JP5045299B2 - 水分吸収性積層体、およびそれを使用した水分吸収性パウチ - Google Patents
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Description
そのため、近年、種々の素材、材料等を使用し、種々の層構成からなる包装用材料を開発し、それに伴って種々の形態からなる包装用袋、包装製品等が、開発され、提案されている。
例えば特許文献1には、粉末状の乾燥剤を樹脂に混練してなることを特徴とする乾燥剤混入フィルムが記載されており、特許文献2には、モレキュラーシーブを含有する乾燥剤樹脂による単層または複層の乾燥剤フィルム層と、熱可塑性樹脂による補強フィルムを積層して形成された乾燥剤フィルムが記載されている。
また特許文献3には、不飽和基を有する脂肪族化合物(A)と遷移金属の金属塩(B)を混合した液体を、酸化カルシウムまたは塩化マグネシウムより選ばれる1種以上の固体とを混合した水蒸気を吸収する脱酸素剤組成物が記載されている。
前記吸湿シートは、水分吸収性を有するものの、酸素、水蒸気の透過を防止することができないことから、電子機器内の水分を除去するためのシートとして使用することはできるものの、包装材料として使用することはできない。
これに対し本発明は、酸素、水蒸気等に対し高いガスバリア性を有すると共に、包装用パウチ内に存在ないし発生する水分に対して高い捕集機能を有し、電子部品、電子デバイス、電子機器、プリント基板等の水分により性能の劣化が懸念される内容物の保存用パウチに使用される積層体として特に優れた水分吸収性積層体等を提供するものである。
すなわち本発明は、以下の(イ)〜(ハ)に示す発明を包含する。
(イ) (i)基材フィルム、(ii)バリア性薄膜層、および(iii)乾燥剤を担持する熱可塑性樹脂を使用した水分吸収性不織布からなる、バリア性を有する水分吸収性積層体。
(ロ) バリア性薄膜層にガスバリア性塗布膜を設けた水分吸収性積層体であって、
前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物であることを特徴とする(イ)の水分吸収性積層体。
(ハ) (イ)または(ロ)に記載の水分吸収性積層体を使用した水分吸収性パウチであって、水分吸収性積層体の不織布面同士が対向するように製袋したことを特徴とする水分吸収性パウチ。
また本発明において、バリア性薄膜層上にさらにガスバリア性塗布膜を設けた場合には、酸素や水蒸気等に対するガスバリア性を著しく向上させることができる。
図1は、本発明の水分吸収性積層体についてその層構成の一例を示す概略的断面図である。そして図2は、図1に示す水分吸収性積層体を使用し、これを製袋して製造した本発明の水分吸収性パウチの構成の一例を示す概略的斜視図であり、図3は、上記図2に示す本発明の水分吸収性パウチに内容物を充填包装した包装製品についてその一例を示す概略的斜視図である。
1.基材フィルム
本発明の水分吸収性積層体等を形成する基材フィルムとしては、これが、本発明の水分吸収性積層体等を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有することと、さらに、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等を形成することから、その形成条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持し得ることができること等の条件を充足し得る樹脂のフィルムないしシートを使用する。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシートの膜厚としては、6〜100μm、より好ましくは、9〜50μmが望ましい。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を任意に使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ放電処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
次に、本発明の水分吸収性積層体等を構成するバリア性薄膜層について説明する。前記バリア性薄膜層は、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜により形成することができる。
化学気相成長法として、具体的には、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(chemical Vapor Deposition法、CVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
さらに具体的には基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キヤリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、さらに酸素を供給ガスとして使用し、かつ低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
図4に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チヤンバー22内に配置された巻き出しロール23から基材フィルム1を繰り出し、さらに、その基材フィルム1を、補助ロール24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
上記において、真空チヤンバー内を真空ポンプにより減圧し、真空度1.33×10-1〜1.33×10-8mbar、好ましくは、真空度1.33×10-3〜1.33×10-7mbarに調整することが好ましい。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は1〜40%、酸素ガスの含有量は10〜70%、不活性ガスの含有量は10〜60%の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14とすることができる。
なお、このときの真空チヤンバー内の真空度は、1.33×10-1〜1.33×10-4mbar、好ましくは、真空度1.33×10-1〜1.33×10-2mbarに調整することが好ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分、好ましくは、50〜150m/分に調整することが望ましい。
さらに、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1.33×10-1〜1.33×10-4mbar、好ましくは、1.33×10-1〜1.33×10-2mbarに調整することから、従来の真空蒸着法による蒸着膜形成時の真空度(1.33×10-4〜1.33×10-5mbar)に比べて低真空度であることから、基材フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度が安定し、製膜プロセスが安定するものである。
上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式:SiOx(式中、xは1.3〜1.9の数を表す)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましい。
上記において、xの値は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有率としては、0.1〜50%、好ましくは、5〜20%が好ましい。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げ等により、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、ガスバリア性が低下して好ましくないものである。
蒸着膜の膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。
また、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸著する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
上記のような有機珪素化合物の中でも、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に好ましい。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
本発明において、無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スバッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて形成することができる。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して基材フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、さらに、酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の非結晶の薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
上記の無機酸化物の蒸着膜としては、金属の酸化物の蒸着膜が挙げられ、具体的には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属が挙げられる。
また、上記のxの値の範囲としては、ケイ素(Si)は0〜2、アルミニウム(Al)は0〜1.5、マグネシウム(Mg)は0〜1、カルシウム(Ca)は0〜1、カリウム(K)は0〜0.5、スズ(Sn)は0〜2、ナトリウム(Na)は0〜0.5、ホウ素(B)は0〜1.5、チタン(Ti)は0〜2、鉛(Pb)は0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、x=0の場合、完全な金属であり、透明でないので使用することができない。また、xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、望ましくは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が使用され、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または、金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
図5に示すように、巻き取り式真空蒸着装置40の巻き取りチヤンバー41の中で、巻き出しロール42から繰り出す基材フィルム1は、ガイドロール43,44を介して、冷却したコーティングドラム45に案内される。
上記の冷却したコーティングドラム上に案内された基材フィルム1の上に、るつぼ52で熱せられた蒸着源46、例えば、金属アルミニウム、あるいは酸化アルミニウム等を蒸発させ、さらに、必要ならば、酸素ガス吹出口47より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク48を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を基材フィルム1上に形成する。
また、巻き取りチヤンバーの真空度としては、100 〜10-5mbar、好ましくは、10-1〜10-4mbarが望ましい。また、蒸着チヤンバーの真空度としては、酸素ガスの導入前においては、10-2〜10-8mbar、好ましくは、10-3〜10-7mbarが望ましく、酸素ガスの導入後においては、10-1〜10-6mbar、好ましくは、10-2〜10-5mbarが望ましい。また、基材フィルムの搬送速度としては、10〜800m/分、好ましくは、50〜600m/分が望ましい。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
上記のように化学気相成長法、または物理気相成長法により基材に無機酸化物の蒸着膜を形成した後、さらに前記蒸着膜をグロー放電処理、プラズマ処理、またはマイクロウェーブ処理してもよい。これにより蒸着膜と以下のガスバリア性塗布膜との密着性がさらに向上する。
本発明の水分吸収性積層体のガスバリア性を、さらに向上させるために上記バリア性薄膜層上にガスバリア性塗布膜を設けることが好ましい。このガスバリア性塗布膜について説明すると、前記ガスバリア性塗布膜は、アルコキシドと水溶性高分子を含有するものであり、具体的には、ガスバリア性塗布膜として、一般式:R1 nM(OR2)mで表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン・ビニルアルコールを含有する組成物をゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を使用する。
有機基R1の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等のアルキル基等が挙げられる。また、有機基R2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。同一分子中にこれらアルキル基は同一でであっても、異なってもよい。
上記アルコキシドの中で、MがZrであるジルコニウムアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシジルコニウムZr(O−CH3)4、テトラエトキシジルコニウムZr(O−C2H5)4、テトラiプロポキシジルコニウムZr(O−Iso−C3H7)4、テトラnブトキシジルコニウムZr(O−C4H9)4等を好適に使用できる。
上記アルコキシドの中で、MがTiであるチタニウムアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシチタニウムTi(O−CH3)4、テトラエトキシチタニウムTi(O−C2H5)4、テトライソプロポキシチタニウムTi(O−Iso−C3H7)4、テトラnブトキシチタニウムTi(O−C4H9)4等を好適に使用できる。
上記アルコキシドの中で、MがAlであるアルミニウムアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシアルミニウムAl(O−CH3)4、テトラエトキシアルミニウムAl(O−C2H5)4テトライソプロポキシアルミニウムAl(O−Iso−C3H7)4、テトラnブトキシアルミニウムAl(O−C4H9)4等を好適に使用できる。
ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコールコポリマーの組み合わせを採用する場合のそれぞれの含有重量比は、10:0.05〜10:6であることが好ましく、約10:1がさらに好ましい。
ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン・ビニルアルコールコポリマーは、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む組成物(塗工液)中で溶解した状態であることが好ましく、そのため上記有機溶媒の種類が適宜選択される。ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコールコポリマーの組み合わせを採用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコールコポリマーは、例えば、ソアノール(商品名)として市販されている。上記有機溶媒の使用量は、通常上記アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン・ビニルアルコールコポリマー、酸、およびゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部当り30〜500重量部である。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性塗工液を調製する。ガスバリア性塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材フィルムの一方の面に設けたバリア性薄膜層の上に、常法により、上記のガスバリア性塗工液を通常の方法で塗布し、乾燥する。乾燥により、上記アルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびビニルアルコールポリマーの重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。好ましくは上記の操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層する。
最後に、上記塗工液を塗布したフィルムを通常の環境下、50℃〜300℃、好ましくは、70℃〜200度の温度で、0.005分間〜60分間、好ましくは、0.01分間〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
ガスバリア性塗布膜を形成する他の態様として、熱水処理後のガスバリア性を向上させるため、以下のような積層フィルムを形成することが好ましい。
さらに、本発明においては、ガスバリア性塗布膜を、バリア性薄膜層上に複数層形成してもよい。ガスバリア性塗布膜を複数層設けることにより、一層ガスバリア性の向上を図ることができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできる。
また、本発明の態様においては、基材フィルム上に蒸着層とガスバリア性塗布膜を設けた後、さらに蒸着層を設け、その蒸着層上にガスバリア性塗布膜を上記と同様にして形成してもよい。このように積層数を増やすことにより、より一層ガスバリア性に優れる積層フィルムを実現できる。
次に、本発明の水分吸収性積層体を構成する水分吸収性不織布について説明する。
かかる水分吸収性不織布は、内容物を充填包装した包装製品内のヘッドスペース等に存在する水分や、例えば温度等の保存条件の変化により発生する水分等の包装製品内に存在ないし内在する水分を吸収し、補足するものであり、熱可塑性樹脂およびその他の添加剤を任意に含む樹脂組成物を使用した繊維から不織布を形成し、前記不織布に乾燥剤を担持させたものを使用することができる。
次に本発明の水分吸収性積層体の製造方法について説明する。
水分吸収性積層体は、上記のバリア性薄膜層、またはバリア性薄膜層とバリア性塗布膜を設けた基材フィルムと、水分吸収性不織布とを、ラミネート用接着剤層等を介して積層するドライラミネート積層法、または、アンカーコート剤層等を介して、各種の樹脂等を溶融押出しながら積層する溶融押出ラミネート積層法等を用いて製造することができる。
上記のラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を使用することができる。そして、上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、乾燥状態で0.1〜10.0g/m2となるようにコーティングするのが望ましい。
なお本発明の水分吸収性積層体を使用して製造した水分吸収性パウチは、通常、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、水分吸収性パウチを構成する積層体には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性等の種々の条件が要求され、このために、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用し、これを積層して、水分吸収性積層体を製造することができる。
さらに本発明においては、水分吸収性パウチに要求されるその他の諸特性に応じ、熱可塑性樹脂からなるヒートシール性樹脂フィルムや、合成紙、水蒸気、水等の透過を阻止するバリア性を有する樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。
次に、本発明の水分吸収性パウチの製造方法について説明すると、例えば、上記のような方法で製造した水分吸収性積層体を2枚用意し、その内層の水分吸収不織布面同士を対向させて、それを折り重ねるか、あるいはその2枚を重ね合わせ、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態からなる水分吸収性パウチを製造することができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
そして、本発明においては、水分吸収性パウチ内に、その開口部から内容物を充填し、次いで、上記の包装用袋の開口部をヒートシールしてシール部を形成して密閉することによって、本発明に係る包装製品を製造する。
次に、上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。
1.水分吸収性積層体の製造
(1)水分吸収性不織布の製造
高圧法低密度ポリエチレン(HDPE、繊維径10μm、繊維長さ10mm)からなる繊維樹脂を、HDPEが溶融するように熱接着処理を行い、不織布を形成し、同時に乾燥剤として粒径が8μmのシリカゲルを5g/m2になるように混ぜ合わせ、冷却し、厚さ60μmのシリカゲルを担持させたHDPEベースの不織布を得た。
基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着した。次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、下記の蒸着条件により、バリア性薄膜層として膜厚200Åの有機酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
上記(2)で製造したバリア性薄膜層が形成された基材フィルムのバリア性薄膜層面(有機酸化珪素の蒸着膜面)に、グラビアロールコート法により、二液硬化型ウレタン系接着剤を乾燥状態で4.0g/m2となるように積層し、上記の水分吸収性不織布と貼り合わせ、本発明の水分吸収性積層体を製造した。
上記で製造した水分吸収性積層体を2枚用意し、それぞれ水分吸収性不織布面が対向するように重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成し、上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋からなる本発明の水分吸収性パウチを製造した。
さらに上記で製造した水分吸収性パウチにプリント基板を入れ、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成して本発明の包装製品を製造した。
以下に示す工程により、基材に設けたバリア性薄膜層に、プラズマ処理面を設け、前記プラズマ処理面にガスバリア性塗布膜を積層したこと、および不織布に乾燥剤として粒径が8μmの天然ゼオライトを10g/m2になるように混ぜ合わせたこと以外は、実施例1と同様の方法により、本発明の水分吸収性積層体、水分吸収性パウチ、および包装製品を製造した。
基材に設けたバリア性薄膜層面(有機酸化珪素の蒸着膜面)に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧8.0×10-5mbar、処理速度100m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、有機酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
下記の(表1)に示す組成に従って、調製した組成a.のポリビニルアルコール水溶液、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート、シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、0.5N塩酸水溶液、イオン交換水からなる加水分解液を加え、充分に攪拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。
HDPEに代えて、HDPEとポリエチレン(PP)からなる繊維樹脂(繊維径10μm、繊維長さ10mm)を使用して水分吸収性不織布を製造したこと、基材に真空蒸着装置を用いて物理化学気相成長法により、厚さ300Åの酸化アルミニウムを以下の蒸着条件で形成したこと以外は、実施例2と同様の方法により、本発明の水分吸収性積層体、水分吸収性パウチ、および包装製品を製造した。
(蒸着条件)
蒸着チヤンバー内の真空度:2.0×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度:2×10-2mbar
フィルムの搬送速度:300m/分
電子ビーム電力:25kW
水分吸収性不織布に代えて、以下の方法により製造した水分吸収性樹脂フィルムを使用したこと以外は、実施例3と同様の方法により、水分吸収性積層体、水分吸収性パウチ、および包装製品を製造した。
(1)水分吸収性樹脂フィルムの製造
まず、以下の(イ)〜(ハ)の樹脂組成物を調製した。
(イ)第一層
高圧法低密度ポリエチレン[HPLDPE、密度:0.923g/m3、メルトフローレート(MFR):3.5g/10分]100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを充分に混練して、第一層を形成する樹脂組成物を調製した。
高圧法低密度ポリエチレン[HPLDPE、密度:0.923g/m3、メルトフローレート(MFR):3.5g/10分]100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、乾燥剤として粒径が8μmのシリカゲル30.0重量部とを充分に混練して、第二層を形成する樹脂組成物を調製した。
高圧法低密度ポリエチレン[HPLDPE、密度:0.923g/m3、メルトフローレート(MFR):3.5g/10分]100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第三層を形成する樹脂組成物を調製した。
水分吸収性不織布に代えて、市販の厚さ50μmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを使用したこと、包装製品の製造の際に、プリント基板に加えてシリカゲル5gが入った小袋を充填したこと以外は、実施例3と同様の方法により、水分吸収性積層体、水分吸収性パウチ、および包装製品を製造した。
1.酸素透過度、水蒸気透過度の測定
上記の実施例1〜3、比較例1、2で製造したガスバリア性層、またはガスバリア性層とガスバリア性塗布膜を設けた基材の酸素透過度、水蒸気透過度を以下の条件で測定した。
酸素透過度:温度23℃、湿度90%RHの(JIS規格 K7126)条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX−TRAN2/20)〕にて測定した。
水蒸気透過度:温度40℃、湿度90%RHの条件(JIS規格 K7129)で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN3/31)〕にて測定した。
結果を以下の(表2)に示す。
実施例1〜3、比較例1で製造した水分吸収性積層体の100mm×100mmの試験片を、40℃、90%の高温高湿室に入れ、7日後、14日後、28日後の試験片の重量を測定したしたところ、7日後に飽和状態に達することが確認された。
したがって、7日後の各試験片の吸湿量を吸湿可能量として以下の(表3)に示す。
実施例1〜3、比較例1、2で製造した水分吸収性積層体を使用して、23℃、50%RH環境下で、120mm×170mmの平パウチを作成し、パウチの中にデジタル湿度を入れ、経時的な相対湿度を測定した。なお比較例2の水分吸収性積層体を使用したパウチには、シリカゲル5gが入った小袋も同時に充填した。結果を以下の(表4)に示す。
例えば実施例1〜3の平パウチの6時間後の相対湿度は、2RH%であり、シリカゲルの入った小袋を充填した比較例2の平パウチとほぼ同等であったのに対し、比較例1の平パウチの6時間後の相対湿度は、49RH%であり、実施例のものと比較して高く、実施例1〜3の水分吸収性積層体を使用することにより、急速に水分を吸収し、かつ長期にわたり、安定して湿度を低く維持できることが確認された。
上記実施例1〜3において製造したプリント基板を入れた本発明の包装製品を1年間保存し、内容物であるプリント基板の性能を保存前後で比較したところ、性能の劣化は認められず、本発明の水蒸気吸収性パウチは、極めて良好な保存特性を有することが確認された。
2 バリア性薄膜層
3 水分吸収性不織布
11 ヒートシール部
12 開口部
15 内容物
16 上部シール部
21 プラズマ化学気相成長装置
22 真空チヤンバー
23 巻き出しロール
24 補助ロール
25 冷却・電極ドラム
26,27 ガス供給装置
28 原料揮発供給装置
29 原料供給ノズル
30 グロー放電プラズマ
31 電源
32 マグネット
33 ガイドロール
34 巻き取りロール
40 巻き取り式真空蒸着装置
41 巻き取りチヤンバー
42 巻き出しロール
43,44 ガイドロール
45 コーティングドラム
46 蒸着源
47 酸素ガス吹出口
48 マスク
49,50 ガイドロール
51 巻き取りロール
52 るつぼ
53 蒸着チャンバー
A 水分吸収性積層体
B 水分吸収性パウチ
C 包装製品
Claims (8)
- (i)基材フィルム、(ii)バリア性薄膜層、および(iii)乾燥剤を担持する熱可塑性樹脂を使用した水分吸収性不織布からなる、バリア性を有する水分吸収性積層体であって、
前記水分吸収性不織布中の熱可塑性樹脂の繊維径が、0.5μm〜20μmであり、繊維長が5mm〜25mmであることを特徴とする水分吸収性積層体。 - 乾燥剤が、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、および活性アルミナよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水分吸収性積層体。
- 乾燥剤の粒径が、5μm〜20μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水分吸収性積層体。
- 水分吸収性不織布が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水分吸収性積層体。
- 水分吸収性不織布の厚さが、20μm〜65μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水分吸収性積層体。
- バリア性薄膜層が、化学気相成長法による有機酸化珪素の蒸着膜、または真空蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水分吸収性積層体。
- バリア性薄膜層にガスバリア性塗布膜を設けた水分吸収性積層体であって、
前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾ
ルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水分吸収性積層体。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水分吸収性積層体を使用した水分吸収性パウチであって、水分吸収性積層体の不織布面同士が対向するように製袋したことを特徴とする水分吸収性パウチ。
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