JP2004119762A - 電流−電圧非直線抵抗体 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作開始電圧が高く、電流−電圧非直線抵抗特性に優れ、寿命特性とエネルギー耐量特性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体に、さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%のいずれか1種以上を添加する。
【解決手段】酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体に、さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%のいずれか1種以上を添加する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、避雷器、サージアブソーバ等に用いられる酸化亜鉛を主成分とした電流−電圧非直線抵抗体に係り、特に、主成分に含有される副成分の成分構成と、電流−電圧非直線抵抗体内の抵抗分布に改良を加えた電流−電圧非直線抵抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力系統や電子機器回路においては、正常な電圧に重畳される過電圧を除去し、電力系統や電子機器を保護するため、避雷器やサージアブソーバ等の過電圧保護装置が用いられている。そして、この過電圧保護装置には、正常な電圧ではほぼ絶縁特性を示し、過電圧が印加されると低抵抗値となる特性を有する電流−電圧非直線抵抗体が多用されている。
【0003】
この電流−電圧非直線抵抗体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として、これに副成分としてBi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、NiOが添加されたものを原料としている(特公平4―25681号公報参照)。これらの原料は、水及びバインダーと共に十分混合された後、スプレードライヤー等で造粒され、成形及び焼結されて焼結体が構成される。この後、焼結体の側面に沿面閃絡を防止するための絶縁物質が塗布され、熱処理されて側面絶縁層が形成される。そして、焼結体の両端面が研磨されて電極が取り付けられることにより、電流−電圧非直線抵抗体が製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
ところで、近年の電力需要の増大に伴い、変電所の大容量化や地下変電所の設置が進んでおり、それに伴って変電機器の小型縮小化が求められている。上述した酸化亜鉛を主成分とする電流−電圧非直線抵抗体は、その優れた非直線抵抗特性により避雷器に用いられているが、その非直線抵抗特性は避雷器の保護レベルとなり、その特性が更に向上できれば、変圧器や開閉装置の絶縁レベルを低減することができる。
【0005】
また、電流−電圧非直線抵抗体に通常印加される電圧によりこの電流−電圧非直線抵抗体が劣化しない寿命特性を更に向上することができれば、機器の信頼性、さらには電力供給の安定化を図ることができる。また、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧、つまり、非直線抵抗体の一枚当たりの抵抗値を向上することができれば、避雷器に積層する電流−電圧非直線抵抗体の枚数を低減することができ、避雷器の小型化を達成することができる。
【0006】
例えば、特公平4−25681号公報には、Bi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、NiO等の副成分の含有量を限定することにより、非直線抵抗特性及び寿命特性を向上できるとする技術が開示されている。また、特公平2−23008号公報には、Bi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、NiO等の副成分の含有量を限定し、さらに、ZnOを主成分とした焼結体に含まれるBi2O3の結晶相を限定することにより、寿命特性を向上できるとする技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記の技術のみでは電流−電圧非直線抵抗体の一枚当たりの抵抗値が十分でないために、避雷器に積層する電流−電圧非直線抵抗体の枚数を低減することができず、避雷器の小型化が不十分であるという問題を有していた。また、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧が高くなると、非直線抵抗特性が悪化したり、寿命特性やエネルギー耐量特性の責務が厳しくなることがあるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解消するために提案されたものであって、その目的は、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧が高く、電流−電圧非直線抵抗特性が優れると共に、寿命特性とエネルギー耐量特性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%含有することを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する請求項1の発明において、副成分として添加するバナジウム(V)は、主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成する。この複合酸化物が、焼結時にZnO結晶の粒成長を抑制するため、Vを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Vの含有量がV2O3に換算して0.01mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Vの含有量がV2O3に換算して0.2mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0011】
請求項2に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%含有することを特徴とする。
【0012】
上記の構成を有する請求項2の発明において、副成分として添加するNbは、Vと同様に主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、Nbを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Nbの含有量がNb2O2に換算して0.1mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Nbの含有量がNb2O3に換算して1mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0013】
請求項3に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%含有することを特徴とする。
【0014】
上記の構成を有する請求項3の発明において、副成分として添加するCeは、V、Nbと同様に主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、Ceを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Ceの含有量がCeO2に換算して0.2mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Ceの含有量がCeO2に換算して1.2mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0015】
請求項4に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%含有することを特徴とする。
【0016】
上記の構成を有する請求項3の発明において、副成分として添加するTaは、V、Nb、Ceと同様に主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、Taを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Taの含有量がTa2O5に換算して0.05mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Taの含有量がTa2O5に換算して0.8mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0017】
請求項5に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%のいずれか2種以上を含有することを特徴とする。
【0018】
上記の構成を有する請求項5の発明において、副成分としていずれか2種以上を添加するV、Nb、Ce、Taは、いずれも、主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、これらを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、銀(Ag)を、Ag2Oに換算して0.005〜0.05wt%含有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、ホウ素(B)を、B2O3に換算して0.005〜0.05wt%含有することを特徴とする。
【0020】
上記の構成を有する請求項6あるいは請求項7の発明において、Ag、Bをそれぞれ単独で、または同時に0.005〜0.05wt%含有させることにより、電流−電圧非直線抵抗体の寿命特性を大幅に向上させることができる。上記請求項1乃至請求項5に記載の基本組成のみでは、課電率(常時、電流−電圧非直線抵抗体に印加される電圧)を高く設定した場合には寿命特性が不十分な場合があるが、Ag、Bを添加することにより、漏れ電流の経時変化や寿命特性試験後の動作開始電圧の変化率が少なくなり、寿命特性が向上する。
Ag、Bの含有量がそれぞれ、銀(Ag)をAg2Oに換算して、または、ホウ素(B)をB2O3に換算して0.005wt%未満の場合には、寿命特性を向上させる効果が得られない。また、0.05wt%より多くなると、逆に寿命特性を劣化させてしまう。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、アルミニウム(Al)を、Al3+に換算して、0.001〜0.02mol%含有することを特徴とする。
上記の構成を有する請求項8の発明において、Al3+はZnO粒子中に固溶し、ZnO粒子の電気抵抗を低下させることにより、非直線性を大幅に向上させることができる。ここで、AlをAl3+に換算して、0.001mol%以上含むことにより非直線性が向上し、0.02mol%より多く含有すると、逆に非直線性が悪化してしまう。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、ニッケル(Ni)を、NiOに換算して0.5〜5mol%含有することを特徴とする。
上記の構成を有する請求項9の発明において、ニッケルをNiOに換算して0.5〜5mol%含むことにより、焼結体中のZnO結晶粒界に存在する不純物量を低減させることができるため、電流−電圧非直線抵抗体のエネルギー吸収したときの安定性を向上させることができる。
ここで、ニッケルの含有量がNiOに換算して0.5mol%未満の場合、または、ニッケルの含有量がNiOに換算して5mol%より多い場合には、安定性を向上できる効果が得られない。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、ケイ素(Si)を、SiO2に換算して0.01〜1mol%含有することを特徴とする。
上記の構成を有する請求項10の発明において、ケイ素をSiO2に換算して0.01〜1mol%含むことにより、焼結体中の気孔を低減することができるため、焼結体の強度が増加し、電流−電圧非直線抵抗体のエネルギー耐量を向上させることができる。ケイ素の含有量がSiO2に換算して0.01mol%未満の場合には、焼結体の強度を増加させ、雷インパルス耐量を向上する効果が得られない。また、ケイ素の含有量がSiO2に換算して1mol%より多くなると、非直線抵抗特性が悪化し、雷インパルス吸収時の責務が大きくなってしまうため、優れた雷インパルス耐量を得ることができない。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について、図1〜6及び表1を参照して具体的に説明する。
【0025】
(1)第1実施形態
本実施形態は請求項1〜請求項5に対応するものである。すなわち、最終的に得られる電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量が表1に示す値となるように、主成分としてのZnOに対して副成分としてのBi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、及びV2O3、Nb2O3、CeO2、Ta2O5を所定量秤量し、これらの原料を水と有機バインダー類と共に混合装置に入れ、混合して、それぞれ均一なスラリーを調製した。次に、得られた各スラリーをスプレードライヤーで噴霧造粒することにより粒径100μm程度の造粒粉を作製した。得られた造粒粉を金型に入れて加圧し、直径125mm、厚さ30mmの円板に成形し、成形体を500℃に加熱することにより添加した有機バインダー類を除去した後、さらに1200℃で2時間焼成して、焼結体1を得た。
【0026】
次に、図1に示すように焼結体1の側面に無機絶縁物を塗布し、熱処理して側面絶縁層2を形成した。さらに、側面絶縁層2を設けた焼結体1の上下両端面を研磨した後、焼結体1の研磨面に電極3を溶射により作製することにより、電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0027】
作製した種々の電流−電圧非直線抵抗体について、1mAの交流電流を流した時の電圧(V1mA)と、10kAの8×20μsインパルス電流を流した時の電圧(V10kA)を測定し、これらの比(V10kA/V1mA)を「非直線性係数」として評価した。また、V1mAは「動作開始電圧」として評価した。この「非直線性係数」の値が小さいほど、電流−電圧非直線抵抗特性が優れていることを示している。なお、添加した副成分組成の異なる素子についてのデータは、それぞれの組成で10ピースづつ測定し、その平均値を求めたものである。
【0028】
添加する副成分の量を変化させて作製した試料番号1〜28の電流−電圧非直線抵抗体のそれぞれについて、それぞれの成分の含有量と「動作開始電圧」及び「非直線性係数」を表1に示した。また、表1において*印を付したものは、本発明の範囲外である試料を示している。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示したように、比較例として挙げた*印を付けた試料においては、いずれも「動作開始電圧」が500V/mm以下であるか、もしくは、「非直線性係数」が1.6以上である値を示し、高い動作開始電圧と優れた非直線性の両特性を兼ね備えていなかった。
【0031】
この結果から明らかなように、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)が副成分として含まれ、更に、副成分として、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%含有、または、ニオブ(Nb)をNb2O2に換算して、0.1〜1mol%含有、または、セリウム(Ce)をCeO2に換算して、0.2〜1.2mol%含有、または、タンタル(Ta)をTa2O5に換算して0.05〜0.8mol%含有することにより、高い動作開始電圧と非直線性を有する電流−電圧非直線抵抗体が得られることが分かった。
【0032】
なお、本実施形態においては、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)の含有量を一定としたが、これらがそれぞれ、この他の含有量であっても、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)を含有させることによって同様の効果が得られた。
また、本実施形態においては、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)をそれぞれ個別に含有させたが、これらを同時に含有させても同様の効果が得られることが確認された。
【0033】
(2)第2実施形態
本実施形態は請求項6に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、Ag2Oを0.001〜0.1wt%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0034】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について寿命特性を評価した。なお、寿命特性評価では、1mAの電流が流れたときの電圧(V1mA)に対して95%の電圧を大気中、120℃の雰囲気で3000h印加し続け、漏れ電流(Ir)の変化率を測定した。また、変化率は次式で表され、この値が負の値であれば、電流−電圧非直線抵抗体の寿命特性が優れていることを示している。
【数1】
【0035】
図2は、Ag2Oの含有量と漏れ電流の変化率の関係を示した図である。図2から明らかなように、Ag2Oの含有量を0.005〜0.05wt%にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
なお、本実施形態においては、前記組成についてのみAgの寿命特性への添加効果を示したが、請求項1乃至請求項5に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0036】
(3)第3実施形態
本実施形態は請求項7に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、B2O3を0.005〜0.05wt%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0037】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、上記第2実施形態に示した方法で寿命特性を評価した。図3は、B2O3の含有量と漏れ電流の変化率の関係を示した図である。図3から明らかなように、B2O3の含有量を0.005〜0.05wt%にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
【0038】
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみBの寿命特性への添加含有効果を示したが、請求項1乃至請求項5に記載の組成範囲であれば、同様な効果が得られた。また、基本組成に対し、Agを請求項6に記載した範囲で含有した組成についても同様な効果が得られた。
【0039】
(4)第4実施形態
本実施形態は請求項8に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、Al(NO3)3・9H2OをAl3+に換算して0.0005〜0.03mol%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0040】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、上記第2実施形態に示した方法で非直線性(V10kA/V1mA)を評価した。図4は、Alの含有量と漏れ電流の変化率の関係を示した図である。図4から明らかなように、Alの含有量を0.001〜0.02mol%にすることにより非直線性が向上しており、優れた特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみAlの非直線抵抗特性への含有効果を示したが、請求項1乃至請求項7に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0041】
(5)第5実施形態
本実施形態は請求項9に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、ニッケル(Ni)をNiOに換算して0.2〜8mol%となるように秤量、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0042】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、サージエネルギー吸収後の安定性試験を実施した。この試験は、非直線抵抗体に1000Aの方形波(2ms)電流を1分間隔で5回印加した前後のV1mAの変化率を測定したものである。図5は、NiOの含有量とV1mAの変化率の関係を示した図である。図5から明らかなように、NiOの含有量を0.5〜5mol%にすることによりV1mAの変化率が小さくなり、サージエネルギー吸収後の特性が安定した電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみNiの非直線抵抗特性への含有効果を示したが、請求項1乃至請求項8に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0043】
(6)第6実施形態
本実施形態は請求項10に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらに、この基本組成に対し、SiO2を0.005〜3mol%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0044】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、エネルギー耐量試験を実施した。なお、エネルギー耐量試験では、電流−電圧非直線抵抗体に4×10μsの雷インパルス電流を100kAから10kAづつ増加させてゆき、電流−電圧非直線抵抗体が破壊しないで吸収できた電流値を雷インパルス耐量とした。雷インパルスエネルギー耐量試験では各組成の電流−電圧非直線抵抗体10pについて試験を行い、その平均値をその組成の耐量値とした。
【0045】
図6は、SiO2含有量と雷インパルス耐量の関係を示した図であり、SiO2の含有量を0.01〜1mol%とすることにより優れた雷インパルス耐量の電流−電圧非直線抵抗体を得ることができることが示された。
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみSiの含有効果を示したが、請求項1乃至請求項9に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高い動作開始電圧を有し、電流−電圧非直線抵抗特性、寿命特性、エネルギー耐量特性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を得ることができるので、機器の信頼性を向上させると共に、電力供給の安定化を図り、避雷器及びサージアブソバー等の過電圧保護装置の小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電流−電圧非直線抵抗体の構成を示す断面図。
【図2】Ag2Oの含有量と漏れ電流の変化率の関係を示す図。
【図3】B2O3の含有量と漏れ電流の変化率の関係を示す図。
【図4】Alの含有量と非直線性の関係を示す図。
【図5】NiOの含有量とV1mA変化率の関係を示す図。
【図6】SiO2の含有量と雷インパルス耐量の関係を示す図。
【符号の説明】
1…焼結体
2…側面絶縁層
3…電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、避雷器、サージアブソーバ等に用いられる酸化亜鉛を主成分とした電流−電圧非直線抵抗体に係り、特に、主成分に含有される副成分の成分構成と、電流−電圧非直線抵抗体内の抵抗分布に改良を加えた電流−電圧非直線抵抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力系統や電子機器回路においては、正常な電圧に重畳される過電圧を除去し、電力系統や電子機器を保護するため、避雷器やサージアブソーバ等の過電圧保護装置が用いられている。そして、この過電圧保護装置には、正常な電圧ではほぼ絶縁特性を示し、過電圧が印加されると低抵抗値となる特性を有する電流−電圧非直線抵抗体が多用されている。
【0003】
この電流−電圧非直線抵抗体は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として、これに副成分としてBi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、NiOが添加されたものを原料としている(特公平4―25681号公報参照)。これらの原料は、水及びバインダーと共に十分混合された後、スプレードライヤー等で造粒され、成形及び焼結されて焼結体が構成される。この後、焼結体の側面に沿面閃絡を防止するための絶縁物質が塗布され、熱処理されて側面絶縁層が形成される。そして、焼結体の両端面が研磨されて電極が取り付けられることにより、電流−電圧非直線抵抗体が製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
ところで、近年の電力需要の増大に伴い、変電所の大容量化や地下変電所の設置が進んでおり、それに伴って変電機器の小型縮小化が求められている。上述した酸化亜鉛を主成分とする電流−電圧非直線抵抗体は、その優れた非直線抵抗特性により避雷器に用いられているが、その非直線抵抗特性は避雷器の保護レベルとなり、その特性が更に向上できれば、変圧器や開閉装置の絶縁レベルを低減することができる。
【0005】
また、電流−電圧非直線抵抗体に通常印加される電圧によりこの電流−電圧非直線抵抗体が劣化しない寿命特性を更に向上することができれば、機器の信頼性、さらには電力供給の安定化を図ることができる。また、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧、つまり、非直線抵抗体の一枚当たりの抵抗値を向上することができれば、避雷器に積層する電流−電圧非直線抵抗体の枚数を低減することができ、避雷器の小型化を達成することができる。
【0006】
例えば、特公平4−25681号公報には、Bi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、NiO等の副成分の含有量を限定することにより、非直線抵抗特性及び寿命特性を向上できるとする技術が開示されている。また、特公平2−23008号公報には、Bi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、NiO等の副成分の含有量を限定し、さらに、ZnOを主成分とした焼結体に含まれるBi2O3の結晶相を限定することにより、寿命特性を向上できるとする技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記の技術のみでは電流−電圧非直線抵抗体の一枚当たりの抵抗値が十分でないために、避雷器に積層する電流−電圧非直線抵抗体の枚数を低減することができず、避雷器の小型化が不十分であるという問題を有していた。また、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧が高くなると、非直線抵抗特性が悪化したり、寿命特性やエネルギー耐量特性の責務が厳しくなることがあるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解消するために提案されたものであって、その目的は、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧が高く、電流−電圧非直線抵抗特性が優れると共に、寿命特性とエネルギー耐量特性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%含有することを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する請求項1の発明において、副成分として添加するバナジウム(V)は、主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成する。この複合酸化物が、焼結時にZnO結晶の粒成長を抑制するため、Vを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Vの含有量がV2O3に換算して0.01mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Vの含有量がV2O3に換算して0.2mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0011】
請求項2に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%含有することを特徴とする。
【0012】
上記の構成を有する請求項2の発明において、副成分として添加するNbは、Vと同様に主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、Nbを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Nbの含有量がNb2O2に換算して0.1mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Nbの含有量がNb2O3に換算して1mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0013】
請求項3に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%含有することを特徴とする。
【0014】
上記の構成を有する請求項3の発明において、副成分として添加するCeは、V、Nbと同様に主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、Ceを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Ceの含有量がCeO2に換算して0.2mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Ceの含有量がCeO2に換算して1.2mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0015】
請求項4に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%含有することを特徴とする。
【0016】
上記の構成を有する請求項3の発明において、副成分として添加するTaは、V、Nb、Ceと同様に主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、Taを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
ここで、Taの含有量がTa2O5に換算して0.05mol%以上の場合に、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させる効果が得られる。しかしながら、Taの含有量がTa2O5に換算して0.8mol%よりも多くなってしまうと、電流−電圧非直線抵抗特性(非直線性)が悪化してしまう。
【0017】
請求項5に記載の発明は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%のいずれか2種以上を含有することを特徴とする。
【0018】
上記の構成を有する請求項5の発明において、副成分としていずれか2種以上を添加するV、Nb、Ce、Taは、いずれも、主成分であるZnOと焼結時に反応して複合酸化物を合成し、ZnO結晶の粒成長を抑制することができるため、これらを添加することは、電流−電圧非直線抵抗体の動作開始電圧を向上させるために有効である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、銀(Ag)を、Ag2Oに換算して0.005〜0.05wt%含有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、ホウ素(B)を、B2O3に換算して0.005〜0.05wt%含有することを特徴とする。
【0020】
上記の構成を有する請求項6あるいは請求項7の発明において、Ag、Bをそれぞれ単独で、または同時に0.005〜0.05wt%含有させることにより、電流−電圧非直線抵抗体の寿命特性を大幅に向上させることができる。上記請求項1乃至請求項5に記載の基本組成のみでは、課電率(常時、電流−電圧非直線抵抗体に印加される電圧)を高く設定した場合には寿命特性が不十分な場合があるが、Ag、Bを添加することにより、漏れ電流の経時変化や寿命特性試験後の動作開始電圧の変化率が少なくなり、寿命特性が向上する。
Ag、Bの含有量がそれぞれ、銀(Ag)をAg2Oに換算して、または、ホウ素(B)をB2O3に換算して0.005wt%未満の場合には、寿命特性を向上させる効果が得られない。また、0.05wt%より多くなると、逆に寿命特性を劣化させてしまう。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、アルミニウム(Al)を、Al3+に換算して、0.001〜0.02mol%含有することを特徴とする。
上記の構成を有する請求項8の発明において、Al3+はZnO粒子中に固溶し、ZnO粒子の電気抵抗を低下させることにより、非直線性を大幅に向上させることができる。ここで、AlをAl3+に換算して、0.001mol%以上含むことにより非直線性が向上し、0.02mol%より多く含有すると、逆に非直線性が悪化してしまう。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、ニッケル(Ni)を、NiOに換算して0.5〜5mol%含有することを特徴とする。
上記の構成を有する請求項9の発明において、ニッケルをNiOに換算して0.5〜5mol%含むことにより、焼結体中のZnO結晶粒界に存在する不純物量を低減させることができるため、電流−電圧非直線抵抗体のエネルギー吸収したときの安定性を向上させることができる。
ここで、ニッケルの含有量がNiOに換算して0.5mol%未満の場合、または、ニッケルの含有量がNiOに換算して5mol%より多い場合には、安定性を向上できる効果が得られない。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体において、ケイ素(Si)を、SiO2に換算して0.01〜1mol%含有することを特徴とする。
上記の構成を有する請求項10の発明において、ケイ素をSiO2に換算して0.01〜1mol%含むことにより、焼結体中の気孔を低減することができるため、焼結体の強度が増加し、電流−電圧非直線抵抗体のエネルギー耐量を向上させることができる。ケイ素の含有量がSiO2に換算して0.01mol%未満の場合には、焼結体の強度を増加させ、雷インパルス耐量を向上する効果が得られない。また、ケイ素の含有量がSiO2に換算して1mol%より多くなると、非直線抵抗特性が悪化し、雷インパルス吸収時の責務が大きくなってしまうため、優れた雷インパルス耐量を得ることができない。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について、図1〜6及び表1を参照して具体的に説明する。
【0025】
(1)第1実施形態
本実施形態は請求項1〜請求項5に対応するものである。すなわち、最終的に得られる電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量が表1に示す値となるように、主成分としてのZnOに対して副成分としてのBi2O3、Co2O3、MnO、Sb2O3、及びV2O3、Nb2O3、CeO2、Ta2O5を所定量秤量し、これらの原料を水と有機バインダー類と共に混合装置に入れ、混合して、それぞれ均一なスラリーを調製した。次に、得られた各スラリーをスプレードライヤーで噴霧造粒することにより粒径100μm程度の造粒粉を作製した。得られた造粒粉を金型に入れて加圧し、直径125mm、厚さ30mmの円板に成形し、成形体を500℃に加熱することにより添加した有機バインダー類を除去した後、さらに1200℃で2時間焼成して、焼結体1を得た。
【0026】
次に、図1に示すように焼結体1の側面に無機絶縁物を塗布し、熱処理して側面絶縁層2を形成した。さらに、側面絶縁層2を設けた焼結体1の上下両端面を研磨した後、焼結体1の研磨面に電極3を溶射により作製することにより、電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0027】
作製した種々の電流−電圧非直線抵抗体について、1mAの交流電流を流した時の電圧(V1mA)と、10kAの8×20μsインパルス電流を流した時の電圧(V10kA)を測定し、これらの比(V10kA/V1mA)を「非直線性係数」として評価した。また、V1mAは「動作開始電圧」として評価した。この「非直線性係数」の値が小さいほど、電流−電圧非直線抵抗特性が優れていることを示している。なお、添加した副成分組成の異なる素子についてのデータは、それぞれの組成で10ピースづつ測定し、その平均値を求めたものである。
【0028】
添加する副成分の量を変化させて作製した試料番号1〜28の電流−電圧非直線抵抗体のそれぞれについて、それぞれの成分の含有量と「動作開始電圧」及び「非直線性係数」を表1に示した。また、表1において*印を付したものは、本発明の範囲外である試料を示している。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示したように、比較例として挙げた*印を付けた試料においては、いずれも「動作開始電圧」が500V/mm以下であるか、もしくは、「非直線性係数」が1.6以上である値を示し、高い動作開始電圧と優れた非直線性の両特性を兼ね備えていなかった。
【0031】
この結果から明らかなように、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)が副成分として含まれ、更に、副成分として、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%含有、または、ニオブ(Nb)をNb2O2に換算して、0.1〜1mol%含有、または、セリウム(Ce)をCeO2に換算して、0.2〜1.2mol%含有、または、タンタル(Ta)をTa2O5に換算して0.05〜0.8mol%含有することにより、高い動作開始電圧と非直線性を有する電流−電圧非直線抵抗体が得られることが分かった。
【0032】
なお、本実施形態においては、ビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)の含有量を一定としたが、これらがそれぞれ、この他の含有量であっても、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)を含有させることによって同様の効果が得られた。
また、本実施形態においては、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)をそれぞれ個別に含有させたが、これらを同時に含有させても同様の効果が得られることが確認された。
【0033】
(2)第2実施形態
本実施形態は請求項6に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、Ag2Oを0.001〜0.1wt%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0034】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について寿命特性を評価した。なお、寿命特性評価では、1mAの電流が流れたときの電圧(V1mA)に対して95%の電圧を大気中、120℃の雰囲気で3000h印加し続け、漏れ電流(Ir)の変化率を測定した。また、変化率は次式で表され、この値が負の値であれば、電流−電圧非直線抵抗体の寿命特性が優れていることを示している。
【数1】
【0035】
図2は、Ag2Oの含有量と漏れ電流の変化率の関係を示した図である。図2から明らかなように、Ag2Oの含有量を0.005〜0.05wt%にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
なお、本実施形態においては、前記組成についてのみAgの寿命特性への添加効果を示したが、請求項1乃至請求項5に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0036】
(3)第3実施形態
本実施形態は請求項7に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、B2O3を0.005〜0.05wt%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0037】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、上記第2実施形態に示した方法で寿命特性を評価した。図3は、B2O3の含有量と漏れ電流の変化率の関係を示した図である。図3から明らかなように、B2O3の含有量を0.005〜0.05wt%にすることにより漏れ電流の変化率が負の値となり、優れた寿命特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
【0038】
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみBの寿命特性への添加含有効果を示したが、請求項1乃至請求項5に記載の組成範囲であれば、同様な効果が得られた。また、基本組成に対し、Agを請求項6に記載した範囲で含有した組成についても同様な効果が得られた。
【0039】
(4)第4実施形態
本実施形態は請求項8に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、Al(NO3)3・9H2OをAl3+に換算して0.0005〜0.03mol%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0040】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、上記第2実施形態に示した方法で非直線性(V10kA/V1mA)を評価した。図4は、Alの含有量と漏れ電流の変化率の関係を示した図である。図4から明らかなように、Alの含有量を0.001〜0.02mol%にすることにより非直線性が向上しており、優れた特性の電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみAlの非直線抵抗特性への含有効果を示したが、請求項1乃至請求項7に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0041】
(5)第5実施形態
本実施形態は請求項9に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらにこの基本組成に対し、ニッケル(Ni)をNiOに換算して0.2〜8mol%となるように秤量、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0042】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、サージエネルギー吸収後の安定性試験を実施した。この試験は、非直線抵抗体に1000Aの方形波(2ms)電流を1分間隔で5回印加した前後のV1mAの変化率を測定したものである。図5は、NiOの含有量とV1mAの変化率の関係を示した図である。図5から明らかなように、NiOの含有量を0.5〜5mol%にすることによりV1mAの変化率が小さくなり、サージエネルギー吸収後の特性が安定した電流−電圧非直線抵抗体が得られることが示された。
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみNiの非直線抵抗特性への含有効果を示したが、請求項1乃至請求項8に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0043】
(6)第6実施形態
本実施形態は請求項10に対応するものである。すなわち、電流−電圧非直線抵抗体の副成分の含有量を、主成分としてのZnOに対して最終的に副成分としてのBi2O3を0.5mol%、Co2O3、MnOをそれぞれ、1.0mol%、Sb2O3を2mol%、Ta2O5を0.3mol%となるように秤量してそれぞれ添加し、さらに、この基本組成に対し、SiO2を0.005〜3mol%含有するように添加して、上記第1実施形態に示した方法で電流−電圧非直線抵抗体を作製した。
【0044】
これらの電流−電圧非直線抵抗体について、エネルギー耐量試験を実施した。なお、エネルギー耐量試験では、電流−電圧非直線抵抗体に4×10μsの雷インパルス電流を100kAから10kAづつ増加させてゆき、電流−電圧非直線抵抗体が破壊しないで吸収できた電流値を雷インパルス耐量とした。雷インパルスエネルギー耐量試験では各組成の電流−電圧非直線抵抗体10pについて試験を行い、その平均値をその組成の耐量値とした。
【0045】
図6は、SiO2含有量と雷インパルス耐量の関係を示した図であり、SiO2の含有量を0.01〜1mol%とすることにより優れた雷インパルス耐量の電流−電圧非直線抵抗体を得ることができることが示された。
なお、本実施形態においては、前記基本組成についてのみSiの含有効果を示したが、請求項1乃至請求項9に記載の組成範囲であれば同様な効果が得られた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高い動作開始電圧を有し、電流−電圧非直線抵抗特性、寿命特性、エネルギー耐量特性に優れた電流−電圧非直線抵抗体を得ることができるので、機器の信頼性を向上させると共に、電力供給の安定化を図り、避雷器及びサージアブソバー等の過電圧保護装置の小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電流−電圧非直線抵抗体の構成を示す断面図。
【図2】Ag2Oの含有量と漏れ電流の変化率の関係を示す図。
【図3】B2O3の含有量と漏れ電流の変化率の関係を示す図。
【図4】Alの含有量と非直線性の関係を示す図。
【図5】NiOの含有量とV1mA変化率の関係を示す図。
【図6】SiO2の含有量と雷インパルス耐量の関係を示す図。
【符号の説明】
1…焼結体
2…側面絶縁層
3…電極
Claims (10)
- 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、
さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%含有することを特徴とする電流−電圧非直線抵抗体。 - 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、
さらに、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%含有することを特徴とする電流−電圧非直線抵抗体。 - 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、
さらに、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%含有することを特徴とする電流−電圧非直線抵抗体。 - 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、
さらに、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%含有することを特徴とする電流−電圧非直線抵抗体。 - 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくともビスマス(Bi)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)を副成分として含む電流−電圧非直線抵抗体において、
さらに、バナジウム(V)をV2O3に換算して0.01〜0.2mol%、ニオブ(Nb)を、Nb2O2に換算して0.1〜1mol%、セリウム(Ce)を、CeO2に換算して0.2〜1.2mol%、タンタル(Ta)を、Ta2O5に換算して0.05〜0.8mol%のいずれか2種以上を含有することを特徴とする電流−電圧非直線抵抗体。 - 銀(Ag)を、Ag2Oに換算して0.005〜0.05wt%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
- ホウ素(B)を、B2O3に換算して0.005〜0.05wt%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
- アルミニウム(Al)を、Al3+に換算して、0.001〜0.02mol%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
- ニッケル(Ni)を、NiOに換算して0.5〜5mol%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
- ケイ素(Si)を、SiO2に換算して0.01〜1mol%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の電流−電圧非直線抵抗体。
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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