JPH11268171A - 透明バリアフィルムとこれを用いた積層材および包装用容器 - Google Patents

透明バリアフィルムとこれを用いた積層材および包装用容器

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JPH11268171A
JPH11268171A JP9531698A JP9531698A JPH11268171A JP H11268171 A JPH11268171 A JP H11268171A JP 9531698 A JP9531698 A JP 9531698A JP 9531698 A JP9531698 A JP 9531698A JP H11268171 A JPH11268171 A JP H11268171A
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film
heat
barrier
layer
barrier layer
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JP9531698A
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Koji Ichimura
公二 市村
Minoru Komada
実 駒田
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた透明性と高いバリア性を有し、耐衝撃
性にも優れた透明バリアフィルムと、さらに後加工適性
を有する積層材と、内容物の充填包装適性の良好な包装
用容器を提供する。 【解決手段】 基材フィルムフィルムの少なくとも一方
の面に、波長633nmにおける屈折率が1.45〜
1.55の範囲内にあるような酸化珪素を主体とする薄
膜を化学気相蒸着法(CVD法)で形成してバリア層と
し、あるいは、赤外分光法による分光スペクトルにおい
て1060〜1090cm-1の範囲内に珪素原子と酸素
原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モー
ド)のピークをもつような酸化珪素を主体とする薄膜を
化学気相蒸着法(CVD法)で形成してバリア層とする
ことにより、透明バリアフィルムを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明バリアフィルム
とこれを用いた積層材および包装用容器に係り、特に優
れたバリアー性、透明性および耐衝撃性を備える透明バ
リアフィルムと、優れた保存適性と電子レンジ適性およ
び後加工適性を有する積層材、包装用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酸素ガスおよび水蒸気等に対
するバリア性を備え、食品や医薬品等の良好な保存適性
を有する包装用材料として、種々のものが開発され提案
されているが、近年それらとして、可撓性プラスチック
基材の上にポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコ
ール共重合体のコーテンィグ層を設けた構成からなる透
明バリアフィルムや、可撓性プラスチック基材の上に酸
化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設
けた構成からなる透明バリアフィルム、また、それらを
使用した包装用積層材および包装用容器等が提案されて
いる。
【0003】これらのものは、従来のアルミニウム箔等
を使用した包装用積層材等と比較して透明性に優れ、同
時に水蒸気、酸素ガス等に対し高いバリア性と保香性等
を有し、包装用材料、その他等にその需要が大いに期待
されているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
透明バリアフィルム、それを使用した包装用積層材等の
うち、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール
共重合体のコーティング層を設けた透明バリアフィルム
においては、酸素、水蒸気に対するバリア性が十分でな
く、特に高温での殺菌処理においてバリア性の著しい低
下が生じるという問題がある。さらに、ポリ塩化ビニリ
デンのコーティング層を設けた透明バリアフィルムは、
焼却時に有毒なダイオキシンを発生し、環境への悪影響
が懸念されている。
【0005】一方、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無
機酸化物の蒸着膜を設けた透明バリアフィルムは、環境
への影響もほとんどなく、良好なバリア性を示す。しか
しながら、従来のアルミニウム箔を用いた包装用積層材
等と比べた場合、酸素、水蒸気等に対するバリア性能が
劣るという問題点がある。
【0006】更に、生活水準の向上に伴い、包装用材料
に求められる性能も一層の高い性能が要求されてきてい
る。すなわち、優れた透明性を有し、かつ、高いバリア
性をもった透明バリアフィルムが求められている。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、優れた透明性と高いバリア性を有し、耐
衝撃性にも優れた透明バリアフィルムと、さらに後加工
適性を有する積層材と、内容物の充填包装適性が良好な
包装用容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の透明バリアフィルムは、基材フィル
ムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられ
たバリア層とを少なくとも有し、前記バリア層は化学気
相蒸着法(CVD法)により形成された酸化珪素を主体
とする薄膜であって波長633nmにおける屈折率が
1.45〜1.55の範囲内にあるような構成とした。
【0009】また、本発明の透明バリアフィルムは、基
材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に
設けられたバリア層とを少なくとも有し、前記バリア層
は化学気相蒸着法(CVD法)により形成された酸化珪
素を主体とする薄膜であり、該バリア層の赤外分光法に
より測定した分光スペクトルにおいて、1000〜11
00cm-1の範囲に最も大きな吸収を示すピークとして
現れる珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si
−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1060〜1
090cm-1の範囲内にあるような構成とした。
【0010】そして、本発明の透明バリアフィルムは、
前記基材フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルム、
二軸延伸ポリアミドフィルム、および、二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルムのいずれかであるような
構成とした。
【0011】本発明の積層材は、上記の透明バリアフィ
ルムの少なくとも一方の面にヒートシール性樹脂層を設
けたような構成とした。
【0012】また、本発明の積層材は、上記の透明バリ
アフィルムのバリア層上にヒートシール性樹脂層を設け
たような構成、バリア層が形成されていない基材フィル
ム上に基材を積層して備えるような構成とし、さらに、
基材上にヒートシール性樹脂層を備えるような構成とし
た。
【0013】また、本発明の積層材は、バリア層とヒー
トシール性樹脂層との間にアンカーコート剤層および/
または接着剤層を有するような構成とした。
【0014】本発明の包装用容器は、上記の積層材を用
い、ヒートシール性樹脂層を熱融着して製袋または製函
したような構成とした。
【0015】このような本発明では、酸化珪素を主体と
した薄膜からなるバリア層が優れた透明性を備えるとと
もに緻密であり、透明バリアフィルムに極めて高い透明
性とバリアー性および耐衝撃性を付与し、この透明バリ
アフィルムを用いた積層材は、上記の各特性に加えヒー
トシール性樹脂層による後加工適性が付与され、この積
層材を製袋または製函した包装用容器は優れた内容物の
充填包装適性が備えられている。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明する。透明バリアフィルム 図1は本発明の透明バリアフィルムの一実施形態を示す
概略断面図である。図1において透明バリアフィルム1
は基材フィルム2と、この基材フィルム2の一方の面に
形成されたバリアー層3とからなる。尚、本発明の透明
バリアフィルムは、基材フィルム2の両面にバリア層3
を備えるものでもよい。 (基材フィルム)本発明の透明バリアフィルム1を構成
する基材フィルム2は、バリア層3を保持し得る透明な
フィルムであれば特に制限はなく、透明バリアフィルム
の使用目的等から適宜選択することができる。具体的に
は、基材フィルム2としてポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)ア
クリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系
樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカー
ボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹
脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂等の延伸(一軸ないし二軸)または未延伸の可
撓性樹脂フィルムを用いることができる。基材フィルム
2の厚さとしては、5〜500μm、好ましくは10〜
100μmの範囲内で適宜設定することができる。
【0017】また、上記のような基材フィルム2は、必
要に応じて、その表面にアンカーコート剤等をコーティ
ングして表面平滑化処理等を施したものであってもよ
い。 (バリア層)本発明の透明バリアフィルム1を構成する
バリア層3は、プラズマ化学気相蒸着法、熱化学気相蒸
着法、光化学気相蒸着法等の化学気相蒸着法(Chem
ical Vapor Deposition法、CV
D法)により形成された酸化珪素を主体とする薄膜から
なる層である。この酸化珪素薄膜の構成要素としては、
基本的には、主として珪素および酸素からなる薄膜であ
り、その構成比率は問わないが、好ましくは、珪素と酸
素の構成原子数の比率で、1対1.0から1対2.0の
範囲であることが望ましい。また、酸化珪素薄膜の主た
る構成要素である珪素および酸素の他に、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウ
ム、チタン、ジルコニウム、イットリウム等の金属や、
炭素、ホウ素、窒素、フッ素等の非金属元素が含まれて
いても構わない。
【0018】本発明では、上記の酸化珪素薄膜は、波長
633nmにおける屈折率が1.45〜1.55の範囲
内にあるような酸化珪素薄膜、および/または、赤外分
光法による分光スペクトルにおいて1060〜1090
cm-1の範囲内に珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動
吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークをもつよう
な酸化珪素薄膜である。
【0019】本発明における屈折率とは、光学的測定、
すなわち、エリプソメトリー法、あるいは、分光特性測
定によって得られるものである。また、屈折率は測定光
の波長による依存性をもつので、本発明でいう屈折率
は、測定光の波長が633nmであるときの屈折率をい
う。
【0020】ここで、上記のような可視光領域の屈折率
は、対象としている媒体中の光散乱能よって決定され
る。光散乱は、電子によって生じるため、ある原子の光
散乱能は、その原子に帰属する電子の数や状態によって
決まり、原子の種類によってほぼ一定の値になる。した
がって、媒体の屈折率は、媒体中に含まれている原子の
一原子当たりの光散乱能と、光散乱を生じさせる原子が
単位体積当たりに含まれる量に比例する。すなわち、単
位体積当たりに含まれる原子の数が一定であれば、その
原子の構成比率(媒体の化学組成)によって屈折率が決
まる。例えば、珪素と酸素の場合、珪素の方が光散乱光
が高いため、珪素が多く、酸素が少ない場合に屈折率が
高くなる。また、媒体の化学組成が一定であれば、単位
体積当たり含まれる原子の数が多いほど、すなわち、原
子間の距離が短く緻密な状態を形成しているほど、屈折
率は高くなる。
【0021】本発明においては、上記の測定により得ら
れる波長633nmにおける屈折率が1.45〜1.5
5の範囲内にあることが必要であり、酸化珪素薄膜の屈
折率が1.45未満であると、上述のように、原子間隔
が広がって媒体が疎な状態となり、酸化珪素薄膜の緻密
性が失われ、バリア層3が必要とされる十分なバリア
性、耐衝撃性を確保することができない。したがって、
屈折率は高い程好ましいが、上述したように、化学組成
を維持したままで最大限緻密性を向上させても1.55
を超えるような屈折率をもつ酸化珪素薄膜の成膜は困難
である。それ以上に屈折率を上昇させると、化学組成に
変化が生じ、酸素に対する珪素の比率が増大して珪素の
酸化度が減少することになり、このような珪素の酸化度
の減少は、酸化珪素薄膜の可視光に対する吸収係数の上
昇を来し、バリア層3の透明性に重大な影響を与えるの
で好ましくない。尚、酸化珪素薄膜の屈折率は、成膜方
式、成膜条件によって変えることができる。
【0022】本発明における赤外分光スペクトルは、透
過法、または、反射法により測定される酸化珪素薄膜の
赤外光に対する吸収特性である。上記の測定によって測
定した場合に得られる赤外吸収ピークのうち、1000
〜1100cm-1の間にあって、最も大きな吸収を示す
ピークは、Si−O−Si結合の伸縮振動ピークである
ことが知られている。本発明においては、酸化珪素薄膜
における上記のピークが1060〜1090cm-1の範
囲内であることが必要とされる。ピーク位置が上記範囲
からはずれると、酸化珪素薄膜の緻密性が低下して、バ
リア層3が必要とされる十分なバリア性、耐衝撃性を確
保することができない。尚、酸化珪素薄膜の上記のピー
ク位置は、成膜方式、成膜条件によって変えることがで
きる。
【0023】透明バリアフィルム1のバリア層3である
酸化珪素薄膜の膜厚としては、使用する基材フィルム2
の種類、酸化珪素薄膜の成膜条件等によっても異なる
が、例えば、50〜3000Å程度、好ましくは、10
0〜1000Å程度の範囲内で任意に選択して設定する
ことができる。
【0024】尚、本発明においては、上記のような酸化
珪素薄膜からなるバリア層3に、後加工適性を向上させ
る目的で、コロナ処理、プラズマ処理、シランカップリ
ング処理等の表面処理を施しても構わない。
【0025】次に、基材フィルム2上へのバリア層3の
形成方法について説明する。例えば、プラズマ化学気相
蒸着法による基材フィルム2上への酸化珪素薄膜の形成
は、シラン等の珪素化合物のガス、または、ヘキサメチ
ルジシロキサンやテトラエトキシシラン等の有機珪素化
合物のガス、および、酸素あるいは笑気ガス等の酸化性
をもったガスを原料ガスとしてチャンバー内に導入し、
チャンバー内の圧力を0.5〜30Pa程度の圧力に維
持し、チャンバー内に設置した電極に直流電圧、また
は、交流電圧を印加することでグロー放電プラズマを生
成させ、そのプラズマの活性により原料ガスを反応させ
ることで、基材フィルム2上に酸化珪素の薄膜を形成し
てバリア層3とすることができる。また、光化学気相蒸
着法では、一定圧力に維持したチャンバー内に原料ガス
を導入し、チャンバー壁面に取り付けられた光透性の窓
からレーザー光や紫外光を照射することによって、原料
ガスにエネルギーを付与して反応させ、これにより基材
フィルム2上に酸化珪素の薄膜を形成してバリア層3と
することができる。
【0026】このような化学気相蒸着法による基材フィ
ルム2上への酸化珪素薄膜の形成に用いる原料ガスのう
ち、有機珪素化合物としては、上記のヘキサメチルジシ
ロキサン(HMDSO)、テトラエトキシシラン(TE
OS)の他に、1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サン(TMDSO)、オクタメチルシクロテトラシロキ
サン、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリ
メトキシシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリ
メチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン等を
挙げることができる。これらの有機珪素化合物のガスの
かなで、TMDSO、HMDSO、TEOS、TMOS
は、形成された酸化珪素薄膜の特性や材料の取り扱い
性、材料コスト等の面から特に好ましい。
【0027】図2はプラズマ化学気相蒸着法による成膜
装置の一例を示す図である。図2において、プラズマC
VD装置101は、チャンバー102、このチャンバー
102内に配設された供給ローラ103、巻取ローラ1
04、コーティングドラム105、補助ローラ106,
106を備え、コーティングドラム105は冷却されて
いるとともに、チャンバー102内は真空ポンプ108
により所望の真空度に設定できるようになっている。さ
らに、チャンバー102内のコーティングドラム105
の近傍には、原料供給ノズル109の開口部(ガス導入
口)が位置しており、この原料供給ノズル109の他端
は、チャンバー102外部に配設されている原料供給装
置112に接続されている。また、コーティングドラム
105の近傍には電極板113を設置し、この電極板1
13は電源107に接続されてプラズマの発生を促進し
ている。
【0028】上述のようなプラズマCVD装置101の
供給ローラ103に、基材フィルム2の原反を装着し、
補助ローラ106、コーティングドラム105、補助ロ
ーラ106を経由して巻取ローラ104に至る図示のよ
うな原反搬送パスを形成する。
【0029】次に、チャンバー102内を真空ポンプ1
08により減圧して、真空度0.5〜30Pa程度とす
る。そして、原料供給装置112から供給されるガス化
された有機珪素化合物および酸素ガスを混合し、この混
合ガスを原料供給ノズル109を介してチャンバー10
2中に導入する。
【0030】一方、電極板113には電源107から所
定の電圧が印加されているため、チャンバー102内の
原料供給ノズル109の開口部(ガス導入口)とコーテ
ィングドラム105との近傍でグロー放電プラズマPが
確立される。この状態で、基材フィルム2を一定速度で
搬送させ、グロー放電プラズマPによって、冷却したコ
ーティングドラム105の周面上の基材フィルム2上に
酸化珪素の薄膜からなるバリア層3を形成する。
【0031】このようにバリア層が形成された基材フィ
ルム2は巻取ローラ104に巻き上げられる。
【0032】上記のようなプラズマCVD装置101に
おけるバリア層3の形成では、プラズマ化した原料ガス
を酸素で酸化しながらSiOx の形で基材フィルム2上
に薄膜が形成されるので、形成された酸化珪素薄膜は、
緻密なものとなる。積層材 次に、本発明の積層材について、上述の本発明の透明バ
リアフィルム1を用いた例を挙げて説明する。
【0033】図3は、本発明の積層材の実施形態を示す
概略断面図である。図3において積層材11は、基材フ
ィルム2の一方の面にバリア層3を備えた透明バリアフ
ィルム1と、この透明バリアフィルム1のバリア層3上
にアンカーコート剤層および/または接着剤層12を介
して形成したヒートシール性樹脂層13とを備えてい
る。
【0034】積層材11を構成するアンカーコート剤層
12は、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系
アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート
剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタ
ジエン系アンカーコート剤等を使用して形成することが
できる。アンカーコート剤層12の形成は、上記のよう
なアンカーコート剤を、例えば、ロールコート、グラビ
アコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコ
ート等の公知のコーティング法でコーティングし、溶
剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記の
アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m
2 (乾燥状態)程度が好ましい。
【0035】また、積層材11を構成する接着剤層12
は、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリア
ミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリ酢
酸ビニル系、ポリオレフィン系、カゼイン、ワックス、
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリブタジエ
ン系等のビヒクルを主成分とする溶剤型、水性型、無溶
剤型、あるいは、熱溶融型等の各種のラミネ- ト用接着
剤を使用して形成することができる。接着剤層12の形
成は、上記のようなラミネート用接着剤を、例えば、ロ
ールコート、グラビアコート、ナイフコート、デッブコ
ート、スプレイコート、その他のコーティング法でコー
ティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことが
できる。上記のラミネート用接着剤の塗布量としては
0.1〜5g/m2 (乾燥状態)程度が好ましい。
【0036】積層材11を構成するヒートシール性樹脂
層13に用いるヒートシール性樹脂としては、熱によっ
て溶融し相互に融着し得る樹脂を挙げることができる。
具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレンーメタ
クリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポ
リエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系
樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン
酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル系樹脂、ポリ( メタ) アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル系樹脂等を使用することができる。ヒートシール性樹
脂層13は、上述のようなヒートシール性樹脂を塗布し
て形成してもよく、また、上述のようなヒートシール性
樹脂からなるフィルムないしシートをラミネートして形
成してもよい。このようなヒートシール性樹脂層13の
厚みは、5〜300μm、好ましくは10〜100μm
の範囲内で設定することができる。
【0037】図4は、本発明の積層材の他の実施形態を
示す概略断面図である。図4において積層材21は、基
材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えた透明バリ
アフィルム1と、この透明バリアフィルム1のバリア層
3上にアンカーコート剤層および/または接着剤層22
を介して形成したヒートシール性樹脂層23と、透明バ
リアフィルム1の基材フィルム2の他方の面(バリア層
非形成面)に設けられた基材24とを備えている。
【0038】積層材21を構成するアンカーコート剤
層、接着剤層22およびヒートシール性樹脂層23は、
上述の積層材11を構成するアンカーコート剤層、接着
剤層12およびヒートシール性樹脂層13と同様とする
ことができ、ここでの説明は省略する。
【0039】積層材21を構成する基材24としては、
例えば、積層材21が包装用容器を構成する場合、基材
24が基本素材となることから、機械的、物理的、化学
的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を
有して強靭であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルム
ないしシートを使用することができる。具体的には、ポ
リエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ
素系樹脂等の強籾な樹脂の延伸(一軸ないし二軸)また
は未延伸のフィルムないしシートを挙げることができ
る。この基材24の厚みは、5〜100μm、好ましく
は10〜50μm程度が望ましい。
【0040】また、本発明においては、基材24に、例
えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵
柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷が施
されていてもよい。このような文字等は、積層材21を
構成する透明バリアフィルム1が優れた透明性を有する
ので、この透明バリアフィルム1を介して極めて良好に
視認することができる。
【0041】さらに、本発明では、基材24として、例
えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することがで
きる。具体的には、賦形性、耐屈曲性、剛性等をもたせ
た紙基材であり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の
紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加
工紙等の紙基材を使用することができる。このような紙
基材としては、坪量約80〜600g/m2 程度のも
の、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 程度の
ものを使用することが望ましい。
【0042】また、本発明では、基材24として、上述
の樹脂のフィルムないしシートと上述の紙基材とを併用
して使用することもできる。
【0043】図5は、本発明の積層材の他の実施形態を
示す概略断面図である。図5において積層材31は、基
材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えた透明バリ
アフィルム1と、この透明バリアフィルム1のバリア層
3上にアンカーコート剤層および/または接着剤層32
を介して形成したヒートシール性樹脂層33と、透明バ
リアフィルム1の基材フィルム2の他方の面(バリア層
非形成面)に設けられた基材34と、この基材34上に
形成したヒートシール性樹脂層35とを備えている。
【0044】積層材31を構成するアンカーコート剤
層、接着剤層32およびヒートシール性樹脂層33,3
5は、上述の積層材11を構成するアンカーコート剤
層、接着剤層12およびヒートシール性樹脂層13と同
様とすることができ、また、積層材31を構成する基材
34は、上述の積層材21を構成する基材24と同様と
することができるので、ここでの説明は省略する。
【0045】尚、本発明の積層材には、さらに、例え
ば、水蒸気、水等のバリア性を有する低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、ある
いは、酸素、水蒸気等に対するバリア性を有するポリ塩
化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシー
ト、樹脂に顔料等の着色剤、その他、所望の添加剤を加
えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の
着色樹脂のフィルムないしシート等を使用することがで
きる。
【0046】これらの材料は、一種または2種以上を組
み合わせて使用することができ、厚みは任意であるが、
通常、5〜300μm、好ましくは10〜100μm程
度である。
【0047】さらに、包装用容器の用途に本発明の積層
材が使用される場合、通常、包装用容器は物理的にも化
学的にも過酷な条件におかれることから、積層材にも厳
しい包装適性が要求される。具体的には、変形防止強
度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、
品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が
要求され、このため、本発明の積層材には、上記のよう
な諸条件を充足する材料を任意に選択して、基材フィル
ム1、基材24,34、あるいは、他の構成部材として
使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオ
ノマ一樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エ
チレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチ
ルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン
系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ
(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン
共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリ
アセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ
ース等の公知の樹脂のフィルムないしシートから任意に
選択して使用することができる。その他、例えば、セロ
ハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
【0048】上記のフィルムないしシートは、未延伸、
一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれも使用
することができる。また、その厚さは、任意であるが、
数μmから300μm程度の範囲から選択して使用する
ことができ、積層位置は特に制限はない。また、本発明
においては、フィルムないしシートは、押し出し成膜、
インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性
状の膜でもよい。
【0049】上述の積層材11,21,31のような本
発明の積層材は、通常の包装材料をラミネートする方
法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネ
ーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出
しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出
しラミネーション法、インフレーション法、共押し出し
インフレーション法等を用いて製造することができる。
【0050】尚、上記の積層を行う際に、必要ならば、
例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルム
に施すことができ、また、例えば、イソシアネート系
(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエ
ン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、ある
いはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル
系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系等の
ラミネート用接着剤等の公知の接着剤等を使用すること
ができる。包装用容器 次に、本発明の包装用容器について説明する。
【0051】本発明の包装用容器は、本発明の積層材を
用いて熱融着により製袋または製函したものである。
【0052】具体的には、包装用容器が軟包装袋の場
合、本発明の積層材のヒートシール性樹脂層の面を対向
させて折り重ねるか、あるいは、本発明の積層材二枚を
重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、
二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼り
シール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ
付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等の
ヒートシール形態により熱融着してシール部を形成する
こにより、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製
造することができる。
【0053】上記において、熱融着は、例えば、バーシ
ール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシ
ール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行
うことができる。
【0054】図6は、上記のような本発明の包装用容器
の一実施形態を示す斜視図である。図6において包装用
容器51は、1組の本発明の積層材11を、そのヒート
シール性樹脂層13が対向するように重ね合わせ、この
状態で周辺部の三方において熱融着を行ってシール部5
2を形成したものである。この包装用容器は51は、周
辺部の残りの一方に形成された開口部53から内容物を
充填することができる。そして、内容物を充填した後
に、上記開口部53を熱融着してシール部を形成するこ
とにより、内容物を充填包装した包装用容器とすること
ができる。
【0055】本発明の包装用容器は、上記の他に、例え
ば、自立性包装袋(スタンデイングパウチ)等も可能で
あり、さらに、本発明の積層材を使用してチューブ容器
等も製造することができる。
【0056】尚、本発明においては、上記のような包装
用容器に、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタ
イプ、その他の注出ロ、あるいは開閉用ジッパー等を任
意に取り付けることができる。
【0057】また、本発明の包装用容器が紙基材を含む
液体充填用紙容器の場合、紙基材を積層した本発明の積
層材を使用して、所望の紙容器を製造するためのブラン
ク板を作製し、このブランク板を使用して胴部、底部、
頭部等を形成することにより、例えば、ブリックタイ
プ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液
体用紙容器等を製造することができる。また、その形状
は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのもの
でも製造することができる。
【0058】図7は、本発明の包装用容器である上記の
液体充填用紙容器の一実施形態を示す斜視図であり、図
8は、図7に示される包容用容器に用いるブランク板の
平面図である。ブランク板70は、例えば、図5に示さ
れる本発明の積層材31を使用し、容器形成における折
り曲げ加工用の押圧線m,m・・・と、容器61の胴部
62を構成する胴部パネル71,72,73,74と、
容器61の頂部63を構成する頂部パネル71a,72
a,73a,74aと、容器61の底部64を構成する
底部パネル71b,72b,73b,74bと、筒体形
成用の熱融着用パネル75とを備えるように打ち抜き加
工して作製されたものである。このブランク板70を押
圧線m,m・・・で折り曲げ、胴部パネル71の端部内
側と熱融着用パネル75の外側とを熱融着して筒体を形
成し、その後、底部パネル71b,72b,73b,7
4bを押圧線m,m・・・で折り曲げ熱融着し、頂部の
開口から液体を充填した後に、頂部パネル71a,72
a,73a,74aを押圧線m,m・・・で折り曲げ熱
融着することにより、液体を充填包装した包装用容器6
1とすることができる。
【0059】本発明の包装用容器は、種々の飲食品、接
着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカ
イロ等の雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装に使
用されるものである。
【0060】
【実施例】次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明する。 (実施例1)基材フィルムとしてロール状の二軸延伸ポ
リアミドフィルム(ユニチカ(株)製エンプロンE20
0、厚み15μm、幅600mm、長さ5000m)を
準備し、これを巻取り式の化学気相蒸着装置のチャンバ
ー内に装着した。次に、化学気相蒸着装置のチャンバー
内を、油回転ポンプおよび油拡散ポンプにより、到達真
空度3.0×10-5Torr(4.0×10-3pa)ま
で減圧した。
【0061】また、原料ガスとして、ヘキサメチルジシ
ロキサン(HMDSO)(東レ・ダウ・コーニング・シ
リコーン(株)製SH−200−0.65CS)、およ
び、酸素ガス(太陽東洋酸素(株)製、純度99.99
99%以上)を準備した。
【0062】次に、コーティングドラムの近傍に、コー
ティングドラムと対向するように1枚の電極板を配置
し、このコーティングドラムと電極板との間に40kH
zの高周波電圧を印加した(投入電力2.5kW)。そ
して、チャンバー内の電極板近傍にガス導入口を設け、
HMDSOを流量0.1slmで、酸素ガスを流量3s
lmで導入し、真空ポンプとチャンバーとの間にあるバ
ルブの開閉度を制御することにより、成膜時のチャンバ
ー内の圧力を5.0×10-2Torr(6.7Pa)に
保って、基材フィルム上に酸化珪素の薄膜を形成した。
基材フィルムの走行速度は、酸化珪素薄膜の膜厚が50
0Åとなるように25m/分に設定した。また、酸化珪
素薄膜の膜厚は、蛍光X線分析装置(理学電気(株)製
RIX−3100)を用いて測定した。これにより、本
発明の透明バリアフィルム(試料1)を得た。 (実施例2)チャンバー内に導入するHMDSOの流量
を0.2slmとし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が50
0Åとなるように、基材フィルムの走行速度を35m/
分に設定した他は、実施例1と同様にして、本発明の透
明バリアフィルム(試料2)を得た。 (実施例3)コーティングドラムと電極板との間に印加
する高周波電圧の投入電力を1.5kWとし、また、酸
化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように、基材フィル
ムの走行速度を18m/分に設定した他は、実施例1と
同様にして、本発明の透明バリアフィルム(試料3)を
得た。 (実施例4)チャンバー内に導入するHMDSOの流量
を0.5slmとし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が50
0Åとなるように、基材フィルムの走行速度を50m/
分に設定した他は、実施例1と同様にして、本発明の透
明バリアフィルム(試料4)を得た。 (実施例5)基材フィルムとしてシート状の二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミ
ラーS−10、厚み50μm、大きさ200mm×15
0mm)を準備した。
【0063】次に、バッチ式の化学気相蒸着装置のチャ
ンバー内を、油回転ポンプおよび油拡散ポンプにより、
到達真空度1.0×10-5Torr(1.3×10-3
a)まで減圧した。
【0064】次いで、チャンバー内に2枚の電極板を対
向させて設置し、一方の電極板に13.56MHzの高
周波電圧を印加し(投入電力300W)、他方の電極板
を接地した。そして、上記の基材フィルムを、電力を投
入する側の電極板上に載置した。
【0065】次に、原料ガスとして、ヘキサメチルジシ
ロキサン(HMDSO)(東レ・ダウ・コーニング・シ
リコーン(株)製SH−200−0.65CS)、およ
び、酸素ガス(太陽東洋酸素(株)製 純度99.99
99%以上)を準備し、チャンバー内の電極板近傍にガ
ス導入口を設け、HMDSOを流量10sccmで、酸
素ガスを流量30sccmで導入し、真空ポンプとチャ
ンバーとの間にあるバルブの開閉度を制御することによ
り、成膜時のチャンバー内の圧力を8.0×10-2To
rr(10.7Pa)に保って、基材フィルム上に酸化
珪素の薄膜を形成した。成膜時間は、酸化珪素薄膜の膜
厚が500Åとなるように5分間に設定した。また、酸
化珪素薄膜の膜厚は、蛍光X線分析装置(理学電気
(株)製RIX−3100)を用いて測定した。これに
より、本発明の透明バリアフィルム(試料5)を得た。 (実施例6)チャンバー内に導入するHMDSOの流量
を30sccmとし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が50
0Åとなるように、成膜時間を3.5分間に設定した他
は、実施例5と同様にして、本発明の透明バリアフィル
ム(試料6)を得た。 (実施例7)チャンバー内に導入するHMDSOの流量
を50sccmとし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が50
0Åとなるように、成膜時間を3分間に設定した他は、
実施例5と同様にして、本発明の透明バリアフィルム
(試料7)を得た。 (実施例8)電極板の間に印加する高周波電圧の投入電
力を100Wとし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が500
Åとなるように、成膜時間を12分間に設定した他は、
実施例5と同様にして、本発明の透明バリアフィルム
(試料8)を得た。 (比較例)接地させた側の電極板上に基材フィルムを載
置し、また、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるよう
に、成膜時間を4.5分間に設定した他は、実施例5と
同様にして、比較の透明バリアフィルム(比較試料)を
得た。 (評価)上記のようにして作製した各透明バリアフィル
ムの酸化珪素薄膜について、屈折率と赤外吸収ピーク位
置を下記のようにして測定し、結果を下記の表1に示し
た。
【0066】屈折率 エリプソメトリー(Jobin Yvon社製 UVI
SEL)を用いて可視光域全域において測定し、波長6
33nmにおける測定値を屈折率とした。
【0067】赤外吸収ピーク位置 フーリエ変換赤外分光測定装置(日本分光(株)製 F
T/IR−600)を用いて測定し、1000〜110
0cm-1の間にあって、最も大きな吸収を示すピークを
Si−O−Siの伸縮振動吸収のピークとし、そのピー
ク位置を測定した。
【0068】また、上記のようにして作製した各透明バ
リアフィルムについて、下記の条件で酸素透過率、水蒸
気透過率、および後加工適性・充填包装適性を測定、評
価して、結果を下記の表1に示した。
【0069】酸素透過率 酸素ガス透過率測定装置(モダンコントロール社製OX
TRAN2/20)を用いて、温度23℃、湿度50%
RHで測定した。
【0070】酸素バリア性の実用レベル:6.0cc/
2 ・day・atm以下水蒸気透過率 水蒸気透過率測定装置(モダンコントロール社製PER
MATRAN−W3/31)を用いて、温度38℃、湿
度100%RHで測定した。
【0071】水蒸気バリア性の実用レベル:6.0g/
2 ・day・atm以下後加工適性・充填包装適性 2液硬化型ポリウレタン系樹脂の7%溶液からなる接着
剤を使用し、作製した各透明バリアフィルムの酸化珪素
薄膜上に接着剤層(厚み1μm)を形成した。次いで、
このプライマー層上に、低密度ポリエチレンを押し出し
コートして、厚み60μmのヒートシール性樹脂層を形
成し、図3に示されるような層構成の積層材を作製し
た。次に、各積層材を使用し、製袋機により製袋して図
6に示されるような3方シール型のプラスチック袋を製
造し、このプラスチック袋に醤油を充填した後、開口部
を熱融着して充填包装製品を製造した。この一連の加工
における適性を下記基準で評価して、後加工適性・充填
包装適性とした。
【0072】(評価基準) ○:外観上欠陥はなく、通用環境下で数日経過後の内容
物に全く変質がなく鮮度を保持していた。
【0073】△:外観上欠陥はなく、通用環境下で数日
経過後の内容物にほとんど変質がなく十分な鮮度を保持
していた。
【0074】×:外観上欠陥を生じた、あるいは、通用
環境下で数日経過後の内容物に著しい変質が生じた。
【0075】
【表1】 表1に示されるように本発明の透明バリアフィルム(試
料1〜8)は、いずれも良好なバリア性と後加工適性、
充填包装適性を有し、特に、試料1〜3、5、6は、バ
リア性と後加工適性、充填包装適性に優れることが確認
された。
【0076】一方、比較試料は、本発明の透明バリアフ
ィルムに比べて酸素バリア性、水蒸気バリア性とも大き
く劣り、さらに後加工適性、充填包装適性も不十分なも
のであった。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば化
学気相蒸着法(CVD法)により形成された酸化珪素を
主体とする薄膜からなるバリア層が、波長633nmに
おける屈折率が1.45〜1.55の範囲内にある、お
よび/または、赤外分光法による分光スペクトルにおい
て1060〜1090cm-1の範囲内に珪素原子と酸素
原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モー
ド)のピークをもつものであり、優れた透明性をもつと
ともに、緻密であり高いバリア性および耐衝撃性をもつ
ので、このようなバリア層を備えた透明バリアフィルム
は、透明性に優れ、曲げなどによるクラックの発生がな
く高いバリア性を安定して維持することができ、また、
廃棄時における環境上の問題やバリア性の湿度依存もな
い。この透明バリアフィルムを用いた積層材は、上記の
各特性に加えヒートシール性樹脂層による後加工適性を
備えるものであり、このような積層材を製袋または製函
した包装用容器は、内容物の充填包装適性に優れ、か
つ、良好な電子レンジ適性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明バリアフィルムの一実施形態を示
す概略断面図である。
【図2】本発明の透明バリアフィルムの製造に使用する
化学気相蒸着装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の透明バリアフィルムを用いた積層材の
一実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の透明バリアフィルムを用いた積層材の
他の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の透明バリアフィルムを用いた積層材の
他の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の透明バリアフィルムを用いた包装用容
器の一実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明の透明バリアフィルムを用いた包装用容
器の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図8】図7に示される包装用容器の製造に使用するブ
ランク板の平面図である。
【符号の説明】
1…透明バリアフィルム 2…基材フィルム 3…バリア層 11,21,31…積層材 12,22,32…アンカーコート剤層、接着剤層 13,23,33…ヒートシール性樹脂層 24,34…基材 35…ヒートシール性樹脂層 51,61…包装用容器 101…プラズマ化学気相蒸着装置 102…チャンバー 105…コーティングドラム 109…原料供給ノズル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムと、該基材フィルムの少な
    くとも一方の面に設けられたバリア層とを少なくとも有
    し、前記バリア層は化学気相蒸着法(CVD法)により
    形成された酸化珪素を主体とする薄膜であって波長63
    3nmにおける屈折率が1.45〜1.55の範囲内に
    あることを特徴とする透明バリアフィルム。
  2. 【請求項2】 基材フィルムと、該基材フィルムの少な
    くとも一方の面に設けられたバリア層とを少なくとも有
    し、前記バリア層は化学気相蒸着法(CVD法)により
    形成された酸化珪素を主体とする薄膜であり、該バリア
    層の赤外分光法により測定した分光スペクトルにおい
    て、1000〜1100cm-1の範囲に最も大きな吸収
    を示すピークとして現れる珪素原子と酸素原子からなる
    伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの
    位置が1060〜1090cm-1の範囲内にあることを
    特徴とする透明バリアフィルム。
  3. 【請求項3】 前記基材フィルムは、二軸延伸ポリプロ
    ピレンフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、およ
    び、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのい
    ずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の透明バリアフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の透明バリアフィルムの少なくとも一方の面にヒートシ
    ール性樹脂層を設けたことを特徴とする積層材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の透明バリアフィルムのバリア層上にヒートシール性樹
    脂層を設けたことを特徴とする積層材。
  6. 【請求項6】 バリア層が形成されていない基材フィル
    ム上に基材を積層して備えることを特徴とする請求項5
    に記載の積層材。
  7. 【請求項7】 基材上にヒートシール性樹脂層を備える
    ことを特徴とする請求項6に記載の積層材。
  8. 【請求項8】 バリア層とヒートシール性樹脂層との間
    にアンカーコート剤層および/または接着剤層を有する
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記
    載の積層材。
  9. 【請求項9】 請求項4乃至請求項8のいずれかに記載
    の積層材を用い、ヒートシール性樹脂層を熱融着して製
    袋または製函したことを特徴とする包装用容器。
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