JP5069407B2 - 制御可能な粒度を有する全硫化粉末ゴム、その調整方法及びその使用 - Google Patents

制御可能な粒度を有する全硫化粉末ゴム、その調整方法及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、粉末ゴムに関し、さらに詳細には、ほぼナノメートル程度の制御可能な粒度を有する全硫化粉末ゴム、粉末ゴムの調製工程及びその用途に関するものである。
ゴムは、かたまり,棒,粉末,球粒,板等の形状をしており、またゴムは、硫化(わずかに硫化されたものを含む)と非硫化とに分類されることは公知のことである。全硫化粉末ゴムは、化学的架橋による硫化粉末シリコーンゴムを除いて、文献には開示されたことがなかった。
多くの参考文献が硫化粉末シリコーンゴムとその調製を開示した。例えば、米国特許第4,743,670号(1988.5.10)は、高分散性の硫化粉末シリコーンゴムとその調製を開示した。粉末シリコーンゴムは、均一な特定の形、特定の大きさをなし、1013Ω・cm以上の体積抵抗を有する。硫化粉末ゴムを調製するための工程は、(1)界面活性剤の入った0ないし25℃の水中において、熱硫化可能な液体シリコーンゴム組成物の分散を調製すること(2)粉末の中の液体シリコーンゴム組成物を硫化するために、ステップ(1)で得られた分散を50℃またはそれ以上の液体の中で分散させること、及び(3)硫化した粉末シリコーンゴムを分離すること、を含む。
米国特許第4,742,142号(1987.4.6)は、熱硫化可能な組成物を0ないし25℃の液体で過熱し、界面活性剤を含む水の中で組成物を乳状にし、そしてシリコーンゴム組成物中の構成要素を十分に硫化するために、その乳状液を25℃またはそれ以上の水槽の中へ噴霧することを含む、粉末シリコーンゴムを調製するための工程を開示した。
米国特許第4,749,765号(1988.6.7)は、均一の粒度を有する粉末シリコーンゴムを調製するための工程を開示し、(1)液体シリコーンゴムの組成物を調製するために、構成要素を−60ないし50℃で混ぜ合わせること(2)粒子を形成するために、液体シリコーンゴム組成物を80ないし200℃の熱風の中へ噴霧すること(3)粒子を硫化すること、及び(4)生じた粉末シリコーンゴムを採取すること、を含む。
米国特許第5,837,739号(1998.11.17)は、硫化粉末シリコーンゴムとその調製を開示した。その粉末シリコーンゴムは、高い親水性と柔軟性を有し、平均粒度が500micron以下である。その粉末シリコーンゴムを調製するための工程は、(1)硫化シリコーンゴムを形成するために、特定のオルガノポリシロキサンを含む硫化可能なシリコン組成物を硫化すること、及び(2)その硫化シリコーンゴムを噴霧することによって乾燥させること、を含む。硫化シリコーンゴムを形成するための硫化反応は、アルケニル基と、シリコン結合した水素原子間の付加反応であり、シリコン結合した水素基と、シリコン結合した水素原子間の凝結であり、有機過酸化物または紫外線によって誘発された反応である。
米国特許第4,743,670号 米国特許第4,742,142号 米国特許第4,749,765号 米国特許第5,837,739号
化学的架橋によって得られた硫化粉末シリコーンゴムとその調製が先行技術において開示されたが、その他の全硫化粉末ゴムについては現在に至るまで報告がない。
本発明者は、長い時間と広範囲な研究の後、全硫化粉末ゴムは、ゴムラテックスを照射し、乾燥させることによって得られるということを発見している。得られた全硫化粉末ゴムは、均一で制御可能な粒度を有し、その粒度は、実質的にラテックスにおけるゴム粒子の粒度と同じである。
従って、本発明の一つの目的は、全硫化粉末ゴムを提供することである。
本発明のもう一つの目的は、全硫化粉末ゴムを調製する工程を提供することである。
本発明のさらなる目的は、本全硫化粉末ゴムやプラスチックを含む、強化プラスチックや熱可塑性エラストマを製作するのに使用可能な組成物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、プラスチックを強化するため、あるいは熱可塑性エラストマを調製するための、全硫化粉末ゴムの用途を提供することである。
本全硫化粉末ゴムは、重量の60%あるいはそれ以上のゲル含有量を有し、分配剤を必要とすることなく流れるように動く粒状のゴムである。ゲルの含有量は、ゴムの架橋度を特徴づけるために、技術においてよく知られた共通のパラメータであり、技術においてよく知られた方法によって決定される。本全硫化粉末ゴムは、少なくとも重量の60%、好ましくは少なくとも重量の75%、そして最も好ましくは少なくとも重量の90%のゲル含有量を有する。また、膨張指数は、ゴムの架橋度を特徴づけるためのもう一つの共通のパラメータであり、技術でよく知られた方法によって決定される。本全硫化粉末ゴムは、15以下、好ましくは13以下の膨張指数を有する。さらに、本全硫化粉末ゴムは、流れるように動く粒状のゴムであり、その流れるように動く特性は分配剤を加えなくても達成される。従って、分配剤を本全硫化粉末ゴムに加える必要がない。しかしながら、もし望むならば、流れるように動く特性や反ブロック特性をさらに向上させるために、分配剤を本全硫化粉末ゴムに加えてもよい。
本全硫化粉末ゴムは、制御可能な粒度を有し、その平均粒度は一般的に20ないし2000nm、好ましくは30ないし1500nm、そして最も好ましくは50ないし500nmの範囲である。本出願の状況において、粒度は、走査型電子顕微鏡検査(Scanning Electron Microscopy(SEM))によって測定される。
本全硫化粉末ゴムにおいて、各粒子は均質であり、すなわち、個々の粒子が組成物に関して均一で、ラメラ相や位相分離等のような粒子内の不均質現象は、今日利用されている顕微鏡検査では検出できない。
本全硫化粉末ゴムのためのゴムの種類については制限がなく、化学的な架橋方法によって硫化されたシリコーンゴムを除いて、いかなる種類のゴムでもよい。その実例は、天然ゴム,スチレン−ブタジエンゴム,カルボキシルスチレン−ブタジエンゴム,ニトリルゴム,カルボキシルニトリルゴム,クロロプレンゴム,ポリブタジエン,アクリルゴム,ブタジエン−スチレン−ビニルピリジンゴム,イソプレンゴム,ブチルゴム,エチレン−プロピレンゴム,ポリスルフィドゴム,アクリレート−ブタジエンゴム,ウレタンゴム,及びフッ素ゴムである。
本全硫化粉末ゴムは、対応するゴムラテックスを照射で硫化することによって得られる。例えば、本全硫化粉末ゴムは、完全に硫化するために、架橋剤の存在下、または不存在下において、市販のまたは発明者によって調製された、20ないし2000nmの範囲の粒度を有するゴムラテックスを、高エネルギー照射で照射することによって調製される。高エネルギー照射は、コバルト源,X線,紫外線,及び高エネルギー電子ビームから選択可能であるが、好ましくはコバルト源である。照射線量は、0.1ないし30メガラドで、好ましくは0.5ないし20メガラドである。ラテックスにおけるゴム粒子の大きさと実質的に同じ粒度を有する全硫化粉末ゴムは、照射されたラテックスを乾燥させることによって得られる。乾燥は噴霧乾燥器または沈殿乾燥法によって行なわれる。乾燥が噴霧乾燥器で行なわれる場合、入口温度は、100ないし200℃で調節され、出口温度は20ないし80℃で調節される。
本発明において、出発原料としてゴムラテックスにおける制限はなく、天然ゴムラテックス,スチレン−ブタジエンゴムラテックス,カルボキシルスチレン−ブタジエンゴムラテックス,ニトリルゴムラテックス,カルボキシルニトリルゴムラテックス,クロロプレンゴムラテックス,ポリブタジエンゴムラテックス,アクリルゴムラテックス,ブタジエン−スチレン−ビニルピリジンゴムラテックス,イソプレンゴムラテックス,ブチルゴムラテックス,エチレン−プロピレンゴムラテックス,ポリスルフィドゴムラテックス,アクリレート−ブタジエンゴムラテックス,ウレタンゴムラテックス,及びフッ素ゴムラテックスから選択可能である。ゴムラテックスの粒度は、異なる用途によって変化する。ゴムラテックスの固体含有量については制限がなく、固体含有量は、一般的に重量の20ないし70%で、好ましくは重量の30ないし60%、さらに好ましくは重量の40%ないし50%である。
架橋剤は、本全硫化粉末ゴムの調製において任意に使用される。適する架橋剤は、単官能基架橋剤,二官能基架橋剤,三官能基架橋剤,四官能基架橋剤または多官能基架橋剤、及びそれらのいずれかの組合せである。単官能基架橋剤の例は、オクチルアクリレート(メタクリレート),イソオクチルアクリレート(メタクリレート)グリシジルアクリレート(メタクリレート)を含むがこれらに限られるものではない。二官能基架橋剤の例は、1,4-ブタンジオールジアクリレート(ジメタクリレート),1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(ジメタクリレート),ジグリコールジアクリレート(ジメタクリレート),トリグリコールジアクリレート(ジメタクリレート)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ジメタクリレート),ジビニルベンゼンを含むがこれらに限られるものではない。三官能基架橋剤の例は、トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメタクリレート),ペンタエリトリトールトリアクリレート(トリメタクリレート)を含むがこれらに限られるものではない。四官能基架橋剤の例は、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(テトラメタクリレート),エトキシレート化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(テトラメタクリレート)を含むがこれらに限られるものではない。多官能基架橋剤の例は、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(ペンタメタクリレート)を含むがこれに限られるものではない。本出願の状況において、アクリレート(メタクリレート)という用語は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
上記の架橋剤は、照射の下での硫化を促進する限り、単体でまたはいずれかの組合せにおいて使用される。
架橋剤の量は、ゴムラテックスの種類や製剤によって変化し、ゴムの正味重量に基づいて、一般的に重量の0.1ないし10%であり、好ましくは重量の0.5ないし9%であり、さらに好ましくは重量の0.7ないし7%である。
本発明において使用された高エネルギー照射は、従来のコバルト源,X線,紫外線,または高エネルギー電子ビームであり、好ましくはコバルト源である。照射線量は、ゴムラテックスの種類や製剤によって異なり、0.1ないし30メガラド、好ましくは0.5ないし20メガラドの範囲である。一般に、照射線量は、ゴムラテックスを照射することによって得られた全硫化ゴムが、少なくとも重量の60%、好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも重量の90%のゲル含有量を有するようにすべきである。
本全硫化粉末ゴムは、プラスチックの中に非常に容易に分散され、様々な強化プラスチックや全硫化熱可塑性エラストマを調製するために様々なプラスチックと混ぜられる。調製は、従来の条件の下で、特定の割合の本全硫化粉末ゴムとプラスチックを従来のミキシング装置において混ぜることを含み、もし必要ならば、適量の加工助剤や整合剤を加える。
強化プラスチックの調製において、本全硫化粉末ゴムとプラスチックの重量比は、0.5:99.5ないし50:50、好ましくは1:99ないし30:70である。強化されるプラスチックは、ナイロン,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリビニル塩化物,ポリウレタン,エポキシ樹脂,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリオキシメチレン,ポリスチレン,ポリフェニレンオキシド(PPO),ポリフェニレン硫化物(PPS),ポリイミド,ポリスルホン,コポリマー及びそれらの混合物である。
全硫化熱可塑性エラストマの調製において、本全硫化粉末ゴムとプラスチックの重量比は、30:70ないし75:25、好ましくは50:50ないし70:30である。適切なプラスチックは、ナイロン,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリビニル塩化物,ポリウレタン,エポキシ樹脂,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリオキシメチレン,ポリスチレン,ポリフェニレンオキシド(PPO),ポリフェニレン硫化物(PPS),ポリイミド,ポリスルホン,コポリマー及びそれらの混合物である。
以下に本発明が、図面と共に例を通じて説明されているが、請求項に定義された発明の範囲を限定すると理解されるべきではない。
下記の例において、ゲル含有量は、以下の手順に従って決められる。噴霧乾燥によって得られた本全硫化粉末ゴムW0を約0.1g正確に量り、それを従来のレンズ紙で包み、またそれを200メッシュの銅スクリーンクロスに包み、そしてその銅スクリーンをその内容物と共に、すなわちW1を正確に量る。次に、そのスクリーンクロスとその内容物を、十分に乾燥された後の銅スクリーンとその内容物の重量が実質的に一定になるまで、通常約6時間、沸騰しているトルエンの中に入れる。そして、煮沸した銅スクリーンクロスとその内容物を完全に乾燥させ、W2を正確に量る。ゲル含有量は、以下の式によって計算される。
ゲル含有量(%)=[W0−(W1−W2)]/W0×100%
上記式において、
0は、全硫化粉末ゴムのサンプルの重量を示し、
1は、煮沸される前の銅スクリーンクロスとその内容物の重量を示し、そし て、
2は、煮沸され、十分に乾燥された後の銅スクリーンクロスとその内容物の 重量を示す。
膨張係数は、以下の手順に従って決められる。照射されたゴムラテックスは薄膜を形成するよう乾燥される(薄膜を形成するのが困難な場合、乾燥粉末を直接使う)。重量W0の小さな箱と200メッシュの銅製スクリーンクロスをしばらくの間トルエンに浸し、そして取り出してすぐに重量を量り、W1として記録する。約0.1gの薄膜または粉末を箱の中で量り、箱とその中の薄膜または粉末を24時間、室温でトルエンに浸す。その後、箱と膨張した薄膜または粉末、すなわちゲルを注意深く取り出し、ゲル表面上の溶剤を吸引し、迅速に箱とゲルの重量を量り、W2として記録する。そして、箱とゲルを一定重量W3まで完全に乾燥させる。膨張指数は、以下の式によって計算される。
膨張指数=(W2−W1)/(W3−W0
例1
重量の50%の固形含有量を有する市販のカルボキシルブタジエン−スチレンゴムラテックス(Yanshan Petrochemical Companyより入手可能,指定:XSBRL-54B1)5kgを容器に入れ、75gのイソ−オクチルアクリレートを攪拌しながら滴状で加える。攪拌は、イソ−オクチルアクリレートの滴下が終了後1時間続ける。その後、ゴムラテックスを、2.5メガラドの照射線量と50Gy/分の照射線量率を備えたコバルト−60で照射する。照射されたラテックスを、140ないし160℃の入口温度と40ないし60℃の出口温度を備えた噴霧乾燥器で乾燥させ、乾燥したカルボキシルブタジエン−スチレンゴム粉末を遠心式分離器で採取し、全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの流れるように動く粉末サンプル1が得られる。粉末ゴムの粒度は、約150nmと測定され、ゲル含有量は92.6%、また膨張指数は7.6である。
例2
照射線量を10メガラドに変更する以外は、例1の手順を繰り返す。全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの流れるように動く粉末サンプル2が得られる。粉末ゴムの粒度は、約150nmと測定され、ゲル含有量は94.5%、また膨張指数は5.4である。
例3
架橋剤をジグリコールジアクリレートに変更する以外は、例1の手順を繰り返す。全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの流れるように動く粉末サンプル3が得られる。粉末ゴムの粒度は、約150nmと測定され、ゲル含有量は93.0%、また膨張指数は7.3である。
例4
架橋剤をトリメチロールプロパントリアクリレートに変更する以外は、例1の手順を繰り返す。全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの流れるように動く粉末サンプル4が得られる。粉末ゴムの粒度は、約150nmと測定され(図1参照)、ゲル含有量は93.3%、また膨張指数は5.8である。
例5
重量の45%の固形含有量を有する市販のブタジエン−スチレンゴムラテックス(Lanzhou Petrochemical Companyより入手可能,指定:Dingben-50)5kgを容器に入れ、67.5gのイソ−オクチルアクリレートを攪拌しながら滴状で加える。攪拌は、イソ−オクチルアクリレートの滴下が終了後1時間続ける。その後、ゴムラテックスを、2.5メガラドの照射線量と50Gy/分の照射線量率を備えたコバルト−60で照射する。照射されたラテックスを、140ないし160℃の入口温度と40ないし60℃の出口温度を備えた噴霧乾燥器で乾燥させ、乾燥したブタジエン−スチレンゴム粉末を遠心式分離器で採取し、全硫化ブタジエン−スチレンゴムの流れるように動く粉末サンプル1が得られる。粉末ゴムの粒度は、約100nmと測定され、ゲル含有量は90.0%、また膨張指数は12.9である。
例6
架橋剤をトリメチロールプロパントリアクリレートに変更する以外は、例5の手順を繰り返す。全硫化ブタジエン−スチレンゴムの流れるように動く粉末サンプル2が得られる。粉末ゴムの粒度は、約100nmと測定され、ゲル含有量は90.4%、また膨張指数は11.6である。
例7
重量の45%の固形含有量を有する市販のカルボキシルニトリルゴムラテックス(Lanzhou Petrochemical Companyより入手可能,指定:Dingben-50)5kgを容器に入れ、67.5gのイソ−オクチルアクリレートを攪拌しながら滴状で加える。攪拌は、イソ−オクチルアクリレートの滴下が終了後1時間続ける。その後、ゴムラテックスを、2.5メガラドの照射線量と50Gy/分の照射線量率を備えたコバルト−60で照射する。照射されたラテックスを、140ないし160℃の入口温度と40ないし60℃の出口温度を備えた噴霧乾燥器で乾燥させ、乾燥したカルボキシルニトリルゴム粉末を遠心式分離器で採取し、全硫化カルボキシルニトリルゴムの流れるように動く粉末サンプル1が得られる。粉末ゴムの粒度は、約50nmと測定され、ゲル含有量は96.1%、また膨張指数は7.5である。
例8
架橋剤をトリメチロールプロパントリアクリレートに変更する以外は、例7の手順を繰り返す。全硫化カルボキシルニトリルゴムの流れるように動く粉末サンプル2が得られる。粉末ゴムの粒度は、約50nmと測定され、ゲル含有量は97.1%、また膨張指数は6.7である。
例9
重量の48%の固形含有量を有する市販のブチルアクリレートゴムラテックス(Beijing Dongfang Chemicalsより入手可能,指定:BC-01)5kgを容器に入れ、72gのイソ−オクチルアクリレートを攪拌しながら滴状で加える。攪拌は、イソ−オクチルアクリレートの滴下が終了後1時間続ける。その後、ゴムラテックスを、2.5メガラドの照射線量と50Gy/分の照射線量率を備えたコバルト−60で照射する。照射されたラテックスを、140ないし160℃の入口温度と40ないし50℃の出口温度を備えた噴霧乾燥器で乾燥させ、乾燥したブチルアクリレートゴム粉末を遠心式分離器で採取し、全硫化ブチルアクリレートゴムの流れるように動く粉末サンプル1が得られる。粉末ゴムの粒度は、約100nmと測定され、ゲル含有量は87.5%、また膨張指数は12.2である。
例10
架橋剤をトリメチロールプロパントリアクリレートに変更する以外は、例9の手順を繰り返す。全硫化ブチルアクリレートゴムの流れるように動く粉末サンプル2が得られる。粉末ゴムの粒度は、約100nmと測定され、ゲル含有量は87.7%、また膨張指数は11.0である。
例11
重量の60%の固形含有量を有する天然ゴムラテックス(Beijing Latex Manufacturerより入手可能)5kgを容器に入れ、150gのトリメチロールプロパントリアクリレートを攪拌しながら滴状で加える。攪拌は、トリメチロールプロパントリアクリレートの滴下が終了後1時間続ける。その後、ゴムラテックスを、15メガラドの照射線量と50Gy/分の照射線量率を備えたコバルト−60で照射する。照射されたラテックスを、140ないし160℃の入口温度と40ないし50℃の出口温度を備えた噴霧乾燥器で乾燥させ、乾燥した天然ゴム粉末を遠心式分離器で採取し、全硫化天然ゴムの流れるように動く粉末サンプル1が得られる。粉末ゴムの粒度は、約500nmと測定され、ゲル含有量は94.1%、また膨張指数は12.8である。
例12
全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの粉末サンプル1(例1において得られた)とナイロン−6(指定:1013B, UBE Industries, Ltd.(日本)製造)を、ZSK−25二軸スクリュー押出機(WP Company,ドイツ)において、75:25の割合で調合し、球粒を造る。押出機の個々のセクションの温度は、それぞれ210℃,225℃,225℃,225℃,230℃,及び225℃(押出機上部)に設定する。得られた粒剤をそれぞれ圧縮し、標準シート標本に射出成形する。これらの標本で試験された全硫化ブタジエン−スチレンゴム/ナイロン−6熱可塑性エラストマの特性が下記の表1に要約されている。
例13
全硫化天然ゴムの粉末サンプル(例11で得られた)と高密度ポリエチレン樹脂(指定:J-1, Second Beijing Agents Manufacturer製造)をブラベンダー(登録商標)捏和機において75:25の割合で2分間調合し、捏和機のための油浴の温度を160℃に設定する。得られた物質を、標準標本を用意するために二軸ロール製粉機(温度:160℃)でシートに圧縮する。これらの標本で試験された全硫化天然ゴム/ポリエチレン熱可塑性エラストマの特性が下記の表1に要約されている。
Figure 0005069407
例14
ナイロン−6(指定:1013B, UBE Industries, Ltd.(日本)製造)に、20%の全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの粉末サンプル1(例1で得られた),0.6%のステアリン酸カルシウム及び0.8%の細かく分離した凍石粉末を加え、結果として生じた混合物を高速で3分間混ぜ合わせ、そしてZSK−25二軸スクリュー押出機(WP Company,ドイツ)において調合し、球粒を造る。押出機の個々のセクションの温度は、それぞれ230℃,235℃,240℃,245℃,240℃,及び235℃に設定する。オーブンで乾燥させた後、得られた粒剤を標準シート標本に射出成形する。ASTM試験方法によって測定された超強化ナイロン−6の特性が下記の表2に要約されている。原子力顕微鏡写真によって得られた粒子分布グラフが図2に示されている。(分散相におけるゴム粒子の粒度は150nmである。)
比較例1
例14で使われたナイロン−6が、標準標本に誘導されて射出成形され、特性試験結果が下記の表2に要約されている。
例15
ポリオキシメチレン(指定:4520, 旭化成工業株式会社(日本)製造)に28%の全硫化カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの粉末サンプル1(例1で得られた),1.2%のステアリン酸カルシウム,0.6%の細かく分離した凍石粉末,0.3%のポリエチレンワックス及び0.4%の酸化防止剤IRGANOXTM1010(Ciba-Geigyより入手可能)を加え、結果として生じた混合物を高速(1500rpm)で3分間混ぜ合わせ、そしてZSK−25二軸スクリュー押出機(WP Company,ドイツ)において調合し、球粒を造る。押出機の個々のセクションの温度は、それぞれ175℃,180℃,185℃,185℃,180℃,及び175℃に設定する。オーブンで乾燥させた後、得られた粒剤を標準シート標本に射出成形する。ASTM試験方法によって測定された強化ポリオキシメチレンの特性が下記の表2に要約されている。
比較例2
例15で使われたポリオキシメチレンが、標準標本に誘導されて射出成形され、特性試験結果が下記の表2に要約されている。
Figure 0005069407
全硫化粉末ゴムは、強化プラスチックや全硫化熱可塑性エラストマを製作するのに用いられ、有望な見込みと大きな経済的意義を有する。
例4において得られた全硫化粉末カルボキシルブタジエン−スチレンゴムの2万倍に拡大された走査型電子顕微鏡写真である。 例14において得られたサンプルの4万倍に拡大された原子力顕微鏡写真である。

Claims (21)

  1. 重量%あるいはそれ以上のゲル含有量、及び20ないし2000nmの平均粒度を有する、ゴムラテックスを照射によって硫化することにより得られる全硫化粉末ゴムであり、粉末ゴム中に存在する粒子の各々は均質であり、前記全硫化粉末ゴムは、粉末シリコーンゴムを含まないものであり、
    前記ゴムラテックスは、天然ゴム,スチレン−ブタジエンゴム,カルボキシルスチレン−ブタジエンゴム,ニトリルゴム,カルボキシルニトリルゴム,クロロプレンゴム,ポリブタジエンゴム,アクリルゴム,ブタジエン−スチレン−ビニルピリジンゴム,イソプレンゴム,ブチルゴム,ポリスルフィドゴム,アクリレート−ブタジエンゴム,ウレタンゴム,及びフッ素ゴムで構成されるグループから選択されることを特徴とする全硫化粉末ゴム。
  2. 粉末ゴムが、30ないし1500nmの粒度を有することを特徴とする請求項1に記載の全硫化粉末ゴム。
  3. 粉末ゴムが、50ないし500nmの粒度を有することを特徴とする請求項1に記載の全硫化粉末ゴム。
  4. 粉末ゴムが、75重量%またはそれ以上のゲル含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の全硫化粉末ゴム。
  5. 粉末ゴムが、90重量%またはそれ以上のゲル含有量を有することを特徴とする請求項1に記載の全硫化粉末ゴム。
  6. 1)ゴムラテックスを照射によって硫化するステップと、
    2)前記照射後、前記照射されたラテックスを乾燥するステップとを含む、
    ここで、前記ゴムラテックスは、天然ゴム,スチレン−ブタジエンゴム,カルボキシルスチレン−ブタジエンゴム,ニトリルゴム,カルボキシルニトリルゴム,クロロプレンゴム,ポリブタジエンゴム,アクリルゴム,ブタジエン−スチレン−ビニルピリジンゴム,イソプレンゴム,ブチルゴム,ポリスルフィドゴム,アクリレート−ブタジエンゴム,ウレタンゴム,及びフッ素ゴムで構成されるグループから選択される
    ことを特徴とする全硫化粉末ゴムを調製するための方法
  7. 架橋剤の存在下、または非存在下において、ゴムラテックスが高エネルギー源で照射されることを特徴とする請求項6に記載の方法
  8. 高エネルギー源が、コバルト源,X線,紫外線,及び高エネルギー電子ビームから選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法
  9. 高エネルギー源が、コバルト源であることを特徴とする請求項7に記載の方法
  10. ゴムラテックスが、単官能基架橋剤,二官能基架橋剤,三官能基架橋剤,四官能基架橋剤,多官能基架橋剤、及びそれらのいずれかの組合せから選択された架橋剤の存在する中で照射されることを特徴とする請求項6に記載の方法
  11. 架橋剤が、オクチルアクリレート(メタクリレート),イソオクチルアクリレート(メタクリレート),グリシジルアクリレート(メタクリレート),1,4−ブタンジオールジアクリレート(ジメタクリレート),1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(ジメタクリレート),ジグリコールジアクリレート(ジメタクリレート),トリグリコールジアクリレート(ジメタクリレート),ネオペンチルグリコールジアクリレート(ジメタクリレート),ジビニルベンゼン,トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメタクリレート),ペンタエリトリトールトリアクリレート(トリメタクリレート),ペンタエリトリトールテトラアクリレート(テトラメタクリレート),エトキシレート化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(テトラメタクリレート),ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(ペンタメタクリレート)、及びそれらの任意の組合せで構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項10に記載の方法
  12. 乾燥が、噴霧乾燥器において、または沈殿乾燥によって行なわれることを特徴とする請求項6に記載の方法
  13. 乾燥が、噴霧乾燥器において行われることを特徴とする請求項12に記載の方法
  14. 照射線量が、0.1ないし30メガラドの範囲であることを特徴とする請求項6に記載の方法
  15. 照射線量が、0.5ないし20メガラドの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の方法
  16. 架橋剤の量が、ゴムの正味重量に基づいて、0.1ないし10重量%であることを特徴とする請求項10に記載の方法
  17. 架橋剤の量が、ゴムの正味重量に基づいて、0.5ないし9重量%であることを特徴とする請求項10に記載の方法
  18. 架橋剤の量が、ゴムの正味重量に基づいて、0.7ないし7重量%であることを特徴とする請求項10に記載の方法
  19. 噴霧乾燥器の入口温度が100ないし200℃、及び出口温度が20ないし80℃であることを特徴とする請求項13に記載の方法
  20. 請求項1に記載の全硫化粉末ゴムと、プラスチックを含む、強化プラスチックまたは熱可塑性エラストマを調製するのに使用可能な組成物。
  21. プラスチックを強化するための、または全硫化熱可塑性エラストマを調製するための、請求項1に記載の全硫化粉末ゴムの使用。
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