JPH06157991A - 樹脂改質材および改質合成樹脂組成物 - Google Patents

樹脂改質材および改質合成樹脂組成物

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JPH06157991A
JPH06157991A JP4332396A JP33239692A JPH06157991A JP H06157991 A JPH06157991 A JP H06157991A JP 4332396 A JP4332396 A JP 4332396A JP 33239692 A JP33239692 A JP 33239692A JP H06157991 A JPH06157991 A JP H06157991A
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gelatin powder
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邦晴 秦
Taiji Noda
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、平均粒径5〜30μmを有し、か
つ架橋された不溶性のゼラチン粉末又は膠粉末からなる
樹脂改質材である。 【効果】 本発明によれば、不溶化されたゼラチンが簡
便にしかも低コストで製造することができる。本発明の
不溶化されたゼラチンを配合した合成樹脂及びゴム成型
物は従来のものに比べ、吸湿性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゼラチン粉末又は膠粉末
からなる樹脂改質材に関する。本発明のゼラチン粉末及
び膠粉末は、合成樹脂あるいはゴム組成物に配合あるい
は付着させ改質材として用いられる。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂あるいはゴム組成物から成形さ
れたシート、フィルム、合成レザー、等は帯電により表
面が汚染され醜くなったり、吸放湿特性の不足、プラス
チック的な感触など使用者に対して違和感を与え、天然
物に比べて感触が好ましくない。 このような合成樹脂
の性質を改良するために特開昭53−121902号、
特開平1−197600号公報には、合成樹脂中に皮革
粉を配合することが開示されている。しかしながら、皮
革粉は繊維質で微粉砕が困難であり、流動性が低いため
樹脂に配合した場合、表面の平滑な製品や薄物製品を製
造することは困難である。また、皮革粉自体の吸放湿性
も低いため、得られた成型品の吸放湿特性は小さい。ま
た、油脂分が多く加熱成型する際、成型品表面に油脂が
ブリードしてべたつき感を生じたり、汚染の原因となり
吸湿性も低い。
【0003】また、特開昭63−147635号、15
2480号及び152485号には同様の目的でゼラチ
ンを用いることが開示されている。ゼラチンは油脂分の
含有率も少なく、吸放湿性、帯電防止性、均一分散性が
皮革粉に比べて優れている。しかしながら、ゼラチンは
親水性が非常に大きく樹脂との親和性が悪い。このた
め、合成樹脂にゼラチンを多量に添加すると相分離を起
こしたり、表面のべたつき感が発生し、強度の低下も生
じやすい。
【0004】このようにゼラチン粉末は合成樹脂の改質
に好ましいが親水性の大きいことが問題である。このよ
うな欠点を回避すると共に通気性を付与するために、ゼ
ラチンを合成樹脂に配合した後、熱水処理を行い未反応
のゼラチンを溶出させる方法(特開昭63−15248
2号)も提案されている。しかしながらこのような方法
では工程が複雑となり加工費の上昇を招き、溶出条件に
よっては添加したゼラチンの90%以上が溶出してしま
うため排水処理が必要となる。
【0005】これらの問題を解決するために、100μ
m以下の不溶化ゼラチン微粉末を、合成樹脂に配合する
ことも開示されている(特開平3−237165号)が、
ここで使用されている不溶化ゼラチンは、最も小さいも
のでも粒径45ミクロンほどであり、その不溶化方法
も、従来公知の加熱によるもの、あるいは溶液状での不
溶化反応によるものである。
【0006】ゼラチンを不溶化する方法としては、ゼラ
チンの溶液をホルマリン、グルタルアルデヒド、クロム
明ばん等のゼラチンの架橋剤で処理する方法があるが、
この方法ではゼラチン自身が高分子でありその溶液の粘
度が高いため、不溶化度合をかなり高くした場合は、強
固なゲルを形成し、その後の処理に苦慮する場合があ
る。
【0007】他の方法としては、100〜200℃の高
温で加熱したり、赤外線や紫外線照射する方法などがあ
るが、これらの方法では、ゼラチン自身が変性するため
問題の生じることがある。さらにゼラチンの親水性を調
整する方法として、ゼラチンのアミノ基、カシボキシル
基、水酸基などの官能基の反応を利用した化学修飾法、
酵素法、グラフト重合法等があるが、これらの方法では
工程が複雑になり、修飾度合、グラフト度合などの制御
が難しく品質安定性に問題があり、製造コストも高くな
るなどいずれも工業的実現性が困難である。
【0008】また、ゴム組成物においても、吸湿性及び
帯電防止性を有するゴム製品を製造する目的で、ゴム原
料配合物に膠を加えて混練する方法が従来より知られて
いる。この方法では、膠を一旦温水に溶解し、冷却によ
り膠をゲル化し、次いでゴムと混練していた。しかしな
がら、膠自身が高分子であるため、このような方法では
溶液状態での粘度が高く濃厚溶液を得る場合は、多くの
時間と手間を必要としていた。また、ゴム原料と膠とを
混練する場合、混練ローラーに対するこれら混合物の接
着性が悪いなどの問題もある。これらの問題を解決し、
得られるゴム製品の吸湿性を向上させ、帯電性を減少さ
せる方法として軽度に硬化してから微粉化し、次いで水
分で膨潤した状態の粉末をゴム配合物と混練する方法
(特公昭48−23661号)も知られているが粒径の違
いについては検討がなされておらず、硬化度合も低い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、吸放
湿性に優れ、不溶化後の状態が安定で凝集等の問題が起
こらず、取扱いが簡便なゼラチン粉末又は膠粉末ん樹脂
改質材を提供することにある。更に、本発明の目的は、
この樹脂改質材を製造するに当たって、簡便に、しかも
低コストで、品質安定性に優れた方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題について鋭意検討を重ねた結果、意外にも平均粒径5
〜30μmを有し、かつ架橋された不溶性のゼラチン粉
末又は膠粉末からなる樹脂改質材が上述の問題点を解決
し、かつゼラチン粉末を固体のまま架橋剤で処理するこ
とにより、そのゼラチン粉末が不溶化できることを見い
だし本発明を完成した。本発明は固体のゼラチン粉末ま
たは膠粉末を流動状態に保持した架橋剤と接触させ、不
溶化反応を行うことを特徴とする。
【0011】不溶化反応に用いるゼラチン粉末の平均粒
径は、5〜30μm、好ましくは5〜25μm、更に好
ましくは10〜20μmである。本発明において「架橋
され、不溶化されてなる」とは、粉末の全部又は一部が
架橋され、このため不溶化されていることを意味し、一
部が架橋されている場合とは、粉末の粒子表面のみが架
橋された場合等、不均一な架橋状態を含むものとする。
ゼラチン粉末の架橋割合は目的に応じ任意に選択してよ
いが、不溶化度合が5%以上であればよい。更に好まし
くは、不溶化度合が80%以上であるものがよい。
【0012】不溶化度合は、ゼラチン微粉末1gを99
mLの水に分散させ、70℃にて10分間撹拌後、遠心
分離(10000G×20分間)により、固液分離を行い、上
澄み液の窒素量をセミミクロケルダール法により求め、
以下の式より算出したものをいう。
【0013】 不溶化度合(%)={(a−x)/a}×100 a:比較試料1gのセミミクロケルダール値 X:上澄み液のセミミクロケルダール値 本発明の反応に供される原料ゼラチンとしては、牛皮、
豚皮、牛骨等のいずれから得られたものであってもよ
く、また、酸、アルカリのいずれによって処理されたゼ
ラチンであってもよい。
【0014】用いるゼラチン粉末は、微粉砕の効果を考
えると細かいものが好ましいが、12メッシュ程度以下
の物であればよい。このようなゼラチン粉末は、例えば
12〜22メッシュパス程度の粒径のものをファインビ
クトリーミル、ジェット粉砕機などを用いて微粉砕した
後、フルイ分けして得られる。
【0015】一方、架橋剤としては、ホルマリン、グル
タルアルデヒドのようなアルデヒド類、エポキシドなど
のエポキシ基を有する有機化合物、明ばん類などゼラチ
ンの架橋剤として従来公知のものがいずれも用いられて
もよい。これら架橋剤は前記のゼラチン粉末に対して気
体、液体、あるいは霧状などの流動状態で反応に供され
る。
【0016】例えば、ホルマリンのような低沸点の架橋
剤は気体で用いられる。また、常温で液状の架橋剤は、
空気中に浮遊した微粒子ゼラチンに対して、霧状にして
接触反応させてもよく、また分散媒体中に微粒子ゼラチ
ンを分散させ、これに架橋剤を添加して接触反応させ、
反応後に溶媒を蒸発させてもよい。
【0017】ゼラチン微粒子と架橋剤の反応条件は、ゼ
ラチンの粒径、架橋剤の種類および反応方法により異な
るが常温〜150℃にて1時間〜1週間程度行うのが好
ましい。例えば、ゼラチンに対して架橋剤としてホルマ
リンを用いる場合は、ホルマリン上記の雰囲気中、常温
〜80℃にて1〜7日間処理する。従来よりホルマリ
ン、グルタルアルデヒドなどのゼラチンの架橋剤を用い
てゼラチンの親水性を調整する方法は知られているが、
いずれも前記のとおりゼラチン溶液との液相反応であ
る。本発明はゼラチン粉末を固形のまま、これらの架橋
剤とを反応させるものであり本質的に異なる。
【0018】つぎに本発明を実施例にもとづきさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0019】
【実施例】
[実施例1]アルカリ処理したオセインより得られたゼ
ラチン粉末(12メッシュパス)をさらにジェットミル粉
砕機にて微粉砕し、平均粒径15μmのゼラチン微粉末
を得た。このゼラチン微粉末各50gを5つの密閉式ポ
リエチレン製容器(16×23×9cm)中に薄く敷い
た。ガラスビーカー(30ml)にホルマリン(37%濃
度)5mlを入れたものを4つ用意し、これを前記密閉
式ポリ容器内みに一緒に入れ密閉状態(25℃)にて各々
24時間、48時間、72時間及び96時間静置した。
残りの1つは比較試料とした。
【0020】それぞれ所定時間経過後ゼラチン微粉末を
取り出し、よく混合してサンプリングし、前記の方法に
より不溶化度を調べた。また、反応時間96時間の不溶
化ゼラチン粉末については、沸騰水中で5分間及び10
分間撹拌した後、同様の方法を用いて不溶化度合(%)を
測定した。これらの結果を表1に示す。
【0021】 [表1] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 反応時間(時間) 24 48 72 96 ──────────────────────────────────── 不溶化 70℃ 10分間 22 48 75 88 度 合 沸騰水中 5分間 − − − 78 (%) 〃 10分間 − − − 55 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この結果からゼラチン粉末とホルマリンガスとの気固反
応でも充分に不溶化反応が進行することがわかる。ま
た、不溶化後もゼラチン粉末同士の凝集は見られず取り
扱いも容易であった。
【0022】[実施例2]実施例1と同様のゼラチン粉
末(12メッシュパス)をジェットミル粉砕機にて微粉砕
し、平均粒径が5、15、25、35、100μmの5
種類のゼラチン微粉末を得た。これらのゼラチン微粉末
を各々実施例1と同様にして40℃にて96時間ホルマ
リン雰囲気中に静置し不溶化度合96%のゼラチンを得
た。
【0023】つぎに得られたゼラチン微粉末を改質剤と
して用い改質合成ゴムシートを成型した。成型は、合成
ゴム(SBR)100部を混練ローラーで練りながら、前
記各ゼラチン改質剤20部、カーボンブラック50部お
よび硫黄2部、軟化剤8部、老化防止剤1部を添加し、
均一に混練して行った。得られたゴムシートを、相対湿
度90%(30℃)の雰囲気下にて、10、20、3
0、60分間保持したときの吸湿性(g/m2)を測定し
た。結果を表2に示す。
【0024】 [表2] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 時 間 (分) ゼラチン粒径 ───────────────────── (μm) 10 20 30 60 ──────────────────────────────────── 5 1.42 1.61 1.82 2.31 15 1.39 1.58 1.80 2.30 25 1.36 1.56 1.79 2.30 35 1.13 1.49 1.70 2.28 100 0.80 1.05 1.40 2.15 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 表2より明らかなごとく、本発明のゼラチン改質剤を用
いた合成ゴムシートは、特に優れた吸湿性を示す。
【0025】[実施例3]実施例1で製造した不溶化度
合の異なる4種類のゼラチン粉末(不溶化度合:22、
48、75、88%;平均粒径15μm)および比較試
料(不溶化度合:0%)を各々改質剤として用いて6種類
の改質合成樹脂フィルムを成型した。
【0026】成型は、ウレタン樹脂剤50部、ジメチル
ホルムアミド50部および改質剤10部を撹拌混合し、
その混合液を離型紙上に厚さ50μmにコーティングし
て行った。これを乾燥した後、離型紙よりコーティング
皮膜を剥がしてフィルムを得た。得られたフィルムを裁
断し、試料No.1〜5については、80℃の温水中に
1時間保持した後、50℃で乾燥し吸湿性試験を行っ
た。
【0027】吸湿試験は相対湿度90%(30℃)の雰囲
気下にて、1、6、12、18時間保持した後、フィル
ムの重量を測定した。フィルムの吸湿量(g/m2)を以
下に示す。
【0028】 [表3] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試料 時 間 No 不溶化度合(%) 1 6 12 18 ──────────────────────────────────── 1 0 0.91 2.93 3.18 3.52 2 22 2.02 3.25 3.44 3.80 3 48 2.31 3.38 3.61 3.93 4 75 2.40 3.50 3.86 4.18 5 88 2.72 3.72 3.99 4.42 6 無添加 0.22 0.28 0.29 0.31 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 上記の結果より比較試料(No.1)を用いたフィルム及
びゼラチン粉末を配合しないフィルム(No.6)は、本
発明の改質剤を配合したフィルムに比べて吸湿性が劣
る。また、不溶化度合80%を越える試料No.5の改質
剤は非常に優れた効果を示す。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、不溶化されたゼラチン
が簡便にしかも低コストで製造することができる。本発
明の不溶化されたゼラチンを配合した合成樹脂及びゴム
成型物は従来のものに比べ、吸湿性に優れる。不溶化ゼ
ラチンの粒径が5〜25μmであると、特に吸湿速度が
速く吸湿性に優れる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径5〜30μmを有し、かつ架橋
    された不溶性のゼラチン粉末又は膠粉末からなる樹脂改
    質材。
  2. 【請求項2】 不溶化度合が80%以上である請求項1
    記載の樹脂改質材。
  3. 【請求項3】 固体のゼラチン粉末又は膠粉末を、流動
    状態に保持した架橋材と接触させ不溶化反応を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の樹脂改質材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の樹脂改質材を配合した改
    質合成樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の樹脂改質材を配合した改
    質ゴム組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002084A (ja) * 2005-06-23 2007-01-11 Electric Power Dev Co Ltd 天然系接着剤およびその製造方法
JP2010227052A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Nitta Gelatin Inc 粘性付与剤および液状食品

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