JP3809655B2 - ガスバリア性セラミック被覆フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性セラミック被覆フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、セラミック被覆フィルム及びセラミック被覆フィルムの製造方法に関するものであり、とくに包装材料などに使用するのに適した厚さ10〜100μmの高分子フィルムを基材フィルムとする柔軟性に優れたセラミック被覆フィルム及びセラミック被覆フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品、医薬品、精密電子部品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質、とくに食品においては蛋白質や油脂等の酸化、変質を抑制し、さらに味、鮮度を保持するために、また無菌状態での取扱いが必要とされる医薬品においては有効成分の変質を抑制し、効能を維持するために、さらに精密電子部品においては金属部分の腐食、絶縁不良等を防止するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
【0003】
そのため、従来から塩化ビニリデン樹脂をコートしたポリプロピレン(KOP)やポリエチレンテレフタレート(KPET)或いはエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物をガスバリア材として包装材料に用いた包装フィルムやAlなどの金属からなる金属箔、適当な高分子樹脂組成物(単独では、高いガスバリア性を有していない樹脂であっても)にAlなどの金属又は金属化合物を蒸着した金属蒸着フィルムを包装材料に用いた包装フィルムが一般的に使用されてきた。
【0004】
ところが、上述の高分子樹脂組成物のみを用いてなる包装フィルムは、Alなどの金属又は金属化合物を用いた箔や蒸着層を形成した金属蒸着フィルムに比べるとガスバリア性に劣るだけでなく、温度・湿度の影響を受けやすく、その変化によってはさらにガスバリア性が劣化することがる。一方、Alなどの金属又は金属化合物を用いた箔や蒸着層を形成した金属蒸着フィルムは、温度・湿度などの影響を受けることは少なく、ガスバリア性に優れるが、包装体の内容物を透視して確認することができないとする欠点を有していた。
【0005】
そこで、これらの欠点を克服した包装用材料として、最近では金属或いは金属化合物、例えば一酸化珪素(SiO)などの珪素酸化物薄膜、酸化マグネシウム(MgO)薄膜、を透明性を有する高分子材料からなる基材上に蒸着などの形成手段により形成された蒸着フィルムが開発されており、一部は実用化される段階に至っている。
【0006】
特に特開平4−251736号公報に示される金属酸化物被覆フィルムにおける金属酸化物粒子同士の界面の隙間にオルガノシリコン成分を配置することで充填し、ガス透過度を減少させてなるガスバリヤーフィルムが提案されている。
これは、オルガノシリコン成分が金属酸化物粒子で形成されるフィルムに組み込まれ、実質的に結合され、分子の形態で組み込まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記出願は高分子材料等の基材フィルム上に成膜されるセラミックスの薄膜は、柔軟性及び密着性に優れているとは言えず、機械的強度が他の金属蒸着薄膜に比べて弱く、例えばこの蒸着薄膜を包装材料に用いる場合に、包装体への加工(折り曲げ、引っ張り、ラミネートなど)や文字や絵柄などデザインを印刷により表面或いは裏面に施す、いわゆる蒸着後の後加工において薄膜に傷などの損傷や薄膜の剥離などが発生し、この損傷部分から空気、水蒸気などの気体が浸透するなどして本来有しているはずの高いガスバリア性が低下してしまうという問題を有している。
【0008】
さらには湿式のコーティングにより柔軟性に富む金属酸化物被覆フィルムを製作することも可能であるが、耐水性に問題を有する欠点がある。
【0009】
すなわち、包装体として用いられる条件として、内容物自体を直視することが可能なだけの透明性、内容物に対して影響を与える気体などを遮断する高いガスバリア性、包装体への加工などによる機械的なストレスに対して機能を低下させない柔軟性を有するものが求められており、現在のところこれらを全て満たす包装材料は見いだされていない。
【0010】
そこで、本発明は無色透明であり、かつ高いガスバリア性を有するとともに後加工による外部からの折り曲げや引っ張り等の作用に対して、ガスバリア性の低下することのない柔軟性を有する実用性の高いセラミック被覆フィルム及びセラミック被覆フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、請求項1記載の発明は、基材フィルム上に金属酸化物からなるセラミック膜を形成してなるセラミック被覆フィルムにおいて、前記セラミック膜の形成が、アルコール雰囲気下で形成されてなり、かつ前記セラミック薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士または分子同士の界面にアルコキシル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:アルキル基)結合を有することを特徴とするガスバリア性セラミック被覆フィルムである。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記アルコール雰囲気が、炭素数が4以下のアルコールで構成されてなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムである。
【0013】
請求項3記載の発明は、基材フィルム上に金属酸化物からなるセラミック被覆フィルムの製造方法であって、前記基材フィルムの表面に金属酸化物或いはその前駆体からなるセラミック薄膜を、アルコール雰囲気下において成膜することにより前記セラミック薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士または分子同士の界面にアルコキシル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:アルキル基)結合を有することを特徴とするガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記アルコール雰囲気が、炭素数が4以下のアルコールで構成されてなることを特徴とする請求項記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記アルコール雰囲気は、放電によりプラズマ状態にあることを特徴とする請求項3又は4に記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記放電の手段がマイクロ波、ラジオ波等の高周波によることを特徴とする請求項5記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0017】
請求項7記載の発明は、前記アルコール雰囲気を特定波長の光照射により励起或いは活性化してなることを特徴とする請求項3又は4に記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法である。
【0019】
【作用】
高分子材料からなる樹脂フィルム上に金属酸化物からなるセラミック薄膜を形成する際に、アルコール或いはプラズマ状態とさせたアルコールを、または光照射により活性化させたアルコールを添加した雰囲気中とすることにより、樹脂フィルム上に析出する粒子の界面で金属酸化物とアルコールの分解により生じた金属アルコキシド類似の物質やアルコキシル基やR−金属−陰イオン−金属−R結合(R:アルキル基)を有する化合物が生成され、それが薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士または分子同士の界面に有機的結合を有することにより、ある程度の伸縮性を示すことでマクロ的に柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。
【0020】
とくに珪素酸化物では、通常の蒸着により形成される薄膜では、酸素が欠損し、SiO2-X の状態にあるため、本発明によればこの欠損している部分にSiOH(シラノール)結合やR基(R:アルキル基)が結合し、上記と同様な伸縮性による柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明のセラミック被覆フィルムを説明する断面図であり、図2は本発明のセラミック被覆フィルムを形成する蒸着装置の構成の一例を説明する概略図である。
【0022】
まず、本発明のセラミック被覆フィルムの構成について図1を参照し説明する。セラミック被覆フィルム1は、基材フィルム2上にアルコール雰囲気下で金属化合物或いはその前駆体からなるセラミック薄膜3を形成してなり、さらにそのセラミック薄膜の粒子中又は分子中、或いは粒子同士又は分子同士の界面にアルコール雰囲気下において生じたアルコキシル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:アルキル基)結合を有するものである。
【0023】
本発明のセラミック被覆フィルムの基材フィルム2に用いられる高分子材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどに代表されるポリエステルフィルムであるが、その他、目的用途に応じて、例えばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド(ネイロン−6、ナイロン−66等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミドなど、或いはこれら高分子の共重合体など通常包装材料として用いられるものが使用でき、上記材料から適宜選択される。厚さは用途に応じて決定されるが、10〜100μmの範囲で、とくに10〜25μmのものが望ましい。
【0024】
この基材フィルム2に用いられる高分子材料に、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤など公知の添加剤、安定剤を加えることができ、これらは必要に応じて適宜添加される。
【0025】
さらに基材フィルム2の表面をコロナ処理、プラズマ処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、上面に形成される被膜の密着性を向上させることも可能である。
【0026】
上記基材フィルム2に薄膜層3を形成する手段としては、蒸着材料である珪素、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物、酸化窒化物、酸化炭化物の単体、例えばMgO,SiO ,Al ,TiO ,TiON,TiCO,ZrO ,ZrON,ZrCO,SnO 等、或いはそれらの複合物、又は上記に挙げた物質単体からなり、これらを真空蒸着法、スパッタリング法などの物理的成膜方法、或いは化学気相析出法(CVD法)などの真空プロセスにより樹脂フィルム上に薄膜状に形成される。
【0027】
薄膜層3の膜厚は、目的用途によって異なるが、100から2000Åの範囲が望ましいが、100Å以下では薄膜の連続性に問題があり、また2000Åを越えるとクラックが発生しやすく、可撓性が低下するため、好ましくは500〜1600Åである。
【0028】
上記セラミック薄膜形成手段により生じる、例えば真空蒸着法の場合の蒸着粒子や加熱により陰イオン、例えば酸素が欠損した分子、またスパッタリング法の場合のスパッタ粒子(中性或いは荷電粒子)や陰イオン、例えば酸素が欠損した分子・イオン、またCVD法の場合の反応過程中に存在し、かつ最終生成物の前段階にあるもので構成されるセラミック粒子やその前駆体に対して、さらに真空プロセス内に形成されるアルコール雰囲気中において、アルコールとの反応が行なわれる。
【0029】
このアルコール雰囲気は、種々の手段を用いることが可能であり、とくに限定されるものではない。例えばアルコール、プラズマ状態とさせたアルコール、または光照射により活性化させたアルコールの真空プロセス内への添加によりの生成される。
【0030】
真空プロセスが真空蒸着法である場合は、蒸着源の近傍にアルコール雰囲気を導入することにより、その蒸着されるセラミック粒子、分子やその前駆体の有する運動エネルギー利用し、セラミック薄膜の物理的性能を向上させることができる。
【0031】
真空プロセス内に添加されるアルコールは炭素数が4以下であることが好ましく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブチルアルコール、ターシャブチルアルコール等が挙げられる。炭素数4以下するのは、炭素数の大きいアルコールを用いる場合、蒸着膜が嵩高くなることから、柔軟性、密着性、バリア性などの薄膜の性能が低下するおそれがあるためである。
【0032】
さらにアルコールの添加時にプラズマ状態とすることで、とくに真空蒸着法による成膜の場合に、反応性を高めることが可能となる。プラズマ状態とするためには、周知の手法であるマイクロ波、ラジオ波等の高周波による活性化手段を用いることができる。
【0033】
また、とくに真空蒸着法による成膜の場合に、結合エネルギーの波長換算値より波長の短い(エネルギー大)或いは本発明に用いるアルコールの吸収光、すなわち波長λが200nm以下の光の照射による特定の結合を解離するのに有効である。
【0034】
以下、真空蒸着法による本発明のセラミック被覆フィルムの製造方法を装置とともに説明する。
【0035】
図2は本発明の実施に適した装置の一例を示し、本発明のセラミック被覆フィルムを形成する巻取り式真空蒸着装置10を説明する概略図である。この装置10では、真空容器7はその内部全体を排気口11に接続された図示されない排気装置(通常は真空ポンプ)により、10-1〜10-4Paの圧力に維持するようになっている。
【0036】
また基材フィルム2は透明性を有する樹脂フィルムで、かつ長尺状であり、連続的に基材フィルム2を巻き出す巻き出しロール31と、基材フィルム2に薄膜を形成するため外周に部分的に基材フィルム2が巻き付けられる冷却ロール33と、基材フィルム2を連続的に巻き取る巻き取りロール34が配置されており、巻き出しロール31と冷却ロール33との間、及び冷却ロール33と巻き取りロール34との間に基材フィルムを円滑に誘導するガイドロール32が設けられている。また装置下部は、冷却ロール33が露出するような開口部が形成された遮蔽板12により仕切られており、冷却ロール33と対向する位置に蒸着材料9を収納する坩堝4が配置されている。その側面には蒸着材料9に電子線を照射する加熱源である電子銃5とアルコールを導入する導入管6が配置されている。導入されるアルコールは2種類以上混合したものでもよく、予め混合したものを導入するか、或いは導入時に混合するようにしてもよい。また導入管6は流量計61、62を通してタンクなどのアルコール供給源(図示されない)に接続されており、アルコールを2種類以上混合する場合に、真空容器7に導入されるアルコール組成は流量計61、62の値により混合比、流量などを制御することが可能である。なお3種類以上の場合は、数に応じて流量計及び供給源を増やすことができる。なお、坩堝4の側面に配置された電子銃5からは、電子線が180°偏向して蒸着材料9に照射される。
【0037】
この装置10を用いて蒸着を行う場合には、真空容器7内の真空排気を行った後、通常の真空蒸着の場合はその状態で、導入管6を経てアルコール又はアルコールの混合液を真空容器7内が所定の圧力になるように導入し、基材フィルム2を各ロールを介して所定の速度で走行させながら電子銃5から照射される電子線により蒸着材料9を加熱・気化させ、アルコール雰囲気下において基材フィルム2上に析出させる。
【0038】
上記巻取り式真空蒸着装置10により高分子材料からなる基材フィルム上に金属酸化物からなる薄膜を形成する際に、真空容器7内をアルコール、或いはプラズマ状態とさせたアルコール、または光照射により活性化させたアルコール等を添加した雰囲気中とすることにより、樹脂フィルム上に析出する粒子の界面に金属酸化物とアルコールの分解により生じた金属アルコキシド類似の物質やアルコキシル基やR−金属−陰イオン−金属−R結合(R:アルキル基)を有する化合物が生成され、それが薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士又は分子同士の界面に有機的結合を有することから、セラミック被覆フィルムがある程度の伸縮性を示し、マクロ的に柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。
【0039】
とくに珪素酸化物では、通常の蒸着により形成される薄膜では、酸素が欠損し、SiO2-X の状態にあるため、本発明によれば、この欠損している部分にSiOH(シラノール)結合やR基(R:アルキル基)が結合し、上記と同様な伸縮性ともに柔軟性に富むセラミック被覆フィルムとなる。
【0040】
さらに本発明の具体的な実施例について詳述する。
<実施例1>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィルム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置10に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪素)9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸化珪素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。その際にアルコールとしてエチルアルコール、イソプロピルアルコールのそれぞれについて、1×10-4Torrの分圧で供給した。基材フィルム2上に析出したそれぞれの酸化珪素薄膜の赤外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトルを測定したところ、エトキシル基、またはイソプロポキシル基の存在が確認された。さらに酸化珪素被覆フィルムをゲルボーフレックステストの前後において酸素透過率を測定した結果を表1に示す。この結果から蒸着膜形成時にアルコール雰囲気下とすることにより、酸素透過率は10回の揉みを繰り返したゲルボーフレックステスト後においてもゲルボーフレックステスト前の約4倍程度に抑えられることから、本発明のセラミック被覆フィルムの柔軟性が向上したと言える。
【0041】
<実施例2>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィルム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置10に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪素)9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸化珪素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。その際にアルコールとしてエチルアルコールを1×10-4Torrの分圧で供給し、誘導結合方式のラジオ波放電によりプラズマ化した。基材フィルム2上に析出した酸化珪素薄膜の赤外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトルを測定したところ、エチル基及びエトキシル基の存在が確認された。さらに実施例1と同様に酸化珪素被覆フィルムをゲルボーフレックステストの前後において酸素透過率を測定した結果を表1に示す。この結果から蒸着膜形成時にアルコール雰囲気下とすることにより、酸素透過率は10回の揉みを繰り返したゲルボーフレックステスト後においてもゲルボーフレックステスト前の約4倍程度に抑えられることから、本発明のセラミック被覆フィルムの柔軟性が向上したと言える。
【0042】
<実施例3>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィルム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置10に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪素)9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸化珪素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。その際にアルコールとしてエチルアルコールを1×10-4Torrの分圧で供給し、このアルコールに160nmの波長の紫外線を照射した。基材フィルム2上に析出した酸化珪素薄膜の赤外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトルを測定したところ、エチル基及びエトキシル基の存在が確認された。さらに実施例1と同様に酸化珪素被覆フィルムをゲルボーフレックステストの前後において酸素透過率を測定した結果を表1に示す。この結果から蒸着膜形成時にアルコール雰囲気下とすることにより、酸素透過率は10回の揉みを繰り返したゲルボーフレックステスト後においてもゲルボーフレックステスト前の約4倍程度に抑えられることから、本発明のセラミック被覆フィルムの柔軟性が向上したと言える。
【0043】
<比較例>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジン NS)を基材フィルム2を、本発明の実施に適した巻取り式真空蒸着装置10に装着し、電子ビームにより、蒸着原料(酸化珪素)9を加熱し、基材フィルム2上に薄膜層3として酸化珪素膜を500Åの厚さに蒸着形成した。基材フィルム2上に析出した酸化珪素薄膜の赤外線吸収スペクトルおよびXPSスペクトルを測定したところ、有機物に由来するスペクトルは認められなかった。さらに実施例1と同様に酸化珪素被覆フィルムをゲルボーフレックステストの前後において酸素透過率を測定した結果を表1に示す。この結果から酸素透過率は10回の揉みを繰り返したゲルボーフレックステスト後ではゲルボーフレックステスト前の10倍以上となり、柔軟性の欠如から、いわゆる蒸着後の後加工において薄膜に傷などの損傷や薄膜の剥離などが発生し、この損傷部分から空気、水蒸気などの気体が浸透するなどして酸化珪素蒸着膜のガスバリア性が低下した。
【0044】
【表1】
Figure 0003809655
【0045】
表1に示すように、本実施例のアルコール雰囲気下で形成されたセラミック被覆フィルムは、従来のセラミック被覆フィルムと比較して、揉みなどの外部応力に対して有機的な結合により柔軟性を付与する、若しくは向上させることができ、物理的な耐久性が改善される。したがって本発明は連続的に高分子樹脂材料からなる基材フィルム上に蒸着形成してなるセラミック被覆フィルムであって、柔軟性のよい新規なセラミック被覆フィルム及び新規なその製造方法を提供することができ、従来のセラミック被覆フィルムに比べ、その利用範囲を広げることができるものである。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、成膜後の透明性、ガスバリア性に優れるとともに、従来問題とされてきた柔軟性を成膜時のアルコールの添加により向上させることができ、またアルコールをプラズマ化、光照射による励起により活性化させてアルコール雰囲気を形成することもできる。さらに本発明は、セラミック被覆フィルムを利用した後加工の工程において、外部からの折り曲げや引っ張り、揉み等の作用に対して、薄膜に膜割れ等の損傷を生じることがなく、例えば包装体として用いられる条件である透明性、ガスバリア性、柔軟性、機械的強度を有するものであって、十分に実用性を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック被覆フィルムを説明する断面図である。
【図2】図2は本発明のセラミック被覆フィルムを形成する蒸着装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 セラミック被覆フィルム
2 基材フィルム
3 薄膜層
4 坩堝
5 電子銃
6 導入管
7 真空容器
9 蒸着材料
10 真空蒸着装置
11 排気口
31 巻き出しロール
32 ガイドロール
33 冷却ロール
34 巻き取りロール
61、62 流量計

Claims (7)

  1. 基材フィルム上に金属酸化物からなるセラミック膜を形成してなるセラミック被覆フィルムにおいて、前記セラミック膜の形成が、アルコール雰囲気下で形成されてなり、かつ前記セラミック薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士または分子同士の界面にアルコキシル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:アルキル基)結合を有することを特徴とするガスバリア性セラミック被覆フィルム。
  2. 前記アルコール雰囲気が、炭素数が4以下のアルコールで構成されてなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性セラミック被覆フィルム。
  3. 基材フィルム上に金属酸化物からなるセラミック被覆フィルムの製造方法であって、前記基材フィルムの表面に金属酸化物或いはその前駆体からなるセラミック薄膜を、アルコール雰囲気下において成膜することにより前記セラミック薄膜の粒子中または分子中、或いは粒子同士または分子同士の界面にアルコキシル基結合或いはR−金属−陰イオン−金属−R(R:アルキル基)結合を有することを特徴とするガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法。
  4. 前記アルコール雰囲気が、炭素数が4以下のアルコールで構成されてなることを特徴とする請求項3記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法。
  5. 前記アルコール雰囲気は、放電によりプラズマ状態にあることを特徴とする請求項3又は4に記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法。
  6. 前記放電の手段がマイクロ波、ラジオ波等の高周波によることを特徴とする請求項5記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法。
  7. 前記アルコール雰囲気を特定波長の光照射により励起或いは活性化してなることを特徴とする請求項3又は4に記載のガスバリア性セラミック被覆フィルムの製造方法。
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