JP2006289836A - アモルファスカーボン膜及び容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】アモルファスカーボン膜中のダングリングボンドを水素以外の元素により積極的に終端させ、ガスバリア性を向上させたアモルファスカーボン膜及び該膜を有する容器を提供する。
【解決手段】第1のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下とする。又は第2のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%以下とする。
【選択図】図1
【解決手段】第1のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下とする。又は第2のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%以下とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば樹脂等の容器等においてガスバリア性を付与するアモルファスカーボン膜及び該アモルファスカーボン膜を有する容器に関する。
近年、プラスチック容器の一つである例えばペットボトル(PET)ボトルは、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するためにその内面に例えばDLC(Diamond Like Carbon)のような硬質の炭素膜をコーティングすることが試みられている(特許文献1)。
しかしながら前記成膜された膜は水素を含む炭素膜であるDLC膜であるので、該DLC膜中に形成されるダングリングボンドは基本的には水素で終端されるが、原料ガス中の水素では全てのダングリングボンドを埋めることはできない、という問題がある。これは、原料中のCとHとがプラズマで分解された後、再び膜でCとHとが理想的に結合する必要があるが、短時間における成膜では困難であるからである。よって、容器に充填した内容物中のガスがダングリングボンド間をすり抜け透過することがあり、高いガスバリア性が得られない、という問題がある。
一方、原料ガスを水素で希釈する方法も考えられるが、一般的にはダイヤモンドの合成のように、水素希釈は膜中の水素を奪い取る効果を示すため、ダングリングボンドを積極的に水素で終端させる効果は薄いと考えられる。
また、DLC膜は硬質な炭素膜であるので、容器基材との密着性が良好ではなく、容器が伸縮する場合にはクラックが生じる、という問題がある。
本発明は、前記問題に鑑み、アモルファスカーボン膜中のダングリングボンドを水素以外の元素により積極的に終端させ、ガスバリア性を向上させたアモルファスカーボン膜及び該膜を有する容器を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下であることを特徴とするアモルファスカーボン膜にある。
第2の発明は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%未満であることを特徴とするアモルファスカーボン膜にある。
第3の発明は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下であると共に、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%未満であることを特徴とするアモルファスカーボン膜にある。
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記基材が樹脂基材、ガラス基材、セラミック基材、紙基材のいずれかであることを特徴とするアモルファスカーボン膜にある。
第5の発明は、第4の発明において、前記基材が電子材料を有することを特徴とするアモルファスカーボン膜にある。
第6の発明は、第4の発明において、電子材料を封止する樹脂基材のガスバリア膜として使用することを特徴とするアモルファスカーボン膜にある。
第7の発明は、容器本体の内面に形成されるガスバリア性膜が第1乃至3の発明のいずれか一つのアモルファスカーボン膜であることを特徴とする容器にある。
本発明によれば、アモルファスカーボン膜中に所定量の酸素、窒素又は酸素と窒素とを含むので、アモルファスカーボン膜中のダングリングボンドをこれらにより終端させ、これらのガスの添加していないものと較べてガスバリア性の高いコーティングを得ることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[発明の実施形態]
本発明にかかる実施形態にかかる第1のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下とするものである。
ここで、本発明で膜中の窒素濃度が0.5原子%未満及び窒素濃度が5.0原子%の場合では、後述する実施例に示すように、共にアモルファスカーボン膜中のダングリングボンドの終端効果が発現できず、ガスバリア性の効果が発揮せず、好ましくないからである。
本発明にかかる実施形態にかかる第1のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下とするものである。
ここで、本発明で膜中の窒素濃度が0.5原子%未満及び窒素濃度が5.0原子%の場合では、後述する実施例に示すように、共にアモルファスカーボン膜中のダングリングボンドの終端効果が発現できず、ガスバリア性の効果が発揮せず、好ましくないからである。
本発明にかかる実施形態にかかる第2のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%以下とするものである。
ここで、本発明で膜中の酸素濃度が0.1原子%未満及び窒素濃度が2.0原子%の場合では、後述する実施例に示すように、共にアモルファスカーボン膜中のダングリングボンドの終端効果が発現できず、ガスバリア性の効果が発揮せず、好ましくないからである。
ここで、本発明で膜中の酸素濃度が0.1原子%未満及び窒素濃度が2.0原子%の場合では、後述する実施例に示すように、共にアモルファスカーボン膜中のダングリングボンドの終端効果が発現できず、ガスバリア性の効果が発揮せず、好ましくないからである。
また、本発明にかかる実施形態にかかる第3のアモルファスカーボン膜は、基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下とすると共に、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%以下とするものである。
ここで、本発明で基材とは、いわゆるプラスチック等の樹脂基材の他にガラス基材、セ
ラミック基材、紙基材等を例示することができる。
また、この樹脂、ガラス、セラミック基材には、例えば発光層、電極層等の電子材料を
有するものであってもよい。例えば電子材料としては、有機EL(Organic E
lectro Luminescence、又は、OLED(Organic Ligh
t Emitting Diode)ともいう。)又は無機EL基板の保護膜としてアモ
ルファスカーボン膜を用いるようにしてもよい。
ラミック基材、紙基材等を例示することができる。
また、この樹脂、ガラス、セラミック基材には、例えば発光層、電極層等の電子材料を
有するものであってもよい。例えば電子材料としては、有機EL(Organic E
lectro Luminescence、又は、OLED(Organic Ligh
t Emitting Diode)ともいう。)又は無機EL基板の保護膜としてアモ
ルファスカーボン膜を用いるようにしてもよい。
また、有機トランジスタ等の有機電子デバイスにおいて、機能材料を水分や酸素等から
保護する必要性の高い保護膜として用いるようにしてもよい。
保護する必要性の高い保護膜として用いるようにしてもよい。
また、前記基材の加工品としては、各種容器を挙げることができる。
前記容器としては、例えばガソリンタンク等の燃料を充填する容器等を挙げることがで
きる。また、それ以外の容器としては、例えば医薬品用プラスチック容器、食品用プラス
チック容器を挙げることができる。また、容器以外には、フィルム等に対するガスバリヤ
膜として有効である。
前記容器としては、例えばガソリンタンク等の燃料を充填する容器等を挙げることがで
きる。また、それ以外の容器としては、例えば医薬品用プラスチック容器、食品用プラス
チック容器を挙げることができる。また、容器以外には、フィルム等に対するガスバリヤ
膜として有効である。
ここで、前記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレン
フィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィ
ルムフィルム等の公知の材料を例示することができる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレン
フィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィ
ルムフィルム等の公知の材料を例示することができる。
ここで、本発明において、前記アモルファスカーボン膜とは、ダイヤモンド成分(炭素原子の結合がSP3結合)とグラファイト成分(炭素原子の結合がSP2結合)、ポリマー成分(炭素原子の結合がSP1結合)が混在したアモルファス状の構造を有する炭素膜のことである。アモルファスカーボン膜は、それぞれの炭素原子の結合成分の存在比率の変化により硬度が変化し、硬質の炭素膜及び軟質の炭素膜を含むものをいう。また、前記硬質の炭素膜には、SP3結合を主体にしたアモルファスなDLC(Diamond Like Carbon)膜も含まれる。
また、本発明のように所定量の窒素や酸素をアモルファスカーボン膜に積極的にドープさせることにより、炭素膜の性質がDLC膜のような硬質の性質から軟質の性質をより多く呈することになる。そして、この軟質な炭素膜の場合には、可撓性を有する樹脂基材との密着性もさらに向上することとなり、ガスバリア性と共に、基材との密着性をも向上する膜となる。
このようなアモルファスカーボン膜を製造する方法としては、例えばCVD法、熱CDV法、プラズマCVD法等に代表される公知の化学気相成長法(CHEMICAL Vapor Deposition, CVD)を用いることができる。
また、例えば反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、アーク蒸着法、イオン蒸着法、プラズマイオン注入法等に代表される公知の物理的気相成膜法(Physical Vapor Deposition:PVD)を用いることができる。
なお、本発明においては、前記PVD法よりCVD法を適用する場合において、本発明の効果をより発揮することになる。これは、前記CVD法で作製する膜の方が、アモルファスカーボン膜中にダングリングボンドを多く含むためである。
また、例えば反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、アーク蒸着法、イオン蒸着法、プラズマイオン注入法等に代表される公知の物理的気相成膜法(Physical Vapor Deposition:PVD)を用いることができる。
なお、本発明においては、前記PVD法よりCVD法を適用する場合において、本発明の効果をより発揮することになる。これは、前記CVD法で作製する膜の方が、アモルファスカーボン膜中にダングリングボンドを多く含むためである。
ここで、前記媒質ガスとしては炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。これにより、例えば容器に充填された例えば炭酸飲料水からの二酸化炭素の透過を防止するためのアモルファスカーボン膜をコーティングすることができる。また、アモルファスカーボン膜が傾斜機能を有する膜であってもよい。
なお、PVD法を用いる場合には、グラファイト等の固体蒸発源も利用可能となる。
なお、PVD法を用いる場合には、グラファイト等の固体蒸発源も利用可能となる。
また、媒質ガスに添加する窒素源としては、窒素原子を含むガスであればいずれでもよく、例えば窒素、アンモニア以外に、例えばメチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類等を例示することができる。
また、媒質ガスに添加する酸素源としては、酸素が一般的であるが、酸素以外には、例えば二酸化炭素、一酸化炭素、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等)等を用いるようにしてもよい。
ここで、高周波プラズマCVD法においては、例えば媒質ガス中の窒素濃度を2〜28%とすることで、前記所定の窒素濃度とすることができる。
また、高周波プラズマCVD法においては、媒質ガス中の酸素濃度を1〜20%とすることで、前記所定の酸素濃度とすることができる。
また、高周波プラズマCVD法において、媒質ガス中に窒素と酸素とを添加する方法として空気を用いる場合には、2〜35%とするようにすればよい。これは、窒素と酸素との分圧の関係から窒素が28%となるのが、35%であるからである。
また、高周波プラズマCVD法においては、媒質ガス中の酸素濃度を1〜20%とすることで、前記所定の酸素濃度とすることができる。
また、高周波プラズマCVD法において、媒質ガス中に窒素と酸素とを添加する方法として空気を用いる場合には、2〜35%とするようにすればよい。これは、窒素と酸素との分圧の関係から窒素が28%となるのが、35%であるからである。
以下、本発明の効果を示す実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
アセチレン70sccm、窒素10sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し16倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.3倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が1.9原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認され、窒素はアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
アセチレン70sccm、窒素10sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し16倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.3倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が1.9原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認され、窒素はアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
[実施例2]
アセチレン70sccm、窒素20sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し18倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.5倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が3.6原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認され、窒素はアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
アセチレン70sccm、窒素20sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し18倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.5倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が3.6原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認され、窒素はアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
[実施例3]
アセチレン70sccm、酸素10sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し19倍、酸素の導入が無い場合と比較して1.7倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の酸素の割合が1.3原子%であり、288eVにC−Oのピークが確認され、酸素はアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
アセチレン70sccm、酸素10sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し19倍、酸素の導入が無い場合と比較して1.7倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の酸素の割合が1.3原子%であり、288eVにC−Oのピークが確認され、酸素はアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
[実施例4]
アセチレン70sccm、乾燥空気10sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を25nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し24倍、窒素の導入が無い場合と比較して2.2倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が1.9原子%であり、膜中の酸素の割合が0.6原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが、288eVにC−Oのピークが、各々確認され、窒素及び酸素がアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
アセチレン70sccm、乾燥空気10sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を25nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し24倍、窒素の導入が無い場合と比較して2.2倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が1.9原子%であり、膜中の酸素の割合が0.6原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが、288eVにC−Oのピークが、各々確認され、窒素及び酸素がアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
[実施例5]
アセチレン70sccm、乾燥空気20sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を25nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し16倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.4倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が3.6原子%であり、膜中の酸素の割合が1.7原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが、288eVにC−Oのピークが、各々確認され、窒素及び酸素がアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
アセチレン70sccm、乾燥空気20sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を25nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し16倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.4倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が3.6原子%であり、膜中の酸素の割合が1.7原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが、288eVにC−Oのピークが、各々確認され、窒素及び酸素がアモルファスカーボン膜中に炭素と結合して存在することが明らかとなった。
[比較例1]
アセチレン70sccm、窒素30sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し3倍、窒素の導入が無い場合と比較して0.3倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が5.7原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認された。
アセチレン70sccm、窒素30sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し3倍、窒素の導入が無い場合と比較して0.3倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が5.7原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認された。
[比較例2]
アセチレン70sccm、窒素3.5sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し12倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.1倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が0.4原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認された。
アセチレン70sccm、窒素3.5sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し12倍、窒素の導入が無い場合と比較して1.1倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の窒素の割合が0.4原子%であり、398〜400eV、286〜287eVにC−Nのピークが確認された。
[比較例3]
アセチレン70sccm、酸素20sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し6倍、酸素の導入が無い場合と比較して0.5倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の酸素の割合が2.8原子%であり、288eVにC−Oのピークが確認された。
アセチレン70sccm、酸素20sccmを導入し、圧力0.12Torr、周波数13.56MHz、パワー700Wを印加し、プラスチックフィルム(PET)上にアモルファスカーボン膜を30nm成膜した。その結果、酸素透過率が未コートと比較し6倍、酸素の導入が無い場合と比較して0.5倍減少した。光電子分光法によりアモルファスカーボン膜を分析した結果、膜中の酸素の割合が2.8原子%であり、288eVにC−Oのピークが確認された。
なお、実施例及び比較例の膜中の窒素又は酸素濃度(原子%)は、公知の光電子分光装置を用い、以下の条件にて測定した。X線源:Al(Kα)、出力:300WW(14kV―22mA)、X線照射径:約800μm中和銃使用、Arスパッタ:1kV、スパッタ時間2分である。
また、酸素バリア性相対値は、無添加アモルファスカーボンコートボトルの酸素透過率/ガス添加アモルファスカーボンコーティングボトルの酸素透過率とした。本実施例では、酸素バリア性相対値が1以上でガス添加によるプラスの効果があることを示す。
また、酸素バリア性相対値は、無添加アモルファスカーボンコートボトルの酸素透過率/ガス添加アモルファスカーボンコーティングボトルの酸素透過率とした。本実施例では、酸素バリア性相対値が1以上でガス添加によるプラスの効果があることを示す。
これらの結果を下記「表1」に示す。
また、窒素のガス添加割合(%)と酸素バリア性相対値との関係図を図1に、窒素のガス添加割合(%)と膜中窒素濃度(原子%)との関係図を図2に示す。
また、酸素及び空気のガス添加割合(%)と酸素バリア性相対値との関係図を図3に、酸素のガス添加割合(%)と膜中酸素濃度(原子%)との関係図を図4に示す。
また、窒素のガス添加割合(%)と酸素バリア性相対値との関係図を図1に、窒素のガス添加割合(%)と膜中窒素濃度(原子%)との関係図を図2に示す。
また、酸素及び空気のガス添加割合(%)と酸素バリア性相対値との関係図を図3に、酸素のガス添加割合(%)と膜中酸素濃度(原子%)との関係図を図4に示す。
前記「表1」及び図1、2に示すように、窒素については、最初は窒素の添加効果の発現は少ないものの窒素のガス添加割合が22%程度で添加効果が最大となり、窒素のガス添加割合が28%程度で添加しない場合と同様となった。
よって、アモルファスカーボン膜の窒素膜中濃度は0.5〜5.0原子%とするのが良いことが判明した。
よって、アモルファスカーボン膜の窒素膜中濃度は0.5〜5.0原子%とするのが良いことが判明した。
前記「表1」及び図3、4に示すように、酸素については、添加当初から添加効果が発現し、酸素のガス添加割合が13%程度で添加効果が最大となり、窒素のガス添加割合が20%程度で添加しない場合と同様となった。
よって、アモルファスカーボン膜の窒素膜中濃度は0.1〜2.0原子%とするのが良いことが判明した。
よって、アモルファスカーボン膜の窒素膜中濃度は0.1〜2.0原子%とするのが良いことが判明した。
また、前記「表1」及び図3から、空気については、最初は窒素の影響が大きく添加効果の発現は少ないものの、添加量が多くなると空気と同様の挙動を示した。
以上のように、本発明にかかるアモルファスカーボン膜は、窒素又は酸素又はこれらの混合物を添加することにより、膜中のダングリングボンドが終端され、ガスバリア性が極めて良好となり、ガスバリア性の良好な容器等に用いて適している。
Claims (7)
- 基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、
膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下であることを特徴とするアモルファスカーボン膜。 - 基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、
膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%未満であることを特徴とするアモルファスカーボン膜。 - 基材上の少なくとも片面に形成され、ガスバリア性を有するアモルファスカーボン膜であって、
膜中の窒素濃度が0.5原子%以上5.0原子%以下であると共に、膜中の酸素濃度が0.1原子%以上2.0原子%未満であることを特徴とするアモルファスカーボン膜。 - 請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記基材が樹脂基材、ガラス基材、セラミック基材、紙基材のいずれかであることを特徴とするアモルファスカーボン膜。 - 請求項4において、
前記基材が電子材料を有することを特徴とするアモルファスカーボン膜。 - 請求項4において、
電子材料を封止する樹脂基材のガスバリア膜として使用することを特徴とするアモルファスカーボン膜。 - 容器本体の表面に形成されるガスバリア性膜が請求項1乃至3のいずれか一つのアモルファスカーボン膜であることを特徴とする容器。
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