JP5065624B2 - 電流−電圧非直線抵抗体および避雷器 - Google Patents

電流−電圧非直線抵抗体および避雷器 Download PDF

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本発明は、酸化亜鉛を主成分とした電流−電圧非直線抵抗体及びこれを主成分とした避雷器に関わり、特に、主成分に含有される副成分の成分構成に改良を加えた電流−電圧非直線抵抗体に関するものである。
一般に、電力系統や電子機器回路においては、正常な電圧に重畳される過電圧を除去し、電力系統や電子機器を保護するため、避雷器やサージアブソーバなどの過電圧保護装置が用いられている。そして、この過電圧保護装置には、電流−電圧非直線抵抗体が多用されている。この電流−電圧非直線抵抗体は、正常な電圧ではほぼ絶縁特性を示し、過電圧が印加されると低抵抗値となる特性を有する。
この電流−電圧非直線抵抗体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として、これに副成分として、Bi、Co、MnO、Sb、NiOが添加されたものを原料としている(特許文献1参照)。これらの原料は水およびバインダーとともに十分混合された後、スプレードライヤーなどで造粒され、成形および焼結されて焼結体が構成される。この後、焼結体の側面に沿面閃絡を防止するための絶縁物質が塗布、熱処理され側面絶縁層が形成される。そして、焼結体の両端面が研磨されて電極が取り付けられることにより、電流−電圧非直線抵抗体が製造される。
ところで、近年の電力需要の増大に伴う変電所の大容量化や、地下変電所の設置に伴う変電機器の小型縮小化が求められている。酸化亜鉛を主成分とする電流−電圧非直線抵抗体はその優れた非直線抵抗特性により、避雷器に用いられているが、その電流−電圧非直線抵抗体の抵抗値を向上させると、避雷器に積層される電流−電圧非直線抵抗体の枚数を低減し、避雷器の小型縮小化を達成することができる。そのため、電流−電圧非直線抵抗体の抵抗値の向上が益々要求されている。
例えば、特許文献2に開示されている技術によれば、Bi、Co、MnO、Sb、NiOなどの副成分の含有量を限定し、さらに、ZnOを主成分とした焼結体に含まれるBiの結晶相を限定することにより、抵抗値が高く、かつ、優れた非直線抵抗特性を有する電流−電圧非直線抵抗体を提供することができる。
また、特許文献3、特許文献4または特許文献5などに開示されている技術によれば、酸化亜鉛を主成分として、Bi、Co、MnO、Sbなどを添加した電流−電圧非直線抵抗体において、希土類酸化物を添加することにより、抵抗値が高く、優れた特性を有する電流−電圧非直線抵抗体を提供することができる。
特公平4―25681号公報 特開2001−307909号公報 特許第2933881号公報 特許第2940486号公報 特許第3165410号公報
しかしながら、現在、電流−電圧非直線抵抗体に要求される特性は益々厳しくなっており、前述した従来の技術では要求特性を満足することができなかった。
具体的には、電流−電圧非直線抵抗体を高抵抗化すると、サージエネルギー吸収量が高くなるため、サージエネルギーを吸収したときに電流−電圧非直線抵抗体のジュール発熱による発熱温度が高くなる。電流−電圧非直線抵抗体は温度が高くなると抵抗値が低下する特性を有するため、温度が高くなりすぎると漏れ電流が大きくなり、サージエネルギー吸収後の商用周波電流により熱暴走して電流−電圧非直線抵抗体が破壊してしまうため、十分に高抵抗化した非直線抵抗体や直径の小さい素子を適用することができなかった。
また、最近では、避雷器の小型化、低コスト化のため、できるだけ直径の小さな非直線抵抗体を適用することが求められているが、前記のような従来技術では、その小型化にも限界があった。
本発明は上記の点を考慮して提案されたものであり、その目的は、避雷器の小型化を図ることができる高抵抗化した電流−電圧非直線抵抗体や直径の小さい非直線抵抗体において、非直線抵抗特性、寿命特性に優れるととともに、特に、電流−電圧非直線抵抗体が温度上昇したときに抵抗値の低下度合いを小さくする、つまり、熱安定性に優れた電流−電圧非直線抵抗体および十分に小型化された避雷器を提供することにある。
本発明の電流−電圧非直線抵抗体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、副成分としてビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)をそれぞれBi、Co、MnO、Sb、NiOに換算して、Biを0.3〜1.5mol%、Coを0.3〜2.0mol%、MnOを0.4〜3mol%、Sbを0.5〜4mol%、NiOを0.5〜4mol%含み、かつ、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、エリビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、イッテリビウム(Yb)のうち少なくとも一種の希土類元素Rの酸化物をRに換算して0.05〜1.0mol%含み、さらに、ZnOの含有量が90mol%以上の焼結体からなり、焼結体中のBi 結晶相における、α-Bi 相(斜方晶系)が全Bi 相の80%以上を占めていることを特徴とする。
上記各成分のうち、Biは焼結体の主成分であるZnOの粒界に存在して非直線抵抗特性を発現させる成分であり、また、ZnO結晶の粒成長を促進させる効果がある。SbはZnOとともにスピネル(Zn7Sb2O12)粒子を形成して焼結中のZnO粒子の粒成長を制御、均一化する働きをして、非直線抵抗特性を向上させる効果とZnO結晶の粒成長を抑制する効果がある。Co、NiO、MnOは主にスピネル粒子に固溶して、非直線抵抗特性を向上させる効果がある。希土類元素はZnO、Sb、Biなどと複合酸化物を形成し、ZnO結晶の粒成長を抑制する効果がある。
ここで、電流−電圧非直線抵抗体を高抵抗化するために、Sb、Co、NiO、MnOの添加物量が多くなると、抵抗値の温度依存性が大きくなり、熱安定性が低下してしまう。また、高抵抗化効果を有する希土類元素の添加により、高抵抗化すると、Sb、Co、NiO、MnOの添加物量を低減することができ、電流−電圧非直線抵抗体の熱安定性を向上させることができる。
本発明において、前記成分組成範囲内としたことにより生じる各現象に起因して、非直線抵抗特性、熱安定性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を得ることができる。その結果、本発明によれば、高い抵抗値と優れた熱安定性を有し、非直線抵抗特性、寿命特性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を得ることで、避雷器およびサージアブソーバー等の過電圧保護装置の小型化が実現できる。
(1)第1の実施の形態…請求項1に対応
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1及び表1を参照して説明する。
最終的に得られる電流−電圧非直線抵抗体の成分含有量が、表1に示す試料番号1ないし試料番号51の値となるように、主成分としてのZnOに対して副成分としてのBi、Co、MnO、Sb、NiOおよびYを所定量秤量したものを原料とする。
この原料を水と有機バインダー類とともに混合装置に入れ混合して、均一なスラリーをそれぞれ、調整した。尚、ここでは全て試料に関してアルミニウムを水酸化アルミニウム(Al(NO)・9HO)水溶液として0.003mol%添加している。次に得られた各スラリーをスプレードライヤーで噴霧造粒することにより粒径100μm程度の造粒粉を作製した。
得られた造粒粉を金型に入れ加圧し、直径125mm、厚さ30mmの円板に成形し、成形体を500℃に加熱することにより、添加した有機バインダー類を除去した後、さらに、1100℃で2時間、焼成した。
次に、図1に示すように焼結体1の側面に無機絶縁物を塗布、熱処理して側面絶縁層2を形成した。さらに、側面絶縁層を設けた焼結体の上下両端面を研磨した後、焼結体1の研磨面に電極3を溶射により作製することにより、電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
作製した種々の電流−電圧非直線抵抗体は動作開始電圧(1mAの交流電流を流した時の電圧、V1mA)を測定した。この動作開始電圧が高いほど、避雷器に積層する電流−電圧非直線抵抗体枚数を低減することができる。
更に、10kAの8×20μsインパルス電流を流した時の電圧(V10kA)を測定し、動作開始電圧(V1mA)との比(V10kA/V1mA)を非直線性係数として、評価した。この非直線性係数の値は小さいほど、非直線抵抗特性が優れることを示す。
また、熱安定性の評価としては、200℃の恒温槽にて動作開始電圧の90%の交流電圧を印加したときの抵抗分漏れ電流を測定し、評価した。すなわち、この200℃における高温漏れ電流が小さいほど、熱安定性に優れていることを示す。
尚、添加成分組成の異なる素子はそれぞれの組成で10pずつ測定し、その平均値をその組成の値とした。測定結果を表1に示す。表1に示す*印をつけた試料番号は本発明の請求範囲外の組成を有するものであり、比較を行うために作製した試料である。
Figure 0005065624
表1に示した結果から明らかなように、比較例として挙げた*印を付けた試料番号は、以下の優れた電流−電圧非直線抵抗体の条件を満足していない。
・動作開始開始電圧(V1mA)>400V/mm
・非直線性(V10kA/V1mA)<1.50
・高温漏れ電流(200℃)<15mA
本発明において、このように組成成分範囲を規定したが、これは本範囲を外れると十分に高抵抗化した非直線抵抗体が得られない、もしくは、非直線抵抗体の熱安定性または非直線抵抗特性が悪化してしまうからである。
これに対して、本発明の範囲内の組成範囲を規定することにより、動作開始電圧、非直線性、高温漏れ電流の3特性ともに優れていることを示している。すなわち、本発明において、このように組成成分範囲を規定したが、これは本範囲を外れると熱安定性または非直線抵抗特性が悪化してしまうからである。
また、本実施形態では、希土類酸化物としてイットリウム(Y)の酸化物を用いて示しているが、その他の希土類元素である、ユウロピウム(Eu)、エリビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、イッテリビウム(Yb)の酸化物を用いても、イットリウム(Y)の酸化物と同様な効果が得られる。
(2)第2の実施の形態…請求項2に対応
第2の実施の形態について、表2を参照して説明する。この第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態の原料に、Alの含有量をAl3+に換算して0.001〜0.015mol%の範囲としたものである。
電流−電圧非直線抵抗体の副成分含有量を主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBiを0.5mol%、Co、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb、NiOをそれぞれ、2mol%、Yを0.5mol%、Al(NO)・9HOをAl3+に換算して0.00005〜0.02mol%となるように秤量しそれぞれ添加して、前記第1の実施の形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
本実施の形態においては、これらの電流−電圧非直線抵抗体について前記第1の実施の形態に示した方法で非直線係数を測定し、非直線抵抗特性を評価した。非直線性係数を以下の表2に示す。また、表2において*印は本発明の請求範囲外である試料を示している。
表2から明らかなように、Alの含有量をAl3+に換算して0.001〜0.015mol%とすることにより、非直線抵抗特性を向上させることができることが明らかである。一方、AlはZnO粒子中に固溶し、ZnO粒子の電気抵抗を低下させることにより非直線抵抗特性を向上させる効果がある。このため、Al3+を0.001mol%以上添加することにより、優れた非直線抵抗特性を有することができる。また、0.015mol%より多く添加してしまうと、逆に非直線抵抗特性を悪化させてしまう。
本実施の形態においては、前記基本組成についてのみAlの含有効果を示したが、請求項1記載の基本組成範囲であれば同様な効果が得られることは確認済みである。
Figure 0005065624
(3)第3の実施の形態…請求項3に対応
第3の実施の形態を、表3を参照して説明する。この第3の実施の形態は、前記第2の実施の形態の原料に対して、AgOを0.001〜0.1wt%含有するように添加したものである。
本実施の形態においては、電流−電圧非直線抵抗体の副成分含有量を主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBiを0.5mol%、Co、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb、NiOをそれぞれ、2mol%、Yを0.5mol%、Al(NO)・9HOをAl3+に換算して0.003mol%となるように秤量しそれぞれ添加して、さらにこの基本組成に対し、AgOを0.001〜0.1wt%含有するように添加して、前記第1の実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
これらの電流−電圧非直線抵抗体について寿命特性を評価した。寿命特性評価では1mAの電流を流れたときの電圧(V1mA)を大気中、120℃の雰囲気で3000h印加し続け、その前後のV1mAを印加したときの漏れ電流(I)の変化率を測定した。
ここで変化率は、

(I(3000h後)―I(初期値))/I(初期値)×100

の式で表され、この漏れ電流変化率の値が負の値であれば、電流−電圧非直線抵抗体の寿命特性が優れていることを示す。漏れ電流変化率を以下の表3に示す。また、表3において*印は本発明の請求範囲外である試料を示している。
表3から明らかなようにAgOの含有量を0.005〜0.05wt%にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが明らかである。なお、本実施の形態においては前記基本組成についてのみAgの寿命特性への添加効果を示したが、請求項1記載または請求2記載の基本組成範囲であれば同様な効果が得られる。
Figure 0005065624
(4)第4実施の形態…請求項4に対応
第4の実施の形態を、表4を参照して説明する。この第4の実施の形態は、前記第1の実施の形態の原料に対して、Bを0.001〜0.1wt%含有するように添加したものである。
本実施の形態においては、電流−電圧非直線抵抗体の副成分含有量を主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBiを0.5mol%、Co、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb、NiOをそれぞれ、2mol%、Yを0.5mol%、Al(NO)・9HOをAlに換算して0.003mol%となるように秤量しそれぞれ添加して、さらにこの基本組成に対し、Bを0.001〜0.1wt%含有するように添加して、前記第1の実施の形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
これらの電流−電圧非直線抵抗体について前記第3の実施の形態に示した方法で寿命特性を評価した。漏れ電流変化率を以下の表4に示す。また、表4において*印は本発明の請求範囲外である試料を示している。表4から明らかなようにBの含有量を0.005〜0.05wt%にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが明らかである。
この第4の実施の形態及び前記第3の実施の形態に示すように、Ag、Bをそれぞれ単独で、または、同時に0.005〜0.05wt%添加することにより電流−電圧非直線抵抗体の寿命特性を大幅に向上させることができる。前記請求項1記載の基本組成のみでは課電率(常時、電流−電圧非直線抵抗体に印加される電圧)を高く設定した場合には寿命特性が不十分な場合があるが、Ag、Bを添加することにより、漏れ電流の経時変化が少なくなり、寿命特性が向上する。
この場合、Ag、Bの添加量がそれぞれ、AgOに換算して、または、ホウ素(B)をBに換算して0.005wt%未満の場合には寿命特性を向上させる効果が得られない。また、0.05wt%より多くなると、逆に寿命特性を劣化させてしまう。
尚、本実施の形態においては前記基本組成についてのみBの寿命特性への添加含有効果を示したが、請求項1乃至3記載の基本組成範囲であれば同様な効果が得られる。
Figure 0005065624
(5)第5実施の形態…請求項5に対応
第5の実施の形態を、表5を参照して説明する。この第5の実施の形態は、焼結体中のBi結晶相における、α-Bi相(斜方晶系)に着目したものである。
本実施の形態においては、電流−電圧非直線抵抗体の副成分含有量を主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBiを0.5mol%、Co、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb、NiOをそれぞれ、2mol%、Yを0.5mol%、Al(NO)・9HOをAlに換算して0.003mol%となるように秤量しそれぞれ添加して、前記第1の実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
ここで、側面絶縁層を形成するときの、熱処理条件を変えることによりBi結晶中に含まれるα-Bi結晶相の割合を変化させた。また、作製した電流−電圧非直線抵抗体の焼結体の粉末X線回折評価を行い、Bi結晶中に含まれるα-Bi結晶相の割合をX線強度ピーク比より算出した。
これらの電流−電圧非直線抵抗体について前記第3の実施の形態に示した方法で寿命特性を評価した。漏れ電流変化率を以下の表5に示す。また、表5において*印は本発明の請求範囲外である試料を示している。
表5から明らかなようにBi結晶中に含まれるα-Bi結晶相の割合を80%以上にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが明らかである。一方、焼結体中のBi相の結晶形態は、側面絶縁層を形成するときの熱処理条件などにより変化し、ZnO結晶粒界の電気特性の安定性に大きく影響を及ぼす。このため、焼結体中のBi結晶相における、α-Bi相(斜方晶系)が全Bi相の80%より少なくなると十分な寿命特性を得ることができない。
尚、本実施の形態においては前記基本組成についてのみBi結晶相の寿命特性への効果を示したが、請求項1乃至4記載の基本組成範囲であれば同様な効果が得られる。
Figure 0005065624
(6)第6の実施の形態…請求項6に対応
第6の実施の形態について、表6を参照して説明する。この第6の実施の形態は、前記各実施の形態に示した組成を有する原料の焼成時の降温速度を25℃/hとしたものである。
本実施の形態においては、電流−電圧非直線抵抗体の副成分含有量を主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBiを0.5mol%、Co、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb、NiOをそれぞれ、2mol%、Yを0.5mol%、Al(NO)・9HOをAlに換算して0.003mol%となるように秤量しそれぞれ添加して、前記第1の実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。焼成時の降温速度を20〜100℃/hに変化させて作製した。
これらの電流−電圧非直線抵抗体について前記第1の実施の形態に示した方法で熱安定性を評価した。熱安定性を表す高温漏れ電流を以下の表6に示す。また、表6において*印は本発明の請求範囲外である試料を示している。
表6から明らかなように焼成時の降温速度を25℃/h以上にすることにより、高温漏れ電流が少なく、熱安定性に優れた電流−電圧非直線抵抗体が得られることが明らかである。一方、電流−電圧非直線抵抗体の焼成時の冷却速度もZnO結晶粒界の電気特性の安定性に大きく影響を及ぼす。特に、電流−電圧特性の温度依存性、すなわち、熱安定性に影響を及ぼす。このため、焼成中の冷却時の降温速度を25℃/hより遅くすると、熱安定性が低下してしまう。
尚、本実施の形態においては前記基本組成についてのみ焼成時の降温速度の熱安定性への効果を示したが、請求項1乃至5記載の基本組成範囲であれば同様な効果が得られる。
Figure 0005065624
(7)第7の実施の形態…請求項7に対応
第7の実施の形態について、表7を参照して説明する。この第7の実施の形態は、前記各実施の形態に示した組成を有する原料を、1200℃以下の温度で焼成して電流−電圧非直線抵抗体を得ることを特徴とするものである。
電流−電圧非直線抵抗体の副成分含有量を主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBiを0.5mol%、Co、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb、NiOをそれぞれ、2mol%、Yを0.5mol%、Al(NO)・9HOをAlに換算して0.003mol%となるように秤量しそれぞれ添加して、前記第1の実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。焼成温度を1160〜1230℃に変化させて作製した。
これらの電流−電圧非直線抵抗体について前記第1の実施の形態に示した方法で熱安定性を評価した。熱安定性を表す高温漏れ電流と動作開始電圧を以下の表7に示す。また、表7において*印は本発明の請求範囲外である試料を示している。
表7から明らかなように焼成温度を1200℃以下にすることにより、高温漏れ電流が少なく、熱安定性に優れた電流−電圧非直線抵抗体が得られることが明らかである。一方、電流−電圧非直線抵抗体の焼成時の温度が1200℃以上になると、動作開始電圧が低下してしまうとともに、熱安定性が低下してしまう。
尚、本実施の形態においては前記基本組成についてのみ焼成時の焼成温度の熱安定性への効果を示したが、請求項1乃至5記載の基本組成範囲であれば同様な効果が得られる。
Figure 0005065624
(8)第8の実施の形態…請求項8に対応
本実施の形態は、前記第1から第7の実施の形態に示した電流−電圧非直線抵抗体を使用した避雷器に関するものである。すなわち、本実施の形態の避雷器は、図2に示すように、前記第1〜7の実施の形態で示した条件により作製した電流−電圧非直線抵抗体をタンク形の金属容器4に収納し、絶縁ガス等の絶縁媒体を封入したものである。
図2において、4は避雷器の外被となるタンク形の金属容器、5はこの内部に絶縁支持されている非直線抵抗積層体、6はこの非直線抵抗積層体5に近接して設けられたシールド、7は非直線抵抗積層体5を前記金属容器4に対して絶縁支持する絶縁スペーサ、8は同じく絶縁スペーサ7によって支持され、前記非直線抵抗積層体5と避雷器に接続される他のガス絶縁電気機器の高電圧導体との接続用金具である。
このような構成を有する第8の実施の形態によれば、避雷器の金属容器4内部に収納した電流−電圧非直線抵抗積層体5が、前記第1〜7の実施の形態に示したように、動作開始電圧が高く、かつ、熱安定性が優れているため、非直線抵抗積層体5およびそれを収納する金属容器4の小型化が可能となり、ひいては小型の避雷器を得ることができる。
(9)第9の実施の形態…請求項9に対応
本実施の形態は、前記第8の実施の形態に示した避雷器において、非直線抵抗積層体を収納する容器の少なくともその胴部を碍管などの絶縁部材によって構成したものである。
図3において、9は避雷器の外被となる絶縁容器であって、一例として、碍管などセラミック部材または合成樹脂により構成されている。10はこの内部に絶縁支持されている非直線抵抗積層体、11は非直線抵抗積層体10に近接して設けられたシールド、12は上部端子、13は下部端子である。なお、絶縁容器9と内部の非直線抵抗積層体10との空隙部には絶縁ガスが封入されている。
このような構成を有する第9の実施の形態においても、避雷器の絶縁容器9内部に収納した電流−電圧非直線抵抗積層体10が、前記第1〜7の実施の形態に示したように、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧が高く、かつ、熱安定性が優れているため、小型の避雷器を得ることができる。
(10)第10の実施の形態…請求項10に対応
本実施の形態は、前記第9の実施の形態に示した避雷器において、絶縁容器14に貫通穴15を設けたものであって、このような絶縁容器に封入された非直線抵抗積層体を有する避雷器を、別途用意した絶縁油などの絶縁物中に配置することで避雷器周囲と同一の絶縁環境とし、非直線抵抗積層体の絶縁を図ったものである。
即ち、図4は実施の形態第1〜第7で示した条件により作製した電流−電圧非直線抵抗積層体10を少なくとも胴部が絶縁部材で形成された容器14内に収納し、図示しない絶縁油等の絶縁媒体中に収納したものである。ちなみに、このような避雷器は、油入変圧器や開閉器などの絶縁機器内に他の高電圧導体や巻線などと共に収納された状態で使用されるものである。
なお、この絶縁容器14および避雷器全体が絶縁油中で使用されることを除けば、この第10の実施の形態の避雷器の構成は、前記第9の実施の形態に示した避雷器と同様な構成である。ただし、絶縁容器14内の空隙には、貫通穴15を通して外部と同じ絶縁媒体(絶縁ガスや絶縁油)が充填される。
このような構成を有する第10の実施の形態においても、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧が高く、かつ、熱安定性が優れているため、その部分の小型化を図ることができ、ひいては小型の避雷器を得ることができる。
本発明に係わる電流−電圧非直線抵抗体の断面図を示す。 本発明に係わる避雷器の第8の実施の形態の断面図を示す。 本発明に係わる避雷器の第9の実施の形態の断面図を示す。 本発明に係わる避雷器の第10の実施の形態の断面図を示す。
符号の説明
1…焼結体
2…側面絶縁層
3…電極
4…タンク形の金属容器
5…非直線抵抗積層体
6…シールド
7…絶縁スペーサ
8…接続用金具
9…絶縁容器
10…非直線抵抗積層体
11…シールド
12…上部端子
13…下部端子
14…絶縁容器
15…貫通穴

Claims (9)

  1. 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、副成分としてビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)をそれぞれBi、Co、MnO、Sb、NiOに換算して、Biを0.3〜1.5mol%、Coを0.3〜2.0mol%、MnOを0.4〜3mol%、Sbを0.5〜4mol%、NiOを0.5〜4mol%含み、かつ、イットリウム(Y)、ユウロピウム(Eu)、エリビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、イッテリビウム(Yb)のうち少なくとも一種の希土類元素Rの酸化物をRに換算して0.05〜1.0mol%含み、さらに、ZnOの含有量が90mol%以上の焼結体からなり、焼結体中のBi 結晶相における、α-Bi 相(斜方晶系)が全Bi 相の80%以上を占めていることを特徴とする電流−電圧非直線抵抗体。
  2. アルミニウムをAl3+に換算して0.001〜0.015mol%含む焼結体からなることを特徴とする請求項1記載の電流−電圧非直線抵抗体。
  3. 銀をAgOに換算して0.005〜0.05wt%含む焼結体からなることを特徴とする請求項1または2記載の電流−電圧非直線抵抗体。
  4. ホウ素をBに換算して0.005〜0.05wt%含む焼結体からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
  5. 焼成中の冷却時の降温速度を25℃/h以上にすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
  6. 1200℃以下の温度で焼成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の電流−電圧非直線抵抗体を積層してなる非直線抵抗積層体を金属容器に収納し、この金属容器内に絶縁媒体を封入したことを特徴とする避雷器。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の電流−電圧非直線抵抗体を積層してなる非直線抵抗積層体を、少なくとも胴部が絶縁材料で形成された容器に収納し、この容器内に絶縁媒体を封入したことを特徴とする避雷器。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の電流−電圧非直線抵抗体を積層してなる非直線抵抗積層体を、少なくとも胴部が絶縁材料で形成された容器に収納し、この容器を絶縁媒体内に封入したことを特徴とする避雷器。
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