JPH10267072A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

Info

Publication number
JPH10267072A
JPH10267072A JP7545297A JP7545297A JPH10267072A JP H10267072 A JPH10267072 A JP H10267072A JP 7545297 A JP7545297 A JP 7545297A JP 7545297 A JP7545297 A JP 7545297A JP H10267072 A JPH10267072 A JP H10267072A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve body
fluid
moving end
fluid communication
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7545297A
Other languages
English (en)
Inventor
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP7545297A priority Critical patent/JPH10267072A/ja
Publication of JPH10267072A publication Critical patent/JPH10267072A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体連通路を開閉する弁体を、コイルへの通
電によって生ぜしめられる磁力又は電磁力で行うように
した流体封入式防振装置において、コイルの消費電力お
よび発熱量の軽減を図ること。 【解決手段】 弁体76を流体連通路71の開位置又は
閉位置の何れか一方に保持せしめる付勢手段106を設
ける一方、該弁体76が、電磁駆動手段74,76によ
る磁力又は電磁力により、付勢手段106による付勢力
に抗して、開位置又は閉位置の何れか他方に移動せしめ
られた際に、該弁体76に対して永久磁石による磁気吸
引力に基づく保持力を及ぼす磁石吸引手段98,86を
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、複数の流体室間での流体連通路
を通じての流体流動作用を利用して防振効果を得るよう
にした流体封入式防振装置に係り、特に、流体連通路を
開閉することによって、防振特性を切換制御することの
出来る流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装されて振動の伝達を抑える防振連結体乃至は防振支
持体の一種として、互いに防振連結される部材に取り付
けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾
性体で連結すると共に、流体連通路を通じて相互に連通
された複数の流体室を形成し、振動入力時に流体連通路
を通じて流動せしめられる流体の流動作用を利用して防
振効果を得るようにした流体封入式の防振装置が知られ
ており、自動車用エンジンマウント等として用いられて
いる。
【0003】ところで、自動車用エンジンマウント等で
は、一般に、周波数や振幅が異なった複数種類の振動が
入力され、それら各振動に対して防振効果が要求される
場合が多いが、流体連通路を通じて流動せしめられる流
体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮される周波
数域は狭いために要求される防振性能を十分に達成する
ことが困難であった。
【0004】そこで、実開昭63−17343号公報等
には、流体連通路の開口部を開閉する弁体を設け、該弁
体を、付勢手段によって開位置又は閉位置の一方に保持
せしめると共に、該付勢手段に抗して弁体を開位置と閉
位置の他方に駆動して保持せしめる電磁駆動機構を設け
ることによって、流体連通路を連通/遮断制御して防振
特性を切換調節するようにしたものが、提案されてい
る。ところが、このような構造のものでは、弁体を付勢
手段に抗した位置に保持して流体連通路を連通状態又は
遮断状態に維持するためには、電磁駆動機構のコイルに
対して給電し続けなければならないために、消費電力の
増大やコイルの発熱による本体ゴム弾性体等への悪影響
が問題となるおそれがあった。
【0005】なお、特開平6−264958号公報等に
は、ステッピングモータとロータリバルブを用いて流体
連通路を開閉するようにしたものが提案されているが、
ステップモータを用いるために高コスト化や制御の複雑
化等が避けられず、しかもロータリバルブの配設のため
に構造が複雑となり易いといった不具合があり、必ずし
も有効な方法ではなかった。
【0006】また、特開平2−245538号公報や実
開平4−63841号公報等には、流体連通路を開閉す
る弁体を、外部から供給される空気圧によって切換作動
せしめるようにしたものが提案されているが、このよう
な構造のものでは、外部に空気圧源が必要となるため
に、適当な空気圧源が確保できない場合には採用が困難
であり、また空気圧の大きさによっては、確実な作動が
望めないおそれがあるといった不具合もあった。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、請求項1乃至6に記載の発
明は、何れも、上述の如き事情を背景として為されたも
のであって、その解決課題とするところは、電磁駆動機
構を利用した流体連通路の切換機構においてコイルの消
費電力と発熱を共に軽減せしめることにより、流体連通
路の連通/遮断による防振特性の切換制御が安定して為
され得る、構造が簡単で安価な流体封入式防振装置を提
供することにある。
【0008】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、第一
の取付金具と第二の取付金具を本体ゴム弾性体で連結す
る一方、流体連通路を通じて相互に連通された複数の流
体室を形成し、振動入力時に該流体連通路を通じて流動
せしめられる流体の流動作用を利用して防振効果を得る
と共に、該流体連通路を連通状態と遮断状態に切り換え
ることによって防振特性を調節するようにした流体封入
式防振装置において、(a)前記流体連通路の開口部に
対して接近/離隔方向に変位可能に配設されて、該開口
部への接近側移動端において該開口部を閉塞して該流体
連通路を遮断せしめる一方、該開口部からの離隔側移動
端において該開口部を開口して該流体連通路を連通せし
める弁体と、(b)該弁体を、前記開口部に対する接近
側および離隔側の何れか一方の側に向かって付勢して、
前記接近側移動端および前記離隔側移動端の何れかの側
に保持せしめる付勢手段と、(c)前記弁体の該付勢手
段による保持側移動端とは反対の移動端において、該弁
体を該移動端側に保持せしめる方向の磁気吸引力を該弁
体に及ぼす、永久磁石を用いた磁石吸引手段と、(d)
コイルへの通電によって生ぜしめられる磁力又は電磁力
によって、前記弁体に駆動力を及ぼし、該弁体を前記付
勢手段による付勢力に抗して該付勢手段による保持側移
動端とは反対の移動端側に向かって変位せしめる電磁駆
動手段とを、設けたことにある。なお、付勢手段として
は、ゴム弾性体や各種金属ばね等を用いることも可能で
あるが、特に、弁体のストローク確保やヘタリ防止、弾
性特性等の点から、金属製コイルバネが好適に採用され
る。また、磁石吸引手段は、電磁駆動手段と完全に独立
して構成することも可能であるが、電磁駆動手段を構成
するヨークや永久磁石等を利用して磁石吸引手段を構成
することも可能である。更にまた、付勢手段による弁体
保持力と、磁石吸引手段による弁体保持力とが、それぞ
れ、弁体の何れの移動端側で発揮されるようにするかは
任意的な設定事項であり、防振装置の構造や入力される
振動荷重の他、実際の使用時に何れの移動端側への弁体
保持頻度が高いか等といったことを考慮して決定される
こととなる。
【0009】このような請求項1に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、付勢手段に
よる付勢力が及ぼされる一方の移動端側に弁体を保持せ
しめるに際してコイルへの通電が必要とされないことは
勿論、弁体を他方の移動端側に保持せしめるに際して
も、永久磁石を用いた磁石吸引手段による磁気吸引力が
弁体保持力として作用せしめられることから、電磁駆動
手段に要求される弁体保持力が軽減乃至は解除され得
て、コイルへの必要通電量が減少され或いは零とされる
こととなる。
【0010】従って、かかる流体封入式防振装置におい
ては、弁体を一方の移動端側から他方の移動端側に変位
させて流体連通路を開閉切換えする際にだけ、電磁駆動
手段のコイルに規定電流を通電すれば良く、弁体を何れ
の移動端に保持し続ける場合にも、電磁駆動手段のコイ
ルへの供給電流が十分に低く抑えられるのであり、その
結果、消費電力量や発熱量が極めて有効に軽減されるの
である。
【0011】しかも、かかる流体封入式防振装置におい
ては、弁体として、単に流体連通路の開口部に対して直
線的に接近/離隔変位せしめられるものを採用すれば良
く、電磁駆動手段によって容易に変位方向の駆動力が及
ぼされ得ることから、構造が簡単で作動制御も容易であ
るといった利点もある。
【0012】なお、請求項1に記載の発明に従う構造と
された流体封入式防振装置において、弁体の付勢手段に
よる保持側移動端とは反対の移動端では、磁石吸引手段
による磁気吸引力と電磁駆動手段による磁力又は電磁力
とによって協働して弁体を保持せしめるようにしても良
いが、請求項2に記載されているように、かかる磁石吸
引手段による磁気吸引力のみにより、弁体を、付勢手段
による付勢力に抗して、該付勢手段による保持側移動端
とは反対の移動端側に保持せしめるようにすることも可
能である。このように、磁石吸引手段による磁気吸引力
だけで、弁体の保持力が発揮されるように構成すれば、
弁体を何れの移動端に保持せしめる場合にも、電磁駆動
手段のコイルへの給電を完全に中止することが出来、消
費電力量や発熱量の軽減が一層有利に達成され得る。
【0013】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振
装置において、前記電磁駆動手段におけるコイルへの通
電方向を変更することにより、前記付勢手段による保持
側移動端とは反対の移動端側に保持せしめられた前記弁
体に対して、該付勢手段による保持側移動端に向かう方
向の駆動力が及ぼされるようになっていることを、特徴
とする。
【0014】かかる請求項3に記載の発明に従う構造と
された流体封入式防振装置においては、弁体を何れの変
位方向に駆動するに際しても、電磁駆動手段による駆動
力が及ぼされることから、弁体を開閉切換えする際の応
答性が向上される。しかも、コイルへの通電方向を変更
するだけで、弁体を何れの変位方向にも駆動することが
出来ることから、部品点数の増加や構造の複雑化,装置
の大型化等を伴うことなく、応答性の向上効果が有利に
達成されるといった利点もある。
【0015】また、請求項1乃至3の何れかに記載の発
明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、磁
石吸引手段は、永久磁石の磁気吸引力を利用して、弁体
を、付勢手段による保持側とは反対の移動端側に保持せ
しめる方向の力が発揮されるものであれば良く、特に構
造が限定されるものでないが、例えば、請求項4に記載
されている構造の磁石吸引手段が好適に採用され得る。
即ち、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れ
かに記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置
において、前記磁石吸引手段が、前記弁体の前記付勢手
段による保持側移動端から反対の移動端側への変位によ
って対向面間距離が小さくなる、該弁体と前記第二の取
付部材側の固定部材との各対向部位に配設されて、相互
に磁気吸引力を及ぼす永久磁石又は強磁性材からなる一
対の磁気吸引部材によって構成されていることを、特徴
とする。なお、磁気吸引部材は、永久磁石と強磁性材の
組み合わせであっても、永久磁石同士の組み合わせであ
っても良い。また、かかる一対の磁気吸引部材は、弁体
が付勢手段による保持側とは反対側の移動端に位置せし
められた際、互いに当接状態で吸引吸着されるものであ
っても、僅かな距離を隔てて吸引吸着されるものであっ
ても良いが、当接せしめられる場合には、当接面間にゴ
ム材性体等からなる緩衝材を配設して、当接音の軽減や
損傷の回避などを図ることが望ましい。
【0016】また、請求項1乃至3の何れかに記載の発
明に従う構造とされた流体封入式防振装置において、電
磁駆動手段にあっても、コイルへの通電によって生ぜし
められる磁界の力(磁力又は電磁力)を利用して、弁体
を、付勢手段による保持側から反対の移動端側に変位せ
しめる駆動力が発揮されるものであれば良く、特に構造
が限定されるものでないが、例えば、請求項5に記載さ
れている構造の電磁駆動手段が好適に採用され得る。即
ち、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか
に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防振装置に
おいて、前記電磁駆動手段が、前記弁体側に設けられた
永久磁石又は強磁性材からなる磁力作用部材を含んで構
成されており、前記コイルが前記第二の取付部材側に固
定されて、該磁力作用部材の回りに配設されていること
を、特徴とする。
【0017】尤も、請求項1乃至4の何れかに記載の発
明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、
その他、例えば、請求項5に記載の発明と同様なボイス
コイルタイプの電磁駆動手段を用い、請求項5に記載の
発明とは逆に、コイルを弁体側に、磁力作用部材を第二
の取付部材側に、それぞれ取り付けることも可能であ
り、また、コイルで電磁石を構成し、その軸方向端面に
弁体を磁気吸引せしめる電磁石タイプの電磁駆動手段等
も、採用可能であることは、勿論である。
【0018】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置において、前記流体室が、前記本体ゴム弾
性体にて壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧
室と、変形容易な可撓性膜にて壁部の一部が構成されて
容積変化が容易に許容される平衡室とを含んで構成され
ている一方、該可撓性膜を挟んで該平衡室とは反対側に
前記弁体が配設されており、該弁体が、該可撓性膜を、
前記平衡室における前記流体連通路の開口部に押し付け
ることによって、該流体連通路の開口部が閉塞されるよ
うになっていることを、特徴とする。
【0019】このような請求項6に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、弁体や付勢
手段,磁石吸引手段,電磁駆動手段を、何れも、流体室
の外に配設することが出来るのであり、それによって、
優れた製作性と高度な流体密性が極めて有利に確保され
得る。
【0020】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
乃至6の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置であって、前記複数の流体室間において、
前記流体連通路よりも低周波数域の入力振動に対応して
チューニングされたオリフィス通路が、常時、それらの
流体室を相互に連通せしめるように形成されている請求
項1乃至6の何れかに記載の流体封入式防振装置。
【0021】このような請求項7に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式防振装置においては、弁体によっ
て流体連通路だけを開閉することにより、実質的に流体
連通路とオリフィス通路を択一的に作用せしめることが
出来るのであり、それ故、極めて簡単な構造をもって、
互いに異なるチューニングが施された流体連通路とオリ
フィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に
基づいて、異なる周波数域の入力振動対し、それぞれ有
効な防振効果を得ることが可能となるのである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0023】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての自動車用エンジンマウント10が、示されてい
る。このエンジンマウント10は、第一の取付金具12
と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって連
結された構造とされており、第一の取付金具12が図示
しないパワーユニット側に、第二の取付金具14が図示
しないボデー側に、それぞれ取り付けられることによ
り、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめる
ようになっている。また、そのような装着状態下、エン
ジンマウント10には、第一の取付金具12と第二の取
付金具14の略対向方向(図中、略上下方向)に、パワ
ーユニット荷重や防振すべき主たる振動荷重が入力せし
められ、パワーユニット荷重により本体ゴム弾性体16
が弾性変形することによって、第一の取付金具12と第
二の取付金具14が所定量だけ接近して位置せしめられ
ることとなる。なお、以下の説明中、上下方向とは、原
則として図1中の上下方向をいうものとする。
【0024】より詳細には、第一の取付金具12は、平
板形状を有しており、下面中央に対して、略カップ形状
の保持金具18が、その開口周縁部において溶着固定さ
れている。また、第一の取付金具12の中央部分には、
上方に突出する第一の取付ボルト20が固着されてお
り、この第一の取付ボルト20によって、第一の取付金
具12がパワーユニットに取り付けられるようになって
いる。
【0025】一方、第二の取付金具14は、上方に向か
って拡径するテーパ筒形状の筒金具24と、有底円筒形
状の底金具25とから構成されている。筒金具24に
は、小径側開口部(軸方向下方の開口部)において、か
しめ部26が一体形成されている。また一方、底金具2
5には、底部中央に貫通孔32が形成されていると共
に、底部外周部分に、空気抜き孔34とリード取出孔3
6がそれぞれ設けられている。また、底金具25には、
底壁から下方に突出する第二の取付ボルト38が固着さ
れており、この取付ボルト38によって、底金具25ひ
いては第二の取付金具14がボデーに取り付けられるよ
うになっている。更にまた、底金具25の開口周縁部に
は、径方向外方に広がるフランジ部40が一体形成され
ており、このフランジ部40に対して、筒金具24のか
しめ部26がかしめ固定されることにより、筒金具24
と底金具25が軸方向に重ね合わされた状態で一体的に
連結せしめられ、以て、全体として深底の略有底円筒形
状を有する第二の取付金具14が形成されている。
【0026】そして、かかる第二の取付金具14の開口
部側(上側)に所定距離を隔てて第一の取付金具12が
配設されており、第一の取付金具12と筒金具24が本
体ゴム弾性体16で連結されることによって、第一の取
付金具12と第二の取付金具14が弾性的に連結されて
いる。本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有してお
り、その小径側端面に第一の取付金具12が加硫接着さ
れて、保持金具18が小径側端面から軸方向下方に向か
って差し込まれて埋入された状態で固着されている一
方、その大径側端部外周面に筒金具24の内周面が加硫
接着されて固着されている。要するに、本体ゴム弾性体
16は、第一の取付金具12と筒金具24を有する一体
加硫成形品として形成されている。また、この本体ゴム
弾性体16によって、第二の取付金具14の開口部が流
体密に覆蓋されている。
【0027】さらに、第二の取付金具14の内部には、
ダイヤフラム42と仕切部材44が、それぞれ軸直角方
向に広がる状態で、略中央部分に収容配置されている。
ダイヤフラム42は、変形容易な薄肉のゴム膜からな
り、外周縁部にはリング金具46が加硫接着されてい
る。そして、リング金具46が、筒金具24と底金具2
5のかしめ部位で流体密に挟持されることによって、ダ
イヤフラム42が第二の取付金具14に組み付けられて
いる。これにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム
42の対向面間には、非圧縮性流体が封入された液室5
0が形成されている一方、該液室50に対してダイヤフ
ラム42を挟んだ反対側(第二の取付金具14の底部
側)には、空気抜き孔34を通じて外部空間に連通され
て、ダイヤフラム42の変形を許容する空気室48が形
成されている。なお、封入流体としては、流体の共振作
用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るために、
0.1Pa・s以下の粘度を有する水やアルキレングリ
コール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の
低粘性流体が好適に採用される。
【0028】また、仕切部材44は、全体として略厚肉
の円板形状を有しており、外周縁部がリング金具46に
重ね合わされて、該リング金具46と共に、筒金具24
と底金具25のかしめ部位で挟持されることにより、ダ
イヤフラム42の上方に位置して液室50内に配設され
ており、ダイヤフラム42と共に、第二の取付金具14
によって支持されている。そして、この仕切部材44で
液室50が上下両側に二分されており、以て、仕切部材
44の上方には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構
成されて振動入力時に内圧変動が生ぜしめられる受圧室
52が形成されている一方、仕切部材44の下方には、
壁部の一部がダイヤフラム42で構成されて該ダイヤフ
ラム42の変形に基づいて容積変化が容易に許容される
平衡室54が形成されている。
【0029】更にまた、仕切部材44には、外周部分を
周方向に所定長さで延びる周溝56が形成されており、
仕切部材44に薄肉円板形状の蓋金具58が重ね合わさ
れて、周溝56が覆蓋されることによって、両端部に設
けられた通孔60,62を通じて受圧室52と平衡室5
4に連通されたオリフィス通路64が形成されている。
そして、振動入力時に受圧室52と平衡室54の間に圧
力差が生ぜしめられることにより、オリフィス通路64
を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、かか
る流体の共振作用によって所定の防振効果が発揮される
ようになっている。特に、本実施形態では、オリフィス
通路64を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基
づいて、シェイク等の低周波振動に対する防振効果が発
揮されるように、オリフィス通路64の長さや断面積等
が設定されている。
【0030】また、仕切部材44および蓋金具58の中
央部分には、透孔66,68が形成されていると共に、
これらの透孔66,68間には、仕切部材44と蓋金具
58の間に位置して、中央部分が厚肉とされた略円板形
状の可動ゴム板70が、その外周縁部を仕切部材44と
蓋金具58の間で挟持されることによって展張状態で配
設されている。そして、この可動ゴム板70の上下両面
に及ぼされる受圧室52と平衡室54の内圧差に基づい
て可動ゴム板70が弾性変形せしめられることによって
生ぜしめられる受圧室52と平衡室54の間での流体の
共振作用等の流動作用に基づいて、受圧室52の微小な
圧力変動が吸収軽減されるようになっており、以て、か
かる可動ゴム板70による圧力吸収作用に基づいて、オ
リフィス通路64による有効な防振効果が発揮され難い
アイドリング振動やこもり音等の高周波振動の入力時
に、高動ばね化が軽減乃至は回避されて、良好な防振効
果が発揮されるようになっている。なお、このことから
明らかなように、本実施形態では、受圧室52と平衡室
54によって、それぞれ流体室が構成されていると共
に、仕切部材44における透孔66,68を繋ぐ部分に
よって、それら両室52,54を相互に連通する流体連
通路71が構成されている。
【0031】さらに、第二の取付金具14の底部に画成
された空気室48には、開閉切換装置72が収容配置さ
れている。この開閉切換装置72は、底金具25によっ
て固定的に支持されて中心軸回りに配設されたコイル7
4と、該コイル74の中心孔を貫通して上下方向に移動
可能に配設された弁体76を含んで構成されており、ボ
イスコイルタイプの電磁駆動機構を備えている。
【0032】すなわち、コイル74は、下方に向かって
突出した複数の脚部80を備えた、非磁性材からなる円
筒形状のブラケット78に圧入固定されており、脚部8
0が底金具25にボルト固定されることによって、空気
室48の略中央部分に位置決め支持されている。また、
コイル74の上下各面には、それぞれ、強磁性材からな
る円環板形状のヨーク板82,84が重ね合わされて固
定的に組み付けられている。更にまた、コイル74の下
側に重ね合わされたヨーク板84の外面には、強磁性材
にて形成されて、段差形状をもって径方向内方および軸
方向下方に向かって延び出す略段付円環板形状を有する
磁着保持板86が、重ね合わされて固定されている。な
お、この磁着保持板86の中心孔は、コイル74と略同
軸的に延びるガイド孔88とされている。また、コイル
74への給電用リード線90は、底金具25に穿孔され
たリード取出孔36を通って外部に取り出されている。
【0033】また一方、弁体76は、それぞれ円環形状
を有する上ヨーク材92と第一の永久磁石94,中ヨー
ク材96,第二の永久磁石98および下ヨーク材100
が、互いに軸方向に重ね合わされると共に、非磁性材か
らなる薄肉逆カップ形状の連結カバー102に収容され
ることにより、相互に固定的に組み付けられた構造とさ
れている。なお、上,中,下の各ヨーク材92,96,
100は、何れも強磁性材にて形成されている。また、
第一の永久磁石94は、軸方向上面がN極,下面がS極
とされていると共に、第二の永久磁石98は、軸方向上
面がS極,下面がN極とされている。これにより、弁体
76は、全体として、その軸方向上端部側(上ヨーク材
92側)と下端部側(下ヨーク材100側)が、何れ
も、N極とされている。更に、弁体76には、非磁性材
からなるガイドロッド104が、連結カバー102の開
口側(軸方向下側)から挿入されており、下ヨーク材1
00と第二の永久磁石98,中ヨーク材96,第一の永
久磁石94および上ヨーク材92の各中央孔に挿通され
た状態で、軸方向下方に突出して固着されている。
【0034】そして、かかる弁体76は、コイル74に
挿入せしめられ、コイル74やその上下面に組み付けら
れたヨーク板82,84の中心孔内を、軸方向上下に往
復移動可能に配設されている。また、かかる配設状態
下、弁体76の上端面は、流体連通路71の平衡室54
側への開口部としての透孔68に対して、ダイヤフラム
42を介して、軸方向下方に対向位置せしめられてい
る。なお、弁体76の上端面は、透孔68の口径よりも
大きな外形寸法を有する平坦面形状とされている。
【0035】また、ガイドロッド104の下部は、磁着
保持板86のガイド孔88に挿通されており、該ガイド
孔88によるガイドロッド104の案内作用に基づい
て、弁体76が軸方向に円滑に移動せしめられるように
なっている。なお、ガイドロッド104の下方には、底
金具25の底部に穿孔された貫通孔32が位置せしめら
れており、ガイドロッド104の底金具25への当接が
回避されて、弁体76の下方への移動が許容されるよう
になっている。
【0036】さらに、ガイドロッド104の突出部分に
は、付勢手段としてのコイルスプリング106が外挿さ
れており、該コイルスプリング106が、弁体76の下
端面と磁着保持板86との軸方向対向面間で圧縮された
状態で配設されている。そして、このコイルスプリング
106により、弁体76は、常時、軸方向上方に向かっ
て付勢されているのであり、この弁体76によって、ダ
イヤフラム42の中央部分が下方から押し上げられ、透
孔68が開口せしめられた仕切部材44の中央部分に対
して押し付けられている。これにより、透孔68がダイ
ヤフラム42で覆蓋されており、以て、流体連通路71
が遮断されている。
【0037】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウント10においては、コイル74に通電しない状況
下では、図1に示されているように、弁体76を介して
及ぼされるコイルスプリング106の付勢力により、ダ
イヤフラム42が仕切部材44に押し付けられて透孔6
8が閉鎖されることにより、流体連通路71が遮断状態
に維持されることとなる。これにより、振動が入力され
ると、受圧室52と平衡室54の間で、専ら、オリフィ
ス通路64を通じての流体流動が生ぜしめられることと
なり、オリフィス通路64を通じて流動せしめられる流
体の共振作用に基づいて、シェイク等の低周波振動に対
する有効な防振効果が発揮されるのである。
【0038】一方、コイル74に通電し、図2に示され
ているように、コイル74の上側にN極を、下側にS極
をそれぞれ発生させると、弁体76の軸方向上側部分で
は、弁体76のN極とコイル74のN極が互いに反発す
る一方、弁体76の軸方向下側部分では、弁体76のN
極とコイル74のS極が互いに吸引する。その結果、弁
体76は、電磁力の作用により、コイルスプリング10
6の付勢力に抗して軸方向下方に変位せしめられるので
あり、それに伴って、ダイヤフラム42に対する押圧力
が解除され、ダイヤフラム42が仕切部材44から離隔
せしめられて、透孔68が開口されることにより、流体
連通路71が連通状態とされることとなる。これによ
り、振動が入力されると、受圧室52と平衡室54の間
で、流体連通路71を通じての流体流動が生ぜしめられ
ることとなり、流体連通路71を通じて流動せしめられ
る流体の共振作用に基づいて、アイドリング振動やこも
り音等の高周波振動に対する有効な防振効果が発揮され
るのである。
【0039】なお、流体連通路71の連通状態下では、
オリフィス通路64も開口状態に維持されるが、オリフ
ィス通路64は流体連通路71よりも通路断面積:Aと
通路長さ:Lの比:A/Lの値が小さくされて低周波域
にチューニングされており、高周波振動の入力時には反
共振的現象や流路抵抗等によって流体流通抵抗が著しく
大きくなるために、流体は、実質的に流体連通路71だ
けを流通せしめられることとなる。それ故、オリフィス
通路64は、常時連通状態であっても、高周波振動の入
力時には、流体連通路71による防振効果が有効に発揮
されるのである。
【0040】また、コイル74への通電によって弁体7
6が軸方向下方に変位せしめられると、弁体76の軸方
向下端部が、コイル74の下部に重ね合わされた磁着保
持板86の段差部108に対して当接せしめられるよう
になっている。そこにおいて、弁体76は全体が実質的
に永久磁石とされて軸方向下端部に磁極を有している一
方、磁着保持板86は強磁性材で形成されていることか
ら、コイル74への通電による電磁力により弁体76が
下方の移動端に変位せしめられて磁着保持板86の段差
部108に当接せしめられると、それら両部材間に働く
磁気吸引力によって、弁体76が磁着保持板86に吸引
されることとなる。即ち、この磁気吸引力は、弁体76
に対して、コイル74への通電によって発揮される電磁
力と同じ方向に作用し、弁体76をコイルスプリング1
06の付勢力に抗して下方への移動端に保持せしめて、
流体連通路71を連通状態に維持するように働くのであ
る。
【0041】それ故、弁体76をコイルスプリング10
6の付勢力に抗して下方への移動端に保持せしめて、流
体連通路71を連通状態に維持するに際しては、弁体7
6と磁着保持板86の間に働く磁気吸引力に相当する分
だけ、コイル74への通電によって弁体76に及ぼす電
磁力ひいてはコイル74への供給電流を削減することが
出来るのである。それによって、流体連通路71を連通
状態に維持する場合にも、コイル74への供給電流が少
なくて済み、電力消費やコイル発熱等の問題が極めて有
効に解消されるのである。
【0042】なお、弁体76を下方の移動端に保持せし
めて流体連通路71を連通状態に維持した状態から、弁
体76を上方の移動端側に変位させて流体連通路71を
遮断状態とするには、コイル74への通電を中止又は減
少させることによって、容易に行うことが出来る。その
際、コイル74に対して反対に通電し、コイル74の軸
方向上側にS極,下側にN極を発現させれば、弁体76
に対して、上方向に向かう電磁力が及ぼされることか
ら、弁体76の作動応答性の向上が図られ得る。
【0043】また、上述の如き構造とエンジンマウント
10においては、弁体76の磁力等を調節することによ
り、弁体76と磁着保持板86の間に働く磁気吸引力だ
けによって、弁体76が下方の移動端側に保持され得る
ようにすることも可能である。なお、その際には、コイ
ル74への通電を反対にすること等により、弁体76を
上方の移動端側に変位させることができる。
【0044】なお、上述の説明から明らかなように、本
実施形態においては、弁体76を構成する第二の永久磁
石98および下ヨーク材100や、磁着保持板86等に
よって、弁体76をコイルスプリング106による付勢
力とは反対の移動端に保持せしめる方向の磁気吸引力を
弁体76に及ぼす磁石吸引手段が構成されていると共
に、第一,第二の永久磁石94,98およびヨーク材9
2,96,100で構成された弁体76や、ヨーク板8
2,84,磁着保持板86が組み付けられたコイル74
等によって、弁体76をコイルスプリング106による
付勢力に抗して変位させる電磁駆動手段が構成されてい
るのである。
【0045】以上、本発明の一実施形態について説明し
たが、本発明は、かかる実施形態のものに限定して解釈
されるものではない。特に、磁石吸引手段や電磁駆動手
段等、弁体による流体連通路の連通/遮断切換機構は、
上記実施形態に示された具体例の他、各種構造のものが
採用され得る。図3には、その別の具体的構造例が、第
二の実施形態として示されている。なお、図3に示され
た第二の実施形態では、第一の実施形態と同様な構造と
された部材および部位に対して、第一の実施形態と同一
の符号を図中に付することにより、それらの詳細な説明
を省略する。
【0046】すなわち、本実施形態における開閉切換装
置110は、底金具25によって固定的に支持されて中
心軸回りに配設されたコイル112と、該コイル112
の中心孔を貫通して上下方向に移動可能に配設された弁
体114を含んで構成された電磁駆動手段と、弁体11
4の下方に対向配置されて底金具25の底部に固着され
ることにより、該弁体114と協働して磁石吸引手段を
構成する永久磁石116を備えている。
【0047】より詳細には、コイル112は、ボビン1
18でモールドされて、有底円筒形状のケース金具12
0に挿入固着されており、このケース金具120が底金
具25に対して圧入固定されることによって、かかるコ
イル112が、空気室48内で中心軸周りに配設され
て、第二の取付金具14により固定的に位置決め支持さ
れている。また、コイル112の上面には、強磁性材か
らなる円環板形状のヨーク板117が重ね合わされて固
定的に組み付けられている。更にまた、ボビン118の
中心孔122の下方には、円環板形状の永久磁石116
が配設され、ケース金具120の底面に固着されてい
る。また、永久磁石116の上面には、強磁性材からな
る円環板形状のヨーク板124が重ね合わされて密接固
定されていると共に、該ヨーク板124の上面には、薄
肉の緩衝用ゴム層125が固着されている。
【0048】また一方、弁体114は、強磁性材で形成
されており、厚肉の逆カップ形状を有している。そし
て、かかる弁体114は、ボビン118の中心孔122
に対して上方から挿入されており、ボビン118の中心
孔122内で軸方向に摺動可能に配設されている。ま
た、弁体114の中央穴126には、付勢手段としての
コイルスプリング128が挿入配置されており、該コイ
ルスプリング128の下端部が弁体114の中央穴12
6から下方に突出してケース金具120の底壁に当接せ
しめられていることによって、コイルスプリング128
の付勢力が、弁体114に対して、該弁体114を上方
に突出させる方向に及ぼされている。
【0049】また、弁体114の軸方向下方の開口側端
面130は、永久磁石116に重ね合わされたヨーク板
124に対して軸方向に対向せしめられており、弁体1
14がコイルスプリング128の付勢力によって上方に
押し上げられていることにより、かかる開口側端面13
0が、ヨーク板124に対して、所定距離を隔てて対向
位置せしめられている。
【0050】すなわち、このような構造とされた開閉切
換装置110を備えた本実施形態のエンジンマウント1
32においては、コイル112に通電しない状況下で
は、図3に示されているように、弁体114を介して及
ぼされるコイルスプリング128の付勢力により、ダイ
ヤフラム42が仕切部材44に押し付けられて透孔68
が閉鎖されることにより、流体連通路71が遮断状態に
維持されることとなる。これにより、第一の実施例にお
けるコイルへの非通電状態と同様、オリフィス通路64
の防振作用に基づいて、シェイク等の低周波振動に対す
る有効な防振効果が発揮されるのである。
【0051】一方、コイル112に通電すると、図4に
示されているように、コイル112に生ぜしめられる磁
界により、弁体114に対して下方に向かう駆動力が及
ぼされる。その結果、弁体114は、コイルスプリング
128の付勢力に抗して軸方向下方に変位せしめられる
のであり、それに伴って、ダイヤフラム42に対する押
圧力が解除され、ダイヤフラム42が仕切部材44から
離隔せしめられて、透孔68が開口されることにより、
流体連通路71が連通状態とされることとなる。これに
より、第一の実施例におけるコイルへの通電状態と同
様、流体連通路71の防振作用に基づいて、アイドリン
グ振動やこもり音等の高周波振動に対する有効な防振効
果が発揮されるのである。なお、コイル112への通電
に際しては、永久磁石116の磁極とコイル112に生
ぜしめられる磁極を考慮して、弁体114に有効な駆動
力が及ぼされるように通電方向を決定することが望まし
い。
【0052】また、コイル112への通電によって弁体
114が軸方向下方に変位せしめられると、弁体114
の軸方向下側の開口側端面130が、ヨーク板124に
対して当接せしめられるようになっている。そこにおい
て、ヨーク板124は永久磁石116によって励磁され
ている一方、弁体114は強磁性材で形成されているこ
とから、永久磁石116による磁力が弁体114に及ぼ
されて、弁体114がヨーク板124に吸引されること
となる。そして、この永久磁石116による磁気吸引力
は、弁体114に対して、コイル112への通電によっ
て発揮される磁力と同じ方向に作用し、弁体114をコ
イルスプリング128の付勢力に抗して下方への移動端
に保持せしめるように働く。従って、弁体114をコイ
ルスプリング106の付勢力に抗して下方への移動端に
保持せしめて、流体連通路71を連通状態に維持するに
際しては、永久磁石116によって弁体114に及ぼさ
れる磁気吸引力に相当する分だけ、コイル112への通
電によって弁体114に及ぼす磁気吸引力ひいてはコイ
ル112への供給電流を削減することが出来るのであ
る。
【0053】それ故、本実施形態のエンジンマウント1
32においても、前記第一の実施形態と同様、流体連通
路71を連通状態に維持する場合にも、コイル112へ
の供給電流が少なくて済み、電力消費やコイル発熱等の
問題が極めて有効に解消されるのである。なお、本実施
形態のエンジンマウント132においては、下方の移動
端に保持せしめた弁体114を上方の移動端側に変位さ
せて流体連通路71を遮断する際には、例えばコイル1
12への通電を中止又は減少させることによって、容易
に行うことが出来る。また、弁体114の開口側端面1
30は、ヨーク板124に対して、緩衝用ゴム層125
を介して当接されることから、弁体114を下方の移動
端側に変位させる際の弁体114のヨーク板124に対
する当接時の衝撃が緩和されて、異音や損傷等が有利に
防止され得ることとなる。
【0054】しかも、本実施形態のエンジンマウント1
32においては、第一の実施形態のものに比して、変位
部材である弁体114の構造が極めて有利に簡略化され
得るといった利点もある。
【0055】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、かかる実施
形態に関する具体的記載によって、本発明は、何等、限
定的に解釈されるものではない。
【0056】例えば、付勢手段や磁石吸引手段,電磁駆
動手段を含んで構成されて、弁体を開閉作動せしめる開
閉切換装置72,110の具体的構造は、前記実施形態
のものに限定されるものでは、決してない。具体的に
は、例えば、第一の実施形態におけるエンジンマウント
10では、弁体76に二つの永久磁石94,98が組み
込まれていたが、単一の永久磁石が組み込まれた弁体を
用いること等も可能であり、また、第二の実施形態にお
けるエンジンマウント132において、第二の取付金具
14側に永久磁石116を配設する代わりに、弁体11
4側に永久磁石を配設すること等も可能である。更にま
た、例えば、第一及び第二の実施形態におけるエンジン
マウント10,132においては、何れも、コイル7
4,112が第二の取付金具14側に固定されていた
が、反対に、コイルを第二の取付金具14に対して変位
可能として、弁体側にコイルを固定することも可能であ
る。
【0057】また、前記実施形態では、何れも、弁体7
6,114とそれを切換作動せしめる開閉切換装置7
2,110が、空気室48内に配設されており、ダイヤ
フラム42を介して、流体連通路71の開口部(透孔)
68を開閉するようになっていたが、例えば、ダイヤフ
ラム42を貫通して弁体を配設し、弁体で流体連通路の
開口部を直接に開閉させるようにしたり、或いは開閉切
換装置の一部又は全体を、液室50の内部に収容配置す
ること等も可能である。
【0058】更にまた、流体連通路の具体的構造や形状
は、防振装置の構造や要求される防振性能等に応じて適
宜に設計されるものであり、何等限定されるものではな
い。また、流体連通路71に対して、流体流量を制限す
る可動ゴム板70を配設することは、必ずしも必要でな
い。
【0059】さらに、前記実施形態では、何れも、第一
の取付部材と第二の取付部材が、一方向で対向位置せし
められた構造の防振装置に対して本発明を適用したもの
の具体例を示したが、その他、本発明は、第一の取付部
材としての軸部材の周りに所定距離を隔てて第二の取付
部材としての外筒部材が配設されることによって、第一
の取付部材と第二の取付部材が中心軸周りの各径方向で
対向位置せしめられると共に、それらの径方向対向面間
に本体ゴム弾性体が介装された筒形構造の防振装置に対
しても、適用可能である。
【0060】加えて、前記実施形態では、本発明を自動
車用エンジンマウントに適用したものの具体例を示した
が、本発明は、その他、自動車用ボデーマウントやデフ
マウント,サスペンションブッシュ等、或いは自動車以
外の各種装置に用いられる防振装置に対して、何れも、
有利に適用され得ることは、勿論である。
【0061】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
1乃至7に記載の発明に従う構造とされた流体封入式防
振装置は、何れも、弁体を流体連通路の開位置または閉
位置の何れに保持せしめるに際しても、付勢手段または
磁石吸引手段によって、弁体を開位置または閉位置に保
持する力が及ぼされることから、コイルへの通電によっ
て弁体に駆動力を及ぼす電磁駆動手段に要求される弁体
保持力が有利に軽減乃至は解除されるのであり、それ
故、コイルの消費電力量や発熱量が効果的に軽減される
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの別の作動状
態を示す、要部縦断面説明図である。
【図3】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図4】図3に示されたエンジンマウントの別の作動状
態を示す、要部縦断面説明図である。
【符号の説明】
10,132 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 48 空気室 50 液室 52 受圧室 54 平衡室 64 オリフィス通路 66,68 透孔 70 可動ゴム板 71 流体連通路 72,110 開閉切換装置 74,112 コイル 76,114 弁体 86 磁着保持板 94 第一の永久磁石 98 第二の永久磁石 106,128 コイルスプリング 116 永久磁石

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の取付金具と第二の取付金具を本体
    ゴム弾性体で連結する一方、流体連通路を通じて相互に
    連通された複数の流体室を形成し、振動入力時に該流体
    連通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用を利用
    して防振効果を得ると共に、該流体連通路を連通状態と
    遮断状態に切り換えることによって防振特性を調節する
    ようにした流体封入式防振装置において、 前記流体連通路の開口部に対して接近/離隔方向に変位
    可能に配設されて、該開口部への接近側移動端において
    該開口部を閉塞して該流体連通路を遮断せしめる一方、
    該開口部からの離隔側移動端において該開口部を開口し
    て該流体連通路を連通せしめる弁体と、 該弁体を、前記開口部に対する接近側および離隔側の何
    れか一方の側に向かって付勢して、前記接近側移動端お
    よび前記離隔側移動端の何れかの側に保持せしめる付勢
    手段と、 前記弁体の該付勢手段による保持側移動端とは反対の移
    動端において、該弁体を該移動端側に保持せしめる方向
    の磁気吸引力を該弁体に及ぼす、永久磁石を用いた磁石
    吸引手段と、 コイルへの通電によって生ぜしめられる磁力又は電磁力
    によって、前記弁体に駆動力を及ぼし、該弁体を前記付
    勢手段による付勢力に抗して該付勢手段による保持側移
    動端とは反対の移動端側に向かって変位せしめる電磁駆
    動手段とを、設けたことを特徴とする流体封入式防振装
    置。
  2. 【請求項2】 前記磁石吸引手段による磁気吸引力のみ
    により、前記弁体が、前記付勢手段による付勢力に抗し
    て、該付勢手段による保持側移動端とは反対の移動端側
    に保持せしめられるようになっている請求項1に記載の
    流体封入式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記電磁駆動手段におけるコイルへの通
    電方向を変更することにより、前記付勢手段による保持
    側移動端とは反対の移動端側に保持せしめられた前記弁
    体に対して、該付勢手段による保持側移動端に向かう方
    向の駆動力が及ぼされるようになっている請求項1又は
    2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記磁石吸引手段が、前記弁体の前記付
    勢手段による保持側移動端から反対の移動端側への変位
    によって対向面間距離が小さくなる、該弁体と前記第二
    の取付部材側の固定部材との各対向部位に配設されて、
    相互に磁気吸引力を及ぼす永久磁石又は強磁性材からな
    る一対の磁気吸引部材によって構成されている請求項1
    乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記電磁駆動手段が、前記弁体側に設け
    られた永久磁石又は強磁性材からなる磁力作用部材を含
    んで構成されており、前記コイルが前記第二の取付部材
    側に固定されて、該磁力作用部材の回りに配設されてい
    る請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装
    置。
  6. 【請求項6】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体にて
    壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と、変
    形容易な可撓性膜にて壁部の一部が構成されて容積変化
    が容易に許容される平衡室とを含んで構成されている一
    方、該可撓性膜を挟んで該平衡室とは反対側に前記弁体
    が配設されており、該弁体が、該可撓性膜を、前記平衡
    室における前記流体連通路の開口部に押し付けることに
    よって、該流体連通路の開口部が閉塞されるようになっ
    ている請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振
    装置。
  7. 【請求項7】 前記複数の流体室間において、前記流体
    連通路よりも低周波数域の入力振動に対応してチューニ
    ングされたオリフィス通路が、常時、それらの流体室を
    相互に連通せしめるように形成されている請求項1乃至
    6の何れかに記載の流体封入式防振装置。
JP7545297A 1997-03-27 1997-03-27 流体封入式防振装置 Pending JPH10267072A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7545297A JPH10267072A (ja) 1997-03-27 1997-03-27 流体封入式防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7545297A JPH10267072A (ja) 1997-03-27 1997-03-27 流体封入式防振装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10267072A true JPH10267072A (ja) 1998-10-06

Family

ID=13576695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7545297A Pending JPH10267072A (ja) 1997-03-27 1997-03-27 流体封入式防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10267072A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19902494A1 (de) * 1999-01-22 2000-10-05 Freudenberg Carl Fa Umschaltbares Zweikammerstützlager mit hydraulischer Dämpfung
JP2009191994A (ja) * 2008-02-15 2009-08-27 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2009264498A (ja) * 2008-04-25 2009-11-12 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2009281541A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19902494A1 (de) * 1999-01-22 2000-10-05 Freudenberg Carl Fa Umschaltbares Zweikammerstützlager mit hydraulischer Dämpfung
DE19902494C2 (de) * 1999-01-22 2002-10-31 Freudenberg Carl Kg Umschaltbares Zweikammerstützlager mit hydraulischer Dämpfung
JP2009191994A (ja) * 2008-02-15 2009-08-27 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2009264498A (ja) * 2008-04-25 2009-11-12 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置
JP2009281541A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4120828B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3557837B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2002195342A (ja) 流体封入式能動型防振装置およびその製造方法
JP2008175342A (ja) 流体封入式エンジンマウント
JP2006002792A (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3551673B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP4123179B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JPH09280304A (ja) 流体封入式マウント装置
JP3503288B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH10184774A (ja) 防振装置
JP4258847B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JPH10267072A (ja) 流体封入式防振装置
JP3778013B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH1089402A (ja) 流体封入式マウント装置
JP5592659B2 (ja) 能動型防振装置
JP2000213586A (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3873618B2 (ja) 能動型防振用加振器およびそれを用いた能動型防振装置
JP5038198B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2002276724A (ja) 防振装置用のエア切換バルブとそれを用いた防振装置
JP2006266425A (ja) 能動型流体封入式防振装置
JP2008157411A (ja) 流体封入式防振装置
JP2010025219A (ja) 流体封入式防振装置
JP2008163974A (ja) 流体封入式防振装置
JPH10238586A (ja) 流体封入式防振装置
JP2827844B2 (ja) 流体封入式マウント装置