば五鈴精工硝子社製のITY418がある。
発光体5によってコヒーレントな成分を多く含むレーザ光は、そのほとんどがインコヒーレントな白色光に変換され、またナノ粒子蛍光体以外の蛍光体、もしくは透明微粒子によって散乱・拡散される。しかし、何らかの原因でレーザ光の一部が白色光に変換されず、散乱も拡散もされない場合も考えられる。このような場合でも、透過フィルタ7によって半導体レーザ2から直接放射されたレーザ光を遮断することにより、非常に小さな発光点を有する半導体レーザ2から出射されたレーザ光が外部に漏れることを防止できる。
ただし、透過フィルタ7は、レーザ光すべてを遮断し、発光体5から出射される蛍光すべてを透過するものでなくてもよい。すなわち、透過フィルタ7は、人体に有害な、レーザ光を出射する半導体レーザ2からの直接光(半導体レーザ2の発光点そのもの)を直視できない程度に減衰され、透過量が安全なレベルであれば、その成分全てが遮断できなくてもよく、ヘッドランプ1の白色光として十分な光量(あるいは十分に高い色温度)の蛍光が出射されていれば、蛍光すべてを透過できなくてもよい。
このように、ヘッドランプ1では、発光体5が半導体レーザ2から出射されたレーザ光を受けて発光し、その蛍光が透過フィルタ7を介して出射される。このとき、レーザ光は透過フィルタ7によって遮断されるため外部に漏れない。これにより、蛍光に変換されなかった(あるいは散乱・拡散されなかった)レーザ光が外部に出射されることによって人間の目が損傷されるのを防ぐことができる。
また、励起光源がLEDである場合には、LEDからの光は半導体レーザ2に比べて非常に大きな発光点サイズであるために、当該光を遮断する必要が小さくなる。このため、LEDから出射される光をそのまま照明装置の外部に出射しても問題ないケースが大半である。一方、励起光源が半導体レーザ2である場合には、上述のように、非常に小さな発光点を有する半導体レーザ2からの光は、そのまま人体の眼に入射すると危険性が高いので、当該半導体レーザ2の発光点からの直接光を遮断する必要がある。そのため、本実施形態では、透過フィルタ7が設けられている。
つまり、励起光源としてLEDを用いる場合には、LEDから出射される光を外部に出射して色温度を高めることが容易である。一方、本実施形態のように、半導体レーザ2を用いる場合には、透過フィルタ7による色温度の低下および上記の安全性を考慮して設計する必要がある。
ヘッドランプ1では、その蛍光体として、青味成分の多い青色ナノ粒子蛍光体を用いているので、レーザ光を遮断しても、その白色光の色温度を高めることができる。すなわち、ヘッドランプ1が半導体レーザ2および透過フィルタ7を備えていても、レーザ光が外部に漏れるのを防ぎつつ、色温度が高い所望の白色光を出射することができる。それゆえ、安全性を考慮した上で、色温度の高い白色光を出射することができる。
(発光体5の発光原理)
次に、半導体レーザ2から発振されたレーザ光による蛍光体の発光原理について説明する。
まず、半導体レーザ2から発振されたレーザ光が発光体5に含まれる蛍光体に照射されることにより、蛍光体内に存在する電子が低エネルギー状態から高エネルギー状態(励起状態)に励起される。
その後、この励起状態は不安定であるため、蛍光体内の電子のエネルギー状態は、一定時間後にもとの低エネルギー状態(基底準位のエネルギー状態または励起準位と基底準位との間の準安定準位のエネルギー状態)に遷移する。
このように、高エネルギー状態に励起された電子が、低エネルギー状態に遷移することによって蛍光体が発光する。
〔ヘッドランプ20の構成〕
本発明の他の実施形態であるヘッドランプ(発光装置,照明装置,前照灯)20について図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、ヘッドランプ1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。ここでは、プロジェクタ型のヘッドランプ20について説明する。
(ヘッドランプ20の構成)
まず、本実施形態に係るヘッドランプ20の構成について図6を用いて説明する。図6は、プロジェクタ型のヘッドランプであるヘッドランプ20の構成を示す断面図である。このヘッドランプ20は、プロジェクタ型のヘッドランプである点、ならびに、導光部4の代わりに光ファイバー束(導光部)40を備えた点でヘッドランプ1とは異なる。光ファイバー束40は、複数の光ファイバー40aの束であり、光ファイバー40aのそれぞれは、レーザ光が入射する入射端部と、レーザ光を出射する出射端部とを有している。
同図に示すように、ヘッドランプ20は、半導体レーザ2、非球面レンズ3、光ファイバー束40、フェルール9、発光体5、反射鏡6、透過フィルタ7、ハウジング10、エクステンション11、レンズ12、凸レンズ13およびレンズホルダ8を備えている。半導体レーザ2、光ファイバー束40、フェルール9および発光体5によって発光装置の基本構造が形成されている。
ヘッドランプ20は、プロジェクタ型のヘッドランプであるため、凸レンズ13を備えている。その他のタイプのヘッドランプ(例えば、セミシールドビームヘッドランプ)に本発明を適用してもよく、その場合には凸レンズ13を省略できる。
(非球面レンズ3)
非球面レンズ3は、半導体レーザ2から発振されたレーザ光(励起光)を、光ファイバー40aの一方の端部である入射端部に入射させるためのレンズである。非球面レンズ3は、光ファイバー40aの数だけ設けられている。
(光ファイバー束40)
光ファイバー束40は、半導体レーザ2が発振したレーザ光を発光体5へと導く導光部材である。光ファイバー束40の各光ファイバー40aは、中芯のコアを、当該コアよりも屈折率の低いクラッドで覆った2層構造をしている。コアは、レーザ光の吸収損失がほとんどない石英ガラス(酸化ケイ素)を主成分とするものであり、クラッドは、コアよりも屈折率の低い石英ガラスまたは合成樹脂材料を主成分とするものである。
例えば、光ファイバー40aは、コアの径が200μm、クラッドの径が240μm、開口数NAが0.22の石英製のものであるが、光ファイバー40aの構造、太さおよび材質は上述のものに限定されず、光ファイバー40aの長軸方向に対して垂直な断面は矩形であってもよい。
光ファイバー40aは、上記レーザ光を受け取る複数の入射端部と、入射端部から入射したレーザ光を出射する複数の出射端部とを有している。複数の光ファイバー40aのそれぞれの出射端部は、後述するように、フェルール9によって、発光体5のレーザ光照射面(受光面)に対して位置決めされている。
(フェルール9)
図7は、光ファイバー束40の各光ファイバー40aの出射端部と発光体5との位置関係を示す図である。同図に示すように、フェルール9は、光ファイバー40aの出射端部を発光体5のレーザ光照射面に対して所定のパターンで保持する。このフェルール9は、光ファイバー40aを挿入するための孔が所定のパターンで形成されているものでもよいし、上部と下部とに分離できるものであり、上部および下部の接合面にそれぞれ形成された溝によって光ファイバー40aを挟み込むものでもよい。
フェルール9の材質は、特に限定されず、例えばステンレススチールである。なお、図7では、光ファイバー40aを3つ示しているが、光ファイバー40aの数は3つに限定されない。また、フェルール9は、反射鏡6から延出する棒状の部材等によって固定されればよい。
フェルール9が光ファイバー40aの出射端部を位置決めすることにより、複数の光ファイバー40aから出射されるレーザ光がそれぞれ有する光強度分布における最も光強度の大きい部分(最大光強度部分)が、発光体5の互いに異なる部分に対して照射される。この構成により、レーザ光が一点に集中することにより発光体5が著しく劣化することを防止できる。なお、出射端部は、レーザ光照射面に接触していてもよいし、僅かに間隔をおいて配置されてもよい。
なお、各光ファイバー40aの出射端部を分散させて配置する必要は必ずしもなく、光ファイバー40aの束をひとまとめにしてフェルール9で位置決めしてもよい。
(発光体5)
発光体5は、上述したものと同様、各光ファイバー40aの出射端部から出射されたレーザ光を受けて白色の蛍光を発するものであり、青味成分の多い青色ナノ粒子蛍光体を含むものである。これにより、色温度の高い白色光を出射することができる。また、ヘッドランプ20の発光体5の形状は直方体であり、横×縦×高さ=3mm×1mm×1mm程度の大きさである。発光体5は、後述する反射鏡6の第1焦点の近傍に配置される。この発光体5は、反射鏡6の中心部を貫いて延びる筒状部の先端に固定されてもよい。この場合には、筒状部の内部に光ファイバー束40を通すことができる。
(反射鏡6)
反射鏡6は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であり、発光体5から出射した光を反射することにより、当該光をその焦点に収束させる。ヘッドランプ20がプロジェクタ型のヘッドランプであるため、反射鏡6の基本形状は、反射した光の光軸方向に平行な断面が楕円形状となっている。反射鏡6には、第1焦点と第2焦点とが存在し、第2焦点は、第1焦点よりも反射鏡6の開口部に近い位置に存在している。後述する凸レンズ13は、その焦点が第2焦点の近傍に位置するように配置されており、反射鏡6によって第2焦点に収束された光を前方に投射する。
(透過フィルタ7)
透過フィルタ7は、上述したものと同様、励起光を遮断し、発光体5から出射される蛍光を透過するものであり、発光体5を保持している。この透過フィルタ7を備えることにより、半導体レーザ2から放射されたレーザ光が直接的に外部に漏れることを防止できる。
(凸レンズ13)
凸レンズ13は、発光体5から出射された光を集光し、集光した光をヘッドランプ1の前方へ投影する。凸レンズ13の焦点は、反射鏡6の第2焦点の近傍であり、その光軸は、発光体5が有する発光面のほぼ中央を貫いている。この凸レンズ13は、レンズホルダ8によって保持され、反射鏡6に対する相対位置が規定されている。なお、レンズホルダ8を、反射鏡6の一部として形成してもよい。
(その他の部材)
ハウジング10は、ヘッドランプ20の本体を形成しており、反射鏡6等を収納している。光ファイバー束40は、このハウジング10を貫いており、半導体レーザ2は、ハウジング10の外部に設置される。半導体レーザ2は、レーザ光の発振時に発熱するが、ハウジング10の外部に設置することにより半導体レーザ2を効率良く冷却することが可能となる。また、半導体レーザ2は、故障する可能性があるため、交換しやすい位置に設置することが好ましい。これらの点を考慮しなければ、半導体レーザ2をハウジング10の内部に収納してもよい。
エクステンション11は、反射鏡6の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ20の内部構造を隠して見栄えを良くするとともに、反射鏡6と車体との一体感を高めている。このエクステンション11も反射鏡6と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。
レンズ12は、ハウジング10の開口部に設けられており、ヘッドランプ20を密封している。発光体5が発した光は、レンズ12を通ってヘッドランプ1の前方へ出射される。
以上のように、ヘッドランプの構造そのものは、どのようなものであってもよく、本発明において重要なのは、発光体5の組成において、他の蛍光体よりも低波長側にピーク波長を有する蛍光を発生する少なくとも1種類の蛍光体がナノ粒子蛍光体であれば良い。
〔レーザダウンライトについて〕
次に、本発明のさらに他の実施形態であるレーザダウンライト(発光装置,照明装置)400について図8〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
ここでは、本発明の照明装置の一例としてのレーザダウンライト400について説明する。レーザダウンライト400は、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置であり、半導体レーザ2から出射したレーザ光を、上述した光ファイバー束40などを介して、発光体5に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いるものである。
なお、非球面レンズ3は、半導体レーザ2から発振されたレーザ光を、光ファイバー40aの入射端部に入射させるためのレンズである。例えば、非球面レンズ3として、アルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ3の形状および材質は特に限定されないが、405nm近傍の透過率が高く、かつ耐熱性のよい材料であることが好ましい。
また、レーザダウンライト400と同様の構成を有する照明装置を、構造物の側壁または床に設置してもよく、上記照明装置の設置場所は特に限定されない。
図8は、発光ユニット410および従来のLEDダウンライト500の外観を示す概略図である。図9は、レーザダウンライト400が設置された天井の断面図である。図10は、レーザダウンライト400の断面図である。図8〜図10に示すように、レーザダウンライト400は、天板401に埋設され、照明光を出射する発光ユニット410と、光ファイバー束40を介して発光ユニット410へレーザ光を供給するLD光源ユニット420とを含んでいる。LD光源ユニット420は、天井には設置されておらず、ユーザが容易に触れることができる位置(例えば、家屋の側壁)に設置されている。このようにLD光源ユニット420の位置を自由に決定できるのは、LD光源ユニット420と発光ユニット410とが光ファイバー束40によって接続されているからである。この光ファイバー束40は、天板401と断熱材402との間の隙間に配置されている。
(発光ユニット410の構成)
発光ユニット410は、図10に示すように、筐体411、光ファイバー束40、発光体5、照射レンズ30、フェルール9および透光板413を備えている。
照射レンズ30は、発光体5に対する凸面を有する凸レンズであっても良いし、発光体5に対する凹面を有する凹レンズであっても良い。なお、本実施形態では、照射レンズ30を用いている場合について説明するが、発光体5とフェルール9との間にレンズを設けず、光ファイバー束40の出射端部から発光体5へ直接レーザ光を照射しても良い。
照射レンズ30の例としては、発光体5に対する凸面を有する両凸レンズ、平凸レンズ、凸メニスカスレンズ、ならびに、発光体5に対する凹面を有する両凹レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ等が例示できる。
なお、上述した例の他、発光体5の形状に応じて、任意の軸を持つ凹面および凸面を有する独立したレンズの組合せ、任意の軸を持つ凸面および凸面を有する独立したレンズの組合せ、任意の軸を持つ凹面および凹面を有する独立したレンズの組合せなどを採用しても良い。
これにより、発光体5の形状に応じて適切なレンズの組合せを採用することで、発光体5の発光効率を高めることができる。
また、発光体5の形状に応じて、任意の軸を持つ凹面および凸面を有するレンズを一体化した複合レンズ、任意の軸を持つ凸面および凸面を有する複合レンズを一体化したレンズ、任意の軸を持つ凹面および凹面を有するレンズを一体化した複合レンズなどを採用しても良い。
これにより、光学系全体の部品点数を少なくし、光学系全体のサイズを小さくしつつ、発光体5の形状に応じて適切な複合レンズを採用することで、発光体5の発光効率を高めることができる。
その他のレンズとしては、GRINレンズ(Gradient Index lens:屈折率勾配変化型レンズ)なども例示できる。
なお、GRINレンズは、レンズが凸または凹の形状をしていなくても、レンズ内部の屈折率勾配によってレンズ作用が生じるレンズである。
よって、GRINレンズを用いれば、例えば、GRINレンズの端面を平面としたままでレンズ作用を生じさせることができるので、GRINレンズの端面に、例えば、直方体形状の発光体5の端面を隙間無く接合させることができる。
筐体411には、凹部412が形成されており、この凹部412の底面に発光体5が配置されている。凹部412の表面には、金属薄膜が形成されており、凹部412は反射鏡として機能する。
また、筐体411には、光ファイバー束40を通すための通路414が形成されており、この通路414を通って光ファイバー束40が発光体5まで延びている。光ファイバー束40の出射端と発光体5との位置関係は上述したものと同様である。
透光板413は、凹部412の開口部をふさぐように配置された透明または半透明の板である。この透光板413は、半導体レーザ2からのレーザ光を遮断するとともに、発光体5においてレーザ光を変換することにより生成された蛍光を透過する材質で形成することが好ましい。
発光体5によってコヒーレントなレーザ光は、そのほとんどが蛍光に変換されるか、発光体5に含まれる蛍光体によって散乱、拡散される。しかし、何らかの原因でレーザ光の一部が変換、散乱、拡散されない場合も考えられる。このような場合でも、透光板413によってレーザ光を遮断することにより、レーザ光が外部に漏れることを防止できる。
このように、発光体5の蛍光は、透光板413を透して照明光として出射される。透光板413は、筐体411に対して取外し可能であってもよく、省略されてもよい。
図8では、発光ユニット410は、円形の外縁を有しているが、発光ユニット410の形状(より厳密には、筐体411の形状)は特に限定されない。
なお、ダウンライトでは、ヘッドランプの場合とは異なり、理想的な点光源は要求されず、発光点が1つというレベルで十分である。それゆえ、発光体5の形状、大きさおよび配置に関する制約は、ヘッドランプの場合よりも少ない。
(LD光源ユニット420の構成)
LD光源ユニット420は、半導体レーザ2、非球面レンズ3および光ファイバー束40を備えている。
光ファイバー束40の入射端は、LD光源ユニット420に接続されており、半導体レーザ2から発振されたレーザ光は、非球面レンズ3を介して各光ファイバー40aの入射端部に入射される。
図10に示すLD光源ユニット420の内部には、半導体レーザ2および非球面レンズ3が一対のみ示されているが、発光ユニット410が複数存在する場合には、発光ユニット410からそれぞれ延びる光ファイバー40aの束を1つのLD光源ユニット420に導いてもよい。この場合、1つのLD光源ユニット420に複数の半導体レーザ2と非球面レンズ3との対が収納されることになり、LD光源ユニット420は集中電源ボックスとして機能する。
(レーザダウンライト400の設置方法の変更例)
図11は、レーザダウンライト400の設置方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、レーザダウンライト400の設置方法の変形例として、天板401には光ファイバー束40を通す小さな穴403だけを開け、薄型・軽量の特長を活かしてレーザダウンライト本体(発光ユニット410)を天板401に貼り付けるということもできる。この場合、レーザダウンライト400の設置に係る制約が小さくなり、また工事費用が大幅に削減できるというメリットがある。
(レーザダウンライト400と従来のLEDダウンライト500との比較)
従来のLEDダウンライト500は、図8に示すように、複数の透光板501を備えており、各透光板501からそれぞれ照明光が出射される。すなわち、LEDダウンライト500において発光点は複数存在している。LEDダウンライト500において発光点が複数存在しているのは、個々の発光点から出射される光の光束が比較的小さいため、複数の発光点を設けなければ照明光として十分な光束の光が得られないためである。
これに対して、レーザダウンライト400は、高光束の照明装置であるため、発光点は1つでもよい。それゆえ、照明光による陰影がきれいに出るという効果が得られる。また、発光体5の蛍光体を高演色蛍光体(例えば、数種類の酸窒化物蛍光体の組合せ)にすることにより、照明光の演色性を高めることができる。
図12は、LEDダウンライト500が設置された天井の断面図である。同図に示すように、LEDダウンライト500では、LEDチップ、電源および冷却ユニットを収納した筐体502が天板401に埋設されている。筐体502は比較的大きなものであり、筐体502が配置されている部分の断熱材402には、筐体502の形状に沿った凹部が形成される。筐体502から電源ライン523が延びており、この電源ライン523はコンセント(不図示)につながっている。
このような構成では、次のような問題が生じる。まず、天板401と断熱材402との間に発熱源である光源(LEDチップ)および電源が存在しているため、LEDダウンライト500を使用することにより天井の温度が上がり、部屋の冷房効率が低下するという問題が生じる。
また、LEDダウンライト500では、光源ごとに電源および冷却ユニットが必要であり、トータルのコストが増大するという問題が生じる。
また、筐体502は比較的大きなものであるため、天板401と断熱材402との間の隙間にLEDダウンライト500を配置することが困難な場合が多いという問題が生じる。
これに対して、レーザダウンライト400では、発光ユニット410には、大きな発熱源は含まれていないため、部屋の冷房効率を低下させることはない。その結果、部屋の冷房コストの増大を避けることができる。
また、発光ユニット410ごとに電源および冷却ユニットを設ける必要がないため、レーザダウンライト400を小型および薄型にすることができる。その結果、レーザダウンライト400を設置するためのスペースの制約が小さくなり、既存の住宅への設置が容易になる。
また、レーザダウンライト400は、小型および薄型であるため、上述したように、発光ユニット410を天板401の表面に設置することができ、LEDダウンライト500よりも設置に係る制約を小さくすることができるとともに工事費用を大幅に削減できる。
図13は、レーザダウンライト400およびLEDダウンライト500のスペックを比較するための図である。同図に示すように、レーザダウンライト400は、その一例では、LEDダウンライト500に比べて体積は94%減少し、質量は86%減少する。
また、LD光源ユニット420をユーザの手が容易に届く所に設置できるため、半導体レーザ2が故障した場合でも、手軽に半導体レーザ2を交換できる。また、複数の発光ユニット410から延びる光ファイバー40aを1つのLD光源ユニット420に導くことにより、複数の半導体レーザ2を一括管理できる。そのため、複数の半導体レーザ2を交換する場合でも、その交換が容易にできる。
なお、LEDダウンライト500において、高演色蛍光体を用いたタイプの場合、消費電力10Wで約500lm(ルーメン)の光束が出射できるが、同じ明るさの光をレーザダウンライト400で実現するためには、3.3Wの光出力が必要である。この光出力は、LD効率が35%であれば、消費電力10Wに相当し、LEDダウンライト500の消費電力も10Wであるため、消費電力では、両者の間に顕著な差は見られない。それゆえ、レーザダウンライト400では、LEDダウンライト500と同じ消費電力で、上述の種々のメリットが得られることになる。
以上のように、レーザダウンライト400は、レーザ光を出射する半導体レーザ2を少なくとも1つ備えるLD光源ユニット420と、発光体5および反射鏡としての凹部412を備える少なくとも1つの発光ユニット410と、発光ユニット410のそれぞれへレーザ光を導く光ファイバー束40と、光ファイバー束40の各光ファイバー40aの出射端部から出射した照射光を発光体5の光照射領域に分散して照射する照射レンズ30とを備える。
それゆえ、レーザダウンライト400において、レーザ光が発光体5の一箇所に集中的に照射されることによって発光体5が著しく劣化する可能性を低減できる。その結果、長寿命のレーザダウンライト400を実現できる。
〔本発明の別の表現〕
本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、本発明の発光体は、励起光の波長領域(発振波長が350〜420nm近傍の近紫外から青色領域)で励起され青色に発光するナノ粒子蛍光体と、黄色に発光する黄色発光蛍光体とを含んでいても良い。
ナノ粒子蛍光体は通常、可視光領域またはその近傍の光に対して透明性(透光性)を有する。すなわち、多量に使用したとしても、励起光が黄色発光蛍光体に到達することを阻害することがない。また、黄色発光蛍光体からの発光を阻害することもない。したがって発光効率が高い発光体を実現することができるようになる。
また、青色に発光するナノ粒子蛍光体は、その発光スペクトルの半値幅が半導体発光素子の発光スペクトルと比べて広い。したがって青色光近傍の演色性が向上するという効果も奏する。
また、本発明の発光体は、上記黄色に発光する黄色発光蛍光体に変えて、緑色に発光する緑色発光蛍光体と赤色に発光する赤色発光蛍光体とを含んでいても良い。
この場合も、励起光が緑色発光蛍光体と赤色発光蛍光体とに到達することを阻害することがなく、また緑色発光蛍光体、赤色発光蛍光体からの発光を阻害することもないので、高い発光効率の発光体を得ることができる。さらにこの場合は、高い演色性を有する照明光を得ることができる。
また、励起光源として半導体レーザを用いる場合、本発明の発光体には、さらに上記複数の蛍光体を封止する封止材よりも屈折率が高く、その平均粒子径(粒径)が1μm〜50μm程度の透明微粒子を含んでいても良い。
上述の構成(透明微粒子を新たに加える)とすることによって、励起光であるレーザ光が発光体を素通りして外部に放射されることを防止し、発光点サイズを拡大し、目に対して安全な照明光を照射できる発光体を実現することができる。
〔付記事項〕
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、発光体、ならびに該発光体を備えた発光装置および照明装置などに適用することができる。例えば、自動車用のヘッドランプ、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプや、その他の照明装置に適用することができる。また、その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクタ、家庭用照明器具などにも適用することができる。
1 ヘッドランプ(発光装置,照明装置,前照灯)
2 半導体レーザ(励起光源)
5 発光体
20 ヘッドランプ(発光装置,照明装置,前照灯)
21 LEDランプ(励起光源)
51 緑色発光蛍光体(第1の蛍光体,第2の蛍光体)
52 赤色発光蛍光体(第2の蛍光体,第3の蛍光体)
56 青色発光蛍光体(第1の蛍光体,ナノ粒子蛍光体)
58 黄色発光蛍光体(第2の蛍光体)
59 透明微粒子
210 LEDチップ(励起光源)
400 レーザダウンライト(発光装置,照明装置)

Claims (11)

  1. 第1色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第1の蛍光体と、
    上記第1色波長領域よりも長波長側の第2色波長領域にピーク波長を有する蛍光を発生する第2の蛍光体と、を少なくとも含む発光体であって、
    少なくとも上記第1の蛍光体は、ナノ粒子蛍光体であることを特徴とする発光体。
  2. 上記第1の蛍光体は、青色光を発生する青色発光ナノ粒子蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の発光体。
  3. 上記第2の蛍光体は、黄色光を発生する黄色発光蛍光体であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光体。
  4. 上記第2の蛍光体は、緑色光を発生する緑色発光蛍光体であり、
    さらに、第3の蛍光体として、赤色光を発する赤色発光蛍光体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の発光体。
  5. 上記緑色発光蛍光体は、酸窒化物蛍光体であることを特徴とする請求項4に記載の発光体。
  6. 上記赤色発光蛍光体は、窒化物蛍光体であることを特徴とする請求項4または5に記載の発光体。
  7. 上記青色発光ナノ粒子蛍光体は、Si、CdSe、InP、InN、InGaN、ならびに、InNおよびGaNからなる混晶、のいずれかからなる半導体ナノ粒子を少なくとも1種以上含むことを特徴とする請求項2に記載の発光体。
  8. 可視光の波長領域およびその近傍の光に対して透光性を有し、上記第1の蛍光体および上記第2の蛍光体を少なくとも封止する封止材よりも屈折率が高く、粒径が1μm以上50μm以下である透明微粒子を含んでいることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の発光体。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項に記載の発光体を備えた発光装置であって、
    近紫外光または青紫色光を上記発光体に照射する励起光源を備えていることを特徴とする発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置を備えることを特徴とする照明装置。
  11. 請求項9に記載の発光装置を備えることを特徴とする前照灯。
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