JP5083200B2 - 蒸着膜を備えたプラスチック成形品 - Google Patents
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Description
前記蒸着膜は、前記プラスチック基板の表面に形成された有機ケイ素系蒸着層と、該有機ケイ素系蒸着層の表面に形成された炭化水素系蒸着層とを含み、
前記有機ケイ素系蒸着層は、元素比C/Siが2.5乃至13の範囲にあり、元素比O/Siが0.5以下の範囲にあり、且つ厚みが3乃至40nmの範囲にあると共に、
前記炭化水素系蒸着層は、厚みが40乃至180nmの範囲にあり、且つFT−IR測定で波数3200〜2600cm−1の領域にCH、CH2及びCH3に由来するピークを示し、これらピークから算出されるCH、CH2及びCH3の合計当りのCH2比が35%以下及びCH3比が40%以上であることを特徴とするプラスチック成形品が提供される。
(1)前記プラスチック基板が生分解性プラスチック、特にポリ乳酸により形成されたものであること、
(2)前記プラスチック基板がボトルであり、該ボトルの少なくとも内面に前記蒸着膜が形成されていること、
が好適である。
このような有機金属系蒸着層は、酸素ガスを使用せず、且つ、元素比O/Siが0.5以下と小さい有機金属化合物(特に好ましくは、酸素を含有していない有機金属化合物)のガスを反応ガスとして使用し、低出力でプラズマCVD成膜することにより形成することができる。このような方法を適用することによりプラスチック基板として耐熱性の低いプラスチック基板を用いた場合においても、成膜時の酸素プラズマによる熱変形や熱劣化を有効に回避することができ、プラスチック基材の酸化劣化による異味異臭の発生をも有効に防止することができる。また、このような蒸着層は、有機性に富んでいるため、可撓性に優れ、プラスチック基板との密着性が良好であり、従って、このような有機金属系蒸着層の上に炭化水素系蒸着膜を成膜することで、優れたバリア性を示す蒸着膜を提供できる。
また、前記有機金属系蒸着層は、元素比O/Si比が0.5以下と小さく、特に好ましくは酸素元素を実質上含有していないため、成膜時に形成するシラノール基の濃度が低く、親水和性を低減できることから、水分に対する有効なバリア性能を提供できる。例えば、酸素ガスと有機金属化合物ガスを用いた酸化物系金属蒸着層(SiOx:x=1.5以上)の場合、成膜時に副生成物としてSiOH構造が形成され、この構造が高い親水性を示すため、水分に対するバリア性が低下してしまうという欠点があるのに対し、前記有機金属系蒸着層は、酸化物系金属蒸着層に生じる化学的特性をも有効に改善することができる。
また、この有機金属系蒸着層では、Siの結合基がプラスチック基板及び炭化水素系蒸着膜との結合に寄与し、水分に浸漬した場合でも剥離が生じなくなるのである。Siなどの金属を含有しない場合、このような効果はみられず、水分に浸漬した場合には蒸着膜が剥離してしまうものである。
即ち、CH2比及びCH3比が上記範囲内にあるということは、適度な柔軟性を有していると同時に、この層が枝分かれ構造が多い分子から形成され、緻密な構造を有していることを示しており、この結果、上記の水分や酸素に対するバリア性が向上し、しかも有機金属系蒸着層との密着性も向上し、例えばポリ乳酸基板上に蒸着膜を形成した場合においても、水分による膜剥離が有効に防止されるものと考えられる。例えば、前述した特許文献2提案の炭化水素系蒸着膜を上記の有機金属系蒸着層上に形成したときには、本発明に比してCH2比が大きいため、膜組成が緻密ではなくルーズであるため、密着性能は満足するものの、満足できる水分や酸素バリア性を得ることができていない。また、水分に対するバリア性が低いため、例えば、ポリ乳酸基板に適用された場合には、有機金属系蒸着層との界面に水分が侵入し、蒸着膜の剥離を生じ易くなってしまう。また、CH3比が低く、例えばCH3比がゼロのような組成の炭化水素系蒸着層は、柔軟性が損なわれ、著しく硬質のため、基材や有機金属系蒸着層の変形に追順できず、膜が剥離し、所定のバリア性が得られない。
本発明において、蒸着膜3を形成すべきプラスチック基板1としては、それ自体公知の熱可塑性樹脂からなるもの、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、あるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン;環状オレフィン共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル;ポリカーボネート;ポリフエニレンオキサイド;ポリブチレンサクシネート、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びその共重合体やポリ乳酸に代表される生分解性プラスチック;及びこれらのブレンド物;などから形成されたものであってもよい。
本発明において、上述したプラスチック基板1上に形成される蒸着膜3は、有機金属系蒸着層(有機ケイ素系蒸着層)3a及び炭化水素系蒸着層3bとからなるものであるが、これら蒸着層3a,3bの形成は、何れも所定の化合物ガスを含む反応性ガスを使用したプラズマCVD、例えばマイクロ波や高周波を利用してのグロー放電によるプラズマCVDにより行われる。尚、高周波による場合には、膜を形成すべきプラスチック基板1を一対の電極基板で挟持する必要があるため、ボトルなどの立体容器形状のプラスチック基板1に蒸着膜3を形成するときには、マイクロ波によるプラズマCVDを実行することが好適である(即ち、一対の電極基板により容器壁を挟持するためには、装置構造が複雑になってしまう)。
本発明において、蒸着膜3の内、プラスチック基板1の表面に形成されている有機金属系蒸着層3aは、密着性層として機能するものであり、炭化水素系蒸着層3bを高い密着性でプラスチック基板1上に設けるために形成されるものであり、このような有機金属系蒸着層3aの形成により、例えばポリ乳酸基板などの上にも高い密着性で炭化水素系蒸着層3bを形成し、しかも水分による炭化水素系蒸着層3bの剥離を有効に防止することが可能となるものである。
(R1)n−Si(R2)4−n (1)
式中、R1は、ビニル基、アリル基などの脂肪族不飽和基を有する基であり、
R2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの脂肪族若しくは芳香
族の炭化水素基であり、
nは、1乃至4の整数である、
で表されるシラン化合物を好適に使用することができる。このようなシラン化合物としては、ビニルトリメチルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが挙げられるが、最も好適なものは、ガス化が容易であるという観点から、トリメチルビニルシランである。
尚、有機金属系蒸着層(有機ケイ素系蒸着層)3aは、炭素、ケイ素、水素、あるいは酸素からなる構造を有するものであるが、それら以外に、窒素等その他の元素を含んでいてもよい。
本発明において、上述した有機金属系蒸着層3aの上に炭化水素系蒸着層3bが形成され、これにより、酸素等に対する優れたバリア性を示し、且つ水分に対しても優れたバリア性を確保することができ、しかも、かかる層3bは、有機金属系蒸着層3aに対して優れた密着性を示し、水分に対するバリア性が高いことも関連して、水分による膜剥離が有効に防止され、例えばポリ乳酸のように水分に対するバリア性の低いプラスチック基板上に蒸着膜3が形成されていた場合にも、水分による膜剥離が有効に防止され、長期間にわたって優れたバリア性が維持される。
また、炭化水素系蒸着層は、炭素と水素からなるCH、CH2、CH3の構成比が前記範囲にあるものであるが、それらの構成元素である炭素、水素以外に、ケイ素など有機金属系蒸着層の金属、酸素、窒素等、その他の元素を含んでいてもよい。
[蒸着試験用ボトル]
蒸着試験用の容器として、以下のボトルA〜Cを用意した。
ボトルA:
ポリ乳酸(PLA)樹脂製プリフォームを二軸延伸ブロー成形して得られた内容積
400mlのポリ乳酸製ボトル。
ボトルB:
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製プリフォームを二軸延伸ブロー成型
し、得られた内容積400mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ボトル。
ボトルC:
ポリエチレン(HDPE)樹脂をダイレクトブロー成形して得られた内容積400
mlのポリエチレン製ボトル。
プラズマCVDによる蒸着は、次のように行った。
所定の真空度に保持されたチャンバー内に製膜すべき上記の試験用ボトルを収容後、反応ガスとして有機金属化合物ガスを試験用ボトル内部に導入し、2.45GHzのマイクロ波を出力することで有機金属系蒸着層を製膜した。次に、反応ガスとしてアセチレン30sccmをプラスチック容器内部に導入し、2.45GHzマイクロ波を出力することで有機金属系蒸着膜の上に炭化水素系膜を製膜した。
成膜後、ボトルを大気開放し、プラズマCVD蒸着装置より蒸着膜が形成された蒸着ボトルを取り出した。反応ガスを供給し、所定のマイクロ波を出力することで製膜を行った。
表1〜4には、各実施例及び比較例で採用した有機金属系蒸着層及び炭化水素系層の蒸着条件を示した。
1.水分バリア性:
イオン交換水400mlを蒸着ボトルに室温充填し、ゴム栓で密栓後、重量測定した。次に、37℃、25%RH環境下に7日保存したあと、再度重量を測定し、ボトル表面積で換算して一日当たりの水分透過量とした(g/m2・day)。この場合、水分透過量が7g/m2・day以下の値で水分バリア性があるとし、水分透過量が7g/m2・dayを越えたときに水分バリア性が不十分とした。
蒸着ボトルを脱気グローボックスに挿入し、窒素ガスでガス置換後、ゴム栓で密封し、37℃、25%RH環境下に7日保存した。次に、ガスタイトシリンジで容器内ガスを1ml採取し、酸素濃度測定ガスクロマトグラフィーにて酸素濃度を測定し、該測定値からボトル表面積で換算して一日当たりの酸素透過量(cc/m2・day)を算出した。
蒸着ボトルに400mlのイオン交換水を室温充填し、40℃恒温槽に30日保存した後、ボトルを100回振った。ボトル外面から目視観察し、ボトル内部にせん光性を示す透明フレークが浮遊した場合、蒸着膜が剥離したと判断した。一方、目視観察でせん光性を示す透明フレークの浮遊が確認できない場合、膜の剥離がないとした。
蒸着ボトルに蒸留水400mlを充填し、22℃に2週間保存後、内容水を取り出し、4点評価法により異味異臭の官能試験をおこなった。蒸留水を比較対照区(評点1)とし、水フレーバー性を評価した。評価基準は次の通りである。
1.0〜2.0未満:問題なし
2.0〜2.5未満:異味異臭大
2.5以上:異味異臭きわめて大
上述した各試験での評価を基に、酸素バリア性が25cc/m2・day以下であり、水分バリア性が7g/m2・day以下であり、水充填保存時の膜の剥離がなく、水フレーバー評価の値が2.0未満の場合、総合判定を○とした。一方、前記4項のいずれかの項目で条件を満足しないものがあった場合、総合判定を×とした。
1.炭化水素系蒸着膜の分析:
(測定試料の調整)
実施例及び比較例で作製された各蒸着ボトルに、有機溶媒を入れ、振動攪拌し蒸着膜を溶離させた。尚、ボトルA,C(ポリ乳酸ボトル、ポリエチレンボトル)では、有機溶媒としてクロロフォルムを用い、ボトルB(PETボトル)ではヘキサフルオロ−2−プロパノールを用いた。
次に、ボトル内の有機溶媒を回収し、5A濾紙で濾過した。蒸着膜は濾紙上に残査として残るため、更に、プラスチック基材溶出成分を洗い流すため、過剰な有機溶媒で濾過残査を洗浄濾過した。この後、濾紙上に残った残査部をクロロフォルムで分離回収した。クロロフォルムに分散した蒸着膜分散物をクロロフォルムと一緒にアルミ箔上に滴下し、乾燥させた。
顕微赤外FT−IR装置を用い、カセグレイン鏡を用いた反射測定を行った(測定周波数範囲:600cm−1〜4000cm−1)。
実測スペクトルの内、炭化水素系吸収ピーク領域として2600cm−1から3200cm−1範囲を用い、2600cm−1から3200cm−1範囲外でベースライン補正した。
次に、D.S.Patil et al, Journal of Alloys and Compounds, 278(1998)
130-134文献に従い、非対称振動モードの吸収ピークとして、以下の吸収帯:
CH3吸収バンド;2960cm−1
CH2吸収バンド;2925cm−1
CH吸収バンド;2915cm−1
を選択し、さらに波形分離の都合上、対象振動モードの吸収バンド(CH2とCH3との混合吸収バンド):2860cm−1も用い、カーブフィッテイングした。顕微赤外FT−IR装置付帯のカーブフィッテイングソフトを用いた。
非対象振動モードである2960cm−1(CH3)、2925cm−1(CH2)、2915cm−1(CH)のピーク強度(ピーク面積)にそれぞれのピークの吸光度係数をかけ(2960c1m−:0.31、2925cm−1:0.29、2915cm−1:0.14)、それぞれのピーク強度値とした(参照文献:Polymer Analytical Handbook)。吸光光度係数を掛けて得られたピーク強度補正後の値を用い、(CH3):2960cm−1、(CH2):2925cm−1、(CH):2915cm−1の総和を100とし、下記式に従い、CH3,CH2,CH構造の組成比を求めた。解析結果の例を図2に示した。
I(CH3)=(CH3:2960cm−1)カーブフィッティング値×吸収光度係数(0.31)
I(CH2)=(CH2:2925cm−1)カーブフィッティング値×吸収光度係数(0.29)
I(CH)=(CH:2915cm−1)カーブフィッティング値×吸収光度係数(0.14)
試験ボトルの蒸着時にボトル内面に20mm×20mm片のシリコンウエハーを挿入し、シリコンウエハー上に実施例・比較例毎の蒸着膜を別途成膜した。
次に、斜入射X線(Grazing Incidence X-ray)測定装置を用い、CuKα線を用いて、入射角0.1°〜2.5°の入射角スキャン(ステップー:0.003°)を行い、X線の反射強度を測定した。測定X線反射曲線をX線装置付帯のWinGixaソフトにて解析し、膜厚を求めた。
(元素組成分布と膜厚測定)
内面に蒸着膜を形成した蒸着ボトルの胴部を切り出し、PHI社製X線光電子分光分析装置(Quantum2000)により、蒸着膜の深さ方向のケイ素、酸素、炭素のそれぞれの組成分布を測定した。
膜厚みに関しては、溶融石英(SiO2)で求めたスパッタ速度(1.9nm/分)と同じ条件で試料片をスパッタリングして、蒸着膜スパッタに要した時間を換算して膜厚とした。
ブランク1に示したように、蒸着膜がついていないポリ乳酸(PLA)ボトルAは、酸素バリア性が55cc/m2・dayで、水分バリア性は16g/m2・dayと酸素・水分ともにバリア性が低い。
実施例4は、炭化水素系蒸着膜の成膜用の反応ガスをアセチレンガスとベンゼンガス1:1の混合ガスを用いた他は、実施例1と同様に成膜が行われている。この実施例4でも、酸素バリア性、水分バリア性、耐膜剥離性、水フレーバー性の何れも良好である。
実施例5乃至7は、有機金属系蒸着膜の成膜時に用いた反応性ガスをTMVSガスとアセチレンガスとし、混合割合を5.25:1にした以外は実施例1同様に成膜が行われている。これらの例においても、酸素バリア性、水分バリア性、耐膜剥離性、水フレーバー性の何れもが良好である。
実施例8、9は、炭化水素系蒸着膜の成膜時間を4秒と1.2秒とした以外は実施例1と同様に成膜が行われている。これらの例でも、酸素バリア性、水分バリア性、耐膜剥離性、水フレーバー性の何れもが良好である。
実施例10は、炭化水素系蒸着膜の成膜時のマイクロ波出力を545Wとした以外は実施例1と同様に成膜が行われている。この例でも、酸素バリア性、水分バリア性、耐膜剥離性、水フレーバー性の何れもが良好である。
比較例2は、有機金属系蒸着膜の成膜時に用いた反応性ガスをTMVSガスとアセチレンガスとし、混合割合を2:3とした以外は実施例1と同様に成膜が行われている。この場合、C/Si比が14となり、良好な、酸素バリア性、水分バリア性、水フレーバー性が得られたものの、膜剥離試験で蒸着膜の剥離が生じた。
比較例3、4は、炭化水素系蒸着膜の成膜時のマイクロ波出力を430Wと340Wとした他は、実施例1と同様に成膜が行われている。この場合、良好な、耐膜剥離性、水フレーバー性が得られたものの、酸素バリア性、水分バリア性は不良であった。
比較例5は、ボトルA(PLAボトル)に有機金属系蒸着膜を蒸着する場合の反応性ガスとして、ヘキサメチルジシロキサン(O/M元素比=0.5)と酸素ガスの1:10混合比ガスを用い、マイクロ波出力を470Wにした以外は、実施例1と同様に成膜が行われている。この場合、良好な酸素バリア性が得られたものの、水分バリア性、耐膜剥離性、水フレーバー性は不良であった。水フレーバー試験では、異味異臭が発生した。
比較例6は、ボトルA(PLAボトル)に有機金属系蒸着膜を蒸着する場合の反応性ガスとして、ジエトキシメチルシラン(O/M元素比=2.0)を用いた以外は、実施例1と同様に成膜が行われている。この場合、良好な酸素バリア性、水分バリア性、耐膜剥離性が得られたものの、水フレーバー性は不良であった。水フレーバー試験では、異味異臭が発生した。
ブランク2に示したように、蒸着膜がついていないボトルB(PETボトル)は、酸素、水分バリア性ともに、ポリエチレンテレフタレートの樹脂性能そのものの性能であった。(ポリ乳酸ボトルAよりはバリア性は高いが、市場の要求性能はさらに高いバリア性を要求する場合がある。)
ブランク3に示したように、蒸着膜がついていないボトルC(HDPEボトル)は、酸素、水分バリア性ともに、ポリエチレンの樹脂性能そのものの性能であった。ボトルA(PLAボトル)より水分バリア性は高いが、酸素バリア性が極めて低い値であった。
実施例14は、ボトルCに有機金属系蒸着膜を蒸着する場合の反応性ガスとして、TMVSとアセチレンの混合ガスを用い、ガス混合比を5.25:1とした以外は実施例13と同様に成膜を行ったものである。これらの例では、酸素バリア性、水分バリア性、耐膜剥離性、水フレーバー性の何れもが良好である。
3:蒸着膜
3a:有機金属系蒸着層
3b:炭化水素系蒸着層
Claims (4)
- プラスチック基板と、該プラスチック基板表面にプラズマCVD法によって形成された蒸着膜とからなるプラスチック成形品において、
前記蒸着膜は、前記プラスチック基板の表面に形成された有機ケイ素系蒸着層と、該有機ケイ素系蒸着層の表面に形成された炭化水素系蒸着層とを含み、
前記有機ケイ素系蒸着層は、元素比C/Siが2.5乃至13の範囲にあり、元素比O/Siが0.5以下の範囲にあり、且つ厚みが3乃至40nmの範囲にあると共に、
前記炭化水素系蒸着層は、厚みが40乃至180nmの範囲にあり、且つFT−IR測定で波数3200〜2600cm−1の領域にCH、CH2及びCH3に由来するピークを示し、これらピークから算出されるCH、CH2及びCH3の合計当りのCH2比が35%以下及びCH3比が40%以上であることを特徴とするプラスチック成形品。 - 前記プラスチック基板が生分解性プラスチックにより形成されたものである請求項1に記載のプラスチック成形品。
- 前記生分解性プラスチックがポリ乳酸である請求項2に記載のプラスチック成形品。
- 前記プラスチック基板がボトルであり、該ボトルの少なくとも内面に前記蒸着膜が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載のプラスチック成形品。
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