JP4616850B2 - 透明バリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は透明バリアフィルムの製造方法に係り、特に優れたバリア性、透明性および耐衝撃性を備える透明バリアフィルムの製造方法に関する。
従来より、酸素ガスおよび水蒸気等に対するバリア性を備え、食品や医薬品等の良好な保存適性を有する包装用材料として、種々のものが開発され提案されているが、近年それらとして、可撓性プラスチック基材の上にポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体のコーテンィグ層を設けた構成からなる透明バリアフィルムや、可撓性プラスチック基材の上に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリアフィルム、また、それらを使用した包装用積層材および包装用容器等が提案されている。
これらのものは、従来のアルミニウム箔等を使用した包装用積層材等と比較して透明性に優れ、同時に水蒸気、酸素ガス等に対し高いバリア性と保香性等を有し、包装用材料、その他等にその需要が大いに期待されているものである。
しかしながら、上記の透明バリアフィルム、それを使用した包装用積層材等のうち、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体のコーティング層を設けた透明バリアフィルムにおいては、酸素、水蒸気に対するバリア性が十分でなく、特に高温での殺菌処理においてバリア性の著しい低下が生じるという問題がある。さらに、ポリ塩化ビニリデンのコーティング層を設けた透明バリアフィルムは、焼却時に有毒なダイオキシンを発生し、環境への悪影響が懸念されている。
一方、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた透明バリアフィルムは、環境への影響もほとんどなく、良好なバリア性を示す。しかしながら、従来のアルミニウム箔を用いた包装用積層材等と比べた場合、酸素、水蒸気等に対するバリア性能が劣るという問題点がある。
更に、生活水準の向上に伴い、包装用材料に求められる性能も一層の高い性能が要求されてきている。すなわち、優れた透明性を有し、かつ、高いバリア性をもった透明バリアフィルムが求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、優れた透明性と高いバリア性を有し、耐衝撃性にも優れた透明バリアフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられたバリア層とを少なくとも有する透明バリアフィルムの製造方法において、酸化珪素を主体とする薄膜を形成する巻き取り式の真空蒸着法の成膜条件を、形成した薄膜の波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、形成した薄膜の赤外分光法により測定した分光スペクトルでの1000〜1100cm-1の範囲に最も大きな吸収を示すピークとして現れる珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように、原料(蒸発源)は一酸化珪素、導入ガスは酸素ガスとし、酸素ガスの流量は3slmとし、成膜時のチャンバー内の圧力は4.0×10 -2 Paとし、さらに、前記蒸発源を加熱して蒸発させるための電子銃の印加電力を設定し、該成膜条件で巻き取り式の真空蒸着法により酸化珪素を主体とする薄膜を形成してバリア層とするような構成とした。
また、本発明は、基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられたバリア層とを少なくとも有する透明バリアフィルムの製造方法において、酸化珪素を主体とする薄膜を形成するバッチ式の真空蒸着法の成膜条件を、形成した薄膜の波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、形成した薄膜の赤外分光法により測定した分光スペクトルでの1000〜1100cm-1の範囲に最も大きな吸収を示すピークとして現れる珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように、原料(蒸発源)は一酸化珪素、導入ガスは酸素ガスとし、酸素ガスの流量は20sccmとし、成膜時のチャンバー内の圧力は4.0×10-2Pa〜9.3×10-2Paの範囲とし、さらに、前記蒸発源を加熱して蒸発させるための電子銃の印加電力を設定し、該成膜条件でバッチ式の真空蒸着法により酸化珪素を主体とする薄膜を形成してバリア層とするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基材フィルムとして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、および、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのいずれかを使用するような構成とした。
本発明によれば、物理気相蒸着法(PVD法)により形成された酸化珪素を主体とする薄膜について、波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、赤外分光法により測定した分光スペクトルにて珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように成膜条件を設定し、この成膜条件で基材フィルム上に物理気相蒸着法(PVD法)により酸化珪素を主体とする薄膜を形成してバリア層とするので、形成されたバリア層は優れた透明性をもつとともに、緻密であり高いバリア性および耐衝撃性をもつので、このようなバリア層を備えた透明バリアフィルムは、透明性に優れ、曲げなどによるクラックの発生がなく高いバリア性を安定して維持することができ、また、廃棄時における環境上の問題やバリア性の湿度依存もない。
以下、本発明の最良の実施形態について説明する。
図1は本発明の透明バリアフィルムの製造方法で製造された透明バリアフィルムの一例を示す概略断面図である。図1において透明バリアフィルム1は基材フィルム2と、この基材フィルム2の一方の面に形成されたバリアー層3とからなる。尚、本発明では、基材フィルム2の両面にバリア層3を形成して透明バリアフィルムとしてもよい。
(基材フィルム)
透明バリアフィルム1を構成する基材フィルム2は、バリア層3を保持し得る透明なフィルムであれば特に制限はなく、透明バリアフィルムの使用目的等から適宜選択することができる。具体的には、基材フィルム2としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の延伸(一軸ないし二軸)または未延伸の可撓性樹脂フィルムを用いることができる。基材フィルム2の厚さとしては、5〜500μm、好ましくは10〜100μmの範囲内で適宜設定することができる。
また、上記のような基材フィルム2は、必要に応じて、その表面にアンカーコート剤等をコーティングして表面平滑化処理等を施したものであってもよい。
(バリア層)
透明バリアフィルム1を構成するバリア層3は、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相蒸着法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)により形成された酸化珪素を主体とする薄膜からなる層である。この酸化珪素薄膜の構成要素としては、基本的には、主として珪素および酸素からなる薄膜であり、その構成比率は問わないが、好ましくは、珪素と酸素の構成原子数の比率で、1対1.0から1対2.0の範囲であることが望ましい。また、酸化珪素薄膜の主たる構成要素である珪素および酸素の他に、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム等の金属や、炭素、ホウ素、窒素、フッ素等の非金属元素が含まれていても構わない。
本発明では、上記の酸化珪素薄膜は、波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内にあり、かつ、赤外分光法による分光スペクトルにおいて1020〜1050cm-1の範囲内に珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークをもつような酸化珪素薄膜である。
本発明における屈折率とは、光学的測定、すなわち、エリプソメトリー法、あるいは、分光特性測定によって得られるものである。また、屈折率は測定光の波長による依存性をもつので、本発明でいう屈折率は、測定光の波長が633nmであるときの屈折率をいう。
ここで、上記のような可視光領域の屈折率は、対象としている媒体中の光散乱能よって決定される。光散乱は、電子によって生じるため、ある原子の光散乱能は、その原子に帰属する電子の数や状態によって決まり、原子の種類によってほぼ一定の値になる。したがって、媒体の屈折率は、媒体中に含まれている原子の一原子当たりの光散乱能と、光散乱を生じさせる原子が単位体積当たりに含まれる量に比例する。すなわち、単位体積当たりに含まれる原子の数が一定であれば、その原子の構成比率(媒体の化学組成)によって屈折率が決まる。例えば、珪素と酸素の場合、珪素の方が光散乱光が高いため、珪素が多く、酸素が少ない場合に屈折率が高くなる。また、媒体の化学組成が一定であれば、単位体積当たり含まれる原子の数が多いほど、すなわち、原子間の距離が短く緻密な状態を形成しているほど、屈折率は高くなる。
本発明においては、上記の測定により得られる波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内にあることが必要であり、酸化珪素薄膜の屈折率が1.46未満であると、上述のように、原子間隔が広がって媒体が疎な状態となり、酸化珪素薄膜の緻密性が失われ、バリア層3が必要とされる十分なバリア性、耐衝撃性を確保することができない。したがって、屈折率は高い程好ましいが、上述したように、化学組成を維持したままで最大限緻密性を向上させても1.60を超えるような屈折率をもつ酸化珪素薄膜の成膜は困難である。それ以上に屈折率を上昇させると、化学組成に変化が生じ、酸素に対する珪素の比率が増大して珪素の酸化度が減少することになり、このような珪素の酸化度の減少は、酸化珪素薄膜の可視光に対する吸収係数の上昇を来し、バリア層3に着色を生じるので好ましくない。尚、酸化珪素薄膜の屈折率は、成膜方式、成膜条件によって変えることができる。
本発明における赤外分光スペクトルは、透過法、または、反射法により測定される酸化珪素薄膜の赤外光に対する吸収特性である。上記の測定によって測定した場合に得られる赤外吸収ピークのうち、1000〜1100cm-1の間にあって、最も大きな吸収を示すピークは、Si−O−Si結合の伸縮振動ピークであることが知られている。本発明においては、酸化珪素薄膜における上記のピークが1020〜1050cm-1の範囲内であることが必要とされる。ピーク位置が1020cm-1未満であると、バリア層3に着色を生じるので好ましくない。また、1050cm-1を超えると、酸化珪素薄膜の緻密性が低下して、バリア層3が必要とされる十分なバリア性、耐衝撃性を確保することができない。尚、酸化珪素薄膜の上記のピーク位置は、成膜方式、成膜条件によって変えることができる。
透明バリアフィルム1のバリア層3である酸化珪素薄膜の膜厚としては、使用する基材フィルム2の種類、酸化珪素薄膜の成膜条件等によっても異なるが、例えば、50〜3000Å程度、好ましくは、100〜1000Å程度の範囲内で任意に選択して設定することができる。
尚、本発明においては、上記のような酸化珪素薄膜からなるバリア層3に、後加工適性を向上させる目的で、コロナ処理、プラズマ処理、シランカップリング処理等の表面処理を施しても構わない。
次に、本発明の製造方法を、上述の基材フィルム2上へのバリア層3の形成を例として説明する。例えば、真空蒸着法による基材フィルム2上への酸化珪素薄膜の形成は、酸化珪素の一形態である二酸化珪素を原料として、これを真空チャンバー内で加熱することにより行なうことができる。このときの成膜条件を、形成した薄膜について、波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、赤外分光法により測定した分光スペクトルにて珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように設定する。そして、この成膜条件で、基材フィルム2上に酸化珪素の薄膜を形成してバリア層3とすることができる。また、一酸化珪素を原料とし、真空チャンバー内に酸素ガスを導入しながら基材フィルム2上に酸化珪素の薄膜を形成してバリア層3とすることもできる。この場合も、同様に成膜条件を設定する。
スパッタリング法による基材フィルム2上への酸化珪素薄膜の形成では、高周波スパッタリング法、酸化反応直流スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法等を用いることができる。
上記の高周波スパッタリング法による基材フィルム2上への酸化珪素薄膜の形成は、二酸化珪素をターゲット物質として電極表面に設置し、アルゴンガス等の不活性ガスをチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力を0.1〜5Pa程度に維持し、上記電極に周波数が例えば13.56MHzの高周波で数百ボルトの電圧を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせてターゲット物質のスパッタリングを行い、これにより基材フィルム2上に酸化珪素の薄膜を形成してバリア層3とすることができる。この場合も、形成した薄膜について、波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、赤外分光法により測定した分光スペクトルにて珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように成膜条件を設定する。
また、酸化反応直流スパッタリング法による基材フィルム2上への酸化珪素薄膜の形成は、ホウ素等の不純物を添加することで導電性を高めた金属珪素をターゲット物質として電極表面に設置し、アルゴンガス等の不活性ガスおよび/または酸素ガスをチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力を0.1〜5Pa程度に維持し、上記電極にマイナス数百ボルトの直流電圧を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせてターゲット物質のスパッタリングを行い、ターゲット物質を酸化させて基材フィルム2上に酸化珪素の薄膜を形成しバリア層3とすることができる。この場合も、形成した薄膜について、波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、赤外分光法により測定した分光スペクトルにて珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように成膜条件を設定する。
さらに、マグネトロンスパッタリング法による基材フィルム2上への酸化珪素薄膜の形成は、上記の高周波スパッタリング法や酸化反応直流スパッタリング法において、ターゲット物質を設置する電極付近に永久磁石または電磁石を設置して磁界を形成し、これにより放電の電子密度を高めスパッタリングの効率を向上させて酸化珪素の薄膜を基材フィルム2上に形成するものである。この場合も、形成した薄膜について、波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、赤外分光法により測定した分光スペクトルにて珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように成膜条件を設定する。
図2は巻取り式の真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。図2において、真空蒸着装置101は、真空チャンバー102、このチャンバー102内に配設された供給ロール103a、巻取りロール103b、コーティングドラム104と、仕切り板109,109で真空チャンバー102と仕切られた蒸着チャンバー105、この蒸着チャンバー105に配設されたるつぼ106、蒸発源107、マスク108,108とを備えている。この真空蒸着装置101では、真空チャンバー102の中で、供給ロール103aから繰り出す基材フィルム2は、コーティングドラム104を通り、蒸着チャンバー105の中に入る。この蒸着チャンバー105内では、るつぼ106によって熱せられた蒸着源107から原料が蒸発し、この蒸発した原料は上記の冷却したコーティングドラム104上においてマスク108,108間に位置する基材フィルム2上に付着して酸化珪素の薄膜を形成する。次いで、酸化珪素の薄膜を形成した基材フィルム2を真空チャンバー102内に送り出して巻取りロール103bに巻き取ることによって、本発明にかかる酸化珪素の薄膜からなるバリア層を有する透明バリアフィルムを製造することができる。尚、蒸着チャンバー105内に、必要に応じて酸素吹出し口(図示せず)より酸素等を噴出させながら酸化珪素の薄膜を形成してもよい。
次に、本発明により製造した透明バリアフィルムを用いた積層材について、上述の透明バリアフィルム1を用いた例を挙げて説明する。
図3は、積層材の一例を示す概略断面図である。図3において積層材11は、基材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えた透明バリアフィルム1と、この透明バリアフィルム1のバリア層3上にアンカーコート剤層および/または接着剤層12を介して形成したヒートシール性樹脂層13とを備えている。
積層材11を構成するアンカーコート剤層12は、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤等を使用して形成することができる。アンカーコート剤層12の形成は、上記のようなアンカーコート剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート等の公知のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
また、積層材11を構成する接着剤層12は、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリ酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、カゼイン、ワックス、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリブタジエン系等のビヒクルを主成分とする溶剤型、水性型、無溶剤型、あるいは、熱溶融型等の各種のラミネ- ト用接着剤を使用して形成することができる。接着剤層12の形成は、上記のようなラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デッブコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記のラミネート用接着剤の塗布量としては0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
積層材11を構成するヒートシール性樹脂層13に用いるヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂を挙げることができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ( メタ) アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を使用することができる。ヒートシール性樹脂層13は、上述のようなヒートシール性樹脂を塗布して形成してもよく、また、上述のようなヒートシール性樹脂からなるフィルムないしシートをラミネートして形成してもよい。このようなヒートシール性樹脂層13の厚みは、5〜300μm、好ましくは10〜100μmの範囲内で設定することができる。
図4は、積層材の他の例を示す概略断面図である。図4において積層材21は、基材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えた透明バリアフィルム1と、この透明バリアフィルム1のバリア層3上にアンカーコート剤層および/または接着剤層22を介して形成したヒートシール性樹脂層23と、透明バリアフィルム1の基材フィルム2の他方の面(バリア層非形成面)に設けられた基材24とを備えている。
積層材21を構成するアンカーコート剤層、接着剤層22およびヒートシール性樹脂層23は、上述の積層材11を構成するアンカーコート剤層、接着剤層12およびヒートシール性樹脂層13と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
積層材21を構成する基材24としては、例えば、積層材21が包装用容器を構成する場合、基材24が基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靭であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等の強籾な樹脂の延伸(一軸ないし二軸)または未延伸のフィルムないしシートを挙げることができる。この基材24の厚みは、5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度が望ましい。
また、基材24に、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷が施されていてもよい。このような文字等は、積層材21を構成する透明バリアフィルム1が優れた透明性を有するので、この透明バリアフィルム1を介して極めて良好に視認することができる。
さらに、基材24として、例えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することができる。具体的には、賦形性、耐屈曲性、剛性等をもたせた紙基材であり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材を使用することができる。このような紙基材としては、坪量約80〜600g/m2程度のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2程度のものを使用することが望ましい。
また、基材24として、上述の樹脂のフィルムないしシートと上述の紙基材とを併用して使用することもできる。
図5は、積層材の他の例を示す概略断面図である。図5において積層材31は、基材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えた透明バリアフィルム1と、この透明バリアフィルム1のバリア層3上にアンカーコート剤層および/または接着剤層32を介して形成したヒートシール性樹脂層33と、透明バリアフィルム1の基材フィルム2の他方の面(バリア層非形成面)に設けられた基材34と、この基材34上に形成したヒートシール性樹脂層35とを備えている。
積層材31を構成するアンカーコート剤層、接着剤層32およびヒートシール性樹脂層33,35は、上述の積層材11を構成するアンカーコート剤層、接着剤層12およびヒートシール性樹脂層13と同様とすることができ、また、積層材31を構成する基材34は、上述の積層材21を構成する基材24と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
尚、積層材には、さらに、例えば、水蒸気、水等のバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシート、樹脂に顔料等の着色剤、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。
これらの材料は、一種または2種以上を組み合わせて使用することができ、厚みは任意であるが、通常、5〜300μm、好ましくは10〜100μm程度である。
さらに、包装用容器の用途に上述の積層材が使用される場合、通常、包装用容器は物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、積層材にも厳しい包装適性が要求される。具体的には、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このため、積層材には、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して、基材フィルム1、基材24,34、あるいは、他の構成部材として使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ一樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂のフィルムないしシートから任意に選択して使用することができる。その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm程度の範囲から選択して使用することができ、積層位置は特に制限はない。また、本発明においては、フィルムないしシートは、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
上述の積層材11,21,31のような積層材は、通常の包装材料をラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法等を用いて製造することができる。
尚、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系等のラミネート用接着剤等の公知の接着剤等を使用することができる。
次に、上述の積層材を用いた包装用容器について説明する。
この包装用容器は、積層材を用いて熱融着により製袋または製函したものである。
具体的には、包装用容器が軟包装袋の場合、積層材のヒートシール性樹脂層の面を対向させて折り重ねるか、あるいは、積層材二枚を重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態により熱融着してシール部を形成することにより、種々の形態の包装用容器を製造することができる。
上記において、熱融着は、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
図6は、上記のような包装用容器の一例を示す斜視図である。図6において包装用容器51は、1組の積層材11を、そのヒートシール性樹脂層13が対向するように重ね合わせ、この状態で周辺部の三方において熱融着を行ってシール部52を形成したものである。この包装用容器は51は、周辺部の残りの一方に形成された開口部53から内容物を充填することができる。そして、内容物を充填した後に、上記開口部53を熱融着してシール部を形成することにより、内容物を充填包装した包装用容器とすることができる。
このような包装用容器は、上記の他に、例えば、自立性包装袋(スタンデイングパウチ)等も可能であり、さらに、積層材を使用してチューブ容器等も製造することができる。
尚、上記のような包装用容器に、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他の注出ロ、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
また、包装用容器が紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、紙基材を積層した積層材を使用して、所望の紙容器を製造するためのブランク板を作製し、このブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を形成することにより、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
図7は、液体充填用紙容器の一例を示す斜視図であり、図8は、図7に示される包容用容器に用いるブランク板の平面図である。ブランク板70は、例えば、図5に示される積層材31を使用し、容器形成における折り曲げ加工用の押圧線m,m・・・と、容器61の胴部62を構成する胴部パネル71,72,73,74と、容器61の頂部63を構成する頂部パネル71a,72a,73a,74aと、容器61の底部64を構成する底部パネル71b,72b,73b,74bと、筒体形成用の熱融着用パネル75とを備えるように打ち抜き加工して作製されたものである。このブランク板70を押圧線m,m・・・で折り曲げ、胴部パネル71の端部内側と熱融着用パネル75の外側とを熱融着して筒体を形成し、その後、底部パネル71b,72b,73b,74bを押圧線m,m・・・で折り曲げ熱融着し、頂部の開口から液体を充填した後に、頂部パネル71a,72a,73a,74aを押圧線m,m・・・で折り曲げ熱融着することにより、液体を充填包装した包装用容器61とすることができる。
このような包装用容器は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装に使用されるものである。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
基材フィルムとしてロール状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーS−10、厚み12μm、幅600mm、長さ5000m)を準備し、これを図2に示されるような巻取り式の真空蒸着装置の真空チャンバー内に装着した。次に、真空蒸着装置のチャンバー内を、油回転ポンプおよび油拡散ポンプにより、到達真空度3.0×10-5Torr(4.0×10-3Pa)まで減圧した。
また、原料(蒸発源)として一酸化珪素(高純度化学研究所(株)製、純度99.5%、粒径3〜5μm)を準備し、銅製のるつぼ内に載置した。
次に、蒸着チャンバーのコーティングドラムの近傍に酸素ガスを流量3slmで導入し、真空ポンプと蒸着チャンバーとの間にあるバルブの開閉度を制御することにより、成膜時のチャンバー内の圧力を3.0×10-4Torr(4.0×10-2Pa)に保った。そして、ピアス型電子銃を用い、約10kWの電力を印加して、銅製るつぼ内の蒸発源を加熱して蒸発させ、コーティングドラム上を走行する基材フィルム上に酸化珪素の薄膜を形成した。基材フィルムの走行速度は、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように120m/分に設定した。また、酸化珪素薄膜の膜厚は、蛍光X線分析装置(理学電気(株)製RIX−3100)を用いて測定した。これにより、透明バリアフィルム(試料1)を得た。
(比較例1)
成膜時のチャンバー内の圧力を1.0×10-4Torr(1.3×10-2Pa)とし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように、基材フィルムの走行速度を150m/分に設定した他は、実施例1と同様にして、バリアフィルム(比較試料1−1)を得た。
また、成膜時のチャンバー内の圧力を1.0×10-3Torr(1.3×10-1Pa)とし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように、基材フィルムの走行速度を100m/分に設定した他は、実施例1と同様にして、バリアフィルム(比較試料1−2)を得た。
(実施例2)
基材フィルムとしてシート状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーS−10、厚み100μm、大きさ200mm×150mm)を準備し、バッチ式の真空蒸着装置のチャンバー内に設置した。
次に、バッチ式の真空蒸着装置のチャンバー内を、油回転ポンプおよび油拡散ポンプにより、到達真空度2.0×10-5Torr(2.7×10-3Pa)まで減圧した。
また、原料(蒸発源)として一酸化珪素(高純度化学研究所(株)製、純度99.5%、粒径3〜5μm)を準備し、銅製のるつぼ内に載置した。
次に、蒸着チャンバーのコーティングドラムの近傍に酸素ガスを流量20sccmで導入し、真空ポンプと蒸着チャンバーとの間にあるバルブの開閉度を制御することにより、成膜時のチャンバー内の圧力を3.0×10-4Torr(4.0×10-2Pa)に保った。そして、ピアス型電子銃を用い、約1kWの電力を印加して、銅製るつぼ内の蒸発源を加熱して蒸発させ、基材フィルム上に酸化珪素の薄膜を形成した。成膜時間は、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように3分30秒間に設定した。また、酸化珪素薄膜の膜厚は、蛍光X線分析装置(理学電気(株)製RIX−3100)を用いて測定した。これにより、本発明の透明バリアフィルム(試料2−1)を得た。
また、成膜時のチャンバー内の圧力を7.0×10-4Torr(9.3×10-2Pa)とし、また、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように、成膜時間を5分間に設定した他は、試料2−1と同様にして、透明バリアフィルム(試料2−2)を得た。
(比較例2)
原料(蒸発源)として二酸化珪素(高純度化学研究所(株)製、純度99.99%、粒径2〜3μm)を使用し、蒸着チャンバー内への酸素ガス導入は行わず、また、ピアス型電子銃への印加電力を0.8kWとし、酸化珪素薄膜の膜厚が500Åとなるように、成膜時間を3分間に設定した他は、実施例2と同様にして、バリアフィルム(比較試料2)を得た。
(評価)
上記のようにして作製した各透明バリアフィルムの酸化珪素薄膜について、屈折率と赤外吸収ピーク位置を下記のようにして測定し、結果を下記の表1に示した。
(屈折率)
エリプソメトリー(Jobin Yvon社製 UVISEL)を用いて
可視光域全域において測定し、波長633nmにおける測定値を屈折率と
した。
(赤外吸収ピーク位置)
フーリエ変換赤外分光測定装置(日本分光(株)製 FT/IR−600)
を用いて測定し、1000〜1100cm-1の間にあって、最も大きな吸収
を示すピークをSi−O−Siの伸縮振動吸収のピークとし、そのピーク
位置を測定した。
また、上記のようにして作製した各透明バリアフィルムについて、下記の条件で酸素透過率、水蒸気透過率、および後加工適性・充填包装適性を測定、評価して、結果を下記の表1に示した。
(酸素透過率)
酸素ガス透過率測定装置(モダンコントロール社製OXTRAN2/20)
を用いて、温度23℃、湿度50%RHで測定した。
酸素バリア性の実用レベル:6.0cc/m2・day・atm以下
(水蒸気透過率)
水蒸気透過率測定装置(モダンコントロール社製PERMATRAN−W
3/31)を用いて、温度38℃、湿度100%RHで測定した。
水蒸気バリア性の実用レベル:6.0g/m2・day・atm以下
(後加工適性・充填包装適性)
2液硬化型ポリウレタン系樹脂の7%溶液からなる接着剤を使用し、作製
した各透明バリアフィルムの酸化珪素薄膜上に接着剤層(厚み1μm)を
形成した。次いで、このプライマー層上に、低密度ポリエチレンを押し出
しコートして、厚み60μmのヒートシール性樹脂層を形成し、図3に示
されるような層構成の積層材を作製した。次に、各積層材を使用し、製袋
機により製袋して図6に示されるような3方シール型のプラスチック袋を
製造し、このプラスチック袋に醤油を充填した後、開口部を熱融着して充
填包装製品を製造した。この一連の加工における適性を下記基準で評価し
て、後加工適性・充填包装適性とした。
(評価基準)
○:外観上欠陥はなく、通用環境下で数日経過後の内容物に全く変質
がなく鮮度を保持していた。
×:外観上欠陥を生じた、あるいは、通用環境下で数日経過後の内容
物に著しい変質が生じた。
Figure 0004616850
表1に示されるように本発明により製造された透明バリアフィルム(試料1、試料2−1、2−2)は、いずれも優れたバリア性と後加工適性、充填包装適性を有し、透明性にも優れることが確認された。
一方、比較試料1−2、比較試料2は、本発明の透明バリアフィルムに比べて酸素バリア性、水蒸気バリア性とも大きく劣り、さらに後加工適性、充填包装適性も不十分なものであった。また、比較試料1−1は、バリア層に着色が生じて透明性のないものであった。
優れたバリア性、透明性および耐衝撃性を備える透明バリアフィルムの製造、および、この透明バリアフィルムを使用した積層材や包装用容器等の製造に利用可能である。
透明バリアフィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の透明バリアフィルムの製造に使用する真空蒸着装置の一例を示す概略構成図である。 本発明により製造した透明バリアフィルムを用いた積層材の一例を示す概略断面図である。 本発明により製造した透明バリアフィルムを用いた積層材の他の例を示す概略断面図である。 本発明により製造した透明バリアフィルムを用いた積層材の他の例を示す概略断面図である。 本発明により製造した透明バリアフィルムを用いた包装用容器の一例を示す概略断面図である。 本発明により製造した透明バリアフィルムを用いた包装用容器の他の例を示す概略断面図である。 図7に示される包装用容器の製造に使用するブランク板の平面図である。
符号の説明
1…透明バリアフィルム
2…基材フィルム
3…バリア層
11,21,31…積層材
12,22,32…アンカーコート剤層、接着剤層
13,23,33…ヒートシール性樹脂層
24,34…基材
35…ヒートシール性樹脂層
51,61…包装用容器
101…真空蒸着装置
102…真空チャンバー
104…コーティングドラム
105…蒸着チャンバー
107…原料

Claims (3)

  1. 基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられたバリア層とを少なくとも有する透明バリアフィルムの製造方法において、
    酸化珪素を主体とする薄膜を形成する巻き取り式の真空蒸着法の成膜条件を、形成した薄膜の波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、形成した薄膜の赤外分光法により測定した分光スペクトルでの1000〜1100cm-1の範囲に最も大きな吸収を示すピークとして現れる珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように、原料(蒸発源)は一酸化珪素、導入ガスは酸素ガスとし、酸素ガスの流量は3slmとし、成膜時のチャンバー内の圧力は4.0×10-2Paとし、さらに、前記蒸発源を加熱して蒸発させるための電子銃の印加電力を設定し、該成膜条件で巻き取り式の真空蒸着法により酸化珪素を主体とする薄膜を形成してバリア層とすることを特徴とする透明バリアフィルムの製造方法。
  2. 基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられたバリア層とを少なくとも有する透明バリアフィルムの製造方法において、
    酸化珪素を主体とする薄膜を形成するバッチ式の真空蒸着法の成膜条件を、形成した薄膜の波長633nmにおける屈折率が1.46〜1.60の範囲内となり、かつ、形成した薄膜の赤外分光法により測定した分光スペクトルでの1000〜1100cm-1の範囲に最も大きな吸収を示すピークとして現れる珪素原子と酸素原子からなる伸縮振動吸収(Si−O−Si伸縮モード)のピークの位置が1020〜1050cm-1の範囲内となるように、原料(蒸発源)は一酸化珪素、導入ガスは酸素ガスとし、酸素ガスの流量は20sccmとし、成膜時のチャンバー内の圧力は4.0×10-2Pa〜9.3×10-2Paの範囲とし、さらに、前記蒸発源を加熱して蒸発させるための電子銃の印加電力を設定し、該成膜条件でバッチ式の真空蒸着法により酸化珪素を主体とする薄膜を形成してバリア層とすることを特徴とする透明バリアフィルムの製造方法。
  3. 前記基材フィルムとして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、および、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのいずれかを使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明バリアフィルムの製造方法。
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