JP2003340231A - 吸湿シート、積層吸湿シート、及び有機エレクトロルミネッセンス素子パネル - Google Patents

吸湿シート、積層吸湿シート、及び有機エレクトロルミネッセンス素子パネル

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JP2003340231A
JP2003340231A JP2002148329A JP2002148329A JP2003340231A JP 2003340231 A JP2003340231 A JP 2003340231A JP 2002148329 A JP2002148329 A JP 2002148329A JP 2002148329 A JP2002148329 A JP 2002148329A JP 2003340231 A JP2003340231 A JP 2003340231A
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Japan
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short fibers
hygroscopic
sheet
ultrafine short
powder
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JP2002148329A
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Akinori Minami
彰則 南
Etsuro Nakao
悦郎 中尾
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Japan Vilene Co Ltd
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Japan Vilene Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な吸湿性能を発揮できる吸湿シート、積
層吸湿シート、及び発光不良の発生しにくい有機EL素
子パネルを提供すること。 【解決手段】 本発明の吸湿シートは、吸湿性粉体と、
繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細短繊維
とを分散した状態で含み、前記吸湿性粉体が前記極細短
繊維により保持されている吸湿シートであり、前記吸湿
シートは湿式法以外の方法により形成した粉体含有繊維
ウエブから形成されたものである。本発明の積層吸湿シ
ートは、上記吸湿シートと上記吸湿シートとは異なるシ
ートとが積層一体化されたものである。本発明の有機E
Lパネルは、上記吸湿シート又は積層吸湿シートを構成
部品として備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸湿シート、積層吸
湿シート、及び有機エレクトロルミネッセンス素子パネ
ルに関する。特に、携帯電話、オーディオ機器、計測機
器、コンピューター、或いはテレビなどのディスプレイ
の用途に用いることのできる有機エレクトロルミネッセ
ンス素子パネルのように、厚さの薄い電子機器内であっ
ても用いることのできる吸湿シート又は積層吸湿シー
ト、及びこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素
子パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種部位に吸湿シートを配置
することによって、湿気による影響を排除することが行
なわれている。例えば、有機エレクトロルミネッセンス
素子パネル(以下、「有機EL素子パネル」と略記する
ことがある)はガラス基板上に、プラス電極とマイナス
電極との間に有機蛍光物質を介在させた有機エレクトロ
ルミネッセンス素子(有機EL素子)を備えているが、
有機EL素子パネル内に浸入した水分が前記有機EL素
子へ浸入して、有機蛍光物質と電極との剥離を誘引し、
発光不良を引き起こすため、有機EL素子パネル内に吸
湿剤を配置して、このような問題を防止することが知ら
れている。
【0003】例えば、特開2002−43055号公報
には、吸湿剤と樹脂成分からなる混合物を成形した吸湿
性成形体を配置した有機EL素子パネルが開示されてい
る。しかしながら、この吸湿性成形体を構成する吸湿剤
は樹脂成分によって被覆されていることによって保持さ
れた状態にあるため、吸湿剤が本来有する吸湿性能を十
分に発揮することができず、結果として、吸湿性成形体
は十分な吸湿性能を発揮できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
問題点を解決するためになされたもので、十分な吸湿性
能を発揮できる吸湿シート、積層吸湿シート、及び発光
不良の発生しにくい有機EL素子パネルを提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の吸湿シートは、
「吸湿性粉体と、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm
以下の極細短繊維とを分散した状態で含み、前記吸湿性
粉体が前記極細短繊維により保持されている吸湿シート
であり、前記吸湿シートは湿式法以外の方法により形成
した粉体含有繊維ウエブから形成されたものである吸湿
シート」からなる。このように、本発明の吸湿シートを
構成する吸湿性粉体は極細短繊維によって保持されてお
り、樹脂で成形した場合のように被覆されていないた
め、吸湿性粉体の吸湿性が阻害されず、十分な吸湿性能
を発揮できる吸湿シートである。
【0006】前記吸湿性粉体の平均粒径が50μm以下
であると、吸湿性粉体の機能を最大限に発揮することが
できる。また、吸湿シートの全質量に対する前記極細短
繊維の質量比率が5〜40mass%であると、吸湿性
粉体量が多いため吸湿性に優れている。
【0007】前記極細短繊維が海島型繊維の海成分を除
去して得た島成分からなると、極細短繊維が均一に分散
しやすいため、吸湿性粉体も均一に分散した状態である
ことができる。前記極細短繊維が有機成分からなると、
極細短繊維が柔軟性に優れているため吸湿性粉体の保持
性に優れているとともに、吸湿シート自体も柔軟性に優
れているため各種部位の形状に沿って変形できる吸湿シ
ートである。
【0008】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子パネル(有機EL素子パネル)は上記の吸湿シートを
構成部品として備えているため、発光不良を生じにくい
ものである。また、厚さの薄い有機エレクトロルミネッ
センス素子パネルであることができる。
【0009】本発明の積層吸湿シートは、上記の吸湿シ
ートと、上記の吸湿シートとは異なるシートが積層一体
化されている積層吸湿シートである。したがって、吸湿
性に優れている。
【0010】本発明の別の有機エレクトロルミネッセン
ス素子パネル(有機EL素子パネル)は、上記の積層吸
湿シートを構成部品として備えているため、発光不良を
生じにくいものである。また、厚さの薄い有機エレクト
ロルミネッセンス素子パネル(有機EL素子パネル)で
あることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の吸湿シートは吸湿性粉体
の保持性に優れているように、繊維径が4μm以下で繊
維長が3mm以下の極細短繊維を含んでいる。極細短繊
維の繊維径が小さければ小さい程、吸湿性粉体の保持性
に優れ、より粒径の小さい吸湿性粉体を保持でき、しか
も吸湿シートの厚さを薄くすることができるため、極細
短繊維の繊維径は3μm以下であるのが好ましく、2μ
m以下であるのがより好ましい。なお、極細短繊維の繊
維径の下限は特に限定するものではないが、0.01μ
m程度が適当である。
【0012】本発明における「繊維径」は、繊維の横断
面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維の横
断面形状が非円形である場合には横断面積と面積の同じ
円の直径をいう。
【0013】本発明の吸湿シートを構成する極細短繊維
の繊維長は、極細短繊維の分散性に優れているように3
mm以下である。より好ましい繊維長は2mm以下であ
る。なお、極細短繊維の繊維長の下限は特に限定するも
のではないが、0.1mm程度が適当である。また、繊
維長が均一であるように、3mm以下の長さに切断され
た極細短繊維であるのが好ましい。
【0014】本発明における「繊維長」は、JIS L
1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ス
テープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
【0015】この極細短繊維は任意の成分(例えば、有
機成分又は無機成分)から構成することができるが、柔
軟性に優れているため吸湿性粉体の保持性に優れている
とともに、柔軟性に優れる吸湿シートであることができ
るように、有機成分から構成されているのが好ましい。
この好適である有機成分として、例えば、ポリアミド系
樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹
脂など)、ポリスチレン系樹脂(例えば、結晶性ポリス
チレン、非晶性ポリスチレンなど)、芳香族ポリアミド
系樹脂、ポリウレタン系樹脂などを挙げることができ
る。
【0016】なお、極細短繊維が融着可能であると、極
細短繊維の融着によって吸湿シートの形態を保つことが
でき、しかも極細短繊維及び吸湿性粉体の脱落も生じに
くいため好適である。この融着可能な極細短繊維は、極
細短繊維表面を構成する成分の少なくとも一部が熱可塑
性樹脂から構成されていれば良い。この熱可塑性樹脂と
して、例えば、極細短繊維表面を構成する成分が、ポリ
オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリ
プロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、結晶性ポリス
チレン系樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂、或いはポリ塩
化ビニル系樹脂、非晶性ポリスチレン系樹脂、ポリアク
リロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポ
リ酢酸ビニル樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂を挙げるこ
とができる。これらの中でも、比較的融点の低いポリエ
チレン系樹脂やポリ酢酸ビニル樹脂が好ましい。
【0017】この融着可能な極細短繊維が2種類以上の
成分から構成されていると、1種類の成分が融着したと
しても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維
持することができるため好適である。この2種類以上の
成分から構成されている場合、極細短繊維の横断面形状
は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイ
ド型、多重バイメタル型、オレンジ型であることがで
き、特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好ま
しい。
【0018】本発明の極細短繊維は吸湿シートの地合い
が優れているように、個々の極細短繊維の直径が繊維軸
方向において、実質的に同じであるのが好ましい。この
ように直径が繊維軸方向において実質的に同じである極
細短繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制
して島成分を押し出して複合する複合紡糸法で得た海島
型繊維の海成分を除去して得ることができる。
【0019】また、極細短繊維は未延伸状態であること
もできるが、強度的に優れているように、延伸状態にあ
るのが好ましい。なお、「延伸状態」とは、紡糸工程と
は別の延伸工程(例えば、延伸ねん糸機による延伸工
程)により延伸されていることをいい、例えば、メルト
ブロー法のように溶融押し出した樹脂に対して熱風を吹
き付けて繊維化した繊維は、紡糸工程と延伸工程とが同
じであるため延伸されているとはみなさない。また、海
島型繊維から極細短繊維を発生させる場合には、発生さ
せた後に延伸工程を経る必要はなく、発生させる前に海
島型繊維が延伸工程を経ていれば、延伸状態にある。
【0020】更に、極細短繊維は海島型繊維の海成分を
除去して得た島成分からなるのが好ましい。このような
極細短繊維は均一に分散しやすく、吸湿性粉体も均一に
分散した状態であることができるためである。
【0021】本発明の吸湿シートにおいては、繊維径、
繊維長、及び/又は成分の点で相違する極細短繊維を2
種類以上含んでいても良い。
【0022】本発明の吸湿シートは上述のような極細短
繊維に加えて、吸湿性粉体を分散した状態で含んでお
り、吸湿性粉体が極細短繊維に保持された状態にあるこ
とによって、吸湿性粉体の吸湿作用が阻害されないた
め、吸湿性能に優れている。また、吸湿性粉体が極細短
繊維に保持された状態にあるため、吸湿性粉体の脱落も
生じない。
【0023】なお、吸湿シートは湿式法以外の方法によ
り形成した粉体含有繊維ウエブから形成されたものであ
るため、湿式法により形成した粉体含有繊維ウエブのよ
うに、界面活性剤や糊剤によって吸湿性粉体が被覆され
ておらず、また吸湿性粉体が吸湿シートを製造する際に
吸水して吸湿性粉体の吸湿性が低下しにくいため、優れ
た吸湿性能を発揮することができる。この湿式法以外の
方法とは、界面活性剤及び/又は糊剤を含むスラリーを
用いて極細短繊維及び吸湿性粉体を分散させる方法とは
異なる方法であり、例えば、気体を分散媒体として粉体
含有繊維ウエブを形成する方法を挙げることができる。
【0024】また、極細短繊維による吸湿性粉体の保持
状態としては、例えば、極細短繊維を含む繊維により形
成された空隙に吸湿性粉体が閉じ込められている状態、
極細短繊維と吸湿性粉体とが融着している状態、或いは
これら両方の状態を含む状態などを挙げることができ
る。これらの中でも、極細短繊維と吸湿性粉体とが融着
状態を含んでいると、吸湿性粉体及び極細短繊維の脱落
が生じにくいため好適である。
【0025】本発明における吸湿性粉体は湿気を吸収で
きるものであれば良く、吸湿シートの使用用途によって
使用できる吸湿性粉体の種類は異なるため、特に限定す
るものではないが、例えば、シリカゲル(A型、B
型)、ゼオライト、合成ゼオライト、生石灰、塩化カル
シウム、シリカアルミナゲル、塩化マグネシウム、クレ
イ系乾燥剤、アロフェン、塩化ナトリウム、塩化リチウ
ム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、ソーダ石灰、
マンガンシッカチーフ、コバルトシッカチーフ、活性
炭、炭(木炭、竹炭など)などを使用することができ
る。また、五酸化リン、濃硫酸、95%硫酸、水酸化ナ
トリウムなどの液体状の吸湿剤を、吸湿性又は非吸湿性
の粉体に、物理的あるいは化学的に担持させた吸湿性粉
体であっても使用することができる。これらの吸湿性粉
体は単独で、又は併用して使用することができる。
【0026】例えば、有機EL素子パネルに用いる吸湿
シートを構成する吸湿性粉体としては、腐食性や潮解性
がなく、しかも低湿度下でも優れた吸湿能力を持ってい
ることが好ましいため、例えば、シリカゲル(A型)、
合成ゼオライト、クレイ系乾燥剤、アロフェンなどを好
適に使用できる。
【0027】本発明の吸湿シートは吸湿性粉体以外に各
種機能性粉体を含んでいることによって、吸湿性以外の
性能を吸湿シートに付与することができる。例えば、酸
素や有機物蒸気などの気体成分や、気体中に分散してい
る微粒子を除去することのできる、吸着剤、脱酸素剤
(酸素吸着剤)などを含んでいることができる。前者の
吸着剤として、例えば、活性アルミナ、硫酸カルシウ
ム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。また、
後者の脱酸素剤として、活性アルミナ、酸化マグネシウ
ム、酸化鉄などを挙げることができる。なお、前述のよ
うな吸湿性粉体が吸着剤又は脱酸素剤としても機能する
場合もある。また、これら機能性粉体は1種類である必
要はなく、2種類以上含んでいることもできる。
【0028】本発明の吸湿シートを構成する吸湿性粉体
の平均粒径は吸湿性粉体の機能を最大限に発揮すること
ができるように、平均粒径が50μm以下であるのが好
ましい。本発明の吸湿シートにおいては、前述のような
極細短繊維を含んでいるため、平均粒径が50μm以下
の吸湿性粉体であっても脱落することなく保持すること
ができる。この吸湿性粉体は極細短繊維によって保持さ
れているため、極細短繊維の繊維径によって保持するこ
とのできる吸湿性粉体も変化する。例えば、極細短繊維
の繊維径と最適な吸湿性粉体の平均粒径との関係は表1
のようになる。この「平均粒径」はコールターカウンタ
ー法によって得られる値をいう。なお、吸湿性粉体の平
均粒径が50μmを超えていても、極細短繊維によって
保持することができる。また、吸湿性粉体以外の機能性
粉体も平均粒径が50μmを超えていても良いが、50
μm以下であるのが好ましく、極細短繊維の繊維径との
関係も吸湿性粉体の場合と同様の関係を満たすのが好ま
しい。
【0029】
【表1】
【0030】本発明の吸湿シートにおいては、上述のよ
うな極細短繊維と吸湿性粉体とを分散した状態で含むた
め、吸湿性の均一性に優れている。例えば、極細短繊維
が束状の状態にあると、吸湿性粉体の保持にむらが生じ
て吸湿性の均一性に劣るが、本発明の吸湿シートにおい
ては極細短繊維が分散した状態にあるため、吸湿性の均
一性に優れている。
【0031】本発明の吸湿シートにおいて、前述のよう
な極細短繊維の質量比率は吸湿性粉体の平均粒径、比
重、或いは極細短繊維の繊維径等によって異なるが、吸
湿シートの全質量に対する極細短繊維の質量比率が5m
ass%以上であれば、吸湿性粉体が脱落しにくく、実
用的な強度を有するものである。また、吸湿シートの全
質量に対する極細短繊維の質量比率が40mass%以
下であると、吸湿性粉体量を多くすることができるた
め、吸湿性に優れている。より好ましくは30mass
%以下であり、更に好ましくは25mass%以下であ
る。このように、本発明の吸湿シートは極細短繊維を含
んでいることによって、吸湿性粉体の保持性が高く、極
細短繊維量が少なくても吸湿性粉体の保持性に優れてい
ることから、吸湿性粉体の量を多くすることができ、結
果として、優れた吸湿性能を発揮できるものである。
【0032】本発明の吸湿シートにおいては、前述のよ
うな極細短繊維が分散していることによって、吸湿性粉
体の保持性に優れているように、吸湿シートに含まれて
いる繊維の総量の20mass%以上が極細短繊維であ
るのが好ましく、50mass%以上が極細短繊維であ
るのがより好ましく、100mass%が極細短繊維で
あるのが最も好ましい。
【0033】本発明の吸湿シートにおいては、前述のよ
うな極細短繊維以外の繊維として、(1)繊維径が4μ
mを超えるが繊維長が3mm以下の繊維、(2)繊維径
が4μm以下であるが繊維長が3mmを超える繊維、
(3)繊維径が4μmを超え、繊維長が3mmを超える
繊維を使用することができる。これらの中でも、極細短
繊維の分散性を損ないにくい(1)繊維径が4μmを超
えるが繊維長が3mm以下の繊維(以下、「太短繊維」
と表記する)を好適に使用できる。
【0034】前記の太短繊維を使用する場合、繊維径の
上限は特に限定するものではないが、極細短繊維と繊維
径の差が大きすぎると、吸湿シートの地合いを損ねる場
合があるため、太短繊維の繊維径の上限は50μm程度
であるのが好ましい。なお、太短繊維の繊維長は分散性
に優れているように2mm以下であるのが好ましい。太
短繊維の繊維長の下限は特に限定するものではないが、
0.1mm程度が適当である。また、繊維長が均一であ
るように、3mm以下の長さに切断された太短繊維であ
るのが好ましい。
【0035】この太短繊維も極細短繊維と同様の成分か
ら構成することができるが、極細短繊維と同様の理由に
より、有機成分から構成されているのが好ましい。この
好適である有機成分は極細短繊維と同様の有機成分から
構成されているのが好ましい。
【0036】なお、太短繊維が融着可能であると、太短
繊維の融着によって吸湿シートの形態を保つことがで
き、しかも太短繊維、極細短繊維、及び吸湿性粉体の脱
落も生じにくいため好適である。この融着可能な太短繊
維は、太短繊維表面を構成する成分の少なくとも一部が
極細短繊維と同様の熱可塑性樹脂から構成されていれば
良い。極細短繊維の場合と同様に、比較的融点の低いポ
リエチレン系樹脂やポリ酢酸ビニル樹脂から構成されて
いるのが好ましい。
【0037】この融着可能な太短繊維が2種類以上の成
分から構成されていると、1種類の成分が融着したとし
ても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維持
することができるため好適である。この2種類以上の成
分から構成されている場合、太短繊維の横断面形状は、
例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド
型、多重バイメタル型、オレンジ型であることができ、
特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好まし
い。
【0038】なお、太短繊維は未延伸状態であることも
できるが、強度的に優れているように、延伸状態にある
のが好ましい。
【0039】本発明の吸湿シートにおいては、繊維径、
繊維長、及び/又は成分の点で相違する太短繊維を2種
類以上含んでいても良い。
【0040】本発明の吸湿シートは、吸湿性粉体と極細
短繊維を分散した状態で含み、吸湿性粉体が極細短繊維
によって保持された繊維層は1層である必要はなく、2
層以上含んでいても良い。なお、2層以上の繊維層を備
えている場合、各繊維層における吸湿性粉体の種類(組
成、平均粒径など)又は量が異なっていても良い。
【0041】本発明の吸湿シートの目付、厚さ及び見掛
密度は吸湿シートの使用用途などによって異なるため、
特に限定するものではない。例えば、有機EL素子パネ
ルの吸湿シートとして使用する場合には、目付は20〜
4000g/mであるのが好ましく、見掛密度は0.
2g/cm以上(より好ましくは0.3g/cm
上)であるのが好ましい。また、厚さは4mm以下であ
るのが好ましく、2mm以下であるのがより好ましく、
1mm以下であるのが更に好ましく、0.7mm以下で
あるのが最も好ましい。なお、「目付」はJIS L1
085:1998.6.2に規定された方法で測定した
単位面積あたりの質量をいい、「厚さ」はJIS L1
085:1998、6.1(厚さ)に規定されているA法に
より得られる値をいい、「見掛密度」は、目付(g/c
)を厚さ(cm)で除した値をいう。
【0042】本発明の積層吸湿シートは上述のような吸
湿シートと、上述のような吸湿シートとは異なるシート
(以下、「非吸湿シート」と表記する)とが積層一体化
されているため、吸湿性に優れているばかりでなく、非
吸湿シートの存在によって、各種機能を付加することが
できる。例えば、(A)非吸湿シートとして吸湿性粉体
の平均粒径よりも小さい平均開孔径を有する非吸湿シー
トを積層することによって、吸湿性粉体の吸湿性を損な
うことなく、吸湿性粉体の脱落を確実に防止することが
でき、(B)吸湿シートよりも機械的強度的に優れる非
吸湿シートを積層することによって、吸湿シートの機械
的強度を向上させることができ、(C)吸湿シート中に
含まれている粉体(特には吸湿性粉体)以外の粉体を含
む非吸湿シートを積層することにより、吸湿性ばかりで
なく、非吸湿シート中に含まれている粉体の機能を付与
することができ、(D)粘着性又は接着性を有するシー
トを積層することによって、積層吸湿シートの固定を確
実に行なうことができ、(E)所望の大きさの開孔を有
するフィルムを積層することによって、積層吸湿シート
の吸湿速度を制御することができる、などの機能を付加
することができる。
【0043】なお、本発明の積層吸湿シートはいずれの
場合も、吸湿シートの片面又は両面に非吸湿シートを備
えていることができる。なお、両面に非吸湿シートを備
えている場合には、同じ非吸湿シートであっても異なる
非吸湿シートであっても良い。
【0044】本発明の吸湿シート又は積層吸湿シートは
吸湿性に優れているため、吸湿性を必要とする用途、例
えば、有機EL素子パネル用吸湿シート、電子機器用吸
湿シート、電子ディスプレイ(液晶など)用吸湿シー
ト、計測機器(ガスメーターなど)用吸湿シート、収納
庫(押し入れ、タンス、クローゼット、引出し、シンク
下、下駄箱など)用吸湿シート、布団用吸湿シート、壁
紙用素材、建材用素材、食品用乾燥材、押し花用乾燥
材、薬用乾燥材などとして使用することができる。
【0045】本発明の吸湿シートは湿式法以外の方法に
より形成した粉体含有繊維ウエブから形成する限り、ど
のように製造しても良いが、極細短繊維と吸湿性粉体か
らなる吸湿シートは、例えば次の方法により製造するこ
とができる。
【0046】まず、前述のような極細短繊維の集合体と
吸湿性粉体とを用意する。この集合体は前述のような極
細短繊維が集合したものであり、その数は特に限定され
るものではない。また、その集合状態も特に限定される
ものではないが、例えば、規則正しく一定方向に極細短
繊維が配向した束状態、ランダムに配向した凝集状態、
などを挙げることができる。これらの中でも、束状態で
あると、後述の圧縮気体の作用による分散性に優れてい
るため好適である。
【0047】なお、極細短繊維が絡んだ状態にあると、
後述のような圧縮気体の作用によっても、極細短繊維を
個々の極細短繊維に開繊し、均一に分散させるのが困難
になる傾向があるため、極細短繊維は絡んだ状態にない
のが好ましい。例えば、機械的に分割可能な分割性繊維
をビーターなどによって叩解した極細短繊維の集合体、
ビーターなどによって叩解したパルプ、或いはフラッシ
ュ紡糸法により得られた極細短繊維集合体は、極細短繊
維同士が絡んだ状態にあるため使用しないのが好まし
い。なお、圧縮気体の作用によって極細短繊維を発生
し、極細短繊維が絡んだ状態となる、極細短繊維を発生
可能な繊維(例えば、全芳香族ポリアミド繊維、溶剤抽
出法により得られたセルロース繊維など)の集合体は使
用することができる。
【0048】また、極細短繊維の集合体における付着物
の付着率が0.5mass%以下(順に、0.3mas
s%以下、0.1mass%以下、0.08mass%
以下、0.06mass%以下、0.04mass%以
下、0.02mass%以下であるのが好ましい)であ
るのが好ましい。このように極細短繊維の集合体の付着
物の付着率が低いことによって、後述のノズルと極細短
繊維との摩擦によって静電気が発生し、互いに反発しあ
って、極細短繊維が均一に分散しやすいためである。
【0049】この「付着物の付着率」は付着物の質量の
極細短繊維の集合体の質量に対する百分率をいう。つま
り、次の式により得られる値をいう。 A=(ms/mf)×100 ・・ 式(1) ここで、Aは付着物の付着率(%)、msは付着物の付
着質量(g)、mfは極細短繊維の集合体の質量(g)
を、それぞれ意味する。また、「付着物」とは、極細短
繊維の集合体を熱水に15分間浸漬することによって得
られる抽出物と、極細短繊維の集合体を熱メタノール溶
液に15分間浸漬することによって得られる抽出物の、
両方の抽出物を意味する。前者の抽出物として、糊剤
(例えば、アクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポ
リアルギン酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、メチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
メチルセルロース、ポリビニルアルコールなど)があ
り、後者の抽出物として、界面活性剤(親水基と親油基
の両方を有する化合物、例えば、ノニオン系界面活性
剤)がある。このように付着物量の少ない極細短繊維の
集合体は、例えば、メタノールやエタノール、アセトン
などによって洗浄することによって得ることができる。
【0050】更に、この極細短繊維の集合体として、繊
維径、繊維長、或いは成分の点で異なる極細短繊維の集
合体を組み合わせても良い。同様に、吸湿性粉体として
平均粒径又は成分の点で異なる吸湿性粉体を組み合わせ
ても良い。
【0051】このような極細短繊維の集合体は、例え
ば、複合紡糸法又は混合紡糸法により製造した海島型繊
維の海成分を除去することによって、島成分からなる極
細短繊維を発生させて得ることができる。なお、2成分
以上からなる極細短繊維は海島型繊維を紡糸する際に島
成分が2成分以上となるように樹脂を供給して得ること
ができる。また、好適である束状態の極細短繊維の集合
体は、複合紡糸法又は混合紡糸法により製造した海島型
繊維の海成分を除去することによって、得ることができ
る。
【0052】なお、海島型繊維の海成分を抽出して形成
した極細短繊維の集合体は付着物の付着率が0.5ma
ss%以下の状態にあるが、この海島型繊維の海成分を
抽出して形成した極細短繊維の集合体であっても、アセ
トン、エタノール、或いはメタノールなどの溶媒によっ
て洗浄し、付着物量を更に少なくするのが好ましい。
【0053】次いで、極細短繊維の集合体と吸湿性粉体
とをノズルへ供給するとともに、圧縮気体の作用により
ノズルから気体中に噴出し、極細短繊維の集合体から個
々の極細短繊維を発生させ、分散させるとともに、吸湿
性粉体も分散させる。
【0054】このノズルは極細短繊維及び吸湿性粉体の
供給側から噴出側へ向かって、一定の横断面積を有する
ものであっても良いし、連続的に又は不連続的に横断面
積が小さくなるものであっても良いし、連続的に又は不
連続的に横断面積が大きくなるものであっても良いし、
連続的に又は不連続的に横断面積が大きくなった後に小
さくなるものであっても良いし、或いは連続的に又は不
連続的に横断面積が小さくなった後に大きくなるもので
あっても良い。
【0055】なお、ノズルへ供給される圧縮気体の流れ
が渦巻き状であると、極細短繊維同士が絡み合って毛玉
を発生させるなど、均一分散させることが困難になる傾
向があるため、ノズルへ供給される圧縮気体の流れは実
質的に層流であるのが好ましい。このように実質的に層
流である圧縮気体を供給できるノズルとして、例えば、
ベンチュリー管を挙げることができる。
【0056】また、ノズルの噴出部の前方に、極細短繊
維の集合体、極細短繊維、及び吸湿性粉体と衝突して、
個々の極細短繊維の発生を促進したり、発生した極細短
繊維及び吸湿性粉体の分散を促進するために、衝突部材
を設けるのが好ましい。この衝突部材はどのような形状
であっても良いが、前記効果に優れるように、平板状衝
突部材、釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部材、釣鐘状
の突起部と平板状の衝突部とが一体化した衝突部材、或
いは円錐状の突起部と平板状の衝突部とが一体化した衝
突部材、などを使用するのが好ましく、釣鐘状の突起部
と平板状の衝突部とが一体化した衝突部材、又は円錐状
の突起部と平板状の衝突部とが一体化した衝突部材がよ
り好ましい。
【0057】このような衝突部材は噴出された極細短繊
維及び吸湿性粉体と衝突できるように、ノズル噴出口の
前方に配置されていれば良いが、開繊性及び分散性に優
れているように、この衝突部材の平坦部(例えば、突起
部と平板状の衝突部を有する衝突部材においては衝突部
のノズル噴出口側表面、円錐状の衝突部材の場合は円錐
の底面、釣鐘状の衝突部材の場合は釣鐘の底面)とノズ
ル噴出口との最短距離が1〜100mmであるように設
置するのが好ましく、5〜40mmであるように設置す
るのがより好ましく、5〜30mmであるように設置す
るのが更に好ましく、10〜30mmであるように設置
するのが更に好ましく、10〜20mmであるように設
置するのが最も好ましい。
【0058】また、釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部
材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化された
衝突部材、或いは円錐状の突起部と平板状の衝突部とが
一体化された衝突部材からなる場合、極細短繊維の開繊
性及び分散性に優れているように、釣鐘状、円錐状、或
いは突起部の軸がノズル噴出口の中心と一致するように
配置するのが好ましい。また、これら衝突部材を設置す
る場合には、開繊性及び分散性に優れているように、釣
鐘状、円錐状、或いは突起部の頂点がノズル噴出口と対
向するように設置するのが好ましい。
【0059】この圧縮気体はどのような気体を利用して
も良いが、空気を用いるのが製造上好適である。また、
圧縮気体は極細短繊維の集合体から極細短繊維を発生さ
せるとともに、極細短繊維及び吸湿性粉体の分散を十分
に行なうことができるように、ノズル噴出口における気
体通過速度が100m/sec以上であるのが好まし
い。同様の理由で、圧縮気体の圧力は2kg/cm
上であるのが好ましい。なお、この「気体通過速度」
は、ノズルから噴出された気体の1気圧における流量
(m/sec)を、ノズル噴出口における横断面積
(m)で除した値をいう。
【0060】また、ノズルから噴出された極細短繊維及
び吸湿性粉体を分散させる分散媒体としての気体は、特
に限定されるものではないが、空気であるのが製造上好
適である。
【0061】次いで、この分散した極細短繊維及び吸湿
性粉体を集積して粉体含有繊維ウエブを形成する。この
極細短繊維及び吸湿性粉体の集積は、例えば、多孔性の
ロールやネットなどの支持体を利用して実施することが
できる。なお、極細短繊維及び吸湿性粉体は自然落下さ
せて集積しても良いし、支持体の下方から気体を吸引し
て集積しても良い。
【0062】次いで、この粉体含有繊維ウエブをそのま
ま吸湿シートとして使用することもできるが、吸湿性粉
体の脱落防止及び機械的強度を高めるために、極細短繊
維と吸湿性粉体とを結合するのが好ましい。この結合方
法は特に限定されるものではないが、例えば、極細短繊
維を融着する方法、エマルジョン、ラテックス、或いは
溶液状のバインダーにより接着する方法、水流などの流
体流やニードルにより絡合する方法、などを単独で、或
いは併用して結合することができる。これらの中でも極
細短繊維を融着させる方法であると、吸湿性粉体の分散
性が損なわれず、しかもバインダー等によって被覆され
て吸湿性粉体の吸湿性能が損なわれないため好適であ
る。
【0063】以上は、吸湿シートの基本的な製造方法で
あるが、極細短繊維がより均一に分散しやすいように、
極細短繊維の集合体を圧縮気体の作用によりノズルから
気体中へ噴出させる前に、ミキサーなどを利用して極細
短繊維の集合体をほぐすのが好ましい。
【0064】次に、本発明の吸湿シートの製造方法につ
いて、本発明の吸湿シートを製造することのできる製造
装置の模式的断面図である図1をもとに説明する。
【0065】まず、極細短繊維の集合体は混合装置10
によって適度に解される。同時に吸湿性粉体とある程度
混合される。
【0066】次いで、圧縮気体導入口20からノズル3
0へ圧縮気体を導入することによって、前記解された極
細短繊維の集合体と吸湿性粉体とはノズル30へ供給さ
れる。この解された極細短繊維の集合体と吸湿性粉体と
は圧縮気体導入口20から導入された圧縮気体の作用に
よって、ノズル30から勢いよく気体40へと噴出され
る。この気体40へ噴出される際に、ノズル30内と気
体40との気圧差、噴出された圧縮気体と気体40との
間に形成される乱流、圧縮気体の膨張力、或いはノズル
30の噴出口前方に設けた衝突部材45との衝突、など
の相互作用によって、極細短繊維70を発生するととも
に、極細短繊維70及び吸湿性粉体71は分散する。
【0067】この気体40中に分散した極細短繊維70
及び吸湿性粉体71は多孔性の支持体50上に集積し
て、粉体含有繊維ウエブ80を形成する。この製造装置
においては、支持体50の下方に位置する気体吸引装置
60によって気体を吸引できる。
【0068】このように形成した粉体含有繊維ウエブ8
0はそのまま熱融着装置90へ供給され、この熱融着装
置90の熱の作用により極細短繊維70と吸湿性粉体7
1とが融着して吸湿シート83を形成する。そして、こ
の吸湿シート83は巻き取り装置100により巻き取ら
れる。
【0069】以上は、極細短繊維と吸湿性粉体とからな
る吸湿シートの製造方法であるが、太短繊維を含む吸湿
シートは前述のような極細短繊維の集合体及び吸湿性粉
体に加えて、太短繊維の集合体をノズルへ供給すること
によって製造することができる。なお、太短繊維の集合
体も極細短繊維の集合体と同様に束状に集合しているの
が好ましく、太短繊維同士が絡んでいないのが好まし
い。また、太短繊維の集合体における付着物の付着率
(前述の式(1)において、mfを太短繊維の集合体の
質量(g)とした時の値)も0.5mass%以下(順
に、0.3mass%以下、0.1mass%以下、
0.08mass%以下、0.06mass%以下、
0.04mass%以下、0.02mass%以下であ
るのが好ましい)であるのが好ましい。このように付着
物の付着率の少ない太短繊維の集合体はアセトン、エタ
ノール、或いはメタノールなどの溶媒によって洗浄する
ことによって得ることができる。また、太短繊維の集合
体として、繊維径、繊維長、或いは成分の点で異なる太
短繊維の集合体を組み合わせても良い。更に、太短繊維
が融着可能である場合は、極細短繊維に替えて、或いは
極細短繊維に加えて融着させるのが好ましい。
【0070】本発明の積層吸湿シートは上述のようにし
て製造した吸湿シートの片面又は両面に、別途製造した
非吸湿シートとを積層した後に、これらを結合して製造
することができる。この結合方法は特に限定されるもの
ではないが、例えば、吸湿シート及び/又は非吸湿シー
トを構成する樹脂を融着する方法、エマルジョン、ラテ
ックス、或いは溶液状のバインダーにより接着する方
法、水流などの流体流やニードルにより絡合する方法、
などを単独で、或いは併用して結合することができる。
これらの中でも吸湿シート及び/又は非吸湿シートを構
成する樹脂を融着する方法であると、吸湿性粉体の分散
性が損なわれず、しかもバインダー等に被覆されておら
ず、吸湿性粉体の吸湿性能を損なわないため好適であ
る。
【0071】別の積層吸湿シートの製造方法として、例
えば、上述のように分散した極細短繊維及び吸湿性粉体
を多孔性の支持体上に集積して、粉体含有繊維ウエブを
形成する際に、支持体上に非吸湿シートを積層してお
き、非吸湿シート上に極細短繊維及び吸湿性粉体を集積
して粉体含有繊維ウエブを形成した後に、極細短繊維と
吸湿性粉体とを結合して吸湿シートを形成すると同時又
は別に非吸湿シートと結合する方法を挙げることができ
る。なお、両面に非吸湿シートを有する積層吸湿シート
は、続いて非吸湿シートを積層し、上述と同様に結合し
て製造することができる。
【0072】更に別の積層吸湿シートの製造方法とし
て、例えば、吸湿性粉体を含まない繊維ウエブを、吸湿
性粉体を含む粉体含有繊維ウエブと同様にして支持体上
に形成した後、吸湿性粉体を含まない繊維ウエブ上に粉
体含有繊維ウエブを形成し、粉体含有繊維ウエブを結合
して吸湿シートを形成すると同時又は別に吸湿性粉体を
含まない繊維ウエブと結合することができる。この場
合、吸湿性粉体を含まない繊維ウエブは同時に又は別に
結合しても良い。なお、両面に非吸湿シートを有する積
層吸湿シートは、続いて非吸湿シートを積層し、上述と
同様にして結合するか、粉体含有繊維ウエブ上に更に吸
湿性粉体を含まない繊維ウエブを、吸湿性粉体を含む粉
体含有繊維ウエブと同様にして形成した後に、粉体含有
繊維ウエブを結合して吸湿シートを形成すると同時又は
別に結合して製造することができる。
【0073】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子パネル(有機EL素子パネル)は上述のような吸湿シ
ート又は積層吸湿シートを構成部品として備えているた
め、有機EL素子パネル内に浸入した水分は速やかに吸
湿シート又は積層吸湿シートに吸湿されるため、有機蛍
光物質と電極との剥離を誘引し、発光不良を引き起こす
という問題の発生しにくいものである。また、本発明の
吸湿シート又は積層吸湿シートは厚さの薄いものである
ことができるため、有機EL素子パネルの薄型化に寄与
できるという効果も奏する。
【0074】なお、本発明の有機EL素子パネルは上述
のような吸湿シート又は積層吸湿シートを備えているこ
と以外は従来の有機EL素子パネルと全く同様であるこ
とができる。例えば、有機EL素子パネルの模式的断面
図である図2をもとに説明すると、ガラス基板130と
フレーム140とによって気密空間が形成されており、
この気密空間内に有機エレクトロルミネッセンス素子1
10と本発明の吸湿シート又は積層吸湿シート120と
が封入されている。前記有機エレクトロルミネッセンス
素子110は有機蛍光物質112のガラス基板130側
にプラス電極111が配置され、有機蛍光物質112の
ガラス基板130とは反対側にマイナス電極113が配
置されている。また、吸湿シート又は積層吸湿シート1
20は上記有機エレクトロルミネッセンス素子110の
下方に、上記有機エレクトロルミネッセンス素子110
とは離間してフレーム140に配置固定されている。な
お、図2の有機EL素子パネルにおいては、吸湿シート
又は積層吸湿シート120と有機エレクトロルミネッセ
ンス素子110とを離間させて配置しているが、このよ
うな配置状態に限定されず、有機エレクトロルミネッセ
ンス素子110と吸湿シート又は積層吸湿シート120
とが接するように、フレーム140内に配置されていて
も良い。
【0075】なお、有機EL素子パネルに用いる吸湿シ
ート又は積層吸湿シート120は、酸素や有機物蒸気な
どの気体成分を除去できるように、吸湿性粉体に加え
て、脱酸素剤や有機ガス吸着剤を含んでいるのが好まし
い。
【0076】以下に、本発明の実施例を記載するが、本
発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
【実施例】(実施例1、2)ポリ乳酸からなる海成分中
に、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとからなる島
成分が25個存在する、複合紡糸後の延伸工程により延
伸して得た海島型短繊維(繊度:1.7dtex、長さ
1mmに切断されたもの)を用意した。この海島型短繊
維を10mass%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し
て、海成分であるポリ乳酸を抽出除去した後、風乾し
て、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとが混在し、
高密度ポリエチレンが繊維表面を構成する極細短繊維
(繊維径:2μm、切断繊維長:1mm、フィブリル化
していない、延伸状態にある、繊維軸方向において実質
的に同じ直径を有する、付着物の付着率:0.02ma
ss%未満、断面形状:海島型)の束状集合体を得た。
【0078】また、吸湿性粉体として、合成ゼオライト
(平均粒径:7μm)を用意した。
【0079】次いで、図1に示す製造装置と同様の装置
を用いて、本発明の吸湿シートを製造した。つまり、極
細短繊維の束状集合体と吸湿性粉体とを25:75の質
量比でミキサーへ供給して、極細短繊維の束状集合体を
解すとともに吸湿性粉体と混合した後、噴出口における
横断面形状が円形(直径:8.5mm)のベンチュリー
管へ圧縮気体導入口から圧縮空気(圧力:6kg/cm
、実質的に層流)を導入することにより、前記極細短
繊維の束状集合体と吸湿性粉体とをベンチュリー管へ供
給して、前記ベンチュリー管から前記極細短繊維の束状
集合体と吸湿性粉体とを空気中に噴出(ベンチュリー管
の噴出口における気体通過速度:147m/s、噴出口
からの噴出量:約0.5m/min.)し、前記ベン
チュリー管の噴出口前方に、噴出口の中心と一致し、突
起部が噴出口と対向するように設けた衝突部材(円錐状
の突起部と平板状の衝突部とが一体化した衝突部材、衝
突部材の衝突部のノズル噴出部側表面との距離:15m
m)に衝突させて、極細短繊維及び吸湿性粉体を分散さ
せた。
【0080】次いで、この分散させた極細短繊維と吸湿
性粉体とを、移動する支持体(ネット)上に載置してお
いたポリエチレンテレフタレート繊維からなるスパンボ
ンド不織布(目付:30g/m)上に集積させ、粉体
含有繊維ウエブ−スパンボンド不織布積層体を形成し
た。なお、集積させる際には、支持体の下に設置された
サクションボックスにより空気を吸引(0.7m/m
in.)した。
【0081】次いで、粉体含有繊維ウエブ−スパンボン
ド不織布積層体を温度135℃に設定されたリライアン
トプレス機に供給し、30秒間熱処理を実施して、極細
短繊維の高密度ポリエチレン成分を融着させ、吸湿シー
ト−スパンボンド不織布積層体を製造した。この吸湿シ
ート層は極細短繊維及び吸湿性粉体が均一に分散してお
り、極細短繊維が吸湿性粉体の周囲を囲むように絡合し
ているとともに、極細短繊維の高密度ポリエチレン成分
によって、極細短繊維同士及び極細短繊維と吸湿性粉体
とが融着した状態にあった。
【0082】その後、吸湿シート−スパンボンド不織布
積層体からスパンボンド不織布を剥離して得た吸湿シー
ト(実施例1)を、温度80℃のカレンダーロールで圧
延処理した後、各種物性を測定したところ、目付が40
0g/m、厚さが0.39mm、見掛密度が1.03
g/cmで、極細短繊維の吸湿シートにおける質量比
率は25mass%であった。
【0083】また、極細短繊維と吸湿性粉体との集積量
を変えたこと以外は上記実施例1と全く同様にして、目
付が50g/m、厚さが0.047mm、見掛密度が
1.06g/cmの吸湿シート(極細短繊維の吸湿シ
ートにおける質量比率:25mass%)を製造した。
【0084】この実施例1及び実施例2の吸湿シートを
温度25℃、相対湿度20%の恒温恒湿槽に48時間放
置し、放置前後における質量の変化から、吸湿性粉体1
00g当たりにおける吸湿量を算出したところ、いずれ
の吸湿シートも20gの吸湿量を示す、優れた吸湿性能
を発揮できるものであった。
【0085】
【発明の効果】本発明の吸湿シート及び積層吸湿シート
は十分な吸湿性能を発揮できるものである。
【0086】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子パネルは上記の吸湿シート又は積層吸湿シートを構成
部品として備えているため、発光不良を生じにくいもの
である。また、厚さの薄い有機エレクトロルミネッセン
ス素子パネルであることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の吸湿シートを製造することのできる
製造装置の模式的断面図
【図2】 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子
パネルの一部を切り欠いた模式的断面図
【符号の説明】
10 混合装置 20 圧縮気体導入口 30 ノズル 40 気体 45 衝突部材 50 支持体 60 気体吸引装置 70 極細短繊維 71 吸湿性粉体 80 粉体含有繊維ウエブ 83 吸湿シート 90 熱融着装置 100 巻き取り装置 110 有機エレクトロルミネッセンス素子 111 プラス電極 112 有機蛍光物質 113 マイナス電極 120 吸湿シート又は積層吸湿シート 130 ガラス基板 140 フレーム 150 有機エレクトロルミネッセンス素子パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB11 AB13 BB05 DB03 FA02 4D052 AA00 CA02 FA01 GA04 GB12 GB13 HA01 HA03 HA05 HA09 HA12 HA13 HA21 HA41 HA49 HB02 HB06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸湿性粉体と、繊維径が4μm以下で繊
    維長が3mm以下の極細短繊維とを分散した状態で含
    み、前記吸湿性粉体が前記極細短繊維により保持されて
    いる吸湿シートであり、前記吸湿シートは湿式法以外の
    方法により形成した粉体含有繊維ウエブから形成された
    ものである吸湿シート。
  2. 【請求項2】 前記吸湿性粉体の平均粒径が50μm以
    下である、請求項1記載の吸湿シート。
  3. 【請求項3】 吸湿シートの全質量に対する前記極細短
    繊維の質量比率が5〜40mass%である、請求項1
    又は請求項2に記載の吸湿シート。
  4. 【請求項4】 前記極細短繊維が海島型繊維の海成分を
    除去して得た島成分からなる、請求項1〜請求項3のい
    ずれかに記載の吸湿シート。
  5. 【請求項5】 前記極細短繊維が有機成分からなる、請
    求項1〜請求項4のいずれかに記載の吸湿シート。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿シ
    ートを構成部品として備えている、有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子パネル。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿シ
    ートと、請求項1〜5のいずれかに記載の吸湿シートと
    は異なるシートが積層一体化されている、積層吸湿シー
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の積層吸湿シートを構成
    部品として備えている、有機エレクトロルミネッセンス
    素子パネル。
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