JPH07233465A - セラミック被覆フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

セラミック被覆フィルムおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH07233465A
JPH07233465A JP2675994A JP2675994A JPH07233465A JP H07233465 A JPH07233465 A JP H07233465A JP 2675994 A JP2675994 A JP 2675994A JP 2675994 A JP2675994 A JP 2675994A JP H07233465 A JPH07233465 A JP H07233465A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
metal
alcohol
ceramic
ceramic coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2675994A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3809655B2 (ja
Inventor
Haruo Uyama
晴夫 宇山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP02675994A priority Critical patent/JP3809655B2/ja
Publication of JPH07233465A publication Critical patent/JPH07233465A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3809655B2 publication Critical patent/JP3809655B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、無色透明であり、かつ高いガスバリ
ア性を有するとともに後加工による外部からの折り曲げ
や引っ張り等の作用に対して、ガスバリア性の低下する
ことのない柔軟性を有する実用性の高いセラミック被覆
フィルム及びその製造方法を提供する。 【構成】基材フィルムの表面にアルコール雰囲気下で金
属又は金属化合物或いはそれらの前駆体からなるセラミ
ック薄膜を成膜形成し、セラミック薄膜の粒子中又は分
子中、或いは粒子同士又は分子同士の界面にアルコキシ
ル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:ア
ルキル基)結合を有する化合物が生成され、それが有機
的結合を有し、ある程度の伸縮性を示すことでマクロ的
に柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック被覆フィル
ム及びセラミック被覆フィルムの製造方法に関するもの
であり、とくに包装材料などに使用するのに適した厚さ
10〜100μmの高分子フィルムを基材フィルムとす
る柔軟性に優れたセラミック被覆フィルム及びセラミッ
ク被覆フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食品、医薬品、精密電子部品等の
包装に用いられる包装材料は、内容物の変質、とくに食
品においては蛋白質や油脂等の酸化、変質を抑制し、さ
らに味、鮮度を保持するために、また無菌状態での取扱
いが必要とされる医薬品においては有効成分の変質を抑
制し、効能を維持するために、さらに精密電子部品にお
いては金属部分の腐食、絶縁不良等を防止するために、
包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質
させる気体による影響を防止する必要があり、これら気
体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求め
られている。
【0003】そのため、従来から塩化ビニリデン樹脂を
コートしたポリプロピレン(KOP)やポリエチレンテ
レフタレート(KPET)或いはエチレンビニルアルコ
ール共重合体(EVOH)など一般にガスバリア性が比
較的高いと言われる高分子樹脂組成物をガスバリア材と
して包装材料に用いた包装フィルムやAlなどの金属か
らなる金属箔、適当な高分子樹脂組成物(単独では、高
いガスバリア性を有していない樹脂であっても)にAl
などの金属又は金属化合物を蒸着した金属蒸着フィルム
を包装材料に用いた包装フィルムが一般的に使用されて
きた。
【0004】ところが、上述の高分子樹脂組成物のみを
用いてなる包装フィルムは、Alなどの金属又は金属化
合物を用いた箔や蒸着層を形成した金属蒸着フィルムに
比べるとガスバリア性に劣るだけでなく、温度・湿度の
影響を受けやすく、その変化によってはさらにガスバリ
ア性が劣化することがる。一方、Alなどの金属又は金
属化合物を用いた箔や蒸着層を形成した金属蒸着フィル
ムは、温度・湿度などの影響を受けることは少なく、ガ
スバリア性に優れるが、包装体の内容物を透視して確認
することができないとする欠点を有していた。
【0005】そこで、これらの欠点を克服した包装用材
料として、最近では金属或いは金属化合物、例えば一酸
化珪素(SiO)などの珪素酸化物薄膜、酸化マグネシ
ウム(MgO)薄膜、を透明性を有する高分子材料から
なる基材上に蒸着などの形成手段により形成された蒸着
フィルムが開発されており、一部は実用化される段階に
至っている。
【0006】特に特開平4−251736号公報に示さ
れる金属酸化物被覆フィルムにおける金属酸化物粒子同
士の界面の隙間にオルガノシリコン成分を配置すること
で充填し、ガス透過度を減少させてなるガスバリヤーフ
ィルムが提案されている。これは、オルガノシリコン成
分が金属酸化物粒子で形成されるフィルムに組み込ま
れ、実質的に結合され、分子の形態で組み込まれてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記出
願は高分子材料等の基材フィルム上に成膜されるセラミ
ックスの薄膜は、柔軟性及び密着性に優れているとは言
えず、機械的強度が他の金属蒸着薄膜に比べて弱く、例
えばこの蒸着薄膜を包装材料に用いる場合に、包装体へ
の加工(折り曲げ、引っ張り、ラミネートなど)や文字
や絵柄などデザインを印刷により表面或いは裏面に施
す、いわゆる蒸着後の後加工において薄膜に傷などの損
傷や薄膜の剥離などが発生し、この損傷部分から空気、
水蒸気などの気体が浸透するなどして本来有しているは
ずの高いガスバリア性が低下してしまうという問題を有
している。
【0008】さらには湿式のコーティングにより柔軟性
に富む金属酸化物被覆フィルムを製作することも可能で
あるが、耐水性に問題を有する欠点がある。
【0009】すなわち、包装体として用いられる条件と
して、内容物自体を直視することが可能なだけの透明
性、内容物に対して影響を与える気体などを遮断する高
いガスバリア性、包装体への加工などによる機械的なス
トレスに対して機能を低下させない柔軟性を有するもの
が求められており、現在のところこれらを全て満たす包
装材料は見いだされていない。
【0010】そこで、本発明は無色透明であり、かつ高
いガスバリア性を有するとともに後加工による外部から
の折り曲げや引っ張り等の作用に対して、ガスバリア性
の低下することのない柔軟性を有する実用性の高いセラ
ミック被覆フィルム及びセラミック被覆フィルムの製造
方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべくなされたものであり、請求項1記載の発明は、基
材フィルム上に金属又は金属化合物からなるセラミック
膜を形成してなるセラミック被覆フィルムにおいて、前
記基材フィルムの表面にアルコール雰囲気下で金属又は
金属化合物或いはそれらの前駆体からなるセラミック薄
膜を成膜してなり、かつ前記セラミック薄膜の粒子中ま
たは分子中、或いは粒子同士または分子同士の界面にア
ルコキシル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R
(R:アルキル基)結合を有することを特徴とするセラ
ミック被覆フィルムである。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
セラミック被覆フィルムにおいて、アルコール雰囲気
が、炭素数が4以下のアルコールで構成されてなること
を特徴とするセラミック被覆フィルムである。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1に記載の
セラミック被覆フィルムにおいて、金属化合物が、硫化
物、酸化物、窒化物、炭化窒化物、酸化窒化物、酸化炭
化物、フッ化から選択されることを特徴とする請求項1
記載のセラミック被覆フィルムである。
【0014】請求項4記載の発明は、基材フィルム上に
金属又は金属化合物からなるセラミック被覆フィルムの
製造方法であって、基材フィルムの表面に金属又は金属
化合物或いはそれらの前駆体からなるセラミック薄膜を
アルコール雰囲気下において成膜することを特徴とする
セラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項4に記載の
セラミック被覆フィルムの製造方法において、アルコー
ル雰囲気が、炭素数が4以下のアルコールで構成されて
なることを特徴とするセラミック被覆フィルムの製造方
法である。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項4に記載の
セラミック被覆フィルムの製造方法において、アルコー
ル雰囲気は、放電によりプラズマ状態にあることを特徴
とするセラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項6に記載の
セラミック被覆フィルムの製造方法において、放電の手
段がマイクロ波、ラジオ波等の高周波によることを特徴
とするセラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0018】請求項8記載の発明は、請求項4に記載の
セラミック被覆フィルムの製造方法において、アルコー
ル雰囲気を特定波長の光照射により励起或いは活性化し
てなることを特徴とするセラミック被覆フィルムの製造
方法である。
【0019】
【作用】高分子材料からなる樹脂フィルム上に金属又は
金属酸化物からなるセラミック薄膜を形成する際に、ア
ルコール或いはプラズマ状態とさせたアルコールを、ま
たは光照射により活性化させたアルコールを添加した雰
囲気中とすることにより、樹脂フィルム上に析出する粒
子の界面で金属酸化物とアルコールの分解により生じた
金属アルコキシド類似の物質やアルコキシル基やR−金
属−陰イオン−金属−R結合(R:アルキル基)を有す
る化合物が生成され、それが薄膜の粒子中または分子
中、或いは粒子同士または分子同士の界面に有機的結合
を有することにより、ある程度の伸縮性を示すことでマ
クロ的に柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。
【0020】とくに珪素酸化物では、通常の蒸着により
形成される薄膜では、酸素が欠損し、SiO2-X の状態
にあるため、本発明によればこの欠損している部分にS
iOH(シラノール)結合やR基(R:アルキル基)が
結合し、上記と同様な伸縮性による柔軟性に富むセラミ
ック被覆フィルムとなる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明する。図1は本発
明のセラミック被覆フィルムを説明する断面図であり、
図2は本発明のセラミック被覆フィルムを形成する蒸着
装置の構成の一例を説明する概略図である。
【0022】まず、本発明のセラミック被覆フィルムの
構成について図1を参照し説明する。セラミック被覆フ
ィルム1は、基材フィルム2上にアルコール雰囲気下で
金属又は金属化合物或いはそれらの前駆体からなるセラ
ミック薄膜3を形成してなり、さらにそのセラミック薄
膜の粒子中又は分子中、或いは粒子同士又は分子同士の
界面にアルコール雰囲気下において生じたアルコキシル
基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:アル
キル基)結合を有するものである。
【0023】本発明のセラミック被覆フィルムの基材フ
ィルム2に用いられる高分子材料は、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレートなどに代表されるポリエステルフィルム
であるが、その他、目的用途に応じて、例えばポリオレ
フィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミ
ド(ネイロン−6、ナイロン−66等)、ポリ塩化ビニ
ル、ポリイミドなど、或いはこれら高分子の共重合体な
ど通常包装材料として用いられるものが使用でき、上記
材料から適宜選択される。厚さは用途に応じて決定され
るが、10〜100μmの範囲で、とくに10〜25μ
mのものが望ましい。
【0024】この基材フィルム2に用いられる高分子材
料に、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑
剤、着色剤など公知の添加剤、安定剤を加えることがで
き、これらは必要に応じて適宜添加される。
【0025】さらに基材フィルム2の表面をコロナ処
理、プラズマ処理、アンカーコート処理等の表面改質を
行い、上面に形成される被膜の密着性を向上させること
も可能である。
【0026】上記基材フィルム2に薄膜層3を形成する
手段としては、蒸着材料である珪素、マグネシウム、ア
ルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物、
窒化物、硫化物、炭化窒化物、酸化窒化物、酸化炭化
物、フッ化物の単体、例えばMgO,SiOX , Al
2 3 ,TiO2 ,TiON,TiCO,TiCN,Z
rO2 ,ZrON,ZrCO,ZrCN,MgF2 ,C
aF2 ,SnO2 等、或いはそれらの複合物、又は上記
に挙げた物質単体からなり、これらを真空蒸着法、スパ
ッタリング法などの物理的成膜方法、或いは化学気相析
出法(CVD法)などの真空プロセスにより樹脂フィル
ム上に薄膜状に形成される。
【0027】薄膜層3の膜厚は、目的用途によって異な
るが、100から2000Åの範囲が望ましいが、10
0Å以下では薄膜の連続性に問題があり、また2000
Åを越えるとクラックが発生しやすく、可撓性が低下す
るため、好ましくは500〜1600Åである。
【0028】上記セラミック薄膜形成手段により生じ
る、例えば真空蒸着法の場合の蒸着粒子や加熱により陰
イオン、例えば酸素が欠損した分子、またスパッタリン
グ法の場合のスパッタ粒子(中性或いは荷電粒子)や陰
イオン、例えば酸素が欠損した分子・イオン、またCV
D法の場合の反応過程中に存在し、かつ最終生成物の前
段階にあるもので構成されるセラミック粒子やその前駆
体に対して、さらに真空プロセス内に形成されるアルコ
ール雰囲気中において、アルコールとの反応が行なわれ
る。
【0029】このアルコール雰囲気は、種々の手段を用
いることが可能であり、とくに限定されるものではな
い。例えばアルコール、プラズマ状態とさせたアルコー
ル、または光照射により活性化させたアルコールの真空
プロセス内への添加によりの生成される。
【0030】真空プロセスが真空蒸着法である場合は、
蒸着源の近傍にアルコール雰囲気を導入することによ
り、その蒸着されるセラミック粒子、分子やその前駆体
の有する運動エネルギー利用し、セラミック薄膜の物理
的性能を向上させることができる。
【0031】真空プロセス内に添加されるアルコールは
炭素数が4以下であることが好ましく、例えばメチルア
ルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、
イソブチルアルコール、ターシャブチルアルコール等が
挙げられる。炭素数4以下するのは、炭素数の大きいア
ルコールを用いる場合、蒸着膜が嵩高くなることから、
柔軟性、密着性、バリア性などの薄膜の性能が低下する
おそれがあるためである。
【0032】さらにアルコールの添加時にプラズマ状態
とすることで、とくに真空蒸着法による成膜の場合に、
反応性を高めることが可能となる。プラズマ状態とする
ためには、周知の手法であるマイクロ波、ラジオ波等の
高周波による活性化手段を用いることができる。
【0033】また、とくに真空蒸着法による成膜の場合
に、結合エネルギーの波長換算値より波長の短い(エネ
ルギー大)或いは本発明に用いるアルコールの吸収光、
すなわち波長λが200nm以下の光の照射による特定
の結合を解離するのに有効である。
【0034】以下、真空蒸着法による本発明のセラミッ
ク被覆フィルムの製造方法を装置とともに説明する。
【0035】図2は本発明の実施に適した装置の一例を
示し、本発明のセラミック被覆フィルムを形成する巻取
り式真空蒸着装置10を説明する概略図である。この装
置10では、真空容器7はその内部全体を排気口11に
接続された図示されない排気装置(通常は真空ポンプ)
により、10-1〜10-4Paの圧力に維持するようにな
っている。
【0036】また基材フィルム2は透明性を有する樹脂
フィルムで、かつ長尺状であり、連続的に基材フィルム
2を巻き出す巻き出しロール31と、基材フィルム2に
薄膜を形成するため外周に部分的に基材フィルム2が巻
き付けられる冷却ロール33と、基材フィルム2を連続
的に巻き取る巻き取りロール34が配置されており、巻
き出しロール31と冷却ロール33との間、及び冷却ロ
ール33と巻き取りロール34との間に基材フィルムを
円滑に誘導するガイドロール32が設けられている。ま
た装置下部は、冷却ロール33が露出するような開口部
が形成された遮蔽板12により仕切られており、冷却ロ
ール33と対向する位置に蒸着材料9を収納する坩堝4
が配置されている。その側面には蒸着材料9に電子線を
照射する加熱源である電子銃5とアルコールを導入する
導入管6が配置されている。導入されるアルコールは2
種類以上混合したものでもよく、予め混合したものを導
入するか、或いは導入時に混合するようにしてもよい。
また導入管6は流量計61、62を通してタンクなどの
アルコール供給源(図示されない)に接続されており、
アルコールを2種類以上混合する場合に、真空容器7に
導入されるアルコール組成は流量計61、62の値によ
り混合比、流量などを制御することが可能である。なお
3種類以上の場合は、数に応じて流量計及び供給源を増
やすことができる。なお、坩堝4の側面に配置された電
子銃5からは、電子線が180°偏向して蒸着材料9に
照射される。
【0037】この装置10を用いて蒸着を行う場合に
は、真空容器7内の真空排気を行った後、通常の真空蒸
着の場合はその状態で、導入管6を経てアルコール又は
アルコールの混合液を真空容器7内が所定の圧力になる
ように導入し、基材フィルム2を各ロールを介して所定
の速度で走行させながら電子銃5から照射される電子線
により蒸着材料9を加熱・気化させ、アルコール雰囲気
下において基材フィルム2上に析出させる。
【0038】上記巻取り式真空蒸着装置10により高分
子材料からなる基材フィルム上に金属酸化物からなる薄
膜を形成する際に、真空容器7内をアルコール、或いは
プラズマ状態とさせたアルコール、または光照射により
活性化させたアルコール等を添加した雰囲気中とするこ
とにより、樹脂フィルム上に析出する粒子の界面に金属
酸化物とアルコールの分解により生じた金属アルコキシ
ド類似の物質やアルコキシル基やR−金属−陰イオン−
金属−R結合(R:アルキル基)を有する化合物が生成
され、それが薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同
士又は分子同士の界面に有機的結合を有することから、
セラミック被覆フィルムがある程度の伸縮性を示し、マ
クロ的に柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。
【0039】とくに珪素酸化物では、通常の蒸着により
形成される薄膜では、酸素が欠損し、SiO2-X の状態
にあるため、本発明によれば、この欠損している部分に
SiOH(シラノール)結合やR基(R:アルキル基)
が結合し、上記と同様な伸縮性ともに柔軟性に富むセラ
ミック被覆フィルムとなる。
【0040】さらに本発明の具体的な実施例について詳
述する。 <実施例1>厚さ12μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム(テイジン NS)を基材フィルム2を、本
発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置10に装着
し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪素)9を加熱
し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸化珪素膜を5
00Åの厚さに蒸着形成した。その際にアルコールとし
てエチルアルコール、イソプロピルアルコールのそれぞ
れについて、1×10-4Torrの分圧で供給した。基
材フィルム2上に析出したそれぞれの酸化珪素薄膜の赤
外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトルを測定した
ところ、エトキシル基、またはイソプロポキシル基の存
在が確認された。さらに酸化珪素被覆フィルムをゲルボ
ーフレックステストの前後において酸素透過率を測定し
た結果を表1に示す。この結果から蒸着膜形成時にアル
コール雰囲気下とすることにより、酸素透過率は10回
の揉みを繰り返したゲルボーフレックステスト後におい
てもゲルボーフレックステスト前の約4倍程度に抑えら
れることから、本発明のセラミック被覆フィルムの柔軟
性が向上したと言える。
【0041】<実施例2>厚さ12μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィ
ルム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置
10に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪
素)9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸
化珪素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。その際にア
ルコールとしてエチルアルコールを1×10-4Torr
の分圧で供給し、誘導結合方式のラジオ波放電によりプ
ラズマ化した。基材フィルム2上に析出した酸化珪素薄
膜の赤外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトルを測
定したところ、エチル基及びエトキシル基の存在が確認
された。さらに実施例1と同様に酸化珪素被覆フィルム
をゲルボーフレックステストの前後において酸素透過率
を測定した結果を表1に示す。この結果から蒸着膜形成
時にアルコール雰囲気下とすることにより、酸素透過率
は10回の揉みを繰り返したゲルボーフレックステスト
後においてもゲルボーフレックステスト前の約4倍程度
に抑えられることから、本発明のセラミック被覆フィル
ムの柔軟性が向上したと言える。
【0042】<実施例3>厚さ12μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィ
ルム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置
10に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪
素)9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸
化珪素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。その際にア
ルコールとしてエチルアルコールを1×10-4Torr
の分圧で供給し、このアルコールに160nmの波長の
紫外線を照射した。基材フィルム2上に析出した酸化珪
素薄膜の赤外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトル
を測定したところ、エチル基及びエトキシル基の存在が
確認された。さらに実施例1と同様に酸化珪素被覆フィ
ルムをゲルボーフレックステストの前後において酸素透
過率を測定した結果を表1に示す。この結果から蒸着膜
形成時にアルコール雰囲気下とすることにより、酸素透
過率は10回の揉みを繰り返したゲルボーフレックステ
スト後においてもゲルボーフレックステスト前の約4倍
程度に抑えられることから、本発明のセラミック被覆フ
ィルムの柔軟性が向上したと言える。
【0043】<比較例>厚さ12μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィル
ム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置1
0に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪素)
9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸化珪
素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。基材フィルム2
上に析出した酸化珪素薄膜の赤外線吸収スペクトルおよ
びXPSスペクトルを測定したところ、有機物に由来す
るスペクトルは認められなかった。さらに実施例1と同
様に酸化珪素被覆フィルムをゲルボーフレックステスト
の前後において酸素透過率を測定した結果を表1に示
す。この結果から酸素透過率は10回の揉みを繰り返し
たゲルボーフレックステスト後ではゲルボーフレックス
テスト前の10倍以上となり、柔軟性の欠如から、いわ
ゆる蒸着後の後加工において薄膜に傷などの損傷や薄膜
の剥離などが発生し、この損傷部分から空気、水蒸気な
どの気体が浸透するなどして酸化珪素蒸着膜のガスバリ
ア性が低下した。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示すように、本実施例のアルコール
雰囲気下で形成されたセラミック被覆フィルムは、従来
のセラミック被覆フィルムと比較して、揉みなどの外部
応力に対して有機的な結合により柔軟性を付与する、若
しくは向上させることができ、物理的な耐久性が改善さ
れる。したがって本発明は連続的に高分子樹脂材料から
なる基材フィルム上に蒸着形成してなるセラミック被覆
フィルムであって、柔軟性のよい新規なセラミック被覆
フィルム及び新規なその製造方法を提供することがで
き、従来のセラミック被覆フィルムに比べ、その利用範
囲を広げることができるものである。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、成膜
後の透明性、ガスバリア性に優れるとともに、従来問題
とされてきた柔軟性を成膜時のアルコールの添加により
向上させることができ、またアルコールをプラズマ化、
光照射による励起により活性化させてアルコール雰囲気
を形成することもできる。さらに本発明は、セラミック
被覆フィルムを利用した後加工の工程において、外部か
らの折り曲げや引っ張り、揉み等の作用に対して、薄膜
に膜割れ等の損傷を生じることがなく、例えば包装体と
して用いられる条件である透明性、ガスバリア性、柔軟
性、機械的強度を有するものであって、十分に実用性を
発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック被覆フィルムを説明する断
面図である。
【図2】図2は本発明のセラミック被覆フィルムを形成
する蒸着装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 セラミック被覆フィルム 2 基材フィルム 3 薄膜層 4 坩堝 5 電子銃 6 導入管 7 真空容器 9 蒸着材料 10 真空蒸着装置 11 排気口 31 巻き出しロール 32 ガイドロール 33 冷却ロール 34 巻き取りロール 61、62 流量計

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フィルム上に金属又は金属化合物から
    なるセラミック膜を形成してなるセラミック被覆フィル
    ムにおいて、前記基材フィルムの表面にアルコール雰囲
    気下で金属又は金属化合物或いはそれらの前駆体からな
    るセラミック薄膜を成膜してなり、かつ前記セラミック
    薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士または分子
    同士の界面にアルコキシル基結合或いはR−金属−陰イ
    オン−金属−R(R:アルキル基)結合を有することを
    特徴とするセラミック被覆フィルム。
  2. 【請求項2】前記アルコール雰囲気が、炭素数が4以下
    のアルコールで構成されてなることを特徴とする請求項
    1記載のセラミック被覆フィルム。
  3. 【請求項3】前記金属化合物が、硫化物、酸化物、窒化
    物、炭化窒化物、酸化窒化物、酸化炭化物、フッ化から
    選択されることを特徴とする請求項1記載のセラミック
    被覆フィルム。
  4. 【請求項4】基材フィルム上に金属又は金属化合物から
    なるセラミック被覆フィルムの製造方法であって、前記
    基材フィルムの表面に金属又は金属化合物或いはそれら
    の前駆体からなるセラミック薄膜をアルコール雰囲気下
    において成膜することを特徴とするセラミック被覆フィ
    ルムの製造方法。
  5. 【請求項5】前記アルコール雰囲気が、炭素数が4以下
    のアルコールで構成されてなることを特徴とする請求項
    3記載のセラミック被覆フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】前記アルコール雰囲気は、放電によりプラ
    ズマ状態にあることを特徴とする請求項3記載のセラミ
    ック被覆フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】前記放電の手段がマイクロ波、ラジオ波等
    の高周波によることを特徴とする請求項5記載のセラミ
    ック被覆フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】前記アルコール雰囲気を特定波長の光照射
    により励起或いは活性化してなることを特徴とする請求
    項3記載のセラミック被覆フィルムの製造方法。
JP02675994A 1994-02-24 1994-02-24 ガスバリア性セラミック被覆フィルムおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3809655B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02675994A JP3809655B2 (ja) 1994-02-24 1994-02-24 ガスバリア性セラミック被覆フィルムおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02675994A JP3809655B2 (ja) 1994-02-24 1994-02-24 ガスバリア性セラミック被覆フィルムおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07233465A true JPH07233465A (ja) 1995-09-05
JP3809655B2 JP3809655B2 (ja) 2006-08-16

Family

ID=12202217

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02675994A Expired - Fee Related JP3809655B2 (ja) 1994-02-24 1994-02-24 ガスバリア性セラミック被覆フィルムおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3809655B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003089867A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Toppan Printing Co Ltd 蒸着薄膜の製造方法
JP2005119260A (ja) * 2003-09-26 2005-05-12 Dainippon Printing Co Ltd 難燃性フィルム及びそれを用いた住宅用内装材、電気製品又は印刷用フィルム
JPWO2014050951A1 (ja) * 2012-09-28 2016-08-22 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003089867A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Toppan Printing Co Ltd 蒸着薄膜の製造方法
JP2005119260A (ja) * 2003-09-26 2005-05-12 Dainippon Printing Co Ltd 難燃性フィルム及びそれを用いた住宅用内装材、電気製品又は印刷用フィルム
JPWO2014050951A1 (ja) * 2012-09-28 2016-08-22 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム
US9822440B2 (en) 2012-09-28 2017-11-21 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Transparent vapor-deposited film
JP2019111822A (ja) * 2012-09-28 2019-07-11 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3809655B2 (ja) 2006-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1134073B1 (en) Gas barrier film
KR101392300B1 (ko) 가스 배리어성 적층 필름 및 그 제조 방법
JP7489026B2 (ja) バリアフィルムおよび包装材料
JP2002192646A (ja) ガスバリアフィルム
AU705485B2 (en) Barrier films having vapor coated EVOH surfaces
JP5045299B2 (ja) 水分吸収性積層体、およびそれを使用した水分吸収性パウチ
JP6242562B2 (ja) 消臭性能を有する積層体およびそれを用いた包装体
JP2006096046A (ja) ガスバリアフィルム
JP2008264998A (ja) ガスバリア性積層フィルム、その製造方法、それを使用した包装用積層材、および包装袋
JP4090551B2 (ja) 透明バリア性フィルム
JPH07233465A (ja) セラミック被覆フィルムおよびその製造方法
JP2000052475A (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP2001006632A (ja) 電池用包装材料
JPH0872193A (ja) 透明性を有するガスバリア性積層フィルム
JPH07145256A (ja) 透明蒸着フィルム
JP4867906B2 (ja) 透明バリア性フィルム
JP2015166170A (ja) ガスバリア性積層体
JP5034258B2 (ja) 透明蒸着フィルム、およびその製造方法
JPH11268171A (ja) 透明バリアフィルムとこれを用いた積層材および包装用容器
JP3689932B2 (ja) ガス遮断性透明フィルム
JP3747953B2 (ja) ガス遮断性透明フィルム
JP4717298B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法
JP4116321B2 (ja) 酸化アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法
JP2000234032A (ja) レトルト用バリア性包材
JP2001225424A (ja) 透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20060502

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20060515

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A521 Written amendment

Effective date: 20060123

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100602

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100602

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110602

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110602

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees