JP5079373B2 - 精製クロロゲン酸類の製造方法 - Google Patents

精製クロロゲン酸類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲食品、保健衛生・医薬品等の天然抗酸化剤として有用な精製クロロゲン酸の製造方法に関し、更に詳しくは、クロロゲン酸以外の不純物を実質的に含有せず、さらに、耐熱性菌の芽胞が実質的に除去された高純度の精製クロロゲン酸の製造方法に関する。
コーヒーは単に嗜好品としてだけではなく多くの機能性、生理学的効果を有することが判明しつつあり、その機能性成分としてクロロゲン酸類が注目されている。クロロゲン酸類の機能としては従来より抗酸化性(特許文献1、2)、抗変異原性(非特許文献1)、発ガン抑制(非特許文献2)、活性酸素消去能(非特許文献3)などが知られている。コーヒー豆からクロロゲン酸類を抽出・精製する提案はすでに幾つかなされており、例えば、生コーヒー豆粉の水性スラリーを蛋白質分解酵素および/または繊維素分解酵素の存在下で処理し、その水性抽出物を濃縮して濃厚溶液とするか、凍結乾燥又は噴霧乾燥することからなる食用天然抗酸化物質の製造方法(特許文献3)、生コーヒー豆粉を還流下に水抽出し、生成する水性抽出液を濃縮して濃厚溶液とするか、凍結乾燥又は噴霧乾燥することを特徴とする食用天然抗酸化物質の製造法(特許文献4)、生コーヒー豆を粗粉砕し、脱脂し、次いで平均粒径100μm以下に微粉砕するか又は生コーヒー豆を直ちに平均粒径100μm以下に微粉砕し、次いで脱脂し、得られた微粉末を熱水抽出し、抽出液を必要に応じて濃縮及び/又は乾燥することからなる、食品用天然抗酸化剤の製造方法(特許文献5)、コーヒー生豆の水性溶媒抽出物を強陽イオン交換樹脂と接触させ、カフェインを除くことを特徴とするクロロゲン酸の精製方法(特許文献6)、コーヒー生豆の水性溶媒抽出物を合成吸着剤樹脂と接触処理し、吸着部を希アルカリ水溶液で脱着することを特徴とするクロロゲン酸の精製方法(特許文献7)、生コーヒー豆、コケモモの葉等の抽出物を架橋した修飾多糖類からなるモレキュラーシーブを用いたクロマトグラフィーを行いクロロゲン酸を精製する方法(特許文献8)、コーヒー生豆を含水エタノールにて抽出し、抽出液を塩酸分解し、さらに濃縮し、濃縮液をアルカリ性として有機溶媒洗浄を行い、中和後、多孔性重合樹脂にクロロゲン酸類を吸着させエタノールにて脱着し、エタノールを濃縮除去しクロロゲン酸類を精製する方法(特許文献9)、植物から得られるクロロゲン酸類を含む水溶性抽出物を活性炭処理後、活性炭に吸着した吸着物を有機溶媒あるいはそれらを含む水溶液によって溶離させる工程を備えることを特徴とする高濃度のクロロゲン酸類を含む組成物の製造方法(特許文献10)等が提案されている。
一方、コーヒー豆は加工上、天日乾燥などの工程を伴うことから、微生物が付着しやすい農産物である。コーヒー生豆には豆の精製過程における土壌等からの付着物による汚染がしばしば見られ、耐熱性菌の芽胞が検出されることも多い。通常の焙煎豆では、焙煎工程にて高温で焙煎されるため、微生物は耐熱性菌の芽胞も含め死滅する。しかしながら、コーヒー豆からクロロゲン酸を抽出精製する場合、クロロゲン酸量の多い生豆、もしくは、極く浅い焙煎を行った豆を使用することが多く、原料豆中に耐熱性菌の芽胞が残存してしまう。このような、原料豆由来の耐熱性菌の芽胞は抽出により抽出液中に移行し、さらに、通常の90〜100℃程度の加熱殺菌条件では死滅しない。また、通常の遠心分離、濾紙による濾過等では除去できず、精製クロロゲン酸中に残存してしまう。
従来、耐熱性芽胞の殺菌方法としては、主に加熱殺菌方法が利用されている。液体の加熱殺菌方法は、一般に温度110〜140℃の高温にて実施される。しかし、このような高温での加熱殺菌の条件下では、変色、風味の劣化、成分の変性などの品質変化が起こる場合が多く、製品の品質が低下する等の問題点があった。また、ミクロフィルター等の精密濾過による除菌方法も提案されているが、粘度のある溶液や固形物を含む溶液では前濾過処理の必要性、濾過速度の低下など作業性の問題点があった。
Nuyen V.C.,Araki Y.,Jinnouchi T. and Murai H.:ASIC,16 Colloque,Kyoto,88−93(1995) T.Tanaka and H.Mori:Proceedings of the 16th International Scientific Colloquium on Coffee 1995,Vol.1,pp.79−87 Araki Y.and Nguyen V.C.:ASIC,16 Colloque,Kyoto,104−108(1995) 特開平4−27374号公報 特開平6−38723号公報 特開昭58−138347号公報 特公昭61−30549号公報 特開昭62−111671号公報 特開平4−145048号公報 特開平4−145049号公報 特表昭63−502434号公報 特許第2983386号公報 特開2005−263632号公報
特許文献3〜7に記載の先行技術によって得られる抽出物は水性溶媒に可溶な成分が全て抽出される結果、クロロゲン酸の純度が低く、且つ、異味異臭及び着色物質を含有し、抗酸化剤としては満足できるものではなかった。また、特許文献8〜10に記載の方法は、工程が長く操作が煩雑であり実用上は必ずしも満足のいく方法とはいえなかった。
したがって本発明の目的は簡便な方法で、効率よく高純度のクロロゲン酸を製造する方法を提供することにある。また、耐熱性菌の芽胞も含め微生物が実質的に除去された精製クロロゲン酸の製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者等は、鋭意検討を行った結果、コーヒー抽出液を高濃度に濃縮し、酸性下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出することにより簡便な方法で効率よく高純度のクロロゲン酸類を精製でき、さらに、耐熱性菌の芽胞も含め微生物が実質的に除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明は、水分含量50%以下、かつ、pH1〜6の酸性である高濃度濃縮焙煎コーヒーエキス(但し、L値として30〜55の焙煎を行ったコーヒー豆から抽出したものに限る)とエタノール水溶液またはエタノールとを接触処理して、析出する不溶物を除去することを特徴とする精製クロロゲン酸類(但し、本発明でいうクロロゲン酸類としては、クロロゲン酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソクロロゲン酸、ネオクロロゲン酸ならびにこれらの酸のナトリウム、カリウムの水溶性塩類を意味する。以下同じ。)の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、エタノール水溶液またはエタノールにおける水/エタノールの重量比が50/50〜0/100であることを特徴とする前記の精製クロロゲン酸類の製造方法を提供するものである。
また、本発明は除菌された精製クロロゲン酸である前記の製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、高濃度濃縮焙煎コーヒーエキスが中性からアルカリ条件下で合成吸着樹脂処理されたものであることを特徴とする、前記の精製クロロゲン酸の製造方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は高濃度濃縮焙煎コーヒーエキスが合成吸着樹脂処理された後、吸着部をアルカリ水溶液で脱着されたものであることを特徴とする、前記の精製クロロゲン酸の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、高濃度濃縮焙煎コーヒーエキスが陽イオン交換樹脂処理されたものであることを特徴とする、前記の精製クロロゲン酸の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、飲料中での安定性が高く、異味異臭の無い、汎用性の高い、飲食品・保健衛生・医薬品等の天然抗酸化剤として有用な高純度で、かつ、除菌された精製クロロゲン酸を効率よく、簡便な方法で製造することができる。
以下、本発明について更に詳細に述べる。
本発明でいうクロロゲン酸としては、クロロゲン酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソクロロゲン酸、ネオクロロゲン酸ならびにこれらの酸のナトリウム、カリウムのごとき水溶性塩類などのクロロゲン酸類を挙げることができる。
本発明に使用するコーヒー豆は、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種等のいずれでも良く、その種類、産地を問わずいかなるコーヒー豆でも利用することができる。
本発明における高濃度濃縮コーヒーエキスは、コーヒー豆から抽出したものを使用しても良いが、市販のコーヒーエキスを濃縮しても良く、また、コーヒーエキス粉末、インスタントコーヒー等も使用することができる。
コーヒー豆から抽出する場合は、クロロゲン酸の含有量を考慮した場合、生豆から抽出することが一般的であるが、焙煎したコーヒー豆でも使用することができる。特に、クロロゲン酸が生豆に対し実質的に減少しない範囲の浅い焙煎、すなわちL値として30〜55、好ましくはL値45〜55の焙煎を行うと生豆特有の生臭みが消失するため、本発明の原料として好ましく例示できる。
抽出溶媒としては、水が好ましいが、含水親水性有機溶媒、例えば、含水率5重量%以上、好ましくは含水率約5〜約90重量%のメタノール、エタノール、2−メチルエチルケトン、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等の含水水混和性有機溶媒を例示することができる。
これらの水または含水親水性有機溶媒は通常コーヒー豆粉砕物1重量部に対して約2〜約50重量部を使用し、温度約20℃〜約100℃にて抽出を行う。抽出操作はバッチ式またはカラムによる連続式等の従来既知の抽出方法をそのまま採用することができる。
コーヒー抽出液は引き続き、高濃度となるまで濃縮する。高濃度の範囲としては、水分含量が50%以下であることが好ましく、また、濃縮の結果得られる乾燥粉末も使用することができる。水分含量が50%を越えると、次の工程である酸性下でのエタノール水溶液またはエタノール抽出において、クロロゲン酸以外の不純物が抽出されるため好ましくない。かかる濃縮または乾燥方法は高濃度まで濃縮することができればいかなる方法を用いても良く、例えば、常圧濃縮、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結濃縮、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を例示することができる。
上記の方法により得られる高濃度濃縮コーヒーエキスを酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出する。この際、抽出時のpHを酸性とするための方法として酸を加える方法が例示できる。また、例えば、あらかじめ、脱カフェインのために陽イオン交換樹脂処理されたものである場合、コーヒーエキスは既に酸性となっているため、特に酸を添加する必要はない。また、原料豆が生、または、極く浅い焙煎の豆である場合、抽出液の液性は酸を加えなくとも酸性となる場合もある。酸性であるためのpHの範囲としては、例えばpH1〜6の範囲内、好ましくはpH2〜5の範囲内、より好ましくはpH2.5〜4.5の範囲内を例示することができる。pHの調整に使用できる酸としてはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸等を挙げることができる。高濃度濃縮コーヒーエキスがコーヒーエキス乾燥粉末の場合であれば、乾燥工程の前にコーヒーエキスに加える方法が可能である。
高濃度濃縮コーヒーエキスの抽出に使用するエタノール水溶液またはエタノールの水/エタノールの重量比の好ましい範囲としては50/50〜0/100、好ましくは40/60〜0/100、より好ましく30/70〜0/100を挙げることができる。水がこの範囲を超えて多い場合、クロロゲン酸以外の不純物の抽出量が増え、クロロゲン酸の純度が悪くなる。エタノール水溶液またはエタノールの使用量としては高濃度濃縮コーヒーエキス1重量部に対し、約1倍量〜約10倍を挙げることができる。
本発明における酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出する方法の好ましい実施態様を例示すれば以下の通りである。高濃度濃縮コーヒーエキスが液状である場合、高濃度濃縮コーヒーエキスに酸を加えてpHを調整した後、約20℃〜約70℃にて攪拌しながら徐々にエタノール水溶液またはエタノールを添加する。この場合、エタノール水溶液またはエタノールの添加に伴い、徐々にクロロゲン酸以外の成分が不溶物として析出する。また逆に、エタノール水溶液またはエタノールをあらかじめ準備しておき、約20〜約70℃にて攪拌しながら、徐々に高濃度濃縮コーヒーエキスを加えていっても良い。不用な成分を除去するための必要量のエタノール水溶液またはエタノールと混合後、さらに約30分〜約2時間攪拌し、約20〜約30℃まで冷却した後、不溶解物をデカンテーション、遠心分離、濾過等により除去し、高純度クロロゲン酸を含むエタノール水溶液またはエタノールを得る。また、高濃度濃縮コーヒーエキスが乾燥粉末の場合はエタノール水溶液またはエタノールにコーヒーエキス粉末を加えても良いし、コーヒーエキス粉末にエタノール水溶液またはエタノールを加えても良い。その後の工程は高濃度濃縮コーヒーエキスが液状である場合と同様の操作にて行うことができる。
また、高濃度濃縮コーヒー抽出液を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出することで、細菌、かび、酵母等が除去され、さらに、耐熱性菌の芽胞等も除去される。コーヒーの生豆もしくは極浅い焙煎豆にはかび、酵母、一般生菌の他、耐熱性菌の芽胞が存在することがある。これらの微生物のうち特に耐熱性菌の芽胞は、コーヒー豆を熱水にて抽出した際、死滅せず、そのまま抽出され、濃縮液にほとんどそのまま移行してしまう。しかしながら、高濃度濃縮コーヒー抽出液を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出することで実質的に完全に除菌される。したがって、この除菌方法は耐熱性菌の芽胞に関して特に有効な方法である。この現象の基本的な機構については明らかではないが、エタノールに溶解しないコーヒー由来の多糖類等に耐熱性菌の芽胞が抱き込まれ、エタノール溶液側に抽出されてこないためであると予想される。また、高濃度濃縮コーヒー抽出液を、酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出した後、抽出液から不溶解物を除去するに際して濾過助剤を使用することで、耐熱性菌の芽胞の除菌効率をさらに高めることができる。濾過助剤としては、ケイソウ土、酸性白土、活性白土、タルク類、粘土、ゼオライト、粉末セルロース等を例示することができる。
高濃度濃縮コーヒー抽出液の酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールによる抽出に先立ち、コーヒー豆から得られた抽出液は高濃度濃縮液とする前に、中性からアルカリ条件下での合成吸着樹脂処理または陽イオン交換樹脂処理等の公知の脱カフェイン処理を行っても良い。
アルカリ条件下での合成吸着樹脂による脱カフェイン処理方法としては以下の方法を例示することができる。コーヒー豆から前述した方法により得られた抽出液を、水抽出の場合はそのまま、また、含水水混和性有機溶媒抽出液の場合は、蒸留などの手段によって該有機溶媒の含有量を、例えば、約5重量%以下とする。その後、抽出液のpHを約7〜約12の中性からアルカリ性とした後、合成吸着樹脂と接触処理することによってコーヒー豆抽出液中のカフェイン及びトリゴネリン等の抽出成分を該合成吸着樹脂に吸着せしめる。かかるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を挙げることができる。合成吸着樹脂としては、例えば、比表面積約300〜約700m2/g;細孔容積約0.7〜約1.1ml/g;細孔半径約5〜約130nmの範囲の物性を有するスチレン・ジビニルベンゼン系多孔性合成吸着樹脂を挙げることができる。このような合成吸着樹脂は市場で容易に入手することができ、例えば、ダイヤイオンHP10,同HP20,同HP30,同HP40,同HP50,同SP70,同SP206,同SP207(以上、三菱化学(株));アンバーライトXAD−2,同XAD−4(以上、Rohm & Haas社);日立ゲル#3010,同#3011,同#3019(以上、日立化成工業(株))等を挙げることができる。また、上記スチレン・ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂と同程度の比表面積、細孔容積及び細孔半径を有するメタクリル酸エステル系多孔性合成吸着樹脂を例示することができ、かかる樹脂の市販品としては、例えば、ダイヤイオンHP1MG、同2MG(以上、三菱化学(株));アンバーライトXAD−7,同XAD−8i(以上、Rohm & Haas社)等を挙げることができる。このような合成吸着樹脂との接触処理はバッチ式、カラムによる連続処理等のいかなる態様も採用することができるが、一般的には該合成吸着樹脂を充填したカラムによる連続処理が採用される。
上記接触処理の条件は、コーヒー豆の種類、抽出液の濃度などに応じて適宜に選択することができるが、例えば、カラムによる連続処理の条件としては、合成吸着樹脂1容量に対して約1〜約50容量のコーヒー抽出液を、液温約10〜約30℃、SV約0.5〜約30程度の流速で通液するごとき条件を例示することができる。
また、コーヒーエキスを合成吸着樹脂処理した後、吸着部をアルカリ水溶液で脱着することによる脱カフェイン処理を採用することもできる。まず、コーヒー豆から前述の方法により得られた抽出液を、水抽出の場合はそのまま、また、含水水混和性有機溶媒抽出液の場合は、蒸留などの手段によって該有機溶媒の含有量を、例えば約5重量%以下とする。次いで、pH調整を行わずに、合成吸着剤と接触処理することによってコーヒー豆抽出液中のクロロゲン酸及びその同族体、カフェイン及びトリゴネリン等の抽出成分を該合成吸着樹脂に吸着せしめる。その際に、例えば食塩などの塩析剤を添加して吸着効率を高めることもできる。かかる塩析剤の添加量としては、一般的にはコーヒー豆抽出液に対して約2〜約20重量%程度が採用される。次いで、該合成吸着樹脂を稀アルカリ水溶液で脱着処理することにより、クロロゲン酸及びその同族体を選択的に溶出せしめ、カフェイン及びトリゴネリン等の不要な成分を排除することができる。かかるアルカリ性物質としては、前述と同様に例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を挙げることができる。本発明において利用する稀アルカリ水溶液としては、上記のごときアルカリ性物質の約0.2〜約2重量%水溶液を例示することができる。
かくして得られた通過液または溶離液は液性がアルカリ性となっているため、既知の有機酸、無機酸を用いて中和、または、中和処理に代えて、予めH型にしておいた陽イオン交換樹脂と接触させて、該溶液の液性を酸性側にすることによって中和による生成塩を含有しない、脱カフェインコーヒー抽出液とすることができる。陽イオン交換樹脂を用いることにより、有機酸または無機酸添加による中和処理よりも更にクロロゲン酸純度を高めることができる。
一方、陽イオン交換樹脂処理による脱カフェイン処理方法としては以下の方法を例示することができる。コーヒー豆から前述した方法により得られた抽出液を、水抽出の場合はそのまま、また含水水混和性有機溶媒抽出液の場合は、蒸留などの手段によって該有機溶媒の含有量を、例えば約5重量%以下とした後、陽イオン交換樹脂と接触処理することによってコーヒー抽出液中のカフェインを吸着除去することができる。かかる陽イオン交換樹脂としては、例えばSK−116、SK−1B(以上、三菱化学(株));アンバーライトIR−120、同200(以上、Rohm & Haas社)等を挙げることができる。このような陽イオン交換樹脂との接触処理はバッチ式、カラムによる連続処理等のいかなる態様も採用することができるが、一般的には該樹脂を充填したカラムによる連続処理が採用される。
かかる接触処理の条件は、コーヒー豆の種類、抽出液の濃度などに応じて適宜に選択することができるが、例えば、カラムによる連続処理の条件としては、陽イオン交換樹脂1容量に対して約1〜約50容量のコーヒー抽出液を、液温約10〜約30℃、SV約0.5〜約50程度の流速で通液するごとき条件を例示することができる。かくして得られた脱カフェインコーヒー抽出液は、陽イオン交換樹脂との接触処理により酸性となっている。
上記に示したカフェインレス処理方法によりカフェインレス処理されたコーヒー抽出液を高濃度濃縮液としてから、前述の方法にて酸性条件下、エタノール水溶液またはエタノールにて抽出することにより、カフェイン含量が少なく、純度が高く、さらに耐熱性菌の芽胞が実質的に除去された精製クロロゲン酸を製造することができる。
かくして得られた高純度精製クロロゲン酸を含む溶液は、減圧または常圧にて濃縮し、濃縮物とすることもできる。該濃縮物は濃縮の途中あるいは濃縮後にグリセリン、プロピレングリコール、エタノール等の保留剤を添加することにより、状態の安定化をはかり、また、クロロゲン酸の含有濃度の調整を行うこともできる。また、該濃縮液はそのまま、あるいはデキストリン類、デンプン類、天然ガム類、糖類その他の賦形剤を添加して、既知の方法により乾燥して、粉末状、顆粒状その他任意の固体形態とすることもできる。
以下、実施例により本発明の好ましい態様をさらに詳しく説明する。
実施例1
L値43.2に焙煎したコーヒー豆の粉砕物1000gをカラムに充填し(カラム内径7cm、長さ25cm、1本につきコーヒー豆200gを充填し、5本連結)、95℃に加温した軟水を流速2500ml/hrでカラム上部から下部へ送り込み、カラム下部から抜き取った抽出液は、次のカラムの上部へ順次送り込み5本目のカラムより最終的な抽出液を抜き取る方法にて連続抽出を行い、抜き取り液がBx1.0°を下回った時点で抽出終了(所要時間約3時間)とし、Bx6.0°のコーヒーエキス5300g)を得た。得られたコーヒーエキスは20℃に冷却後、No.26(210mm)(東洋濾紙株式会社製)に濾紙ケイソウ土50gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液5300g(以下、コーヒー抽出液1とする)を得た。コーヒー抽出液1をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx70.6°(参考品1、水分含量41.2%:kett赤外線水分計にて測定、pH5.5、クロロゲン酸20.4%、カフェイン5.5%)の高濃度濃縮コーヒーエキス450.7gを得た。濃縮液に4N塩酸約29.3gを加え、pHを4.5とした後、さらに水9.2gを加え、水分含量45.8%(全液量489.2g)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)より購入、エタノール含量92W/W%)729.7gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.6/70.4)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1034.5gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物327.2g(本発明品1:固形分65%、クロロゲン酸25.5%、カフェイン7.72%)を得た。
クロロゲン酸含量の分析方法:
試料約0.04gを100mlメスフラスコに精秤し、イオン交換水にて100mlとする。その5mlを100mlメスフラスコにとり、イオン交換水を加えて100mlに希釈し、希釈液の波長325nmの吸光度を測定する。ここで測定した吸光度をA、試料採取量(約0.3g)をBとしたとき、次式によりクロロゲン酸量を算出する(クロロゲン酸の325nmにおける吸光係数を52000として計算する)。
クロロゲン酸(g)={A×(100÷5)×(50÷B)}÷52000
カフェインの分析方法:HPLC法
水分の測定方法:Kett赤外線水分計
固形分の測定方法:固形分(%)=(100−水分(%))
として計算した。
実施例2(高濃度濃縮コーヒーエキスが粉末である例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx44°の濃縮コーヒーエキス666.8g(pH5.5)を得た。濃縮液に42.5%リン酸水溶液(85%リン酸を水で1:1に希釈した溶液)105.5gを加えpHを2.9とした後、噴霧乾燥し、濃縮コーヒーエキス粉末234.5gを得た。この粉末に99%エタノール(エタノール含量99.5W/W%)1407g(対粉末6倍量)を加え、室温下で90分間攪拌を行った(水/エタノール=1/99、抽出中のpH2.9)後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1496.3gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、30%水酸化ナトリウム1.55gにてpH4.5に調整しさらに濃縮し、濃縮物204.4g(本発明品2:固形分51.2%、クロロゲン酸24.5%、カフェイン8.01%)を得た。
実施例3(高濃度濃縮コーヒーエキスがアルカリ条件下で合成吸着樹脂処理をされたものである例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)に10%水酸化ナトリウム水溶液58gを加え、pHを10に調整した。この溶液を、合成吸着樹脂(SP−70:三菱化学(株)社製)600mlを充填したカラムにSV=2.5で通液してカフェインを吸着させた。得られた通過液はpHを酸性とするため、陽イオン交換樹脂(SK−116)200mlを充填したカラムに通液し(ナトリウムイオンも除かれる)、さらに水押して、脱カフェインコーヒー抽出液7694g(pH4.2、クロロゲン酸1.03%、カフェイン不検出)を得た。引き続き、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx65.1°(水分含量45.7%、pH4.3、クロロゲン酸21.6%、カフェイン0.1%)の高濃度濃縮コーヒーエキス362.5gを得た。この濃縮コーヒーエキスを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)製、エタノール含量92W/W%)548.3gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.4/70.6)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、濾紙(No.2、110mm)にて吸引濾過し、濾液819.4gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物267.7g(本発明品3:固形分56.0%、クロロゲン酸27.0%、カフェイン0.2%)を得た。
実施例4(実施例3における酸性側へのpH調整を陽イオン交換樹脂処理に替え、塩酸で行った例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)に10%水酸化ナトリウム水溶液58gを加え、pHを10に調整した。この溶液を、合成吸着樹脂(SP−70:三菱化学(株)社製)600mlを充填したカラムにSV=2.5で通液してカフェインを吸着させた。得られた通過液に4N塩酸120gを加え、pH4.5に調整し、脱カフェインコーヒー抽出液7258g(pH4.5、クロロゲン酸1.00%、カフェイン不検出)を得た。引き続き、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx65°(水分含量43.3%、pH4.5、クロロゲン酸16.8%、カフェイン0.1%)の高濃度濃縮コーヒーエキス378.2gを得た。この濃縮コーヒーエキスを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)、エタノール含量92W/W%)567.3gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=28.6/71.4)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、濾紙(No.2、110mm)にて吸引濾過し、濾液690.0gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物163.1g(本発明品4:固形分64.6%、クロロゲン酸26.6%、カフェイン0.2%)を得た。
実施例5(高濃度濃縮コーヒーエキスが陽イオン交換樹脂にて脱カフェイン処理をされたものである例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)を陽イオン交換樹脂(SK−116)1500mlを充填したカラムに通液してカフェインを除き、さらに水押して、脱カフェインコーヒー抽出液6855g(pH2.2、クロロゲン酸1.16%、カフェイン不検出)を得た。引き続き、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx65.0°(水分含量45.83%、pH2.2、クロロゲン酸21.8%、カフェイン0.1%)の高濃度濃縮コーヒーエキス365.8gを得た。この濃縮コーヒーエキスを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)、エタノール含量92W/W%)550.3gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.5/70.5)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、濾紙(No.2、110mm)にて吸引濾過し、濾液821.3gを得た。濾液をロータリエーバポレーターにて濃縮し、濃縮物268.8g(本発明品5:固形分56.0%、クロロゲン酸27.2%、カフェイン0.1%)を得た。
比較例1(濃縮コーヒーエキスの濃度を水分50%を超える範囲とした例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx40.5°(水分含量66.3%、pH5.4、クロロゲン酸11.5%、カフェイン3.2%)の濃縮コーヒーエキス786.6gを得た。濃縮液に4N塩酸約29.4gを加え、pHを4.5とした(全液量816.0g、水分含量67.0%)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)、エタノール含量92W/W%)729.7gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=47.4/52.6)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液1250.1gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物367.6g(比較品1:固形分65%、クロロゲン酸22.7%、カフェイン6.87%)を得た。
比較例2(高濃度濃縮コーヒーエキスを抽出するエタノール水溶液における水/エタノールの重量比が50/50よりも水が多い系である例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx70.6°(水分含量41.2%、pH5.5、クロロゲン酸20.4%、カフェイン5.5%)の高濃度濃縮コーヒーエキス450.7gを得た。濃縮液に4N塩酸約29.3gを加え、pHを4.5とした後、さらに水9.2gを加え、水分含量45.8%(全液量489.2g)とした。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)、エタノール含量92W/W%)246.0gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=51.9/48.1)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、遠心分離(3000G、30分)を行い、上清730.6gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物371.0g(比較品2:固形分65%、クロロゲン酸22.2%、カフェイン7.65%)を得た。
比較例3(高濃度濃縮コーヒーエキスのエタノール水溶液抽出を中性域にて行った例)
実施例1と全く同ーの条件および方法で得られたコーヒー抽出液1(5300g)に10%水酸化ナトリウム水溶液58gを加え、pHを10に調整した。この溶液を、合成吸着樹脂(SP−70:三菱化学(株)社製)600mlを充填したカラムにSV=2.5で通液してカフェインを吸着させた。得られた通過液は引き続き陽イオン交換樹脂(SK−116)50ml(実施例3で使用した陽イオン交換樹脂の1/4量)を充填したカラムに通液し、さらに水押して、脱カフェインコーヒー抽出液7546g(pH6.5、クロロゲン酸1.12%、カフェイン不検出)を得た。引き続き、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx64.82°(水分含量45.98%、pH6.7、クロロゲン酸21.5%、カフェイン0.1%)の高濃度濃縮コーヒーエキス361.3gを得た。この濃縮コーヒーエキスを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売、エタノール含量92W/W%)548.3gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.4/70.6)。室温下にて15時間静置し、不溶物を十分析出させた後、濾紙(No.2、110mm)にて吸引濾過し、濾液818.3gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物322.3g(比較品3:固形分56.0%、クロロゲン酸18.5%、カフェイン0.2%)を得た。
表1に参考品、本発明品および比較品それぞれの収量、固形分、クロロゲン酸、カフェインの含量および、エキス固形分中におけるクロロゲン酸およびカフェインの割合を示した。
Figure 0005079373
表1より明らかなとおり、本発明品ではエキス固形分中におけるクロロゲン酸の割合が高く、クロロゲン酸が高純度に精製されていた。
実施例6
L値50.0に焙煎したコーヒー豆の粉砕物1000gをカラムに充填し(カラム内径7cm、長さ25cm、1本につきコーヒー豆200gを充填し、5本連結)、95℃に加温した軟水を流速2500ml/hrでカラム上部から下部へ送り込み、カラム下部から抜き取った抽出液は、次のカラムの上部へ順次送り込み5本目のカラムより最終的な抽出液を抜き取る方法にて連続抽出を行い、抜き取り液がBx1.0°を下回った時点で抽出終了(所要時間約3時間)とし、Bx5.6°のコーヒーエキス5150gを得た。得られたコーヒーエキスは20℃に冷却後、No.26(210mm)の濾紙にケイソウ土50gをプレコートしたヌッチェにて吸引濾過し、濾液5025gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、Bx66.0°(水分含量45.9%、pH5.7、クロロゲン酸18.6%、カフェイン5.0%)の高濃度濃縮コーヒーエキス478.5gを得た。このものを室温下で攪拌しながら、一級95%エタノール(日本アルコール販売(株)、エタノール含量92W/W%)705.2gを30分かけて滴下し、さらに60分間攪拌を続けた(最終の水/エタノール=29.8/70.2)。さらに、濾過助剤としてミズカエース#600(水澤化学工業(株)社製の酸性白土)45gを加え、30分間攪拌を行った。その後、濾紙(No.2、150mm)にて吸引濾過し、濾液999.3gを得た。濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、濃縮物316.2g(本発明品6:固形分65%、クロロゲン酸26.8%、カフェイン7.6%)を得た。実施例6の各工程(原料豆L値50.0、抽出液Bx5.6°、高濃度濃縮コーヒーエキスBx66°、エタノール抽出濾過液、エタノール抽出濾紙上残渣、本発明品6)における細菌数を測定した結果を表2に示す。
Figure 0005079373
表2に示したとおり、L値50.0の焙煎豆には一般生菌の他、耐熱性好気性菌、耐熱性嫌気性菌が存在し、熱水にて抽出した際、そのまま抽出され、濃縮液にほとんどそのまま移行していることが認められる。しかしながら、エタノール抽出の濾過液およびその濃縮物である本発明品6にはいずれの生菌も認められなかった。一方、エタノール抽出における濾紙上の残渣には多数の生菌が認められた。これにより、本発明である高濃度濃縮コーヒーエキスを、酸性条件下、エタノール水溶液にて抽出することにより、耐熱性菌の芽胞を含め、生菌が完全に除去されることが判明した。一般的に、耐熱性菌の芽胞の粒径は1〜5μm程度であり、通常は0.45μのメンブランフィルターならば除去することが可能である。一方、実施例6で使用したNo.2濾紙の保留粒子径は約5μmであるが、一般的にはNo.2濾紙濾過では耐熱性菌の芽胞を完全に除去することは不可能とされている。したがって、上記のようにNo.2濾紙濾過で完全に除菌がなされている事実から、高濃度濃縮コーヒーエキスを、酸性条件下、エタノール水溶液にて抽出する方法自体が、きわめて有効な除菌方法であることが示される。

Claims (6)

  1. 水分含量50%以下、かつ、pH1〜6の酸性である高濃度濃縮焙煎コーヒーエキス(但し、L値として30〜55の焙煎を行ったコーヒー豆から抽出したものに限る)とエタノール水溶液またはエタノールとを接触処理して、析出する不溶物を除去することを特徴とする精製クロロゲン酸類(但し、本発明でいうクロロゲン酸類としては、クロロゲン酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソクロロゲン酸、ネオクロロゲン酸ならびにこれらの酸のナトリウム、カリウムの水溶性塩類を意味する。以下同じ。)の製造方法。
  2. タノール水溶液またはエタノールにおける水/エタノールの重量比が50/50〜0/100であることを特徴とする請求項1に記載の精製クロロゲン酸の製造方法。
  3. 除菌された精製クロロゲン酸である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 高濃度濃縮焙煎コーヒーエキスが中性からアルカリ条件下で合成吸着樹脂処理されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸の製造方法。
  5. 高濃度濃縮焙煎コーヒーエキスが合成吸着樹脂処理された後、吸着部をアルカリ水溶液で脱着されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸の製造方法。
  6. 高濃度濃縮焙煎コーヒーエキスが陽イオン交換樹脂処理されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸の製造方法。
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