JP4264400B2 - 軟質アモルファスカーボン膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
よって、近年の飲料製品の多様化に鑑み、透明性の高いアモルファスカーボン膜でガスバリア性を有するペットボトルの出現が望まれている。
本発明にかかる実施形態にかかるアモルファスカーボン膜は、ラマン分光法によるS(グラファイト状成分)/N(ポリマー成分)比(以下、「ラマンS/N比」という。))が1.0以下、より好ましくはラマンS/N比が1.0以下0.2以上としている。
これは、後述する試験例に示すように、ラマンS/N比が1.0を超える場合には、黄色の着色が顕著となり、透明性の向上を図ることができないからである。また、ラマンS/N比が0.2未満の場合には、ガスバリア性が悪くなり、ガスバリア膜としての機能を発揮することができないからである。
試験片はプラスチック容器内に基材を挿入し、この基材に成膜を複数回繰り返しておこなった。
この結果、測定はMTSシステムズ社製のナノインデンター(NanoIndenter TMXPsyDCM,MTSシステムズ社の商標)を用いた。このナノインデーション試験は、測定対象物に対し、ダイヤモンドチップからなる三角錐(バーコビッチ型)の圧子をその表面に押込み、そのときの圧子にかかる荷重Pと圧子の下の斜影面積Aから微小硬さ(GPa)を求めるものである。
また、このときの多層のアモルファスカーボン膜のS/N比は2.0以下である。
このように、同じ成膜条件においても、ラマンS/N比に差が生じることとなる。
よって、以上のことを総合的に勘案すると、単層アモルファスカーボン膜の微小硬度は5〜8GPa以下となることが推察される。
通常のDLC((Diamond Like Carbon))膜はビッカース硬度Hv1000〜8000(微小硬さ10〜80GPa)の高硬度の炭素膜であるのに比べて、本発明のアモルファスカーボン膜は微小硬度8GPa以下であり、極めて軟質な膜と言える(「DLCコーティング市場2001−ダイヤモンドライクカーボンコーティング市場の実態と展望−」矢野経済研究所:2001年3月26日発行)。なお、ビッカース硬度Hv1000〜8000は微小硬さ10〜80GPaにほぼ相当する。
ここで、b*絶対値が7を超える場合には、着色があり、透明性に欠けるからである。
前記基材の加工品としては、各種容器を挙げることができる。
前記容器としては、例えば食品用、医薬品用容器プラスチック容器を挙げることができ、容器以外には、フィルム等に対するガスバリア膜として有効である。また、ガソリンタンク等の燃料を充填する容器等にも適用することが可能である。
また、例えば反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、アーク蒸着法、イオン蒸着法、プラズマイオン注入法等に代表される公知の物理的気相成膜法(Physical Vapor Deposition:PVD)を用いることができる。
なお、PVD法を用いる場合には、固体蒸発源も利用可能となる。
図1は、本実施形態に係る成膜装置を示す概念図である。
以下、基材の一例として、プラスチック容器を例にして説明する。
図1に示すように、本実施例に係る成膜装置は、口部11を有するプラスチック容器12の内面に放電プラズマにより成膜を施す成膜装置であって、プラスチック容器12の外周を取り囲む大きさを有する外部電極13と、前記口部11が位置する側の前記外部電極13の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気管14と、前記外部電極13内の前記プラスチック容器12内に前記排気管14側から前記プラスチック容器12の長手のほぼ全長に亙って挿入され、接地G側に接続されると共に、媒質ガス15を吹き出すためのガス吹き出し孔16が穿設された内部電極17と、前記排気管14に取り付けられた図示しない排気装置と、前記内部電極17に媒質ガス15を供給するための図示しないガス供給装置と、前記外部電極13に接続された高周波電源18とを具備してなるものである。
媒質ガスとしてアセチレン50sccmを導入し、周波数13.56MHz、RFパワー200、300、400、500、600、700,800Wを各々印加し、成膜圧力を0.12Torrとしてプラスチックフィルム(PET)容器内に単層アモルファスカーボン膜を成膜した。成膜時間は2秒とした。
ここで、本試験においては、ナノインデンテーション法として、微小硬度計(MTSシステムズ社製のナノインデンター(NanoIndenter TMXPsyDCM,MTSシステムズ社の商標))を用い、100μ四方の領域に対し、50μm間隔で、先端が鋭利なダイヤモンド圧子をμN〜mNオーダーの力で押し付けることにより、9箇所測定し、その平均値を求めた。なお、膜の厚さの1/5以上の深さの領域においては基板の硬さの影響が含まれるので、表面から膜厚の1/5相当の深さにおける値をアモルファスカーボン膜の硬さとした。
また、全反射ラマン分光法について単層アモルファスカーボン膜のRFパワー(W)とS(グラファイト状成分)/N(ポリマー成分)比との関係図を図2、ナノインデーター法についてRFパワー(W)と微小硬さ(GPa)との関係図を図3に、多層アモルファスカーボン膜のRFパワー(W)とS(グラファイト状成分)/N(ポリマー成分)比との関係図を図4、L*a*b*表色系についてRFパワー(W)とL*との関係図を図5、L*a*b*表色系についてRFパワー(W)とa*との関係図を図6、L*a*b*表色系表色系についてRFパワー(W)とb*との関係図を図7に示す。
成膜圧力を1.73Torrとした以外は、参考例1と同様にして容器内に単層アモルファスカーボン膜を成膜した。成膜時間は2秒とした。
また、全反射ラマン分光法について単層アモルファスカーボン膜のRFパワー(W)とS(グラファイト状成分)/N(ポリマー成分)比との関係図を図8、ナノインデーター法についてRFパワー(W)と微小硬さ(GPa)との関係図を図9に、多層アモルファスカーボン膜のRFパワー(W)とS(グラファイト状成分)/N(ポリマー成分)比との関係図を図10、L*a*b*表色系についてRFパワー(W)とL*との関係図を図11、L*a*b*表色系についてRFパワー(W)とa*との関係図を図12、L*a*b*表色系についてRFパワー(W)とb*との関係図を図13に示す。
12 プラスチック容器
13 外部電極
14 排気管
15 媒質ガス
16 ガス吹き出し孔
17 内部電極
18 高周波電源
Claims (5)
- 基材表面に放電プラズマにより成膜してなるアモルファスカーボン膜であって、
アモルファスカーボン膜が、膜厚20〜50nmの単層の薄膜であり、その単層膜の全反射ラマン分光法によるS(グラファイト状成分)/N(ポリマー成分)比が1.0以下0.2以上であると共に、その硬度が8GPa以下であることを特徴とする軟質アモルファスカーボン膜。 - 請求項1において、
そのL*a*b*表色系のb*絶対値が7以下であることを特徴とする軟質アモルファスカーボン膜。 - 請求項1又は2において、
そのL*a*b*表色系のa*絶対値が1以下であることを特徴とする軟質アモルファスカーボン膜。 - 成膜圧力が1.73〜10Torr、RF出力が300〜800Wの高周波プラズマ発生条件により高周波プラズマを発生させ、媒質ガスにより基材の表面に請求項1乃至3のいずれか一つのアモルファスカーボン膜を成膜することを特徴とする軟質アモルファスカーボン膜の製造方法。
- 容器本体の内面に形成されるガスバリア性膜が請求項1乃至3のいずれか一つの軟質アモルファスカーボン膜であることを特徴とする容器。
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