JP5069561B2 - アビラテロン−3−エステルのメタンスルホン酸塩及びアビラテロン−3−エステルの塩のメチルtert−ブチルエーテル中の溶液からの回収 - Google Patents

アビラテロン−3−エステルのメタンスルホン酸塩及びアビラテロン−3−エステルの塩のメチルtert−ブチルエーテル中の溶液からの回収 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、化合物アビラテロンのエステルの新規な塩の形態、或いはその誘導体、及び化合物アビラテロン、或いはその塩又は誘導体の調製のための方法に関する。
以下の式:
Figure 0005069561
の酢酸アビラテロンは、ステロイド17α−モノオキシゲナーゼ阻害剤又はヒトチトクロムP45017αとしても知られる、テストステロン合成において重要な酵素17α−ヒドロキシラーゼ−C17,20−リアーゼの、強力な、選択的な、経口的に活性な阻害剤である。テストステロン合成の抑制は、前立腺癌を持つ患者において、酢酸アビラテロンで証明されている。
化合物は、最初WO−A−93/20097中で開示され、さらにWO−A−95/09178中に化合物の合成法が開示されている(両方ともBritish Technology Group Limited)。特に、WO−A−95/09178は、、以下の式:
Figure 0005069561
[3β置換基R’は、水素又は2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基である]
の化合物の合成を開示している。開示された方法の一つは、これを、対応するケトンから、ステロイド系エノールトリフレート(トリフルオロメチルスルホン酸塩)を経由して製造する:
Figure 0005069561
報告された経路において使用される塩基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(DTBMP)は高価である。本発明人等は、更に、R’が低級アシルである場合、酸の脱離が起こり、好ましくない以下の式:
Figure 0005069561
の副産物を与えることにおけるこの方法に伴う問題を観察している。
副産物は、いずれかの工程においても再結晶化によって除去することはできない。従って両方の工程においてカラムクロマトグラフィーが必要とされる。
WO−A−95/09178は、トリフレートを対応するヨウ化ビニル中間体で置換え、そしてこれを使用し、これと、以下の式:
Figure 0005069561
[式中、Rは、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表し、そしてZ及びZは、ヒドロキシ又は1−3個の炭素原子のアルコキシ若しくはアルキルをそれぞれ独立に表すか、或いはZ及びZはいっしょに、2又は3個の炭素原子のアルキレンジオキシ基を表す]
の(3−ピリジル)で置換されたボランを反応させることによって、化合物を製造することを示唆している。
然しながら、この方法でも更にカラムクロマトグラフィーを必要とする。
本出願人等は、いまや所望する化合物の塩を適した溶媒から回収する改良された経路を開発した。好ましくない副産物は、溶液中に残存する。これは、高価な、そして時間を浪費するカラムクロマトグラフィーの工程を排除することができるために、精製過程が単純化されることを意味する。
従って、本発明は、以下の式(I):
Figure 0005069561
[R’が、2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表す]
の化合物の;メタンスルホン酸との塩を含んでなる。
塩は、いずれもの適した溶媒、又は溶媒の混合物中の遊離塩基の溶液から、溶液をメタンスルホン酸で処理することによって回収することができる。適した溶媒は、エステル及びエーテルを含む。使用することができるエステルは、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸イソプロピルのような酢酸とのエステルを含む。使用することができるエーテルは、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、そして特に、塩の特に良好な回収を与えるメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を含む。
本発明人等は、化合物の他の塩を、MTBEから受容可能な量で回収することができることを更に見出している。本発明は、以下の式(I):
Figure 0005069561
[R’が、水素又は2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表す]
の化合物;又は医薬的に受容可能なその塩の調製のための方法であって;
R’が2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、上記で定義したとおりである化合物の塩を、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から回収する工程を含む、前記方法も更に含む。
好ましくは、酸は、塩酸、硫酸又はトルオイル酒石酸、或いは特にメタンスルホン酸である。
本発明を使用して、合成のいずれの工程においてもクロマトグラフィーによる精製を必要としない、式(I)の化合物の調製のための方法が可能である。本発明は、式(I)の化合物の塩を、式(I)の化合物及び以下の式(IV):
Figure 0005069561
[Rは上記で定義したとおりである]
の化合物の混合物を含んでなるMTBE中の溶液から回収する場合に、特に適用可能である。
好ましくはR’は、低級アシルオキシ基、特にアセチルを表す。特にRは、水素原子を表す。最も好ましくは、R’はアセチルを表し、そしてRは水素原子を表し、式(I)の化合物は、酢酸アビラテロンである。
式(I)の化合物は、以下の式(II)のケトンが、以下の式(III):
Figure 0005069561
[R’及びRは上記で定義したとおりであるか、又はその保護された誘導体である]
のトリフラートに転換されるトリフリル化工程を含む方法であって;
トリフリル化工程は、共役酸の25℃におけるpKが、5.21ないし12の範囲内であるように、第三又は複素環式アミンを含んでなる塩基の存在中で行われる、前記方法によって製造してもよい。
この改良された経路を使用して、好ましくない副産物の製造は、受容可能なレベルまで低下したままである。これが高価な試薬DTBMPを使用しないために、この経路を商業的に更になお魅力あるものとする。
好ましい塩基は、表1に示すものを含む。
表1:好ましい塩基
Figure 0005069561
好ましくは、共役酸の25℃におけるpKは、6.75ないし10.6の範囲内である。最も好ましくは、塩基は、2,6−ルチジン又はトリエチルアミンである。
好ましくはトリフリル化工程は、塩素化された有機溶媒又は有機エステルを含んでなる溶媒中で行われる。適した有機エステルは、酢酸エチルを含む。好ましくは溶媒は、クロロホルムのような塩素化された有機溶媒、そして特にジクロロメタン又は1,2−ジクロロエタンである。
R’が、水素を表す場合、保護基は、“Protective groups in organic synthsis”3rd Ed,Theodora Greene and Peter G Wuts,published by John Wiley,ISBN 0−471−16019−9中で検討されているように、アルコールを保護するためのいずれもの適した基であることができる。例えば、これは、ベンジル、メトキシメチル(MOM)又はシリルエーテルとして保護することができる。
R’が、低級アシルオキシ基を表す場合、更なる保護は通常必要としないものである。
好ましいトリフリル化剤は、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(triflic anhydride)(TfO)である。生成物の分解を最小にするために、好ましくは塩基は反応混合物にトリフルオロメタンスルホン酸無水物のわずか後、例えば15分又はそれより短いうちに加えられる。反応混合物は、再び、生成物の分解を最小にするために、好ましくは塩基の添加の1時間後以内にクエンチされる。
本出願人等は、大過剰の塩基の使用が、式(II)のケトンの式(III)のトリフレートへの不良な転換に導き、そして大過剰のトリフルオロメタンスルホン酸無水物の使用が、生成物の急速な分解に導くことができることを観察している。式(II)のケトンのトリフレートへの最適な転換のために、トリフルオロメタンスルホン酸無水物の当量数は、好ましくは塩基の当量数より低くない。本出願人は、更に塩基の量を化学量論以下のレベルへ減少することが、転換に影響しなかったことも観察している。
従って好ましくは、トリフリル化工程は、式(II)のケトンに対して、1.0ないし1.5当量間、更に好ましくは1.1ないし1.4当量間のトリフルオロメタンスルホン酸無水物;及び式(II)のケトンに対して、0.75ないし1.5当量間、更に好ましくは0.8ないし1.4当量間の塩基を使用して行われ、ここにおいてトリフルオロメタンスルホン酸無水物の当量数は、塩基の当量数より大きいか、又はそれに等しい。更に好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸無水物の当量数は、塩基の当量数より大きい。
式(II)のケトンの調製、及び式(III)のトリフレートの式(I)の化合物への転換は、既知の方法による。従って、式(III)のトリフレート、又はその保護された誘導体を、以下の式:
Figure 0005069561
[Rは、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表し、そしてZ及びZは、ヒドロキシ又は1−3個の炭素原子のアルコキシ若しくはアルキルをそれぞれ独立に表すか、或いはZ及びZが一緒に、2又は3個の炭素原子のアルキレンジオキシを表す]
の(3−ピリジル)で置換されたボランと;
パラジウム複合体及び極性溶媒の存在中で、Suzukiカップリングを使用して反応させてもよい。これは、WO−A−93/20097中に開示されている。
式(I)の化合物の塩は、必要な場合、遊離塩基の形態に、そしてその後、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、アルカンスルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩)、及び所望により置換されていてもよい酒石酸塩のような、適当とみなすことができるような他の慣用的な医薬的に受容可能な酸付加塩に転換してもよい。
本明細書において、用語“アルキル”は、直鎖及び分枝鎖の両方を含む。類似の慣例は、“アルコキシ”、“アシル”及び“アルキレンジオキシ”のような他の包括的用語に適用される。
開示された全ての式(II)のケトンが、互変異性の現象を示すことができ、そして本明細書中に示した式が、可能な互変異性の形態の一つのみを表していることは理解されることである。従って、本発明が、例示されたいずれか一つの互変異性の形態に単に制約されないことは理解されることである。例えば、式(II)のケトンは、更に、以下の式(IIA):
Figure 0005069561
のエノールとしても存在してもよい。
本発明は、以下の実施例によって例示される。
実施例1:酢酸アビラテロン1の精製のための塩のスクリーニング
Figure 0005069561
対応するケトン2からの酢酸アビラテロンの合成に続いて、ケトン2から酢酸アビラテロン1を分離するために、混合物の溶液を酸で処理して、1の塩を形成し、これは溶液から沈殿し、ケトン2を溶液中に残すものである。酸及び溶媒のマトリックスを設定して、単離された塩の回収率及び純度のために理想的な条件を見出した。
塩をスクリーニングするための一般的な方法は、溶媒(10体積)中の1及び2の混合物(0.26mmol)の溶液に酸(0.27mmol)を加えることであった。反応物を1時間放置し、その時点でいずれもの固体を濾過した。残った反応物を更に47時間放置し、そして点検した。収集したいずれもの固体をH NMRで分析した。表2を参照されたい。
Figure 0005069561
∨−固体が形成された。
×−固体は形成されない。
酢酸エチル及びMTBEの両方中のメタンスルホン酸との反応は、高純度のメタンスルホン酸塩を、濾過後に、H NMRによる2の検出可能な存在を伴わずに与えた。より大きい規模(24.4mmol)において、塩は、64%収率で87.7%収率で回収された。得られた塩をイソプロピルアルコールから再結晶化し、41%の収率でピーク面積によって96.4%純度で得た。
この物質を、純度を>98%に増加する試みにおいて、ある範囲の別の再結晶化条件にかけた(表3を参照されたい)。
Figure 0005069561
遊離塩基は、DCM中の塩の溶液の飽和NaHCO水溶液による処理によって、塩から定量的に回収することができる。この処理中に純度の低下はない。
実施例2:酢酸アビラテロン1の大規模合成
合成を、スキーム1のように行った。
Figure 0005069561
最適化された経路を、10gの規模で行った。トリフレートの形成は、粗製生成物を80%の収率(11.20g)で、3:1の生成物と出発物質の比で得た。
Suzuki反応を、粗製生成物で、0.5mol%の触媒負荷を使用して行った。Suzuki反応の生成物を、定量的粗収率(9.54g)で単離した。生成物とケトン2の比は、3:1であった。この収率は、更に小規模の反応と一致した。
酢酸アビラテロンを、EtOAc/MTBEからの、そのメタンスルホン酸塩の形成及び結晶化によって精製した。塩を、64%収率(7.65g)及び87.7%の純度で単離した。これをその後、最小体積の沸騰イソプロピルアルコール(95cm)から再結晶化して、塩を63%の回収率(4.85g)及び96.4%の純度で得た。
実験
トリフレート3の形成
Figure 0005069561
酢酸デヒドロエピアンドロステロン2(10g、30.3mmol)の、CHCl(100cm、10体積)中の撹拌された溶液に、TfO(5.60cm、33.3mmol、1.1当量)を加え、そして反応物を室温で5分間攪拌した。トリエチルアミン(4.22cm、30.3mmol、1.0当量)のCHCl(100cm、10体積)中の溶液を25分かけて加えた。得られた紫色の溶液を室温で3.5時間攪拌した。反応を水(150cm、15体積)の添加によってクエンチし、そして層を分離した。水層をCHCl(75cm、7.5体積)で抽出し、そして有機層を混合した。有機画分を2NのHCl(75cm、7.5体積)及び食塩水(75cm、7.5体積)で洗浄した。有機層をMgSO及び活性炭(7.0g、0.7重量当量)で10分間処理した。懸濁液をCeliteTMのパッドを通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮して、褐色の油状物を、11.20g(80%粗収率)得た。H NMR(CDCl)は、生成物3と出発物質2の比が3:1であることを示した。
酢酸アビラテロン1
Figure 0005069561
Pd(PPhCl(97mg、0.14mmol、0.006当量)、ジエチル(3−ピリジル)ボラン(6.11g、41.5mmol、1.7当量)及び2MのNaCO(水溶液)(55cm、111mmol、4.5当量)を、トリフレート3及びケトン2(11.20g、全ての基質がトリフレート3であると仮定して27.7mmol)の混合物の、THF(130cm、10体積)中の撹拌された溶液に、連続して加えた。反応物を80℃に加熱し、そしてこの温度で5時間攪拌した。反応物を室温に冷却し、そして酢酸エチル(130cm、11体積)及び水(130cm、11体積)間に分配した。層を分離し、そして水層を酢酸エチル(65cm、5.5体積)で抽出した。混合した有機層をMgSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮して、褐色の油状物を得た。この油状物をMeOH(35cm、3体積)中で撹拌し、そして熱エアガンで穏やかに温めた。白色の固体(未反応のジエチル(3−ピリジル)ボラン)が沈殿し、そして濾過した。濾液を減圧下で濾過して、褐色の油状物(9.54g、100%収率)を得た。H NMRは、この物質が、酢酸アビラテロン1及びケトン2の3:1の混合物であることを示した。
塩の形成
Figure 0005069561
メタンスルホン酸(1.86cm、25.6mmol、1.05当量)を、1及び2の混合物(9.54g、完全にステロイド1と仮定して24.4mmol)の、MTBE(50cm、5体積)及び酢酸エチル(50cm、5体積)の混合物中の撹拌された溶液に加えた。得られた濃厚な懸濁液を濾過し、そしてケーキをMTBE(10cm、1体積)で洗浄した。ケーキを空気中で乾燥して、黄褐色の固体(7.65g、全ての出発物質がステロイド1であることに基づけば64%収率、HPLCにより87.7%純度)を得た。塩を沸騰イソプロピルアルコール(95cm)から再結晶化して、黄褐色の固体(4.85g、41%収率、HPLCにより96.4%純度)を得た。
実施例3:酢酸アビラテロンの塩の形成
塩の形成による精製の原理をスキーム2に示す。
Figure 0005069561
スキーム2:塩の形成による酢酸アビラテロンの精製
別の溶媒のスクリーニング
酢酸アビラテロンのメタンスルホン酸塩が、それらから結晶化される、エーテル及びエステル溶媒のスクリーニングを行った。
粗製の酢酸アビラテロンの8体積の反応溶媒中の溶液(概略70:30の酢酸アビラテロンとDHEA)に、酸を加えた。混合物を1時間室温で撹拌し、そして濾過可能な固体の形成を示したいずれもの反応物を濾過し、そして固体のH NMRを取った。表4を参照されたい。
Figure 0005069561
∨−無視可能なDHEAを含有する濾過可能な固体が形成した。
×−精製は検出されなかった。
メタンスルホン酸塩は、試験された全てのエーテル及びエステルから容易に結晶化したが、溶媒の親油性を増加した時に、より良好な収率で回収された。結晶化が起こった場合、酢酸アビラテロンは、酢酸エチル/MTBE二相性混合物からのものに見られるものに匹敵するレベルに精製されていた。
別の酸のスクリーニング
より広い範囲の酸をスクリーニングした。いくつかの無機酸(塩化水素及び硫酸)、並びにより親油性の酸、トルオイル酒石酸を試験した。
酸(1.05当量)を、粗製の酢酸アビラテロン(250mg、70:30の酢酸アビラテトロンとDHEA)の10体積の溶媒中の溶液に加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、そして形成されたいずれもの固体を濾過し、そしてH NMRによって検査した。表5を参照されたい。
Figure 0005069561
∨ 1時間後(記述がなければ)に結晶化が起こり、そしてケトンが除去された。
× 濾過可能な固体は形成されなかった。記述がなければ結晶化はなかった。
MTBE及びEtOAcからの塩化物及びジトルオイル酒石酸塩、並びにMTBEからの硫酸塩の形成は、メタンスルホン酸塩の妥当な代替物であった。全ての単離された塩は、メタンスルホン酸塩の形成からのものから得られたものと同程度に、酢酸アビラテロンに精製された。
溶解度及び溶解の研究
酢酸アビラテロン及びそのメシレート塩の試料を、その水中の溶解度及び水中の溶解速度に対して調査した。
酢酸アビラテロン遊離塩基
外観1 大きい、暗褐色の、非晶質の“ガラス様”塊(乳棒&乳鉢による粉砕前)
外観2 淡黄褐色の粉末(乳棒&乳鉢による粉砕後)
溶解度@20℃ 0mg/mL(不溶)
溶解速度@20℃ HPLCクロマトグラムの基線上に観察可能なピークがないことによって証明されるように、化合物の識別可能な溶解は観察されなかった。
酢酸アビラテロン、メシレート塩
外観1 大きい、中程度の褐色の、壊れた板状の、板状の集合体(乳棒&乳鉢による粉砕前)
外観2 淡黄褐色の粉末(乳棒&乳鉢による粉砕後)
溶解度@20℃ 0.03−0.05mg/mL、名目上0.04mg/mL(実質的に不溶性)、
30−50μg/mL、名目上40μg/mLに等価
溶解速度@20℃ 最大の溶解度は60分内に達成されたが、現時点のHPLC法の検出限界(LOD)/定量限界(LOQ)の制約のために、早い時点の試料は定量することが可能ではなかった。
これらの結果から、遊離塩基及びメシレート塩のいずれもが水中に特に可溶性ではないことを知ることができる。
実施例4:反応工程の予備調査
工程1−トリフレートの形成
トリフレートの形成は、更に脱離された不純物4も与えることができ、これは、結晶化によって除去することが非常に困難である。
Figure 0005069561
一連の塩基を、ジクロロメタンを溶媒として使用して試験した(表6)。転換率%及び不純物4のレベルを、H NMRによって測定した。
Figure 0005069561
1.塩基は、2及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物の混合物に加えた。
2.転換率及び%4は、H NMRによって決定した。
従来の技術に報告されている反応条件を繰返し、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンを塩基として使用して、1.4当量の塩基を使用した場合に、完結まで行った。然しながら、生成物の17%は、脱離された不純物であった。
条件を、2,6−ルチジン及びEtNを塩基として使用して(1.4当量)繰返した場合、反応は、脱離された生成物4の証拠を伴わず、概略40%の転換率まで進行した。
反応が、より高い当量の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンで、更に進行することが証明された。然しながら、2,6−ルチジン又はEtNが塩基として使用された場合、反応は阻害された。従って、塩基の量を1当量に減らし、そして転換率は90分後に50%に増加した。
これは、反応が過剰の塩基によって阻害されたことを示し、従って2及びTfOの混合物への、塩基のゆっくりした添加(15分中に0.76mmol)に方法を変更した。反応は、EtN、2,6−ルチジン及びPrEtNで、4.5時間中に概略80%の転換率に達した。
添加時間を3.5時間に延長した場合、転換率は全ての塩基において、概略80%のままであった。然しながら、添加時間を、2分間に減少した場合、反応は、45%のみの転換率まで進行した。
工程2−Suzukiカップリング
Suzukiカップリングを、報告されている方法を使用して行った。トリフレート形成の生成物を、精製しないでSuzukiカップリングに使用した。
Figure 0005069561
実施例5:反応工程の更なる調査
実施例4に注記したように、トリフレート、3、の形成は、多くの要素:
1.反応に使用される塩基の特質;
2.塩基及びDHEA、2、間の相対的化学量論;
3.使用される溶媒の特質;
4.反応時間;
に依存することができることに注目される。
トリフレート形成のための塩基及び溶媒のスクリーニング
ある範囲の各種の塩基性度及び特質の塩基を、トリフレート、3、の形成に使用した。それぞれのこれらの塩基を使用した反応を、各種の溶媒中で行った。トリフレート形成のために使用される塩素化された溶媒の範囲を拡大するために、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン及びクロロホルムを調査した。試験される溶媒の特質を拡大するために、酢酸エチル、メチルtert−ブチルメチルエーテル及びイソ−ヘキサンを研究した。
それぞれの反応を、20体積の溶媒中の250mgのDHEA、2、を使用して行った。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.1当量)を、続いて15分後に塩基(1.0当量)を溶液に加えた。2時間後、それぞれの反応物の試料をメタノール中でクエンチし、そして反応物をLCMSによって試験した。
結果を表7に示す。
Figure 0005069561
∨−HPLCにより検出されたトリフレート(転換率%、w.r.t.未反応ケトン)。
×−検出可能なトリフレート無し。
結果が、分解が起こっていることを注記している場合、多くの同定不可能なピークがLCMS中に存在することは注目すべきである。括弧内に引用された数字は、DHEA、2、のトリフレート、3、への転換率であり、3の全体的収率ではない。トリフレートへの転換、しかし更に分解も記述されている反応は、使用された条件下で良好な単離収率を与えないものである。然しながら、反応は、異なった条件が試みられた場合、良好な結果を得ることができる。
表の記載は、更にNMRによって与えられた脱離された生成物、5、の量(“脱離”)も示す。
その共役酸が比較的低いpKを有する塩基は、複雑な事態を起こす競合反応を伴う最悪の結果を与える。例えば、N,N−ジエチルアニリンが使用された場合、注目される主要な生成物は、以下の脱アセチル化された生成物、4:
Figure 0005069561
である。これは、ピリジンが塩基として使用された場合の、延長された反応時間後の有意な生成物である。
エーテル及び炭化水素中で行われた反応は、その反応性と共に、反応物の溶解度に伴う問題を示した。
塩素化された化合物は、この反応において使用するための溶媒の最適のファミリーであることが証明された。全体として、ジクロロメタン及び1,2−ジクロロエタン中の反応が、対比できるものであったが、一方クロロホルム中のものは、ある程度遅延したことが注目される。
以下の式:
Figure 0005069561
の脱離された生成物、5、のレベルは、LCMSによって検出することができなかった。従って、選択された試料を濃縮し、そして残渣のH NMRを取った。これらの試料は、LCMSにおいて示された不純物のその高いレベルのために選択された。脱離された生成物のレベルは、いずれもの反応において10%を超えるレベルまで検出されず、そしてDABCO及びDBUが使用された場合、全く検出されなかった。
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(50%EtOH溶媒中の27±2℃におけるpKは、4.41)を使用した最初の研究から、反応が完結より前に停止された場合、脱離された生成物、5、のレベルが、非常に減少されることは注目すべきである。塩基の当量が増加された場合にのみ、脱離のレベルは増加した。前記においてその後に使用された塩基は、反応を完結まで持っていくことはなかった。過剰の塩基が使用された場合、反応は失速し、そして反応時間が延長された場合、他の競合する副反応が、5以外の種類の生成物に分解する。
トリフレート形成の反応特性の最適化
反応物への塩基の添加の速度が、反応の収率に主要な影響を有することは既に注記してある。更に、反応物を一晩クエンチしないまま放置した場合、生成物は分解した。TfO及びEtNの添加の相対的タイミング、並びに全反応時間の影響を探求した。
それぞれの反応を、500mg規模で標準的条件下で行った。試料を所定の時間に採取し、そして酢酸エチル及び水間に分配した。有機層を濃縮し、そして残渣をH NMRで試験した。
結果を表8に示す。いずれもの生成物の分解は、スペクトルの脂肪族領域の形状の変化によって検出し、そして従って定性的にのみ記載することができた。
Figure 0005069561
注記すべき第1の点は、トリフレートの形成が、塩基の存在なしで起こり始めたことであるが、しかし塩基の添加は、反応の速度を増加した。
結果は、更に反応が塩基の添加後、1時間で本質的に完結していることを示す。1時間を超えた反応時間の延長は、生成物の分解によるトリフレートの品質の低下となる。
発生するいずれもの分解は、脱離された生成物、5、の形成にはならないが、しかし他の同定されない化合物となる。
トリフレート形成のための最適な相対的化学量論の検討
大過剰の塩基の使用が、DHEA、2、のトリフレート、3、への不良な転換に導き、そして大過剰のTfOの使用が、生成物の急速な分解に導くことは既に注記した。本出願人等は、狭い範囲にわたる二つの反応物の相対的化学量論を変化することによる影響を調査することを欲した。
それぞれの反応を、250mgのDHEAを使用して標準的な条件下で行った。トリエチルアミンを、TfOの添加の15分後に加え、そして反応物を2時間後に試料採取した。結果を表9に示す。
Figure 0005069561
1.LCMSにより測定。
2.転換率はH NMRにより確認。
これらの結果は、DHEAのトリフレート、3、への最適な転換のために、トリフルオロメタンスルホン酸無水物の当量数が、塩基の当量数より高いことが必要であることを確認した。然しながら、塩基の量を化学量論以下のレベルに減少することは、転換率に影響しなかった。

Claims (13)

  1. 以下の式(I):
    Figure 0005069561
    [R’は、2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表す]
    の化合物の;メタンスルホン酸との塩。
  2. R’が、アセチル基を表す、請求項1に記載の塩。
  3. Rが、水素原子を表す、請求項1又は2のいずれか1項に記載の塩
  4. エステル又はエーテルを含む溶媒中の遊離塩基の溶液から、酸で溶液を処理することによって、固体の塩を回収することによる、請求項1−3のいずれか1項に記載の塩の調製のための方法。
  5. 溶媒が、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸イソプロピルからなる群から選択される、溶媒を含んでなる、請求項4に記載の方法
  6. 前記溶媒が、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を含んでなる、請求項5に記載の方法。
  7. 以下の式(I):
    Figure 0005069561
    [R’が、水素又は2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表す]
    の化合物;又は医薬的に受容可能なその塩の調製のための方法であって;
    R’が、2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、上記で定義したとおりである化合物の固体の塩を、酸で、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から回収する工程を含む、前記方法。
  8. 化合物の固体の塩が、MTBE中の式(I)の化合物及び式(IV)
    Figure 0005069561
    の化合物を含む溶液から回収される、請求項6又は7に記載の方法
  9. 前記酸が、塩酸、硫酸又はトルオイル酒石酸或いはメタンスルホン酸である、請求項4−8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 下の式(I):
    Figure 0005069561
    [R’が、水素又は2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、水素原子又は1−4個の炭素原子のアルキル基を表す]
    の化合物;又は医薬的に受容可能なその塩の調製のための方法であって;
    R’が、2ないし4個の炭素原子を有する低級アシル基を表し、そしてRが、上記で定義したとおりである化合物の固体の塩を、塩酸及びトルオイル酒石酸から選択される酸で、エチルアセテートから回収する工程を含む、前記方法
  11. R’が、アセチル基を表す、請求項7−10のいずれか1項に記載の方法。
  12. Rが、水素原子を表す、請求項7−11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 以下の式(I)
    Figure 0005069561
    [R’が、アセチル基を表し、そして、Rが、水素原子を表す]
    の化合物の;メタンスルホン酸との塩であって、
    1HNMRで検出可能なレベルの式2
    Figure 0005069561
    を含まない、前記塩。
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