JP5085407B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を得るようにされた流体封入式防振装置に係り、特に、可動弁体の往復作動によって防振特性を切換可能とされた切換型の流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それら振動伝達系を構成する部材を相互に防振連結乃至は防振支持せしめる防振装置が知られている。また、内部に非圧縮性流体を封入された受圧室と平衡室を有すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通する流体流路を備えて、振動入力時に流体流路を通じて両室間を流動せしめられる流体の共振作用等に基づいた防振効果を発揮するようにされた流体封入式防振装置も実用されており、例えば、自動車のエンジンマウントやメンバマウント,サブフレームマウント等に適用されている。
ところで、流体封入式防振装置では、流体流路が予めチューニングされた周波数域の振動入力に際して、優れた防振効果が発揮される一方、チューニング周波数を外れた周波数域の振動入力に際しては、目的とする防振効果を有効に得ることが難しいという問題があった。特に、流体流路のチューニング周波数よりも高周波数の振動が入力されると、流体流路が反共振的な作用によって実質的に遮断されて、著しい高動ばね化により防振性能が大幅に低下するという問題を内包していた。
このような問題を解決する一つの手段として、例えば、特許文献1(特開平10−267072号公報)等では、可動弁体を往復駆動せしめることで流体流路を連通状態と遮断状態に切り換えて、入力振動の周波数に応じて防振特性を切り換えるようにした切換型の流体封入式防振装置が提案されている。
このような切換型の流体封入式防振装置においては、可動弁体を駆動させるアクチュエータとして、特許文献1に示されているように、磁力や電磁力を利用した電磁式アクチュエータ等が一般的に採用されている。しかしながら、電磁式のアクチュエータを用いた切換型の流体封入式防振装置では、可動弁体を切換作動位置に保持するための保持力を得るために、通電状態を維持する必要があり、消費電力の増大や発熱による耐久性の低下等が問題となり易い。
そこで、本発明者らは、先の出願において、電動モータの回転駆動力をカム機構やねじ機構からなる運動変換機構によって軸方向の往復駆動力に変換して、該軸方向駆動力を可動弁体に伝達して可動弁体を往復作動せしめることにより流体流路を連通状態と遮断状態に切り換えて防振特性を切り換えるようにした流体封入式防振装置を提案している。
ところが、本発明者が更なる検討と実験を行った結果、このような機械的な手段による防振特性の切換機構を備えた流体封入式防振装置において、新たな問題が発見された。即ち、カム機構やねじ機構からなる運動変換機構を用いた構造のアクチュエータでは、部品の製造誤差等により可動弁体の作動ストロークにばらつきが生じて、可動弁体の流体流路開口部に対する押付力に誤差が生じるおそれがある。その結果、可動弁体が必要以上に強い力で流体流路の開口部に押し付けられて、アクチュエータや可撓性膜を含む防振装置本体が損傷したり、可動弁体の押付けが不十分となることで流体流路の開口部が遮断状態に保持され難くなって、目的とする防振特性の切換えを実現出来なくなるおそれもあった。
特開平10−267072号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、部品の製造誤差等に起因する可動弁体の変位ストロークのばらつきによって、可動弁体の流体流路開口部に対する押付力にばらつきが生じる場合にも、押付力の作用による装置の破損を防ぐことが出来ると共に、目的とする切換作動を安定して実現することが出来る、改良された構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室を流体流路によって相互に連通する一方、該可撓性膜を挟んで該平衡室と反対側に配設されて往復作動によって該可撓性膜を該流体流路の開口部の外周端面に対して当接および離隔せしめることにより該流体流路を連通状態と遮断状態に切り換える可動弁体を設けると共に、該可動弁体の駆動用の電動モータを設けて、該電動モータの回転駆動力をカム機構又はねじ機構からなる運動変換機構を介して該可動弁体に対して往復駆動力として伝達させて該可動弁体を作動せしめるようにした流体封入式防振装置において、前記可撓性膜において前記可動弁体によって前記流体流路の開口部の外周端面に押し付けられる部分には、該流体流路の開口部側に向かって突出する環状の弾性リップが一体形成されており、該可動弁体の往復作動によって該弾性リップが該流体流路の開口部の外周端面に対して全周に亘って押し付けられるようになっていると共に、前記弾性リップが突出先端側に行くに従って内周側に傾斜するように突出していることを特徴とする。
このような本発明に従う構造の流体封入式防振装置においては、カム機構やねじ機構からなる運動変換機構によって電動モータの回転駆動力を往復駆動力として可動弁体に伝達するようにしたアクチュエータを備えていると共に、ダイヤフラムに対して流体流路の開口部側に向かって突出する環状の弾性リップが一体形成されており、可動弁体の作動によって弾性リップが流体流路の開口周縁部に対して全周に亘って押し付けられるようになっている。これにより、部品寸法や組付精度の誤差或いは長期的な繰返し作動による磨耗等の経時的変化等によって、可動弁体の上死点(流体流路の開口部に対して最も接近する位置)がばらつく場合にも、弾性リップが弾性変形することにより、かかるばらつきに起因して、可動弁体が流体流路の開口周縁部に対して必要以上に強く押し付けられる、或いは、可動弁体が流体流路の開口周縁部に対して十分に強く押し付けられないという問題が生じるのを回避することが出来る。
蓋し、弾性リップが流体流路の開口周縁部に向かって突出するように形成された環状となっていることから、弾性リップは、流体流路の開口周縁部に対する当接に際して、平板形状のゴム弾性体が当接する場合に比して容易に弾性変形せしめられる。その結果、可動弁体と流体流路の開口部との相対変位量の増大に伴う弾性リップの当接による圧力の上昇が、小さく抑えられることとなって、可動弁体と流体流路の開口部との相対距離の誤差がより広い範囲に亘って許容される。それ故、可動弁体が流体流路の開口部に対して必要以上に大きな力で押し付けられるのを、弾性リップの弾性変形に基づく緩衝作用によって防ぐことが出来ると共に、可動弁体の作動端位置を誤差を考慮して流体流路の開口部側に予め偏倚させることで、流体流路の開口部に対する弾性リップの当接不良を防いで、流体流路の遮断状態を安定して実現することが出来るからである。
したがって、可動弁体の作動端位置の誤差によって可動弁体と流体流路の開口部が過剰に接近せしめられて、それら可動弁体と流体流路の開口部との間に介在される可撓性膜が破損したり、過大な圧力が伝達されることによってアクチュエータが故障するのを防ぐことが出来る。一方、可動弁体と流体流路の開口部が充分に接近しないことによって、流体流路の遮断状態下で流体流路の平衡室側の開口部において受圧室から平衡室への液漏れが生じるのを防いで、防振特性の切替えを有効に実現することが出来る。
また、弾性リップを傾斜させることで、突出方向での圧縮変形に加えて、突出方向に対して直交する方向での剪断変形が積極的に生ぜしめられる。それ故、弾性リップの弾性変形に基づく緩衝作用をより効果的に発揮させることが出来て、アクチュエータの製造誤差等に基づく可動弁体の作動端位置のばらつきを一層有利に吸収し、製造誤差の許容範囲をより大きく得ることが出来る。その結果、目的とする防振特性の安定した切替えと、過大な当接力の作用に起因する装置の損傷の回避を、両立して容易に実現することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記弾性リップが突出先端側に行くに従って次第に狭幅となる断面形状を有していても良い。
これによれば、弾性リップの断面形状によって緩衝作用が一層効果的に発揮されることとなる。それ故、実現可能な部品の寸法精度や磨耗等の経時的な変化に起因する可動弁体の作動端位置の誤差をより有利に許容して、優れた耐久性を持って安定した防振特性の切替えを実現することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記可撓性膜において前記流体流路の前記平衡室側の開口部に押し付けられる部分がその周囲に比して厚肉となっていても良い。
これによれば、可撓性膜が流体流路の平衡室側開口部に対して繰返し押し付けられて磨耗することにより破損するのを防いで、可撓性膜延いては防振装置全体の耐久性の向上を図ることが出来る。しかも、弾性リップが形成される部分が厚肉とされていることにより、弾性リップの形成部分において可撓性膜の変形が抑えられて、弾性リップが流体流路の開口周縁部に対して安定して当接せしめられる。その結果、流体流路の開口周縁部に対する弾性リップの当接下、流体流路の遮断が液漏れ等を生じない態様で効果的に実現されて、受圧室の液圧の逃げを防止することが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置においては、前記可撓性膜と前記可動弁体を該可動弁体の往復作動方向に対して直交する方向で相互に位置決めする位置決め手段を設けることが望ましい。
このように、可動弁体を可撓性膜に対して位置決めする位置決め手段を設けることにより、アクチュエータの繰返しの作動によっても弾性リップが可動弁体上から外れることなく位置せしめられる。それ故、可動弁体と流体流路の開口部との当接に際して、弾性当接リップが可動弁体と流体流路の開口部との対向間に安定して介在されて、可動弁体の上死点の誤差を吸収する作用が有効に発揮される。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に係る流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具14と第二の取付部材としての第二の取付金具16を本体ゴム弾性体18で相互に連結した構造を有している。そして、第一の取付金具14が図示しないパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具16が図示しない車両ボデー側に取り付けられることで、パワーユニットが車両ボデーに防振支持されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、特に説明がない限り、エンジンマウント10の軸方向である図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付金具14は、鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成された高剛性の部材であって、全体として略円形ブロック形状を有しており、上端部分が略一定の円形断面を有する円柱形状を有していると共に、下端部が下方に行くに従って次第に小径となる逆向きの略円錐台形状を有している。また、第一の取付金具14の径方向中央部分には、上方に向かって突出する取付ボルト20が一体形成されている。
一方、第二の取付金具16は、全体として薄肉大径の略円筒形状を呈しており、第一の取付金具14と同じ材料で形成されている。また、第二の取付金具16の上端部分は、上方に行くに従って次第に拡開するテーパ形状とされており、その上端縁部には、フランジ状部22が一体形成されている。更に、第二の取付金具16の下端部に対して外周側に向かって広がる段差部24が形成されていると共に、該段差部24の外周縁部には、下方に向かって延び出す円筒形状のかしめ片26が一体形成されている。
また、第一の取付金具14と第二の取付金具16が同一中心軸上に配置されて、第一の取付金具14が第二の取付金具16の一方の開口部側に離隔して位置せしめられていると共に、それら第一の取付金具14と第二の取付金具16の間には本体ゴム弾性体18が介装されている。本体ゴム弾性体18は、厚肉の略円錐台形状を有しており、逆向きの略すり鉢状を有して大径側端面に開口する大径凹所28を備えている。そして、本体ゴム弾性体18の小径側端部に第一の取付金具14が埋設されて加硫接着されていると共に、大径側端部の外周面に第二の取付金具16の上端部分の内周面が重ね合わされて加硫接着されている。これにより、第一の取付金具14と第二の取付金具16が本体ゴム弾性体18によって弾性連結されている。なお、本実施形態では、本体ゴム弾性体18が第一の取付金具14と第二の取付金具16を備えた一体加硫成形品として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体18に形成された大径凹所28の開口周縁部から下方に向かって延び出すようにシールゴム層30が形成されている。シールゴム層30は、薄肉大径の略円筒形状を有するゴム弾性体で形成されており、第二の取付金具16の軸方向中間部分から段差部24に亘る領域の内周面を略全面に亘って覆うように被着形成されている。
また、本体ゴム弾性体18の一体加硫成形品には、可撓性膜としてのダイヤフラム32が取り付けられている。ダイヤフラム32は、薄肉の略円板形状を有するゴム弾性体で形成されており、径方向の中間部分に軸方向で十分な弛みが与えられている。また、ダイヤフラム32の径方向中央部分は、外周部分と比較して厚肉とされた円形の中央当接部34とされている。
さらに、ダイヤフラム32において薄肉とされた外周部分の内周縁部が、中央当接部34の外周縁部から下方に向かって円環段差形状をもって延び出している。これにより、ダイヤフラム32の径方向中央部分が中央当接部34を上底壁部として下方に向かって開口する逆向きの略皿形状とされており、その外周部分を構成する円環段差形状の部分によって位置決め部36が形成されている。
また、ダイヤフラム32の外周縁部には、環状の固定金具38が加硫接着されている。固定金具38は、略円環板形状を有する固着部40の外周縁部に対して上方に突出するかしめ部42を一体形成した構造を有しており、固着部40の内周部分に対してダイヤフラム32の外周縁部が加硫接着されていると共に、固着部40の外周部分の上面およびかしめ部42の内周面には、ダイヤフラム32と一体形成されたシール部44が固着されている。なお、本実施形態では、ダイヤフラム32が固定金具38を備えた一体加硫成形品として形成されている。
このような固定金具38を備えたダイヤフラム32は、固定金具38のかしめ部42が、第二の取付金具16のかしめ片26に対して内挿されて、第二の取付金具16の段差部24に対して下方から重ね合わされることにより、本体ゴム弾性体18の一体加硫成形品に対して位置決めされている。そして、固定金具38が、後述するブラケット金具68およびケース金具78と共に、かしめ片26によってかしめ固定されることにより、ダイヤフラム32が第二の取付金具16に対して取り付けられている。
このようなダイヤフラム32の第二の取付金具16への取付下、第二の取付金具16の内周側における本体ゴム弾性体18とダイヤフラム32の軸方向対向面間には、外部から密閉された流体封入領域46が形成されており、内部に非圧縮性流体が封入されている。なお、流体封入領域46に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、例えば、アルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油やそれらの混合液が好適に採用される。また、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
また、流体封入領域46には、仕切部材48が収容配置されている。仕切部材48は、厚肉の略円板形状を有しており、下端部には下面に開口する中央凹所50が形成されている。また、仕切部材48の外周縁部には、螺旋状を為して周方向に所定の長さで延びる周溝52が形成されて、外周面に開口せしめられていると共に、仕切部材48の中央部分には、軸方向で直線的に延びる円形の連通路54が貫通形成されている。
この仕切部材48は、流体封入領域46内に配設されて、第二の取付金具16によって支持されている。即ち、ダイヤフラム32の第二の取付金具16への装着前に、仕切部材48が第二の取付金具16に内挿されて、仕切部材48の上端面の外周縁部が本体ゴム弾性体18の下端面に当接せしめられることにより軸方向で位置決めされると共に、第二の取付金具16に対して八方絞り等の縮径加工が施されることによって、仕切部材48の外周面が第二の取付金具16の内周面に対してシールゴム層30を介して密着せしめられる。更に、ダイヤフラム32に固着された固定金具38が、その内周縁部が仕切部材48の外周縁部に対してシール部44を介して下方から当接された状態で、第二の取付金具16に対してかしめ固定される。以上によって、仕切部材48が第二の取付金具16で支持されて、流体封入領域46内に位置決め固定されている。
また、仕切部材48が流体封入領域46内において軸直角方向に広がるように配設されることにより、流体封入領域46が仕切部材48を挟んだ両側に二分されており、仕切部材48を挟んだ上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体18で構成されて、内圧変動が惹起される受圧室56が形成されていると共に、仕切部材48を挟んだ下側には、壁部の一部がダイヤフラム32で構成されて、容積変化が許容される平衡室58が形成されている。なお、それら受圧室56と平衡室58には、流体封入領域46に封入された非圧縮性流体が封入されている。
さらに、仕切部材48の外周面が第二の取付金具16に対して流体密に重ね合わされていることにより、仕切部材48の外周縁部に形成された周溝52の開口部が全周に亘って流体密に覆蓋されている。更に、周溝52の周方向一方の端部が、連通窓60を通じて受圧室56に連通されていると共に、他方の端部が連通窓62を通じて平衡室58に連通されている。これによって、周方向に所定の長さで延びて受圧室56と平衡室58を相互に連通せしめる第一のオリフィス通路64が、周溝52を利用して形成されている。
更にまた、仕切部材48の径方向中央部分を軸方向に貫通する連通路54によって、受圧室56と平衡室58が、第一のオリフィス通路64よりも短い通路長さと大きな通路断面積をもって相互に連通されている。これにより、第一のオリフィス通路64よりも高周波数の振動にチューニングされて、受圧室56と平衡室58を相互に連通する流体流路としての第二のオリフィス通路66が、連通路54を利用して形成されている。なお、第二のオリフィス通路66の平衡室58側の開口部に対して軸方向の投影において重なるようにダイヤフラム32の中央当接部34が位置せしめられている。
また、第二の取付金具16には、ブラケット金具68が取り付けられている。ブラケット金具68は、略有底円筒形状を有しており、開口周縁部にフランジ部70を有している。また、ブラケット金具68の底壁部には径方向中央部分に円形の貫通孔が形成されている。更に、ブラケット金具68の外周面には、周上の複数箇所に取付脚部72が固着されている。なお、取付脚部72の下端部には、ボルト孔74が形成されており、ボルト孔74に挿通される図示しないボルトによってブラケット金具68が車両ボデーに取り付けられるようになっている。
このような構造のブラケット金具68は、フランジ部70が、ダイヤフラム32の固定金具38に重ね合わされて、第二の取付金具16のかしめ片26によってかしめ固定されることにより、第二の取付金具16に対して取り付けられて、第二の取付金具16の下側に配置されている。
また、ダイヤフラム32とブラケット金具68の軸方向間には、アクチュエータ76が配設されており、アクチュエータ76はケース金具78を含んで構成されている。ケース金具78は、薄肉大径の有底円筒形状を呈しており、底壁部の径方向中央部分には、上方に開口する凹所状の嵌着窪み部80が形成されている。なお、本実施形態では、嵌着窪み部80の径方向中央部分に板厚方向で貫通する挿通孔82が形成されている。
また、嵌着窪み部80には、環状のボールベアリング84が嵌め付けられている。ボールベアリング84は、アンギュラ玉軸受け等が好適に用いられ、かかるボールベアリング84によって、ケース金具78に対して後述する支軸部116が相対回転可能に組み付けられている。
また、ケース金具78によって電動モータ92が支持されている。電動モータ92は、既存の電動機であって、回転軸94を有している。そして、外部に設けられた電源装置100からの通電によって、回転軸94に回転力が作用せしめられて、回転軸94が中心軸回りで一方向に回転駆動せしめられるようになっている。また、電動モータ92は、ケース金具78の底壁部上に固定された支持台96によって支持されており、回転軸94がマウント中心軸に対して直交する方向に延びるように配設されている。なお、図1において、アクチュエータは、見易さのために、ケース金具78およびボールベアリング84とそれぞれ後述するカバー金具130,保持ばね132が、何れも断面図として図示されていると共に、他の部分が何れも側面図として図示されている。また、電動モータ92としては、他励直流電動機等の各種公知のモータ(電動機)を採用することが出来ることから、ここでは内部構造等の詳細については省略する。
また、電動モータ92と電源装置100を電気的に接続する回路上には、制御装置102が設けられている。この制御装置102によって、電動モータ92への通電が制御されて回転軸94が所定の回転角ずつ一方向に回転するように制御されている。なお、電動モータ92への通電と非通電を切り換える制御装置102は、従来から公知のものを採用することが出来るため、ここでは説明を省略する。
また、電動モータ92の回転軸94には、ウォームギヤ104が取り付けられている。ウォームギヤ104は、外周面にねじ状の歯筋を有する歯車であって、電動モータ92の回転軸94が中心軸上を延びるように挿し入れられて固着されている。そして、回転軸94の回転駆動に伴ってウォームギヤ104が回転せしめられるようになっている。
また、ウォームギヤ104には、ウォームホイール106が噛合されている。ウォームホイール106は、外周面にウォームギヤ104の歯筋と対応する歯筋を有する円板形状の歯車であって、ウォームギヤ104の回転によって回転軸94と直交する方向に延びる軸(後述する第一の支軸108)回りで回転せしめられるようになっている。また、ウォームホイール106の径方向中央部分には、第一の支軸108が挿通されている。そして、ウォームホイール106は、第一の支軸108を中心として回転を許容された状態で第一の支軸108によって支持されている。なお、第一の支軸108は、略一定の小径円形断面をもって直線的に延びるロッド状を有しており、その下端部がケース金具78の底壁部に固定されて、電動モータ92の回転軸94と直交する方向である軸方向上下に延びている。
また、ウォームホイール106の下方には、第一のギヤ110が配設されている。この第一のギヤ110は、外周面において軸方向に延びる多数条の歯筋を有する一般的な歯車であって、径方向の中心に第一の支軸108が挿通されており、第一の支軸108を中心とする回転を許容された状態で第一の支軸108によって支持されている。また、第一のギヤ110は、ウォームホイール106と一体的に回転せしめられるようになっており、本実施形態では、ウォームホイール106と一体形成されて、ウォームホイール106から下方に突出するように第一のギヤ110が形成されている。なお、第一のギヤ110は、ウォームホイール106とは別体で形成されて、ウォームホイール106の下面に固着されていても良い。
また、第一のギヤ110には、第二のギヤ112が噛合されている。第二のギヤ112は、第一のギヤ110に比して大径とされた円板形状の歯車であって、第一のギヤ110に対応する歯筋を外周面に有している。
さらに、第二のギヤ112の径方向中央部分には貫通孔が形成されており、該貫通孔にカム支軸114が挿通固着されている。カム支軸114は、支軸部116と下側カム部118を含んで構成されている。支軸部116は、小径の略円柱形状を有しており、その上端部が第二のギヤ112の径方向中央に形成された貫通孔に挿通されている。また、支軸部116の下端部は、ケース金具78の嵌着窪み部80に嵌め付けられたボールベアリング84に挿通固定されており、支軸部116がケース金具78によって中心軸回りで回転可能に支持されている。
また、下側カム部118は、支軸部116よりも大径の略有底円筒形状を有しており、その周壁部の上端面が波状面とされて、周壁部の高さが周方向で変化せしめられている。更に、下側カム部118は、支軸部116と同一中心軸上で支軸部116の上方に配置されて、底壁部が支軸部116の上端部に対して固定されている。これにより、支軸部116と下側カム部118によってカム支軸114が構成されている。
そして、カム支軸114は、支軸部116が第二のギヤ112の貫通孔に対して上方から挿入されて固定されると共に、下側カム部118の下端面が第二のギヤ112の上面に対して上方から重ね合わされて固定される。これにより、カム支軸114が第二のギヤ112に対して固定されて、第二のギヤ112の回転駆動に伴って中心軸回りで回転せしめられるようになっている。
また、下側カム部118の上方には、駆動軸としての駆動部材120が配設されている。駆動部材120は、全体として軸方向上下に延びるロッド状であって、一体形成された上側カム部122と連結軸部124を有している。上側カム部122は、逆向きの略有底円筒形状を有しており、周壁部の下端面が下側カム部118の上端面に対応する波状面とされている。そして、下側カム部118の上端面と上側カム部122の下端面が軸方向で重ね合わされることによって、運動変換機構としてのカム機構が、それら上下のカム部122,118で構成されている。
また、上側カム部122の径方向中央部分には、上方に向かって延びる連結軸部124が形成されている。連結軸部124は、小径のロッド形状であって、軸方向で直線的に延びている。更に、本実施形態において、連結軸部124は、軸方向での変位が許容されていると共に、中心軸回りでの回転が制限されている。即ち、例えば、連結軸部124の周上の一部に対して軸方向に延びる溝部を形成して、該溝部に対して後述するカバー金具130から突出する図示しない係止突起を挿し入れることにより、係止突起が溝部に沿って移動することで連結軸部124の軸方向での変位が許容されていると共に、係止突起と溝部の内壁面との当接によって連結軸部124の中心軸回りでの回転が防止されている。
さらに、連結軸部124の上端部には、可動弁体としての弁部材128が取り付けられている。この弁部材128は、略円板形状であって、連結軸部124と同一中心軸上に配設されている。なお、本実施形態では、弁部材128が上側カム部122および連結軸部124とは別体とされており、後述するカバー金具130のケース金具78へ装着後において、弁部材128が、円形孔を通じてカバー金具130よりも上方に突出する連結軸部124の上端面に重ね合わされて、接着やねじ止め等の手段によって連結軸部124に対して固定されている。
また、本実施形態では、ケース金具78の開口部を覆うようにカバー金具130が配設されている。カバー金具130は、全体として薄肉の逆向き皿形状を呈しており、外周部分が径方向外側に行くに従って次第に下傾するテーパ形状となっていると共に、径方向中央部分が逆向きの略有底円筒形状となっており、上底壁部の径方向中央部分に小径の円形孔が貫通形成されている。更に、カバー金具130の外周縁部には、下方に向かって延びる筒状の圧入部が一体形成されている。そして、カバー金具130は、ケース金具78に対して圧入固定されており、径方向中央に形成された円形孔に対して連結軸部124が挿通されている。これによって、カバー金具130のケース金具78への装着下、アクチュエータ76の駆動機構がケース金具78とカバー金具130の対向面間に収容配置されていると共に、連結軸部124の一部と弁部材128がカバー金具130よりも上方に突出せしめられている。
また、上側カム部122とカバー金具130の間には、保持ばね132が配設されている。保持ばね132は、一般的な弦巻ばねであって、連結軸部124に外挿されており、上端部が支持金具を介してカバー金具130に当接せしめられていると共に、下端部が上側カム部122の上底壁部に当接せしめられている。これにより、保持ばね132の付勢力が上側カム部122を軸方向で下向きに付勢するように作用せしめられており、上側カム部122の下端面が下側カム部118の上端面に対して押し付けられている。
かくの如き構造とされたアクチュエータ76では、電動モータ92に外部の電源装置100から通電されると、回転軸94が中心軸回りで回転駆動せしめられる。また、回転軸94に固定されたウォームギヤ104が回転軸94と共に回転せしめられて、ウォームギヤ104に噛合されたウォームホイール106が第一の支軸108回りで回転せしめられる。更に、ウォームホイール106と一体形成された第一のギヤ110が第一の支軸108を中心として回転せしめられることにより、第一のギヤ110と噛合された第二のギヤ112が回転せしめられて、第二のギヤ112に固定されたカム支軸114が中心軸回りで回転せしめられる。
そして、カム支軸114の回転によって、下側カム部118が回転を防止された上側カム部122に対して相対的に回転せしめられると、上下のカム部122,118の重ね合わせ面の波形状を利用して回転運動を直線的な往復運動に変換する運動変換作用が発揮されて、上側カム部122が下側カム部118の回転に伴って上下方向に往復駆動せしめられる。これによって、上側カム部122と一体形成された連結軸部124が上下方向に駆動せしめられると共に、連結軸部124に固定された弁部材128が上下方向で往復駆動せしめられるようになっている。なお、本実施形態では、連結軸部124の中心軸回りでの回転が防止されることにより、連結軸部124に対して固定された上側カム部122の回転が防止されて、カム機構による運動変換作用が発揮されるようになっているが、例えば、上側カム部122とケース金具78やカバー金具130との間に上側カム部122の中心軸回りでの回転を防止する回転制限機構を設けて、上側カム部122の回転を直接制限するようにしても良い。
かくの如き構造とされたアクチュエータ76は、ダイヤフラム32とブラケット金具68の軸方向対向間のスペースに配設される。即ち、アクチュエータ76のケース金具78の開口周縁部に一体形成された取付フランジ134が、ダイヤフラム32の固定金具38とブラケット金具68のフランジ部70の間に挟み込まれると共に、第二の取付金具16のかしめ片26でかしめ固定されることにより、ケース金具78が第二の取付金具16によって支持されている。
また、アクチュエータ76の装着下、弁部材128がダイヤフラム32を挟んで平衡室58と反対側に配置されており、ダイヤフラム32の中央当接部34に対して下方から非接着で重ね合わされている。そして、弁部材128の往復作動に伴って、中央当接部34が軸方向上下に変位せしめられるようになっている。これにより、中央当接部34が、仕切部材48の下面に開口する第二のオリフィス通路66の平衡室58側の開口部に対して、接近方向と離隔方向に変位せしめられるようになっており、第二のオリフィス通路66の連通と遮断が中央当接部34の押付けと解除によって切り換えられるようになっている。
また、本実施形態では、ダイヤフラム32において中央当接部34の外周縁部から下方に向かって延び出す位置決め部36が形成されており、円環段差形状とされた位置決め部36の内周側に弁部材128が挿し入れられて、弁部材128が中央当接部34に対して下方から重ね合わせられている。このように弁部材128の外周側を取り囲むように環状の位置決め部36が形成されていることにより、弁部材128と位置決め部36の当接によって、ダイヤフラム32と弁部材128の軸直角方向での相対変位が制限されるようになっており、位置決め部36によって本実施形態における位置決め手段が構成されている。
ここにおいて、ダイヤフラム32の中央当接部34には、弾性リップとしての環状当接リップ136が一体形成されている。環状当接リップ136は、中央当接部34から上方に向かって突出する突条であって、略一定の断面形状で周方向に連続的に延びるリング状となっている。また、本実施形態では、環状当接リップ136が略半円形の断面形状を有しており、その断面形状が突出先端側に行くに従って次第に狭幅となっている。
さらに、環状当接リップ136は、第二のオリフィス通路66よりも大径の環状となっていると共に、環状当接リップ136が第二のオリフィス通路66と同一中心軸上に位置するように形成されている。そして、弁部材128の軸方向での作動により中央当接部34が仕切部材48に接近せしめられることによって、図2,3に示されているように、環状当接リップ136が第二のオリフィス通路66の平衡室58側開口部の外周側を取り囲むように全周に亘って仕切部材48に対して押し付けられるようになっている。これによって、ダイヤフラム32の中央当接部34が環状当接リップ136を介して仕切部材48の径方向中央部に対して下方から当接されるようになっており、当接状態で第二のオリフィス通路66が遮断状態に切り換えられるようになっている。なお、本実施形態では、環状当接リップ136が全周に亘って略一定の突出高さで形成されており、環状当接リップ136が仕切部材48に対して全周に亘って略一定の当接圧で安定して押し付けられるようになっている。また、図2には、環状当接リップ136が初期の形状に維持された当接状態であるゼロタッチ状態が示されていると共に、図3には、環状当接リップ136が軸方向に圧縮変形せしめられた当接状態である押付状態が示されている。
また、本実施形態において、環状当接リップ136は、その突出高さ寸法が、中央当接部34の肉厚寸法よりも小さくなっていると共に、中央当接部34の肉厚寸法の1/4よりも大きくなっている。蓋し、環状当接リップ136の突出高さが大き過ぎると、仕切部材48への当接に際して環状当接リップ136の形状を維持し難く、倒れ込み等の変形を生じることで後述する誤差吸収作用が有効に発揮されないおそれがある一方、環状当接リップ136の突出高さが小さ過ぎると、環状当接リップ136の圧縮変形に基づいて発揮される誤差吸収作用を有効に得ることが難しいからである。
このような構造とされたエンジンマウント10では、第一のオリフィス通路64がチューニングされた低周波数の振動入力に際して、弁部材128が上端の閉作動位置に位置せしめられるようにアクチュエータ76が作動されるようになっている。これにより、第二のオリフィス通路66の平衡室58側の開口部がダイヤフラム32の中央当接部34によって閉塞されて第二のオリフィス通路66が遮断状態に切り替えられるようになっており、第一のオリフィス通路64を通じての流体流動量を有利に確保して、流体の流動作用に基づく防振効果(高減衰効果)が効率的に発揮されるようになっている。
一方、第二のオリフィス通路66がチューニングされた高周波数の振動入力に際して、弁部材128が下端の開作動位置に位置せしめられるようにアクチュエータ76が作動されるようになっている。これにより、中央当接部34が第二のオリフィス通路66の平衡室58側の開口部から離隔せしめられて、第二のオリフィス通路66が連通状態に切り替えられるようになっている。その結果、第二のオリフィス通路66を通じて両室56,58間での流体流動が生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果(低動ばね効果)が発揮されるようになっている。
そこにおいて、本実施形態に従う構造のエンジンマウント10においては、ダイヤフラム32の中央当接部34に環状当接リップ136が一体形成されており、アクチュエータ76の閉作動時には、環状当接リップ136が仕切部材48に対して全周に亘って押し付けられることにより、第二のオリフィス通路66が遮断状態に切り替えられるようになっている。
このように、圧縮変形によるばね定数の上昇が小さく抑えられる環状当接リップ136を介して、ダイヤフラム32が仕切部材48に押し付けられるようになっていることにより、カム機構によって駆動部材120を軸方向で位置決めすることにより弁部材128を往復作動せしめるようにされたアクチュエータ76を採用するエンジンマウント10において、該アクチュエータ76の寸法や組付けの誤差等によって弁部材128の上死点にばらつきがある場合にも、環状当接リップ136の弾性変形に基づく緩衝作用により、弁部材128の仕切部材48に対する押付けによる圧力の上昇が抑えられて、アクチュエータ76や仕切部材48,ダイヤフラム32の破損を防止することが出来る。
しかも、環状当接リップ136による緩衝作用を期待出来ることから、死点位置のばらつきを考慮して弁部材128の上死点を仕切部材48寄りに設定することも可能である。その結果、製造誤差等に起因してダイヤフラム32が第二のオリフィス通路66の平衡室58側の開口部に充分に大きな当接力で押付保持されなくなるのを防ぐことが出来る。それ故、第二のオリフィス通路66の連通状態と遮断状態の切替えを安定して実現することが出来て、目的とする広範囲乃至は複数の周波数域の振動に対する防振効果を、有効に得ることが可能となる。
なお、このようなアクチュエータ76の製造時の誤差を吸収する作用が、環状当接リップ136によって発揮されることは、図4に示されたグラフを参照することでより一層明らかとなる。即ち、環状当接リップ136を一体形成されたダイヤフラム32を有する本実施形態に係るエンジンマウント10(図4中に実線で示された実施例)では、ダイヤフラム32(環状当接リップ136)を仕切部材48に対するゼロタッチ状態(図2に示された環状当接リップ136が圧縮変形を生じない接触状態)から仕切部材48側に押し付けた場合(図3参照)において、環状当接リップ136を有していない平坦な中央当接部34を有する構造のエンジンマウント(図4中に一点鎖線で示された比較例)に比して、当接力の増大が緩やかになっている。なお、図4においては、縦軸がダイヤフラム32(環状当接リップ136)の仕切部材48に対する当接力を示すと共に、横軸がダイヤフラム32を押圧する弁部材128の上死点の位置を示す。
その結果、アクチュエータ76や仕切部材48の損傷が問題とならない最大限の当接力であるYmax と、第二のオリフィス通路66を有効な遮断状態に保持し得る最小限の当接力であるYmin との間である適当な当接力を、比較例における弁部材128の変位量の許容範囲:d1 よりも広い範囲:d2 に亘って得ることが出来る。従って、製造誤差等による弁部材128の上死点の誤差をより大きく許容することが出来て、例えば、複数のエンジンマウント10において弁部材128の上死点の位置がXmin (下限)からXmax (上限)までの誤差をもってばらつく場合にも、実施例に係るエンジンマウント10では、第二のオリフィス通路66の安定した切替えと、当接力の作用によるアクチュエータや仕切部材48の損傷防止を、両立して有利に実現することが出来るのである。
また、本実施形態では、環状当接リップ136の断面形状が、突出先端側に行くに従って次第に狭幅となる略半円形状とされている。それ故、環状当接リップ136の仕切部材48に対する当接に際して、当接による圧力の急激な増大をより有利に防ぐことが出来て、仕切部材48やアクチュエータ76の破損を一層効果的に回避することが可能となる。
さらに、ダイヤフラム32において環状当接リップ136が一体形成されて弁部材128に重ね合わされる中央当接部34が、外周部分に比して厚肉とされている。これによって、弁部材128との当接による磨耗によって、破れ等の損傷を生じるのを防いで、耐久性の向上を図ることが出来る。
更にまた、ダイヤフラム32において中央当接部34の外周側に位置する薄肉部分の内周縁部が、中央当接部34の外周縁部から下方に延び出すように形成されている。これによって、ダイヤフラム32の径方向中央部分が下方に向かって開口する浅底の皿形状となっており、弁部材128が該皿形状の中央部分に対して下方から差し入れられている。その結果、ダイヤフラム32が弁部材128に対して軸直角方向で大きく相対変位するのを回避することが出来て、中央当接部34に一体形成された環状当接リップ136を弁部材128上に保持することが出来る。それ故、アクチュエータ76の閉作動時に、環状当接リップ136を仕切部材48に対して所定の圧縮代で安定して押し付けることが出来る。
次に、図5には、本発明に係る流体封入式防振装置の第二の実施形態として、自動車用のエンジンマウント138が示されている。エンジンマウント138は、マウント本体139を有しており、マウント本体139は、更に第一の取付部材としての第一の取付金具140と第二の取付部材としての第二の取付金具142を本体ゴム弾性体144で相互に連結した構造を有している。そして、第一の取付金具140が図示しないパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具142が図示しない車両ボデー側に取り付けられることで、パワーユニットが車両ボデーに防振支持されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、特に説明がない限り、エンジンマウント138の軸方向である図5中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付金具140は、鉄やアルミニウム合金等で形成されたブロック状の部材であって、本実施形態では、上部が段付きの円形ブロック形状とされていると共に、下部が上方に行くに従って次第に大径となるテーパ形状とされている。また、第一の取付金具140の上端部には、上方に向かって突出する取付ボルト146が一体的に設けられている。
一方、第二の取付金具142は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、第一の取付金具140と同様に鉄やアルミニウム合金等で形成された高剛性の部材とされている。また、第二の取付金具142の上端部に内フランジ状の段差部148が設けられていると共に、段差部148の内周側端部には、上方に向かって次第に拡開して延びるテーパ状部150が一体形成されている。更に、テーパ状部150の上端には軸直角方向で広がるフランジ状部152が一体形成されている。
それら第一の取付金具140と第二の取付金具142は、第一の取付金具140が、第二の取付金具142のフランジ状部152を設けられた側の開口部側に離隔するように、同一中心軸上に配置される。そして、第一の取付金具140と第二の取付金具142の間に本体ゴム弾性体144が介装せしめられて、第一の取付金具140と第二の取付金具142が本体ゴム弾性体144で相互に連結されている。
本体ゴム弾性体144は、厚肉の略円錐台形状を有するゴム弾性体で形成されており、大径側の端部には、端面に開口する半球形状乃至はすり鉢形状の大径凹所154が形成されている。そして、本体ゴム弾性体144の小径側端部には、第一の取付金具140が下端部を挿し込まれて加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体144の大径側端部外周面には、第二の取付金具142のテーパ状部150を含む上端部分が重ね合わされて加硫接着されている。これにより、第一の取付金具140と第二の取付金具142が本体ゴム弾性体144で弾性連結されていると共に、第二の取付金具142の一方の開口部が本体ゴム弾性体144で流体密に閉塞されている。以上により、本実施形態における本体ゴム弾性体144は、第一の取付金具140と第二の取付金具142を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体144の大径側端部の外周縁部には、軸方向下方に向かって薄肉大径の筒状を有するシールゴム層156が一体形成されている。このシールゴム層156は、第二の取付金具142の内周面に被着形成されており、第二の取付金具142の段差部148よりも下側部分の内周面が、シールゴム層156によって被覆されている。なお、大径凹所154の開口周縁部において、シールゴム層156よりも内周側には、略軸直角方向に広がる環状の段差面158が形成されている。
また、第二の取付金具142の他方の開口部分には、可撓性膜としてのダイヤフラム160が配設されている。ダイヤフラム160は、薄肉大径の略円板形状を呈するゴム膜であって、外周部分に軸方向で充分な弛みを有している。また、ダイヤフラム160の径方向中央部分は、外周部分に比して厚肉の円板形状とされた中央当接部162とされている。更に、ダイヤフラム160の外周縁部には、円環形状の固着部164が一体形成されている。
また、ダイヤフラム160において薄肉とされた外周部分の内周縁部が、中央当接部162の外周縁部から下方に延び出す円環段差形状とされている。そして、ダイヤフラム160の径方向中央部分が、上底壁部を中央当接部162で構成された逆向き略皿形状とされており、該中央部分の外周部分によって環状の位置決め部165が形成されている。
また、ダイヤフラム160に設けられた固着部164には、固定金具166が加硫接着されている。固定金具166は、鉄等で形成された高剛性の部材であって、大径の略円環形状を有しており、固着部164に埋設状態で固着せしめられている。以上のように、本実施形態におけるダイヤフラム160は、固定金具166を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されている。
そして、ダイヤフラム160の一体加硫成形品は、第一の取付金具140と第二の取付金具142を備えた本体ゴム弾性体144の一体加硫成形品に取り付けられる。即ち、第二の取付金具142の本体ゴム弾性体144とは反対側の開口部からダイヤフラム160を挿し入れた後に、第二の取付金具142に対して縮径加工を施すことにより、固定金具166を第二の取付金具142の開口部分に嵌着固定させる。これにより、ダイヤフラム160が第二の取付金具142の他方の開口部分を流体密に覆蓋するように取り付けられる。
かかるダイヤフラム160の第二の取付金具142への組付け下、第二の取付金具142の内周側には、本体ゴム弾性体144とダイヤフラム160の軸方向対向面間に、外部から隔離されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域168が形成されている。なお、封入される非圧縮性流体は、前記第一の実施形態と同様であることから、説明を省略する。
また、流体封入領域168には、仕切部材170が収容配置されており、第二の取付金具142で支持されている。仕切部材170は、仕切部材本体172と蓋板金具174を含んで構成されている。仕切部材本体172は、厚肉の略円板形状を有しており、硬質の合成樹脂やアルミニウム合金等の金属で形成されている。また、仕切部材本体172の径方向中央部分には、下方に向かって開口する円形の中央凹所176が形成されている。更に、仕切部材本体172の径方向中央部分には、上方に向かって突出する小径の中央突起178が一体形成されている。
また、仕切部材本体172の外周縁部には、第一の周溝180が形成されている。第一の周溝180は、仕切部材本体172の外周面に開口せしめられており、仕切部材本体172の外周縁部を周方向に一周弱の所定長さで連続して延びている。更に、仕切部材本体172の径方向中間部分には、凹溝182が形成されている。凹溝182は、仕切部材本体172の上端面に開口せしめられており、中央凹所176と第一の周溝180の径方向間を周方向に一周弱の所定長さで連続して延びている。なお、この凹溝182は、一方の端部が軸直角方向に延びる連通路184を通じて中央凹所176に連通されている。
一方、蓋板金具174は、略円板形状を有する金属製の部材とされている。また、本実施形態の蓋板金具174は、外周部分が段差を介して中央部分よりも軸方向上方に位置せしめられている。更に、蓋板金具174の中央部分には、円形の貫通孔186が形成されている。貫通孔186は、仕切部材本体172に形成された中央突起178の形状に対応する小径の孔とされている。
そして、それら仕切部材本体172と蓋板金具174が相互に組み合わされることにより、本実施形態における仕切部材170が構成されている。即ち、仕切部材本体172の上端面に対して蓋板金具174が重ね合わされると共に、仕切部材本体172に突設された中央突起178を蓋板金具174に貫通形成された貫通孔186に対して嵌め込むことにより、蓋板金具174が仕切部材本体172に対して固定されて、仕切部材170が構成される。
かかる仕切部材170においては、仕切部材本体172と蓋板金具174が、径方向中央部分で相互に密着して重ね合わされていると共に、外周部分で軸方向に所定距離を隔てて位置せしめられている。そして、仕切部材本体172と蓋板金具174が相互に離隔した外周部分には、それら仕切部材本体172と蓋板金具174の対向面間を周方向に延びる第二の周溝188が形成されている。この第二の周溝188は、図中において必ずしも明らかではないが、周方向に一周弱の所定長さで連続的に延びている。なお、第二の周溝188の周方向端部間には、仕切部材本体172と一体形成された図示しない隔壁が設けられて、第二の周溝188を周方向で一周に満たない長さに仕切っている。
また、仕切部材本体172と蓋板金具174の組付け下において、第一の周溝180の一方の端部と第二の周溝188の一方の端部が、第一の周溝180の一方の端部において仕切部材本体172の上端面に開口する接続窓190を通じて相互に接続されている。これにより、第一の周溝180と第二の周溝188によって周方向に二周弱の所定長さで延びる螺旋状の周溝192が形成されている。
このように仕切部材本体172と蓋板金具174で構成された仕切部材170は、流体封入領域168内に収容配置される。即ち、ダイヤフラム160の第二の取付金具142への取付け前に、仕切部材170が、第二の取付金具142に対して、本体ゴム弾性体144を加硫接着された側と反対側の開口部から嵌め入れられる。その後、ダイヤフラム160が同開口部から第二の取付金具142に嵌め入れられて、第二の取付金具142に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、仕切部材170とダイヤフラム160が第二の取付金具142に対して嵌着固定される。
かかる仕切部材170とダイヤフラム160の配設下において、仕切部材170の上端面の外周部分が本体ゴム弾性体144の段差面158に圧接されると共に、仕切部材170の下端面の外周部分が固着部164を介して固定金具166に圧接されて、それぞれ流体密にシールされている。更に、仕切部材170の外周面が、シールゴム層156を介して第二の取付金具142に対して流体密に重ね合わされている。これらにより、流体封入領域168が仕切部材170を挟んで軸方向で上下に二分されており、仕切部材170を挟んだ一方の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体144で構成されて、本体ゴム弾性体144の弾性変形によって圧力変動が惹起せしめられる受圧室194が形成されていると共に、仕切部材170を挟んだ他方の側には、壁部の一部がダイヤフラム160で構成されて、ダイヤフラム160の弾性変形によって容積変形が許容される平衡室196が形成されている。なお、それら受圧室194と平衡室196には、流体封入領域168に封入された非圧縮性流体がそれぞれ封入されている。
また、仕切部材170の外周縁部に形成された周溝192の外周側開口部が、第二の取付金具142によって流体密に閉塞されている。また、周溝192の一方の端部が蓋板金具174に形成された図示しない連通窓を通じて受圧室194に連通されていると共に、周溝192の他方の端部が仕切部材本体172に形成された連通窓198を通じて平衡室196に連通されている。これらにより、周方向に所定の長さで延びて、受圧室194と平衡室196を相互に連通する第一のオリフィス通路200が、仕切部材170の周溝192を利用して形成されている。本実施形態において第一のオリフィス通路200は、流体の共振作用に基づく防振効果(高減衰効果)が、エンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効に発揮されるようにチューニングされている。
さらに、仕切部材170に形成された凹溝182の開口部が蓋板金具174によって覆蓋されており、凹溝182の一方の端部が蓋板金具174に形成された図示しない連通窓を通じて受圧室194に連通されていると共に、凹溝182の他方の端部が中央凹所176を通じて平衡室196に連通されている。これにより、周方向に所定の長さで延びて、受圧室194と平衡室196を相互に連通する流体流路としての第二のオリフィス通路202が、仕切部材170の凹溝182と中央凹所176を利用して形成されている。本実施形態において第二のオリフィス通路202は、流体の共振作用に基づく防振効果(低動ばね効果)が、アイドリング振動等に相当する20〜40Hz前後の中乃至高周波数域の振動に対して有効に発揮されるようにチューニングされている。
なお、オリフィス通路200,202のチューニングは、例えば、受圧室194や平衡室196の各壁ばね剛性、即ちそれら各室194,196を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体144やダイヤフラム160等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路200,202の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路200,202を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路200,202のチューニング周波数として把握することが出来る。
かくの如き構造を有する本実施形態に係るマウント本体139は、ブラケット金具204に組み付けられている。ブラケット金具204は、鉄等で形成された高剛性の部材であって、マウント本体139が嵌め入れられる嵌着部206を有している。嵌着部206は、全体として有底円筒形状を有しており、上端部にフランジ部208を有している。また、嵌着部206の外周面には、環状の脚部210が圧入や溶接等によって固定されている。この脚部210には、周上の複数箇所において図示しないボルト孔が貫通形成されており、ボルト孔に挿通される同じく図示しない固定用ボルトによって脚部210が車両ボデーに螺着固定されるようになっている。
そして、マウント本体139が、ブラケット金具204の嵌着部206に対して上側開口部から嵌め入れられて、第二の取付金具142が嵌着部206に圧入固定されることにより、マウント本体139がブラケット金具204に嵌着固定されている。なお、本実施形態では、第二の取付金具142の上端に設けられたフランジ状部152が、嵌着部206の上端に設けられたフランジ部208に対して上方から当接せしめられることにより、第二の取付金具142と嵌着部206が相対的に位置決めされるようになっている。
ここにおいて、ブラケット金具204には、アクチュエータ212が取り付けられている。アクチュエータ212は、マウント本体139の下方に配置されて、嵌着部206の底壁部に重ね合わされている。より詳細には、アクチュエータ212は電動モータ214を有している。
電動モータ214は、既存の電動機であって、回転軸216を有している。そして、外部に設けられた電源装置218からの通電によって、回転軸216に回転力が作用せしめられて、回転軸216が中心軸回りで回転駆動せしめられるようになっている。特に本実施形態では、回転軸216の回転方向が電動モータ214への通電方向に応じて変化せしめられるようになっている。なお、電動モータ214としては、他励直流電動機等の各種公知のモータ(電動機)を採用することが出来る。
また、電動モータ214の回転軸216には、螺子部としての雄ねじ部材220が取り付けられている。雄ねじ部材220は、外周面にねじ山が形成された略円柱形状の部材であって、中心軸上を延びるように回転軸216が挿し入れられて固着されている。そして、回転軸216の回転駆動に伴って雄ねじ部材220が回転せしめられるようになっている。
また、電動モータ214と電源装置218を電気的に接続する回路上には、制御装置222が設けられている。制御装置222は、例えば自動車の走行状態等を検出するセンサ(例えば、公知の速度センサ等)と、該センサの検出結果に応じて電動モータ214への通電方向を変化させる機械的な接点制御装置を含んで構成されている。この制御装置222によって、電動モータ214における回転軸216の回転方向が走行状態に応じて変化せしめられるようになっている。また、回転軸216の回転角や電動モータ214への通電時間等を検出して、その検出結果に応じて電動モータ214への通電を制御装置222で制御することにより、所定の回転量で回転軸216の回転が停止されるようになっている。なお、電動モータ214への通電方向や通電状態と非通電状態を切り換える制御装置222は、従来から公知の速度センサ等の各種センサと接点制御装置を組み合わせること等により実現することが可能であることから、ここでは説明を省略する。
また、電動モータ214は、支持部材224に取り付けられている。支持部材224は、厚肉の円環形状を有しており、本実施形態では、硬質の合成樹脂で形成されている。更に、支持部材224の上端部に外周側に向かって広がる当接部226が設けられていると共に、当接部226の外周縁部が上方に向かって突出せしめられている。
さらに、支持部材224の内周縁部には、保持筒部228が形成されている。保持筒部228は、略円筒形状であって、支持部材224の内周縁部から上方に向かって延び出している。また、保持筒部228は、その径方向一方向において対向する部分において内周面および上端面に開口する一対の係合切欠部230,230が形成されている。この係合切欠部230は、軸方向に所定の長さで延びる溝状とされており、本実施形態では周方向両側面が相互に平行に広がっている。
そして、電動モータ214の回転軸216が支持部材224の中央孔の中心線上で延びるように、電動モータ214が支持部材224の中央孔に嵌め入れられて固定されている。これにより、保持筒部228の内周側に離隔して回転軸216が位置せしめられている。
また、回転軸216の先端部分には、可動弁体としての弁部材232が被せ付けられている。弁部材232は、逆向きの略有底円筒形状を有しており、本実施形態では、硬質の合成樹脂で形成されている。更に、弁部材232の上端部には、外周側に向かって広がる押圧フランジ部234が一体形成されている。本実施形態における押圧フランジ部234は、外周縁部が縦断面において略半球形状を呈するように面取りされている。
さらに、弁部材232の下端部には、径方向一方向で対向する部分から外周側に向かって突出する一対の係合突起236,236が形成されている。係合突起236は、周方向に湾曲するブロック状の突起であって、周方向の両端面が相互に平行となっている。また、係合突起236の周方向での幅寸法が、保持筒部228に形成された係合切欠部230の周方向での幅寸法と略等しくなっていると共に、係合突起236の軸方向寸法が係合切欠部230の軸方向寸法よりも充分に小さくなっている。なお、係合突起は、例えば、周方向で係合切欠部230よりも小さくても良いし、軸方向で係合切欠部230よりも大きくても良い。
更にまた、弁部材232には、螺接部としての雌ねじ部238が設けられている。雌ねじ部238は、逆向きの略円筒形状を呈する弁部材232の周壁部を利用して形成されており、その内周面には全長に亘ってねじ山が刻設されている。また、雌ねじ部238を構成するねじ山は、回転軸216に取り付けられた雄ねじ部材220の外周面に形成されたねじ山に対応する構造とされている。
そして、このような雌ねじ部238を有する弁部材232は、電動モータ214の回転軸216に対して取り付けられる。即ち、回転軸216に対して弁部材232が上方から被せられて、弁部材232の周壁部が回転軸216の外周側に離隔して回転軸216を取り囲むように位置せしめられる。なお、本実施形態では、電動モータ214の回転軸216が後述する弁部材232の往復作動方向に延びるようにして設けられている。
さらに、回転軸216に取り付けられた雄ねじ部材220が弁部材232の周壁部の内周側に挿し入れられて、雄ねじ部材220の外周面に形成されたねじ山と雌ねじ部238の内周面に形成されたねじ山が螺合せしめられている。換言すれば、回転軸216に取り付けられた雄ねじ部材220が、弁部材232の雌ねじ部238に対して下方開口から螺入されている。これにより、弁部材232が回転軸216に対して組み付けられていると共に、それら回転軸216と弁部材232の連結部分において、雄ねじ部材220と雌ねじ部238で構成された運動変換機構としてのねじ機構が設けられている。
また、電動モータ214の回転軸216が保持筒部228の内周側に位置せしめられており、弁部材232が保持筒部228に対して挿し入れられるようになっている。そこにおいて、弁部材232の下端部に一体形成された係合突起236が、保持筒部228に形成された係合切欠部230に対して周方向で位置合わせされており、各係合突起236が各係合切欠部230に嵌め込まれている。そして、係合突起236と係合切欠部230の周方向での係合作用によって、弁部材232が保持筒部228に対して周方向で係止されて相対的に回転不能とされている。かくの如き弁部材232と保持筒部228の係止によって、本実施形態における弁部材232の回転制限機構が構成されている。
かくの如き構造とされたアクチュエータ212では、通電によって電動モータ214で発生する回転駆動力が、雄ねじ部材220と雌ねじ部238で構成された螺子構造によって往復駆動力に変換されて、弁部材232に伝達されるようになっている。そして、電動モータ214における回転軸216の回転方向を制御することにより、弁部材232を軸方向で所定の位置に駆動変位せしめることが出来るようになっている。以下に、弁部材232の軸方向での往復作動について説明する。
先ず、電動モータ214の回転軸216に装着された雄ねじ部材220が、弁部材232に形成された雌ねじ部238の下端部、即ち、弁部材232の周壁部における下端開口部に位置せしめられている場合には、弁部材232が変位駆動方向の上端に位置せしめられる。なお、このように弁部材232が駆動方向の上端に位置せしめられた状態においても、係合突起236は係合切欠部230内に位置せしめられて、それらの係合作用に基づく周方向での位置決め効果が発揮されるようになっている。
次に、電動モータ214に対して電源装置218から通電されて、回転軸216が周方向一方の側に回転せしめられると、雄ねじ部材220が雌ねじ部238に対して相対回転せしめられて、雄ねじ部材220が雌ねじ部238に対して捻じ込まれる。これにより、雌ねじ部238が形成された弁部材232は、雄ねじ部材220が取り付けられた回転軸216延いては電動モータ214に対して軸方向で下方に相対変位せしめられて、往復作動方向の下端まで移動せしめられる。
なお、本実施形態では、弁部材232が軸方向で変位駆動せしめられて作動方向端部に位置せしめられると、電動モータ214への通電が停止されるようになっており、弁部材232が駆動方向の端部において静止状態に保持されるようになっている。また、本実施形態では、弁部材232の回転が係合突起236と係合切欠部230の係止によって阻止されていることにより、回転軸216の回転駆動力が雄ねじ部材220と雌ねじ部238の間における摩擦等で伝達されることによって弁部材232が回転するのを防いで、弁部材232の軸方向での駆動変位を効率的に実現出来るようになっている。
また次に、制御装置222の制御によって、電動モータ214に対して電源装置218から通電されて、回転軸216が周方向で他方の側に回転せしめられると、雄ねじ部材220が雌ねじ部238に対して相対回転せしめられて、雄ねじ部材220が雌ねじ部238に対して抜ける方向に捻られる。これにより、雌ねじ部238が形成された弁部材232は、雄ねじ部材220が取り付けられた回転軸216延いては電動モータ214に対して軸方向で上方に相対変位せしめられて、往復作動方向の上端まで移動せしめられるようになっている。なお、本実施形態では、電動モータ214に対して電流が逆向きに通電されることにより、回転軸216が逆回転されるようになっている。また、弁部材232が往復作動方向の上端に移動せしめられると、電動モータ214への通電が停止されるようになっており、弁部材232が往復作動方向の上端で保持されるようになっている。
以上のように、電動モータ214で発生した回転駆動力が、回転軸216と弁部材232の連結部分に設けられたねじ機構によって軸方向での直線的な駆動力に変換されて、弁部材232に伝達されるようになっている。そして、電動モータ214への通電方向を切換制御することにより、弁部材232が軸方向上下に往復作動せしめられるようになっている。また、弁部材232が往復作動方向で端部に位置せしめられると、電動モータ214への通電が停止されるようになっており、弁部材232が軸方向の作動端においてねじ山の係合作用等に基づいて保持されるようになっている。
また、アクチュエータ212は、ブラケット金具204の嵌着部206に対して嵌め入れられて、嵌着部206の底壁部上に載置された状態で固定される。かかるブラケット金具204への装着状態において、マウント本体139がブラケット金具204に対して組み付けられることにより、本実施形態に係るエンジンマウント138が構成されている。
また、エンジンマウント138において、アクチュエータ212は、マウント本体139の下方に配置されており、弁部材232が、ダイヤフラム160の中央当接部162に対して、軸方向で所定距離を隔てて、或いは、重ね合わされた当接状態で下方に位置せしめられている。換言すれば、アクチュエータ212は、ダイヤフラム160を挟んで仕切部材170と反対側に位置せしめられており、アクチュエータ212の弁部材232が、ダイヤフラム160の中央当接部162を挟んで第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部(中央凹所176)に軸方向で対向するように位置せしめられている。なお、本実施形態では、弁部材232とダイヤフラム160が非接着で重ね合わされており、相互に離隔可能とされている。
また、本実施形態では、ダイヤフラム160の径方向中央部分に形成された位置決め部165の内周側の領域に対して、弁部材232が下方から挿し入れられて配置されている。そして、位置決め部165と弁部材232の当接によって、ダイヤフラム160が弁部材232に対して軸直角方向で位置決めされており、本実施形態における位置決め手段が位置決め部165によって構成されている。
ここにおいて、本実施形態では、ダイヤフラム160の中央当接部162に対して、弾性リップとしての環状当接リップ240が一体形成されており、アクチュエータ212の弁部材232上に位置せしめられている。環状当接リップ240は、中央当接部162の外周部分を周方向に連続的に延びるように形成されており、軸方向上方に向かって所定の高さで突出せしめられている。また、本実施形態では、環状当接リップ240の突出先端部分が突出先端側に行くに従って次第に狭幅となる半円形断面を有していると共に、基端部分が略一定の径方向幅で形成されている。
さらに、環状当接リップ240は、第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部よりも大径とされていると共に、弁部材232の押圧フランジ部234の外径よりも小径とされて押圧フランジ部234に重ね合わされている。これにより、後述するアクチュエータ212の閉作動時に、押圧フランジ部234の上面と仕切部材170の下面との対向面間で環状当接リップ240が挟圧されて軸方向に圧縮されるようになっている。
そして、アクチュエータ212の作動状態下、弁部材232が軸方向で往復変位せしめられて、弁部材232が第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部に対して接近方向と離隔方向で直線的に往復変位せしめられるようになっている。更に、弁部材232が、軸方向での往復変位によってダイヤフラム160の中央当接部162に対して当接或いは離隔せしめられて、中央当接部162が弁部材232の軸方向での往復作動に応じて上下に変位せしめられるようになっている。これにより、ダイヤフラム160の中央当接部162は、弁部材232の往復変位によって、仕切部材170の中央凹所176に対して当接および離隔せしめられるようになっており、中央凹所176で構成された第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部が、弁部材232の往復変位によって、中央当接部162を介して連通状態と遮断状態に切換え可能となっている。
すなわち、弁部材232が往復作動方向で上端に位置せしめられると、中央当接部162が弁部材232によって押圧されて、環状当接リップ240が中央凹所176の開口部を取り囲むように仕切部材170の下面に押し付けられる。かかるアクチュエータ212の閉作動によって、第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部である中央凹所176の開口部が、中央当接部162および環状当接リップ240を介して弁部材232で閉塞されるようになっている。なお、本実施形態では、弁部材232の外径が、中央凹所176の開口部の直径よりも大きくなっており、環状当接リップ240が仕切部材170に対して安定して押し付けられて、中央凹所176の閉塞状態がより有利に実現されるようになっている。
一方、弁部材232が往復作動方向で下端に位置せしめられると、弁部材232かダイヤフラム160の中央当接部162に対して及ぼす拘束力が解除されて、中央当接部162が、平衡室196に封入された非圧縮性流体の液圧や重力の作用によって、仕切部材170から下方に離隔せしめられる。このようなアクチュエータ212の開作動によって、第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部である中央凹所176の開口部が、平衡室196に連通されるようになっている。
以上により、弁部材232の往復作動によって、第二のオリフィス通路202の平衡室196側の開口部である中央凹所176の開口部を、開口状態と閉塞状態に切り換えることが出来るようになっており、第二のオリフィス通路202の連通状態と遮断状態が弁部材232によって切り換えられるようになっている。
このような本実施形態に従う構造のエンジンマウント138では、弁部材232が軸方向での位置を機械的に規定されることによって往復作動せしめられるねじ式のアクチュエータ212を採用した構造において、アクチュエータ212の構成部品の寸法誤差や組立誤差等によって、弁部材232の作動上端の位置にばらつきがある場合にも、ダイヤフラム160に対して環状当接リップ240を一体形成することにより、かかる製造誤差を環状当接リップ240の弾性変形によって吸収することが出来る。それ故、目的とする防振特性の切替えを安定して実現することが出来ると共に、閉作動時に過大な当接圧が作用することに起因する運動変換機構や電動モータ214の回転軸216等の損傷が効果的に回避される。
次に、図6には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第三の実施形態として、エンジンマウント242が示されている。以下の説明において、前記第一,第二の実施形態と実質的に同一の部材乃至部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
図6に示されたエンジンマウント242においては、電動モータ214の回転軸216に対して駆動部材244が取り付けられている。駆動部材244は、全体として略有底円筒形状を有しており、回転軸216に固定された雄ねじ部材220のねじ山と対応するねじ山が内周面に対して刻設されることにより周壁部が雌ねじ部238を構成している。また、駆動部材244の下端部には、径方向外側に向かって突出する一対の係合突起236,236が径方向一方向で対向する位置に形成されている。更に、駆動部材244は、軸方向の中間部分に段部を有しており、段部を挟んだ軸方向上側部分が下側部分よりも小径となっている。更にまた、駆動部材244の上端縁部には、全周に亘って外周側に向かって広がる支持フランジ248が一体形成されている。
また、駆動部材244には、可動弁体としての弁部材250が装着されている。この弁部材250は、下方に向かって開口する逆向きの略有底円筒形状を有しており、薄肉の金属板をプレス加工すること等によって形成されている。そして、弁部材250は、駆動部材244に対して上方から被せられて、上底壁部が駆動部材244の上面に対して非接着で重ね合わされている。更に、弁部材250は、その上底壁部がダイヤフラム160の中央当接部162に対して下方から重ね合わせられて固着されている。
さらに、弁部材250の下端部には、環状のばね支持金具252が取り付けられている。ばね支持金具252は、環状の固定部とその軸方向中央部分から内周側に突出する支持部を一体的に有しており、該固定部が弁部材250の開口部付近において弁部材250の内周面に固着されていると共に、該支持部が径方向内方に向かって突出せしめられている。
更にまた、駆動部材244とばね支持金具252の間には、コイルスプリング254が配設されている。コイルスプリング254は、軸方向上側に行くに従って次第に小径となるテーパ形状の円筒ばねであって、駆動部材244に対して外挿されている。そして、コイルスプリング254は、その上端部が駆動部材244の周壁部および支持フランジ248の下面に当接せしめられると共に、その下端部がばね支持金具252の固定部の内周面および支持部の上面に対して当接せしめられることにより、駆動部材244とばね支持金具252延いては弁部材250の間に介装されている。これにより、駆動部材244と弁部材250が、コイルスプリング254の付勢力によって、軸方向で相互に押し付けられる方向に付勢されている。
このような構造を有するエンジンマウント242では、流体封入領域168に封入された非圧縮性流体の凍結等によって環状当接リップ240が仕切部材170に固着してダイヤフラム160が拘束された状態下、電動モータ214に通電されて駆動部材244が開作動位置(往復作動方向下端)に駆動せしめられると、ダイヤフラム160に固着された弁部材250がコイルスプリング254の付勢力に抗して閉作動位置(往復作動方向上端)に保持される。これにより、ダイヤフラム160に対して弁部材250が固着されている構造を採用して、弁部材250とダイヤフラム160の相対的な位置のずれを防止しつつ、ダイヤフラム160に対して過大な外力が及ぼされるのを防いで、ダイヤフラム160の破損を防ぐことが出来る。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一乃至第三の実施形態においては、弾性リップとして環状当接リップ136,240が示されているが、弾性リップの構造は特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、図7に示された環状当接リップ256を弾性リップとして採用することも出来る。即ち、環状当接リップ256は、ダイヤフラム32の中央当接部34に一体形成されており、突出先端側に行くに従って径方向内側に傾斜する環状となっている。換言すれば、環状当接リップ256は、突出先端側である軸方向上側に行くに従って次第に縮径するテーパ形状となっている。
これによれば、環状当接リップ256の仕切部材48への当接に際して、環状当接リップ256は、突出方向での圧縮変形に加えて、突出方向に直交する方向の剪断変形を生じる。その結果、変形量の増加に伴う環状当接リップ256のばね定数の上昇が抑えられて、当接によって弁部材128に及ぼされる当接圧が比較的に小さくなる。従って、当接によってアクチュエータ76等が破損するのを一層効果的に防ぐことが出来て、目的とする防振特性の切替えを安定して実現しつつ、製造時の誤差による耐久性の低下を防止することが出来る。
しかも、環状当接リップ256が突出先端側に行くに従って内周側に傾斜していることから、受圧室56の圧力が第二のオリフィス通路66を通じて環状当接リップ256に及ぼされて、環状当接リップ256に対して径方向外向きの力が作用した場合にも、環状当接リップ256が仕切部材48に対して当接した状態で有利に保持されて、第二のオリフィス通路66の遮断状態が安定して維持される。それ故、第二のオリフィス通路66が遮断状態とされる低周波振動の入力に際して、第一のオリフィス通路64を通じての流体流動を効率的に惹起せしめて、目的とする防振効果を得ることが出来る。
さらに、弾性リップの断面形状は、前記各実施形態の具体例によって限定されるものではなく、例えば、必ずしも突出先端側に行くに従って次第に径方向で狭幅となる断面形状を有している必要はなく、矩形の断面形状を有する構造を採用することも出来る。
更にまた、弾性リップは、必ずしも一つだけが形成されていなくても良く、二つ以上の複数の弾性リップが、同心的に乃至は偏心して形成されていても良い。更に、例えば、弾性リップとは別に緩衝用の突起を形成することも出来る。これによれば、緩衝用の突起によって可撓性膜の仕切部材に対する当接時の衝撃を小さく抑えることが出来る。
また、前記第一,第二の実施形態において、ダイヤフラム32,160を弁部材128,232に対して位置決めする位置決め手段として、ダイヤフラム32,160において中央当接部34,162の外周縁部から下方に向かって突出する環状段差形状の位置決め部36,165を一体形成して、該位置決め部36,165の内周側に弁部材128,232を位置せしめることにより、位置決め部36,165と弁部材128,232との当接によって位置決めする構造が示されていると共に、前記第三の実施形態では、ダイヤフラム160の中央当接部162に対して弁部材250を固着することで位置決め手段とした例が示されているが、かかる位置決め手段は他の構造を採用することも出来る。
具体的には、例えば、図8に示されているように、中央当接部34の径方向中間部分において下方に向かって突出する複数の保持突起258を一体形成して、保持突起258によって弁部材128の外周面を把持せしめることで、ダイヤフラム32が弁部材128に対して軸直角方向で位置決めされるようになっていても良い。なお、保持突起258は、図8に示されているように、周上の複数箇所に形成されていても良いし、例えば、全周に亘って連続する筒状とされており、該筒状の保持突起に対して弁部材128を内挿して、弁部材128の外周面を全周に亘って保持突起で当接保持せしめることにより、位置決め手段が構成されるようになっていても良い。
さらに、例えば、図9に示されているように、保持突起258の突出先端部において径方向内側に向かって突出する保持爪部260を一体形成しても良い。これによれば、弁部材128の往復作動によってダイヤフラム32と弁部材128が離隔するのを防いで、弁部材128を保持突起258の内周側に安定して保持することが出来る。従って、ダイヤフラム32の弁部材128に対する位置ずれを一層効果的に防ぐことが可能となる。しかも、保持爪部260がゴム弾性体で形成されていることにより、封入液の凍結等によってダイヤフラム32が拘束状態とされた場合には、保持爪部260が弾性変形することで弁部材128がダイヤフラム32から分離独立して駆動するようになっており、ダイヤフラム32の損傷が防止されるようになっている。なお、保持爪部260は、周方向で分割された複数が形成されていても良いし、全周に亘って連続的に形成されていても良い。
また、アクチュエータの具体的な構造は、前記第一乃至第三の実施形態に例示された具体的な構造によって限定的に解釈されるものではなく、特に歯車列の構成や、カム支軸をケース金具に支持せしめる軸受けの構造等は、何等限定されるものではない。
また、前記第一乃至第三の実施形態では、低周波オリフィス通路としての第一のオリフィス通路64,200と、高周波オリフィス通路としての第二のオリフィス通路66,202を備えた構造が示されているが、例えば、微小変形や微小変位によって受圧室の液圧を平衡室に伝達する可動膜や可動板を仕切部材に設けることで液圧吸収機構を構成して、該可動膜又は可動板によって発揮される液圧吸収作用に基づいて、自動車の走行こもり音等に相当する高周波オリフィス通路よりも高周波数の振動に対して目的とする防振効果(低動ばね効果)が発揮されるようにすることも出来る。
また、前記第一乃至第三の実施形態では、本発明に係る流体封入式防振装置の一例として、自動車のエンジンマウントを示したが、本発明は、エンジンマウントに限定されることなく、ボデーマウントやサブフレームマウント等にも適用することが出来る。更に、本発明の適用範囲は、自動車用に限定されることなく、例えば列車用や自転車用、更には車両以外の用途に用いられる流体封入式防振装置に対しても適用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。 同エンジンマウントの要部を示す縦断面図。 同エンジンマウントの要部を示す縦断面図。 同エンジンマウントにおける本発明の効果を示すグラフ。 本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。 本発明の第三の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図。 本発明に係る流体封入式防振装置の別の一実施形態の要部を示す縦断面図。 本発明に係る流体封入式防振装置のまた別の一実施形態の要部を示す縦断面図。 本発明に係る流体封入式防振装置の更に別の一実施形態の要部を示す縦断面図。
符号の説明
10,138,242:エンジンマウント、14,140:第一の取付金具、16,142:第二の取付金具、18,144:本体ゴム弾性体、32,160:可撓性膜、34,162:中央当接部,36,165:位置決め部,50,176:中央凹所,56,194:受圧室、58,196:平衡室、64,200:第一のオリフィス通路、66,202:第二のオリフィス通路、92,214:電動モータ、118:下側カム部、122:上側カム部、128,232,250:弁部材、136,240,256:弾性リップ、220:雄ねじ部材、238:雌ねじ部

Claims (4)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室を流体流路によって相互に連通する一方、該可撓性膜を挟んで該平衡室と反対側に配設されて往復作動によって該可撓性膜を該流体流路の開口部の外周端面に対して当接および離隔せしめることにより該流体流路を連通状態と遮断状態に切り換える可動弁体を設けると共に、該可動弁体の駆動用の電動モータを設けて、該電動モータの回転駆動力をカム機構又はねじ機構からなる運動変換機構を介して該可動弁体に対して往復駆動力として伝達させて該可動弁体を作動せしめるようにした流体封入式防振装置において、
    前記可撓性膜において前記可動弁体によって前記流体流路の開口部の外周端面に押し付けられる部分には、該流体流路の開口部側に向かって突出する環状の弾性リップが一体形成されており、該可動弁体の往復作動によって該弾性リップが該流体流路の開口部の外周端面に対して全周に亘って押し付けられるようになっていると共に、
    前記弾性リップが突出先端側に行くに従って内周側に傾斜するように突出していることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記弾性リップが突出先端側に行くに従って次第に狭幅となる断面形状を有している請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記可撓性膜において前記流体流路の前記平衡室側の開口部に押し付けられる部分がその周囲に比して厚肉となっている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記可撓性膜と前記可動弁体を該可動弁体の往復作動方向に対して直交する方向で相互に位置決めする位置決め手段を設けた請求項1乃至の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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