JP2000234032A - レトルト用バリア性包材 - Google Patents

レトルト用バリア性包材

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JP2000234032A
JP2000234032A JP11036943A JP3694399A JP2000234032A JP 2000234032 A JP2000234032 A JP 2000234032A JP 11036943 A JP11036943 A JP 11036943A JP 3694399 A JP3694399 A JP 3694399A JP 2000234032 A JP2000234032 A JP 2000234032A
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plasma
retort
gas
packaging material
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English (en)
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Koichi Mikami
浩一 三上
Takanori Oboshi
隆則 大星
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリ
ア性を有し、かつ、透明性に優れ、例えば、飲食品、医
薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品をレトル
ト充填包装するに有用なレトルト用バリア性包材を提供
することである。 【解決手段】 ポリエステル系樹脂フィルムまたはポリ
アミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面に、
酸素ガスによるプラズマ処理面、または、酸素ガスとア
ルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによるプラ
ズマ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面に、無機酸
化物の蒸着膜を設けたことを特徴とするレトルト用バリ
ア性包材に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レトルト用バリア
性包材に関し、更に詳しくは、透明性、酸素ガスあるい
は水蒸気等に対するバリア性等に優れ、更に、ラミネ−
ト適性を有し、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その
他等の種々の物品をレトルト充填包装するに有用なレト
ルト用バリア性包材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他
等の種々の物品をレトルト充填包装するために、種々の
包装用素材が開発され、提案されている。それらの中
で、近年、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するレトルト
用バリア性素材として、ポリエステル系樹脂フィルムあ
るいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材
の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシ
ウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空蒸着法、ス
パッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相
成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長
法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相
成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸化物の蒸
着膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目さ
れている。而して、上記の透明ガスバリア性フィルム
は、従来のアルミニウム箔あるいはポリ塩化ビニリデン
系樹脂コ−ト膜等によるバリア性素材と比較して、焼却
廃棄処理適正等に優れ、環境対応に適う素材として、今
後、その需要が大いに期待されているものである。な
お、上記の透明ガスバリア性フィルムにおいては、更
に、その酸素ガスあるいは水蒸気等に対するガスバリア
性を向上させるために、例えば、プラスチック基材の表
面に、予め、コロナ放電処理、グロ−放電処理等の前処
理を施すことにより表面を粗面化したり、あるいは、予
め、ウレタン系、エステル系等の蒸着用アンカ−コ−ト
剤をコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成して、
プラスチック基材と蒸着膜との密着性を改善することに
よりガスバリア性を向上させる方法等も提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
透明ガスバリア性フィルムに他の樹脂フィルム等を積層
して積層材を製造し、これを使用して包装用袋を製造
し、更に、該包装用袋内に内容物を充填包装し、しかる
後、包装体にレトルトあるいはボイル処理等を施して殺
菌処理済の包装製品を製造しても、包装用袋を構成する
積層材のラミネ−ト強度が得られず、例えば、破袋等の
現象を生じ、また、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する
ガスバリア性も低下し、十分に満足し得る包装製品を製
造することが困難であるというのが実状である。特に、
基材フィルムとして、ポリアミド系樹脂フィルムを使用
した透明ガスバリア性フィルムにおいては、基材フィル
ムとして、ポリエステル系樹脂フィルム等を使用した透
明ガスバリア性フィルムと比較して、該ポリアミド系樹
脂フィルムが吸水性が高いことから、レトルトあるいは
ボイル処理時に、該ポリアミド系樹脂フィルムが水を吸
収ないし吸着し、該ポリアミド系樹脂フィルムが、膨潤
するという現象を起こし、而して、そのようなポリアミ
ド系樹脂フィルムの膨潤に対し無機酸化物の蒸着膜が追
従性に欠けることから、該無機酸化物の蒸着膜にクラッ
ク等が発生し、ガスバリア性等を著しく低下させるとい
う問題点がある。更に、場合によっては、基材フィルム
としてのポリアミド系樹脂フィルムと無機酸化物の蒸着
膜とが剥離し、その用をなさないという問題点もある。
このため、前述のように、上記の透明ガスバリア性フィ
ルムにおいて、その密着性、ガスバリア性等を向上させ
るために、プラスチック基材の表面に、予め、前処理を
行う方法、あるいは、上記のプラスチック基材の表面
に、予め、アンカ−コ−ト剤層を形成する方法等も提案
されているが、それによる効果は、それなりに期待し得
るものであるが、未だ、レトルトあるいはボイル処理適
正を有し、十分に満足し得るハイバリア性を有するレト
ルト用バリア性包材を製造することは困難であるという
のが実状であり、更に、付言すれば、そのような操作を
行うこと自体、その製造工程が増えることからその製造
コストを高めるという問題点がある。例えば、ポリウレ
タン系の有機系アンカ−コ−ト剤を使用し、予め、これ
をポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表
面にコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次
いで、該アンカ−コ−ト剤層を介して、無機酸化物の蒸
着膜を形成すると、ア−カ−コ−ト剤層中に含まれる残
留溶剤等のために、蒸着中の真空度が低下し、更には、
アンカ−コ−ト剤層自体が柔らかいために、アンカ−コ
−ト剤層表面において、蒸着膜がうまく成長せず、所望
どおりの蒸着膜を形成することが極めて困難であり、そ
の結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するガスバリア
性に優れたレトルト用バリア性包材を製造し得ないとい
うのが実状である。そこで本発明は、酸素ガスあるいは
水蒸気等に対するハイバリア性を有し、かつ、透明性に
優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その
他等の種々の物品をレトルト充填包装するに有用なレト
ルト用バリア性包材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々研究の結果、蒸着膜形成直前
のポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹
脂フィルム等のプラスチック基材の表面に、酸素ガスに
よるプラズマ処理、または、酸素ガスとアルゴンガスま
たはヘリウムガスとの混合ガスによるプラズマ処理を行
い、次いで、そのプラズマ処理面に、無機酸化物の蒸着
膜を形成したところ、緻密な無機酸化物の蒸着膜を形成
することができ、かつ、従来品と比較して、より薄い膜
厚でも十分にハイバリア性を有し、更に、ポリエステル
系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フィルム等の
プラスチック基材の表面と無機酸化物の蒸着膜との密着
性に優れ、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対す
る極めて高いバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、例
えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種
々の物品をレトルト充填包装するに有用なレトルト用バ
リア性包材を製造し得ることを見出して本発明を完成し
たものである。
【0005】すなわち、本発明は、ポリエステル系樹脂
フィルムまたはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチ
ック基材の表面に、酸素ガスによるプラズマ処理面、ま
たは、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの
混合ガスによるプラズマ処理面を設け、更に、該プラズ
マ処理面に、無機酸化物の蒸着膜を設けたことを特徴と
するレトルト用バリア性包材に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に更に
詳しく説明する。まず、本発明にかかるレトルト用バリ
ア性包材の構成について、その一例を例示して図面を用
いて説明すると、図1は、本発明にかかるレトルト用バ
リア性包材についてその一例の層構成を示す模式的断面
図である。
【0007】すなわち、本発明にかかるレトルト用バリ
ア性包材1は、図1に示すように、ポリエステル系樹脂
フィルムまたはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチ
ック基材2の表面に、無機酸化物の蒸着膜形成直前に、
酸素ガスによるプラズマ処理面3a、または、酸素ガス
とアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによる
プラズマ処理面3bを形成し、更に、該プラズマ処理面
3a(3b)に、無機酸化物の蒸着膜4を設けた構成か
らなるものである。
【0008】上記の本発明において、本発明にかかるレ
トルト用バリア性包材を構成するプラスチック基材とし
ては、無色透明な各種の樹脂のフィルムないしシ−トを
使用することができ、具体的には、例えば、ポリエチレ
ンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、
ポリエチレンテレフタレ−トあるいはポリエチレンナフ
タレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビ
ニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体
のケン化物、ポリアクリロニトリル系樹脂、アセタ−ル
系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−ト
を使用することができる。上記の樹脂のフィルムないし
シ−トとしては、単層、あるいは、2層以上の共押し出
し法で製膜したもの、または、二軸方向に延伸されてい
るもの等を使用することができ、更に、その厚さとして
は、レトルト用バリア性包材の製造時の安定性等から、
約5〜100μm位、好ましくは、9〜50μm位が望
ましい。なお、本発明において、用途に応じて、例え
ば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填
剤、その他等の所望の添加剤を、その透明性に影響しな
い範囲内で任意に添加し、それらを含有する樹脂のフィ
ルムないしシ−ト等も使用することができる。
【0009】ところで、上記の本発明において、上記に
例示したプラスチック基材の中でも、レトルト用包材と
しての強度、耐熱性、特に、レトルトあるいはボイル処
理適性等を充足するものとしては、例えば、テレフタル
酸若しくはその誘導体、2.6−ナフタレンジカルボン
酸若しくはその誘導体等のジカルボン酸類と、エチレン
グリコ−ルとの重縮合反応等によって得られるポリエス
テル系樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、例え
ば、ナイロン46フィルム、ナイロン6フィルム、ナイ
ロン66フィルム、ナイロン610フィルム、ナイロン
612フィルム、ナイロン11フィルム、ナイロン12
フィルム、その他等の各種のポリアミド系樹脂のフィル
ムないしシ−トを使用することが最も好ましいものであ
る。上記のポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリア
ミド系樹脂フィルムとしては、単層、あるいは、2層以
上の共押し出し法で製膜したもの、あるいは、例えば、
テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等の通常の
延伸加工方式で1軸ないし2軸方向に延伸加工されてい
るもの等を使用することができ、更に、その厚さとして
は、フィルムの製造時の安定性等から、約5〜100μ
m位、好ましくは、9〜50μm位が望ましい。具体的
には、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフ
ィルム、2軸延伸ポリエチレンナフタレ−トフィルム、
2軸延伸ナイロンフィルム等を使用することが好ましい
ものである。
【0010】また、上記の本発明において、本発明にか
かるレトルト用バリア性包材を構成するプラズマ処理面
について説明すると、かかるプラズマ処理面としては、
気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプ
ラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処
理法等を利用して形成したプラズマ処理面を採用するこ
とができるものである。すなわは、本発明においては、
酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の
ガスをプラズマガスとして使用する方法でプラズマ処理
を行って、プラズマ処理面を形成することができる。而
して、本発明において、ポリエステル系樹脂フィルムあ
るいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材
の表面に行うプラズマ処理としては、プラズマ放電処理
の際に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスま
たはヘリウムガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理
を行なうことが好ましく、このようなプラズマ処理によ
り、より低い電圧でプラズマ処理を行なうことが可能で
あり、これにより、ポリエステル系樹脂フィルムあるい
はポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表
面の変色等も防止して、その表面に、良好にプラズマ処
理面を設けることができるものである。
【0011】ところで、本発明において、上記のプラズ
マ処理としては、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウ
ムガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理を行うこと
が最も望ましく、また、そのプラズマ処理は、ポリエス
テル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フィルム
等のプラスチック基材の表面に無機酸化物の蒸着膜を形
成する直前にインラインで行うことが望ましいものであ
る。すなわち、本発明においては、ポリエステル系樹脂
フィルムあるいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラス
チック基材の表面に、無機酸化物の蒸着膜を形成する直
前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、ポ
リエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フ
ィルム等のプラスチック基材の表面に付着している水分
や塵等を除去すると共に、更に、プラズマ中で活性化さ
れた酸素分子がポリエステル系樹脂フィルムあるいはポ
リアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面と
化学反応を起こすことによって、その処理面に薄くて平
滑性の高い酸化被膜を形成したプラズマ処理面を設ける
ことができものである。更に、本発明においては、ポリ
エステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フィ
ルム等のプラスチック基材の表面に、無機酸化物の蒸着
膜を形成する直前に、インラインでプラズマ処理を行う
ことにより、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリ
アミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面に、
例えば、水酸基(−OH基)等が形成されているプラズ
マ処理面を設けることもできるものである。而して、本
発明においては、上記のようなプラズマ処理により、ポ
リエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フ
ィルム等のプラスチック基材の表面に酸化被膜、あるい
は、水酸基(−OH基)等が形成されているプラズマ処
理面上に、後述するように、無機酸化物の蒸着膜を蒸着
すると、非常に緻密な無機酸化物の蒸着膜を形成するこ
とができ、しかも、ポリエステル系樹脂フィルムあるい
はポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材と無
機酸化物の蒸着膜との密着性に優れ、その結果、無機酸
化物の蒸着膜の膜厚は、従来のそれと比較して、より薄
い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する
極めて高いバリア性薄膜を形成することができるもので
ある。しかも、本発明においては、上記のように無機酸
化物の蒸着膜を、従来のそれと比較して、より薄い膜厚
で形成して、十分に酸素ガスあるいは水蒸気等に対する
ハイバリア性薄膜とすることができることから、例え
ば、フィルムの巻き取り、印刷加工、ラミネ−ト加工、
あるいは、製袋加工等の後処理加工において、上記の無
機酸化物の蒸着膜にクラック等の発生等を防止すること
ができ、いわゆる、後加工適性を向上させることができ
るという利点も有するものである。更に、本発明におい
ては、上記のように、ポリエステル系樹脂フィルムある
いはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材と
無機酸化物の蒸着膜との密着性が優れていることから、
他の樹脂のフィルムないしシ−ト等のラミネ−ト適性も
向上するものである。また、本発明においては、ポリエ
ステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フィル
ム等のプラスチック基材の表面に、その無機酸化物の蒸
着膜形成直前にインラインでプラズマ処理を行うことか
ら、透明バリア性フィルムの製造コスト面においても、
他の方法等と比較して極めて優れているものであるとい
う利点を有するものである。
【0012】なお、本発明において、上記のプラズマ処
理においては、プラズマ処理条件が極めて重要であり、
その条件によって得られる効果は、全く異なる。而し
て、本発明において、プラズマ処理と化学反応に影響す
る要因としては、プラズマ出力、ガスの種類、ガスの供
給量、および、処理時間等を挙げることができる。本発
明において、プラズマ処理としては、具体的には、酸素
ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスを
使用することが望ましく、そして、その酸素ガスとアル
ゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスのガス圧とし
ては、1×10-1〜1×10-10 Torr位、より好ま
しくは、1×10-4〜1×10-8Torr位が望まし
く、また、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガス
との比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガスま
たはヘリウムガス=100:0〜30:70位、より好
ましくは、90:10〜70:30位が望ましく、更
に、そのプラズマ出力としては、5〜70kW位、より
好ましくは、10〜50kW位が望ましく、更にまた、
その処理速度としては、50〜800m/min位、よ
り好ましくは、200〜600m/min位が望まし
い。上記の酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガス
との分圧比において、アルゴンガスまたはヘリウムガス
分圧が高くなると、プラズマで活性化される酸素分子が
少なくなり、アルゴンガスまたはヘリウムガスが還元性
ガスとしてポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリア
ミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材と反応し、ポ
リエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フ
ィルム等のプラスチック基材の酸化による酸化被膜の形
成、あるいは、水酸基等の導入が阻害されることから好
ましくないものである。また、上記のプラズマ出力が、
5kW未満、更には、10kW未満の場合には、酸素ガ
スの活性化が低下し、高活性の酸素原子が生成しにくい
ことから好ましくなく、また、70kWを越えると、更
には、50kWを越えると、プラズマ出力が高すぎるの
で、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系
樹脂フィルム等のプラスチック基材の劣化によりレトル
ト用バリア性包材そのものの物性が低下するという問題
を引き起こすことから好ましくないものである。更に、
上記の処理速度が、50m/min未満、更には、20
0m/min未満であると、ポリエステル系樹脂フィル
ムあるいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック
基材に対する酸素プラズマ量が少なく、また、800m
/minを越えると、更には、600m/minを越え
ると、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド
系樹脂フィルム等のプラスチック基材の酸化が急速に進
み、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系
樹脂フィルム等のプラスチック基材が多孔質状になり、
バリア性が低下して好ましくないものである。
【0013】ところで、本発明において、プラズマ処理
において、プラズマを発生させる方法としては、例え
ば、直流グロ−放電、高周波(Audio Frequ
ency:AF、Radio Frequency:R
F)放電、マイクロ波放電等の3通りの装置を利用して
行うことができる。而して、本発明においては、通常
は、13.56MHzの高周波(AF)放電装置を利用
して行うことができる。
【0014】なお、本発明において、無機酸化物の蒸着
膜形成直前のポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリ
アミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面に、
上記のようなプラズマ処理により形成されるプラズマ処
理面について、例えば、X線光電子分光装置(Xray
Photoelectron Spectrosco
py、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secon
dary Ion Mass Spectroscop
y、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイ
オンエッチングする等して分析する方法を利用して、プ
ラズマ処理面の元素分析を行うことより、前述のよう
に、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系
樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面に付着してい
る水分や塵等を除去されると共に、更に、プラズマ中で
活性化された酸素分子がポリエステル系樹脂フィルムあ
るいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材
の表面と化学反応を起こすことによって、その処理面に
薄くて平滑性の高い酸化被膜を形成したプラズマ処理面
であること、更に、ポリエステル系樹脂フィルムあるい
はポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表
面に、例えば、水酸基(−OH基)等の官能基が形成さ
れているプラズマ処理面であることを確認することがで
きるものである。具体的には、X線源として、MgKα
1.2、X線出力として15Kv、20mAの測定条件
で表面〜100ÅのXPS分析を行い、而して、酸化被
膜の形成状態は、表面のO/Cの組成比を測定して確認
することができ、処理前のO/C組成比と処理後のO/
C組成比は、処理後の方が、酸化物が形成される分、大
きくなるものである。また、水酸基(−OH基)等の形
成状態は、O1sの532eV位置のピ−クを測定して
確認することができ、処理前は、532eVの位置にピ
−クは存在しないが、O2 プラズマ処理することによっ
て、0H基の存在を意味するO1sの532eVの位置
にピ−クが生じるものである。
【0015】次に、本発明において、本発明にかかるレ
トルト用バリア性包材を構成する無機酸化物の蒸着膜に
ついて説明すると、本発明にかかるレトルト用バリア性
包材を構成する無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に
金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であ
れば使用可能であり、例えば、例えば、ケイ素(S
i)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、
カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、
ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、
鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム
(Y)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化し
た薄膜を使用することができる。而して、レトルトある
いはボイル用包装用材料等に適するものとしては、ケイ
素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物を
アモルファス(非晶質)化した薄膜を挙げることができ
る。而して、上記の金属の酸化物をアモルファス(非晶
質)化した薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化
物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼
ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlO
X 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、
金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ
範囲がことなる。)で表される。また、上記のXの値の
範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウ
ム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、
0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム
(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナト
リウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜
1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0
〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム
(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明
ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲
の上限は、完全に酸化した値である。本発明において、
レトルトあるいはボイル用包装用材料としては、一般的
に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使
用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.
0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の
値のものを使用することができる。本発明において、上
記のような無機酸化物の薄膜の膜厚としては、使用する
金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、
例えば、50〜3000Å位、好ましくは、100〜1
000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望
ましい。また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜
としては、無機酸化物の薄膜の1層だけではなく、2層
あるいはそれ以上を積層した積層体の状態でもよく、ま
た、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種
または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合し
た無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0016】次に、本発明において、プラスチック基材
の上に、無機酸化物の蒸着膜を形成する方法について説
明すると、かかる方法としては、例えば、真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気
相成長法(PhysicalVapor Deposi
tion法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相
成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学
気相成長法(Chemical Vapor Depo
sition法、CVD法)等を挙げることができる。
本発明において、無機酸化物の蒸着膜の形成法について
具体的に説明すると、上記のような金属の酸化物を原料
とし、これを加熱してプラスチック基材の上に蒸着する
真空蒸着法、または原料に金属または金属の酸化物を使
用し、酸素を導入して酸化させてプラスチック基材の上
に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで
助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸
着膜を形成することができる。また、本発明において
は、酸化珪素の蒸着膜を形成する場合、オルガノシロキ
サンを原料とするプラズマ化学気相成長法を用いて蒸着
膜を形成することができる。
【0017】本発明において、上記のような無機酸化物
の蒸着膜の形成法を利用し、具体的に、本発明にかかる
レトルト用バリア性包材の製造法について説明すると、
図2は、巻き取り式真空蒸着装置を使用して無機酸化物
の蒸着膜を形成する真空蒸着法についてその一例を例示
する概略的構成図である。本発明においては、図2に示
すように、まず、巻き取り式真空蒸着装置11の真空チ
ャンバ−12の中で、巻き出しロ−ル13からプラスチ
ック基材14を繰り出し、更に、該プラスチック基材1
4をガイドロ−ル15、16を介して、冷却したコ−テ
ィングドラム17に案内する。而して、本発明において
は、上記のガイドロ−ル16と冷却したコ−ティングド
ラム17との間にプラズマ発生口18を配置し、ここ
で、プラスチック基材14の表面に、上記のプラズマ発
生口18を利用して、該プラズマ発生口18から酸素ガ
スプラズマ、または、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘ
リウムガスとの混合ガスプラズマを発生させてプラズマ
処理を行って、上記のプラスチック基材14の表面に、
プラズマ処理面を形成する。次いで、本発明において
は、上記でプラズマ処理面を設けたプラスチック基材1
4を冷却したコ−ティングドラム17の上に案内し、次
いで、プラスチック基材14のプラズマ処理面に、蒸着
源19として、例えば、アルミニウム(金属)あるいは
酸化アルミニウム等を使用し、これらをるつぼ20の中
に入れ、該るつぼ20中で熱せられたアルミニウム(金
属)、あるいは、酸化アルミニウムを蒸発させ、その際
に、酸素吹き出し口21より酸素ガス等を噴出させなが
ら、マスク22、22を介して酸化アルミニウムの蒸着
膜を成膜化し、次いで、該酸化アルミニウムの蒸着膜を
形成したプラスチック基材14を、ガイドロ−ル15
´、16´を介して、巻き取りロ−ル23に巻き取っ
て、本発明にかかるレトルト用バリア性包材を製造する
ことができるものである。ところで、本発明において、
上記の無機酸化物の蒸着膜としての酸化アルミニウムの
蒸着膜を主体とする薄膜の場合には、膜厚として、50
〜300Å位、より好ましくは、100〜250Å位が
望ましく、而して、上記において、300Å、更には、
250Åより厚くなると、その膜の可撓性が低下し、膜
にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、ま
た、50Å未満、更には、100Å未満であると、その
バリア性等の効果を奏することが困難になることから好
ましくないものである。上記において、蒸着原料の加熱
方式としては、例えば、エレクトロンビ−ム(EB)方
式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等を用いられ
る。上記の例示は、その製造法の一例であり、本発明
は、この例示により限定されるものではない。
【0018】次に、本発明において、前述の無機酸化物
の蒸着膜の形成法を利用し、本発明にかかるレトルト用
バリア性包材の製造法について、プラズマ化学気相生長
法を利用する別の形成法を説明すると、図3は、プラズ
マ化学蒸着装置の一例を例示する概略的構成図である。
図3に示すように、まず、プラズマ化学蒸着装置31の
真空チャンバ−32内に配置された巻き出しロ−ル33
からプラスチック基材34を繰り出し、更に、補助ロ−
ル35を介して一定の速度で搬送し、冷却・電極ドラム
36周面上に供給する。その際に、本発明においては、
上記の補助ロ−ル35と冷却・電極ドラム36との間に
プラズマ発生口37を配置し、ここで、プラスチック基
材34の表面に、上記のプラズマ発生口37を利用し
て、該プラズマ発生口37から酸素ガスプラズマ、また
は、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混
合ガスプラズマを発生させてプラズマ処理を行って、上
記のプラスチック基材34の表面に、プラズマ処理面を
形成する。次いで、本発明においては、原料揮発供給装
置38、39、40から、例えば、有機珪素化合物等の
蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等
からなる蒸着用混合ガスを原料供給ノズル41を通して
蒸着チャンバ−32内に導入し、グロ−放電プラズマ4
2によって、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を、上記
の冷却・電極ドラム36周面上にあるプラスチック基材
34の上に蒸着し、成膜化する。而して、冷却・電極ド
ラム36は、真空チャンバ−32外に配置されている電
源43から所定の電圧が印加されており、また、冷却・
電極ドラム36の近傍には、マグネット44を配置して
プラズマ42の発生を促進し、次に、上記で酸化珪素等
の無機酸化物の蒸着膜を形成したプラスチック基材34
を、補助ロ−ル45を介して巻き取りロ−ル46に巻き
取って、本発明にかかるレトルト用バリア性包材を製造
することができる。なお、図中、47は、真空ポンプを
表す。上記の例示は、その製造法の一例であり、本発明
は、この例示により限定されるものではない。
【0019】上記において、無機酸化物の蒸着膜として
の酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜の場合には、少な
くとも珪素と酸素とを構成元素として有する珪素化合物
からなり、更に、微量構成元素として、炭素または水素
の一種以上の元素を含み、また、その膜厚として、前述
と同様に、50〜300Å位、より好ましくは、100
〜250Å位が望ましく、而して、上記において、30
0Å、更には、250Åより厚くなると、その膜の可撓
性が低下し、膜にクラック等が発生し易くなるので好ま
しくなく、また、50Å未満、更には、100Å未満で
あると、そのバリア性等の効果を奏することが困難にな
ることから好ましくないものである。而して、本発明に
おいて、上記のような酸化珪素の蒸着膜としては、有機
珪素化合物を原料とし、低温プラズマ発生装置等を利用
するプラズマ化学気相成長法を用いて形成した蒸着膜を
使用することができる。上記において、有機珪素化合物
としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシ
ロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチ
ルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシ
ラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラ
ン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を
使用することができる。本発明において、上記のような
有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチ
ルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを
原料として使用することが、その取り扱い性、形成され
た蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。ま
た、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アル
ゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができ、ま
た、上記において、低温プラズマ発生装置としては、例
えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波
プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、
本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るた
めには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用する
ことが望ましい。
【0020】上記のように、本発明において、無機酸化
物の蒸着膜の形成直前のプラスチック基材の表面に、酸
素ガスによるプラズマ処理面、または、酸素ガスとアル
ゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによるプラズ
マ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理面に無機酸化
物の蒸着膜を形成して、本発明にかかるレトルト用バリ
ア性包材を製造するものである。而して、上記の本発明
にかかるレトルト用バリア性包材は、前述のように、プ
ラスチック基材の表面に、無機酸化物の蒸着膜を形成す
る直前に、インラインでプラズマ処理を行うことによ
り、プラスチック基材の表面に付着している水分や塵等
を除去すると共に、更に、プラズマ中で活性化された酸
素分子がプラスチック基材の表面と化学反応を起こすこ
とによって、その処理面に薄くて平滑性の高い酸化被膜
を形成したプラズマ処理面を設けることができものであ
り、更に、プラスチック基材の表面に、例えば、水酸基
(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面を設け
ることもできるものである。而して、本発明において
は、プラスチック基材の表面に酸化被膜、あるいは、水
酸基(−OH基)等が形成されているプラズマ処理面上
に、無機酸化物の蒸着膜を蒸着すると、非常に緻密な無
機酸化物の蒸着膜を形成することができ、しかも、プラ
スチック基材と無機酸化物の蒸着膜との密着性に優れ、
その結果、無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、従来のそれと
比較して、より薄い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは
水蒸気等に対する極めて高いバリア性薄膜を形成するこ
とができるものである。しかも、本発明においては、上
記のように無機酸化物の蒸着膜を、従来のそれと比較し
て、より薄い膜厚で形成して、十分に酸素ガスあるいは
水蒸気等に対するハイバリア性薄膜とすることができる
ことから、例えば、フィルムの巻き取り、印刷加工、ラ
ミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後処理加工にお
いて、上記の無機酸化物の蒸着膜にクラック等の発生等
を防止することができ、いわゆる、後加工適性を向上さ
せることができるという利点も有するものである。更
に、本発明においては、上記のように、プラスチック基
材と無機酸化物の蒸着膜との密着性が優れていることか
ら、他の樹脂のフィルムないしシ−ト等のラミネ−ト適
性も向上するものである。また、本発明においては、無
機酸化物の蒸着膜を形成するインラインでプラズマ処理
を行うことができることから、その製造コストを著しく
低減することが可能であり、他の方法とコスト面におい
て極めて優れているものである。
【0021】上記のようにして製造した本発明にかかる
レトルト用バリア性包材は、例えば、樹脂のフィルム、
紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装
用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、
例えば、ラミネ−トして種々の積層体を製造し、種々の
物品をレトルト充填包装する適した包装材料を製造可能
とするものである。上記の樹脂のフィルムとしては、具
体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エ
チレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィ
ン系樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポ
リ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン
共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリル
ニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリ
ル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリ
ル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ
−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−
酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン
系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムな
いしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延
伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれの
ものでも使用することができる。また、その厚さは、任
意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択し
て使用することができる。更に、本発明においては、フ
ィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ
−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜で
もよい。また、上記において、紙基材としては、例え
ば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白
ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その
他等を使用することができる。上記において、紙層を構
成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2
のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2
のものを使用することが望ましい。また、上記にとい
て、金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、ある
いは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を
使用することができる。
【0022】次に、上記の本発明において、上記のよう
な材料を使用して積層体を製造する方法について説明す
ると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−
トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドラ
イラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション
法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形
法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション
法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うこ
とができる。而して、本発明においては、上記の積層を
行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処
理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施す
ことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシア
ネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリ
ブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング
剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエ
ステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス
系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−
コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0023】次に、本発明において、上記のような積層
体を使用して製袋ないし製函する方法について説明する
と、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等から
なる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層
体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対
向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね
合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部
を設けて袋体を構成することができる。而して、その製
袋方法としては、上記の積層体を、その内層の面を対向
させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、
更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二
方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ
−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付
シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ
−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかか
る種々の形態の包装用容器を製造することができる。そ
の他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)
等も製造することが可能であり、更に、本発明において
は、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造する
ことができる。上記において、ヒ−トシ−ルの方法とし
ては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルト
シ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−
ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明に
おいては、上記のような包装用容器には、例えば、ワン
ピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出
口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けること
ができる。
【0024】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙
基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器
を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板
を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブ
リックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップ
タイプの液体用紙容器等を製造することができる。ま
た、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等の
いずれのものでも製造することができる。
【0025】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、透明性、酸素ガス、水蒸気等に対する
ガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加
工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有
し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止
し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化
を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例
えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯
磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他
等の種々の物品のレトルト充填包装適性、保存適性等に
優れているものである。すなわち、本発明においては、
上記の包装用容器の開口部から、内容物を充填し、しか
る後その開口部をヒ−トシ−ル等により密閉し、次い
で、その包装体を、例えば、レトルト釜に入れ、120
℃、30分間レトルト処理して、レトルト処理した(殺
菌処理した)包装製品を製造することができるものであ
る。あるいは、上記で製造した包装体を、例えば、10
0℃の温度で30分間の条件でボイル処理して、熱殺菌
処理した包装製品を製造することができるものである。
【0026】
【実施例】次に本発明について以下に実施例を挙げて更
に具体的に説明する。 実施例1 (1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン
フィルム(東洋紡株式会社製、商品面、N−1102)
を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出し
ロ−ルに装着し、まず、下記の条件でプラズマ処理を行
い、プラズマ処理面を設けた。次に、上記の2軸延伸ナ
イロンフィルムのプラズマ処理面の上に、インラインで
下記のプラズマ化学蒸着条件で厚さ142Åの酸化珪素
の蒸着薄膜を形成して、本発明にかかるレトルト用バリ
ア性包材を製造した。 (プラズマ処理条件) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar プラズマガス:ヘリウムと酸素との混合ガス(1/9s
lm) プラズマ供給電力:2kW 処理面:コロナ処理面 (プラズマ化学蒸着条件) 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=0.8:3:3(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW (2).次に、上記で製造したレトルト用バリア性包材
の酸化珪素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化珪素の蒸着薄膜表面の表面張力
は、35dynから62dynになり、濡れ性が向上し
た。 プラズマ供給電力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理したレトルト用バリ
ア性包材を使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機
の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の蒸着
薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルム
である厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを
使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる
後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合
フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0027】実施例2 (1).基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−トフィルム(二村化学工業株式会社
製、製品名、FE2001)を使用し、これをプラズマ
化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、まず、下
記の条件でプラズマ処理を行い、プラズマ処理面を設け
た。次に、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト
フィルムのプラズマ処理面の上に、インラインで下記の
プラズマ化学蒸着条件で厚さ140Åの酸化珪素の蒸着
薄膜を形成して、本発明にかかるレトルト用バリア性包
材を製造した。 (プラズマ処理条件) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar プラズマガス:ヘリウムと酸素との混合ガス(1/9s
lm) プラズマ供給電力:2kW 処理面:コロナ処理面 (プラズマ化学蒸着条件) 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=0.8:3:3(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW (2).次に、上記で製造したレトルト用バリア性包材
の酸化珪素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化珪素の蒸着薄膜表面の表面張力
は、35dynから62dynになり、濡れ性が向上し
た。 プラズマ供給電力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理したレトルト用バリ
ア性包材を使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機
の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の蒸着
薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルム
である厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを
使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる
後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合
フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0028】実施例3 (1).巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12
μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム
(二村化学工業株式会社製、製品名、FE2001)を
基材とし、その片面に、放電プラズマ発生装置を用い
て、プラズマ出力20kW、酸素(O2 ):アルゴン
(Ar)=9:1からなる混合ガスを使用し、その混合
ガス圧6×10-5Torr、処理速度600mm/mi
nで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を蒸着前にイ
ンラインで行い、次いで、アルミニウムを蒸着源に用い
てエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着
法により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を
形成して、本発明にかかるレトルト用バリア性包材を製
造した。 (2).次に、上記で製造したレトルト用バリア性包材
の酸化アルミニウムの蒸着薄膜の面を、下記の条件でプ
ラズマ処理した。その結果、酸化アルミニウムの蒸着薄
膜表面の表面張力は、35dynから62dynにな
り、濡れ性が向上した。 プラズマ供給電力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理したレトルト用バリ
ア性包材を使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機
の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化アルミニウ
ムの蒸着薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラント
フィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフ
ィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着
し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−ト
して、複合フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0029】比較例1 (1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン
フィルム(東洋紡株式会社製、商品面、N−1102)
を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出し
ロ−ルに装着し、下記のプラズマ化学蒸着条件で厚さ1
42Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成して、蒸着フィルム
を製造した。 (プラズマ化学蒸着条件) 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=0.8:3:3(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW 蒸着面:コロナ処理面 (2).次に、上記で製造した蒸着フィルムの酸化珪素
の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。そ
の結果、酸化珪素の蒸着薄膜表面の表面張力は、35d
ynから64dynになり、濡れ性が向上した。 プラズマ供給電力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理した蒸着フィルムを
使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送
り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の蒸着薄膜面に接
着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ
40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、こ
れを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後、その両
者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合フィルム
を製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A −50)(混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0030】比較例2 (1).上記の実施例3と同様に、厚さ12μmの2軸
延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(二村化学工
業株式会社製、製品名、FE2001)を基材とし、そ
の片面に、アルミニウムを蒸着源に用いてエレクトロン
ビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、膜厚
200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、蒸着
フィルムを製造した(酸素ガスとアルゴンガスとの混合
ガスを使用してプラズマ処理を行わなかった。)。 (2).次に、上記で製造した蒸着フィルムの酸化アル
ミニウムの蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理
した。その結果、酸化アルミニウムの蒸着薄膜表面の表
面張力は、35dynから64dynになり、濡れ性が
向上した。 プラズマ供給電力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理した蒸着フィルムを
使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送
り出しロ−ルに装着し、その酸化アルミニウムの蒸着薄
膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムで
ある厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使
用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後
その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合フ
ィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50)(混合比)主剤:硬化剤=1
0:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0031】実験例 上記の実施例1〜3、および、比較例1〜2で製造した
各レトルト用バリア性包材、各蒸着フィルム、および、
各複合フィルムを使用し、下記に示す評価項目について
試験を行い、そのデ−タを測定した。 (1).酸素透過度の測定 これは、上記で製造した各レトルト用バリア性包材、各
蒸着フィルム、および、各複合フィルムを使用し、温度
23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MO
CON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXT
RAN 2/20)〕を使用して測定した。 (2).水蒸気透過度の測定 これは、上記で製造した各レトルト用バリア性包材、各
蒸着フィルム、および、各複合フィルムを使用し、温度
40℃、湿度100%RHの条件で、米国、モコン(M
OCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PE
RMATRAN3/31)〕を使用して測定した。 (3).色評価 これは、目視による着色観察、マクベス濃度計による測
定、および、スガ試験機株式会社製のカラ−コンピュ−
タ−による測定で評価した。 ・目視による着色観察は、レトルト用バリア性包材、お
よび、各蒸着フィルムを10枚重ねて目視により、直接
観察した。 ・マクベス濃度計による測定は、レトルト用バリア性包
材、および、各蒸着フィルム1枚について、波長が50
0nmの全光線透過率で測定した。 ・カラ−コンピュ−タ−による測定は、レトルト用バリ
ア性包材、および、蒸着フィルム1枚で測定した。 測定条件:(光源)C2度 (測定モ−ド)透過モ−ド (評価値)黄色度(Yi:値が大きい程黄色い) (4).ラミネ−ト強度の測定 これは、複合フィルム、および、後述する(5)のボイ
ル後、および、(6)のレトルト処理後の複合フィルム
について、エ−ジング後、テンシロンで測定した。 (5).ボイル適性評価 これは、複合フィルムを使用し、その無延伸ポリプロピ
レンフィルム面を対向させ、その外周端部をヒ−トシ−
ルして包装用袋を製造し、該包装用袋内にその開口部か
ら内容物を充填し、しかる後その開口部を密閉して包装
体を製造し、該包装体について、ボイル条件である90
℃の水中に30分間浸漬してボイル処理した後、複合フ
ィルムについて、上記の酸素透過度、水蒸気透過度、お
よび、ラミネ−ト強度〔前述の(4)〕を測定して評価
した。 (6).レトルト適性評価 上記と同様に、複合フィルムを使用し、その無延伸ポリ
プロピレンフィルム面を対向させ、その外周端部をヒ−
トシ−ルして包装用袋を製造し、該包装用袋内にその開
口部から内容物を充填し、しかる後その開口部を密閉し
て包装体を製造し、該包装体について、これをレトルト
釜に入れ、120℃、30分間レトルト処理した後、複
合フィルムについて、上記の酸素透過度、水蒸気透過
度、および、ラミネ−ト強度〔前述の(4)〕を測定し
て評価した。上記の測定結果について、下記の表1、表
2、表3、表4、および、表5に示す。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】(1).上記の表1〜5に示した測定結果
より明らかなように、実施例1〜3のものは、酸素透過
度、および、水蒸気透過度について、ボイル前、およ
び、レトルト前においては、比較例1〜2のものと比較
して、同等位であり、また、実施例1〜3のものは、透
明性について、比較例1〜2のものと比較して、やや悪
かった。これは、蒸着前に、プラズマ前処理を行うこと
で、プラズマによりフィルムが黄変したためであると推
定される。 (2).次に、実施例1〜3のものは、酸素透過度、お
よび、水蒸気透過度について、ボイル後、および、レト
ルト後においては、比較例1〜2のものと比較して、い
ずれも、はるかに優れていた。また、実施例1〜3のも
のは、ラミネ−ト強度についても、ボイル後、および、
レトルト後においては、比較例1〜2のものと比較し
て、いずれも、はるかに優れていた。これは、プラズマ
前処理を行うことで、蒸着膜とプラスチック基材との密
着性が向上した結果であると推定されるものである。
【0038】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、蒸着膜形成直前のポリエステル系樹脂フィルムある
いはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の
表面に、酸素ガスによるプラズマ処理、または、酸素ガ
スとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによ
るプラズマ処理を行い、次いで、そのプラズマ処理面
に、無機酸化物の蒸着膜を形成して、緻密な無機酸化物
の蒸着膜を形成することができ、かつ、従来品と比較し
て、より薄い膜厚でも十分にハイバリア性を有し、更
に、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系
樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面と無機酸化物
の蒸着膜との密着性に優れ、その結果、酸素ガスあるい
は水蒸気等に対する極めて高いバリア性を有し、かつ、
透明性に優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学
品、その他等の種々の物品をレトルト充填包装するに有
用なレトルト用バリア性包材を製造し得ることができる
というものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレトルト用バリア性包材につい
てその一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明にかかるレトルト用バリア性包材の製造
法についてその一例を例示する巻き取り式真空蒸着装置
の概略的構成図である。
【図3】本発明にかかるレトルト用バリア性包材の製造
法について別の一例を例示するプラズマ化学蒸着装置の
概略的構成図である。
【符号の説明】
1 レトルト用バリア性包材 2 プラスチック基材 3a プラズマ処理面 3b プラズマ処理面 4 無機酸化物の蒸着膜 11 巻き取り式真空蒸着装置 12 真空チャンバ− 13 巻き出しロ−ル 14 プラスチック基材 15、16 ガイドロ−ル 15´、16´ ガイドロ−ル 17 冷却したコ−ティングドラム 18 プラズマ発生口 19 蒸着源 20 るつぼ 21 酸素吹き出し口 22 マスク 23 巻き取りロ−ル 31 プラズマ化学蒸着装置 32 真空チャンバ− 33 巻き出しロ−ル 34 プラスチック基材 35 補助ロ−ル 36 冷却・電極ドラム 37 プラズマ発生口 38、39、40 原料揮発供給装置 41 原料供給ノズル 42 グロ−放電プラズマ 43 電源 44 マグネット 45 補助ロ−ル 46 巻き取りロ−ル 47 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/40 C23C 16/40 4K030 Fターム(参考) 3E086 AD01 AD02 BA04 BA15 BA24 BA40 BB01 BB22 BB41 BB51 BB62 CA03 CA28 4F006 AA35 AA38 AB74 BA05 CA07 DA01 EA03 4F073 AA01 AA17 BA24 BA29 BB01 CA01 CA62 CA65 4F100 AA17B AA20B AK01A AK07 AK41A AK42A AK46A AK48A AK51G AR00B BA02 CB00 EH66B EJ38A EJ61A GB15 GB66 JA20B JD03 JD04 JD20 JN01 YY00B 4K029 AA11 AA25 BA44 BD00 CA01 DB03 DB21 FA01 GA02 JA10 KA03 4K030 AA14 BA44 CA07 CA12 DA08 FA01 GA14 JA20 LA11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材の一方の表面に、酸素
    ガスによるプラズマ処理面、または、酸素ガスとアルゴ
    ンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによるプラズマ
    処理面を設け、更に、該プラズマ処理面に、無機酸化物
    の蒸着膜を設けたことを特徴とするレトルト用バリア性
    包材。
  2. 【請求項2】 プラスチック基材が、ポリエステル系樹
    脂フィルムまたはポリアミド系樹脂フィルムからなるこ
    とを特徴とする上記の請求項1に記載するレトルト用バ
    リア性包材。
  3. 【請求項3】 ポリエステル系樹脂フィルムが、2軸延
    伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムからなることを
    特徴とする上記の請求項2に記載するレトルト用バリア
    性包材。
  4. 【請求項4】 ポリアミド系樹脂フィルムが、2軸延伸
    ナイロンフィルムからなることを特徴とする上記の請求
    項2に記載するレトルト用バリア性包材。
  5. 【請求項5】 プラズマ処理面が、無機酸化物の蒸着膜
    を設ける直前のプラスチック基材の表面に、インライン
    でプラズマ処理面を設けることを特徴とする上記の請求
    項1、2、3または4に記載するレトルト用バリア性包
    材。
  6. 【請求項6】 無機酸化物の蒸着膜が、プラズマ化学蒸
    着方による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とす
    る上記の請求項1、2、3、4または5に記載するレト
    ルト用バリア性包材。
  7. 【請求項7】 無機酸化物の蒸着膜が、プラズマ化学蒸
    着方による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴とする
    上記の請求項1、2、3、4、5または6に記載するレ
    トルト用バリア性包材。
  8. 【請求項8】 無機酸化物の蒸着膜が、膜厚50Å〜3
    00Åであることを特徴とする上記の請求項1、2、
    3、4、5、6または7に記載するレトルト用バリア性
    包材。
  9. 【請求項9】 無機酸化物の蒸着膜が、膜厚100Å〜
    250Åであることを特徴とする上記の請求項1、2、
    3、4、5、6、7または8に記載するレトルト用バリ
    ア性包材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254587A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Fujimori Kogyo Co Ltd 積層体の製造方法及び積層体
JP2014523940A (ja) * 2011-07-05 2014-09-18 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド フレキシブル基板を処理する方法
JP2017014618A (ja) * 2016-06-01 2017-01-19 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated フレキシブル基板を処理する方法

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